JP3631769B2 - フェニル置換2−チアゾリルテトラゾリウム塩指示薬 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、還元物質、特にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の測定に有用な色原性テトラゾリウム塩指示薬化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
テトラゾリウム塩は、還元物質に反応する色原指示試薬として十分公知である。還元に際して、テトラゾリウム塩はホルマザン染料生成物に変換される。これらの指示試薬は、種々の広範な分野、特に細胞染色並びに体液中の分析対象物、たとえば尿、乳汁、血清、及び血漿の測定にとりわけ適用されてきた医学的診断の分野における使用が知られている。一般に、体液分析対象物の測定は、試験される試料中に存在する分析対象物の量の関数としてNADHが形成される、NAD−依存性酵素反応を包含する。その場合、生成したNADHの量は、適切なテトラゾリウム塩指示試薬をそのホルマザン染料生成物に還元的に変換することによって、測定し得る。
【0003】
医学診断試験の分野では、テトラゾリウム塩指示試薬は、種々の異なる種類の製品に有用である。その中で特定されるものは試薬ストリップである。この製品は、特定の分析対象物、例えばグルコース又はコレステロールに反応する化学試薬を含浸され、又は別の方法で混和された紙又はその他の多孔質担体を包含する固体状態用具である。混和された試薬系は、マトリックスに塗布される試料中の分析対象物の量の関数として発色又は変色する色原性指示薬を含有する。その結果生じる測色反応は肉眼で観察され、定性的又は半定量的に読み取られる。定量的結果は、適切な計器(反射率メーター)を用いて、一つ又はそれ以上の特定の波長で、マトリックス表面の反射率を読み取ることにより観察できる。
【0004】
試験試料中に存在し得る主な妨害物質の吸光度より長い波長で強力な吸光度を有するテトラゾリウム指示試薬を開発する必要性が認識されている。たとえば、ヘモグロビンの色による妨害は、試料が全血である場合に特に問題である。約640nmを超える有意の吸収を示す指示試薬が、ヘモグロビン妨害を実質的に克服するために必要である。一般に用いられるテトラゾリウム塩指示試薬は、塩化2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウム(INT)、塩化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)、及び塩化2,2’,5,5’−テトラフェニル−3,3’−(3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニレン)ジテトラゾリウム(NBT)である。これらの化合物は、465〜605nmの範囲で最大吸収(UVmax)を示す。
【0005】
慣用的に用いられる従来技術のテトラゾリウム塩指示試薬の別の欠点は、それらの測色反応を測定するために用いられる計測の進展に関する。より小型で、安価な反射率メーターの開発は、急速に進歩しつつある。このような計量器のより高価な構成分の一つは、光源、入射光又は反射光の波長を選択又は限定するためのフィルター又はその他の分光要素、及びセンサーから成る光学系である。光学系要素の機能を削除するか、又は組み合わせるか、あるいはより安価な要素、たとえば照明光源にLEDを用いることによって、原価の顕著な節減を実現することができる。しかしながら、市販のLEDは、製造のばらつき及び温度依存性により、有意に変化し得る中心波長を有する光を発する。慣用的に用いられるテトラゾリウム塩指示試薬INT、MTT、及びNBTは、それらのUVmaxを超える領域で強く傾斜する反射スペクトルを有する。したがって、LEDの製造のばらつきを修正するために各計器を個々に検量しなければ、そして温度によるばらつきを修正するためにテストランを行わねば、検定結果に大きな誤差が生じ得る。
【0006】
以下は、測色分析における種々のテトラゾリウム塩の使用に関して教示している従来の技術の代表的なものである。Tanakaらの特開昭61−84号(Chem.Abst.104:203469y)は、ニッケル(II)の存在下における2−(2−ベンゾチアゾリル)−3−(カルボキシフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウムハロゲン化物の還元によって得られるホルマザンキレートを用いるグルコースの検出を記載している。Limbachらの西独特許第3,247,894号(Chem.Abst.101:125929vは、グルコース検定におけるINTの使用に関する。Rittersdorfらの西独特許第2,147,466号は、還元物質、たとえば還元糖、アスコルビン酸、及びケトステロイドの測定における7種の2−(2−ベンゾチアゾリル)−3−フェニル−5−(4−[トリメチルアンモニオ]フェニル)テトラゾリウム塩の使用を記載している。
【0007】
文献で公知の種々の2−チアゾリルテトラゾリウム塩及び/又はそれらの対応するホルマザンの代表的なものを以下に示す。Serebryakovaら,Khim.Geterotsikl.Soedin.10:1403−1405(1970)は、ベンゾチアゾリル−3−フェニル−(メチル)−5−p−ニトロ(ジメチルアミノ)フェニルホルマザンの合成及び染色特性を記載している。著者らは、5−フェニルのパラ位置の電子求引性のニトロ基及び1−位置のベンゾチアゾリル基がともに深色移動を示すと記載している。Lipunovaら,Khim.Geterotsikl.Soedin.(1971)831−835は、N−1−ベンゾチアゾリルホルマザンの可視スペクトルに及ぼすN−5−ナフチル又はo−トリル基の深色効果を比較している。Johneら,Pharmazie 34:790−794(1979)は、ある種の2−(4,5−ジフェニルチアゾール−2−イル)テトラゾリウム塩を記載している。
