JP3630830B2 - セミカスタム・データベースシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散化型コンピュータシステムにおけるデータベースシステムに係り、特に分散処理を行うユーザーがシステム共通のデータを共有し、かつ、各ユーザーが自由に独自のデータを付加してデータ処理を行うことができるセミカスタム・データベースシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から各技術分野・産業分野で種々の情報をデータベース化しており、特に、今日のコンピュータの普及に伴って企業においても、独自の企業内データベースシステムを所有するようになった。たとえば、顧客リスト、各顧客の取引履歴、各顧客に関する情報、社員・店舗の営業実績などの情報を蓄積したデータベースシステムなどはその一例である。
【0003】
これまでは、上記企業内データベースシステムは、企業内コンピュータセンターに設けられた大型のホストコンピュータによって一括して集中処理されていた。このホストコンピュータによる集中処理を行うために、ホストコンピュータに接続された端末が企業の各所に設けられ、ユーザーは端末からホストコンピュータにデータ処理の命令を送り、その処理結果を各端末に備えられた出力装置から得るようにしていた。
【0004】
これに対して、最近では小型コンピュータの性能と通信技術の向上に伴い、ホストコンピュータによる集中処理に換えて複数の小型コンピュータによる分散処理システムが主流になりつつある。
【0005】
この分散処理システムは、小型コンピュータを通信ネットワークで結び、複数の小型コンピュータが参加して一つの処理を行ったり、一つの小型コンピュータで処理した結果を他の小型コンピュータが共用したりするものである。
【0006】
この分散処理システムによれば、処理を行うユーザーの場所の制約が大きく広がる。たとえば、企業内データベースシステムにおいては、従来は事業所ごとに集中処理を行っていたが、分散処理システムによれば通信回線を介して場所的に遠く離れた複数の事業所が共通のデータベースを使用することができるようになった。
【0007】
しかし、場所的に遠く離れた事業所が共通のデータベースシステムを使用する場合は、データベースシステム自体に従来になかった機能が求められるようになった。
【0008】
すなわち、事業所ごとにデータベースシステムを使用している従来の集中処理システムは、その事業所に必要な情報処理のみを行えば足りるが、場所的に遠く離れた事業所が共通のデータベースを使用する分散処理システムは、企業としての共通のデータ処理の他に、各事業所独自のデータ処理を同時に行う必要が生じた。
【0009】
たとえば、本店と支店が日本の各所に分散している企業の企業内データベースシステムにおいては、本店は企業全体の顧客リストを使用して企業全体の業績アナリシス等を行うことが多いが、各支店は企業全体の業績アナリシスよりも、むしろ各支店ごとの顧客の細かい情報収集や各顧客との接触履歴等のためにデータベースを使用することの方がより重要となる。
【0010】
つまり、本店と支店では、一部共通するデータを使用しながら、異なる目的の処理を行うことが多く、かつ、それぞれの処理は企業内データベースシステムとリンクした形(整合性を維持する形)で行うことが必要となるのである。
【0011】
この場合に、本店とすべての支店で処理するデータの種類や、データ処理の方法の全部を含んだ企業内データベースシステムを構築すれば、システムが膨大かつ複雑なものにならざるを得ない。このようなデータベースシステムでは、企業内のいずれのユーザーにとっても、自分が必要としない処理システムがシステムの大部分を占め、難解である上に、コンピュータ資源を浪費することになる。
【0012】
これに対して現状の企業内データベースシステムは、本店と支店が必要とする処理システムの共通部分を中心に企業内データベースシステムを構築し、データの項目にメモ程度の文書データを付加できるようにしている。
【0013】
図5にメモ程度の文書データを付加した企業内データベースシステムの出力画面の一例を示す。
【0014】
図5の例では、所定の顧客情報の画面の右下隅にメモ欄20が設けられており、これにユーザーが自由に文書データを入力できるようになっている。この例では、「カントリーリスクについて、おおよそ理解。…」が入力されている。
【0015】
メモ欄20に入力された文書データは、一定の出力画面あるいは一定の顧客に付随して表示されるものであって、この文書データについて独自のデータの集計等を行うことはできない。このため、たとえば、顧客の持ち家、出身校、負債金額等について系統的に情報を収集して活用したい場合には、上記メモ欄20を付加する方法では不十分であった。
