JP3633690B2 - Nd触媒によつて重合された、そして減少した常温流れ及び低い固有臭気を示すジエンゴムを製造するための方法 - Google Patents

Nd触媒によつて重合された、そして減少した常温流れ及び低い固有臭気を示すジエンゴムを製造するための方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、Nd触媒によって重合された、そして減少した常温流れ及び低い固有臭気を示すジエンゴムを製造するための方法に関する。
【0002】
チーグラー・ナッタ触媒を基にしたポリジエン、例えばシス−ポリブタジエン(BR)の製造は、工業的に大規模に長く使用されてきた方法である。それは、使用される触媒金属に依存して商業的品質のTi−BR、Co−BR、Ni−BR及びNd−BRを製造する。これらの生成物及び方法は、種々の特定の利点及び欠点を有する。かくして、幾つかの進行方法においては、反応器中のゲル生成を又は生成物の特性の劣化をもたらすであろう望ましくない副反応を抑制するために、冷却によって重合温度を低く保持しなければならない(等温モードの操作)。これらのような方法は、放出される重合熱が重合溶液を加熱するために利用される、断熱的に実施される重合方法よりもエネルギー的に望ましくない。
【0003】
ヨーロッパ特許出願第0 011 184号は、共役ジエンの溶液重合のために特に適切なやり方で使用することができるネオジムカルボキシレートを基にした金属(metallo)−有機混合触媒を述べている。ヨーロッパ特許出願第0 011 184号に従って製造されたポリジエン、特にポリブタジエンは、非常に望ましい特性領域を有する。しかしながら、前記触媒を使用するジエンの重合の一つの欠点は、ポリマーが貯蔵及び輸送の間の問題を導く可能性がある比較的高い常温流れを示すことである。ネオジム触媒の触媒効果は、それらを予備生成させる(preforming)ことによって改質することができることが知られている。これらのような予備生成されたNd触媒は比較的低い常温流れを有するポリマーを製造するが、予備生成に起因して触媒活性が低下し、その結果ネオジムの消費が部分的に顕著に増加する。
【0004】
加えて、改善された特性、特に減少した常温流れを有するポリジエンは、ジエンポリマーを重合の後で二塩化二硫黄、二塩化硫黄、塩化チオニル、二臭化二硫黄又は臭化チオニルによって処理することによって製造することができることが知られている(DE−AS 1 260 794を参照せよ)。しかしながら、DE−AS 1 260 794中に述べられている改善された特性を有するエラストマー状ゴムジエンポリマーを製造するための方法の欠点は、得られるジエンポリマーが、これらのポリマーを加工する時に望ましくない影響を有する不快な臭気を有することである。
【0005】
それ故、本発明の目的は、エネルギー的に望ましいルートによって、良好なゴム技術特性及び減少した常温流れを持ち、そして不快な固有臭気を持たないジエンゴムを製造する方法を提供することである。
【0006】
それ故、本発明は、不活性有機溶媒の存在下でそしてネオジムカルボキシレートを基にした金属−有機混合触媒の存在下で−20℃〜150℃の温度でジオレフィンを断熱的に重合させ、このやり方で得られる反応混合物を引き続いて圧力を減らすことによって減圧し、そしてその後で反応混合物を二塩化二硫黄、二塩化硫黄及び/又は塩化チオニルによって処理することを特徴とする、Nd触媒によって重合されたそして減少した常温流れ及び低い固有臭気を示すジエンゴムを製造するための方法に関する。
【0007】
本発明による方法において使用することができるジエンは、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン及び2,3−ジメチルブタジエン、特にブタジエン及びイソプレンを含む。前記ジエンは個別にそして混合して使用することができ、その結果前記ジエンのホモポリマー又はコポリマーのどちらかが製造される。
【0008】
本発明による重合は、不活性有機溶媒の存在下で実施する。適切な不活性有機溶媒の例は、芳香族、脂肪族及び/又は脂環式炭化水素例えばベンゼン、トルエン、ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン及び/又はシクロヘキサンを含む。
【0009】
不活性有機溶媒は、100重量部のモノマーを基にして200〜900重量部の量で使用する。400〜700重量部の量が好ましい。
【0010】
使用されるネオジム触媒が上で述べたヨーロッパ特許出願第0 011 184号中に述べられているネオジム触媒であることが、本発明による方法のためには重要である。従って、使用されるべきネオジム触媒は、
A)式
【0011】
【化1】
Figure 0003633690
【0012】
の希土類カルボキシレート、
B)アルミニウムアルキル;AlR 又はR AlH、及び
C)ルイス酸
[上の式中、