【0008】
【本発明の要約】
本発明は、還元によって新規で改良された光学的性質を有するホルマザンを得るチアゾリンテトラジリウム塩を提供する。本発明の化合物は、一般式Aのものである。
【0009】
【化8】
【0010】
(式中、R1 及びR2 の一方又は両方が非置換フェニルであるか、又は独立してアルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、スルホ、スルホンアミド、スルファモイル、トリアルキルアンモニオ、又はウレイドで置換されるフェニルであり、1個のみが置換又は非置換フェニルである場合は、他方は水素又はアルキルであり、R2 が置換又は非置換フェニルであるとき、R1 はスチリル又はナフチルであってもよく;
R3 が:(a1 )式B:
【0011】
【化9】
【0012】
(式中、Qは一重結合又は−CH=CH−であり、
(i)Y1 はアルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ハロ、又は水素であり、Y2 はアルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボキシル、シアノ、ハロ、水素、ニトロ、スルホ、スルホンアミド、スルファモイル、トリアルキルアンモニオ、又はウレイドであり、Y3 はアルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、カルボキシル、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、スルホ、スルホンアミド、スルファモイル、トリアルキルアンモニオ、又はウレイドであり、Y4 はアルコキシ、アリールオキシ、ハロ、又は水素であるか、あるいは
(ii)Y2 及びY3 が一緒になってメチレンジオキシ又はイミダゾを形成し、Y1 及びY4 が水素である)、
(b1 )2−、3−、又は4−ピリジル、
(c1 )2−又は3−チエニル、及び
(d1 )2−又は3−フラニル
から選択され、そしてR4 が:
(a2 )式C:
【0013】
【化10】
【0014】
(式中、Y5 はアルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ハロ、水素、ニトロ、又はウレイドであり、Y6 はアルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボキシル、シアノ、ハロ、水素、ニトロ、スルホ、スルホンアミド、スルファモイル、トリアルキルアンモニオ、又はウレイドであり、Y7 はアルコキシ、アリールオキシ、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、カルボキシル、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、フェニルアゾ、スルホ、スルホンアミド、スルファモイル、又はウレイドであり、Y8 はアルコキシ、アルキル、ハロ、水素又はニトロである)、
(b2 )式D:
【0015】
【化11】
【0016】
(式中、Y9 はアルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボキシル、シアノ、ハロ、水素、ニトロ、フェニルスルホ、フェニルアゾ、スルホ、スルホンアミド、スルファモイル、トリアルキルアンモニオ、又はウレイドである)、
(c2 )2−、4−、6−、又は8−キノリル、あるいは2−メチルキノリル、及び
(d2 )アントラニル
から選択され;
Xは対陰イオンであり;
【0017】
しかしR1 及びR2 がいずれも非置換フェニルのときに、(A)Qが−CH=CH−であり、Y1 、Y2 、Y3 及びY4 がすべて水素であるならば、R4 は2−カルボキシフェニルでなく、(B)Y5 及びY8 がいずれも水素であり、Y6 又はY7 の一方がカルボキシル又はスルホであり、他方が水素であるならば、R3 が非置換フェニル、2−ピリジル又は3−ピリジルでなく、そして(C)R4 が非置換フェニルであるならばR3 が非置換フェニルでない。)
【0018】
本発明の化合物は、約600nmを超える、好ましくは約650nmを超える広範なプラトーを示す反射スペクトルを特徴とする。このような反射率プラトーにより、反射率を読む試薬ストリップによる分析検定、特に光学測定系が種々の中心波長を有するときの分析検定の精度を向上させる。
【0019】
【好ましい態様の説明】
以下の定義が対象の開示に適用される:
”C1−4 ” − 残基を、たとえば炭素原子を含めた適切な1〜4個の原子を含有する形態に限定するために用いられる。たとえばC1−4 アルキル。
”アルキル” − 一般式Cn H2n+1の直鎖及び分枝鎖炭化水素残基、好ましくは”低級アルキル”、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、及びtert−ブチルのC1−4 アルキル、ならびに高級アルキル、たとえばn−ペンチル、n−ヘキシル等。
”アルコキシ” − 残基−OR(式中、Rはアルキルである)。
”アルキルアミド” − 残基−NRC(=O)R’(式中、R及びR’は、同一であっても異なってもよく、アルキルである)。
”アルキルチオ” − 残基−SR(式中、Rはアルキルである)。
”アミド” − 残基−NHC(=O)H。
”アミノ” − 残基−NRR’(式中、R及びR’は同一であっても異なってもよく、水素又はアルキルである)。
”アリール” − 芳香族炭素環式又は複素環式環又は環系からこのような環又は環系に結合する水素原子を除去することにより誘導される有機残基、たとえばフェニル、ナフチル、ピリジル、オキサゾリル、キノリル、チアゾリル、チエニル、及びフラニルなど。
”アリールアミド” − 残基−NRC(=O)R’(式中、R及びR’は同一であっても異なってもよく、アリールである)。
