JP3631920B2 - 回転翼式撹拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撹拌槽内で回転翼を回転させながら上記撹拌槽内にガスを供給して、当該撹拌槽内の原料粉体を撹拌混合し、あるいは湿式粒子を乾燥する回転翼式撹拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薬品や飼料、食品業界などにおいて、原料粉体の撹拌混合・湿式造粒・乾燥等を行う装置として、例えば図3及び図4に示す回転翼式撹拌装置が知られている。ここで、図3は従来例1に係る回転翼式撹拌装置を示し、図4(a)はその従来例1による撹拌混合・湿式造粒・乾燥等の稼働状態を示す模式図であり、図4(b)は従来例2による上記稼働状態を示す模式図である。
【0003】
従来例1に係る回転翼式撹拌装置は、以下の基本構成を備える。
即ち、この回転翼式撹拌装置は、図3に示すように、回転駆動手段10で回転される回転軸12の先端部を撹拌槽2の底壁2aの中央部を貫通させて当該撹拌槽2内に突出させ、この回転軸12の突出先端部に回転翼3を固設し、上記撹拌槽2内にガスGを供給するように構成されている。
【0004】
上記従来例1では、回転軸12は第1モータ10で減速機11を介して回転駆動され、撹拌槽2の下半部周壁2bから第2モータ40で回転駆動されるチョッパ4を水平方向に突出させ、ファン駆動をも兼ねる上記第1モータ10により撹拌槽2の下半部周壁2bにあけた開口からガスGを直接撹拌槽2内に供給するように構成されている。なお、図3中の符号1は撹拌槽2を支え上記第1モータ10等を収容する機台、6は製品粒子の取り出す取出部、13は回転軸12の軸受部、44はバインダー液の噴霧ノズル、をそれぞれ示す。この従来例1によれば以下のように作用する。
【0005】
上記回転翼3を撹拌槽2内で水平回転させると、図4(a)に示すように、撹拌槽2内の原料粉体は回転遠心力によって半径方向に移動されつつ、当該回転翼3により跳ね上げられ、撹拌槽2の底壁2a面上を旋回しつつ、半径方向への反転運動を繰り返す。このようにして旋回・反転運動を繰り返す原料粉体は、上記噴霧ノズル44から供給されたバインダー液によって凝縮され、引き続き前記チョッパ4によって解砕されて、チョッパ4の設定回転数に応じて所望の大きさの湿式粒子Mが造粒され、その後チョッパ4の回転を止めて、撹拌槽2内に供給される前記ガスGで湿式粒子Mを乾燥することにより製品粒子が製造される。
【0006】
従来例2に係る回転翼式撹拌装置は、図4(b)に示すように、従来例1と同様の基本構成を備え、撹拌槽2の下側に設けたガス導入室2d内にガスGを圧送して、撹拌槽2の下壁2aにあけたガス噴出孔5より当該撹拌槽2内にガスGを供給するように構成されている。これにより湿式粒子Mを乾燥して製品粒子が製造される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例1では、撹拌槽2の下半部周壁2bにあけた開口からガスGを直接供給することから、上記ガスGが撹拌槽2内に満遍なく行き渡らず、その結果、原料粉体の撹拌混合及び湿式粒子Mの乾燥が不均一となり、撹拌混合や乾燥に手間取る。
また、上記従来例2では、撹拌槽2の下壁2aにあけたガス噴出孔5からガスGが噴出するが、このガスGの挙動は気まぐれで、撹拌槽2内に満遍なく行き渡らない。しかも、バインダー液によって凝縮された湿式粒子Mは、回転翼3で撹拌混合される際に、その一部が当該回転翼3により撹拌槽2の底壁2bに押し付けられて当該ガス噴出孔5を塞ぐことがある。
本発明は、上記不都合を解消して原料粉体の撹拌混合や湿式粒子の乾燥を均一化し、もって造粒の効率化を図ることを技術課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば図1及び図2に示すように、以下のように構成される。
