JP3633006B2 - 静電粉体塗装用摩擦帯電ガン - Google Patents
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- B05B5/047—Discharge apparatus, e.g. electrostatic spray guns using tribo-charging
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、静電粉体塗装に使用される摩擦帯電ガン、特に、旋回気流により運ばれる粉体を帯電させるための導電性の帯電部を有する静電粉体塗装用摩擦帯電ガンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電粉体塗装に使用される塗装ガンには、コロナ帯電式のものと摩擦帯電式のものとがあるが、コロナ帯電式のものでは、被塗装物の深い溝のコーナー部や、込み入った形状部分に完全に粉体をコーティングするのは非常に困難で、実際には、このようなコーティングの困難な部分に対しては、ハンドガンによる1回ないし数回の補正塗装を行っている。したがって、ファラデーケージ効果による影響がなく、優れたつき廻り性が得られ、逆電離が発生せず、美粧塗装ができる摩擦帯電ガンによる粉体の静電スプレーシステムが実施されるようになっている(例えば、特公昭62ー24135号公報参照)。
【0003】
このような従来の摩擦帯電ガンにあっては、帯電部が非導電性のフッソ樹脂で形成され、その外周には蓄積する電荷を逃がすためにアース接続された導電層が設けられ、運ばれる粉体がその帯電部と接触して帯電するようになっている。したがって、従来の摩擦帯電ガンにあっては、帯電部に粉体の帯電電荷と逆極性の電荷が発生して蓄積し、粉体の帯電効率を低下させるので、帯電部の面積を大きくするために通路を長くする必要があり、小型にすることができなかった。また、帯電効率は、粉体が帯電部に強く接すれば接する程よくなるが、そうすると、帯電部の寿命が短くなるという欠陥があった。
【0004】
本発明者らは、このような欠陥を解消するために、既に、粉体の帯電部を導電性材料で形成し、この帯電部をアースした静電粉体塗装用摩擦帯電ガンを提案している(特願平5ー221344号(特許第3414447号掲載公報))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既提案の静電粉体塗装用摩擦帯電ガンにおいては、帯電部の面積を大きくし、粉体の帯電部への接触を多くさせようとして、帯電部に複数の通路を設けているために、旋回流を発生させる加速部から帯電部に移行する通路の分岐点などで、旋回流が乱れてスムーズに流れず、粉体の帯電部への接触が強くないので、帯電効率が落ちるという欠点があった。
【0006】
この発明はこのような欠点を解消するためになされたもので、構造が簡単でかつ帯電効率のよい静電粉体塗装用摩擦帯電ガンを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、旋回気流により運ばれる粉体を帯電させるための導電性の帯電部を有する円筒状の静電粉体塗装用摩擦帯電ガンにおいて、帯電部が長さ方向で同じ外径を有する円筒形の単一通路からなり、この帯電部の下流側に、非導電性材料で形成された帯電部と同じ外径を有する円筒形の通路を一体に設けると共に、円筒形の通路を形成するための円柱状の中子を、その上流部を導電性材料、下流部を非導電性材料で形成したものである。
【0008】
なお、帯電部を導電性フッソ樹脂により形成し、帯電部の下流側に設けた円筒形の通路を、絶縁性フッソ樹脂により形成するのが好ましい。また、中子を形成する、導電性材料が導電性フッソ樹脂であり、非導電性材料が絶縁性フッソ樹脂であるのが好ましい。さらに、中子を形成する導電性材料と非導電性材料との境界が、帯電部の下流側に非導電性材料で形成された通路に位置していることが望ましい。
【0009】
【作用】
帯電部が導電性材料で形成された長さ方向で同じ外径を有する円筒形の単一通路であるので、通路に分岐点がなく、したがって、粉体を運ぶ旋回流に乱れがなく、粉体の帯電部に対する接触が強力となり、帯電効果を向上させることができる。
【0010】