”アリールオキシ” − 残基−OR(式中、Rはアリールである)。
”アリールチオ” − 残基−SR(式中、Rはアリールである)。
”カルボアルコキシ”−残基−C(=O)OR(式中、Rはアルキルである)。
”カルバボアリールオキシ”−残基−C(=O)OR(式中、Rはアリールである)。
”カルバモイル” − 残基−C(=O)NRR’(式中、R及びR’は同一であっても異なってもよく、水素又はアルキルである)。
”カルボキシル” − 残基−C(=O)OH。
”ハロ” − フルオロ、クロロ、及びブロモ。
”イミダゾ” − 二価残基−N=CH−NH−。
”メチレンジオキシ” − 式−O−CH2 −O−の二価残基。
”フェニルアゾ” − 残基−N=N−フェニル。
”スチリル” − 残基−CH=CH−R(式中、Rはアリールである)。
”スルホ” − 残基−SO3 。
”スルファミド” − 残基−NRSO2 R’(式中、R及びR’は同一であっても異なってもよく、アルキル、アリール、又は水素である)。
”スルファモイル” − 残基−SO2 NRR’(式中、R及びR’は同一であっても異なってもよく、アルキル、アリール、又は水素である)。
”トリアルキルアンモニオ” − 残基−NR3 +(式中、Rはアルキルである)。
”ウレイド” − 残基−NRC(=O)NR’(式中、R及びR’は同一であっても異なってもよく、アルキル、アリール、又は水素である)。
【0020】
特に別記しない限り、置換されることもある残基、例えばアルキル、アリール、フェニルアゾ、及びスチリルの場合における上記の用語の使用は、このような残基の合理的に置換された形態、ならびにそれらの非置換形態を包含するように意図されると理解されるべきである。本発明の有用な化合物を生成する合理的な置換は、当業者には明らかであって、いくつか名前を挙げると、アルコキシ、アミノ、アルキルチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、スルホ、及びスルファモイルといった置換基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0021】
好ましいR1 及びR2 残基
R1 及びR2 のフェニル基は多重に置換さることができるが、実際には、通常は1個又は2個の置換基のみが存在する。1個の置換基の場合は、パラ位置であることが好ましい。さらに、合成及びホルマザンの反射スペクトルの観点からは、好ましい化合物は、次のようなものである:
(i)R1 及びR2 がいずれも非置換フェニル又はアルキコシ、アリールオキシ、アルキル、アミド、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルチオ、アリーリチオ、カルバモイル、カルボアルキコシ、カルボアリールオキシ、カルボキシ、シアノ、ハロ、トリアルキルアンモニオ及びウレイドから選択される同一の基でパラ置換されるフェニルである、又は
(ii)R1 及びR2 の一方がアルコキシ又はアリールオキシでパラ置換されるフェニルであり、他方が水素である。
【0022】
合成された化合物の性質に基づいて最も好ましい化合物は、R1 及びR2 がいずれも非置換フェニルであるか、あるいはR1 が非置換フェニル又はC1−4 アルコキシ、C1−4 アルキルもしくはハロでパラ置換されるフェニルであり、R2 が水素である。
【0023】
好ましいR3 及びR4 残基
合成及びホルマザンの反射スペクトル特性の見地から、R3 は好ましくは:
(a1 )式E:
【0024】
【化12】
【0025】
(式中、(i)Y2 、Y3 及びY4 は各々C1−4 アルコキシであり、
(ii)Y4 が水素であり、Y2 及びY3 がいずれもC1−4 アルコキシであるか、又は一緒になってメチレンジオキシを形成し、あるいは、
(iii)Y2 及びY4 がいずれも水素であり、Y3 がC1−4 アルコキシ、C1−4 アルキル、C1−4 アルキルアミド、C1−4 アルキルチオ、カルバモイル、カルボ(C1−4 )アルコキシ、カルボキシル、シアノ、ハロ、水素、ニトロ、トリ(C1−4 )アルキルアンモニオ、又はウレイドである)の残基、及び
(b1 )2−又は3−チエニル
から選択されるものである。
【0026】
製造された化合物の特性及び合成に基づけば、R3 が以下の:
3,4,5−トリメトキシフェニル、
3,4−ジメトキシフェニル、
3,4−メチレンジオキシフェニル、
4−メトキシフェニル、
4−アセトアミドフェニル、
4−メチルチオフェニル、
4−フェニル、
4−ハロフェニル、
4−シアノフェニル、
4−ニトロフェニル、
2−チエニル、及び
3−チエニル
から選択されるのが最も好ましい。
【0027】
好ましいR4 残基は、:
(a2 )上記の式C
(式中、(i)Y5 は水素であり、Y6 、Y7 、及びY8 は各々C1−4 アルコキシであり、
(ii)Y5 及びY8 はともに水素であり、Y6 及びY7 はともにC1−4 アルコキシであるか、又は一緒になってメチレンジオキシを形成し、
(iii)Y5 、Y6 及びY8 は各々水素であり、Y7 はC1−4 アルコキシ、C1−4 アルキルアミド、C1−4 アルキルチオ、ベンズアミド、カルバモイル、カルボ(C1−4 )アルコキシ、カルボキシル、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、フェニルアゾ、スルホ、スルホンアミド、スルファモイル、又はウレイドであり、
(iv)Y5 はアルコキシ又はアルキルであり、Y6 及びY8 はいずれも水素であり、Y7 はC1−4 アルコキシ、C1−4 アルキルアミド、C1−4 アルキルチオ、ベンズアミド、カルバモイル、カルボ(C1−4 )アルコキシ、カルボキシル、シアノ、水素、ニトロ、フェニルアゾ、又はウレイドであり、
(v)Y5 及びY8 はC1−4 アルコキシであり、あるいは
