JP3633808B2 - 塩化水素捕捉材及び該塩化水素捕捉材を用いた塩素含有樹脂成形物 - Google Patents

塩化水素捕捉材及び該塩化水素捕捉材を用いた塩素含有樹脂成形物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災や焼却処分に際して、塩素含有樹脂成形物の熱分解や燃焼により発生する有毒な塩化水素を効果的に捕捉し、安定な塩化カルシウム等として固定することができる塩化水素捕捉材及び該塩化水素捕捉材を塩素含有樹脂を主体とする樹脂成形物中に分散させてなる塩素含有樹脂成形物に関するものである。
【0002】
本発明に係る塩素含有樹脂成形物の主な用途は、ブラインド、壁紙、床材、外壁、桶などの内装、外装用建築材料、自動車、車両、船舶及び航空機等の運搬機関用材料、機械、器具、装置等の構造物用材料、農産物栽培用ハウス等の農業用資材、その他各種分野における材料及び資材である。
【0003】
【従来の技術】
樹脂成形物用材料として汎用されているポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等の塩素含有樹脂は、価格が安価であり、加工性が優れているため、大量に生産され、各種分野で広く使用されている。殊に、ポリ塩化ビニルは、現在、我が国では年間約230万トンと大量に生産されている。
【0004】
しかし、塩素含有樹脂を用いた樹脂成形物は、火災が起こったり、使用済みのものを焼却処分するに際して、加熱による樹脂の熱分解が生起し、樹脂中に含有されている塩素に由来する有害な塩化水素が多量に発生するため、身体や生命への危害や大気汚染等の環境汚染が大きな社会的問題となっている。
【0005】
一方、安全衛生や環境保全の観点から、塩素含有樹脂成形物を塩素の含有しない他の樹脂成形物に代替することも検討されてはいるが、塩素含有樹脂成形物は、我が国の基幹産業である苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の生産量の増大に伴って大量に生産されるので、塩素を含有しない他の樹脂成形物に容易に代替することができないという事情がある。
【0006】
そこで、火災や焼却処分に際して、燃焼による有害な塩化水素の発生が十分に抑制された塩素含有樹脂成形物が強く要求されている。
【0007】
従来、塩素含有樹脂成形物の焼却に際して、燃焼により発生する塩化水素は、消石灰に反応吸収させる方法や苛性ソーダにより中和して洗浄する方法により処理されている。
【0008】
また、廃棄処分する塩素含有樹脂組成物を熱分解して液体燃料に転換するに際して、熱分解時に塩化水素捕捉材である炭酸カルシウムを混合することにより、発生する塩化水素と炭酸カルシウムとを反応させて塩化カルシウムとして固定化する方法(特開昭56−122894号公報)が知られている。
【0009】
また、焼却時に炭酸カルシウム粒子粉末と酸化鉄粒子粉末とを共存させて塩化水素を除去する方法及び炭酸カルシウム粒子粉末と酸化鉄粒子粉末とを有機結合剤で結合させた組成物(特開平8−82411号公報)が知られている。
【0010】
また、可燃廃棄物を、カルシウム化合物粒子粉末と酸化鉄粒子粉末等との共存下で850℃以上の温度で燃焼して発生する塩化水素を除去する燃焼方法(特開平8−270924号公報)が知られている。
【0011】
また、炭酸リチウム粒子粉末等からなる塩化水素捕捉材と鉄酸化物粒子粉末とを塩素含有樹脂に配合して成形することによって塩化水素捕捉材の塩化水素捕捉反応を鉄酸化物粒子粉末の触媒作用により促進した塩素含有樹脂成形物(特開平9−241458号公報)が知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記各従来技術には、それぞれ次の通りの問題点が内在している。
【0013】
即ち、前述の消石灰を用いる反応吸収法や苛性ソーダを用いる中和洗浄法は、塩化水素の発生を抑制するものではなく、既に発生した塩化水素を処理するものであるから、殊に、火災時における身体や生命への危害を防止したり、環境汚染を防止することはできない。
【0014】
更に、前記反応吸収法による場合には、塩化水素と消石灰との反応効率が悪く、実効的な塩素固定化率を得るためには、塩化水素との反応に必要な理論当量の少なくとも3倍以上の消石灰を使用しなければならず、その結果、処理コストが増大するという問題がある。
【0015】
そして、未反応の消石灰は、毒性の強いダイオキシンを含有しており、無害化のための処理が更に必要となるという欠点がある。また、消石灰を均一分散するための高価な設備も必要となる。
【0016】