即ち、請求項1に記載の発明は、前記基本構成を備える回転翼式撹拌装置において、回転軸12から回転翼3にかけて上記ガスGの通気路34・35を形成するとともに、上記回転翼3に当該ガスGの噴出孔36を開口形成し、前記回転翼3は、中央ボス部30から放射方向に延びる少なくとも一つの翼片32を備え、上記翼片32は、前記撹拌槽2の底壁20aと微小隙間dを隔てて設けられ、当該撹拌槽2内の原料粉体や湿式粒子Mを掬い上げる掬い上げ傾斜面32aを備え、前記翼片32の旋回方向に見て、掬い上げ傾斜面32aの後方に位置する背面32cに前記ガスGの噴出孔36を開口形成した、ことを特徴とするものである。ここで、本発明に係る回転翼式撹拌装置は、原料粉体の撹拌混合のみ、あるいは、原料粉体の撹拌混合と湿式粒子の造粒及び湿式粒子の乾燥までの工程を含むもの等、いずれかに適用することを意図したものである。
【0009】
ここで、「少なくとも一つの翼片32」としたのは、「翼片32」を複数備える場合も排除しないことを意味する。
【0010】
ここで、掬い上げ傾斜面32aの後方に位置する背面32cの具体例としては掬い上げ傾斜面32aとは反対側に傾斜させたもの〔図1(B)参照〕や、上記背面を逆方向へ若干傾斜させたもの、あるいは略垂直に形成したものを含む。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載した回転翼式撹拌装置において、前記翼片32の基端部から先端部へかけて前記噴出孔36を開口形成した、ことを特徴とするものである。ここで、上記噴出孔36は、翼片32の基端部から先端部へかけて複数個開口形成したもの、あるいは、翼片32の基端部から先端部へかけてスリット状に開口形成したものでも差し支えない。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載した回転翼式撹拌装置において、前記ガスGの温度を制御可能に構成し、前記噴出孔より雰囲気温度よりも高温のガスGを噴出させるように構成した、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した回転翼式撹拌装置において、前記ガスGをチッ素ガスとした、ことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の作用・効果】
(イ)請求項1に記載の発明では、前記基本構成を備える回転翼式撹拌装置において、回転軸12から回転翼3にかけて上記ガスGの通気路34・36を形成するとともに、上記回転翼3に当該ガスGの噴出孔36を形成したことから、このガスGの噴出孔36は、上記回転翼3の回転に伴って撹拌槽2内を旋回移動することとなる。つまり、上記ガスGは回転軸12から回転翼3にかけて形成された通気路34・35を通り、上記のように実質的に旋回移動する噴出孔36から噴出する。そして回転翼3で跳ね上げた原料粉体や湿式粒子Mに噴出孔36から噴出したガスGが吹き当たることとなる。これにより原料粉体の撹拌混合や湿式粒子Mの乾燥が一層均一となり、その撹拌混合や乾燥が一層促進される。
【0015】
(ロ)また、請求項1に記載の発明を湿式造粒に適用した場合には、回転翼3にガスGの噴出孔36をあけたことから、バインダー液によって凝縮された湿式粒子Mは、上記回転翼3で跳ね上げられるので、上記ガス噴出孔36を塞ぐ虞れはない。この点でも湿式粒子の乾燥が一層促進される。
【0016】
(ハ)請求項1に記載の発明では、前記回転翼3が中央ボス部30から放射方向に延びる少なくとも一つの翼片32を備え、上記翼片32は、前記撹拌槽2の底壁2aと微小隙間dを隔てて設けられ、掬い上げ傾斜面32aを備えることから、当該撹拌槽2内の原料粉体や湿式粒子Mは上記掬い上げ傾斜面32aで掬い上げられ、跳ね上げられた状態でガスGが吹き当たることとなる。これにより、原料粉体の撹拌混合や湿式粒子の乾燥が一層均一となり、その撹拌混合や乾燥が一段と促進される。
