JP3632783B2 - フッ素系フィルム用接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、各種基材上に表面保護と共に耐候性、防汚性、防眩性等の機能を付加するために用いられるフッ素系フィルムに接着性、透明性を付与する接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種材料の高耐久化、高付加価値化が進む中、プラスチックス、ゴム、ガラス、金属、木材、紙等多種多様な基材表面に対する様々なフィルムのラミネーションが数多く試みられている。
【0003】
中でも、フッ素系のフィルムは、耐候性、防汚性、撥水撥油性、防眩性、耐薬品性等他のフィルムでは成し得ない優れた機能を有しており、基材表面にラミネーションすることによって、基材表面を保護すると同時にこれらの機能を基材に付加することができる。
【0004】
しかしながら、フッ素系フィルムの場合、他の樹脂に対する接着性が乏しいという欠点があり、これまでに種々の方法が提案されている。
例えば、メチルメタクリレート系重合体と弗化ビニリデン系重合体とのグラフト共重合体とメチルメタクリレート系重合体とからなる組成物を接着剤層として溶融押し出しすることによる積層物(特開昭57ー12646号公報)、フッ素フィルムとの中間層としてフッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸エステルとからなる組成物を使用し、35〜90℃のガラス転移点を有する透明なアクリル樹脂を主成分とする樹脂組成物を接着剤層として溶融押し出しすることによるフッ素樹脂フィルム(特開平6ー206389号公報)、フッ素系フィルムをポリフッ化ビニリデンとアクリルポリマーとの溶融押し出しすることによる複合多層フィルム(特開平5−50566号公報)等が挙げられる。
【0005】
しかしこれらの技術は、接着耐久力が低く、長時間使用すると界面剥離を起こし、その結果としてフッ素系フィルムに期待された耐候性、防汚性をも低下させてしまうという問題点がある。
【0006】
また、接着剤という観点からは、ポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチルの溶融混合物(特開平3−181581号公報)が提案されているが、接着に200℃以上の高温を要するなど作業上の問題点がある。
【0007】
また、アクリルポリマーの溶液からのコーティング(特開平6−145615号公報)も提案されているが、フッ素系フィルムとの接着を考えた場合、溶剤組成に工夫が加えられているものの非フッ素成分のみの接着層では耐久性の点で問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、この様なフッ素系フィルムの問題点に鑑み、フッ素系フィルムの有する機能を損なうことなく、溶液からのコーティングという作業性に優れた方法で基材と接着することができ、接着性、透明性に優れたフッ素系フィルム用の接着剤組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、アクリル系重合体とフッ素化オレフィン系重合体と有機溶剤からなる組成物を用いれば、上記の問題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、(メタ)アクリロイル基を含有する単量体を重合成分とする重合体(I)と、フッ素化オレフィン系重合体(II)と有機溶剤(III)とを含有してなる接着剤用組成物を提供するものである。
【0011】
(メタ)アクリロイル基を含有する単量体を重合成分とする重合体(I)と、フッ素化オレフィン系重合体(II)は相溶性が良くこの重合体を混合した組成物は、各種塗料用組成物等に利用されているが、基材上にコーティングした後の皮膜は空気面側にはフッ素成分、基材側にはアクリル成分が多く存在する濃度勾配を有する皮膜であることが知られている。本発明者等は、この性質を空気界面ではなくフッ素フィルムを形成するフッ素樹脂界面に応用し、それがフッ素樹脂と各種基材との接着剤として効果を発揮するように工夫を凝らした。
【0012】
(メタ)アクリロイル基を有する単量体を重合成分とする重合体(I)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、2−エチルヘキシルメタアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、ジブチルフマル酸エステル、ジメチルフマル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等の単独又は共重合体を挙げることができる。
【0013】
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
重合体(I)は最終的に基材側に多く存在する成分であるので、基材がアクリル樹脂及びアクリル樹脂と親和性の強い物質である場合は、非架橋のものでも効果を発揮するが、アクリル樹脂との親和性に乏しい基材である場合には、後述する硬化剤(IV)を併用することが好ましい。従って、この場合には重合体(I)中には反応性官能基を導入する必要がある。
【0014】
