JP3633387B2 - 水性速乾性塗料組成物 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、速乾性を有する水性塗料組成物に係り、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに使用することができ、主に建築物、土木構築物等の躯体の保護に使用する水性速乾性塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、溶剤型塗料の塗装による揮発性有機溶剤の大気中への放出が、環境問題としてクローズアップされている。これに対応し、揮発性有機溶剤の放出を低減するため、溶剤型塗料から水性塗料への転換が進められている。しかしながら、水性塗料においては、溶剤型塗料に比べ乾燥硬化性が十分でなく、特に低温環境下では、塗膜が完全に硬化するまでにかなりの時間を必要とするため、硬化段階で降雨等があった場合に塗膜が流出してしまう等の問題があった。
【0003】
この問題を解決するため、塗料中に含まれる溶媒の蒸発速度を高める方法が提案されている。具体的には、メタノール等の低沸点溶剤を水性樹脂塗料に含有させる手法等があげられる。この方法によると、一般の水性樹脂塗料に比べ乾燥速度は速くなるが、乾燥初期段階で塗膜に水が接触した場合には、塗膜の流出が発生してしまうものであった。また、低沸点溶剤を多量に加える必要があるため、水性塗料であるにもかかわらず、場合によっては引火性を有するという危険性をもつものであった。
【0004】
問題を解決する別の方法としては、水性樹脂のゲル化反応による方法が提案されている。この方法は、反応性基と、該反応性基と反応可能な基とを水性塗料中に共存させ、塗膜形成後に直ちにゲル化を進行させるという機構をもつものである。即ち、溶媒である水の蒸発速度を高めるのではなく、水性塗料中の樹脂にゲル構造を形成させることによって、たとえ塗膜形成初期段階において塗膜に水が接触した場合でも塗膜の流出が起こらないというものである。乾燥硬化の過程は、水を含んだままゲル化する第1段階の後、徐々に水が蒸発し硬化していく第2段階を経るものと理解することができる。
【0005】
この方法を応用したものとして、特開平3−157463があげられる。該発明においては、アミン含有水性ポリマーと揮発性塩基とをアニオン性合成樹脂エマルションに導入する技術が開示されている。この水性塗料組成物は、乾燥初期段階での水の接触に対しても塗膜流出を発生しないという機能を有するものである。
【0006】
しかし、該発明によって得られる水性塗料組成物は、充分な貯蔵安定性を確保するために、過剰量の揮発性塩基を含む。塗装時においては、この揮発性塩基による臭気が強く発生するため、作業に困難が生じ、周辺環境にも悪影響をおよぼすという問題があった。
【0007】
また、該発明の水性塗料組成物によって形成された塗膜は、つや有り塗料として充分な光沢を有するものではなかった。この理由としては、顔料分散剤と、アミン含有水性ポリマーとの作用により、顔料分散性が低下することが挙げられる。
【0008】
顔料分散剤としては、一般に、顔料分散性が良好であることから、アニオン性分散剤が使用される。例えば、ポリアクリル酸塩、スチレン・マレイン酸塩、などのポリカルボン酸塩;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、などの硫酸エステル塩;アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、などのスルホン酸塩;アルキルリン酸塩、などのリン酸エステル塩などが使用される。ところが、このようなアニオン性分散剤を、アミン含有水性ポリマーを含む塗料において使用した場合、顔料表面に吸着したアニオン性分散剤と、アミン官能基とのイオン的作用により、顔料の凝集が発生するため、高い光沢の塗膜を得ることができない。
【0009】
この点の解決を狙った発明として、特開平9−324145があげられる。特開平9−324145においては、高級脂肪酸アミド縮合物型の非イオン性界面活性剤を添加する手法が提案されており、塗膜光沢の改善が図られている。しかし、該発明の水性塗料組成物は、充分な塗料安定性を確保するために、過剰量の揮発性塩基を含むことに違いはなく、前述した臭気発生の問題はなんら解決されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明が解決しようとする課題は、
▲1▼速乾性を有し、乾燥初期段階から耐水性を発現する
▲2▼塗料から発生する揮発性塩基の臭気が少ない
▲3▼つや有り塗料として、十分な光沢を有する
ことであり、これらの課題をすべて解決することのできる水性速乾性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行い、その結果、高い沸点をもつ特定の塩基性化合物を顔料分散剤として用いることにより、塗料から発生する揮発性塩基の臭気を低減することができ、さらには、つや有り塗料として十分な光沢をもつことのできる水性速乾性塗料組成物を見出し、本発明の完成に至った。
