JP3634109B2 - 車両用内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は車両用内燃機関の制御装置に関し、より詳しくは、フューエルカット(燃料カット)を実行する基準(所定)回転数を低下させてフューエルカット域を増加させるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用内燃機関の制御において、燃費向上を意図して車両の減速時に内燃機関への燃料供給を遮断(フューエルカット)することが知られており、その例としては例えば特開昭55−160141号公報記載の技術を挙げることができる。この従来技術においては、スロットル開度と機関回転数とからフューエルカット領域にあるか否か判断してフューエルカットを行っている。
【0003】
具体的には、従来技術においては、スロットル開度が全閉付近にあり、機関回転数が2000rpm以上にあって機関ストールの恐れがないとき、フューエルカットを行っている。また、機関冷却水温が低い場合には燃焼が不安定となりやすいため、フューエルカットから復帰(燃料供給再開)するか否かの基準となる再開回転数を高く設定すると共に、パニックブレーキ(急ブレーキ)時にはフューエルカットを禁止して機関ストールを防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、機関ストールとフューエルカットによる燃費向上とはトレードオフの関係にあるが、内燃機関の制御においては機関ストールを回避しつつフューエルカット域を拡大して燃費を一層向上させることが強く望まれている。
【0005】
従って、この発明の目的は上記した不都合を解消することにあり、機関ストールを回避しつつフューエルカット域を拡大して燃費を一層向上させるようにした車両用内燃機関の制御装置を提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を解決するためにこの発明は請求項に記載する如く構成した。ここで後述する実施の形態を参照して説明すると、請求項1項においては、変速機102を介して車両100の駆動輪104を駆動する車両用内燃機関であって、前記車両の減速時にフューエルカット終了機関回転数NEFCLより高回転数でフューエルカットを行うフューエルカット手段を備えた車両用内燃機関の制御装置において、前記内燃機関から前記駆動輪に至る駆動力伝達系の動力伝達状態を検知する動力伝達状態検知手段(図3のS26)、前記動力伝達状態検知手段によって検知された動力伝達状態に応じて前記フューエルカット終了機関回転数を変更する回転数変更手段(図3のS28)、前記フューエルカットを中止するとき、前記内燃機関に供給する吸気量を所定期間増加させる増加量を決定する第1の吸気量増加量決定手段(図6のS212,S214)、および前記決定された増加量に応じて前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる吸気量増量手段(図3のS12,S50,S52,S44,S46,S54)を備える如く構成した。
【0007】
請求項2項にあっては、前記第1の吸気量増加量決定手段(図6のS214)は、前記内燃機関の冷却水温TWに応じて増加量を変更する如く構成した。
【0008】
請求項3項にあっては、前記第1の吸気量増加量決定手段(図6のS214)は、前記内燃機関の冷却水温TWが低いほど増加量を多くする如く構成した。
【0009】
請求項4項にあっては、さらに、前記フューエルカット中に前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる増加量を決定する第2の吸気量増加量決定手段(図6のS200ないしS210)、および前記第1および第2の吸気量増加量決定手段の決定する増加量のうち、増加量が多い方を選択する選択手段(図6のS216)を備え、前記吸気量増量手段は、前記選択手段により選択された増加量に応じて前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる如く構成した。
【0010】
請求項5項にあっては、前記第2の吸気量増加量決定手段(図6のS200ないしS210)は、前記内燃機関の回転数NEに応じて増加量を変更するように構成した。
【0011】
請求項6項にあっては、前記第2の吸気量増加量決定手段(図6のS200ないしS210)は、前記内燃機関の回転数NEが高いほど増加量を多くする如く構成した。
【0012】
【作用】