前出特開昭56−122894号公報に記載の方法は、塩化水素の発生を十分に抑制するものではなく、また、この方法による場合は、塩化水素と炭酸カルシウムとの反応効率が悪く、実効的な塩素固定化率を得るためには、塩化水素との反応に必要な理論当量の少なくとも5倍以上の炭酸カルシウムを使用しなければならず、その結果、処理コストが増大するという問題がある。
【0017】
前出特開平8−82411号公報及び前出特開平9−241458号公報に記載されている炭酸カルシウム粉末や炭酸リチウム粉末等の炭酸塩粉末からなる塩化水素捕捉材と鉄酸化物粉末とを塩素含有樹脂へ混合、配合する場合には、加熱時において過度に温度が上昇すると鉄酸化物粉末の触媒作用により塩素含有樹脂の一部において脱塩化水素反応及びポリエン化反応等の分解反応が促進され、着色を伴って変質劣化する等の問題がある。
【0018】
また、前出特開平8−82411号公報、前出特開平8−270924号公報及び前出特開平9−241458号公報に記載の方法は、鉄酸化物粉末により塩化水素捕捉材の塩化水素捕捉反応を促進することで、塩化水素の発生をある程度まで抑制できるが、未だ十分とは言い難く、特開平9−241458号公報の場合には、炭酸リチウム粉末等の高価なものを使用しなければならず、工業的でない。
【0019】
そこで、本発明は、火災や焼却処分に際して、塩素含有樹脂成形物から発生する塩化水素を十分に捕捉することができ、しかも、塩素含有樹脂が変質劣化することのない塩化水素捕捉材を提供することを技術的課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0021】
即ち、本発明は、カルシウムと鉄の複合酸化物からなるBET比表面積0.1〜100m/gの粒子粉末であって、カルシウム原子に対して鉄原子が1〜500モル%含有し、且つ、鉄原子の50%以上はカルシウム原子とカルシウム−鉄フェライト相を形成している複合酸化物粒子粉末からなる塩化水素捕捉材である。
【0022】
また、本発明は、カルシウム原子と鉄原子とからなるカルシウム−鉄フェライト相が、CaFe、CaFe、CaFe、CaFe1525、CaFeから選ばれる一種以上の結晶相からなるカルシウム−鉄フェライト相である前記塩化水素捕捉材である。
【0023】
また、本発明は、前記塩化水素捕捉材を、塩素含有樹脂を主体とする樹脂中の塩素2原子に対する当該塩化水素捕捉材中のカルシウム1原子の比が0.5〜2.0の範囲となるように該樹脂に分散させてなる塩素含有樹脂成形物である。
【0024】
本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通りである。
【0025】
まず、本発明に係る塩化水素捕捉材について述べる。
【0026】
本発明に係る塩化水素捕捉材を構成する粉末の平均粒径は、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜2μmである。
【0027】
本発明に係る塩化水素捕捉材のBET比表面積は、0.1〜100m/g、好ましくは0.5〜20m/g、より好ましくは1〜10m/gである。0.1m/g未満では、塩素捕捉効果が低く、100m/gを越えると、塩素含有樹脂を主体とする樹脂材料中に均一に練り込みにくくなる。
【0028】
本発明に係る塩化水素捕捉材は、カルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末からなり、カルシウム原子に対して鉄原子が1〜500モル%、好ましくは5〜200モル%、より好ましくは10〜50モル%含有している。鉄原子の含有量が1モル%未満では、鉄原子による触媒効果が低く、塩化水素捕捉効果が炭酸カルシウム等のカルシウム化合物単独系の場合と変わらない。500モル%を越える場合にはカルシウム原子の比率が少なくなりすぎ、塩化水素固定のための必要量のカルシウムを供給するために多量の塩化水素捕捉材が必要となる。
【0029】
本発明に係る塩化水素捕捉材中の鉄原子の50%以上、好ましくは70%以上は、カルシウム原子とカルシウム−鉄フェライト相を形成している必要がある。カルシウム−鉄フェライト相を形成している鉄原子が50%未満の場合には、塩化水素捕捉効果の向上度合が小さく、また、カルシウム−鉄フェライト相を形成しない鉄が構成する鉄化合物粒子粉末が多くなるため、加熱時において過度に温度が上昇すると鉄化合物粒子粉末の触媒作用により塩素含有樹脂が変質劣化するため好ましくない。
【0030】
前記鉄原子とカルシウム原子とのカルシウム−鉄フェライト相としては、CaFe、CaFe 、CaFe、CaFe1525、CaFeから選ばれる一種以上の結晶相からなるカルシウム−鉄フェライト相である。
