JP3630981B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
また本発明は電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは特定の樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体、及び電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、様々な有機光導電性化合物を有する電子写真感光体の開発が近年盛んに行われている。例えば、米国特許3837851号公報にはトリアリルピラゾリンを含有する電荷輸送層を有する感光体、米国特許3871880号公報にはペリレン顔料の誘導体からなる電荷発生層と3−プロピレンとホルムアルデヒドの縮合体からなる電荷輸送層とを含有する感光体等が記載されている。
【0003】
有機光導電性化合物は、その化合物によって感度を有する波長域が異なり、例えば特開昭61−272754号公報及び特開昭56−167759号公報には、可視領域に高い感度を有する化合物が開示されており、また特開昭57−19567号公報及び特開昭61−228453号公報には、赤外領域に高い感度を有する化合物が開示されている。
【0004】
これらの材料のうち赤外領域に感度を示すものは、レーザービームプリンター(以下LBPと略す)やLEDプリンターに使用されその需要頻度は高くなってきている。
【0005】
一方当然のことながら電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。特に繰り返し使用される電子写真感光体の表面には、帯電、露光、現像、転写及びクリーニング等の電気的及び機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性も要求される。
【0006】
具体的には、帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物による電気的劣化や、帯電時の放電、クリーニングによる表面の摩耗や傷といった機械的劣化及び電気的劣化に対する耐久性が求められている。
【0007】
更に近年、特開昭57−17826号公報及び特開昭58−40566号公報に開示してあるような、電子写真感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することによって、電子写真感光体を帯電する接触帯電手段に起因する問題もある。
【0008】
接触帯電手段は、スコロトロン等に比べオゾン発生量が格段に少ない、スコロトロンは帯電器に流す電流の80%前後はシールドに流れるため浪費されるのに対して、接触帯電はこの浪費分が無く非常に経済的である等のメリットを持つ。しかし、帯電部材が電子写真感光体に接触しているため、電子写真感光体にはより優れた機械的強度が要求される。加えて、接触帯電は放電による帯電のため帯電安定性を向上させる目的で直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧が考案されている(特開昭63−149668号公報)。
【0009】
この帯電方式により、帯電安定性は向上したがACを重畳するために電子写真感光体に流れる電流量は大幅に増大するために、電子写真感光体の削れ量が増加してしまうという問題が新たに生じてしまい、機械的強度のみならず電気的強度も要求されるようになってきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
耐久特性の向上により表面層の削れ量が減少する場合、あるいは削り量がある程度多くても使用により表面粗さが大きくなる場合などでは、接触帯電方式において主に高温高湿下で十分吸湿した紙を使用した時に、酸化劣化した樹脂及び表面付着物が十分除去しきれなくなることで、表面抵抗の低下を引き起こし、形成した画像が流れたように不鮮明になる現象(以下画像流れと称す)が発生する問題が生じてしまうことが明らかとなってきた。
【0011】
本発明の目的は、従来の表面層が有していた問題点を解決し、機械的強度が強く、かつ帯電による耐電気特性が良好であり、しかも画像流れ評価が良好な電子写真感光体、及び電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、感光体の表面層の耐摩耗性及び平滑性が向上し、長寿命で高画質な電子写真感光体、及び電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、導電性支持体及び感光層を有する電子写真感光体、及び該電子写真感光体に接触配置され、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加されることにより該電子写真感光体を帯電する帯電部材を有する電子写真装置において、該電子写真感光体の表面層が、
3.7×104以上の重量平均分子量を有する下記式(1)で示される構成単位を有する第1のポリアリレート樹脂と、
3.7×104未満の重量平均分子量を有する第2のポリアリレート樹脂及び3.7×104未満の重量平均分子量を有するポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種と、を含有し、
該第2のポリアリレート樹脂が、下記の構成単位1又は構成単位4を構成単位として有しているものであり、
該ポリカーボネート樹脂がポリカーボネートZ又はポリカーボネートCである電子写真装置が提供される。
【0014】
【化3】
上記式(1)中、Xは−CR13R14−[ただしR13及びR14は同一または異なって水素原子、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である]、置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、単結合、−O−、−S−、−SO−、または−SO2−であり、またR1〜R12同一または異なって水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。
【化4】
【0015】
また式中、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等が挙げられる。シクロアルキリデン基としてはシクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基及びフルオレニリデン基等が挙げられる。α,ω−アルキレン基としては1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基及び1,4−ブチレン基等が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。