Mは、57〜71の原子番号を有する三価の希土類元素、特にランタン、セリウム、プラセオジム又はネオジム、最も特別にはネオジムを表し、
、R及びRは、1〜10の炭素原子を含む同一の又は異なるアルキル基を表し、ここでこれらの置換基中のすべてのC原子の和は6〜20であり、そして
は、1〜10の炭素原子を含むアルキル基を表す]
から成る。
【0013】
特に、本発明による方法においては、例えば、
A)希土類カルボキシレート、例えばネオジム(ベルサテート(versatate))
B)水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)、
及び
C)エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)
から成る触媒を使用する。
【0014】
本発明による重合においては、本発明によるネオジムカルボキシレートを基にした金属−有機混合触媒を、100重量部のモノマーを基にして0.001〜0.15重量部の量で、特に0.05〜0.10重量部の量で使用する。
【0015】
本発明による方法は、好ましくは−20〜130℃の温度で断熱的に実施する。断熱的な操作の様式の間に、約1〜7barの圧力が生じる。
【0016】
重合を完結(転化率≧98%)まで実施した後で、このやり方で得られた反応混合物を、圧力を減らすことによって減圧する。これに関しては、それを常圧まで減圧しても良いが、技術的理由のために、圧力を1.1〜1.6barまで減らす。減圧の間に、反応混合物のすべての低沸成分、例えば未反応ジエンは揮発する。
【0017】
それ故実際的には低沸留分を含まない、減圧後に留まる反応混合物を、二塩化二硫黄、二塩化硫黄及び/又は塩化チオニルによって処理する。処理は、好ましくは、二塩化二硫黄によって実施する。
【0018】
一般に、0.05〜0.5重量部、好ましくは0.1〜0.4重量部の塩化硫黄類を、100重量部のジエンゴムに添加する。
【0019】
塩化硫黄類による処理は、通常は20〜150℃、好ましくは40〜60℃の温度で実施する。
【0020】
本発明による方法においては、上で述べた塩化硫黄類を反応混合物と共に約5〜30分間撹拌する。その後で、通常のやり方でスチームによって溶媒を追い出しそして湿ったパンくずのような生成物を、例えば、ストレーナスクリュー及び下流熱空気乾燥機を使用して乾燥することによって反応混合物を後処理する。
【0021】
本発明による方法によって、塩化硫黄類と一緒に増量剤オイル、例えば芳香族増量剤オイルを得られたジエンゴムに添加することが特に有利なやり方で可能である。この手段によって、ゴムのムーニー粘度を、加工のために適切である30〜50の値に直接調節することができる。増量剤オイルの対応する量は、ジエンゴムの所望のムーニー粘度に依存しそして適切な予備試験によって容易に決定することができる。20〜50phrの量が普通である(phr=100のゴムあたり)。
【0022】
本発明による方法が、ヨーロッパ特許出願第0 011 184号中で述べられた金属−有機混合触媒の存在下で重合を断熱的に実施し引き続いて反応混合物を減圧する時にだけ成功することは特に驚くべきことである。
【0023】
常温流れに関する良好な結果は、重合を例えばチタン触媒によって実施する時に得られる(比較例を参照せよ)。しかしながら、このやり方で製造される生成物は通常は強い固有臭気を有する。
【0024】
本発明による方法は以下の利点を有する:
高い転化率を得るために、それで反応を実施する断熱的な重合方法を使用して高度に立体特異性のシス−1,4−構造及び良好な生成物特性を有するポリジエンの製造。引き続く減圧及び硫黄化合物との反応によって、減少した常温流れ及び低い固有臭気を有する生成物が得られる。
【0025】
【実施例】
以下の実施例においては、常温流れをmg/minで与える。それは、改造した流出プラストメーターによって50℃で測定した。この方法は、実際の条件に実質的に対応する。
【0026】
比較例1
この比較例は先行技術に対応し、チタン触媒を使用して重合を実施する。
【0027】
4つの撹拌重合反応器のカスケードにベンゼン中に溶かしたブタジエン(12%)の流れを連続的に供給した。モノマー溶液の温度:4℃。以下の触媒成分の添加によって重合を開始した:
1.トリエチルアルミニウム(TEA)、1.35ミリモルphm(100のモノマーあたり)
2.チタンエトキシトリオキシド(TEI)、0.15ミリモルphm
3.四塩化チタン(TTC)、0.15phm。
【0028】
溶液を冷却によって≦50℃の温度に維持した。0.65phmのステアリン酸及び0.27phmのVulkanox BKFの添加によって、約95%の転化率で反応を停止した。溶液を約130℃に加熱しそして減圧容器中に供給したが、この際に未反応ブタジエン及び溶媒の一部が揮発し、その結果ポリマー濃度が15%に増加した。溶液をスチームで処理して溶媒を除去した。これは、パンくずのような生成物を生成させたが、それを先行技術に従って脱水及び乾燥によって後処理して最終生成物を得た。