【0031】
本発明に係る塩化水素捕捉材であるカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末に含まれる結晶相としては、前記カルシウム−鉄フェライト相のほか、カルシウム化合物相、鉄化合物相が存在してもよい。
【0032】
なお、本発明に係る塩化水素捕捉材であるカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末は、その構成粒子の一粒子中に複数の結晶相が含まれている場合であってもよく、また、各結晶相の粒子の混合物であってもよい。後述する本発明に係る塩化水素捕捉材の製造法において、粉末冶金的方法による場合には、一粒子中に複数の結晶相が含まれる傾向があり、また、混合法による場合には、各結晶相の粒子の混合物となる傾向がある。
【0033】
次に、本発明に係る塩化水素捕捉材の製造法について説明する。
【0034】
本発明に係る塩化水素捕捉材は、粉末冶金的方法による製造、例えば、カルシウム化合物粒子粉末と鉄化合物粒子粉末を乾式混合又は湿式混合した後、加熱焼成し、次いで、得られた焼成物を粉砕することによって製造することができる。また、混合法による製造、例えば、カルシウム−鉄フェライト粒子粉末、カルシウム化合物粒子粉末、鉄化合物粒子粉末を所定量混合することによって製造することができる。
【0035】
まず、粉末冶金的方法による塩化水素捕捉材の製造法について述べる。
【0036】
前記カルシウム化合物粒子粉末としては、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の粒子粉末を用いることができる。
前記カルシウム化合物粒子粉末の平均粒径は0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。
前記カルシウム化合物粒子粉末のBET比表面積は、0.1〜100m/g、好ましくは1〜50m/gである。
【0037】
前記鉄化合物粒子粉末としては、酸化鉄粒子粉末、含水酸化鉄粒子粉末が使用できる。酸化鉄粒子粉末としては、ヘマタイト粒子粉末、マグヘマイト粒子粉末、マグネタイト粒子粉末等を用いることができ、含水酸化鉄粒子粉末としては、ゲータイト粒子粉末、アカゲナイト粒子粉末、レピドクロサイト粒子粉末等を用いることができる。
【0038】
前記鉄化合物粒子粉末を構成する粒子の粒子形状は、球状、八面体状、六面体状、粒状、紡錘状、針状のいずれであってもよい。
前記鉄化合物粒子粉末は、構成粒子の粒子形状が球状、八面体状、六面体状及び粒状の場合には、平均粒径が0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmであり、BET比表面積が0.1〜200m/g、好ましくは1〜100m/gである。紡錘状の場合には、平均長軸径が0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.8μmであり、BET比表面積が10〜200m/g、好ましくは10〜100m/gである。針状の場合には、平均長軸径が0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.8μmであり、BET比表面積が10〜200m/g、好ましくは10〜100m/gである。
【0039】
前記カルシウム化合物粒子粉末と前記鉄化合物粒子粉末の混合割合は、カルシウム原子に対して鉄原子が1〜500モル%、好ましくは5〜200モル%、より好ましくは10〜50モル%である。
【0040】
前記カルシウム化合物粒子粉末と前記鉄化合物粒子粉末の混合は、らいかい機、ヘンシェルミキサー、サンドミル等による乾式混合法、又は、湿式アトライター、ホモジナイザー等による水等を媒体とした湿式混合法のいずれでもよい。
なお、湿式混合法による場合には、混合後、脱水・乾燥を行っておくことが好ましい。
【0041】
前記加熱焼成は、800〜1500℃の温度範囲が好ましく、800〜1200℃の温度範囲がより好ましい。焼成雰囲気は簡易に行える空気中が好ましい。また、焼成時間は、0.5〜5hrが好ましい。
【0042】
前記加熱焼成後の焼成物の粉砕は、乾式粉砕が好ましい。所望の粒子径まで行うことができる。粉砕機としては、ピン型ミル、サンドミル、ハンマーミル等を用いることができる。
【0043】
次に、混合法による本発明に係る塩化水素捕捉材の製造法について述べる。
【0044】
前記カルシウム化合物粒子粉末及び前記鉄化合物粒子粉末については前記粉末冶金的方法による製造法において用いることができるものと同様のものが使用できる。
