JP3631581B2 - 熱延連続化プロセスを用いた成形性に優れた加工用薄鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延連続化法による熱延鋼板の製造方法、およびそれらを素材とする冷延鋼板の製造方法に係り、特に自動車や産業機械等に用いられる成形性に優れた加工用薄鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の加工用鋼板の技術分野では、加工性の良い冷延鋼板が使用されていたが、素材のコストダウンのため最近は冷延鋼板に代わる素材として比較的安価な加工用熱延鋼板が使用されるようになってきている。
【0003】
一方、表面品位や板厚精度が必要とされる分野では、品質を損なうことなく従来より低価格な冷延鋼板が求められている。
【0004】
本発明は、熱延連続化法による熱延鋼板の製造方法、およびそれらを素材とする冷延鋼板の製造方法に係り、特に自動車や産業機械等に用いられる成形性に優れた加工用薄鋼板の製造方法に関するものである。
【0005】
自動車や産業機械等に用いられる加工用熱延鋼板、および加工用冷延鋼板用素材としての熱延鋼板(以下ではこれらを併せて単に熱延鋼板と記載する)の製造方法は、連続鋳造した鋼スラブを加熱炉で約1200℃に加熱し、次いで熱間圧延機で粗圧延し、仕上圧延をした後に冷却水により冷却してコイルに捲取るのが一般的である。この様な従来の熱延鋼板の製造方法では、鋼スラブ毎に熱間圧延して、仕上鋼板をランナウトテーブルに設けた冷却装置で冷却水によりラミナー冷却して捲取温度となった熱延鋼板をコイルに捲取っている。ところが、熱間仕上鋼板を冷却する際に、鋼板の先端から冷却しようとしても、鋼板の先端が冷却水の水柱と衝突し、水柱の影響力によって、鋼板が変形失速して通板上のトラブルが発生するので冷却処理をすることができなかった。この現象は、板厚が薄くなればなるほど顕著である。
【0006】
そのため、従来は、熱延鋼板を捲取温度まで冷却する際は、通板上のトラブルを避けるために熱延鋼板の先端部を冷却することなしに、熱延鋼板の先端をピンチロールに噛み込ませて、その後に冷却を行っていた。このような従来の熱延鋼板の冷却方法では、鋼板の先端部は冷却処理されていないから、その部分は材質不良となり、製品として出荷する際、あるいは冷延鋼板用素材とする際に鋼板の冷却処理されていない先端部を切り捨てることが行われていて、製品歩留りが悪いという問題があった。
【0007】
次いで、加熱炉での加熱処理について検討すると、加工性を劣化させないで、熱間圧延をするためには、圧延される鋼板の温度を少なくともAr3変態点以上の温度とする必要がある。図1は熱延鋼板の仕上げ温度分布を示す図である。図1に示すように、熱間圧延される鋼板の先端部の仕上温度が一番低く、後端部になるに従い仕上温度が高くなる。後端部の仕上温度が高くなる理由は、加工発熱によるものと考えられる。
【0008】
このように、鋼板の仕上温度は、鋼板の全長に亘って均一でないため、鋼板の材質も先端部と中間部とで異なったものとなり問題があった。
【0009】
また、加熱炉での加熱は、熱間加工される鋼板の最低仕上温度、即ち、鋼板の先端部の仕上げ温度がAr3変態点以上の温度となるように加熱温度を選定しなければならなかった。
【0010】
そのため、従来の加熱炉での加熱は、Ar3変態点よりもかなり高温の約1200℃の温度に加熱することが行われていた。この加熱を省エネルギー上のコストバランスから見ると、鋼板の先端部以外では、過剰加熱が行われていることとなっていて、コストバランスが悪いという問題がある。
【0011】
熱消費を極めて少なくして、加熱炉原単位の低減をはかる加工用熱延鋼板の製造方法が、特公昭64−11695号に提案されている。この方法は、連続鋳造して得られた熱スラブをAr3変態点以下に降温せしめることなくAr3〜1200℃の温度で5〜30%の圧下を行い、続いて950〜1150℃に保持された加熱炉に装入加熱した後熱間圧延を行うものであるが、この方法では、熱延鋼板の中間部の温度についての熱延条件は適切なものであるとしても、前述した熱延鋼板の先端部の温度低下の問題を解決することについての考慮がはらわれておらず、加熱炉原単位の低減がはかられたとしても、鋼板全体に亘って加工性を劣化させることなしに熱間仕上圧延を行い、均質な鋼板を得ることは技術的に困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、熱延鋼板の材質を全長に亘って均一にすると共に、先端部の材質不良による歩留りを向上させること、及び加熱炉における省エネルギーによるコストメリットを向上させ、且つ、生産性を向上させた成形性に優れた加工用薄鋼板を製造することを解決課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための手段は以下の通りである。
