JP3630931B2 - プラズマ処理装置、プロセスモニタ方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

プラズマ処理装置、プロセスモニタ方法及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置などの製造に使用されるプラズマ処理技術に係り、特に、プラズマを利用してウェーハなどを処理するプラズマ処理装置、プロセスモニタ方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマ処理装置は、反応ガスを高周波電力によってプラズマ化することにより、発生したイオンやラジカルによって基板表面の薄膜をエッチングし、或いは、ウェーハ表面へ薄膜を堆積する装置であり、半導体装置の製造プロセスなどにおいて広く用いられている。
【0003】
従来のプラズマ処理装置を、図8に示す従来の平行平板型エッチング装置を例に説明する。
プラズマ処理を行うための真空チャンバ60内には、上部電極62と下部電極64とが互いに対向して配置されている。下部電極64上には、エッチングするウェーハ66が載置される。上部電極62と下部電極64との間には、これら電極間にプラズマ68を発生するための高周波電源70が整合器72を介して接続されている。真空チャンバ60には、また、エッチングガスを真空チャンバ60内に所定の流量で導入するための流量制御器74及びガス圧制御器76が設けられている。また、高周波電源70、流量制御器74、ガス圧制御器76には、装置制御用コンピュータ78が接続されている。
【0004】
次に、従来のプラズマ処理装置の動作について説明する。
まず、真空チャンバ60内の下部電極64上に処理を行うウェーハ66を載置した後、真空チャンバ60内を所定の圧力まで減圧する。
次いで、エッチングガスを流量制御器74を介して真空チャンバ60内に導入するとともに、ガス圧制御器76によって真空チャンバ60内の圧力をほぼ一定に保つ。
【0005】
次いで、この状態で上部電極62と下部電極64との間に高周波を印加し、電極間にプラズマ68を発生する。高周波電源70から供給する高周波には、例えば13.56[MHz]の高周波を用いる。
こうして、下部電極64上に載置されたウェーハ66をプラズマ中のイオンやラジカルによってエッチングし、所定の形状に加工する。
【0006】
ここで、エッチング処理にあたっては、通常、装置制御用コンピュータ78により高周波電力、ガス圧力、ガス流量などのエッチング条件(装置制御パラメータ)を設定し、対応する各制御器が単独で設定された値を維持するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エッチングレートなどのプラズマ処理条件を決定するプラズマ状態は、通常、高周波電力、ガス圧力、ガス流量などの設定値を種々に変化して設定条件とエッチング速度、均一性、選択比、加工形状等を調査する、いわゆる条件出しを行い、処理の結果得られる特性、例えばエッチング速度、エッチングの均一性、エッチングの選択比、加工形状などのエッチング特性を所望の特性になるように合わせこんだうえで量産条件を決定している。
【0008】
すなわち、プラズマの状態は、高周波電力、ガス圧力、ガス流量などの相互関係によって決定され、個々のパラメータを単独で制御してもプラズマの状態を直接制御することにはならない。このため、装置制御用コンピュータ78により高周波電力、ガス圧力、ガス流量などのエッチング条件を各制御器によってそれぞれ単独で制御する従来のプラズマ処理装置では、プラズマの状態を適切に制御することはできなかった。
【0009】
また、一般に、通常のプラズマ処理装置では、TAT向上その他の理由から、処理の結果得られる特性をラインのオペレータが定期的にチェックすることによってインライン管理を行っており、ウェーハ一枚毎に正常な状態で処理が行われた否かをチェックすることはしていない。
このため、ウェーハ処理枚数の増加に伴う電極表面や真空チャンバ60の壁面状態の経時変化や、各種制御を行っている制御器の変動や故障などによって生ずるエッチング特性などの処理特性の変動を、発生時に迅速にチェックすることができず、多数の不良ウェーハを生じてしまうことがあった。
【0010】
また、エッチングを行った結果、エッチング特性に変動を生じたことがウェーハから認識された場合であっても、その原因の特定ができず、長時間にわたって装置を停止せざるをえないこともあった。
また、成膜装置など、他のプラズマ処理装置においても同様の問題が生じていた。
【0011】
本発明の目的は、プラズマ処理特性の変動や経時変化をリアルタイムで監視することができ、製造歩留り及び生産性を向上することが可能なプラズマ処理装置、プロセスモニタ方法及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、プラズマ状態を反映する電気的信号を測定する信号サンプリング手段と、前記電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式を記憶するモデル式記憶手段と、前記信号サンプリング手段により測定した前記電気信号の値を、前記モデル式記憶手段から読み出した前記モデル式に代入し、前記プラズマ処理特性の予測値を算出する演算手段と、前記プラズマ処理特性の前記予測値に基づいてプラズマの状態を診断する診断手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置によって達成される。このようにプラズマ処理装置を構成すれば、リアルタイムで測定した電気的信号をモデル式に代入することによってプラズマの状態を見積もることができるので、プラズマ処理特性が変化した場合にはオペレータが直ちにこれを知ることができる。したがって、不良ウェーハが大量に発生することを未然に防止することができる。また、モデル式では、電流、電圧、位相など、個々の電気的信号のパラメータを監視するのではなく、複数のパラメータのバランスをプラズマ処理特性等と関連づけて一度にまとめて監視することができるので、装置に異常が生じた場合の原因究明が容易となる。
【0013】
また、上記のプラズマ処理装置において、前記電気的信号からプラズマ処理の終点を検出する終点検出手段を更に有し、前記演算手段は、前記終点検出手段により検出された終点情報をもとに、前記プラズマ処理特性の実測値を算出し、前記診断手段は、前記予測値と前記実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断することが望ましい。実測値を求める手段を更に設ければ、実測値と予測値との比較から、プラズマ処理がモデル式に従ったプラズマ条件でなされたか否かを容易に判断することができる。
【0014】
また、上記のプラズマ処理装置において、前記診断手段は、診断したプラズマの状態に基づき、プラズマ処理を継続するか否かを決定することが望ましい。こうすることにより、所定のプラズマ状態から外れて処理された多量の不良ウェーハの発生を防止することができる。
また、上記のプラズマ処理装置において、前記プラズマ処理特性がほぼ一定となるように、前記予測値に基づいてプラズマの状態を制御する制御手段を更に有することが望ましい。このようにプラズマ処理装置を構成すれば、常に適正なプラズマ処理特性をもってウェーハを処理することができる。
【0015】
また、上記のプラズマ処理装置において、前記信号サンプリング手段は、前記電気的信号として、プラズマを発生するための高周波電力を印加する電極と整合器との間の電圧、電流、位相、インピーダンス又は自己バイアス電圧のうちの少なくとも一つを計測することが望ましい。