【0045】
前記カルシウム−鉄フェライト粒子粉末は、あらかじめ、前記カルシウム化合物粒子粉末と鉄化合物粒子粉末とを化学量論組成となるように混合しておき、加熱焼成することによって得られる焼成物を粉砕して得ることができる。
カルシウム化合物粒子粉末と鉄化合物粒子粉末との混合割合は、そのフェライト組成である化学量論組成であって、Ca:Fe比で1:1、1:2、1:4、1:5のいずれかである。
なお、厳密に化学量論組成とする必要はなく、ほぼその組成であればよい。
【0046】
前記加熱焼成は、800〜1500℃の温度範囲において、得ようとするカルシウム−鉄フェライトの結晶相に応じた適切な温度範囲で行うことが好ましい。必要に応じて急冷等の操作を行うことにより限られた温度範囲での安定相を得ることができる。なお、焼成雰囲気は簡易に行える空気中が好ましい。
【0047】
前記加熱焼成後の焼成物の粉砕は、乾式粉砕が好ましく、所望の粒子径まで粉砕できる。
【0048】
前記カルシウム−鉄フェライト粒子粉末としては、CaFe、CaFe、CaFe、CaFe1525、CaFeから選ばれる一種以上の結晶相からなるカルシウム−鉄フェライト粒子粉末である。
【0049】
前記カルシウム化合物粒子粉末、前記鉄化合物粒子粉末及びカルシウム−鉄フェライト粒子粉末の混合割合は、カルシウム原子に対して鉄原子が1〜500モル%、好ましくは3〜200モル%、より好ましくは10〜50モル%である。また、鉄原子の50%以上、好ましくは70%以上が、カルシウム原子とカルシウム−鉄フェライト相を形成している必要があり、カルシウム−鉄フェライト粒子粉末がカルシウム−鉄フェライト粒子粉末と鉄化合物粒子粉末との総計に対してFe原子の比で50%以上、好ましくは70%以上となるようにする。
【0050】
前記鉄化合物粒子粉末、前記カルシウム化合物粒子粉末及び前記カルシウム−鉄フェライト粒子粉末の混合は、らいかい機、ヘンシェルミキサー、サンドミル等による乾式混合法が好ましい。
【0051】
次に、本発明に係る塩素含有樹脂成形物について述べる。
【0052】
本発明に係る塩素含有樹脂成形物は、本発明に係る塩化水素捕捉材が20〜80重量%、好ましくは30〜50重量%、塩素含有樹脂を主体とする樹脂が80〜20重量%、好ましくは70〜50重量%からなるものである。
【0053】
本発明に係る塩素含有樹脂成形物中の塩素水素捕捉材の含有量は、塩素含有樹脂を主体とする樹脂中の塩素2原子に対する塩化水素捕捉材中のカルシウム1原子の比が0.5〜2.0、好ましくは1〜1.5の範囲となる範囲である。0.5未満では塩素捕捉効果が低く、2.0を越えると樹脂の強度等の特性が低下する。
【0054】
本発明に係る塩素含有樹脂成形物は、塩素固定化率が50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
ここで塩素固定化率とは、塩素含有樹脂を主体とする樹脂を加熱して分解生成する全塩化水素の内、塩化水素捕捉材により塩化カルシウムとして塩素固定化できる収率であり塩素量で評価していることから塩素固定化率としているものであり、後述する試験法によって測定できる。
【0055】
次に、本発明に係る塩素含有樹脂成形物の製造法について述べる。
【0056】
本発明に係る塩素含有樹脂成形物は、塩素含有樹脂を主体とする樹脂と本発明に係る塩化水素捕捉材とを所定の混合割合であらかじめよく混合し、該塩化水素捕捉材を樹脂中に分散させた後、常法に従ってシート状、板状、帯状、ペレット状等の所望の各種形状に成形することにより得られる。
【0057】
前記塩素含有樹脂を主体とする樹脂としては、ポリ塩化ビニル(塩素含有量50〜60重量%)、ポリ塩化ビニリデン(塩素含有量70〜80重量%)、塩素化ポリエチレン(塩素含有量30〜60重量%)、塩素化ポリプロピレン(塩素含有量20〜70重量%)、塩素化ポリエーテル(塩素含有量約45.8重量%)等の塩素含有樹脂を主体とする樹脂が挙げられる。
前記塩素含有樹脂を主体とする樹脂は、通常、塩素を20〜80重量%程度含有している。
【0058】
本発明に係る塩素水素捕捉材の前記塩素含有樹脂を主体とする樹脂への添加量は、該樹脂中の塩素2原子に対する塩化水素捕捉材中のカルシウム1原子の比が0.5〜2.0、好ましくは1〜1.5の範囲となるようにする。0.5未満では塩素捕捉効果が低く、2.0を越えると樹脂の強度等の特性を低下させてしまう。
具体的な混合割合は、本発明に係る塩化水素捕捉材と前記塩素含有樹脂を主体とする樹脂との重量比率で20:80〜80:20、好ましくは30:70〜50:50の範囲である。
【0059】