【0016】
上記顧客の持ち家、出身校、負債金額等について情報を収集活用したい要求に対しては、従来は支店独自のデータベースシステムを構築していた。この支店のデータベースシステムは、企業内データベースシステムとは別個独立のシステムであり、各支店が独自に構築し、企業内データベースシステムとの整合性をとるために、データの更新等を独自に行っていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記メモ程度の文書データを付加する従来のデータベースシステムでは、付加できる情報量も限られ、かつ、付加した情報をデータベースシステムのデータとして活用することもできなかった。
つまり、上記文書データは通常、所定のデータ処理結果に対して一定のコメントをつけられるようにしたものであったが、この文書データは、上記例からもわかるようにデータとして定義をされておらず、これを所定の条件で検索したり、演算子の操作の対象とすることができなかった。
【0018】
このため、ユーザーが付加した文書データは、そのデータベースシステムのデータとして活用することができなかった。
【0019】
一方、共通の企業内データベースシステムとは別に各支店ごとに独自のデータベースシステムを構築する上記従来の方法は、支店ごとに重複した労力と時間がかかっていた。また、支店のデータベースシステムと企業内データベースシステムのデータの整合性を維持するのが極めて困難であった。
【0020】
さらに、各支店で収集した有用な情報が、他の支店や本店で活用されず、情報資源の無駄となっていた。
【0021】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、複数のユーザーが共通のデータとデータ処理システムを使用できる一方、各ユーザーが独自のデータと処理方法を追加定義でき、この追加したデータと共通データとを全く同一のデータベースシステムのデータとして取り扱うことができるセミカスタム・データベースシステムを提供することにある。
【0022】
なお、本発明は、要するに共通のデータベースに対してユーザーが自由に自分が定義したデータベースを付加して活用するデータベースシステムであり、上記企業内データベースシステムに限らず、たとえば、一般ユーザーを対象として市販される技術データベース、経済情報データベースにユーザー独自のデータを付加するデータベースシステムにも適用することができる。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に記載のセミカスタム・データベースシステムは、
データの表名と項目名を予め定めて複数のユーザーが共通して使用するようにした定型データのコード化表名・項目名と、前記定型データの非コード化表名・項目名とを対応させて格納する定型データディクショナリーと、
前記ユーザーがそれぞれ独自にデータの表名と項目名を定義可能な非定型データのコード化表名・項目名と、前記非定型データの非コード化表名・項目名とを対応させて格納する非定型データディクショナリーと、
コード化された表名と項目名が予め定められ、前記コード化された表名と項目名に対応する前記定型データを格納した定型データベースと、
ユーザーが任意の非コード化の表名と項目名を定義すると、予め用意した所定のコード化表名と項目名を前記非コード化の表名と項目名に自動的に割り当て、該コード化表名と項目名に対応する前記非定型データを格納する非定型データベースと、
データの検索、更新、削除、追加を行うデータ処理命令を実行するデータ処理システムであって、ユーザーが入力したデータ処理命令に含まれている非コード化表名・項目名に対応するコード化表名・項目名を、前記定型データディクショナリーおよび非定型データディクショナリーから検出し、それら検出されたコード化表名・項目名を使用して前記データ処理命令を実行し、前記定型データベースおよび非定型データベースにアクセスしてデータの検索、更新、削除、追加のいずれかの処理を行うデータ処理システムと、
を備えたことを特徴とするものである。
【0025】
本願請求項に記載のセミカスタム・データベースシステムは、上記請求項1のセミカスタム・データベースシステムにおいて、
前記非定型データベースと、定型データベースと、定型データディクショナリーと、非定型データディクショナリーは、通信ネットワークに接続されたサーバーに格納されており、
前記データ処理システムは、一つの前記サーバーに接続された複数のクライアントに起動されることを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるセミカスタム・データベースシステムの一実施形態について以下に説明する。なお、上述した通り、本発明のセミカスタム・データベースシステムは、複数のユーザーが共通して使用するデータに各ユーザーが独自のデータを付加して使用するデータベースシステムであるが、企業内データベースシステムとして使用する場合が理解しやすいので、以下の実施形態では企業内データベースシステムを用いて説明するが、企業内データベースシステムに限るものではない。