【0014】
(1) 炭素含有量0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに捲取ることを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法において、前記加熱炉での加熱を950〜1150℃の低温加熱とし、そして、粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合して連続的にAr3変態点温度以上で等速熱間仕上圧延を行うことを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法。
【0015】
(2) 炭素含有量0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに捲取ることを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法において、鋼スラブを加熱炉で950〜1150℃の低温加熱後に粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合して連続的に熱間仕上圧延を行い2.0mm以下の板厚の熱延鋼板とすることを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法。
【0016】
(3) 炭素含有率0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに巻き取る熱延工程と、その後更に冷間圧延と再結晶焼鈍を行う冷延工程とから成る加工用冷延鋼板の製造方法において、鋼スラブを加熱炉で950〜1150℃の低温加熱後に粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合することにより、Ar3変態点温度以上の等速仕上圧延と圧延後の冷却を連続的に行う熱延工程を有することを特徴とする成形性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法。
【0017】
(4)炭素含有率0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに巻き取る熱延工程と、その後更に冷間圧延と再結晶焼鈍を行う冷延工程とから成る加工用冷延鋼板の製造方法において、前記加熱炉での加熱を950〜1150℃の低温加熱とし、そして粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合することにより、Ar3変態点温度以上の等速仕上圧延と圧延後の冷却を連続的に行う熱延工程を有することを特徴とする成形性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法。
【0018】
(5)上記(4)に記載の加工用冷延鋼板の製造方法において、熱間仕上圧延後の板厚が2.0mm以下であることを特徴とする成形性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法。
【0019】
以下本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明では、熱延鋼板先端部の冷却処理を可能とし、材質不良をなくして歩留りを向上させるために、粗圧延された熱延鋼板の先端と、先行する熱延鋼板の後端とを溶接によって接合する。接合された鋼板は一体となるから、連続的に熱間仕上圧延をすることができ、熱延仕上鋼板の最初の先端部を捲取機のピンチロールに噛み込ませれば、それ以降は連続して冷却装置によって冷却水による冷却が可能となるものであり、捲取温度に冷却された熱延仕上鋼板は、捲取機で捲取られる。なを、熱延仕上鋼板は、所定の長さで切断機によって切断され捲取機で捲取られるが、切断部位は接合部であることが好ましい。
【0021】
従来の熱延方法では、熱延仕上鋼板を冷却装置によりラミナー冷却する際に、鋼板の先端部から冷却しようとしても鋼板の先端部が冷却水の水柱と衝突し、水柱の影響力によって鋼板が変形失速して通板上のトラブルが発生して冷却できなかった。この現象は特に薄板(板厚2mm以下)について顕著であった。