(vi)Y5 及びY8 はC1−4 アルコキシであり、Y7 はC1−4 アルキルアミド又はベンズアミドである)の残基、及び
(b2 )上記の式D
(式中、Y9 はC1−4 アルコキシ、C1−4 アルキル、C1−4 アルキルアミド、C1−4 アルキルチオ、シアノ、ハロ、水素、ニトロ、スルホ、スルホンアミド、又はウレイドである)の残基、及び
(c2 )8−キノリル
である。
【0028】
製造された化合物の特性及び合成に基づけば、R4 が以下の:
3,4,5−トリメトキシフェニル、
3,4−ジメトキシフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、
3,4−メチレンジオキシフェニル、
4−メトキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、
4−メチルチオフェニル、4−カルボキシフェニル、
4−ニトロフェニル、2−メトキシフェニル、
2−メトキシ−4−カルボキシフェニル、
2,5−ジメトキシフェニル、
2,5−ジメトキシフェニル−4−ベンズアミドフェニル、
1−ナフチル、4−ニトロ−1−ナフチル、
4−メトキシ−1−ナフチル、8−キノリル、
2−メチル−4−カルボキシフェニル、
4−カルボメトキシフェニル、
4−シアノフェニル、及び
4−シアノ−1−ナフチルから選択されるのが最も好ましい。
【0029】
対陰イオン
対陰イオンの選択は、主として特定のテトラゾリウム塩の安定性及び溶解性の考察に基づく。概して、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、フルオロホウ酸塩、過塩素酸塩、及び硫酸塩などの無機陰イオン;ならびに酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、及びアリールスルホン酸塩(ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩)などの有機陰イオンのような対陰イオンから選択される。
【0030】
合成方法
テトラゾリウム塩は、文献で十分公知の方法によって合成される(Hooper,W.D.,Rev.Pure and Appl.Chem.,1969,19,221;Putter,R.,in Methoden der Organischen Chemie,Houben−Weyl−Muller 編,Thieme Verlag:Stuttgart,1965,Bd.10/3,p.633;Nineham,A.W.Chem.Rev.,1955,pp.355−483)。一般に、本発明のテトラゾリウム塩は、まず2−ヒドラジノチアゾールをアルデヒドと反応させ、次にその結果生じたヒドラゾンをジアゾ化アニリンで処理して合成する。その結果生じたホルマザンを、次に十分公知の方法によって酸化して、テトラゾリウム塩にする。その結果として、合成は3つの主な出発原料、すなわちアルデヒド、アニリン、及び2−ヒドラジノチアゾールを包含する。
【0031】
【化13】
【0032】
2−ヒドラジノチアゾールの合成
本発明の1群化合物は、非置換2−ヒドラジノベンゾチアゾール(R1 及びR2 は一緒になって非置換ベンゾ環を形成する)から合成する。2つの方法により4,5−ジフェニル−2−ヒドラジノチアゾールを合成する。1つは、まず2つのアルデヒド間にベンゾイン縮合(17)物質を形成することによるものである(Ide,W.S.,Buck,J.S.,Org.React.,1948,Vol.4,269)。この方法で得られないベンゾインは、フェニル置換”アシル陰イオン等価物”と別のアルデヒドを縮合し、その後カルボニル保護基を除去することにより合成する(Bertz,S.,J.Chem.Soc.,Chem.Comm.,1980,17,831)。特定の例としては、金属化したO−トリメチルシリルシアノヒドリン(3)とアリールアルデヒドとの縮合がある。この物質(4)を、酢酸水溶液を用いて脱保護化して、ベンゾイン物質(1)を生じる。
【0033】
【化14】
【0034】
次に、ベンゾイン物質を、塩化チオニルのような慣用試薬を用いてハロゲン化物(2)に変換して、α−ハロケトン(2)を生成し、これをチオウレアと反応させて4,5−ジフェニル−2−アミノチアゾールを生成する(Traumann,V.,Liebigs Ann.Chem.,1888,250,31;Dodson ら,J.Am.Chem.Soc.,1945,67,2442)。これらを、ベンゾ化合物の実施例に関して記載されているように、ヒドラジンを用いて2−ヒドラジノ化合物に変換し得る。
【0035】
同じα−ハロケトンは、チオシアン酸塩と反応して、α−チオシアノケトン(5)を生じ、それは容易に環化される。たとえば、塩化水素ガスと反応させた場合、2−クロロチアゾール(6)が得られるが、これはヒドラジンと反応して2−ヒドラジノチアゾールを生じる。
【0036】
【化15】
【0037】
あるいは、α−ハロケトンは、ハロケトンをN−アリールチオセミカルバゾン(7)で処理することにより、必要なヒドラゾン(8)を直接生成するために用い得る(John,S.,Schaks,A.,Hartung,S.,Scharf,K.−D.及び Nover,L.,Pharmazie,1979,34,790)。
【0038】
【化16】
【0039】
4−位置をアリールで置換され、5−位置をアルキルで置換され又は非置換のチアゾールは、α−ハロケトン及びチオセミカルバゾン又はチオウレアと同様に合成する。
【0040】
【化17】
【0041】
アルデヒドの合成
アルデヒドは、市販品を購入するか、あるいは当業者によく知られた方法で合成することもできる。
【0042】