反応性官能基の選択は、後述する硬化剤(IV)との反応性により決定されるが、官能基の種類としては特に制限はなく、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、アジリジニル基、グリシジル基、アルコキシシリル基、シラノール基、シクロカーボネート基、酸無水基、ビニル基、エノールエーテル基、チオエーテル基、活性エステル基、アセトアセテート基、金属塩、金属酸化物及びこれらの官能基を各種ブロック化剤でブロック化したものが挙げられる。また、これらの官能基は、単官能であっても多官能であっても良く、さらに含有する官能基の種類は、1種類であっても2種類以上であっても良い。
【0015】
また、これらの官能基の導入の方法にも特に制限はなく、例えば、直接これらの官能基を含むモノマーを用いて重合体(I)を合成する方法、或いは予め重合体(I)を合成した後、目的とする官能基を持つ化合物と重合体(I)を反応させる方法、重合体(I)をプラズマ処理する方法、さらには重合開始剤、連鎖移動剤中に目的とする官能基を含むものを使用し導入する方法等が挙げられる。
【0016】
尚、本発明が、これら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
原料の入手性及び多様性、架橋反応の簡便さ、基材との密着性の向上等の理由から、硬化剤(IV)としては、後述する有機ポリイソシアネート化合物が工業的に有用である。
【0017】
重合体(I)中に導入するイソシアネート基と反応する官能基としては、活性水素を有する官能基であれば特に制限はなく、例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基、活性メチレン等の活性水素を有する官能基等が挙げられる。また、重合体(I)中にもイソシアネート基を導入し、イソシアネート同士を反応させビュレット構造の形成或いはアロハネート架橋等を形成させることも可能である。
【0018】
これらの中で、イソシアネート基との反応性、アクリル樹脂との重合、原料の入手性を考慮すると、水酸基による架橋が特に有用である。重合体(I)に水酸基を導入する方法には特に制限はなく、上述した各種官能基の導入方法と同様の方法が挙げられるが、中でも反応工程上最も簡便であり、導入量のコントロールも容易であるのは、水酸基を含むモノマーを用いて重合体(I)を合成する方法である。
【0019】
水酸基を含むモノマーの具体例としては、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びその変性物等が挙げられる。重合体(I)中に導入する水酸基を含むモノマーは、1種類であっても2種類以上であっても構わない。
【0020】
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
さらに、装飾用マーキングフィルムに代表されるようにフッ素系フィルムが透明である場合、貼り合わせる接着剤によってその透明性が阻害されることは大きな問題点となる。
【0021】
そこで、本発明者等は、このような状況に鑑み、用途に応じてフッ素系フィルムの透明性を維持する処方を確立した。
即ち(メタ)アクリロイル基を有する単量体を重合成分とする重合体(I)として、フッ素化(メタ)アクリレート(A)及び/又はポリシロキサン基含有(メタ)アクリレート(B)と、(A)および(B)以外の(メタ)アクリレート(C)とを重合させて得られる共重合体を使用する方法である。この方法により、コーテイング、溶剤乾燥後の皮膜の透明性はこれを導入しないものに比較して、大きく向上し、透明性を要求される用途には非常に有効である。
【0022】
上記共重合体中、フッ素化(メタ)アクリレート(A)としては、原料の入手性並びに他の成分との相溶性の観点から、アクリルエステル基及びその類縁基を含有するものが適しており、下記一般式(A−1)にて表されるフッ素化(メタ)アクリレ−トが挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】
(式中、Rf は炭素数1〜20のパ−フロロアルキル基、または部分フッ素化アルキル基であり、直鎖状、分岐状、または主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば
【0025】
【化2】
【0026】
等でも良く、R1 はH,CH3, Cl, FまたはCNであり、
Xは2価の連結基で、具体的には (CH2)n,
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
(但し、nは1〜10の整数であり、R2 はHまたは炭素数1〜6のアルキル基である。)、
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
等であり、aは0または1である。]にて表わされる化合物である。
以下、特に断わりのない限り、メタクリレート、アクリレート、ハロアクリレートおよびシアノアクリレートを総称して(メタ)アクリレートという。
【0038】
フッ素化(メタ)アクリレート(A−1)の具体例として以下の如きものが挙げられる。
A−1−1 : CH2=CHCOOCH2CH2C8F17
A−1−2 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C8F17
A−1−3 : CH2=CHCOOCH2CH2C12F25
A−1−4 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C12F25
A−1−5 : CH2=CHCOOCH2CH2C10F21
A−1−6 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C10F21
A−1−7 : CH2=CHCOOCH2CH2C6F13