【0029】
生成物は以下の特性を有していた:ML 1+4/100℃:47。常温流れ18mg/min。
【0030】
比較例2
この比較例は以下のことを除いて比較例1に対応する:
添加した触媒の量:TEA:1.5ミリモルphm
TEI:0.2ミリモルphm
TTC:0.2ミリモルphm。
【0031】
これは、37のMLを有する生成物を与えた。残留モノマーの揮発の後で、この生成物を0.085phrのSClと共に約30分間撹拌した。引き続いて通常のやり方で後処理した生成物は、以下の特性を有していた:
ML−1+4/100℃:47。常温流れ 4mg/min。
【0032】
それ故、常温流れは顕著に減少したが、生成物は今度は不快と感じられる明瞭な固有臭気を有していた。
【0033】
本発明による実施例
3つの反応器のカスケードにヘキサン中に溶かしたブタジエン(17%)の流れを連続的に供給した。モノマー溶液の温度:0℃。以下の触媒成分の添加によって重合を開始した:
1.水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)、0.150g phm
2.エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)、0.03g phm
3.ネオジムベルサテート(NdV)、0.08g phm。
【0034】
重合は断熱的に進み、その結果>99%の転化率が達成された後で、温度は約110℃であった。0.5phmのステアリン酸の添加によって触媒を失活させ、そして同時に安定剤(0.4phmのTNPP/0.2phmのIrganox565)の溶液を添加した。前に約5〜7barであった圧力を減圧容器中で1.5barに減らしたが、その際に低沸成分及び溶媒が揮発した。それ故、溶媒中の生成物の濃度は18%に増加した。この溶液をSClと共に約30分間撹拌し、そして引き続いて通常のやり方で後処理した。
【0035】
生成物は以下の特性を有していた:
ML 1+4/100℃ 44、常温流れ 10mg/min。
【0036】
不快な固有臭気は存在しなかった。
【0037】
比較例3
この比較例は、ポリマー溶液をSClとの反応の前に減圧によって濃縮しなかったこと以外は、本発明による実施例のようにして実施した。本発明による生成物のような生成物が得られたが、明瞭な固有臭気が検出可能であった。
【0038】
本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。
【0039】
1. 不活性有機溶媒の存在下でそしてネオジムカルボキシレートを基にした金属−有機混合触媒の存在下で−20℃〜150℃の温度でジオレフィンを断熱的に重合させ、このやり方で得られる反応混合物を引き続いて圧力を減らすことによって減圧し、そしてその後で反応混合物を二塩化二硫黄、二塩化硫黄及び/又は塩化チオニルによって処理することを特徴とする、Nd触媒によって重合されたそして減少した常温流れ及び低い固有臭気を示すジエンゴムを製造するための方法。
【0040】
2. 不活性な芳香族、脂肪族及び/又は脂環式炭化水素の存在下でそして100重量部のモノマーを基にして0.001〜0.15重量部のネオジムカルボキシレートを基にした金属−有機混合触媒の存在下で−20℃〜150℃の温度でジオレフィンを断熱的に重合させ、このやり方で得られる反応混合物を引き続いて圧力を減らすことによって減圧し、そしてその後で反応混合物を100重量部のジエンゴムを基にして0.05〜0.5重量部の二塩化二硫黄、二塩化硫黄及び/又は塩化チオニルによって処理することを特徴とする、上記1記載の方法。
【0041】
3. 反応混合物を二塩化二硫黄によって処理することを特徴とする、上記1又は2記載の方法。

Claims (1)

  1. 不活性有機溶媒の存在下、そして
    A)式
    Figure 0003633690
    のカルボキシレート、
    B)アルミニウムアルキル;AlR3 4又はR2 4AlH、及び
    C)ルイス酸
    [上記式中、
    Mは、ネオジムを表し、
    1、R2及びR3は、1〜10の炭素原子を含む同一の又は異なるアルキル基を表し、ここでこれらの置換基中のすべてのC原子の和は6〜20であり、そして
    4は、1〜10の炭素原子を含むアルキル基を表す]
    よりなる触媒の存在下、−20℃〜150℃の温度でジオレフィンを断熱的に重合させ、得られる反応混合物を引き続いて圧力を減らすことによって減圧し、そしてその後で反応混合物を二塩化二硫黄、二塩化硫黄及び/又は塩化チオニルによって処理することを特徴とする、減少した常温流れ及び低い固有臭気を示すジエンゴムを製造する方法。
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