たとえば、アリールメタンのベンジル酸化(March,J.,Advances Organic Chemistry Third Edition;John Wiley and Sons:New York,1985;p.1079)、アリール酸塩化物(同書 p.396)、又はアリール酸誘導体の還元(Larock,R.C.,Comprehensive Organic Transformations;VCH:New York,1989;pp.604−605)により、アルデヒドを合成する。
【0043】
アルデヒドを合成するために、アリールハロゲン化物を用いてもよい。この方法では、金属転位反応は、アルデヒドを生成するために、種々の試薬、例えばジメチルホルムアミドで処理できるアリール金属種を生じる(同書 p.681−683)。
【0044】
前述のアリールアルデヒド、酸、メタン、及びハロゲン化合物は、テトラゾリウム塩に転換される前に種々の官能基で誘導される。これは、芳香族求核性置換(March,J.,Advances Organic ChemistryThird Edition;John Wiley and Sons:New York,1985;pp.576−607)、芳香族求電子性置換(同書 pp.447−511)、又はヘテロ原子向性金属化反応(Gschwend,H.W.,Rodriguez,H,R., Organic Reactions,John Wiley and Sons:New York,1979;Vol.26,1)によって達成される。
【0045】
テトラゾリウム塩のアルデヒド部分がフェノール又はアミンを含有する場合は、この基は、これらとテトラゾリウム塩を合成するために用いられるジアゾ化アニリン又は酸化剤との間の反応が起きないよう、保護されねばならない。
【0046】
これは、酢酸塩としてヒドロキシアリールアルデヒドを保護し、ホルマザンを生成するための一連の反応を実施し、ついでpH10で酢酸塩を加水分解することによって達成される。pH5に酸性化し、ついで濾過すると、所望のホルマザンが生じる。
【0047】
テトラゾリウム塩の合成に際して、その結果生じたホルマザンを酸化剤と反応させる場合は、フェノールをジヒドロピランのような酸性で不安定な基によって保護し(Greene,T.W.,Protective Groups inOrganic Synthesis,John Wiley and Sons:New York;1981,pp.87−113)、ついで酸性条件下でテトラゾリウム塩を攪拌することにより、保護基を除去する。
【0048】
同様に、アルデヒド部分におけるアミンは、それらの反応を阻止するために保護されねばならない。これは、酸性で不安定なカルバミド酸塩を用いることによって、最もよく成し遂げられ(同書 pp.218−247)、そのカルバミド酸塩は、酸性条件下でテトラゾリウム塩を攪拌することにより、後に除去される。
【0049】
アリールアミンの合成
アリールアミンは、対応するニトロ又はアジド化合物の還元(Larock,P.C.,Comprehensive Organic Transformations;VCH:New York,1989;pp.412−415又は409−410)、アリール金属化合物と求電子性窒素試薬間との反応(同書pp.399−400)、又はアシルアジド又は酸化アミドの転位(同書 pp.431−432)により合成する。
【0050】
アルデヒドの場合と同様に、求電子性及び求核性の芳香族置換を用いて、異なる官能基をアリールアミン又は合成前駆体に導入することができる。
【0051】
化合物の使用
本発明のテトラジリウム塩化合物の主要な用途は、還元物質の検出のための色原指示薬である。本化合物はNADHの検出に特に有益である。NADHは種々の生化学物質に特異的な酵素触媒検出反応で生成されるので、本化合物は医学的診断試験に特に有用である。しかし、一般に他の還元物質、たとえば硫化水素ガス、ジボラン、水素化ヒ素、又は水素化リンの検出も可能である。
【0052】
本化合物は、約600nmを超えるその反射スペクトルにおいて広範なプラトーを示すことが見出された。本発明の最も好ましい指示試薬化合物は、約650nmを超えるプラトーを有する(すなわち、最も平坦な約50nm幅部分が640〜660nmで始まる)。このような反射率プラトーは、試薬ストリップからの反射率の測定を基準にした分析試験の精度を改良する。
【0053】
試薬ストリップは、当該分析対象物を含有する液体試験試料と接触させると応答して変色する試験組成物を包含する固体担体マトリックスからなる分析具として、当業界で公知である。このような試験組成物は、本発明の場合、(a)分析対象物と反応して還元物質を生じる単数又は複数の試薬、及び(b)このような還元物質により還元されて色原性ホルマザン染料物質を生じ得る、本明細書に記載されているような2−チアゾリルテトラゾリウム塩を包含する。このような試薬ストリップの呈色応答は、肉眼で観察されて半定量的値を示すが、しかしながら、定量的結果は、あらかじめ確定された波長で担体マトリックスの反射率を測定することによって得られる。このような測定は、反応した担体マトリックスを光源で照射し、検出器要素で反射光を測定することにより、担体マトリックスの反射率を検知することを含む。
【0054】
反射率プラトーを有するテトラゾリウム塩指示試薬の発見は、その光学系(光源、検出器要素、スペクトル制御要素、たとえばフィルター、及びその他の部分の組合)の中心波長のばらつきを受けやすい計器を用いて試薬ストリップからの反射率を読み取る場合に用いて、特に有益である。光学系の中心波長のばらつきは、種々の因子、たとえば主照明光源又はフィルターのようなスペクトル制御要素の中心波長のばらつきによって引き起こされる。たとえば、光源として発光ダイオード(LED)を用いると、放射される光の波長は、一般にひとつの計器内では±4nm変化し、製造のばらつきのために、異なる計器のLED間では±8nmまで変化する。さらに、LEDは温度効果によっても、同様に中心波長の変化を受けやすい。広帯光源をフィルターとともに用いて中心波長のスペクトル制御を提供する場合、ひとつの計器内のばらつきは一般に1nm以下であるが、しかしながら計器間では、ばらつきは±6nmという高さである。したがって、本発明は、計器中の検出要素に反応する光の中心波長が約±5nmの範囲のばらつきを受ける場合に適用可能である。