請求項1項にあっては、検知された動力伝達状態に応じて前記フューエルカット終了機関回転数を変更する回転数変更手段、前記フューエルカットを中止するとき前記内燃機関に供給する吸気量を所定期間増加させる増加量を決定する第1の吸気量増加量決定手段、および前記決定された増加量に応じて前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる吸気量増量手段を備える如く構成したので、機関ストールの危険を回避しつつ、フューエルカット域を拡大して燃費を向上させることができる。
【0013】
請求項2項にあっては、前記第1の吸気量増加量決定手段は、前記内燃機関の冷却水温に応じて増加量を変更する如く構成したので、低温時でフリクションが大きいときも機関ストールの危険を確実に回避しつつ、フューエルカット域を拡大して燃費を向上させることができる。
【0014】
請求項3項にあっては、前記第1の吸気量増加量決定手段は前記内燃機関の冷却水温TWが低いほど増加量を多くする如く構成したので、低温時でフリクションが大きいときも機関ストールの危険を一層確実に回避しつつ、フューエルカット域を拡大して燃費を向上させることができる。
【0015】
請求項4項にあっては、さらに、前記フューエルカット中に前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる増加量を決定する第2の吸気量増加量決定手段および前記第1および第2の吸気量増加量決定手段の決定する増加量のうち、増加量が多い方を選択する選択手段を備え、前記吸気量増量手段は前記選択手段により選択された増加量に応じて前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる如く構成したので、機関ストールを回避しつつ、例えばオイル消費などの増加も抑制することができる。
【0016】
請求項5項にあっては、前記第2の吸気量増加量決定手段は前記内燃機関の回転数に応じて増加量を変更する如く構成したので、機関ストールを回避しつつ、例えばオイル消費などの増加も確実に抑制することができる。
【0017】
請求項6項にあっては、前記第2の吸気量増加量決定手段は前記内燃機関の回転数NEが高いほど増加量を多くする如く構成したので、機関ストールを回避しつつ、例えばオイル消費などの増加も一層確実に抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1はこの発明にかかる車両用内燃機関の制御装置を全体的に示す概略図である。
【0020】
図1に示すように、この装置は、例えば4気筒の内燃機関10およびそれが搭載されてなるFF型の車両100を備える。内燃機関10の出力は、前進4速、後進1速の自動変速機102に送られ、適宜な変速比で車両100の駆動輪104,104に伝達されて駆動する。変速機102は、トルクコンバータおよびそのロックアップクラッチ機構(共に図示せず)を備える。尚、符号106,106は従動輪を示す。
【0021】
図2は前記内燃機関10を詳細に示す概略図である。図示の如く、吸気管12の途中にはスロットル弁14が配置される。スロットル弁14にはスロットル弁開度(θTH)センサ16が連結され、スロットル弁14の開度に応じた電気信号を出力し、電子制御ユニット(以下「ECU」という)20に送る。
【0022】
前記した吸気管はスロットル弁配置位置の下流でインテークマニホルド(図示せず)を形成し、そのインテークマニホルドにおいて各気筒の吸気弁(図示せず)の上流側には燃料噴射弁22が気筒ごとに設けられる。燃料噴射弁22は燃料ポンプ(図示せず)に機械的に接続されて燃料の圧送を受けると共に、ECU20に電気的に接続されてその開弁時間を制御され、開弁される間、圧送された燃料を気筒に噴射(供給)する。
【0023】
吸気管12において前記したスロットル弁14の下流には分岐管24を介して絶対圧(PBA)センサ26が取付けられており、吸気管12内の吸気圧力(絶対圧)に応じた電気信号を出力し、ECU20に送出する。また、その下流には吸気温(TA)センサ30が取り付けられ、吸気温に応じた電気信号を出力してECU20に送出する。さらに、機関本体10aの冷却水通路の付近には機関冷却水温(TW)センサ32が配置され、機関冷却水温に応じた電気信号を出力してECU20に送出する。
【0024】
また、内燃機関10においてカム軸あるいはクランク軸(共に図示せず)の付近には、クランク角度(CRK)センサ34が取付けられ、ピストン(図示せず)のTDC位置に関連したクランク角度およびそれを細分したクランク角度ごとにTDC角度およびクランク角度信号を出力してECU20に送出すると共に、気筒判別(CYL)センサ36が取り付けられ、所定気筒のピストン位置ごとに気筒判別信号を出力してECU20に送出する。
【0025】