【0012】
即ち、本発明は、
1.(A)アニオン性官能基によって安定化された合成樹脂エマルション、(B)アミン官能基含有水性樹脂、(C)顔料、(D)1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンから選ばれるアミノアルコール、(E)沸点が100℃未満の揮発性塩基、を含有し、顔料分散剤として(D)を使用することを特徴とする水性速乾性塗料組成物。
2.(A)アニオン性官能基によって安定化された合成樹脂エマルション、(B)アミン官能基含有水性樹脂、(C)顔料、(D)1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンから選ばれるアミノアルコール、(E)沸点が100℃未満の揮発性塩基、(F)アルキレンオキサイド基を有するアニオン性界面活性剤、を含有し、顔料分散剤として(D)を使用することを特徴とする水性速乾性塗料組成物。
3.(D)と(E)の重量比率が、(D)/{(D)+(E)}で、0.50〜0.98であることを特徴とする1.または2.に記載の水性速乾性塗料組成物。
【0013】
【発明の実施の態様】
本発明に使用する(A)は、アニオン性官能基によって安定化された合成樹脂エマルションであればよく、特に限定されるものではない。樹脂の種類としては、アクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、フッ素系樹脂等があげられる。
【0014】
(A)の合成樹脂エマルションの製造方法はとくに限定されないが、たとえば乳化重合法として、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合などの方法により製造することができる。
【0015】
重合に用いる乳化剤は特に限定されないが、安定性や速乾性の面から、アニオン性、ノニオン性のものを併用して使用することが好ましい。さらに、反応性基をもった乳化剤を使用した場合は、耐水性の向上を図ることができる。
【0016】
本発明の(B)アミン官能基含有水性樹脂は、速乾性を付与するのに必須の成分である。(B)は、アミン官能基含有単量体の1種、または2種以上を重合することにより得られる水性樹脂である。アミン官能基含有単量体の1種、または2種以上と、該アミン官能基含有単量体と共重合可能な単量体とを共重合することにより得られる水性樹脂であってもよい。
【0017】
アミン官能基含有単量体として、具体的には、β−アミノエチルビニルエーテル、N−モノメチル−β−アミノエチルビニルエーテル、N−モノエチル−β−アミノエチルビニルエーテル、N−モノブチル−β−アミノエチルビニルエーテルなどのアミノアルキルビニルエーテル;β−アミノエチルビニルスルフィド、N−モノメチル−β−アミノエチルビニルスルフィド、N−モノエチル−β−アミノエチルビニルスルフィド、N−モノブチル−β−アミノエチルビニルスルフィドなどのアミノアルキルビニルスルフィド;ジメチルアミノエチルアクリレート、β−アミノエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル;ジメチルアミノエチルメタクリレート、β−アミノエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;N−β−アミノエチルアクリルアミド、N−(モノメチルアミノエチル)−アクリルアミドなどのアクリルアミド;N−β−アミノエチルメタクリルアミド、N−(モノメチルアミノエチル)−メタクリルアミドなどのメタクリルアミド;オキサゾリジニルエチルアクリレート、オキサゾリジニルエチルメタクリレートなどのオキサゾリジン化合物;モノアリルアミン、ジアリルアミン、メチルジアリルアミン、エチルジアリルアミン、プロビルジアリルアミン、ブチルジアリルアミン、ベンジルジアリルアミン、シクロヘキシルジアリルアミンなどのアリルアミン;N−ビニルジメチルアミン、N−ビニルジエチルアミン、N−ビニルジフェニルアミンなどのビニルアミン等があげられる。
【0018】
(B)の重量平均分子量は、500〜100,000であることが好ましい。500より小さい場合は、塗膜の耐水性が低下する傾向にある。100,000より大きい場合は、硬化過程において光沢が低くなる傾向にあり、十分な艶を得難くなる。
【0019】
(B)の添加量は、特に限定されるものではないが、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し0.5〜10重量部(固形分換算)の範囲であることが好ましい。0.5重量部より少ない場合は、速乾性が低下する傾向にある。10重量部より多い場合は、光沢が低下する傾向にある。
【0020】
本発明の(C)顔料とは、形成塗膜に隠蔽性と色彩を与えるのに必須の成分である。また、本発明では、(C)が良好に分散されるため、高光沢の塗膜を得ることができる。
【0021】
(C)の具体的としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料が使用できる。