【0017】
(ニ)請求項1に記載の発明では、前記翼片32の旋回方向へ見て、掬い上げ傾斜面32aの後方に位置する背面32cに上記ガスGの噴出孔36を形成したことから、上記ガスGは背面32cから噴出し、当該ガスGの噴出力は回転翼3の回転駆動力に対して抵抗にはならず、むしろ回転の促進力となるので、その分だけ回転駆動力が小さくて済むという利点がある。
【0018】
(ホ)しかも、請求項1に記載の発明では、図1(B)に例示するように、上記背面32cの噴出孔36から噴出するガスGは後方に噴出し、前記掬い上げ傾斜面32aで掬い上げた原料粉体や湿式粒子に吹き当たることとなるので、この点でも原料粉体の撹拌混合や湿式粒子の乾燥が一段と促進される。
【0019】
(ヘ)請求項2に記載の発明では、請求項1に記載した回転翼式撹拌装置において、前記翼片32の基端部から先端部へかけて前記噴出孔36を形成したことから、上記翼片32の基端部から先端部へかけて形成した噴出孔36より噴出するガスGは、翼片32の半径領域である撹拌槽2内の中央部から半径方向のほぼ全域にかけて原料粉体や湿式粒子に満遍なく吹き当たるので、この点でも原料粉体の撹拌混合や湿式粒子の乾燥が一段と促進される。
【0020】
(ト)請求項3に記載の発明によれば、湿式粒子が回転翼3に付着し難くなる。即ち、上記回転翼3の温度が雰囲気温度(外気温と同義)よりも低い場合には、当該回転翼3に結露が生じて湿式粒子Mが回転翼3に付着し易くなるが、請求項5に記載の発明では、上記ガスGの温度を制御可能に構成し、前記噴出孔36より雰囲気温度よりも高温のガスGを噴出させるように構成したことから、上記回転翼3の温度が雰囲気温度よりも高くなるので、湿式粒子が回転翼に付着しにくくなるという利点がある。
【0021】
(チ)請求項4に記載の発明で、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した回転翼式撹拌装置において、前記ガスGをチッ素ガスとした場合には、原料粉体や湿式粒子にチッ素ガスGが吹き当たることで、当該原料粉体や湿式粒子の酸化を極力防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1(A)は本発明に係る回転翼式撹拌装置の一実施形態を示す一部縦断側面図、図1(B)は翼片の縦断面図、図2は分割型回転翼を構成する翼片を示し、図2(a)はその翼片の平面図、図2(b)はその翼片の基端部のA−A線矢視縦断面図、図2(c)はその翼片の先端部のB−B線矢視縦断面図である。
【0023】
この回転翼式撹拌装置は、従来例と同様の基本構成と同様の機能を備える。
即ち、この回転翼式撹拌装置は、図1に示すように、回転駆動手段10で回転される回転軸12の先端部を撹拌槽2の底壁20aの中央部を貫通させて当該撹拌槽2内に突出させ、この回転軸12の突出先端部に回転翼3を固設し、上記撹拌槽2内にガスGを供給するように構成されている。
【0024】
上記撹拌槽2は、機台1の左側上半部に配設されており、円筒壁で形成した槽本体部分20と開閉自在な槽閉蓋部分21と濾材収容部22とから構成されている。上記槽本体部分20の底壁20aには、第1モータ10で回転される回転軸12を突設してその先端部に回転翼3が設けられ、槽本体部分20の下半部周壁20bには、第2モータ40で回転されるチョッパ4が設けられている。このチョッパ4は、水平方向に突出させたチョッパ軸41の先端部にチョッパ羽根42を固設して構成されている。上記槽本体部分20の底壁20aから下半部周壁20bにかけて、従来例と同様の製品粒子取出部6が設けられており、製品粒子はこの取出部6から回収具7を介して製品容器8に回収される。
【0025】