また、帯電部の下流側に、非導電性材料で形成された帯電部と同じ外径を有する円筒形の通路を一体に設けたので、摩擦帯電ガンの吐出口付近で粉体の電位が高くなって外部空間に対する放電が発生し、電荷を失うことが防止でき、さらに、円筒形の通路を形成するための円柱状の中子も、その上流部を導電性材料、下流部を非導電性材料で形成したことにより、上記効果を高め、高い帯電効率を得ることができる。なお、帯電部を導電性フッソ樹脂により形成し、帯電部の下流側に設けた円筒形の通路を絶縁性フッソ樹脂により形成した場合、あるいは、中子を形成する、導電性材料が導電性フッソ樹脂であり、非導電性材料が絶縁性フッソ樹脂である場合には、耐摩耗性を有するとともに、粉体の流れが円滑である。特に、中子を形成する導電性材料と非導電性材料との境界が、帯電部の下流側に非導電性材料で形成された通路に位置している場合には効果的である。
【0011】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図に示された静電粉体塗装用摩擦帯電ガンについて説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一符号が付されている。
【0012】
図1から図4に参考的に示される摩擦帯電ガン1は、絶縁材からなる筒状の外殻2と、この外殻2に収容された帯電部3を形成する導電性材料と、この帯電部3に構成される円柱形の粉体用通路4と、空気の旋回流を供給する加速部5と、粉体ホース接続部6と、ガン取付ホルダ7と、吐出口を形成する絶縁材からなるヘッド内筒8およびヘッド外筒9とから構成されている。
【0013】
加速部5では、環状溝10から円柱形の通路4(図2参照)に通じる接線方向のノズル穴11が多数形成されており(図3参照)、また、この環状溝10には、図示しない加圧エア源に連なるエア供給口12に接続する経路13が連通しているので、通路4には加速された旋回流が発生し、図示しない粉体タンクから粉体ホースおよび粉体ホース接続部6を介して送られる粉体を加速する。なお、15は外殻2の端部14に取り付けられたアース端子であり、帯電部3をアースするものである。
【0014】
帯電部3には、導電性フッソ樹脂に円柱形の単一の通路4が形成されており、粉体はこの通路4を旋回しながら帯電部と接触して帯電させられ、吐出口から放出され、被塗物に付着させられる。導電性フッソ樹脂で形成され、さらに、粉体の通路4には分岐点がないので、旋回流に乱れがなく、帯電部3と粉体とが強く接触するので、帯電効率が著しく向上する。
【0015】
図4には、第1参考例である図1の摩擦帯電ガンの帯電部3の縦断面が示され、図5にはその横断面が示されている。帯電部3は全長Lが280mmで、導電性材料である導電性フッソ樹脂により作られており、通路4の直径Dは12mmである。
【0016】
図6には、第2参考例の帯電部3の縦断面が示され、帯電部3の下流側に、非導電性材料である絶縁性フッソ樹脂で形成された円柱形の通路4が帯電部の通路と一体に設けられたものである。全長が280mm、非導電性材料で絶縁性フッソ樹脂の部分3aの長さが200mm、導電性フッソ樹脂の部分の長さLが80mmであり、通路4の直径Dは12mmである。
【0017】
図7には、第2参考例である図6の帯電部3の通路4の中心に導電性フッソ樹脂からなる円柱状の中子16を配置した第3参考例の帯電部3の縦断面が示され、図8にはその横断面が示されている。全長は280mm、導電性フッソ樹脂の部分の長さLが80mm、通路の外径Dは12mm、円柱状の中子の直径dは6mmである。したがって、中子16の周囲には、その両端の円錐部を除きほぼその全長にわたって、厚さ3.0mmの円環状すなわち円筒形の通路4が形成されている。なお、16aおよび16bは中子支持体である(図8参照)。
【0018】
図9には、この発明の実施例の帯電部3の縦断面が示され、円柱状の中子16は上流部17が導電性材料である導電性フッソ樹脂、下流部18が非導電性材料である絶縁性フッソ樹脂で形成され、導電性フッソ樹脂と絶縁性フッソ樹脂との境界19が、帯電部3の下流側に絶縁性フッソ樹脂で形成された通路4に位置しているものである。帯電部3は、全長が280mm、導電性フッソ樹脂の部分の長さLが80mm、通路4の外径Dが12mmであり、中子16は、その全長が190mm、導電性フッソ樹脂で形成されている上流部17の長さL+lが140mmであり、直径dが6mmである。図10には、この実施例の帯電部3について、実験の結果得られたデータに基づいた、導電性フッソ樹脂の部分の長さLと帯電量の関係を示すグラフが示されている。このグラフによれば、帯電部3における導電性材料の部分の長さLには、最大の帯電量の領域が存在し、この例においては、その領域がほぼ60〜100mmであるということが理解される。
【0019】
図11には、特願平5ー221344号(特許第3414447号掲載公報参照)で既提案の、複数の粉体通路4’,4’・・を有する導電性材料である導電性フッソ樹脂で形成された帯電部3の縦断面を示し、図12には、その横断面が示されている。全長は280mm、6個の通路の直径はそれぞれ5.5mmである。