【0022】
その他使用できる顔料として、例えば、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム等の体質顔料をあげることができる。但し、このような体質顔料を配合する場合においては、形成塗膜の光沢が低下しないように、顔料種と配合量に充分な注意を払う必要がある。
【0023】
本発明の(D)沸点が100℃以上のアミノアルコールは、顔料の分散剤としてはたらき、さらには、それ自体が塩基性を有することにより、(B)の安定化にも寄与するため、揮発性塩基の量を低減できる効果も発揮する。
【0024】
具体的には、1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンがあげられる。
【0025】
(D)の添加量は、(C)100重量部に対し、0.02〜0.3重量部(好ましくは0.1〜2.5重量部)の範囲で添加するのが望ましい。3.0重量部より多い場合は、速乾性が低下する傾向にある。0.02重量部より少ない場合は、顔料分散性が低下し、高光沢の塗膜を得難くなる。
【0026】
(D)は単独で用いることができるが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤の1種、もしくは2種以上を併用することも可能である。この場合、形成塗膜の光沢が低下しないように、界面活性剤の種類を選択し、その添加量についても十分に注意を払う必要がある。
【0027】
(D)を他の界面活性剤と併用する場合は、(F)アルキレンオキサイド基を有するアニオン性界面活性剤を使用することが望ましい。(F)は、他のアニオン性界面活性剤と比べ、(B)とイオン会合体を形成し難く、また優れた顔料分散性を有するため、好ましく用いられる。(F)において、アニオン性を付与する基としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などがあげられる。また、アルキレンオキサイド基のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等があげられる。
【0028】
この併用においては、(D)と(F)の重量比率が、(D)/{(D)+(F)}で、0.01以上(好ましくは0.05以上)とすることが望ましい。このような重量比率で併用する範囲においては、速乾性を低下させずに優れた顔料分散性を確保できる。0.01より小さい場合、即ち(D)が少ない場合は、(B)の安定化のために(E)を増量しなければならず臭気発生が強くなり、また、高光沢の塗膜を得難くなる。
【0029】
本発明の(E)沸点が100℃未満の揮発性塩基は、速乾性を発現する上で、欠くことのできない成分である。
【0030】
具体的には、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミンなどがあげられる。このうち、優れた速乾性を発現するため、アンモニアが好ましく用いられる。
【0031】
本発明における(D)と(E)の重量比率は、(D)/{(D)+(E)}で、0.50〜0.98の範囲であることが望ましい。0.50〜0.98の範囲であることにより、揮発性塩基の臭気を低減でき、顔料分散性が良いため、形成塗膜が高光沢を有し、さらには速乾性を発現することができる。0.98より大きい場合、即ち(D)が多い場合は、速乾性が低下する傾向にある。0.50より小さい場合、即ち(E)が多い場合は、臭気発生が強くなり、また、顔料分散性が低下するため高光沢の塗膜を得難くなる。
【0032】
本発明の塗料組成物の安定化においては、(D)と(E)が大きく寄与するものである。(B)は、カチオン性を有するものであり、(B)を塗料中で安定に存在させるには、(B)のアミン官能基が脱水素化、即ちノニオン化する点まで、塩基を添加し、pHを上昇させる必要がある。このpH上昇の役割を担うのが、(D)と(E)である。本発明においては、(D)である程度pHを上げ、(B)のカチオン−ノニオン変化が起こる付近は、(E)の添加によりカバーすることにより、塗料の安定化と速乾性が達成される。
【0033】
本発明の水性速乾性塗料組成物の反応機構については、以下の機構を仮定することができる。
▲1▼塗料塗付直後から、(E)が揮発し、pHの低下が起こる。
▲2▼(B)のアミノ基の水素化が促進され、カチオン電荷が大きくなる。
▲3▼(B)の水素化されたアミノ基と、(A)のアニオン性官能基とのイオン的相互作用が強くなり、ゲル化を引き起こす。
▲4▼徐々に水が蒸発し、硬化が進行する。
【0034】
本発明の水性速乾性塗料組成物には、発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて通常塗料に用いられる公知の溶剤、あるいは可塑剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、たれ防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を、単独あるいは併用して配合することができる。