内燃機関10の排気系においてはエキゾストマニホルド(図示せず)に接続される排気管40の適宜位置に空燃比(LAF)センサ42が設けられ、排気ガス中の酸素濃度に応じた信号を出力し、ECU20に送出すると共に、その下流には三元触媒装置44が設けられ、排気ガス中のHC成分などを除去する。
【0026】
また、内燃機関10の出力で駆動されるエアコンディショナ(図示せず)のエアコンプレッサ46の駆動回路(図示せず)にはエアコンディショナスイッチ48が介挿され、エアコンディショナの作動・非作動に応じた信号を出力してECU20に送出する。
【0027】
また、吸気管12においてスロットル弁14を配置した位置には、そこをバイパスするバイパス通路52が設けられ、そこにバイパスエアコントロールバルブ54が設けられ、ECU20に電気的に接続されて動作し、バイパスエア量を調節する。
【0028】
ECU20はマイクロコンピュータからなり、上記した各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに変換し、あるいはアナログ信号値をデジタル信号値に変換するなどの機能を有する入力回路20a、CPU(中央演算処理装置)20b、CPUで実行される各種演算プログラムおよび演算結果などを記憶する記憶手段(媒体)20c、および前記した燃料噴射弁22および/またはバイパスエアコントロールバルブ54に駆動(開弁)信号を出力する出力回路20dなどから構成される。
【0029】
更に、図1に示す如く、駆動輪104の付近には駆動輪回転速度(回転数)センサ110が設けられ、駆動輪の(回転)速度に応じた信号を出力してECU20に送出すると共に、従動輪106の付近にも従動輪回転速度(回転数)センサ112が設けられ、従動輪の(回転)速度(車速に同じ)に応じた信号を出力してECU20に送出する。
【0030】
また、車両100の適宜位置にはセレクトレバーポジションセンサ114が設けられ、車両運転席(図示せず)のシフトレバー(図示せず)のP,R,N,D4,D3,2,1のうちの運転者が選択したレンジ位置に応じた信号を出力してECU20に送出する。車両100のブレーキ装置(図示せず)の付近にはブレーキスイッチ116が設けられ、運転者のブレーキ操作の有無に応じた信号を出力してECU20に送出する。
【0031】
さらに、変速機102の動作を制御するために、第2のECU(AT ECU)200が設けられ、その第2のECU200から前記したロックアップクラッチのオン・オフ状態(あるいはその間のスリップ状態)および変速比(シフト位置)などを示す信号が出力され、ECU20に送出される。
【0032】
尚、前記したECU20はカウンタ(図示せず)を備え、カウンタは前記したクランク角度センサ34、駆動輪回転速度センサ110および従動輪回転速度センサ112の所定時間当たりの出力をカウントし、機関回転数NE、駆動輪速度および従動輪速度を算出し、CPU20bに入力する。
【0033】
図3はこの装置の動作を示すフロー・チャートである。
【0034】
以下説明すると、先ずS10において前記したスロットル弁14が全閉付近にあるか否か判断し、否定されるときはS44およびS54(後述)を経てS12に進み、フューエルカット(燃料カット。F/Cとも示す)を解除、即ち、実行しない。また、フューエルカットを実行しているときは、後述の如く終了する。同時にフラグF.FC(後述)のビットを0にリセットする。
【0035】
S10で肯定されるときはS14に進み、アイドル制御条件が成立しているか否か判断し、肯定されるときは機関回転数が低いときであり、同様にS12に進んでフューエルカットを解除する。
【0036】
S14で否定されるときはS16に進み、パニックブレーキ(急ブレーキ)がなされているか否か判断処理を行う。パニックブレーキが行われているときは、機関ストールの可能性が高いことから、フューエルカットを解除するためである。
【0037】
図4はそのパニックブレーキ判断処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0038】
以下説明すると、先ずS100において前記したブレーキスイッチ116の出力がオン、即ち、ブレーキが作動中か否か判断し、否定されるときは直ちにプログラムを終了すると共に、肯定されるときはS102に進んでAT車か否か判断する。
【0039】
この実施の形態の場合には自動変速機であることから当然に肯定されてS104に進み、フューエルカットが実行中であるか否か判断し、否定されるときは判断が不要であることから直ちにプログラムを終了すると共に、肯定されるときはS106に進んで車速が低車速、例えば25km/hか否か判断する。前記した従動輪回転速度センサ112が検出する従動輪速度は車速と等価であるため、その出力から判断する。