【0055】
本発明に用いるための試薬ストリップを製造する場合、担体マトリックスの選択、分析対象物と反応して還元物質を生じる試験試薬、及びこのような試薬及びテトラゾリウム指示試薬が担体マトリックスに包含される方法は、試薬ストリップの当業界には十分公知である。ちょうど2〜3の実施例を詳述するために、一般的担体マトリックスは多孔性かつ吸収性の紙、布、ガラス繊維フィルター、重合性膜及びフィルム等である。組込み方法には、1つ又はそれ以上の工程での、溶液、懸濁液、又はその他の液体形態の試験組成物による形成された担体マトリックスの含浸、その後のマトリックスの乾燥;たとえば、フィルム又は膜形成処方物の溶液の注ぎ込み又は層形成による、試験組成物の1つ又はそれ以上の成分の存在下でのマトリックスの形成が含まれる。
【0056】
【実施例】
以下の実施例で本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
A.化合物合成
ヒドラゾンの合成
アリールアルデヒドの合成
4,5−ジアリールチアゾール−2−イルヒドラゾン及びアリールアルデヒド
4−アリール−5−アルキル又はハロゲンチアゾール−2−イルヒドラゾン
200mlのエタノール中の510mmolのチオセミカルバゾン、50mmolのα−クロロケトン及び100mmolのピリジンを1時間還流した。混合物を室温に冷却し、ついで濾過して、ヒドラゾンを得た。
【0058】
アリールアルデヒドの合成
4−スチリル−5−アリールチアゾール−2−イルヒドラゾン
1,4−ジアリール−2−オキソ−3−ブテンを、S.A.Fine及びP.D.Pulaskiの、J.Org.Chem.38,1743(1973)に記された方法で合成した。P.L.Southwink及びD.I.Sapperの、J.Org.Chem.1926(1954)に記された方法に従って、130mmolの1,4−ジアリール−2−オキシ−3−ブテン、130mmolのヨウ素及び260mmolのチオセミカルバゾンの混合物を1,200mlのエタノール中で5時間還流した。混合物を室温に冷却して濾過し、ヒドラゾンを得た。
【0059】
ホルマザンの合成
60mlの3N HCl中の8.5mmolのアミンのスラリー又は溶液を5℃に冷却することにより、まずジアゾニウム塩を合成した。次に、5mlの水に溶解した亜硝酸ナトリウム(0.70g、10.15mmol)を滴下した。30分攪拌後、混合液を、120mlの1:1(容量比)DMF−ピリジン混液に溶解した8.5mmolのヒドラゾンの冷(−25℃)混合液に滴下した。反応は、滴下中は−15℃より高温にしない。2時間の攪拌を行いつつ、その混合液を室温まで加温した。濾過により、黒色固体としてホルマザンを生じた。不純物は、メタノールで何度も洗浄するか、又はメタノールに溶解した固体を還流し、熱い間に濾過することにより除去することができた。
【0060】
テトラゾリウム塩の合成
1.5mmolのホルマザンのスラリーを、20mlの酢酸及び4mlの亜硝酸イソアミルとともに16〜48時間攪拌した。次に、その混合液を濾過して、テトラゾリウム塩を得た。その塩が沈殿しない場合は、エテールで希釈すると沈殿を生じた。
【0061】
B.試薬ストリップの調製
各指示試薬を試薬ストリップに含浸し、既知量のグルコース又はNADHを含有する溶液で試験した。試薬ストリップは、単一の試薬パッドが付着するポリスチレンハンドルからなる。試薬パッドは0.2x0.2インチ四方で、適切な分析対象物を含有する試料のアリコートを用いた場合に計器で読み取れる変色をさせる試薬を含有する。乾相試薬パッドは、実施例のようにセルロース繊維又はナイロン膜から成る固体支持体である。試薬パッドをまず、メタノールのような溶剤に溶解した当該テトラゾリウム塩(0.8M/リットル)及び洗剤(0.3%)の溶液で含浸した。試薬パッドに含浸される第二溶液は、以下の成分を含有した:
【0062】
【表1】
【0063】
0〜33mM/リットルの少なくとも5つの異なるグルコース又はNADHの濃度を有する約0.01mlのいくつかの試験溶液(血清、血漿、水溶液)を、乾燥試薬パッドの中央に塗布した。約60秒の遅滞時間後、各指示試薬の反射スペクトルを、400〜1100nmの波長範囲にわたって、5nm増分で測定した。
【0064】
C.実用性データ
以下は、本発明の種々の合成されたテトラゾリウム塩に固有のスペクトル及びその他の分析データの表である。化合物は、それらのトリアゾール残基の形態により、ついでそれらのR4 置換基により、最後にそれらのR3 置換基によって、順にまとめられている。たとえば、示された最初の化合物は、A.1.a)であり、A式(式中、R1 及びR2 はいずれも4−メトキシフェニルであり、R4 はカルボキシフェニルであり、R3 は2−チエニルである)を有し;第二の化合物B.1.a)は異なるチアゾリル残基(R1 及びR2 はいずれも非置換フェニルである)を有し、R4 はカルボキシフェニルであり、R3 は3,4−メチレンジオキシフェニルである;等。
【0065】
テトラゾリウム塩の反射スペクトルは、それらが観察又は測定される周囲の状況によるものと理解される。個々のテトラゾリウム塩を比較するために、以下のデータは600nmより大きい波長での反射スペクトルの最も平坦な部分の相対的扁平度の測定値を含み、スペクトルは上記のパートBに記載されたように調製されたグルコース又はコレステロール試薬ストリップを用いて発生される。スペクトルの相対的扁平度は、下記のように検出された分析対象物のレベルに関して標準化されるK/S単位のデータで表される。
【0066】
K/Sは、式:(1−R)2 /2R(式中、Rは計器で読み取る反射率単位である)
で定義される。K/Sのパーセント変化(百分率で表される)は、50nmの範囲にわたる変化を、このような範囲での高及び低K/S値の平均で割った値である。