また、上記のプラズマ処理装置において、前記プラズマ処理特性は、エッチング速度、エッチングの均一性、選択比又は加工形状であることが望ましい。
【0016】
また、上記のプラズマ処理装置において、前記プラズマ処理特性は、成膜速度又は成膜の均一性であることが望ましい。
また、上記目的は、実用ウェーハの処理過程において、プラズマ状態を反映する電気的信号をリアルタイムで測定し、測定した前記電気的信号の値を、前記電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式に代入することにより前記プラズマ処理特性の予測値を算出し、前記プラズマ処理特性の前記予測値に基づいてプラズマの状態を診断することを特徴とするプロセスモニタ方法によっても達成される。このようにしてプロセスモニタを行えば、リアルタイムで測定した電気的信号をモデル式に代入することによってプラズマの状態を見積もることができるので、プラズマ処理特性が変化した場合にはオペレータが直ちにこれを知ることができる。したがって、不良ウェーハが大量に発生することを未然に防止することができる。また、モデル式では、電流、電圧、位相など、個々の電気的信号のパラメータを監視するのではなく、複数のパラメータのバランスをプラズマ処理特性等と関連づけて一度にまとめて監視することができるので、装置に異常が生じた場合の原因究明が容易となる。
【0017】
また、上記のプロセスモニタ方法において、前記電気的信号からプラズマ処理の終点を検出し、前記終点検出手段により検出された終点情報をもとにして前記プラズマ処理特性の実測値を算出し、前記予測値と前記実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断することが望ましい。実測値をもモニタすれば、実測値と予測値との比較から、プラズマ処理がモデル式に従ったプラズマ条件でなされたか否かを容易に判断することができる。
【0018】
また、上記のプロセスモニタ方法において、プラズマの状態を制御する装置制御パラメータと前記電気的信号とを関連づけるモデル式から推測される前記電気的信号と、リアルタイムで測定した前記電気的信号とを比較することにより、プラズマの状態を変化する原因となる前記装置制御パラメータを特定することが望ましい。モデル式では、装置制御パラメータと前記電気的信号とを関連づけることもできるので、このモデル式を解析するによってプラズマの状態を変化する原因となる前記装置制御パラメータを特定することが可能となる。
【0019】
また、上記のプロセスモニタ方法において、ウェーハの処理枚数の増加とともに前記プラズマ処理特性が変化する場合には、前記電気的信号の値と前記プラズマ処理特性とを関連づける前記モデル式及び前記装置制御パラメータと前記電気的信号とを関連づける前記モデル式を、装置クリーニング後の前記ウェーハの処理枚数と関連づけて複数用意しておき、前記装置クリーニング後に何枚の前記ウェーハを処理したかに応じて、対応する前記モデル式を読み込み、読み込んだ前記モデル式に基づいてプラズマの状態を診断することが望ましい。このようにモデル式をデータベース化しておけば、クリーニング後の処理枚数から適正なモデル式を選択してプラズマの状態を診断することができる。
【0020】
また、上記のプロセスモニタ方法において、前記プラズマの状態の診断は、1枚のウェーハを処理する毎に行うことが望ましい。上記のプロセスモニタ方法ではリアルタイムでプラズマの状態をモニタできるので、TATを増加することなく、1枚のウェーハを処理する毎にプラズマの状態を診断することもできる。
また、上記のプロセスモニタ方法において、プラズマの状態を診断するための前記電気的信号には、一定時間間隔でサンプリングした複数のデータの平均値を用いることが望ましい。
【0021】
また、上記のプロセスモニタ方法において、前記モデル式は、試用ウェーハを用いた事前実験のデータから算出して予めモデル式記憶手段に記憶しておき、プラズマの状態の診断の際に前記モデル式記憶手段から読み出すことが望ましい。また、上記目的は、プラズマ処理を行う半導体装置の製造方法であって、実用ウェーハの前記プラズマ処理過程において、プラズマ状態を反映する電気的信号をリアルタイムで測定し、測定した前記電気的信号の値を、前記電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式に代入することにより前記プラズマ処理特性の予測値を算出し、前記プラズマ処理特性の前記予測値に基づいてプラズマ状態を診断する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法によっても達成される。このようにして半導体装置を製造すれば、リアルタイムで測定した電気的信号をモデル式に代入することによってプラズマの状態を見積もることができるので、プラズマ処理特性が変化した場合にはオペレータが直ちにこれを知ることができる。したがって、不良ウェーハが大量に発生することを未然に防止することができる。また、モデル式では、電流、電圧、位相など、個々の電気的信号のパラメータを監視するのではなく、複数のパラメータのバランスをプラズマ処理特性等と関連づけて一度にまとめて監視することができるので、装置に異常が生じた場合の原因究明が容易となる。
【0022】
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記電気的信号からプラズマ処理の終点を検出し、検出された終点情報をもとにして前記プラズマ処理特性の実測値を算出し、前記予測値と前記実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断することが望ましい。
また、上記の半導体装置の製造方法において、プラズマの状態を制御する装置制御パラメータと前記電気的信号とを関連づけるモデル式から推測される前記電気的信号と、リアルタイムで測定した前記電気的信号とを比較することにより、プラズマの状態を変化する原因となる前記装置制御パラメータを特定することが望ましい。
【0023】
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記モデル式は、試用ウェーハを用いた事前実験のデータから算出して予めモデル式記憶手段に記憶しておき、プラズマの状態の診断の際に前記モデル式記憶手段から読み出すことが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態によるプラズマ処理装置、プロセスモニタ方法及び半導体装置の製造方法について図1乃至図7を用いて説明する。
図1は本実施形態によるプラズマ処理装置の概略を説明する概略図、図2は解析用コンピュータのシステム構成例を示す図、図3は本実施形態によるプラズマ処理装置、プロセスモニタ方法及び半導体装置の製造方法における処理手順を示すフローチャート、図4及び図5はプラズマ処理過程における電気的信号の信号変化を示すグラフ、図6及び図7は本実施形態によるプラズマ処理装置における終点検出信号波形の一例を示すグラフである。
【0025】
本実施形態においてはプラズマ処理装置の代表的なものとしてプラズマエッチング装置を例に説明するが、本発明はプラズマを利用した他のプラズマ処理装置、例えばプラズマCVD装置等においても同様に適用することができる。
始めに、本実施形態によるプラズマ処理装置の概略について図1及び図2を用いて説明する。
【0026】