A−1−8 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C6F13
A−1−9 : CH2=CHCOOCH2CH2C4F9
A−1−10 : CH2=CFCOOCH2CH2C6F13
A−1−11 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C20F41
A−1−12 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C4F9
A−1−13 : CH2=C(CH3)COO (CH2)6 C10F21
A−1−14 : CH2=C(CH3)COOCH2CF3
A−1−15 : CH2=CHCOOCH2CF3
A−1−16 : CH2=CHCOOCH2C8F17
A−1−17 : CH2=C(CH3)COOCH2C8F17
A−1−18 : CH2=C(CH3)COOCH2C20F41
A−1−19 : CH2=CHCOOCH2C20F41
A−1−20 : CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)2
A−1−21 : CH2=C(CH3)COOCH2CFHCF3
A−1−22 : CH2=CFCOOCH2C2F5
A−1−23 : CH2=CHCOOCH2(CH2)6CF(CF3)2
A−1−24 : CH2=C(CH3)COOCHCF2CFHCF3
A−1−25 : CH2=C(CH3)COOCH(C2H5)C10F21
A−1−26 : CH2=CHCOOCH2(CF2)2H
A−1−27 : CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)2H
A−1−28 : CH2=CHCOOCH2(CF2)4H
A−1−29 : CH2=CHCOOCH2CF3
A−1−30 : CH2=C(CH3)COO(CF2)4H
A−1−31 : CH2=CHCOOCH2(CF2)6H
A−1−32 : CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)6H
A−1−33 : CH2=CHCOOCH2(CF2)8H
A−1−34 : CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)8H
A−1−35 : CH2=CHCOOCH2(CF2)10H
A−1−36 : CH2=CHCOOCH2(CF2)12H
A−1−37 : CH2=CHCOOCH2(CF2)14H
A−1−38 : CH2=CHCOOCH2(CF2)18H
A−1−39 : CH2=CHCOOC(CH3)2(CF2)4H
A−1−40 : CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)7H
A−1−41 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)7H
A−1−42 : CH2=C(CH3)COOC(CH3)2(CF2)6H
A−1−43 : CH2=CHCOOCH(CF3)C8F17
A−1−44 : CH2=CHCOOCH2C2F5
A−1−45 : CH2=CHCOOCH2CH(OH)CH2C8F17
A−1−46 : CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)(CH2)4C18F37
A−1−47 : CH2=CHCOOCH2CH2N(C3H7)SO2C8F17
A−1−48 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2N(CH3)SO2C6F13
A−1−49 : CH2=C(Cl)COO(CH2)6NHSO2C12F25
A−1−50 : CH2=CHCOOCH2CH2N(C2H5)COC7F15
A−1−51 : CH2=CHCOO(CH2)8N(CH3)COC12F25
A−1−52 : CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8CF(CF3)2
本発明に係る被覆用樹脂組成物の防汚性、及びその耐久性の向上の観点から、フッ素化(メタ)アクリレート(A−1)のパ−フロロアルキル基または部分フッ素化アルキル基の炭素数としては、4以上が好ましく、6以上がより好ましい。
【0039】
また、フッ素化(メタ)アクリレート(A)は、経済的な観点、他の成分との効率的な相溶性の点から、フッ素化アルキル基を含有する1価基を少なくとも2つ有し、その全てが同一の炭素原子または窒素原子に結合した骨格を有する重合性エチレン不飽和単量体であって、かつフッ素化アルキル基を含有する1価基の少なくとも1つが、上記炭素原子または窒素原子とフッ素化アルキル基との間にエステル結合またはウレタン結合をも有する1価基であるものが好ましい。このようなフッ素化(メタ)アクリレートとしては、例えば一般式
【0040】
【化12】
【0041】