【0040】
S106で否定されるときはフューエルカット域に本来的になく判断が不要であることから直ちにプログラムを終了すると共に、肯定されるときはS108に進んで車速低下量が大であるか否か判断する。これは、従動輪速度の1階差分値を求めて所定の値(負値)を比較し、それを超えているとき、大と判断することで行う。そして、S108で肯定されるときはS110に進んでパニックブレーキ条件成立、即ち、パニックブレーキと判断する。
【0041】
他方、S108で否定されるときはS112に進み、Dレンジが選択されているか否か判断し、肯定されるときはS114に進んで機関回転数NEが低回転か否か、即ち、検出した機関回転数NEを所定回転数と比較し、それ以下か否か判断する。そして否定されるときは機関ストールの危険が少ないことから直ちにプログラムを終了する。
【0042】
他方、肯定されるときはS116に進んでS108の処理と同様に、機関回転数NEの1階差分値を求め、所定の値(負値)と比較して機関回転数の低下量が大か判断し、否定されるときは同様に機関ストールの危険が少ないことから直ちにプログラムを終了すると共に、肯定されるときはS110に進んでパニックブレーキ条件成立と判断する。
【0043】
図3フロー・チャートに戻ると、S18でパニックブレーキ条件成立と判断されたときは前記した理由から同様にS12に進んでフューエルカットを実行しない。
【0044】
S18で否定されるときはS20に進んで前記フラグF.FCのビット(初期値0)が1にセットされているか否か判断する。このフラグは後述の如く、フューエルカットが作動(実行)されたとき、そのビットが1にセットされるが、最初の判断では否定されてS22に進み、フューエルカット開始機関回転数(フューエルカット開始判断用の基準機関回転数)NEFCHをテーブルから検索する。
【0045】
図5はそのテーブルの特性を示す説明グラフであるが、図示の如く、フューエルカット開始機関回転数NEFCHは、機関冷却水温TWに対して機関冷却水温TWが低いほど高い値となるように設定される。
【0046】
次いでS24に進み、検出機関回転数NEを上記フューエルカット開始機関回転数NEFCHと比較し、NEがNEFCH以下であればS12に進んでフューエルカットを実行しないと共に、NEがNEFCHを超えていればS26に進んで選択レンジがN(ニュートラル)か否か判断し、肯定されたときはS28に進むと共に、否定されたときS28をスキップする。尚、S26およびS28の処理は後述する。
【0047】
次いでS30(後述)を経てS32に進み、フューエルカットを作動(実行)して前記フラグのビットを1にセットし、プログラムを一旦終了する。尚、フューエルカットの実行は前記した燃料噴射弁22の開弁を中止することで行う。
【0048】
次回以降のプログラムループにおいてS20まで進んだとき、そこでフラグF.FCのビットは1と判断されてS34に進み、フューエルカット終了機関回転数(フューエルカット終了判断用の基準機関回転数)NEFCLをテーブルから検索する。
【0049】
図5はそのテーブルの特性を同様に示す説明グラフであり、フューエルカット終了機関回転数NEFCLは、フューエルカット開始機関回転数NEFCHより小さく設定されると共に、同様に機関冷却水温TWに対して機関冷却水温TWが低いほど高い値となるように設定される。
【0050】
ここで特徴的なことは、この発明においては、フューエルカット終了機関回転数NEFCLを、従来技術のそれよりの低回転側に設定したことである。これによって、後で述べるように、フューエルカット域を拡大して燃費を向上させることができる。尚、フューエルカット開始機関回転数NEFCHとフューエルカット終了機関回転数NEFCLを相違させたのは、制御ハンチングを避けるためである。
【0051】
続いてS36に進み、前記したエアコンディショナスイッチ48の出力からエアコンディショナがオン(作動)しているか否か判断し、肯定されるときはS38に進んで検索したフューエルカット終了機関回転数NEFCLを所定値NEFCHACと比較し、NEFCLがNEFCHAC未満と判断されるときはS40に進んで所定値NEFCHACをフューエルカット終了機関回転数NEFCLとする。
【0052】
エアコンディショナが作動するときは機関出力の負荷となることから、所定値NEFCHACは図5に示す如く、高水温側においてはNEFCLを超えるように設定されるため、NEFCLがNEFCHAC未満と判断されると、S40でNEFCHACに書き換える。尚、S36で否定されるとき、あるいはS38でNEFCLがNEFCHAC以上と判断されるときは、S38および/またはS40の処理をスキップする。