プラズマ処理を行うための真空チャンバ10内には、上部電極12と下部電極14とが互いに対向するように配置されている。下部電極14上には、エッチングするウェーハ16が載置される。上部電極12と下部電極14との間には、これら電極間にプラズマ18を発生するための高周波電源20が整合器22を介して接続されている。真空チャンバ10には、また、エッチングガスをチャンバ内に所定の流量で導入するための流量制御器24、26及びガス圧制御器28が設けられている。また、高周波電源20、流量制御器24、26、ガス圧制御器28には、これらを制御するための装置制御用コンピュータ30が接続されている。
【0027】
整合器22と上部電極12との間にはセンサが設けられており、計測器32によって高周波電源20からの出力の電圧、電流、インピーダンス、位相などを計測できるようになっている。また、フィルタ回路34を介して電圧計36によって上部電極12で発生する自己バイアス電圧を計測できるようになっている。このようにして得られた計測値は、一定時間毎に自動的に解析用コンピュータ38に読み込まれるようになっている。解析用コンピュータ38は、解析結果をエッチング条件に反映できるように、装置制御用コンピュータ30に接続されている。
【0028】
解析用コンピュータ38は、図2に示すように、放電検出手段40、電気的信号サンプリング手段42、演算手段44、終点検出手段46、モデル式記憶手段48、予測/診断/制御手段50、アラーム手段52とにより構成されている。
放電検出手段40は、計測器32からの電気的信号(電圧、電流、位相、インピーダンスなど)のうち少なくとも1成分を選択し、それらの値と予め設定した値とを比較することによりエッチング処理時のプラズマ放電の発生を自動的に検知するものである。
【0029】
電気的信号サンプリング手段42は、設定した一定の時間間隔で、電圧、電流、位相、インピーダンス、自己バイアス電圧等の高周波の電気的信号をリアルタイムでサンプリングするものである。
終点検出手段46は、放電検出手段40及び高周波信号サンプリング手段42から得られた情報をもとにして演算処理を行い、エッチングの終点を検出する手段である。
【0030】
モデル式記憶手段48は、試用実験のデータを解析して得られた、装置制御パラメータからプラズマ処理特性を見積もるモデル式を記憶しておくものである。
演算手段44は、電気的信号サンプリング手段42によってサンプリングした電気的信号の測定値をモデル式記憶手段48に記憶されているモデル式に代入し、エッチング速度、エッチング均一性などのエッチング特性の予測値を算出し、また、終点検出手段46によって得られた終点情報をもとにして、エッチング速度、エッチング均一性などのエッチング特性の実測値を算出するものである。
【0031】
予測/診断/制御手段50は、演算手段44により求められた予測値と実測値とを比較することにより、エッチング特性やプラズマ状態を予測し、診断し、或いはこれらの結果をもとにして後続の処理条件にフィードバックするものである。
アラーム手段52は、予測/診断/制御手段50により得られた結果に応じて、オペレータに装置状態を知らせるものである。
【0032】
次に、本実施形態によるプラズマ処理装置の動作の概略を図3を用いて説明する。
本実施形態によるプラズマ処理装置は、高周波電力を印加する電極と整合器との間の電圧、電流、インピーダンス、位相、自己バイアス電圧などの各電気的信号の値を、試用ウェーハから実測されるエッチング速度やエッチング均一性などのプラズマ処理特性とを予めモデル式で関連づけておき(ステップS11)、実用ウェーハのプラズマ処理過程において高周波の電気的信号をサンプリングし、この測定データを上記モデル式に代入することによりプラズマ処理特性の予測値を算出し(ステップS12)、終点検出信号及び電気的信号のサンプリングデータからプラズマ処理特性の実測値を算出し(ステップS13)、プラズマ処理特性の実測値及び予測値を比較することにより、プラズマ処理特性やプラズマ状態をモニタする(ステップS14)ことが基本となっている。
【0033】
以下、各ステップについて詳細に説明する。
[試用ウェーハを用いた事前実験(ステップS11)]
事前実験は、プラズマ状態に影響を与える代表的な装置制御パラメータにつきプラズマ処理に与える影響を測定し、装置制御パラメータからプラズマ処理特性を見積もるモデル式を求めることを目的として行う。
【0034】
まず、高周波電力、ガス圧、ガス流量など、予め設定したエッチング処理条件における電圧、電流、インピーダンス、位相、自己バイアス電圧を測定する。
次いで、前記の測定点を中心にして、エッチング処理条件の各パラメータを一定範囲内で大小に振って、電圧、電流、インピーダンス等の電気的信号を測定する(3水準)。この場合、実験計画法(例えば、「G.E.P.Box, W.G.Hunter, J.S.Hunter, ”Statistic for Experimenters”, John Wiley and Sons, New York (1978)」、或いは、「G.E.P.Box, N.R.Draper, ”Empirical Model−Building and Response Surfaces”, John Wiley and Sons, New York (1987)」を参照)を用いれば効果的に求められる。
【0035】
次に、エッチング処理した試用ウェーハから得られるエッチング速度、均一性などのエッチング特性、並びにエッチング処理中に測定した前記電圧、電流、インピーダンス、位相、自己バイアス電圧などの各電気的信号の相関関係を、例えば重回帰分析によって解析し、線形項と交互作用項、または線形項と交互作用項と二次の項とを用いたモデル式で数式化する。この場合、補正済決定係数R−adj.が0.8以上になる式が望ましく、しかも、電圧等のパラメータ数が少なく、且つできるだけ補正済決定係数R−adj.が大きい数式を用いることが望ましい。
【0036】
次いで、このようにして求めたモデル式を、解析用コンピュータ38のモデル式記憶手段48に記憶しておき、後のデータ解析の際に参照できるようにしておく。
なお、モデル式の算出には、解析用コンピュータ38を用いてもよいし、その他の装置を用いてもよい。また、試用実験は、必ずしも実用ウェーハの処理毎に行う必要はない。
【0037】
以下、試用ウェーハを用いた事前実験について、シリコン基板上にシリコン酸化膜を介して形成されたポリシリコン膜をHBr+Heを用いたプラズマエッチングによりエッチングした場合の具体例を用いて説明する。
装置制御パラメータとしては、高周波電力、ガス圧力、HBrの比率(=HBr/(HBr+He)×100)の3つを選び、実験範囲はそれぞれ130〜150W、250〜300mTorr、55〜65%とした。HBr+Heの流量は320sccm、電極間隔は8mm、基板温度は60℃一定とした。
【0038】
試用ウェーハとしては、シリコン基板上に膜厚4nmのシリコン酸化膜と膜厚200nmのポリシリコン膜が堆積され、レジスト膜でパターニングされた試料を用いた。シリコン酸化膜は熱酸化法により形成し、ポリシリコン膜は620℃の熱CVD法により堆積した。
実験には、上述の実験計画法を用い、Box−Behnken計画により15回の実験を行った。実験に用いたワークシートを表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003630931
上述のエッチング条件を用い、ポリシリコン膜を30秒間エッチング処理した。
ポリシリコン膜のエッチング速度は、エッチング処理前後の膜厚差をウェーハ面内9点について測定し、その平均値をエッチング処理時間で割って求めた。ポリシリコン膜の均一性は、(前記9点の最大の膜厚差−最小の膜厚差)/(2×前記9点の平均膜厚差)として定義した。シリコン酸化膜に対するポリシリコン膜の選択比は、試用ウェーハをシリコン基板表面が露出するまでエッチングし、エッチング中のプラズマの発光分析によりポリシリコン膜をエッチングしている時間とシリコン酸化膜をエッチングしている時間とを求め、これらのエッチング速度比から求めた。