前記塩化水素捕捉材の前記塩素含有樹脂を主体とする樹脂中への分散は、混練機又は押し出し機を用いて加熱下で強い剪断作用を加えることにより、均一に分散させることができる。
【0060】
前記塩素含有樹脂を主体とする樹脂中への分散時の加熱は、120〜170℃の温度範囲が好ましく、150〜160℃の温度範囲がより好ましい。
【0061】
なお、通常使用される滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤を配合してもよい。
前記添加剤の添加量は、前記塩素含有樹脂を主体とする樹脂に対して50重量%以下が望ましい。50重量%を越える場合には、成形性が低下する傾向がある。
【0062】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0063】
なお、各評価項目については以下の方法により評価した。
【0064】
<BET比表面積の測定>
BET比表面積は、BET法により測定した値で示した。
【0065】
<構成元素の分析>
塩化水素捕捉材を構成する各元素の含有量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機(株)製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0066】
<X線回折による結晶相の同定>
塩化水素捕捉材を構成する物質の結晶相の同定は、X線回折法により行い、「X線回折装置RAD−IIA」(理学電機(株)製)(測定条件:ターゲットFe、管電圧40kV、管電流25mA)を使用し、回折角2θが20〜90°で測定した。
【0067】
<塩素固定化率の評価>
塩素含有樹脂成形物70〜80mgを三菱化学(株)製燃焼試験装置QF−02型で燃焼させた。燃焼条件は、700℃×7min、O100ml/minとした。得られた残渣をイオン交換水250mlに溶解して得られる溶解液を選別し、その濾過液を試料液として、JIS K−0101に従って、チオシアン酸水銀(II)吸光光度法により塩素イオン(Cl−)を定量し、百分率で示した。塩素の固定化率S(%)は下記式により算出した。
【0068】
S(%)=(C/T)×100
ただし、C;残渣中の塩素量(g)、T;塩素含有樹脂成形物に含まれる塩素量(g)
【0069】
<熱安定性評価>
塩素含有樹脂成形物(縦30×横30×厚み1mm)を190℃に設定したタバイエスペック(株)製ギアー式老化試験機GPHH−201M型に90min入れ、変色度合いを観ることで熱安定性を評価した。
【0070】
<塩化水素捕捉材の製造>
平均粒径1.1μmであり、BET比表面積2.0m/gの炭酸カルシウム粉末(試薬1級;片山化学工業(株)製)19.6gと平均粒径0.30μmであり、BET比表面積3.9m/gの粒状ヘマタイトα−Fe粉末(戸田工業(株)製)5.5g(鉄原子としてカルシウム原子に対して35モル%)を乾式混合し、900℃で1hr焼成した。得られた焼成物をピン型ミルによって乾式粉砕したものは、図1のX線回折パターンに示すように、図1中に□で示した酸化カルシウムCaOと○で示したカルシウム−鉄フェライトCaFe及び△で示したヘマタイトα−Feの各結晶相を含有する粒子からなるカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末であり、鉄原子の85%がカルシウム−鉄フェライト相CaFeを構成しており、平均粒径0.19μmであり、BET比表面積は8.9m/gであった。
【0071】
<塩素含有樹脂を主体とする塩素含有樹脂成形物の製造>
平均重合度1300のポリ塩化ビニル(塩素含有量56.8%,信越化学工業(株)製)30.0gと上記複合酸化物粒子粉末20.2g(ポリ塩化ビニル中の塩素2原子に対してカルシウム1原子の比が1に相当する。)と可塑剤としてフタル酸ジオクチル(大八化学工業(株)製)18.0g、安定剤として錫系安定剤ブチル錫マレートエステル(大日本インキ化学工業(株)製)1.5gを混合した。
【0072】
得られた混合物を熱間ロール機(2本ロール,ロール幅0.5mm)を用いて、155℃で3分間混練してシートを作製した。
【0073】
このシートを縦150×横100×2枚切断し、厚み1mmの型枠に入れ、熱プレス機で加熱(160℃、10kg/cm圧,2.5min)後、加圧(50kg/cm、0.5min)した。次いで、これを冷却プレス機(50kg/cm圧)で強制冷却し、シート状のポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た(樹脂成形物中のカルシウムと鉄の複合酸化物の含有量は29.0重量%に相当する)。