[式中、Rfは炭素数1〜20のフッ素化アルキル基であり、Zは−(CH2)X−、−CH2CH(OH)(CH2)X− 、−(CH2)XN(R1)SO2−、−(CH2)XN(R1)CO−(ここでXは1または2であり、R1はH又は炭素数1〜6のアルキル基である)、−CH( CH3)−、−CH(C2H5)−、−C(CH3)2−、−CH(CF3)−又は−(CF3)2−の如き2価の連結基であり、R2はH、Cl、CH3、F、又は−(CH2)XRf(ただし、X、Rfは前記と同じである。)であり、AはR3C(CH2−)3、R3はH、メチル基、エチル基、又はニトロ基である。)、又はN(CH2CH2)3−、N(CH2CH(CH3))3−にて表される3価の連結基であり、Bは−OCONHY1NHCOO−(ただし、Y1は炭素数が15以下で、D中に占める重量割合が35〜65%の間である2価の連結基である。)にて表される2価の連結基であり、Z1は−(CH2)m−(但し、mは2〜6の整数 である。)又は−CH2CH(CH3)−である。]にて表される化合物が挙げられる。
【0042】
尚、一般式(A−2)中、2個含まれているZは、前記2価の連結基の群から選ばれた相異なる2種の連結基であっても良い。
2価の連結基B中のY1基の代表的なものとしては、
【0043】
【化13】
【0044】
等が挙げられる。
また一般式(A−3)
【0045】
【化14】
【0046】
[式中、Rf、Z、Z1、は前記と同じであり、Rf’は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基であり、Z’は−(CH2)X−、−CH2CH(OH)(CH2)X− 、−(CH2)XN(R1)SO2−、−(CH2)XN(R1)CO−(ここでXは1または2であり、R1はH又は炭素数1〜6のアルキル基である)、−CH( CH3)−、−CH(C2H5)−、−C(CH3)2−、−CH(CF3)−又は−(CF3)2−の如き2価の連結基であり、RはHまたはFである。X1、X2、そ してX3は−OCOCH2CH(R4)COO−(ただし、R4はH、又は炭素数1〜36のアルキル基もしくはアルケニル基である。)又は
【0047】
【化15】
【0048】
からなる群から選ばれる2価の連結基であり、
A1はR5C(CH2OCH2CH(OH)CH2)3−、
R5C(CH2OCH2CH2OCH2CH(OH)CH2)3−(但し、R5はH、ヒドロキシメチル基、メチル基、エチル基、又はニトロ基である。)、
N(CH2CH2OCH2CH(OH)CH2)3−、又は
N(CH2CH(CH3)OCH2CH(OH)CH2)3−にて表される3価の連結基である。)にて表される化合物、
一般式(A−4)
【0049】
【化16】
【0050】
[式中、Rf、Rf’、Z、Z’、そしてRは前記と同じであり、X4とX5は
−C00−、−OCOCH2CH(R4)COO−(但し、R4は前記と同じであ る。)
【0051】
【化17】
【0052】
又は−OCONHY1NHCOO−(但し、Y1は前記と同じである。)にて表される2価の連結基である。)から選ばれる2価の連結基である。]にて表される化合物、
一般式(A−5)
【0053】
【化18】
【0054】
[式中、Rf、Rf’、Z、Z1、そしてRは前記と同じであり、Rf’’はRfもしくはRf’と同意義であって、これらは等しくても又異なっていても良く、Z’’はZもしはZ’と同意義であって、これらも等しくても又異なっていても良く、X6、X7、X8は同一でも異なっていても良くて−O−又は
−OCONHY1NHCOO−(但し、Y1は前記と同じである。)にて表される2価の連結基であり、X9は−OCONHY1NHCOO−(但し、Y1は前記と 同じである。)又は−OCONH(CH2)a−(但し、aは0〜2の整数である。)にて表される2価の連結基であり、Z1は前記と同じである。]にて表され る化合物である。
【0055】
単量体(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−5)の具体例として例えば以下の如きものが挙げられるが、これらの具体例によって本発明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】
【化21】
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
【化26】
【0064】
【化27】
【0065】
【化28】
【0066】
【化29】
【0067】
また、フッ素化(メタ)アクリレート(A)は、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であっても良い。
本発明者の知見によれば、相溶性を付与するためにはフッ素化(メタ)アクリレート以外にもポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートを導入することが有効である。
【0068】
フッ素化(メタ)アクリレートとポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートは重合体(I)、重合体(II)との相溶性或いは用途により、何れか一方だけでも良いし、両者を含んでいてもそれらの透明性は高レベルで維持される。
【0069】
ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートとは、ポリシロキサン鎖の片末端あるいは両末端に2価の連結基を介して、アクリロイル基、あるいはメタクリロイル基のいずれかが連結されたものであり、その具体例としては、一般式(B−1)
【0070】
【化30】
【0071】
〔式中、R6及びR7は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、それらは同一でも異なっていてもよく、又シロキシ単位毎に同一でも異なっていてもよく、pは3〜520の整数であり、qは0又は1であり、Y2は2価の連結基で、