【0040】
試用ウェーハの処理過程における電圧、電流、インピーダンス、位相、自己バイアス電圧などの電気的信号の各値は、ポリシリコンがエッチングされていない放電初期の10秒間を除く残りの20秒間における平均値から求めた。
このように求めたエッチング特性と電気的信号から、これらの相関関係を重回帰分析により解析した。解析には、線形項、交互作用項、二次の項を含む次の二次多項式を用いた。
【0041】
【数1】
Figure 0003630931
重回帰分析では、自由度調整済決定係数R−adj.が1に近い数値であれば回帰式でよく現象が表されていることになる。複数個の回帰式を得ることができるが、電圧等のパラメータの数が少なく、できるだけ自由度調整済決定係数R−adj.が大きな数式を用いることが望ましい。
【0042】
重回帰分析により、エッチング特性と電気的信号との関係は以下のように求められた。
エッチング速度[nm/min]=−39142.2−13.3×(電圧)
+15738.6×(電流)+508.6×(位相)+3.3×(電圧)×(位相)
−196.9×(電流)×(位相)
均一性[%]=233.9−0.4×(電圧)−103.8×(電流)
−1.0×(電圧)×(電流)+0.005×(電圧)+72.5×(電流)
選択比=192.4+0.75×(電圧)−124.7×(電流)
この場合の自由度調整済決定係数R−adj.は、それぞれ0.99(エッチング速度)、0.94(均一性)、0.88(選択比)であった。
【0043】
なお、本実施形態における実験範囲では、エッチング処理したポリシリコン膜の断面形状は変化しなかったため数式化できなかった。しかし、断面形状が実験において変化する場合には、例えば、断面傾斜角やサイドエッチング量とエッチング深さの比率等で表せば数式化することができる。
断面形状を断面傾斜角で数式化した例を以下に示す。
【0044】
上記のエッチング装置と同じエッチング装置を用い、シリコン基板表面に深さ約1μmの溝を形成することを試みた。エッチングマスクには厚さ100nmの熱酸化膜を用いた。装置制御パラメータとしては、高周波電力、ガス圧力、HBrの比率、HBr+Heの流量を選び、実験範囲はそれぞれ350〜450W、450〜500mTorr、50〜80%、250〜390sccmとした。電極間隔は8mm、基板温度は60℃一定とした。
【0045】
上記の条件にてエッチング処理を行い、エッチング処理中の電圧、電流、インピーダンス、位相、自己バイアス電圧等を測定した。断面形状は、エッチング処理後にウェーハを割り、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
断面傾斜角度とエッチング処理中に測定した電圧、電流、インピーダンス、位相等の電気的信号の相関関係を解析した結果、断面傾斜角度はインピーダンスと大きな相関関係があり、次式により数式化することができた。
【0046】
断面傾斜角[deg]=355.88−4.0812×(インピーダンス)+0.014144×(インピーダンス)
したがって、処理条件からは推定が難しい断面形状についても、上記モデル式を用いることによって高周波信号のインピーダンスから予測することができる。なお、以上の結果は、事前実験から求めた電気的信号とエッチング特性との相関関係であるが、重回帰分析によれば、エッチング装置制御パラメータ(高周波電力、ガス圧力、HBr比率)と電気的信号との関係を求めることもできる。これらのモデル式は、プラズマ状態を診断するうえで極めて有用なデータとなる。以下に、重回帰分析により求めた上記の系における電気的信号とエッチング装置制御パラメータとの相関関係を示す。
【0047】
電圧[V]=126.715+1.637×(高周波電力)−0.077×(ガス圧力)−0.571×(HBr比率)
電流[A]=−0.0942+0.0374×(高周波電力)+0.0054×(ガス圧力)−0.00525×(HBr比率)−0.00006×(高周波電力)×(ガス圧力)−0.0001×(ガス圧力)×(HBr比率)
位相[deg]=86.325+0.0168×(高周波電力)−0.00855×(ガス圧力)−0.0643×(HBr比率)
インピーダンス[Ω]=104.465−0.355×(高周波電力)−0.133×(ガス圧力)−0.366×(HBr比率)−0.0008×(高周波電力)×(ガス圧力)+0.0024×(高周波電力)×(HBr比率)
インピーダンスの抵抗成分[Ω]=0.142+0.000148×(高周波電力)−0.000132×(ガス圧力)−0.000931×(HBr比率)
インピーダンスのリアクタンス成分[Ω]=115.4−0.426×(高周波電力)−0.047×(ガス圧力)+0.0475×(HBr比率)+0.0009×(高周波電力)×(ガス圧力)+0.00325×(高周波電力)×(HBr比率)
この場合、自由度調整済決定係数R−adj.は、それぞれ、0.99(電圧)、0.99(電流)、0.96(位相)、0.99(インピーダンス)、0.99(インピーダンスの抵抗成分)、0.99(インピーダンスのリアクタンス成分)であった。
【0048】
[プラズマ処理特性の予測値の算出(ステップS12)]
上述のようにして事前実験を予め行った後、実用ウェーハの処理を行う。
実用ウェーハの処理過程においては、計測器32、電圧計36などにより、高周波電源20と整合器22との間の電圧、電流、位相、インピーダンス、自己バイアス電圧等の各電気的信号の値を一定の時間間隔で測定し、電気的信号サンプリング手段42によって解析用コンピュータ38に読み込む。
【0049】
次いで、このように測定した電気的信号データを、ステップS11において求めたモデル式に代入し、プラズマ処理特性の予測値を算出する。具体的には、電気的信号サンプリング手段42によって測定された実測データと、モデル式記憶手段48に記憶されたモデル式とを演算手段44に読み込み、演算手段44によってプラズマ処理特性の予測値を算出する。
【0050】
ステップS11の試用実験によれば、エッチング特性、均一性、選択比等のプラズマ処理特性は、上記モデル式に高周波の電気的信号データを代入することにより算出することができる。
したがって、これらモデル式に、ステップS12において検出した電気的信号の実測データを代入すれば、実用ウェーハの処理過程におけるプラズマ処理特性を予測することができる。
【0051】
これら測定データは、解析用コンピュータ38の予測/診断/制御手段50によって後のデータ解析の際に参照される。
[プラズマ処理特性の実測値の算出(ステップS13)]
実用ウェーハの処理過程では、終点検出信号をもとにしてエッチング速度及びエッチングの均一性をも求める。このように求めたデータは、実測データとして、後にエッチング特性を見積もるためのデータ解析に用いる基準とするものである。
【0052】
エッチング速度は、エッチング膜厚とエッチングの終点検出器による終点までの時間とから求めることができる。また、エッチング均一性は、終点検出が始まる時間と終点までの信号の時間差と始点から終点までの時間との比から求めることができる。
図4及び図5はプラズマエッチングでオーバエッチング量を変えて得られた電圧及びインピーダンスの抵抗成分に関する信号変化を示すグラフの一例である。
【0053】
これらの図から明らかなように、電圧、インピーダンスなどの電気的信号は、エッチングする試料の表面状態によって変化するので、これらの信号をモニタして信号の変化を読みとれば、エッチングの終点検出を行うことができる。