上記槽閉蓋部分21には、その頂部に配設された濾材収容部22と、噴霧ノズル44と、パウダー散布ノズル51とが当該撹拌槽2内に臨ませて設けられている。上記濾材収容部22は、通気可能な濾材(ジャケット付バックフィルター)23を収容して原料粉体の機外への飛散を防止するとともに、撹拌槽2内に噴出するガスGを調圧弁24を介して機外へ放出するように構成されている。上記噴霧ノズル44は圧送ポンプ45に連通されており、バインダータンク46に収容したバインダー液47を噴霧するように構成されている。また、上記パウダー散布ノズル51は、バケット50内に収容したパウダー52を散布して湿式粒子Mに塗布するように構成されている。
【0026】
上記撹拌槽2を構成する槽本体部分20と槽閉蓋部分21と濾材収容部22の各肉壁内には、それぞれ液体流路27a・27b・27cが形成されており、圧送ポンプ28で所定温度の液体を流通させて当該撹拌槽2内を所定温度に維持するように構成されている。ちなみに、原料粉体の撹拌混合時と造粒時と湿式粒子の乾燥時には、撹拌槽2を常温よりも十分高温に維持し、乾燥後の冷却時には撹拌槽2の温度を徐々に下げて常温に維持する。なお、上記槽本体部分20と槽閉蓋部分21の各液体流路27a・27bは連通管25により連通され、上記槽閉蓋部分21と濾材収容部22の各液体流路27b・27cは連通管26により連通されている。
【0027】
上記機台1には、回転軸12を駆動する第1モータ10と、減速機11と、チョッパ軸41を回転駆動する第2モータ40と、所定温度のガスGを撹拌槽2内に給送する手段(14〜19)が設けられている。ここで、符号14は上記ガスGを乾燥するドライヤー、17は給送ファン、16はファン駆動モータ、15はドライヤー14と給送ファン17との連通管、18は熱交換機、19は熱交換機18を前記回転軸12に接続するロータリージョイント、をそれぞれ示す。
【0028】
この回転翼式撹拌装置は、従来例と同様の機能を備え、上記回転翼3を撹拌槽2内で水平回転させると、図1(A)に示すように、撹拌槽2内の原料粉体は回転遠心力によって半径方向に移動されつつ、当該回転翼3により跳ね上げられ、撹拌槽2の底壁2a面上を旋回しつつ、半径方向への反転運動を繰り返す。
このようにして旋回・反転運動を繰り返す原料粉体は、上記噴霧ノズル44から供給されたバインダー液によって凝縮され、引き続き前記チョッパ羽根42によって解砕されて、チョッパ羽根44の設定回転数に応じて所望の大きさの湿式粒子Mが造粒され、その後チョッパ羽根44の回転を止めて、撹拌槽2内に供給されるガスGにより湿式粒子Mが乾燥されて製品粒子が製造されることになる。
以下、この回転翼式撹拌装置の特徴構成及び特有の機能について説明する。
【0029】
上記回転翼3は、図1及び図2に示すように、前記撹拌槽2内に突出させた回転軸12の突出先端部に着脱自在に固設され、撹拌槽2の底壁20aと微小隙間dを隔てて設けられている。また、上記回転翼3は、環状に形成した中央ボス部30に放射方向へ直線状に延びる3本の翼片32を組付けて構成されている。
上記回転軸12と回転翼3には、それぞれ前記ガスGの通気路34・35が形成されている。そして上記各翼片32には、図2に示すように、その旋回方向(矢印F)の先端側より順に、撹拌槽2内の原料粉体や湿式粒子Mを掬い上げる掬い上げ傾斜面32aと、平らな頂面32bと、上記掬い上げ傾斜面32aとは反対側に傾斜する背面32cとが形成され、その半径方向の先端部には上向きに湾曲する跳ね上げ部32eが形成されている。
【0030】
上記掬い上げ傾斜面32aの掬い上げ角度θは、翼片32の半径方向の先端部では20゜〜25゜の範囲に設定され、中央ボス部30寄りの基端部では30゜〜45゜の範囲に設定され、かつ先端部から基端部に近づくにつれて大きな傾斜角度になるように形成されている。これは、回転翼3の回転半径に対応する旋回速度が、翼片32の基端部では遅く、先端部では速いことから、回転翼3の跳ね上げ力を回転半径に対応させてほぼ均一にすることを意図したものである。