【0074】
上記ポリ塩化ビニル樹脂成形物の塩素固定評価における塩素固定化率は83.5%であり、熱安定性評価においても全く変色しなかった。
【0075】
【作用】
本発明に係る塩化水素捕捉材を塩素含有樹脂を主体とする樹脂中に混合、混練して得られた塩素含有樹脂成形物から、燃焼により発生する塩化水素を十分に捕捉することができる理由について、本発明者らは、次のように考えている。
【0076】
塩素含有樹脂成形物として代表的なポリ塩化ビニル樹脂に、本発明に係る塩化水素捕捉材を混合、混練した場合について、以下に説明する。
【0077】
まず、加熱によって200℃付近になると、ポリ塩化ビニル樹脂の一部分解が始まり、生成した塩化水素とカルシウム−鉄フェライト相中において結晶構造を構成しているFe3+又は鉄酸化物粒子中のFe3+が反応して下記反応式(1)に示す通り、塩化第二鉄が生成する。
【0078】
Fe3++3HCl→FeCl+3H………(1)
【0079】
生成した上記塩化第二鉄は、200℃付近で極めて不安定であるため、下記の反応式(2)に示す通り、熱分解して活性塩素Clを放出し、塩化第二鉄自体は元のFe3+となる。
【0080】
FeCl→Fe3++3Cl………(2)
【0081】
一方、活性塩素Clは、下記反応式(3)に示す通り、カルシウム−鉄フェライト相中のCa2+又は隣接して存在する酸化カルシウムCaO粒子中のCaと反応して、塩化カルシウム等として固定化される。
【0082】
Ca2++2Cl→CaCl………(3)
【0083】
上述した通り、本発明者らは、本発明に係る塩化水素捕捉材を塩素含有樹脂を主体とする樹脂中に混合、分散させた場合には、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物粉末と鉄酸化物粉末を単純混合した場合に比べ、カルシウム−鉄フェライト相中のFe3+がCa原子と結晶構造を構成しており、原子レベルで隣接しているため、より効果的に生成した活性塩素Clが直ちにカルシウム原子と結びつき、塩化カルシウム等として固定化され易くなるものと考えている。
【0084】
また、本発明に係る塩化水素捕捉材を混合、配合した塩素含有樹脂を主体とする樹脂が温度が過度に上昇しても塩素含有樹脂が分解劣化しない理由について、次のように考えている。
【0085】
即ち、例えば、本発明に係る塩化水素捕捉材を混合、配合したポリ塩化ビニル樹脂が加熱されて200℃付近になると、前記反応式(1)、(2)と同様に、樹脂の一部が分解して塩化第二鉄、活性塩素Clが生成する。この塩化第二鉄と活性塩素Clは、ポリ塩化ビニル樹脂の脱塩化水素反応及びポリエン化反応を促進し、ポリ塩化ビニル樹脂は着色を伴って分解劣化してしまう。
【0086】
しかし、本発明に係る塩化水素捕捉材は、鉄原子とカルシウム原子がカルシウム−鉄フェライト相を構成し、原子レベルで隣接しているカルシウム−鉄フェライト相を含有する複合酸化物粒子粉末となっているために、該Clを反応式(3)に示す通り、直ちに塩化カルシウムとして安定化し、脱塩化水素反応及びポリエン化反応を抑制できるものと考えられる。
【0087】
一方、カルシウム化合物粉末と鉄酸化物粉末を塩素含有樹脂に単純に混合、配合した場合には、ミクロ的にはカルシウム原子と鉄原子は別々に化合物を形成して樹脂中に分散しているため、その間には樹脂が存在してそれぞれの原子は離れており、ポリ塩化ビニル樹脂の脱塩化水素反応及びポリエン化反応が十分に抑制できず、単独で存在する鉄酸化物粒子が多い場合には、その触媒作用のためポリ塩化ビニル樹脂の脱塩化水素反応及びポリエン化反応をかえって促進してしまい、着色を伴って分解劣化するものと考えている。
【0088】
本発明に係る塩素含有樹脂成形物は、熱安定性が従来の塩素含有樹脂成形物に比べて非常に優れたものであり、例えば、190℃にて1.5hr加熱しても変質劣化しないものである。
【0089】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0090】
実施例1〜5、比較例1〜7;
実施例1
平均粒径1.1μmであり、BET比表面積2.0m/gの炭酸カルシウム粉末(試薬1級;片山化学工業(株)製)23.2gと平均粒径0.30μmであり、BET比表面積3.9m/gの粒状ヘマタイトα−Fe粉末(戸田工業(株)製)1.9g(鉄原子としてカルシウム原子に対して10モル%)を乾式混合し、900℃で3hr焼成した。得られた焼成物をピン型ミルによって乾式粉砕したものは、酸化カルシウムCaO、カルシウム−鉄フェライトCaFe及びヘマタイトα−Feの各結晶相を含有する粒子からなるカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末であり、鉄原子の95%がカルシウム−鉄フェライト相CaFeを構成しており、平均粒径0.42μmであり、BET比表面積は4.2m/gであった。