図4及び図5においては、55秒付近が終点検出開始時刻であり、58秒付近で信号が急激に変化しているところがエッチングの終点である。
【0054】
プラズマ処理装置を用いて終点を検出する際には、具体的には、以下のように求めることができる。
前述のレジスト膜/ポリシリコン膜/シリコン酸化膜/シリコン基板よりなる構造の場合には、電圧V、電流I、位相θの3成分を選択し、終点検出信号として、演算処理信号S
=10×abs[{V(t)−V(to)}×{I(t)−I(to)}×{θ(t)−θ(to)}]
を適用することが有効である。ここで、t=nT(Tはデータサンプリング周期)、toはエッチング処理開始後から終点検出機能が動作するまでの遅延時間である。
【0055】
なお、レジスト膜/ポリシリコン膜/シリコン酸化膜/シリコン基板よりなる上記の系では終点検出に用いるパラメータとして電圧V、電流I、位相θを用いたが、演算処理信号Sは、エッチングガスやエッチング材料によって変化するため、終点検出の際に影響を受ける処理信号を、材料系に応じて適宜選択することが望ましい。
演算処理信号Sの微分値[=(S−Sn−1)/T]が初期終点レベル設定値を超えた時間を終点検出開始時間tと定義し、また、Sの微分値が終点終点レベル設定値以下になった時間を終点検出時間tと定義する。すると、エッチング速度及び均一性は、
エッチング速度=ポリシリコン膜厚/(t−10)
均一性=K(t−t)/(t−10) (但し、Kは実験的に求めた値)
と表すことができる(なお、式中の「−10」は、エッチングされない最初の時間を除くための項である)。従って、演算処理信号Sから、エッチング速度及びエッチング均一性を求めることができる。
【0056】
図6に、終点付近における終点検出信号波形の一例を示す。図中、○が演算処理信号Sを、●が演算処理信号の微分信号(S−Sn−1)/Tを示している。
上記の系において演算処理信号を検出すると、試料表面にシリコン酸化膜が露出するにつれて徐々に演算処理信号Sが増加する(約60〜64秒の領域)。すなわち、演算処理信号Sの増加傾向から終点検出をすることができる。
【0057】
演算処理信号Sの遷移領域から終点検出開始時間t及び終点検出時間tを求めるためには、演算処理信号の微分信号(S−Sn−1)/Tを用いる。演算処理信号の微分信号(S−Sn−1)/Tは、演算処理信号Sの変化が最も大きい時間にピークをもつ分布となるため、所定の信号強度を基準として、その基準強度を超えた時間を終点検出開始時間tと、基準強度を下回ったときの時間を終点検出時間tとして求めればよい。但し、図6に示すように、終点検出開始後の微分波形は振動することがあるため、このような場合には、Sの微分値の2個以上の移動平均をとって微分信号をなめらかにすることが望ましい。
【0058】
図7は、図6に示す信号波形においてSの微分値の5個の移動平均をとる信号処理を行った場合の微分信号波形である。この図において、例えば(S−Sn−1)/Tの移動平均の値が100を越えた時間(約61秒)を終点検出開始時間tとし、再び100以下となった時間(約65秒)を終点検出時間tと定義することにより、演算処理信号の微分波形S−Sn−1からエッチング速度とエッチング均一性とを求めることができる。
【0059】
このようにして、実用ウェーハのプラズマ処理に際しては、所定の間隔ごとに電気的信号データを測定するとともに、エッチング速度及びエッチング均一性の実測データを求める。
なお、終点検出信号は終点検出手段によって検出し、実測データは演算手段によって算出する。
【0060】
これら測定データは、解析用コンピュータ38の予測/診断/制御手段50によって後のデータ解析の際に参照される。
[エッチング特性の診断(ステップS14)]
本ステップでは、ステップS12、S13で求めたエッチング特性の実測値及び/又は予測値から、実用ウェーハが処理された際のプラズマ状態を診断する。このようにしてプラズマ状態を診断することにより、リアルタイムでのプロセスのモニタが可能となる。
【0061】
本実施形態によるプラズマ処理装置では、上記ステップにより得られたデータを用いて種々の診断を行うことができる。以下、実施例として種々のプロセスモニタ方法を列挙する。
[実施例1]
ウェーハを1枚処理する毎に、リアルタイムで取得した電気的信号データの各成分の平均値を求め、このように求めた平均値をモデル式に代入してエッチング特性の予測値を求める。
【0062】
このように求めた予測値が予め設定した範囲内にあればエッチング処理が正常に行われたと判定し、次のウェーハのエッチング処理を継続する。
一方、予測値が予め設定した範囲に入らない場合には、アラーム手段52によってその旨を表示し、或いは警告を発することによりオペレータに知らせ、エッチング処理を停止するようにする。
【0063】
なお、判定基準に用いるエッチング特性の範囲は、経験的に蓄積されたデータや加工形状等の許容範囲から決定する。
[実施例2]
ウェーハを1枚処理する毎に、リアルタイムで取得した電気的信号データの各成分の平均値を求め、このように求めた平均値をモデル式に代入してエッチング特性の予測値を求める。また、終点検出信号をもとにして、エッチング速度及びエッチング均一性の実測値を求める。
【0064】
このように求めたエッチング特性の予測値と実測値との差を求め、この差が予め設定した範囲内にあればエッチング処理が正常に行われたと判定し、次のウェーハのエッチング処理を継続する。
一方、その差が予め設定した範囲を越えた場合には、アラーム手段52によってその旨を表示し、或いは警告を発することによりオペレータに知らせ、エッチング処理を停止するようにする。
【0065】
[実施例3]
ウェーハを1枚処理する毎に、リアルタイムで取得した電気的信号データの各成分の平均値を求め、このように求めた平均値をモデル式に代入してエッチング特性の予測値を求める。また、電気的信号データの各成分の平均値を装置制御パラメータと関連づけたモデル式に代入し、ステップS11で前記モデル式を求めたときの電気的信号の各成分の基準値と比較する。
【0066】
このように求めた予測値が予め設定した範囲内にあればエッチング処理が正常に行われたと判定し、次のウェーハのエッチング処理を継続する。
一方、予測値が予め設定した範囲に入らない場合には、アラーム手段52によってその旨を表示し、或いは警告を発することによりオペレータに知らせ、エッチング処理を停止するようにする。
【0067】
このように判定を行い、電気的信号の各成分を試用ウェーハでモデル式を求めた時点の基準値と比較したデータを解析すれば、装置制御パラメータのうち何れが故障したかを診断することができる。
[実施例4]
ウェーハを1枚処理する毎に、リアルタイムで取得した電気的信号データの各成分の平均値を求め、このように求めた平均値をモデル式に代入してエッチング特性の予測値を求める。また、終点検出信号をもとにして、エッチング速度及びエッチング均一性の実測値を求める。さらに、電気的信号データの各成分の平均値を装置制御パラメータと関連づけたモデル式に代入し、ステップS11で前記モデル式を求めたときの電気的信号の各成分の基準値と比較する。
【0068】
このように求めたエッチング特性の予測値と実測値との差を求め、この差が予め設定した範囲内にあればエッチング処理が正常に行われたと判定し、次のウェーハのエッチング処理を継続する。
一方、その差が予め設定した範囲を越えた場合には、アラーム手段52によってその旨を表示し、或いは警告を発することによりオペレータに知らせ、エッチング処理を停止するようにする。
【0069】