【0022】
しかし、本発明によれば、最初の熱延鋼板の先端部は従来と同様に冷却されていないので材質不良となるものの、それ以降に連続的に熱延された鋼板は、鋼板の先端部が存在しないので全て冷却することが可能となり、材質不良部分が存在しないこととなり、材質不良による製品歩留りが向上できる。
【0023】
本発明で製造する成形性に優れた加工用薄鋼板は、自動車や産業機械等に用いられる300〜380MPaのクラスの軟質鋼板を対象としており、これら鋼板の成分及び成分範囲の具体例は以下の如くなっている。
【0024】
例1.低炭素系鋼板
C:0.1%以下、
Mn:0.1〜1.0%、
Si:0.1%以下、
P:0.025%以下、
S:0.025%以下
を含有し、残部実質的にFeから成る成形性に優れた加工用薄鋼板。
【0025】
例2.極低炭素系鋼板
C:0.0050%以下、
Mn:0.05〜0.6%、
Si:0.05%以下、
P:0.015%以下、
S:0.015%以下、
及び
B:0.0002〜0.0040%、
Ti:0.015〜0.06%、
Nb:0.010〜0.040%
の内から選択された一種以上を含有し、残部実質的にFeから成る成形性に優れた加工用薄鋼板。
【0026】
成形性に優れた加工用薄鋼板中に含有されるCは、硬化元素でありC含有量が多くなると硬質となり成形性が悪くなるので、成形性を向上させるにはC含有量は少ない方が好ましい。低炭素系鋼板では、Cは最大0.1%迄含有させることができ、また、極低炭素系鋼板では、Cは最大0.0050%迄含有させることができる。
【0027】
Mnは、靱性を付与するために必要な元素であるが、多くなると加工性を劣化させる。Siは、脱酸剤として添加するが多くなると硬化する。P、Sは、不可避的に含有されるが、多くなると加工性に悪影響がでる。B、Ti、Nbは微細な炭窒化物を形成するが、多くなると加工性を劣化する。
【0028】
この様な理由で、上記例に示す様な成分、成分範囲に調整されている。しかし、本発明での加工用薄鋼板は、上記具体例に限られるものではない。
【0029】
次いで、加熱炉による加熱温度について説明する。
【0030】
図2は、加熱炉温度と熱延鋼板の仕上温度との関係を模式的に示す図である。図2に示すように、従来の熱間圧延方法では、通常、加熱炉で約1200℃に加熱した状態の鋼スラブを熱間圧延しているが、熱延仕上鋼板の中間部の温度は約900℃、熱延仕上鋼板の先端部はAr3変態点近傍の温度にそれぞれ低下していた。この様に熱延仕上鋼板の先端部の温度低下が著しいものであった。
【0031】
ところが、本発明では、粗圧延された熱延鋼板の先端を、その前に粗圧延され熱延ラインを先行する熱延鋼板の後端に接合してあるので、連続的に熱間圧延をすることが可能となり、しかも、その熱間圧延は等速圧延とすることができるので、鋼板の全長に亘って圧延条件が同じとなり、従来のバッチ型の熱間圧延の加速圧延とは異なって、熱延仕上鋼板の温度低下のバラツキが生じない。即ち、本発明の熱延連続化法によれば、鋼板の先端部が存在しないので、熱延条件が従来の熱延仕上鋼板の中間部に相当するだけの圧延となるので、熱延仕上鋼板の温度低下は一定となり、図2の●印に示すようにその温度低下も少ない。特に、板厚2.0mm以下の薄鋼板を熱間圧延だけで製造しようとしても放熱が速くて仕上温度の確保が困難であったが、本発明によれば温度低下が少ないため板厚2.0mm以下の薄鋼板であっても効果的に製造できる。
【0032】
このような理由により、本発明では、加熱炉での温度を従来の温度よりも低く設定でき、実験によれば、熱延仕上鋼板の温度をAr3変態点以上にするためには1150℃以下で950℃以上の低温加熱であれば充分であることが分かった。また、従来のように1200℃の加熱温度では、鋼中にMnSやAlNの析出が生じず、結晶粒が粗大化するため、圧延後の再結晶による結晶の細粒化が充分でなく、鋼板の加工性を低下させるが、1150℃以下の低温加熱を行えば、鋼中にMnSやAlNの析出が促進され細粒化が起こり、鋼板の加工性、特に伸びが向上する効果が生じ、鋼板の全長に亘ってその材質が改善されたものとなることを見出した。
【0033】
即ち、1150℃を越える加熱温度は過剰加熱となり省エネルギー上のコストメリットが得られないし、鋼中にMnSやAlNの析出が生じず材質改善が行われなわれず好ましくないので、本発明での加熱温度は1150℃以下の低温温度とした。また、950℃以下では熱間仕上温度がAr3変態点以下となって加工性を劣化させるから好ましくない。