【0031】
上記各翼片32は、3つに分離されて中央ボス部30で一体に組み付けられ、前記チョッパ4を横設した状態でも、回転軸12に各翼片32を組み付け可能に構成されている。また、各翼片32を中央ボス部30で分離可能に構成したのは、前記撹拌槽2の槽閉蓋部21を開いた状態で当該翼片32を容易に組み付けられるように意図したものである。上記回転翼3の中央ボス部30には円錐カバー31が取り付けられている。これは、円錐カバー31上に降り注ぐ原料粉体や湿式粒子Mを、回転遠心力が十分に作用する半径領域まで自重で移動させることを意図したものである。
【0032】
上記各翼片32の掬い上げ傾斜面32a、頂面32b、背面32c、及び底面32dには、図1(B)、及び図2(a)〜(c)に示すように、それぞれ前記ガスGを噴出する噴出孔36(36a・36b・36c・36d)が形成されている。そしてこれらの噴出孔36a〜36dは、各翼片32の基端部から先端部へかけて複数形成されている。これは、原料粉体の撹拌混合や湿式粒子の乾燥を一段と促進させることを意図したものである。
【0033】
即ち、上記各噴出孔36a〜36dは、回転翼3の回転に伴って撹拌槽2内を旋回移動するとともに、原料粉体等が翼片32の各面32a、32b、32c、32dへ付着するのを防止する。つまり、上記ガスGは回転軸12から回転翼3にかけて形成された通気路34・35を通り、上記のように実質的に旋回移動する複数の噴出孔36a〜36dから噴出する。また、撹拌槽2内の原料粉体や湿式粒子Mは、前記掬い上げ傾斜面32aで掬い上げられ、跳ね上げられるので、上記ガス噴出孔36a〜36dを塞ぐ虞れはない。
【0034】
特に、傾斜した背面32cにあけた噴出孔36cから噴出するガスGは、図1(B)に示すように、斜め後方上向きに噴出し、上記翼片32の半径領域、つまり、撹拌槽2内のほぼ全域にかけて満遍なく当該原料粉体や湿式粒子Mに吹き当たることとなる。これにより、原料粉体の撹拌混合や湿式粒子Mの乾燥が均一となり、その撹拌混合や乾燥が一段と促進される。また、上記背面32cにあけた噴出孔36から噴出するガスGの噴出力は、回転翼3の回転駆動力に対して抵抗にはならず、むしろ回転の促進力となり、その分だけ回転駆動力が小さくなる。さらに、底面32dにあけた噴出孔36dから後述する高温ガスGを噴出させることにより、撹拌槽2の底壁2aに原料粉体等が付着するのを防止することができる。
【0035】
上記ガスGの給送手段を構成するドライヤー14には、設定温度の調節が可能なヒータが組み込まれており、当該ガスGの供給温度を設定可能に構成されている。これは、上記噴出孔36から雰囲気温度よりも高温のガスGを噴出させるようにしたもので、上記回転翼3の温度が雰囲気温度よりも低い場合には、当該回転翼3に結露が生じて湿式粒子Mが回転翼3に付着し易くなるが、上記構成によれば、回転翼3の温度が雰囲気温度よりも高くなるので、湿式粒子が回転翼に付着しにくくなるという利点がある。
【0036】
なお、上記ガスGとしては、熱風、乾燥空気(除湿空気)、冷風、チッ素ガス等、あらゆる気体ガスを用いることができるが、チッ素ガスを用いる場合には、撹拌造粒時の溶剤等の乾燥において爆発を防止することができる。さらに、原料粉体や湿式粒子にチッ素ガスGが吹き当たることで、当該原料粉体や湿式粒子の酸化を極力防止することができる。
【0037】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において、例えば下記のように種々変更を加えて実施することが可能である。