【0027】
図1に本実施形態によるセミカスタム・データベースシステムの構成を示す。
本実施形態のセミカスタム・データベースシステム1は、全社用通信ネットワーク2に複数接続された支店用データベースシステム上で稼働している。ここで支店用データベースシステムは、独自のデータを付加するユーザーのシステムという意味であり、実際には本店用のデータベースシステムをも含む。
【0028】
本実施形態による支店用データベースシステムは、図1に示すように、全社用通信ネットワーク2に接続された支店サーバ3と、この支店サーバ3に複数接続されたクライアント4a,4b,4c,…とからなる。
【0029】
支店サーバ3は、全社用通信ネットワーク2との通信を行う役割を担い、内部に支店用非定型データベース5と、全社用定型データベース6と、支店用データディクショナリー7と、全社用データディクショナリー8とを格納している。ここで、データベース、データディクショナリーという用語は、データファイル的な意味で使用しているが、特許請求の範囲でデータベース、データディクショナリーという場合には、データベース、データディクショナリーを格納した記憶装置という意味で使用する。これらのデータベースおよびデータディクショナリーの構造や機能については後にさらに詳しく説明する。
【0030】
クライアント4a,4b,4c,…は、それぞれが情報処理機能を有し、本発明によるセミカスタム・データベースシステム1の作動時にはデータ処理システム9a,9b,9c,…を起動させている。クライアント4a,4b,4c,…は、汎用性のあるコンピュータであってもよいし、データ処理システム用に専用化された装置であってもよい。
【0031】
上記支店用非定型データベース5は、支店独自のデータ(非定型データ)を系統的に格納・管理するデータの集まりである。「非定型」とは、全社共通のデータに対して、各支店が自由に定義しうるデータの意である。これらの非定型データは、データベースとして機能するように、レコード(行)と項目(列)からなる表(一定の性質のデータの集まり)の形に整理されて支店用非定型データベース5に格納されている。
【0032】
一方、全社用定型データベース6は、全社共通のデータ(定型データ)を系統的に格納・管理するデータの集まりである。「定型」とは、全社共通のデータであって、通常はユーザーがデータを改変しない定型的なデータの意である。これらの定型データも、データベースとして機能するように、レコード(行)と項目(列)からなる表(一定の性質のデータの集まり)の形に整理され、全社用定型データベース6に格納されている。
【0033】
支店用データディクショナリー7は、支店が定義するデータ(非定型データ)の表名・項目名と、予め用意されたコード化表名・項目名との対照リストを備えている。
【0034】
上記支店用データディクショナリー7の対照リストの一例を以下に示す。
【0035】
非コード化表名・項目名 コード化表名・項目名
顧客収集情報(表名) AA2101(表名)
持ち家 AA2101_001
出身県 AA2101_002
保有不動産坪数 AA2101_003
負債金額 AA2101_004
: :
: :
一方、全社用データディクショナリー8は、定型データのコード化された表名・項目名とそれらのコード化されていない表名・項目名の対照リストを備えている。
【0036】
この全社用データディクショナリー8の一例を以下に示す。
【0037】
非コード化表名・項目名 コード化表名・項目名
顧客名漢字 KYAKU_MEI_KJ
顧客名フリガナ KYAKUMEI_KN
部店コード BTN_CD
口座番号 KOZA_NO
顧客セールスコード KYAKU_SLS_CD
: :
: :
【0038】
上記に例示したように、支店用データディクショナリー7と全社用データディクショナリー8とに、データベースで取り扱うコード化表名・項目名とコード化されていない表名・項目名(非コード化表名・項目名)とを対照させて定義しておくのは、データを体系的に管理するにはコード化表名・項目名が好都合である一方、ユーザーがデータを操作・加工するには非コード化表名・項目名が好都合だからである。
【0039】
つまり、データの表名・項目名は、データの整理の要求から、数字と記号による表現が好都合であるが、データ量が膨大になった場合には、コード化表名・項目名が複雑になり、これらをユーザーが検索・加工等するのがきわめて困難になるからである。
【0040】