【0020】
これらの帯電部3を有する摩擦帯電ガンを用いて、ポリエステル樹脂の塗料粉体の帯電量をテストした。試験条件は、吐出量 100g/分、粉体の平均粒径 約30μm、総圧縮空気量 180l/分で、ファラデーケージを使用して帯電量を測定した。得られた結果は次表の通りである。
【0021】
実施例 条件 帯電量(μC/g)
既提案 帯電部に6個の通路(図11) 0.9
第1参考例 帯電部に単一の通路(図1,図4) 1.2
第2参考例 吐出側に絶縁性フッソ樹脂(図6) 1.6
第3参考例 通路の中心に中子を配置(図7) 1.7
実施例 中子に導電性上流部と非導電性下流 2.3
部を設ける(図9)
【0022】
上表から、導電性材料で形成された帯電部3に円柱形の単一通路4を設ければ、帯電量が向上し、さらに、帯電部の下流側に非導電性の通路を設ければ、帯電した粉体からの吐出口付近での放電が防止でき、帯電量が大幅に増加する。また、通路の中心に円柱状の中子を配置して円筒形の通路とすれば、接触面積が増加し、旋回流の乱れも少なくなって帯電量が増加する。この発明は、中子16に導電性上流部17と非導電性下流部18を形成することを見出し、特に、その境界19を、非導電性材料で形成された部分3aの通路4内に位置させれば、吐出口付近での放電が防止され著しく帯電量を増加させることができることを見出したことによるものである。
【0023】
【発明の効果】
この発明によれば、静電粉体塗装用摩擦帯電ガンにおいて、帯電部が長さ方向で同じ外径を有する円筒形の単一通路からなり、この帯電部の下流側には、非導電性材料で形成された帯電部と同じ外径を有する円筒形の通路を一体に設けると共に、円筒形の通路を形成するための円柱状の中子を、その上流部を導電性材料、下流部を非導電性材料で形成したので、粉体を運ぶ旋回流に乱れの生ずることがなく、粉体の帯電部に対する接触が強力となり、帯電効果を向上させることができると共に、吐出口付近で粉体の電位が高くなって放電が発生し、電荷を失うことを防止できるので、より帯電効率を上げることができる。したがって、帯電部を短くし、摩擦帯電ガンを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1参考例である摩擦帯電ガンの縦断面図である。
【図2】図1の摩擦帯電ガンのA−A線に沿った横断面図である。
【図3】図1の摩擦帯電ガンのB−B線に沿った横断面図である。
【図4】図1の帯電部の縦断面図である。
【図5】図4のC−C線に沿った横断面図である。
【図6】第2参考例である摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図7】第3参考例である摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図8】図7のDD線に沿った横断面図である。
【図9】この発明の実施例の摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図10】この発明の実施例において、導電性材料で形成された帯電部の長さと帯電量の関係を示すグラフである。
【図11】既提案の摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図12】図11のE−E線に沿った横断面図である。
【符号の説明】
1 摩擦帯電ガン
2 外殻
3 帯電部
4 通路
5 加速部
6 粉体ホース取付部
8 ヘッド内筒
9 ヘッド外筒
10 環状溝
11 ノズル穴
12 エア供給口
13 経路
15 アース端子
16 中子
16a,16b 中子支持体
17 上流部
18 下流部
【産業上の利用分野】
この発明は、静電粉体塗装に使用される摩擦帯電ガン、特に、旋回気流により運ばれる粉体を帯電させるための導電性の帯電部を有する静電粉体塗装用摩擦帯電ガンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電粉体塗装に使用される塗装ガンには、コロナ帯電式のものと摩擦帯電式のものとがあるが、コロナ帯電式のものでは、被塗装物の深い溝のコーナー部や、込み入った形状部分に完全に粉体をコーティングするのは非常に困難で、実際には、このようなコーティングの困難な部分に対しては、ハンドガンによる1回ないし数回の補正塗装を行っている。したがって、ファラデーケージ効果による影響がなく、優れたつき廻り性が得られ、逆電離が発生せず、美粧塗装ができる摩擦帯電ガンによる粉体の静電スプレーシステムが実施されるようになっている(例えば、特公昭62ー24135号公報参照)。
【0003】