[1] 上記回転翼式撹拌装置は、原料粉体の撹拌混合、湿式造粒、及び湿式造粒の乾燥のために使用する装置として説明したが、造粒前において2種以上の原料粉状体を混合する工程にのみ用いることも可能であり、その場合においても混合の均一性、迅速性を高めることができる。
[2] 上記実施形態では、チョッパ4を併設したが、造粒前において原料粉体を混合する工程にのみ用いる回転翼式撹拌装置にあっては、チョッパを省略しても差し支えない。
[3] 上記実施形態では、翼片32に掬い上げ傾斜面32aと平坦な頂面32bと背面32cとを形成したが、上記頂面32bを省き、掬い上げ傾斜面32aに続いて背面32cを形成しても差し支えない。
[4] また、翼片32の背面32cは、掬い上げ傾斜面32aとは反対側に傾斜させたもの〔図1(B)〕に限らず、上記背面32cを逆方向(掬い上げ傾斜面32aと同方向)へ若干傾斜させたもの、あるいは略垂直に形成したものでも差し支えない。また、ガスの噴射孔36は、少なくとも上記背面32cに開口形成すれば足りる。
[5] 回転翼3を構成する翼片32の形状やその数を必要に応じて適宜変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明に係る回転翼式撹拌装置の一実施形態を示す一部縦断側面図、図1(B)は回転翼を構成する翼片の縦断面図である。
【図2】分割型回転翼を構成する翼片を示し、図2(a)はその翼片の平面図、図2(b)はその翼片の基端部のA−A線矢視縦断面図、図2(c)はその翼片の先端部のB−B線矢視縦断面図である。
【図3】従来例1に係る回転翼式撹拌装置の一部を破断した斜視図である。
【図4】図4(a)は上記従来例1による撹拌混合・湿式造粒・乾燥等の稼働状態を示す模式図、図4(b)は従来例2による上記稼働状態を示す模式図である。
【符号の説明】
2…撹拌槽、3…回転翼、10…回転駆動手段(第1モータ)、12…回転軸、20a…撹拌槽の底壁、30…回転翼の中央ボス部、32a…翼片の掬い上げ傾斜面、32c…翼片の背面、34・35…通気路、36…ガスの噴出孔、32…翼片、d…微小隙間、G…ガス、M…原料粉体・湿式粒子。
Claims (4)
- 回転駆動手段(10)で回転される回転軸(12)の先端部を撹拌槽(2)の底壁(20a)の中央部を貫通させて当該撹拌槽(2)内に突出させ、この回転軸(12)の突出先端部に回転翼(3)を固設し、上記撹拌槽(2)内にガス(G)を供給するように構成した回転翼式撹拌装置において、
上記回転軸(12)から回転翼(3)にかけて上記ガス(G)の通気路(34・35)を形成するとともに、上記回転翼(3)に当該ガス(G)の噴出孔(36)を開口形成し、
前記回転翼(3)は、中央ボス部(30)から放射方向に延びる少なくとも一つの翼片(32)を備え、上記翼片(32)は、前記撹拌槽(2)の底壁(20a)と微小隙間(d)を隔てて設けられ、当該撹拌槽(2)内の原料粉体や湿式粒子(M)を掬い上げる掬い上げ傾斜面(32a)を備え、
前記翼片(32)の旋回方向に見て、掬い上げ傾斜面(32a)の後方に位置する背面(32c)に前記ガス(G)の噴出孔(36)を開口形成した、ことを特徴とする回転翼式撹拌装置。 - 請求項1に記載した回転翼式撹拌装置において、
前記翼片(32)の基端部から先端部へかけて前記ガス(G)の噴出孔(36)を開口形成した、ことを特徴とする回転翼式撹拌装置。 - 請求項1又は2に記載した回転翼式撹拌装置において、
前記ガス(G)の温度を制御可能に構成し、前記噴出孔(36)から雰囲気温度よりも高温の前記ガス(G)を噴出させるように構成した、ことを特徴とする回転翼式撹拌装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した回転翼式撹拌装置において、
前記ガス(G)をチッ素ガスとした、ことを特徴とする回転翼式撹拌装置。
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