【0035】
溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等の多価アルコール類、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等のエステル類等があげられる。
【0036】
本発明の水性塗料組成物は、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに使用することができ、主に建築物、土木構築物等の躯体の保護に使用するものである。この際、本発明の水性速乾性塗料組成物は、基材に直接塗装することもできるし、何らかの表面処理(下地処理等)を施した上に塗装することも可能であるが、特に限定されるものではない。塗装方法としては、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装、ロールコーター、フローコーター等種々の方法により塗装することができる。さらには、建材表面に工場等においてプレコートすることも可能である。
【0037】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0038】
(1)塗料の作製
表1に示す合成樹脂エマルションと、表2に示すアミン系水性樹脂を用いて、表3、表4に示す配合にて塗料を作製した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
(2)試験方法
▲1▼臭気
作製した塗料組成物から発生する臭気を官能試験により評価した。評価は以下の通り。
○:臭気をほとんど感じない
×:臭気を著しく感じる
【0044】
▲2▼速乾性
作製した塗料組成物を20℃、65%RH(以下、「標準状態」という)にて、150×120×3mmの透明なガラス板にWET膜厚が150μmとなるようにアプリケーター引きし、水浸漬したときに、塗膜が流出しなくなるまでの時間を測定した。
【0045】
▲3▼鏡面光沢度
作製した塗料組成物を150×120×3mmの透明なガラス板にWET膜厚が150μmとなるようにアプリケーター引きし、標準状態で48時間乾燥養生した後、JIS K 5400 7.6鏡面光沢度に準じ、60度の角度での光沢度を測定した。さらに、50℃にて48時間乾燥養生した後、同様に光沢度を測定した。
【0046】
▲4▼貯蔵安定性
作製した塗料組成物を50℃の恒温槽に7日間貯蔵後、粘度変化を確認した。評価は以下の通り。
○:粘度変化20%未満
△:粘度変化20%以上30%未満
×:粘度変化30%以上
【0047】
(3)試験結果
試験結果を表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】
(実施例1〜5)
塗料から発生する臭気が少なく、形成塗膜の光沢度の高い速乾性塗料を得ることができた。
(比較例1,2)
顔料分散剤として、ポリカルボン酸型アンモニウム塩のみを使用したものであり、塗料から発生する臭気が強く、また高い光沢度が得られなかった。
(比較例3)
顔料分散剤として、ポリカルボン酸型アンモニウム塩のみを使用し、アンモニア添加量を減らしたところ、高い光沢度が得られず、また塗料が不安定化した。
(比較例4)
顔料分散剤として、ポリカルボン酸型ナトリウム塩のみを使用したところ、速乾性が低下した。
【0050】
【発明の効果】
本発明の塗料組成物は、塗料から発生する揮発性塩基の臭気が少なく、塗装作業上、支障をきたすことがない。また、塗装直後から、優れた速乾性を発揮するため、形成塗膜が乾燥初期段階から耐水性を発現する。さらには、形成塗膜が、つや有り塗料として十分な光沢を有するものである。
Claims (3)
- (A)アニオン性官能基によって安定化された合成樹脂エマルション、(B)アミン官能基含有水性樹脂、(C)顔料、(D)1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンから選ばれるアミノアルコール、(E)沸点が100℃未満の揮発性塩基、を含有し、顔料分散剤として(D)を使用することを特徴とする水性速乾性塗料組成物。
- (A)アニオン性官能基によって安定化された合成樹脂エマルション、(B)アミン官能基含有水性樹脂、(C)顔料、(D)1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンから選ばれるアミノアルコール、(E)沸点が100℃未満の揮発性塩基、(F)アルキレンオキサイド基を有するアニオン性界面活性剤、を含有し、顔料分散剤として(D)を使用することを特徴とする水性速乾性塗料組成物。
- (D)と(E)の重量比率が、(D)/{(D)+(E)}で、0.50〜0.98であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水性速乾性塗料組成物。
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