そこで、本実施形態のように支店用データディクショナリー7と全社用データディクショナリー8において、コード化された表名・項目名とコード化されていないユーザーが理解可能な表名・項目名とを対照させて定義しておくことにより、ユーザーは、理解しやすい非コード化表名・項目名を使用できる一方、データベース上ではコード化された表名・項目を使用できるようにしたのである。
【0041】
この支店用データディクショナリー7と全社用データディクショナリー8の機能を発揮させるため、本発明のデータ処理システム9は、引数機能を有している。
【0042】
ここで、引数機能とは、ユーザーが入力した表名や項目名が、リレーショナル言語によるプログラム中の引数に入力され、その引数に入力されたデータに所定の処理を行い、その処理結果に対してプログラムを実行する機能をいう。
【0043】
本実施形態のデータ処理システム9a,9b,9c,…の場合、データ処理システム9a,9b,9c,…は、ユーザーが入力した非コード化ファイル名・項目名をプログラム中の各引数に入力し、支店用データディクショナリー7と全社用データディクショナリー8から対応するコード化表名・項目名を検索し、それら検索されたコード化表名・項目名を各引数に代入してプログラムを実行する。この引数機能については後にさらに説明する。
【0044】
図2に本実施形態のセミカスタム・データベースシステム1の全体の処理の流れを示す。
【0045】
セミカスタム・データベースシステム1を企業内データベースシステムとして使用するには、最初に全社用データディクショナリー8に全社用の定型データを定義をする(ステップ100)。
【0046】
全社用定型データは、本店を含む各支店が共通して使用する最大公約数的なデータを選別し、データの表名と項目名のコード体系を定め、各コード化表名・項目名の内容を簡潔に表す非コード化表名・項目名を定めて全社用データディクショナリー8に登録する。この作業は通常専門のシステムエンジニアによって行われる。
【0047】
このように全社用データディクショナリー8の定義を終了したセミカスタム・データベースシステム1は実際に各支店(本店を含む)の使用に供される(ステップ110)。
【0048】
各支店がセミカスタム・データベースシステム1を使用するには、最初に各支店が支店用データディクショナリー7に独自の非定型データを定義する(ステップ120)。この非定型データは、各支店によって異なるが、たとえば、その支店が営業上必要な顧客の情報等が考えられる。
【0049】
図3に非定型データの定義の画面を示す。図3に示すように、非定型データは、ユーザーが項目名、単位、分類、項目表示順序、入力規則を入力すれば、自動的にこのデータ項目に対するコード化された項目名を割り振り、支店用データディクショナリー7に登録する。
【0050】
たとえば、ユーザーが顧客について、定型データの他に「持ち家」が有るか無いかの情報を収集したい場合に、ユーザーは図3のダイヤログボックス10に「持ち家」に関する項目名、分類等を入力すると、項目と定義に対してコード化項目名「AA2101_001」が自動的に割り振られ、非定型データ「持ち家」が支店用データディクショナリー7に登録される。
【0051】
登録後は、ユーザーが「持ち家」に関する情報を入力あるいは検索等する場合は、「持ち家」という項目名で、コード化項目「AA2101_001」に情報を入力あるいは検索することができる。このため、ユーザーは、コード化項目「AA2101_001」について全く意識する必要がない。
【0052】
ここで、また図2のフローチャートに戻ってセミカスタム・データベースシステム1の処理について説明する。
【0053】
ステップ120により、ユーザーが自分が欲しい情報についてデータを定義した後は、そのデータについて情報を入力する必要がある。ステップ130以降の処理は、情報を蓄積したデータを活用する段階の諸処理を示している。
【0054】
データを活用するには、最初に支店ユーザーが非コード化表名・項目名を使用してデータ処理命令をクライアント4a,4b,4c,…を介して入力する(ステップ130)。
【0055】
クライアント4a,4b,4c,…のデータ処理システム9a,9b,9c,…は、上述した引数機能により、支店ユーザーが入力した非コード化表名・項目名について支店用データディクショナリー7と全社用データディクショナリー8とを検索して該当するコード化表名・項目名を取得し(ステップ140)、これらのコード化表名・項目名をプログラム中の引数に代入してデータ処理命令を実行する(ステップ150)。
【0056】
これにより、支店用非定型データベース5と全社用定型データベース6の双方から、ユーザーが欲しい情報を検索・加工することができる(ステップ160)。
【0057】