【0016】
これらの基が有してもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基、ベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基及びメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。
【0017】
なお、単結合とはXの両側のベンゼン環が直接結合していることを意味し、例えば後述の表1〜3記載の構成単位例7,23及び24が挙げられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明による電子写真感光体は、表面層を形成する樹脂として特に耐久特性に優れた特定の樹脂及び摩耗性に優れた樹脂とを少なくとも1種類ずつ選択して使用することにより、優れた機械的強度と帯電による耐電気特性を保ちつつ、しかも画像流れ評価の良好な電子写真特性を持っているものである。
【0019】
一般に樹脂の強度は、分子量の増加と共に高くなるが、それに伴い画像流れは発生し易くなる。しかし本発明に用いられる樹脂は、異なる分子量を有する材料を組み合わせることにより優れた耐久特性を保ちつつ、しかも画像流れ評価の良好な電子写真感光体を達成することができる。これは、耐久特性に優れた分子量の大きい樹脂と摩耗性に優れた分子量の小さい樹脂を混合して使用することにより、従来の感光体に比べてより平滑に表面が摩耗するためである。その結果画像流れの一因となっていると考えられている、帯電劣化した表面付着物等が付き難いものと考えられる。
【0020】
従って、本発明に用いられる樹脂の分子量の大きいものとしては、優れた耐久特性を持っていることが必要である。具体的には37000以上の重量平均分子量を有しており、37000〜300000の重量平均分子量を有することが好ましく、特に45000〜250000の重量平均分子量を有することがより好ましい。重量平均分子量が37000より小さと、十分な強度が得られず耐久性と画像流れの両立が困難となる。また重量平均分子量が300000より大きいと、塗料の粘度が増大して塗料のハンドリング性の低下、塗工性の悪化等を招き易い。
【0021】
また、分子量の小さいものとしては、適度な摩耗性を付与できることが必要である。具体的には37000未満の重量平均分子量を有しており、2500以上37000未満の重量平均分子量を有することが好ましく、特に7500〜30000の重量平均分子量を有することがより好ましい。重量平均分子量が7500より小さいと、強度低下が大きすぎて繰り返し使用により傷が発生し易く、更にはその影響のため画像流れに対する効果も不十分となり易い。また重量平均分子量が37000以上であると、適度な摩耗性を付与できなくなり、画像流れに対する効果が不十分となる。
【0022】
ここでいう分散度とは、重量平均分子量/数平均分子量で表わされる値である。これらの樹脂の分散度としては、37000以上の重量平均分子量を有する樹脂は4.0以下が好ましく、より好ましくは3.5以下である。分散度か4.0より大きいと分子量のより小さいものの割合が多くなるために十分な強度が得られ難くなり、また削れムラが発生し易くなる。また、37000未満の重量平均分量を有する樹脂の分散度は3.0以下が好ましく、より好ましくは2.6以下である。分散度が3.0より大きくなると、分子量のよい小さいものの割合が大きくなるために強度低下を引き起こして、その結果繰り返し使用により傷が発生し易く、更にはその影響のために画像流れに対する効果も不十分となり易い。
【0023】
本発明に用いられる式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂の構成単位の具体例を表1〜3で示すが、これらに限られるものではない。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
好ましい例としては、構成単位例1,2,3,4,9が挙げられ、特に構成単位例1,4がより好ましい。
【0028】
本発明において用いられる式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂は、下記式(2)で示されるビスフェノールを通常溶解性を上げるため、テレフタル酸塩化物/イソフタル酸塩化物の混合物とアルカリ下において、溶媒/水系中で撹拌することにより界面重合を行うことができる。
【0029】
【化5】
(式中、Xは−CR9R10−[ただしR9及びR10は同一または異なって水素原子、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である]、置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、単結合、−O−、−S−、−SO−、または−SO2−である。また、R1〜R8は同一または異なって水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である)。
【0030】
テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物の比率は、その重合体の溶解性を考慮して決定されるもので定説はない。ただしいずれかの塩化物が、30mol%以下になると合成した重合体の溶解性が極端に低下するので注意が必要である。通常は、1/1の比率で合成するのが好ましい。
【0031】
また本発明の電子写真感光体においては、式(1)で示される構成単位が同一のもので構成される重合体でも、2種類以上の式(1)で示される別種の構成単位からなる共重合体でもよい。更には、式(1)で示される構成単位を有する樹脂を2種以上ブレンドしてもよい。
【0032】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、式(2)で示されるビスフェノールを通常アルカリの存在下でホスゲンを作用させて重合を行うことができる。本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の具体例としては、表1〜3に記載のビスフェノール構造を有するもの等が挙げられるが、これらに限られるものではない。本発明の電子写真感光体においては、式(2)で示される構成単位が同一のもので構成される重合体でも、2種類以上の式(2)で示される別種の構成単位からなる共重合体でもよい。更には、式(2)で示される構成単位を有する樹脂を2種以上ブレンドしてもよい。