【0067】
本化合物のプラトー特性は、本発明の目的に関しては、約600nmを超える波長で始まる30〜50nm波長スパンにわたる約17%未満の反射スペクトルのパーセント変化(上記の段落に記載されているようなK/Sにより表される)と理解されるべきである。より好ましい化合物は、約10%未満のK/Sのパーセント変化を有するプラトーを示す。最も好ましいのは、テトラゾリウム塩指示試薬が50nm波長スパンにわたって約5%又はそれ未満のK/Sのパーセント変化を示すものである。より傾斜した反射スペクトルを有する化合物は、それでもなお、平坦な位置が650nmを超え、より好ましくは675nmを超えるときに好ましい。
【0068】
図面を参照すると、図1〜4は、グルコースの種々の濃度で、従来技術のテトラゾリウム塩INT、MTT、及びNBTを還元した場合に生じるホルマザンの反射スペクトルを示す。比較のために、図5は、各種濃度のNADHを試験したときの、本発明の化合物(KJE1264)(下記の表のA−1−a項を参照)に関する対応スペクトルを示す。本化合物からのホルマザンのスペクトルにおけるプラトーの存在、及び従来の技術からのホルマザンの場合のその不在は、容易に明らかである。
【0069】
上記の4つの従来技術の化合物は、以下のように650〜700nmの波長範囲にわたるK/Sのパーセント変化を示す:
INT 71%
MTT 178%
NBT 73%
USSR 28%
【0070】
ホルマザンに関するパーセントK/Sが低いほど、テトラゾリウム塩は反射率の測定に、それゆえ分析対象物濃度の測定に用いる光学系の中心波長のばらつきに、より多く対応できる。
【0071】
以下の非標準的略語を、以後の文中に用いる:
”UV” − ホルマザンのUV反射スペクトルの最大反射率ピークの波長(nm)。吸光係数及び測定中に用いる溶剤は、括弧内に示される。
”nm” − 50nm波長スパンにわたるホルマザンの反射スペクトルの最も扁平な部分の位置(開始及び収量波長(nm)で表される)。
”K/S” − 反射スペクトルの上記の最も平坦な50nm部分のK/Sにおけるパーセント変化。反射スペクトルを生じるために用いられる分析対象物の濃度は、括弧内に示される。Mmolは、mmol/リットルでの濃度を示す。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
本発明を、上記に特定的に説明し、例示した。本発明のその他の変更及び修正は、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいてなされ得る。
すなわち、本発明(1)は、式:
【化19】
{式中、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ビス(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル、4,5−ジフェニルチアゾール−2−イル、4−フェニル−チアゾール−2−イル、4−(p−フルオロフェニル)チアゾール−2−イル、4−フェニル−5−メチルチアゾール−2−イル又は4−ナフチル−5−フェニルチアゾール−2−イルになるものであり;R4は、4−カルボキシフェニル、フェニル、3−ピリジル、4−ニトロナフチル又は3,5−ジカルボキシフェニルであり;R3は、3,4−メチレンジオキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−メチルフェニル、2−チエニル、4−フルオロフェニル又は3−チエニルであり;X-は対陰イオンであり;還元状態にあるときに、50nm波長スパン(ここで、該波長スパンの中点は、640nm以上にある)にわたるK/Sパーセント変化が、約17%以下である}で示されるテトラゾリウム塩である。
また、本発明(2)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ビス(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が2−チエニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
更に、本発明(3)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニル又は4−メトキシフェニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
また、本発明(4)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4がフェニルであり、R3が2−チエニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
更に、本発明(5)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が3−ピリジルであり、R3が4−メトキシフェニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
また、本発明(6)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が4−ニトロナフチルであり、R3が3−チエニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
更に、本発明(7)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が3,5−ジカルボキシフェニルであり、R3が3,4−メチレンジオキシフェニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
また、本発明(8)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−フェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