【0034】
本発明では、上記の熱延工程で得られた熱延鋼板を素材として、更に冷延工程を用いることにより成形性に優れた加工用冷延鋼板を製造することができる。
【0035】
次に冷延工程の条件について述べる。
【0036】
冷延工程では、既に述べた熱延工程を経て得られた熱延鋼板に冷間圧延と再結晶焼鈍を行う。この工程において、冷間圧延の圧延率は50%以上90%以下であることが望ましく、また、冷延後の再結晶焼鈍は、良好な再結晶組織を得るために650℃以上950℃以下であることが望ましい。焼鈍の方法は箱焼鈍法、連続焼鈍法の何れでもよい。また、この焼鈍を連続溶融亜鉛めっき工程で行うことも出来る。なお更に、再結晶焼鈍を施した鋼板に10%以下の圧延率の調質圧延を行い表面性状の調整や板形状の矯正を行ってもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明を図に基づいて説明する。
【0038】
図3は、熱延連続化法における熱延鋼板の製造方法の概要を示す図である。
【0039】
図3に示すように、加熱炉1で1150℃以下に加熱された炭素含有量0.1%以下の鋼スラブは、粗圧延機2で熱間圧延され、これを巻取って粗圧延コイル3とする。粗圧延コイル3の先端は、溶接用切断機4でもって切断され溶接に適する先端開先が形成される。先行する粗圧延鋼板が仕上圧延機に搬送され仕上圧延されるが、その後端は同じく溶接用切断機4でもって切断され溶接に適する後端開先が形成される。先行する粗圧延鋼板の後端と後行の粗圧延鋼板の先端とは、溶接装置5により溶接して接合される。
【0040】
溶接装置5は、移動台車からなっており粗圧延鋼板の後端の移動速度と同期して移動することができるように制御されていて、移動台車を移動させながら先行する粗圧延鋼板の後端と後行の粗圧延鋼板の先端とを溶接する。溶接法は、レーザービーム溶接法が適するが、他の公知の溶接法も適用できる。
【0041】
溶接装置5によって一体に接合され長尺となった粗圧延鋼板は、仕上圧延機6で連続的に仕上圧延され、次いで、ランナウトテーブルに設置された冷却装置7により捲取温度に水冷却された後に、コイルとして捲取機9で捲取られる。仕上鋼板は所定の長さを捲取られると、切断機8で切断され別のコイルとして捲取機9で捲取られる。なお、切断機8による切断部位は、溶接装置5で接合した部位を切断することが好ましい。
【0042】
本発明では、粗圧延鋼板の先端を圧延ラインを先行する粗圧延鋼板の後端と接合して長尺の鋼板とするので、連続して熱間仕上圧延をすることができる。そのため、熱延鋼板は、最初の先端部以外に先端部が存在しなく、鋼板は捲取機のピンチロールで常に支持されることとなるので、例え2.0mm以下の板厚の薄鋼板であっても、熱間仕上鋼板の冷却は、連続的に冷却装置で水冷却することが可能となる。したがって、従来のバッチ型熱延方法のように冷却されずに材質不良となる鋼板先端部分は最初を除いて無くなる。
【0043】
また、本発明では、上記に述べたように連続的に等速熱間仕上圧延を行うものであるため、熱間仕上圧延中の鋼板全体に温度低下のバラツキがなく、鋼スラブを加熱する加熱温度も、従来の熱延方法の加熱温度1200℃よりも低温の1150℃以下の低温加熱温度に設定できる。しかも、低温加熱により材質、特に伸び、に優れた熱延鋼板を得ることができる。
更に、このような熱延工程を経て得られた鋼板は冷延鋼板要素材としても優れていることは言うまでもない。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例とについて述べる。
【0045】
(実施例1)
表1に示す成分の鋼材を用いて、表2に示す加熱温度及び圧延条件で加工用熱延鋼板を製造した。
【0046】
表2に示すようにNo.1〜5の本発明の実施例では、いずれもフロント部及びミドル部の材質は、引張り強さ(TS)及び伸び(El)が比較例よりも優れたものであって、材質の評価としては満足できるものであった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
なお、本発明の実施例に示されるように加熱温度が1150℃以下の温度で実施したNo.2〜5の材質は1200℃で加熱したNo.1よりも材質的に優れているものとなっていた。
【0049】
(実施例2)
表1に示す成分の鋼材を用いて、表3に示す加熱温度および圧延条件で熱延して熱延鋼板となし、次いで同じく表3に示す条件で冷間圧延と再結晶焼鈍を施して加工用冷延鋼板を製造した。これらの鋼板についての調査結果を表3に併記した。
【0050】