−CH2CH(OH)CH2OCO−、−(CH2)n1NHCH2CH(OH)CH2OCO−、−(CH2)n1OCO−、
−(CH2)n1−O−(CH2)m1OCO−、又は−OCH2CH(OH)CH2OCO−[但し、n1、m1は2〜6の整数である。]であり、R1は前記と同じであり、Z2はCnH2n+1で表されるアルキル基、フェニル基、 又はCH2=C(R)−(Y2)q−である。〕にて表される化合物、又は一般式(B−2)
【0072】
【化31】
【0073】
[式中、R6’、R6’’、R6’’’、R7’、R7’’、R7’’’、R8’、R8’’、R8’’’は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、これらは同一でも異なっていても良く、r,s,tは1〜200の整数で、これらは同一でも異なっていても良く、Y2,q,R は前記と同意義である。]にて表わされる化合物が挙げられる。
【0074】
ポリシロキサン鎖を含有する単量体のより具体的なものとして以下の如きものが例示される。
【0075】
【化32】
【0076】
【化33】
【0077】
【化34】
【0078】
【化35】
【0079】
但し、いずれも Me, Phはそれぞれメチル基,フェニル基を表わす。
尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0080】
本発明において、フッ素化(メタ)アクリレート(A)及び/またはポリシロキサン基含有(メタ)アクリレート(B)は、透明性を発揮する上で必須の単量体成分であり、透明性の要求される用途では必須の成分である。
【0081】
一方、上述したフッ素化(メタ)アクリレート(A)及び/またはポリシロキサン基含有(メタ)アクリレート(B)と共重合する(A)および(B)以外の(メタ)アクリレート(C)としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、アクリロニトリル、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジブチルフマル酸エステル、ジメチルフマル酸エステル等を挙げることができる。また、(A)および(B)以外の(メタ)アクリレート(C)は、1種類の単量体であっても良いし、2種類以上の単量体の混合物であっても良い。
【0082】
本発明に係る重合体の単量体(A)及び/または(B)と単量体(C)との共重合組成比は、重量比で、通常100:0〜1:1000であり、2:1〜1:100の範囲が好ましく、溶剤溶解性、他の重合体との相溶性、透明性、さらにフッ素含有量に関係する経済性を発揮する上で49:51〜1:100がより好ましい。
【0083】
上記共重合体の導入量は、共存する他の重合体の種類に伴う相溶性、要求される透明性、経済性等により左右されるが、重合体(I)中において、その0.01〜100重量%、好ましくは1〜50重量%である。
【0084】
本発明に係る重合体(I)の製造方法には、何ら制限はなく、公知の方法、即ちラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、更にエマルジョン重合法等によって製造できるが、特にラジカル重合法が簡便であり、工業的に好ましい。
【0085】
この場合重合開始剤としては、当業界公知のものを使用することができ、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジアシル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物、Mn(acac)3 等の金属キレート化合物等が挙げられ、必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等の連鎖移動剤や、更にγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のカップリング基含有チオ−ル化合物等の連鎖移動剤を併用することが可能である。
【0086】
尚、本発明者等の知見によれば、この様なカップリング基含有連鎖移動剤を併用すると、基材に対する密着性や、コーティング剤としての耐久性を向上させることが可能である。また光増感剤や光開始剤の存在下での光重合、あるいは放射線や熱をエネルギー源とする重合によっても本発明に係るフッ素系のランダムもしくはブロック共重合体を得ることができる。
【0087】
重合は、溶剤の存在下又は非存在下のいずれでも実施できるが、作業性の点から溶剤存在下の場合の方が好ましい。
溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶剤、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパーフロロオクタン、パーフロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナートリキッド類等を挙げることができ、これらを単独又は混合して使用できる。
【0088】
次に、フッ素化オレフィン系重合体(II)は、最終的にフッ素系フィルム側に多く存在する成分であるが、フッ素系フィルムの種類、共存させる重合体(I)の種類により最適なものを選択する必要がある。即ち、接着するフッ素系フィルムと親和性に優れ、共存させる重合体(I)との相溶性に優れていることが必要である。
【0089】