このような従来の摩擦帯電ガンにあっては、帯電部が非導電性のフッソ樹脂で形成され、その外周には蓄積する電荷を逃がすためにアース接続された導電層が設けられ、運ばれる粉体がその帯電部と接触して帯電するようになっている。したがって、従来の摩擦帯電ガンにあっては、帯電部に粉体の帯電電荷と逆極性の電荷が発生して蓄積し、粉体の帯電効率を低下させるので、帯電部の面積を大きくするために通路を長くする必要があり、小型にすることができなかった。また、帯電効率は、粉体が帯電部に強く接すれば接する程よくなるが、そうすると、帯電部の寿命が短くなるという欠陥があった。
【0004】
本発明者らは、このような欠陥を解消するために、既に、粉体の帯電部を導電性材料で形成し、この帯電部をアースした静電粉体塗装用摩擦帯電ガンを提案している(特願平5ー221344号(特許第3414447号掲載公報))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既提案の静電粉体塗装用摩擦帯電ガンにおいては、帯電部の面積を大きくし、粉体の帯電部への接触を多くさせようとして、帯電部に複数の通路を設けているために、旋回流を発生させる加速部から帯電部に移行する通路の分岐点などで、旋回流が乱れてスムーズに流れず、粉体の帯電部への接触が強くないので、帯電効率が落ちるという欠点があった。
【0006】
この発明はこのような欠点を解消するためになされたもので、構造が簡単でかつ帯電効率のよい静電粉体塗装用摩擦帯電ガンを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、旋回気流により運ばれる粉体を帯電させるための導電性の帯電部を有する円筒状の静電粉体塗装用摩擦帯電ガンにおいて、帯電部が長さ方向で同じ外径を有する円筒形の単一通路からなり、この帯電部の下流側に、非導電性材料で形成された帯電部と同じ外径を有する円筒形の通路を一体に設けると共に、円筒形の通路を形成するための円柱状の中子を、その上流部を導電性材料、下流部を非導電性材料で形成したものである。
【0008】
なお、帯電部を導電性フッソ樹脂により形成し、帯電部の下流側に設けた円筒形の通路を、絶縁性フッソ樹脂により形成するのが好ましい。また、中子を形成する、導電性材料が導電性フッソ樹脂であり、非導電性材料が絶縁性フッソ樹脂であるのが好ましい。さらに、中子を形成する導電性材料と非導電性材料との境界が、帯電部の下流側に非導電性材料で形成された通路に位置していることが望ましい。
【0009】
【作用】
帯電部が導電性材料で形成された長さ方向で同じ外径を有する円筒形の単一通路であるので、通路に分岐点がなく、したがって、粉体を運ぶ旋回流に乱れがなく、粉体の帯電部に対する接触が強力となり、帯電効果を向上させることができる。
【0010】
また、帯電部の下流側に、非導電性材料で形成された帯電部と同じ外径を有する円筒形の通路を一体に設けたので、摩擦帯電ガンの吐出口付近で粉体の電位が高くなって外部空間に対する放電が発生し、電荷を失うことが防止でき、さらに、円筒形の通路を形成するための円柱状の中子も、その上流部を導電性材料、下流部を非導電性材料で形成したことにより、上記効果を高め、高い帯電効率を得ることができる。なお、帯電部を導電性フッソ樹脂により形成し、帯電部の下流側に設けた円筒形の通路を絶縁性フッソ樹脂により形成した場合、あるいは、中子を形成する、導電性材料が導電性フッソ樹脂であり、非導電性材料が絶縁性フッソ樹脂である場合には、耐摩耗性を有するとともに、粉体の流れが円滑である。特に、中子を形成する導電性材料と非導電性材料との境界が、帯電部の下流側に非導電性材料で形成された通路に位置している場合には効果的である。
【0011】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図に示された静電粉体塗装用摩擦帯電ガンについて説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一符号が付されている。
【0012】
図1から図4に参考的に示される摩擦帯電ガン1は、絶縁材からなる筒状の外殻2と、この外殻2に収容された帯電部3を形成する導電性材料と、この帯電部3に構成される円柱形の粉体用通路4と、空気の旋回流を供給する加速部5と、粉体ホース接続部6と、ガン取付ホルダ7と、吐出口を形成する絶縁材からなるヘッド内筒8およびヘッド外筒9とから構成されている。
【0013】
加速部5では、環状溝10から円柱形の通路4(図2参照)に通じる接線方向のノズル穴11が多数形成されており(図3参照)、また、この環状溝10には、図示しない加圧エア源に連なるエア供給口12に接続する経路13が連通しているので、通路4には加速された旋回流が発生し、図示しない粉体タンクから粉体ホースおよび粉体ホース接続部6を介して送られる粉体を加速する。なお、15は外殻2の端部14に取り付けられたアース端子であり、帯電部3をアースするものである。