【0033】
これらの樹脂の割合はそれぞれの樹脂の種類や分子量にもよるが、37000以上の重量平均分子量を有する樹脂が5〜90重量%含まれていることが好ましく、10〜80重量%含まれていることがより好ましい。更に必要に応じてその他の樹脂と混合して用いてもよい。しかし本発明の樹脂以外のものとの混合する場合は、本発明の樹脂が全体のバインダー樹脂に対して50重量%以上含まれていることが好ましく、70重量%以上含まれていることがより好ましい。50重量%より少ないと、本発明における耐久性及び画像流れに対する効果は不十分となり易い。また必要に応じて、潤滑剤及び酸化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
【0034】
本発明による式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂は、構成単位中に剛直性を有するユニットが含有され、電子写真感光体形成時にそのユニットが部分的にガラス化することによって高分子被膜全体の機械的強度を上げるものである。
【0035】
耐電気特性においては、電気的劣化による分子切断がカーボネート結合に比較してアリール基のエステル結合であるアリレート構造は帯電による電流に強く、特に耐電気性能が上がっていると考えられる。この理由は確認されていないが、カーボネート結合はカルボキシ基の両側に酸素原子があるため、ダイポールモーメントが大きく電気エネルギーに対して弱いためと推測される。
【0036】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが、電子写真特性的には積層型が好ましい。
【0037】
使用する導電性支持体は、導電性を有するものであればよくアルミニウム、ステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチック等が挙げられ、形状はシート状、円筒状等が挙げられる。
【0038】
LBPなど画像入力がレーザー光の場合は、散乱による干渉縞防止または支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0039】
その上に接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.3〜1μmが適当である。
【0040】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染科、フタロシアニン、アントアントロン、ジべンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン、非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。
【0041】
機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生材料を0.3〜4倍量のバインダー脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速分散機等の方法で良く分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0042】
電荷輸送層は、主として本発明からなるバインダー樹脂と電荷輸送材料とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物、チアゾール系化合物等が挙げられる。
【0043】
これらの電荷輸送材料は、0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗工、乾燥し電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0044】
本発明に用いられる帯電部材は、電子写真感光体に接触配置される接触帯電部材であれば特に限定されるものではなく、ローラー状、ブレード状及びブラシ状等いずれのものでもよい。また、帯電部材に印可される電圧は、直流電圧は絶対値で200〜2000Vであることが好ましく、交流電圧はピーク間電圧が400〜4000Vで、周波数が200〜3000Hzであることが好ましい。像露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段も特に限定されるものではない。
【0045】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0046】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0047】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0048】
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、本発明においては一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段であるので、前露光は必ずしも必要ではない。
【0049】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0050】
また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0051】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0052】
【実施例】
以下実施例に従って説明する。また、実施例中の「部」は重量部を示す。
【0053】
(実施例1)
φ30mm、長さ254mmのAlシリンダーを支持体とし、それに以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬法で塗布し140℃、30分熱硬化して15μmの導電層を形成した。
【0054】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール(0.2/0.8) 20部
【0055】
次に、この導電層上にN−メトキジメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し0.5μmの中間層を形成した。
【0056】
次にCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2度の9.0度、14.2度、23.9度、27.1度に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアン(TiOPc)4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0057】