フッ素化オレフィン系重合体(II)としては、フッ素化オレフィン単量体を含む重合体であって、有機溶剤に分散又は溶解するものである。その具体例として、例えばポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、(エチレン・テトラフロロエチレン)共重合体、(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン)共重合体、(テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体、ポリフッ化ビニルエ−テル、ポリクロロトリフルオロエチレン、(エチレン・クロロトリフルオロエチレン)共重合体、(フッ化ビニルエ−テル・テトラフロロエチレン)共重合体そしてルミフロン[旭硝子(株)]、フルオネート[大日本インキ化学工業(株)]、セフラルコート[セントラル硝子(株)]、ゼッフル[ダイキン工業(株)]、ザフロン[東亜合成(株)]、トリフロン[三井石油化学工業(株)]等の商品名で例示されるフッ素塗料、サイトップ[旭硝子(株)]、テフロン−AF[デュポン(株)]或いは側鎖にフッ素化環状エーテルを有するその類縁体が挙げられるが、現在市販されている多くのフッ素系フィルムとの親和性、重合体(I)との相溶性、溶剤に対する溶解性などの加工性を兼備するという点で、特にフッ化ビニリデン系重合体が好ましい。
【0090】
フッ化ビニリデン系重合体としては、例えばポリフッ化ビニリデン、(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン)共重合体、(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体 、(テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体、(フッ化ビニリデン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体等が挙げられる。
【0091】
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
本発明に係わる接着剤組成物に含まれる、上述した重合体(I)、(II)の割合は、重量比で1〜99/99〜1、好ましくは20〜80/80〜20である。重合体(I)の割合が1重量%より少ない場合、基材との接着性が低下し、99重量%よりも多い場合、フッ素系フィルムとの接着性が損なわれる。
【0092】
以上のことから、本発明者らの知見によれば、最適な割合の重合体(I)、(II)を用いることにより、接着性と透明性に優れた接着剤組成物を得ることが可能となった。
【0093】
次に、これらの重合成分を溶解させる有機溶剤(III)についてであるが、これは上述した重合体(I)を重合する際に、用いることのできる上記溶剤を使用することができる。その種類、混合比については、重合体(II)との混合比、コーティングする厚み、乾燥条件、コーティングする基材の種類等によって、適宜調整する必要がある。
【0094】
最後に、硬化剤(IV)についてであるが、硬化剤(IV)の導入は、アクリル樹脂との親和性に乏しい基材とフッ素系フィルムを貼り合わせる場合に特に有用である。使用できる硬化剤(IV)の種類には特に制限はなく、上述したような各重合体中に導入された官能基と反応する、分子中に2つ以上の反応性官能基を持つ反応性多官能化合物であれば良い。
【0095】
反応性官能基としては、各重合体中に導入したものと同様のものが考えられ、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、アジリジニル基、グリシジル基、アルコキシシリル基、シラノール基、シクロカーボネート基、酸無水基、ビニル基、エノールエーテル基、チオエーテル基、活性エステル基、アセトアセテート基、金属塩、金属酸化物及びこれらの官能基を各種ブロック化剤でブロック化したものが挙げられる。このような含有する官能基の種類は、1種類であっても2種類以上であっても良い。また硬化剤(IV)は、これらの官能基を含む2官能性以上の化合物であれば、低分子化合物であっても高分子化合物であっても構わない。さらに、硬化剤(IV)は、重合体(I)中に、硬化剤(IV)に含まれる反応性官能基と反応する官能基を含有する場合はもとより、反応する官能基を含まない場合も基材との密着性を向上させるという点から重要な役割を果たす。
【0096】
硬化剤(IV)としては、原料の入手性、多様性、生成皮膜の強靱性、基材との密着性の向上等の理由から、有機エポキシ化合物、有機ポリイソシアネート化合物が工業的に有用である。
【0097】
有機エポキシ化合物としては、グリシジル基を2個以上分子内に含む化合物が挙げられる。例えば、各種エポキシ樹脂が挙げられ、また2つ以上のグリシジル基を有する低分子化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル等が挙げられるが、特にこれらに限定されるもにではない。
【0098】
また、架橋反応の簡便さからは、有機ポリイソシアネート化合物が特に有用である。有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’ビフェニレンジイソシアネート3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等とこれら化合物の2量体、3量体あるいはフェノール類、オキシム類、アルコール類、活性メチレン類、メルカプタン類、酸アミド類、イミド類、アミン類、イミダゾール類、尿素類、カルバミン酸塩類、イミン類または亜硫酸塩類で部分的にブロック化されたポリイソシアネート等が挙げられる。