【0014】
帯電部3には、導電性フッソ樹脂に円柱形の単一の通路4が形成されており、粉体はこの通路4を旋回しながら帯電部と接触して帯電させられ、吐出口から放出され、被塗物に付着させられる。導電性フッソ樹脂で形成され、さらに、粉体の通路4には分岐点がないので、旋回流に乱れがなく、帯電部3と粉体とが強く接触するので、帯電効率が著しく向上する。
【0015】
図4には、第1参考例である図1の摩擦帯電ガンの帯電部3の縦断面が示され、図5にはその横断面が示されている。帯電部3は全長Lが280mmで、導電性材料である導電性フッソ樹脂により作られており、通路4の直径Dは12mmである。
【0016】
図6には、第2参考例の帯電部3の縦断面が示され、帯電部3の下流側に、非導電性材料である絶縁性フッソ樹脂で形成された円柱形の通路4が帯電部の通路と一体に設けられたものである。全長が280mm、非導電性材料で絶縁性フッソ樹脂の部分3aの長さが200mm、導電性フッソ樹脂の部分の長さLが80mmであり、通路4の直径Dは12mmである。
【0017】
図7には、第2参考例である図6の帯電部3の通路4の中心に導電性フッソ樹脂からなる円柱状の中子16を配置した第3参考例の帯電部3の縦断面が示され、図8にはその横断面が示されている。全長は280mm、導電性フッソ樹脂の部分の長さLが80mm、通路の外径Dは12mm、円柱状の中子の直径dは6mmである。したがって、中子16の周囲には、その両端の円錐部を除きほぼその全長にわたって、厚さ3.0mmの円環状すなわち円筒形の通路4が形成されている。なお、16aおよび16bは中子支持体である(図8参照)。
【0018】
図9には、この発明の実施例の帯電部3の縦断面が示され、円柱状の中子16は上流部17が導電性材料である導電性フッソ樹脂、下流部18が非導電性材料である絶縁性フッソ樹脂で形成され、導電性フッソ樹脂と絶縁性フッソ樹脂との境界19が、帯電部3の下流側に絶縁性フッソ樹脂で形成された通路4に位置しているものである。帯電部3は、全長が280mm、導電性フッソ樹脂の部分の長さLが80mm、通路4の外径Dが12mmであり、中子16は、その全長が190mm、導電性フッソ樹脂で形成されている上流部17の長さL+lが140mmであり、直径dが6mmである。図10には、この実施例の帯電部3について、実験の結果得られたデータに基づいた、導電性フッソ樹脂の部分の長さLと帯電量の関係を示すグラフが示されている。このグラフによれば、帯電部3における導電性材料の部分の長さLには、最大の帯電量の領域が存在し、この例においては、その領域がほぼ60〜100mmであるということが理解される。
【0019】
図11には、特願平5ー221344号(特許第3414447号掲載公報参照)で既提案の、複数の粉体通路4’,4’・・を有する導電性材料である導電性フッソ樹脂で形成された帯電部3の縦断面を示し、図12には、その横断面が示されている。全長は280mm、6個の通路の直径はそれぞれ5.5mmである。
【0020】
これらの帯電部3を有する摩擦帯電ガンを用いて、ポリエステル樹脂の塗料粉体の帯電量をテストした。試験条件は、吐出量 100g/分、粉体の平均粒径 約30μm、総圧縮空気量 180l/分で、ファラデーケージを使用して帯電量を測定した。得られた結果は次表の通りである。
【0021】
実施例 条件 帯電量(μC/g)
既提案 帯電部に6個の通路(図11) 0.9
第1参考例 帯電部に単一の通路(図1,図4) 1.2
第2参考例 吐出側に絶縁性フッソ樹脂(図6) 1.6
第3参考例 通路の中心に中子を配置(図7) 1.7
実施例 中子に導電性上流部と非導電性下流 2.3
部を設ける(図9)
【0022】
上表から、導電性材料で形成された帯電部3に円柱形の単一通路4を設ければ、帯電量が向上し、さらに、帯電部の下流側に非導電性の通路を設ければ、帯電した粉体からの吐出口付近での放電が防止でき、帯電量が大幅に増加する。また、通路の中心に円柱状の中子を配置して円筒形の通路とすれば、接触面積が増加し、旋回流の乱れも少なくなって帯電量が増加する。この発明は、中子16に導電性上流部17と非導電性下流部18を形成することを見出し、特に、その境界19を、非導電性材料で形成された部分3aの通路4内に位置させれば、吐出口付近での放電が防止され著しく帯電量を増加させることができることを見出したことによるものである。
【0023】
【発明の効果】