ここで、引数機能の実体について、例を用いて若干説明する。
【0058】
たとえば、ユーザーが実行を命令したデータ処理命令がSQL(Structured Query Language)によるSELECT文であると仮定する。
【0059】
SELECT文は、指定されたデータ表から指定された項目のデータを抽出しなさいという命令であり、たとえば、
SELECT AA2101_001,AA2101_002,AA2101_003
FROM AA2101
というSELECT文は、表[AA2101]から項目[AA2101_001],[AA2101_002],[AA2101_003]を抽出しなさいという内容を示している。
【0060】
ここで、SELECT文で指定する表名や項目名は、コード名を使用しなければならないことに注意する。
【0061】
これに対して、引数を用いた同一のSELECT文の記述は下記のごとくである。
【0062】
SELECT %K1%,%K2%,%K3%
FROM %H1%
ここで、%_%は引数を示している。
この引数を用いたSELECT文を実行すべく、たとえばユーザーが表「顧客収集情報」から顧客の「持ち家」、「出身県」、「保有不動産坪数」に関する情報を抽出せよという命令をクライアント4a,4b,4c,…に入力したとすると、データ処理システム9a,9b,9c,…は、「顧客収集情報」(表)、「持ち家」、「出身県」、「保有不動産坪数」の各非コード化表名・項目名に対して、それらに対応するコード化表名・項目名[AA2101(表名)],[AA2101_001],[AA2101_002],[AA2101_003]を、支店用データディクショナリー7と全社用データディクショナリー8とから検出し、引数[%H1%],[%K1%],[%K2%],[%K3%]に代入し、しかる後にSELECT文を実行する。
【0063】
上記例では、たまたまデータ項目はすべて非定型データであったが、定型データと非定型データとを混在して指定しても、全く同様にデータを検索することができる。
【0064】
言葉を換えれば、引数を用いて記述したSQL文、また、これらSQL文の集合であるデータ処理システム9a,9b,9c,…は、データの検索・更新・削除・追加等の機能のみであって、その取り扱うものはユーザーが入力し、データディクショナリー7,8から検出したものということができる。
【0065】
以上の説明から明らかなように、本発明のセミカスタム・データベースシステム1は、全社的に使用するデータと、ユーザーが自由に定義できるデータの表や項目を用意し、全社的に使用するデータとユーザーが定義したデータとを全く同一のデータベースのように取り扱えるようにしたものということができる。
【0066】
さらに、支店用データディクショナリー7と全社用データディクショナリー8を備えることにより、ユーザーはコード化された表名や項目名を全く意識することなく、理解可能な非コード化表名・項目名をそのまま使用でき、一般的なユーザーが容易に使用することができるセミカスタム・データベースシステムを提供することができる。
【0067】
図4に上記セミカスタム・データベースシステム1による出力画面を例示する。図4の出力画面は、従来のデータベースシステムの出力画面(図5参照)と比較しやすいように、全社用定型データ部分11については全く同一のものを示している。
【0068】
本実施形態のセミカスタム・データベースシステム1による出力画面は、図に示すように、画面の左下隅に支店独自の非定型データ欄12を有している。この非定型データ欄12には、支店が収集した持ち家、出身県、出身校、保有不動産坪数、負債金額等の情報が表示されている。
【0069】
全社用定型データ部分11は、全社用定型データベース6から抽出したデータを表示しているので、常にリアルタイムで最新のデータを表示することができる。
【0070】
また、非定型データ欄12のデータと全社用定型データ部分11のデータは、全く同一のデータベース上のデータとして取り扱うことができるものであるので、支店用非定型データをキー・データとして、全社用定型データを整理して表示することも可能である。
【0071】
たとえば、「持ち家:有」(非定型データ)の顧客の取引情報(定型データ)を表示させることができる。
【0072】