【0053】
続いてS42に進んで検出した機関回転数NEを検索した(ないしはS40で書き換えた)フューエルカット終了機関回転数NEFCLと比較し、NEがNEFCLを上回るときはS26以降に進んでフューエルカットを実行(継続)すると共に、NEがNEFCL以下のときはS44およびS54を経てS12に進み、フューエルカットを解除する。
【0054】
ここで、この発明の第2の特徴点について述べると、S26を設けて自動変速機102においてNレンジが選択されているか否か判断し、肯定されるときはS28に進んでフューエルカット終了機関回転数NEFCLを所定量DNEFCDNだけ高回転側に変更すると共に、その値を検出機関回転数NEと比較し、先のS42と同様にフューエルカットを解除すべきか否か判断することである。
【0055】
即ち、この発明は駆動輪104および従動輪106側から内燃機関10を駆動する状態(いわゆるエンジンブレーキ状態)においては機関ストールの可能性が低いという認識に基づくものであり、従ってフューエルカット終了機関回転数NEFCLを図5に示す如く、従来技術に比して減少させてフューエルカット域を拡大した。
【0056】
しかしながら、上記は変速機においてD4レンジなどの走行レンジが選択されていることを前提としており、従ってS26においてこのように内燃機関10から駆動輪104に至る駆動力伝達系の動力伝達状態を検知し、Nレンジにあるときは非伝達状態にあると判断し、前記所定量DNEFCDNを加算してフューエルカット終了機関回転数NEFCLを従来技術と同様の値に戻して再度フューエルカットを継続すべきか判定するようにした。
【0057】
この発明の第3の特徴点は、上記した判定においてフューエルカットを終了すべしと判定された場合、所定期間(2秒)吸気量を増量し、フューエルカット終了機関回転数を低下させたことによる機関ストールの回避に遺漏がないようにしたことである。
【0058】
以下、それについて説明すると、S28において検出回転数NEが変更回転数NEFCL+DNEFCDN以下、即ち、フューエルカットを終了すべしと判断されたとき、S48に進んでフラグF.FCDNのビットが0にリセットされているか否か判断する。
【0059】
このフラグのビットの初期値は0であり、続いて述べるように、S28において検出回転数が変更回転数以下と判断されてフューエルカット終了すべしと判断されたときにS52においてビットが1にセットされるので、S48の判断は肯定されてS50に進み、フューエルカット終了Airタイマ(ダウンカウンタ)に値tmIATFCをセットし、ダウンカウントを開始し、S52に進んで上述したフラグのビットを1にセットする。
【0060】
続いてS44に進み、前記したタイマ値が0に達したか、即ち、2秒経過したか否か判断する。このタイマはこのプログラムループでセットされたばかりなので、そこでの判断は当然に零ではないと判断され、S46に進んでタイマ値をデクリメントし、S12に進んでフューエルカットを解除する。
【0061】
また、S44でタイマ値が零(あるいはそれ以下)に達したと判断されたときはS54に進んで前記したフラグF.FCDNのビットを零にリセットする。このタイマ値が零に達するまでの2秒の間、後で述べるように、吸気量が増量される。
【0062】
尚、フューエルカットを実行するときはS30で前記したフラグが同様にリセットされると共に、このタイマもリセットされるので、吸気量が増量されることはない。
【0063】
続いて吸気量の増量について説明すると、これは図3に示すルーチンとは別のルーチンで行われる。
【0064】
図6はその処理を示すフロー・チャートである。
【0065】
詳細な説明に入る前に、概説すると、このフロー・チャートにおいては通常の減速2次空気量(バイパスエア量)に相当する基本吸気増加量IDECと、前記したフューエルカット終了時の吸気増加量IATFCの2種が決定され、その中の大きい方の値が選択される。
【0066】
図7に基本吸気増加量IDECの特性を、図8に前記したフューエルカット終了時の吸気増加量IATFCの特性を示す。基本吸気増加量IDECは図示の如く、機関回転数NEに応じて増加量を変更するように設定されると共に、機関回転数NEが高いほど多くなるように設定される。これは、スロットル弁全閉中には吸気負圧が大きくなってオイル消費が増加するため、その対策として吸気負圧の増大を抑えてオイル消費の増加を抑制するためである。
【0067】