【表3】
表3に示すようにNo.1〜5の本発明の実施例では、いずれもフロント部およびミドル部の材質は、引張り強さ(TS)および伸び(El)が比較材よりも優れたものであって、材質の評価としては満足出来るものであった。
【0051】
なお、本発明の実施例に示されるように加熱温度を1150℃以下の温度で実施した。No.2〜5の材質は1200℃で加熱したNo.1よりも材質的に優れているものとなっていた。
【0052】
【発明の効果】
本発明の熱延連続化法による成形性に優れた加工用薄鋼板の製造方法によれば、熱延鋼板の先端部の材質不良による製品歩留りを向上させることができ、また、鋼スラブの加熱温度を低温加熱で実施することにより加熱炉の省エネルギーによるコストメリットを向上させることができると共に、低温加熱によって熱延鋼板、およびそれを素材とする冷延鋼板の材質の向上ができ、更に、高い生産性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延鋼板の仕上温度分布を示す図である。
【図2】加熱温度と熱延鋼板の仕上温度との関係を模式的に示す図である。
【図3】本発明の熱延連続化法による熱延鋼板の製造方法の概要を示す図である。
【符号の説明】
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 粗圧延コイル
4 溶接用切断機
5 溶接装置
6 仕上圧延機
7 冷却装置
8 切断機
9 捲取機
Claims (5)
- 炭素含有率0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに捲取ることを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法において、前記加熱炉での加熱を950〜1150℃の低温加熱とし、そして、粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合して連続的にAr3変態点温度以上で等速熱間仕上圧延を行うことを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法。
- 炭素含有率0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに捲取ることを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法において、前記加熱炉での加熱を950〜1150℃の低温加熱とし、そして、粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合して連続的にAr3変態点温度以上で等速熱間仕上圧延を行い2.0mm以下の板厚の熱延鋼板とすることを特徴とする成形性に優れた加工用熱延鋼板の製造方法。
- 炭素含有率0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに巻き取る熱延工程と、その後更に冷間圧延と再結晶焼鈍を行う冷延工程とから成る加工用冷延鋼板の製造方法において、鋼スラブを加熱炉で950〜1150℃の低温加熱後に粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合することにより、Ar3変態点温度以上の等速仕上圧延と圧延後の冷却を連続的に行う熱延工程を有することを特徴とする成形性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法。
- 炭素含有率0.1%以下の鋼スラブを加熱炉で加熱し、熱間粗圧延機で粗圧延して鋼板となし、次いで熱間仕上圧延機で仕上圧延した後に冷却してコイルに巻き取る熱延工程と、その後更に冷間圧延と再結晶焼鈍を行う冷延工程とから成る加工用冷延鋼板の製造方法において、前記加熱炉での加熱を950〜1150℃の低温加熱とし、そして粗圧延された鋼板の先端を、その前に粗圧延され圧延ラインを先行する鋼板の後端に接合することにより、Ar3変態点温度以上の等速仕上圧延と圧延後の冷却を連続的に行う熱延工程を有することを特徴とする成形性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法。
- 請求項4に記載の加工用冷延鋼板の製造方法において、熱間仕上圧延後の板厚が2.0mm以下であることを特徴とする成形性に優れた加工用冷延鋼板の製造方法。
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