【0091】
平均重合度1300のポリ塩化ビニル(塩素含有量56.8%,信越化学工業(株)製)30.0gと上記複合酸化物粒子粉末15.4g(ポリ塩化ビニル中の塩素2原子に対してカルシウム1原子の比が1に相当する。)と可塑剤としてフタル酸ジオクチル(大八化学工業(株)製)18.0g、安定剤として錫系安定剤ブチル錫マレートエステル(大日本インキ化学工業(株)製)1.5gを混合した。
【0092】
得られた混合物を熱間ロール機(2本ロール,ロール幅0.5mm)を用いて、155℃で3分間混練してシートを作製した。
【0093】
このシートを縦150×横100×2枚切断し、厚み1mmの型枠に入れ、熱プレス機で加熱(160℃、10kg/cm圧,2.5min)後、加圧(50kg/cm、0.5min)した。次いで、これを冷却プレス機(50kg/cm圧)で強制冷却し、シート状のポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た(樹脂成形物中のカルシウムと鉄の複合酸化物の含有量は23.7重量%に相当する)。
【0094】
上記ポリ塩化ビニル樹脂成形物の塩素固定評価における塩素固定化率は80.5%であり、熱安定性評価においても全く変色しなかった。
【0095】
比較例1
実施例1の焼成前の炭酸カルシウム粉末とヘマタイトα−Fe粉末の乾式混合物25.9g(ポリ塩化ビニル樹脂中の塩素2原子に対してカルシウム1原子の比が1に相当)とポリ塩化ビニル30.0g及びフタル酸ジオクチル18.0g、錫系安定剤1.5gを用いて、発明の実施の形態と同様な方法で茶褐色のポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た。
【0096】
当該ポリ塩化ビニル樹脂成形物の塩素固定評価における塩素固定化率は33.4%あった。また、熱安定性評価をすると、黒色化してしまった。
【0097】
比較例2
平均粒径1.1μmであり、BET比表面積2.0m/gの炭酸カルシウム粉末(試薬1級:片山化学工業(株)製)19.6gと平均粒径1.2μmであり、BET比表面積1.0m/gの粒状ヘマタイトα−Fe粉末5.5g(カルシウム原子に対して鉄として35モル%)を乾式混合し、800℃で3hr焼成した。得られた焼成物をピン型ミルによって乾式粉砕したものは、酸化カルシウムCaO、カルシウム−鉄フェライトCaFe及びヘマタイトα−Feの各結晶相を含んだ粒子からなるカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末であった。当該複合酸化物粒子粉末中の鉄原子の45%がカルシウム−鉄フェライト相を構成しており、平均粒径0.26μmであり、BET比表面積は6.2m/gであった。
【0098】
上記得られた複合酸化物粒子粉末20.2g(ポリ塩化ビニル樹脂中の塩素2原子に対してカルシウム1原子の比が1に相当)を用いた以外は、発明の実施の形態と同様な方法で茶褐色のポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た(樹脂成形物中のカルシウムと鉄の複合酸化物の含有量は29.0重量%に相当する)。
【0099】
上記ポリ塩化ビニル樹脂成形物の塩素固定評価における塩素固定化率は62.0%であった。また、熱安定性評価すると、試験片の周辺が黒色化した。
【0100】
比較例3
炭酸カルシウム粉末24.0gとポリ塩化ビニル30.0g及びフタル酸ジオクチル18.0g、錫系安定剤1.5gを用いた以外は、発明の実施の形態と同様な方法で白色のポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た。
【0101】
当該ポリ塩化ビニル樹脂成形物の塩素固定評価における塩素固定化率は22.3%であった。また、熱安定化評価においては、黄色化した。
【0102】
実施例2〜5、比較例4〜6
カルシウム化合物粒子粉末の種類及び量、鉄酸化物粒子粉末の種類及び量を種々変化させた以外は発明の実施の形態と同様にして塩化水素捕捉材を得た。また、塩化水素捕捉剤の種類及び量、塩素含有樹脂を主体とする樹脂の種類を種々変化させた以外は発明の実施の形態と同様にして該塩化水素捕捉材を分散させた塩素含有樹脂成形物を得た。
製造の諸条件、塩化水素捕捉材の諸特性及び塩素含有樹脂成形物の諸特性を表1及び表2に示す。
【0103】
【表1】