更に、本発明(9)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−(p−フルオロフェニル)チアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
また、本発明(10)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−フェニル−5−メチルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、2−チエニル又は4−メチルフェニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
更に、本発明(11)は、R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−ナフチル−5−フェニルチアゾール−2−イルであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニル又は2−チエニルである、前記発明(1)のテトラゾリウム塩である。
また、本発明(12)は、前記発明(1)〜(11)のいずれかのテトラゾリウム塩の1種以上を使用することを含む、還元物質の検出方法である。
更に、本発明(13)は、還元物質がNADHである、前記発明(12)の方法である。
また、本発明(14)は、還元物質が、硫化水素、ジボラン、水素化ヒ素又は水素化リンである、前記発明(12)の方法である。
更に、本発明(15)は、前記発明(1)〜(11)のいずれかのテトラゾリウム塩を1種以上含有する、テトラゾリウム指示薬である。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のグルコース濃度での、テトラゾリウム塩INTを還元した場合に生じたホルマザンの反射スペクトルを示す図である。
【図2】種々のグルコース濃度での、テトラゾリウム塩MTTを還元した場合に生じたホルマザンの反射スペクトルを示す図である。
【図3】種々のグルコース濃度での、テトラゾリウム塩NBTを還元した場合に生じたホルマザンの反射スペクトルを示す図である。
【図4】種々のグルコース濃度での、2−(ベンゾチアゾール−2−イル)−3−(1−ナフチル)−5−フェニルテトラゾリウム塩(USSR)を還元した場合に生じたホルマザンの反射スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の化合物2−(4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−チアゾール−2−イル)−3−(4−カルボキシフェニル)−5−(2−チエニル)テトラゾリウム塩(KJE1264)からのホルマザンの対応するスペクトルを示す図である。
Claims (15)
- 式:
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ビス(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が2−チエニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニル又は4−メトキシフェニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4がフェニルであり、R3が2−チエニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が3−ピリジルであり、R3が4−メトキシフェニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が4−ニトロナフチルであり、R3が3−チエニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4,5−ジフェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が3,5−ジカルボキシフェニルであり、R3が3,4−メチレンジオキシフェニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−フェニルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−(p−フルオロフェニル)チアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−フェニル−5−メチルチアゾール−2−イルになるものであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、2−チエニル又は4−メチルフェニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- R1及びR2は、2−チアゾリル基が4−ナフチル−5−フェニルチアゾール−2−イルであり、R4が、4−カルボキシフェニルであり、R3が、3,4−メチレンジオキシフェニル又は2−チエニルである、請求項1記載のテトラゾリウム塩。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載のテトラゾリウム塩の1種以上を使用することを含む、還元物質の検出方法。
- 還元物質がNADHである、請求項12記載の方法。
- 還元物質が、硫化水素、ジボラン、水素化ヒ素又は水素化リンである、請求項12記載の方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載のテトラゾリウム塩を1種以上含有する、テトラゾリウム指示薬。
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