また、フューエルカット終了時の吸気増加量IATFCは図示の如く、機関冷却水温TWに応じて増加量を変更するように設定されると共に、機関冷却水温TWが低いほど増加量が多くなるように設定される。これは、低温時ほど機械系のフリクションが大きく、機関ストールの可能性が増すことから、その対策として設定するためである。
【0068】
以下説明すると、S200において機関回転が低回転か否か判断し、肯定されるときはS202に進んで基本吸気増加量IDECを零とする。他方、S200で否定されるときはS204に進んでフューエルカット中か否か判断し、否定されるときはS202に進むと共に、肯定されるときはS206に進む。
【0069】
S206においては機関冷却水温TWが低温か否か判断し、肯定されるときはS202に進むと共に、否定されるときはS208に進み、低車速か否か判断する。そしてS208で肯定されるときはS202に進むと共に、否定されるときはS210に進んで図7にそのテーブル特性を示す前記した基本吸気増加量IDECを検出した機関回転数NEから検索する。
【0070】
続いてS212に進んで前記したフラグF.FCDNのビットが1にセットされているか、即ち、Nレンジにあってフューエルカットを終了すべしと判断されたか否か判断する。そしてS212で肯定されるときはS214に進み、図8にそのテーブル特性を示す前記したフューエルカット終了時の吸気増加量IATFCを検出した機関冷却水温TWから検索する。
【0071】
次いでS216に進み、検索したIDECとIATFCの中の増加量が大きい方の値を基本吸気増加量IDECとして選択する。これは、大きい方の値を選択すれば、オイル消費の低減および機関ストールの回避と言う異なる目的が同時に達成できるからである。
【0072】
上記に基づいて、前記したCPU20bは選択された吸気増加量が内燃機関に供給されるように、前記したバイパスエアコントロールバルブ54を駆動する。尚、S212で否定されるときはS214およびS216をスキップする。
【0073】
図9は上記を示すタイミング・チャートであり、図示の如く、Nレンジに切り替わった後に機関回転数NEが終了機関回転数以下になってフューエルカットが終了されるとき、2秒間、機関が供給される吸気量が増加され、これによって機関ストールが回避される。尚、このとき、同図にaで示す如く、この吸気増量の終了時に増量を徐々に戻しても良く、あるいはbで示す如く、吸気増量の開始時から終了までに徐々に増量を減少させるように構成しても良い。
【0074】
この実施の形態では上記の如く、車輪側から内燃機関を駆動する状態においては機関ストールの可能性が低いと言う認識に基づいてフューエルカット終了機関回転数NEFCLを、従来技術のそれよりの低回転側に設定すると共に、変速機のレンジが走行レンジからNレンジに切り換えられたときはフューエルカット終了機関回転数NEFCLを所定量DNEFCDNだけ高回転側に変更し、その値を検出機関回転数NEと比較し、フューエルカットを解除すべきか否か再び判断するようにした。
【0075】
より具体的には、変速機102を介して車両100の駆動輪104を駆動する車両用内燃機関であって、前記車両の減速時に所定機関回転数NEFCL以上でフューエルカットを行うフューエルカット手段を備えた車両用内燃機関の制御装置において、前記内燃機関から前記駆動輪に至る駆動力伝達系の動力伝達状態を検知する動力伝達状態検知手段(図3のS26)、前記動力伝達状態検知手段によって検知された動力伝達状態に応じて前記所定機関回転数を変更する回転数変更手段(図3のS28)、および前記フューエルカットを中止するとき、前記内燃機関に供給する吸気量を所定期間増加させる第1の吸気量増量手段(図3のS12,S50,S52,S44,S46,S54および図6のS212,S214)を備える如く構成した。
【0076】
ここで、前記回転数変更手段は、前記動力伝達状態検知手段によって検知された動力伝達状態が非伝達状態にあるときは前記前記所定機関回転数を上昇させる(図3のS26,S28)如く構成した。
【0077】
また、前記第1の吸気量増量手段は、前記動力伝達状態検知手段によって検知された動力伝達状態が非伝達状態にあるときに前記フューエルカットを中止する場合、前記内燃機関に供給する吸気量を所定期間(2秒)増加させる(図3のS48,S50,S52,S44,S46,S54および図6のS212,S214)如く構成し、よってフューエルカット終了機関回転数を低下させたことによる機関ストールの回避に遺漏がないようにした。
【0078】
これによって、図5に示す如く、斜線で囲む領域だけ従来技術に比較してフューエルカット実行域を拡大することができ、機関ストールの危険を回避しつつ、その分、燃費を向上することができる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、機関ストールの危険を回避しつつ、フューエルカット域を拡大して燃費を向上させることができる。