Figure 0003633808
【0104】
【表2】
Figure 0003633808
【0105】
比較例7
平均粒径1.1μmであり、BET比表面積2.0m/gの炭酸カルシウムCaCO粉末(試薬1級:片山化学工業(株)製)19.6gと平均粒径0.30μmであり、BET比表面積3.9m/gの粒状ヘマタイトα−Fe粉末(戸田工業(株)製)31.3g(鉄原子としてカルシウム原子に対して200モル%)を乾式混合し、900℃で1hr焼成した。得られた焼成物をピン型ミルによって乾式粉砕して得られたものは、酸化カルシウムCaO、カルシウム−鉄フェライトCaFe、CaFe及びヘマタイトα−Feの各結晶相を含んだ粒子からなるカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末であった。該複合酸化物粒子粉末中の鉄原子の85%がカルシウムフェライトCaFe、CaFeを構成しており、平均粒径1.0μmであり、BET比表面積は1.5m/gであった。
【0106】
上記得られた複合酸化物粒子粉末129.4g(ポリ塩化ビニル樹脂中の塩素2原子に対してカルシウム1原子の比が2.5に相当)を用いた以外は、発明の実施の形態と同様な方法でポリ塩化ビニル樹脂成形物を得たが、成形物の強度が著しく低下したものであった(樹脂成形物中のカルシウムと鉄の複合酸化物の含有量は72.3重量%に相当する)。
【0107】
比較例8
平均粒径1.1μmであり、BET比表面積2.0m/gの炭酸カルシウムCaCO粉末(試薬1級:片山化学工業(株)製)19.6gと平均粒径0.30μmであり、BET比表面積3.9m/gの粒状ヘマタイトα−Fe粉末(戸田工業(株)製)47.0g(鉄原子としてカルシウム原子に対して300モル%)を乾式混合し、900℃で1hr焼成した。得られた焼成物をピン型ミルによって乾式粉砕して得られたものは、酸化カルシウムCaO、カルシウム−鉄フェライトCaFe、CaFe及びヘマタイトα−Feの各結晶相を含んだ粒子からなるカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末であった。該複合酸化物粒子粉末中の鉄原子の60%がカルシウムフェライトCaFe、CaFeを構成しており、平均粒径1.0μmであり、BET比表面積は1.4m/gであった。
【0108】
上記得られた複合酸化物粒子粉末248.2g(ポリ塩化ビニル樹脂中の塩素2原子に対してカルシウム1原子の比が3.5に相当)を用いた以外は、発明の実施の形態と同様な方法でポリ塩化ビニル樹脂成形物の作成を試みたが、成形できず、ポリ塩化ビニル樹脂成形物を得ることができなかった。尚、カルシウムと鉄の複合酸化物量は、該複合酸化物と上記ポリ塩化ビニル樹脂との総和に対し83.4重量%に相当する。
【0109】
【発明の効果】
本発明に係る塩化水素捕捉材は、カルシウム原子と鉄原子とが結晶構造を構成し、原子レベルで隣接しているカルシウム−鉄フェライトの結晶相を含有するカルシウムと鉄の複合酸化物粒子粉末からなるため、塩素含有樹脂を主体とする樹脂中に該塩化水素捕捉材をあらかじめ練り込んで塩素含有樹脂成形物とした場合には、火災や焼却処分に際して、塩化水素を効果的に捕捉し、固定化することができる。しかも加熱時に塩素含有樹脂が変質劣化することがない。
【0110】
従って、本発明に係る塩化水素捕捉材を用いた塩素含有樹脂成形物は、内・外装用建築材料、運搬機関用材料、構造物用材料及びハウス栽培・農業用資材等の各種分野における材料及び資材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で得られた塩化水素捕捉材の組成を示すX線回折パターン。

Claims (3)

  1. カルシウムと鉄の複合酸化物からなるBET比表面積0.1〜100m/gの粒子粉末であって、カルシウム原子に対して鉄原子を1〜500モル%含有し、且つ、鉄原子の50%以上がカルシウム原子とカルシウム−鉄フェライト相を形成している複合酸化物粒子粉末からなる塩化水素捕捉材。
  2. カルシウム原子と鉄原子とからなるカルシウム−鉄フェライト相が、CaFe、CaFe、CaFe、CaFe1525、CaFeから選ばれる一種以上の結晶相からなるカルシウム−鉄フェライト相である請求項1記載の塩化水素捕捉材。
  3. 請求項1又は2記載の塩化水素捕捉材を、塩素含有樹脂を主体とする樹脂中の塩素2原子に対する当該塩化水素捕捉材中のカルシウム1原子の比が0.5〜2.0の範囲となるように該樹脂に分散させてなる塩素含有樹脂成形物。
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