なお、本実施形態では支店のデータベースシステムは、クライアント・アンド・サーバーシステムであったが、支店用非定型データベースと、全社用定型データベースと、支店用データディクショナリーと、全社用データディクショナリーと、データ処理システムが同一のコンピュータ内に格納され、このコンピュータが通信ネットワークによって複数接続されている形態であってもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のセミカスタム・データベースシステムによれば、複数のユーザーが共通に使用する定型データの非コード化表名・項目名と、定型データのコード化表名・項目名とを対応させて定型データディクショナリーに登録し、次に各ユーザーが、任意の非定型データの非コード化表名・項目名を非定型データディクショナリーに登録しておくことにより、ユーザーは非コード化表名・項目名を使用してデータ処理を命令でき、データ処理システムは引数機能により、コード化表名・項目名を使用して非定型データベースと定型データベースとにアクセスし、必要なデータを処理を行うことができる。
【0074】
すなわち、本発明のセミカスタム・データベースシステムによれば、共通に使用する定型データのデータベースに対して、各ユーザーが独自に非定型データを付加することができ、それら定型データと非定型データとを全く同一のデータベースのように処理することができる。
【0075】
これにより、複数のユーザーが共通に同一のデータベースを使用し、かつ、その同一のデータベースにそれぞれの独自のデータベースを付加して使用することができ、全体のデータの整合性と各ユーザーの要求とをともに高度に満たし、コンピュータ資源的にも、情報資源的にも極めて効率が高いセミカスタム・データベースシステムを提供することができる。
【0076】
また、定型データディクショナリーと非定型データディクショナリーの定義を変えることにより、データ処理システムの内容を変えることなく、処理するデータを変化させることができ、また、データ処理システムの命令のみを変えることにより、異なる処理を行うことができるので、極めてメインテナンスが容易なデータベースシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるセミカスタム・データベースシステムの一構成例とその情報の流れを示したブロック図。
【図2】本発明のセミカスタム・データベースシステムによる処理の流れを示したフローチャート。
【図3】ユーザーが自由に定義可能な非定型データの定義用画面の例を示した図。
【図4】一部にユーザーが定義した非定型データを出力した本発明のセミカスタム・データベースシステムによる出力画面の例を示した図。
【図5】所定の処理結果にメモ欄を設けて文書データを入力できるようにした従来のデータベースシステムの出力画面の例を示した図。
【符号の説明】
1 セミカスタム・データベースシステム
2 全社用通信ネットワーク
3 支店サーバ
4 クライアント
5 支店用非定型データベース
6 全社用定型データベース
7 支店用データディクショナリー
8 全社用データディクショナリー
9 データ処理システム
10 ダイヤログボックス
11 全社用定型データ部分
12 非定型データ欄
20 メモ欄

Claims (2)

  1. データの表名と項目名を予め定めて複数のユーザーが共通して使用するようにした定型データのコード化表名・項目名と、前記定型データの非コード化表名・項目名とを対応させて格納する定型データディクショナリーと、
    前記ユーザーがそれぞれ独自にデータの表名と項目名を定義可能な非定型データのコード化表名・項目名と、前記非定型データの非コード化表名・項目名とを対応させて格納する非定型データディクショナリーと、
    コード化された表名と項目名が予め定められ、前記コード化された表名と項目名に対応する前記定型データを格納した定型データベースと、
    ユーザーが任意の非コード化の表名と項目名を定義すると、予め用意した所定のコード化表名と項目名を前記非コード化の表名と項目名に自動的に割り当て、該コード化表名と項目名に対応する前記非定型データを格納する非定型データベースと、
    データの検索、更新、削除、追加を行うデータ処理命令を実行するデータ処理システムであって、ユーザーが入力したデータ処理命令に含まれている非コード化表名・項目名に対応するコード化表名・項目名を、前記定型データディクショナリーおよび非定型データディクショナリーから検出し、それら検出されたコード化表名・項目名を使用して前記データ処理命令を実行し、前記定型データベースおよび非定型データベースにアクセスしてデータの検索、更新、削除、追加のいずれかの処理を行うデータ処理システムと、
    を備えたことを特徴とするセミカスタム・データベースシステム。
  2. 前記非定型データベースと、定型データベースと、定型データディクショナリーと、非定型データディクショナリーは、通信ネットワークに接続されたサーバーに格納されており、
    前記データ処理システムは、一つの前記サーバーに接続された複数のクライアントに起動されることを特徴とする請求項1に記載のセミカスタム・データベースシステム。
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