このように判定を行えば、電気的信号の各成分を試用ウェーハでモデル式を求めた時点の基準値と比較したデータを解析すれば、装置制御パラメータのうち何れが故障したかを診断することができる。
[実施例5]
エッチング装置において複数枚のウェーハの処理を継続して行うと、真空チャンバ内壁への堆積物などの影響により徐々にプラズマ特性が変化することがある。このプラズマ特性の変化は、エッチング特性にも影響を与えることとなる。
【0070】
例えば、実施例2又は実施例4の場合においては、代表的な現象として、エッチング速度やエッチング均一性の予測値と実測値との差の絶対値が、ウェーハ処理枚数の増加に伴って徐々に大きくなる傾向として現れる。この場合、試用ウェーハでモデル式を求めた時点の電気的信号の基準値からのズレも大きくなっていることが想定される。
【0071】
そこで、予測値と実測値との差がこのような関係にある場合には、エッチング装置のクリーニングを行うまでのエッチング速度や均一性の予測値及び実測値、電気的信号の各成分の処理枚数に対するトレンドをデータベース化しておくことが有効である。
このようにデータベースを確立しておけば、装置のクリーニング後に何枚のウェーハを処理すると上記パラメータがどの様に推移するかを見積もることができるので、次回以降のクリーニングサイクルにおけるエッチング処理の診断に役立てることができる。例えば、クリーニング後の処理枚数に応じて、予測値を見積もるモデル式を選択することが可能となる。
【0072】
また、予測値と実測値との差が急激に変化するような場合には、装置に何らかの異常が発生したものと判断することができる。この場合には、電気的信号と装置制御パラメータとの関係式から計算した電気的信号の基準値からの変動量を合わせて解析することにより、装置のどこに異常が発生したかを見積もることができる。
【0073】
[実施例6]
実施例1乃至4では、判定結果が所定の範囲に入っていない場合にはアラームを発生することとしているが、判定結果をエッチング処理条件にフィードバックすることにより、常に適正なエッチング条件で処理が継続されるように装置を構成することもできる。以下、エッチング速度を一定に保つ場合を例に説明する。
【0074】
前述の例では、エッチング速度は、高周波信号の電圧、電流、位相を用いて、
エッチング速度[nm/min]=−39142.2−13.3×(電圧)+15738.6×(電流)+508.6×(位相)+3.3×(電圧)×(位相)−196.9×(電流)×(位相)
と表されることを示した。しかし、上式は、自由度調整済決定係数R−adj.が0.95と若干減少するが、
エッチング速度[nm/min]=−409.8+207.4×(電流)
と簡略化することもできる。したがって、簡略化したモデル式に基づくと、エッチング速度を一定に保つためには高周波信号の電流をほぼ一定に保てばよいことが判る。
【0075】
高周波信号の電流は、前述の例でいえば、
電流[A]=−0.0942+0.0374×(高周波電力)+0.0054×(ガス圧力)−0.00525×(HBr比率)−0.00006×(高周波電力)×(ガス圧力)−0.0001×(ガス圧力)×(HBr比率)
と表されるので、電流が一定となるように装置制御パラメータをフィードバック制御することにより、エッチング速度を一定に保つことができる。
【0076】
同様に、断面形状などについてもフィードバック制御することができる。すなわち、前述の例でいえば、断面傾斜角は、
断面傾斜角[deg]=355.88−4.0812×(インピーダンス)+0.014144×(インピーダンス)
と表されるので、高周波信号のインピーダンスの値を一定に保つようにフィードバック制御すれば、断面形状を再現性よく一定に制御することができる。
【0077】
このように、本実施形態によるプラズマ処理装置及びプロセスモニタ方法によれば、電流、電圧、位相など、個々の電気的信号のパラメータを監視するのではなく、複数のパラメータのバランスをエッチング特性等と関連づけて一度にまとめて監視することができるので、装置に異常が生じた場合の原因究明が容易となる。
【0078】
また、実用ウェーハの処理時にリアルタイムでプラズマ状態を知ることができるので、例えば一枚のウェーハをプラズマ処理する毎にウェーハが適正に処理された良品であるか否かを自動的に監視することができ、不良品がでた場合には、直ちに処理を停止して原因を究明し、或いは、処理条件を自動又は手動で修正して処理を継続することができる。
【0079】
また、装置が異常である場合の原因究明も容易となり、プラズマ処理の信頼性が向上し、ひいては歩留りや生産性を向上することができる。
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態のプラズマ装置では、下部電極が接地された平行平板型の電極構造を採用しているが、下部電極のみ、或いは下部電極にも高周波電力が印加される方式のプラズマ処理装置においても同様に適用することができる。この場合、電圧、電流などの電気的信号パラメータは、いずれか一方、或いは両方の電極付近で計測することができる。
【0080】
また、プラズマを発生する方式は、平行平板型に限られず、TCP(Transformer Coupled Plasma)型、ICP(Inductively Coupled Plasma)型、ヘリコン波型、マイクロ波励起型など各種の方式から選択することができる。
また、上記実施形態では、プラズマ処理状態の監視などを、プラズマ処理装置に内蔵したコンピュータで実施しているが、装置の外部に設置したコンピュータで実施してもよいし、半導体装置の製造ラインにおける各種製造装置を接続した上位コンピュータに判定させるようにしてもよい。このように構成した場合、半導体装置の製造ラインでのプロセス管理ができるため、製造工程の自動化や生産管理にも寄与することが可能となる。
【0081】
また、上記実施形態では、エッチング装置を例に説明したが、プラズマCVD装置などの成膜装置においても同様に適用することができる。成膜装置の場合には、成膜速度や成膜の均一性などの予測値を、電気的信号から見積もることが可能である。
【0082】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、プラズマ状態を反映する電気的信号を測定する信号サンプリング手段と、電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式を記憶するモデル式記憶手段と、信号サンプリング手段により測定した電気信号の値を、モデル式記憶手段から読み出したモデル式に代入し、プラズマ処理特性の予測値を算出する演算手段と、プラズマ処理特性の予測値に基づいてプラズマの状態を診断する診断手段とによりプラズマ処理装置を構成するので、リアルタイムで測定した電気的信号をモデル式に代入することによってプラズマの状態を見積もることができる。また、プラズマ処理特性が変化した場合にはオペレータが直ちにこれを知ることができるので、不良ウェーハが大量に発生することを未然に防止することができる。また、モデル式では、電流、電圧、位相など、個々の電気的信号のパラメータを監視するのではなく、複数のパラメータのバランスをプラズマ処理特性等と関連づけて一度にまとめて監視することができるので、装置に異常が生じた場合の原因究明が容易となる。
【0083】
また、上記のプラズマ処理装置において、電気的信号からプラズマ処理の終点を検出する終点検出手段を更に設け、演算手段では、終点検出手段により検出された終点情報をもとに、プラズマ処理特性の実測値を算出し、診断手段では、予測値と実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断すれば、実測値と予測値との比較から、プラズマ処理がモデル式に従ったプラズマ条件でなされたか否かを容易に判断することができる。