この発明によれば、静電粉体塗装用摩擦帯電ガンにおいて、帯電部が長さ方向で同じ外径を有する円筒形の単一通路からなり、この帯電部の下流側には、非導電性材料で形成された帯電部と同じ外径を有する円筒形の通路を一体に設けると共に、円筒形の通路を形成するための円柱状の中子を、その上流部を導電性材料、下流部を非導電性材料で形成したので、粉体を運ぶ旋回流に乱れの生ずることがなく、粉体の帯電部に対する接触が強力となり、帯電効果を向上させることができると共に、吐出口付近で粉体の電位が高くなって放電が発生し、電荷を失うことを防止できるので、より帯電効率を上げることができる。したがって、帯電部を短くし、摩擦帯電ガンを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1参考例である摩擦帯電ガンの縦断面図である。
【図2】図1の摩擦帯電ガンのA−A線に沿った横断面図である。
【図3】図1の摩擦帯電ガンのB−B線に沿った横断面図である。
【図4】図1の帯電部の縦断面図である。
【図5】図4のC−C線に沿った横断面図である。
【図6】第2参考例である摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図7】第3参考例である摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図8】図7のDD線に沿った横断面図である。
【図9】この発明の実施例の摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図10】この発明の実施例において、導電性材料で形成された帯電部の長さと帯電量の関係を示すグラフである。
【図11】既提案の摩擦帯電ガンの帯電部の縦断面図である。
【図12】図11のE−E線に沿った横断面図である。
【符号の説明】
1 摩擦帯電ガン
2 外殻
3 帯電部
4 通路
5 加速部
6 粉体ホース取付部
8 ヘッド内筒
9 ヘッド外筒
10 環状溝
11 ノズル穴
12 エア供給口
13 経路
15 アース端子
16 中子
16a,16b 中子支持体
17 上流部
18 下流部
Claims (4)
- 旋回気流により運ばれる粉体を帯電させるための導電性の帯電部を有する静電粉体塗装用摩擦帯電ガンにおいて、前記帯電部が長さ方向で同じ外径を有する円筒形の単一通路からなり、この帯電部の下流側に、非導電性材料で形成された帯電部と同じ外径を有する円筒形の通路を一体に設けると共に、円筒形を形成するための円柱状の中子を、その上流部を導電性材料、下流部を非導電性材料で形成したことを特徴とする静電粉体塗装用摩擦帯電ガン。
- 上記帯電部を導電性フッソ樹脂により形成し、帯電部の下流側に設けた円筒形の通路を絶縁性フッソ樹脂により形成したことを特徴とする請求項1記載の静電粉体塗装用摩擦帯電ガン。
- 上記中子を形成する、導電性材料が導電性フッソ樹脂であり、非導電性材料が絶縁性フッソ樹脂であることを特徴とする請求項1記載の静電粉体塗装用摩擦帯電ガン。
- 上記中子を形成する導電性材料と非導電性材料との境界が、帯電部の下流側に非導電性材料で形成された通路に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電粉体塗装用摩擦帯電ガン。
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JP26578494A JP3633006B2 (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | 静電粉体塗装用摩擦帯電ガン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26578494A JP3633006B2 (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | 静電粉体塗装用摩擦帯電ガン |
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JPH08126856A JPH08126856A (ja) | 1996-05-21 |
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- 1994-10-28 JP JP26578494A patent/JP3633006B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08126856A (ja) | 1996-05-21 |
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