【0080】
請求項2項にあっては、低温時でフリクションが大きいときも機関ストールの危険を確実に回避しつつ、フューエルカット域を拡大して燃費を向上させることができる。
【0081】
請求項3項にあっては、低温時でフリクションが大きいときも機関ストールの危険を一層確実に回避しつつ、フューエルカット域を拡大して燃費を向上させることができる。
【0082】
請求項4項にあっては、機関ストールを回避しつつ、例えばオイル消費の増加なども抑制することができる。
【0083】
請求項5項にあっては、機関ストールを回避しつつ、例えばオイル消費の増加なども確実に抑制することができる。
【0084】
請求項6項にあっては、機関ストールを回避しつつ、例えばオイル消費の増加なども一層確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る車両用内燃機関の制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1装置の中の内燃機関の構成を詳細に示す概略図である。
【図3】図1装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図3フロー・チャートの中のパニックブレーキ判断処理作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図5】図3フロー・チャートの中のフューエルカット開始機関回転数と終了機関回転数の特性を示す説明グラフである。
【図6】図3フロー・チャートのルーチンと別に行われるフューエルカット終了時の吸気量の増量作業を示すフロー・チャートである。
【図7】図6フロー・チャートの中の基本吸気増加量IDECの特性を示す説明グラフである。
【図8】図6フロー・チャートの中のフューエルカット終了時の吸気増加量IATFCの特性を示す説明グラフである。
【図9】この実施の形態に係る制御を説明するタイミング・チャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
20 ECU(電子制御ユニット)
22 燃料噴射弁
34 クランク角度センサ
48 エアコンディショナスイッチ
100 車両
102 自動変速機
104 駆動輪
106 従動輪
114 セレクトレバーポジションセンサ
116 ブレーキスイッチ
Claims (6)
- 変速機を介して車両の駆動輪を駆動する車両用内燃機関であって、前記車両の減速時にフューエルカット終了機関回転数より高回転数でフューエルカットを行うフューエルカット手段を備えた車両用内燃機関の制御装置において、
a.前記内燃機関から前記駆動輪に至る駆動力伝達系の動力伝達状態を検知する動力伝達 状態検知手段、
b.前記動力伝達状態検知手段によって検知された動力伝達状態に応じて前記フューエル カット終了機関回転数を変更する回転数変更手段、
c.前記フューエルカットを中止するとき、前記内燃機関に供給する吸気量を所定期間増 加させる増加量を決定する第1の吸気量増加量決定手段、
および
d.前記決定された増加量に応じて前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる吸気量増 量手段、
を備えたことを特徴とする車両用内燃機関の制御装置。 - 前記第1の吸気量増加量決定手段は、前記内燃機関の冷却水温に応じて増加量を変更することを特徴とする請求項1項記載の車両用内燃機関の制御装置。
- 前記第1の吸気量増加量決定手段は、前記内燃機関の冷却水温が低いほど増加量を多くすることを特徴とする請求項2項記載の車両用内燃機関の制御装置。
- さらに、
e.前記フューエルカット中に前記内燃機関に供給する吸気量を増加させる増加量を決定 する第2の吸気量増加量決定手段、
および
f.前記第1および第2の吸気量増加量決定手段の決定する増加量のうち、増加量が多い 方を選択する選択手段、
を備え、前記吸気量増量手段は、前記選択手段により選択された増加量に応じて前記内燃機関に供給する吸気量を増加させることを特徴とする請求項1項記載の車両用内燃機関の制御装置。 - 前記第2の吸気量増加量決定手段は、前記内燃機関の回転数に応じて増加量を変更することを特徴とする請求項4項記載の車両用内燃機関の制御装置。
- 前記第2の吸気量増加量決定手段は、前記内燃機関の回転数が高いほど増加量を多くすることを特徴とする請求項5項記載の車両用内燃機関の制御装置。
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