【0099】
これらの有機ポリイソシアネート化合物は、単独でも、2種類以上を混合した形でも構わない。
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0100】
これら以外にも、硬化剤として、上記各種イソシアネート化合物と次に挙げられるような各種活性水素化合物との反応により得られる末端にイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。
【0101】
活性水素化合物としては、イソシアネート基と反応し得る基、即ち活性水素原子を有する化合物であれば特に制限はなく、何れでも使用することができるが、一般にはアルコール性の水酸基を有する化合物が用いられる。アルコール性の水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ないしは1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール若しくはジプロピレングリコールの如き各種ジオール類またはグリセリン、トリメチロールプロパン若しくはペンタエリスリトールの如き各種ポリオール類あるいはこれらの各種ジオール及び/またはポリオール類と各種の脂肪族ポリカルボン酸とから得られるポリエステルジオール、さらにはポリエチレングリコール、ポロプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如き各種ポリエーテルジオール、さらにはポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0102】
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
本発明者らの知見によると、これらの内、上記重合体(I)、(II)との相溶性、最終的な透明性、基材への浸透性を考慮すると、有機ポリイソシアネート化合物としては、上述した様な単量体、2量体、3量体、或いはそれらがビュウレット構造を有するもの、或いは上述した単量体が水、トリメチロールプロパン等への付加体であるアダクトタイプ等の低分子量有機ポリイソシアネートが特に有用である。
【0103】
硬化剤(IV)と反応性官能基との反応性が低い場合、錫系、アミン系などの従来公知の触媒を併用することも可能である。
硬化剤(IV)の導入量は、重合体(I)、重合体(II)の総重量に対して0.0001〜200重量%が好ましく、0.001〜100重量%がより好ましい。
【0104】
また、本接着剤用組成物には、目的に応じて種々の添加物を導入することができる。例えば、基材に被覆する際、基材との密着性を向上させる目的から、シラン系、チタン系、ジルコ−アルミネート系等のカップリング剤を併用することができる。カップリング剤としては、具体的には例えばジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、フッ素原子含有アルコキシシラン化合物、フッ素原子含有チタンアシレ−ト化合物、フッ素原子含有アルコキシジルコニウム化合物等のフッ素系カップリング剤が挙げられるが、これらのうちシラン系カップリング剤が好ましい。
【0105】
また本発明に係る接着剤組成物には、必要に応じて、顔料、染料、カ−ボン等の着色剤、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等の無機粉末、高級脂肪酸、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフロロエチレン)、ポリエチレン等の有機微粉末、更に耐光性向上剤、耐候性向上剤等の各種充填剤を適宜添加することが可能である。
【0106】
本発明に使用することができるフッ素系フィルムとしては、例えばフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、3フッ化エチレン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー或いは共重合体、さらにはエチレン、プロピレン等非フッ素のコモノマーを導入したものを挙げることができる。該フィルムは、加熱溶融押し出し、圧延成形等当業界公知の方法で得られ、1軸或いは2軸延伸したものを用いてもよい。尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0107】
本発明に使用することができる基材としては、何等限定されないが、例えばガラス、石英、シリカ等の無機物、鉄、銅、フェライト、コバルト、ニッケル、アルミニウム等の金属及びそれらの合金、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル等に代表される熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート等のポリエステル類、ポリパラフェニレンサルファイト、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等のエンジニアリングプラスチック、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂、紙、木材等が挙げられる。
【0108】
これら基材は、密着性を向上させるため、さらに必要に応じて当業界公知のプライマー処理、プラズマ処理等の前処理を施すことが可能である。尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0109】