次に下記構造式のアミン化合物9部、
【0058】
【化6】
下記構造式のアミン化合物1部
【0059】
【化7】
と表5の条件1に記載の樹脂10部をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン50部の混合溶媒に溶解した。なお重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されるポリスチレン換算値とした。この塗料を浸漬法で塗布し120℃、2時間乾燥し25μmの電荷輸送層を形成した。
【0060】
次に評価について説明する。装置は、一次帯電部材として接触帯電ローラーを有するヒューレットパッカード製LBP「レーザージェット4plus」(プロセススピード71mm/sec)を改造して用いた。改造は一次帯電の制御を定電流制御から定電圧制御とした(直接電圧:―700V、交流電圧のピーク間電圧:1.6KV、周波数:1KHz)。
【0061】
作成した電子写真感光体をこの装置で28℃、90%RH下で通紙耐久試験を行った。画像はA4で、印字率4%の格子パターンとした。また、シーケンスはプリント1枚ごとに1回停止する間欠モードとした。トナーが無くなったならば補給し、画像で問題が発生するまで繰り返しプリントし、問題が発生したときの枚数を記録した。なお観察は目視とした。
【0062】
次に前述の改造装置を用いて33℃、95%RH下で吸湿量10%の紙(吸湿量はInfrared Engineering製MOISTREX MX5000を用いて測定した)を使用して連続通紙耐久を2000枚行い、画像流れの評価を行った。画像はA4で、印字率4%のE文字パターンとして、評価は初期、2000枚、2000枚耐久後24時間放置でのE文字画像を目視して画像流れの発生してないものを○、画像流れは発生しているが文字は判別できるものを△、文字が何か判別できないものを×、文字が完全に消えてしまっているものを××として行った。
【0063】
また、研磨テープを用いたテーバー摩耗試験機を用い15分摩耗させその時の重量減少分を測定した。その結果を表6に示す。
【0064】
(実施例2〜14)
電荷輸送層のバインダーに、表5の条件No.2〜14に記載の樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表6に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
(比較例1〜3)
電荷輸送層のバインダー樹脂に、表7の条件No.1〜3に記載の樹脂を用いた以外は、実施例1と同様電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表8に示す。
【0069】
【表7】
【0070】
(比較例4)
電荷輸送層のバインダー樹脂に、表7の条件No.3記載の樹脂を6部及び条件No.4記載の樹脂を4部用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表8に示す。
【0071】
(比較例5)
電荷輸送層のバインダー樹脂に、表4の条件No.1記載の樹脂を5部及び表4の条件No.5記載の樹脂を5部用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表8に示す。
【0072】
(比較例6)
電荷輸送層のバインダー樹脂に、表4の条件No.12記載の樹脂を8部及び表4の条件No.13記載の樹脂を2部用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表8に示す。
【0073】
【表8】
【0074】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体は、優れた機械的強度を保ちつつ、かつ帯電による耐電気特性が良好であり、しかも画像流れ評価も良好な電子写真感光体を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
Claims (5)
- 導電性支持体及び感光層を有する電子写真感光体、及び該電子写真感光体に接触配置され、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加されることにより該電子写真感光体を帯電する帯電部材を有する電子写真装置において、該電子写真感光体の表面層が、
3.7×104以上の重量平均分子量を有する下記式(1)で示される構成単位を有する第1のポリアリレート樹脂と、
3.7×104未満の重量平均分子量を有する第2のポリアリレート樹脂及び3.7×104未満の重量平均分子量を有するポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種と、を含有し、
該第2のポリアリレート樹脂が、下記の構成単位1又は構成単位4を構成単位として有しているものであり、
該ポリカーボネート樹脂がポリカーボネートZ又はポリカーボネートCであることを特徴とする電子写真装置:
- 前記第1のポリアリレート樹脂が、4.5×104〜2.5×105の重量平均分子量を有し、前記第2のポリアリレート樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種が、7.5×103〜3.0×104の重量平均分子量を有する ポリアリレート樹脂または7.5×103〜3.0×104の重量平均分子量を有するポリカーボネート樹脂である請求項1記載の電子写真装置。
- 前記第1のポリアリレート樹脂の分散度が4.0以下である請求項1または2記載の電子写真装置。
- 前記第2のポリアリレート樹脂または3.7×104未満の重量平均分子量を有するポリカーボネート樹脂の分散度が3.0以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記表面層が、バインダー樹脂として前記第1のポリアリレート樹脂及び前記第2のポリアリレート樹脂のみを含み、
該第1のポリアリレート樹脂が、上記構成単位例1のみを構成単位として有する重量平均分子量75000、分散度3.0のポリアリレート樹脂であり、
該第2のポリアリレート樹脂が、上記構成単位例1のみを構成単位として有する重量平均分子量7500、分散度2.5のポリアリレート樹脂であり、該第1のポリアリレート樹脂の該バインダー樹脂全重量に対する比率が60重量%である請求項1に記載の電子写真装置。
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