【0084】
また、上記のプラズマ処理装置において、診断したプラズマの状態に基づき、プラズマ処理を継続するか否かを決定すれば、所定のプラズマ状態から外れて処理された多量の不良ウェーハの発生を防止することができる。
また、上記のプラズマ処理装置において、プラズマ処理特性がほぼ一定となるように、予測値に基づいてプラズマの状態を制御する制御手段を更に設ければ、常に適正なプラズマ処理特性をもってウェーハを処理することができる。
【0085】
また、上記のプラズマ処理装置において、電気的信号としては、プラズマを発生するための高周波電力を印加する電極と整合器との間の電圧、電流、位相、インピーダンス又は自己バイアス電圧の少なくとも一つを計測することができる。
また、上記のプラズマ処理装置において、プラズマ処理特性としては、エッチング速度、エッチングの均一性、選択比又は加工形状を見積もることができる。
【0086】
また、上記のプラズマ処理装置において、プラズマ処理特性としては、成膜速度又は成膜の均一性を見積もることができる。
また、本発明によれば、実用ウェーハの処理過程において、プラズマ状態を反映する電気的信号をリアルタイムで測定し、測定した電気的信号の値を、電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式に代入することによりプラズマ処理特性の予測値を算出し、プラズマ処理特性の予測値に基づいてプラズマの状態を診断することによりプロセスモニタをするので、リアルタイムで測定した電気的信号をモデル式に代入することによってプラズマの状態を見積もることができる。また、プラズマ処理特性が変化した場合にはオペレータが直ちにこれを知ることができるので、不良ウェーハが大量に発生することを未然に防止することができる。また、モデル式では、電流、電圧、位相など、個々の電気的信号のパラメータを監視するのではなく、複数のパラメータのバランスをプラズマ処理特性等と関連づけて一度にまとめて監視することができるので、装置に異常が生じた場合の原因究明が容易となる。
【0087】
また、上記のプロセスモニタ方法において、電気的信号からプラズマ処理の終点を検出し、終点検出手段により検出された終点情報をもとにしてプラズマ処理特性の実測値を算出し、予測値と実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断すれば、実測値と予測値との比較から、プラズマ処理がモデル式に従ったプラズマ条件でなされたか否かを容易に判断することができる。
【0088】
また、上記のプロセスモニタ方法では、プラズマの状態を制御する装置制御パラメータと電気的信号とを関連づけるモデル式から推測される電気的信号と、リアルタイムで測定した電気的信号とを比較することにより、プラズマの状態を変化する原因となる装置制御パラメータを特定することができる。モデル式では、装置制御パラメータと電気的信号とを関連づけることもできるので、このモデル式を解析するによってプラズマの状態を変化する原因となる装置制御パラメータを特定することが可能となる。
【0089】
また、上記のプロセスモニタ方法において、ウェーハの処理枚数の増加とともにプラズマ処理特性が変化する場合には、電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式及び装置制御パラメータと電気的信号とを関連づけるモデル式を、装置クリーニング後のウェーハの処理枚数と関連づけて複数用意しておき、装置クリーニング後に何枚のウェーハを処理したかに応じて、対応するモデル式を読み込み、読み込んだモデル式に基づいてプラズマの状態を診断すれば、クリーニング後の処理枚数から適正なモデル式を選択してプラズマの状態を診断することができる。
【0090】
また、上記のプロセスモニタ方法では、1枚のウェーハを処理する毎にプラズマの状態の診断を行うことができる。上記のプロセスモニタ方法ではリアルタイムでプラズマの状態をモニタできるので、TATを増加することなく、1枚のウェーハを処理する毎にプラズマの状態を診断することもできる。
また、上記のプロセスモニタ方法には、プラズマの状態を診断するための電気的信号として、一定時間間隔でサンプリングした複数のデータの平均値を用いることができる。
【0091】
また、上記のプロセスモニタ方法において、モデル式は、試用ウェーハを用いた事前実験のデータから算出して予めモデル式記憶手段に記憶しておき、プラズマの状態の診断の際にモデル式記憶手段から読み出すことができる。
また、プラズマ処理を行う半導体装置の製造方法であって、実用ウェーハのプラズマ処理過程において、プラズマ状態を反映する電気的信号をリアルタイムで測定し、測定した電気的信号の値を、電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式に代入することによりプラズマ処理特性の予測値を算出し、プラズマ処理特性の予測値に基づいてプラズマ状態を診断する工程を有する半導体装置の製造方法により半導体装置を製造すれば、リアルタイムで測定した電気的信号をモデル式に代入することによってプラズマの状態を見積もることができるので、プラズマ処理特性が変化した場合にはオペレータが直ちにこれを知ることができる。したがって、不良ウェーハが大量に発生することを未然に防止することができる。また、モデル式では、電流、電圧、位相など、個々の電気的信号のパラメータを監視するのではなく、複数のパラメータのバランスをプラズマ処理特性等と関連づけて一度にまとめて監視することができるので、装置に異常が生じた場合の原因究明が容易となる。
【0092】
また、上記の半導体装置の製造方法では、電気的信号からプラズマ処理の終点を検出し、検出された終点情報をもとにしてプラズマ処理特性の実測値を算出することにより、予測値と実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断することができる。
また、上記の半導体装置の製造方法では、プラズマの状態を制御する装置制御パラメータと電気的信号とを関連づけるモデル式から推測される電気的信号と、リアルタイムで測定した電気的信号とを比較することにより、プラズマの状態を変化する原因となる装置制御パラメータを特定することができる。
【0093】
また、上記の半導体装置の製造方法において、モデル式を、試用ウェーハを用いた事前実験のデータから算出して予めモデル式記憶手段に記憶しておけば、プラズマの状態の診断の際にモデル式記憶手段から読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるプラズマ処理装置の構造を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるプラズマ処理装置における解析用コンピュータのシステム構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるプラズマ処理装置、プロセスモニタ方法及び半導体装置の製造方法における処理手順を示すフローチャートである。
【図4】プラズマ処理過程における電圧信号の信号変化を示すグラフである。
【図5】プラズマ処理過程におけるインピーダンスの抵抗成分の信号変化を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態によるプラズマ処理装置における終点検出信号波形の一例を示すグラフ(その1)である。