本発明に係る接着剤組成物は、必要に応じて目的に見合った溶剤で適当な濃度または粘度に調整した後、例えばグラビアコーター、リバースコーター、ナイフコーター、コンマコーター、ロールコーター、デイッピング塗布、スプレー塗布等の方法により各種基材上に塗布することができる。尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0110】
本発明に係る接着剤組成物を塗布したフッ素系フィルムは、上述した基材上にラミネートし、例えば建築内外装用資材、農業用資材、車両用資材、標識、看板、ラベル等多種多様な用途に利用することが可能である。尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0111】
従って、本発明に係る組成物を用いれば、簡便な方法でフッ素系フィルム上にコーティングし、しかもラミネートした場合、基材との接着性に優れたフッ素系フィルムを提供することができる。
【0112】
【実施例】
次に本発明をより詳細に説明するために参考例、実施例及び比較例を掲げるが、これらの説明によって本発明が何等限定されるものでないことは勿論である。文中の「部」は、断わりのない限り重量基準である。
【0113】
参考例1(重合体I−1の合成)
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにエチルアクリレート5重量部、メチルメタクリレート92重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3重量部、そして酢酸−n−ブチル233重量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略す)0.4重量部添加した後、85℃で6時間反応させ、次いで0.2重量部AIBNを加え、85℃で5時間反応させ重合を完結させた。
【0114】
参考例2〜4(重合体I−2、I−3、I−4の合成)
参考例1と同様にして各重合体溶液を得た。
参考例5〜7としては以下のものを用いた。表1には、参考例1〜7をまとめて示した。
【0115】
【表1】
尚、表1中の略号は以下の通りである。
EA:エチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AA:アクリル酸
2−HEMA:2−ヒドロキシルエチルメタクリレート
カイナーSL:(商品名:エルフ・アトケム・ジャパン社製、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体)
バーノック DN−950:(商品名:大日本インキ化学工業社製、有機イソシアネート化合物 固形分濃度:76重量%,NCO含有量:13重量%)
エポライト 100MF:(商品名:共栄社化学社製、有機エポキシ化合物 固形分濃度:100重量%:エポキシ当量:150)
表2には、参考例で示した重合体(I)、重合体(II)、硬化剤(IV)をそれぞれ所定量混合した組成をまとめて示した。
【0116】
【表2】
各配合液は、固形分濃度が20%、溶剤組成がメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン/酢酸−n−ブチル=35/5/60(重量比)になるように各溶剤で調整した。
【0117】
調整した溶液は、100メッシュの版を用いたグラビアコーターにてポリフッ化ビニリデンフィルム表面に塗布し、70℃で1分間乾燥させた。接着剤をポリフッ化ビニリデンシートは200℃の熱ロールを通すことにより、ポリ塩化ビニルシート(PVC)およびポリウレタンシート(PU)にラミネートした。
【0118】
<接着性及び透明性の評価>
JIS K−6854に準拠して、上記条件にて作製したラミネートフィルムを幅25mmに切り出したサンプルを、引張り速度50mm/min.で180゜剥離テストを行い、剥離強度を算出した。
【0119】
透明性の評価は、固形分濃度20%の各溶液をシャーレに一定量注ぎ、溶剤飛散後の皮膜(厚さ:0.2mm)の透明性を目視にて5段階評価を行った。尚、数字は大きい程透明性に優れていることを示している。
【0120】
表3には、これらの結果はまとめて示した。
【0121】
【表3】
【0122】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物は、フッ素系フィルムの長所を損なうことなく、溶液からのコーティングという作業性に優れた方法で、基材との接着性、透明性に優れたフッ素系フィルムと各種基材とのラミネーションを行うことができる。
Claims (6)
- フッ素化(メタ)アクリレート(A)及び/又はポリシロキサン基含有(メタ)アクリレート(B)と、(A)および(B)以外の(メタ)アクリレート(C)とを重合させて得られる共重合体(I)とフッ素化オレフィン系重合体(II)と有機溶剤(III)とを含有してなるフッ素系フィルム用接着剤組成物。
- さらに硬化剤(IV)を含有する請求項1記載の組成物。
- 共重合体(I)が、硬化剤(IV)と反応する官能基を有する請求項2記載の組成物。
- 硬化剤(IV)が、有機ポリイソシアネート化合物である請求項2又は3記載の組成物。
- 硬化剤と反応する官能基が、水酸基である請求項3又は4記載の組成物。
- 請求項1記載の組成物を塗布したフッ素系フィルムを基材に貼着してなる物品。
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