【図7】本発明の一実施形態によるプラズマ処理装置における終点検出信号波形の一例を示すグラフ(その2)である。
【図8】従来のプラズマ処理装置の構造を示す概略図である。
【符号の説明】
10…真空チャンバ
12…上部電極
14…下部電極
16…ウェーハ
18…プラズマ
20…高周波電源
22…整合器
24…流量制御器
26…流量制御器
28…ガス圧制御器
30…装置制御用コンピュータ
32…計測器
34…フィルタ回路
36…電圧計
38…解析用コンピュータ
40…放電検出手段
42…電気的信号サンプリング手段
44…演算手段
46…終点検出手段
48…モデル式記憶手段
50…予測/診断/制御手段
52…アラーム手段
60…真空チャンバ
62…上部電極
64…下部電極
66…ウェーハ
68…プラズマ
70…高周波電源
72…整合器
74…流量制御器
76…ガス圧制御器
78…装置制御用コンピュータ

Claims (15)

  1. プラズマ状態を反映する電気的信号を測定する信号サンプリング手段と、
    前記電気的信号からプラズマ処理の終点を検出する終点検出手段と、
    前記電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式を記憶するモデル式記憶手段と、
    前記信号サンプリング手段により測定した前記電気信号の値を、前記モデル式記憶手段から読み出した前記モデル式に代入し、前記プラズマ処理特性の予測値を算出し、かつ、前記終点検出手段により検出された終点情報をもとに、前記プラズマ処理特性の実測値を算出する演算手段と、
    前記プラズマ処理特性の前記予測値と前記実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断する診断手段と
    を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 請求項記載のプラズマ処理装置において、
    前記診断手段は、診断したプラズマの状態に基づき、プラズマ処理を継続するか否かを決定する
    ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 請求項1又は2記載のプラズマ処理装置において、
    前記プラズマ処理特性がほぼ一定となるように、前記予測値に基づいてプラズマの状態を制御する制御手段を更に有する
    ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、
    前記信号サンプリング手段は、前記電気的信号として、プラズマを発生するための高周波電力を印加する電極と整合器との間の電圧、電流、位相、インピーダンス又は自己バイアス電圧のうちの少なくとも一つを計測する
    ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、
    前記プラズマ処理特性は、エッチング速度、エッチングの均一性、選択比又は加工形状である
    ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、
    前記プラズマ処理特性は、成膜速度又は成膜の均一性である
    ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  7. 実用ウェーハの処理過程において、プラズマ状態を反映する電気的信号をリアルタイムで測定し、
    測定した前記電気的信号の値を、前記電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式に代入することにより前記プラズマ処理特性の予測値を算出し、
    前記電気的信号からプラズマ処理の終点を検出し、
    検出された終点情報をもとにして前記プラズマ処理特性の実測値を算出し、
    前記プラズマ処理特性の前記予測値と前記実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断する
    ことを特徴とするプロセスモニタ方法。
  8. 請求項記載のプロセスモニタ方法において、
    プラズマの状態を制御する装置制御パラメータと前記電気的信号とを関連づけるモデル式から推測される前記電気的信号と、リアルタイムで測定した前記電気的信号とを比較することにより、プラズマの状態を変化する原因となる前記装置制御パラメータを特定する
    ことを特徴とするプロセスモニタ方法。
  9. 請求項7又は8記載のプロセスモニタ方法において、
    ウェーハの処理枚数の増加とともに前記プラズマ処理特性が変化する場合には、前記電気的信号の値と前記プラズマ処理特性とを関連づける前記モデル式及び前記装置制御パラメータと前記電気的信号とを関連づける前記モデル式を、装置クリーニング後の前記ウェーハの処理枚数と関連づけて複数用意しておき、
    前記装置クリーニング後に何枚の前記ウェーハを処理したかに応じて、対応する前記モデル式を読み込み、読み込んだ前記モデル式に基づいてプラズマの状態を診断する
    ことを特徴とするプロセスモニタ方法。
  10. 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のプロセスモニタ方法において、
    前記プラズマの状態の診断は、1枚のウェーハを処理する毎に行う
    ことを特徴とするプロセスモニタ方法。
  11. 請求項7乃至10のいずれか1項に記載のプロセスモニタ方法において、
    プラズマの状態を診断するための前記電気的信号には、一定時間間隔でサンプリングした複数のデータの平均値を用いる
    ことを特徴とするプロセスモニタ方法。
  12. 請求項7乃至11のいずれか1項に記載のプロセスモニタ方法において、
    前記モデル式は、試用ウェーハを用いた事前実験のデータから算出して予めモデル式記憶手段に記憶しておき、プラズマの状態の診断の際に前記モデル式記憶手段から読み出す
    ことを特徴とするプロセスモニタ方法。
  13. プラズマ処理を行う半導体装置の製造方法であって、
    実用ウェーハの前記プラズマ処理過程において、プラズマ状態を反映する電気的信号をリアルタイムで測定し、
    測定した前記電気的信号の値を、前記電気的信号の値とプラズマ処理特性とを関連づけるモデル式に代入することにより前記プラズマ処理特性の予測値を算出し、
    前記電気的信号からプラズマ処理の終点を検出し、
    検出された終点情報をもとにして前記プラズマ処理特性の実測値を算出し、
    前記プラズマ処理特性の前記予測値と前記実測値との差に基づいてプラズマの状態を診断する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
    プラズマの状態を制御する装置制御パラメータと前記電気的信号とを関連づけるモデル式から推測される前記電気的信号と、リアルタイムで測定した前記電気的信号とを比較することにより、プラズマの状態を変化する原因となる前記装置制御パラメータを特定する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 請求項13又は14記載の半導体装置の製造方法において、
    前記モデル式は、試用ウェーハを用いた事前実験のデータから算出して予めモデル式記憶手段に記憶しておき、プラズマの状態の診断の際に前記モデル式記憶手段から読み出す
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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