JP3630660B2 - 印鑑基材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印鑑を製作するために用いられる柱状の印鑑基材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、印鑑は、硬い木材あるいは動物の角や骨等の緻密な材料からなる柱状の印鑑基材の端面に印影を彫刻することによって製作されるのが一般的であったが、環境保全の観点やコスト高である点等からかかる天然物を原料とせずに合成樹脂で印鑑基材をつくることが行われるようになって久しい。
【0003】
合成樹脂製の印鑑基材は、通常、筒状の金型に溶融状態の所定の合成樹脂原料を注入することによる、いわゆる成形処理によって製造されるが、得られた印鑑基材は単に柱状を呈しているだけのものであり極めて殺風景である。
【0004】
かかる不都合を解消するために、色違いの二種類の合成樹脂を緩やかに混ぜ合わせながら金型に注入することにより縞模様のある印鑑基材を製造したり、透明な溶融樹脂に微細な金属片を混入することによって金属片が印鑑基材内に散らばった状態にすることが行われることがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、印鑑基材は、その周面に縞模様を設けたり、内部に金属片を散りばめても、絵柄としては極めて単純であり、どれも同じような状態になることから、オリジナリティを主張し得る興趣に富んだものにはならない。
【0006】
そこで、印鑑基材の外周面に絵柄を彫刻したり、各種の絵柄を手書きすることがしばしば行われる。こうすることによって一律的であった印鑑基材の外周面がオリジナリティを発揮し得るものになる。
【0007】
しかしながら、印鑑基材の外周面に一々絵柄を彫刻したり手書きすることは非常に面倒であって生産性が劣るため、絵柄入りの印鑑基材は高価なものとなり、広く普及させることができないという問題点を有している。
【0008】
また、印鑑基材の外周面に手書きされた絵柄は、使用する度に手によってこすられることになるため、剥がれ落ち易いという問題点も存在する。そして、一旦絵柄が部分的に剥がれ落ちると、絵柄のないものよりもかえって見苦しくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであり、絵柄付与の容易性を確保した上で一旦付与された絵柄が容易に消えない印鑑基材およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、有底状の透明な筒体と該筒体内に注入された透明な合成樹脂からなる芯材と該芯材と前記筒体の内周面との間に介挿入された所定の絵柄を有する和紙からなる筒状のシート体とからなり、しかも該シート体には前記合成樹脂が浸透してシート体と合成樹脂が一体化されてなることを特徴とする印鑑基材である。
【0011】
この発明によれば、度重なる使用で印鑑の印鑑基材の表面がこすれても、絵柄は、筒体の内周面に密着している絵柄付きシート体に付与されているため、従来の印鑑基材の外周面に手書きされた絵柄のようにこすれて落剥するような不都合の生じることはなく、印鑑にいつまでも美麗な状態を維持させることができる。
【0012】
また、絵柄付きシート体の絵柄として、各種のものを容易に採用することができるばかりか、単なる模様などに留まらず、写真や書画をも採用することが可能であり、印鑑をオリジナリティに富んだものにすることができる。特に絵柄付きシート体のシート本体として和紙を採用すれば、印鑑基材に和紙独特の風合いが醸し出され、印鑑を高級感に富んだものにすることができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印鑑基材であって、前記筒体は、アクリル系の合成樹脂によって形成されていることを特徴とする
【0015】
この発明によれば、筒体にアクリル系の合成樹脂が用いられることにより、筒体に内装されたシート体の絵柄を外部から明確に視認し得る。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の印鑑基材であって、前記筒体内に注入された透明な合成樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、筒体内に注入された透明な合成樹脂にエポキシ樹脂が採用されることにより、エポキシ樹脂が液状を呈した固化前のものに所定の硬化剤を混入して所定時間加熱処理を施すことにより固化するため、取り扱いが容易で成形の作業性を優れたものとすることができ、さらに、硬化時に収縮することがないため、寸法安定性を極めて良好にすることができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、有底状の透明な筒体内に満了に満たない量の透明な液状の合成樹脂を注入する第一次樹脂注入工程と、所定の絵柄を有する和紙からなる筒状のシート体を前記筒体の内周面と合成樹脂間に介挿入するシート体挿入工程と、シート体の介挿入された筒体内に満了になるまで液状の合成樹脂を注入する第二次樹脂注入工程と、前記筒体内の合成樹脂を固化させる固化工程とからなることを特徴とする印鑑基材の製造方法である。
【0020】
この発明によれば、筒体の周面に彫刻を施したり図柄を手書きするような面倒な工程が存在しないため製造が容易で大量生産に向いており、絵柄を有する印鑑基材の製造コストも低減化に貢献することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る印鑑基材の第一実施形態を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)はA−A線断面図、(ハ)はB−B線断面図である。図1に示すように、第一実施形態の印鑑基材10は、透明な有底の筒体20と、この筒体20の内周面に積層された所定の絵柄を有する絵柄付きシート体30と、この絵柄付きシート体30の内側に流動状態の合成樹脂原料が注入さた後に固化処理が施されて形成した芯材40とからなる基本構成を備えている。
【0022】
上記筒体20は、本実施形態においては円筒状のものが採用されているが、円筒状であることに限定されるものではなく、断面視で楕円形状、四角形状あるいは多角形状など各種の形状のものを採用することができる。かかる筒体20は、本実施形態においては、アクリル系の合成樹脂(アクリル樹脂)によって形成されている。筒体20にアクリル樹脂が用いられるのは、アクリル樹脂(特にポリメタクリル酸メチル(PMMA))は透明度が高く、筒体20に内装された絵柄付きシート体30の絵柄を外部から明確に視認し得るからである。
【0023】
因みに、本発明は、筒体20がアクリル樹脂製であることに限定されるものではなく、透明なその他の合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド、ポリアミド等)であってもよいし、透明ガラスであってもよい。
【0024】
上記絵柄付きシート体30は、本実施形態においては、シート本体として和紙が採用されている。この和紙からなるシート本体の表面に所定の絵柄が印刷処理されることによって絵柄付きシート体30が形成されている。
【0025】
シート本体として和紙を採用した理由は以下のとおりである。すなわち、流動状態の合成樹脂を絵柄付きシート体30の装填された筒体20内に注入したときに、この合成樹脂が目の粗い和紙の細孔内に侵入し、当該和紙が絵柄の部分を除いて地の部分が半透明になるとともに、和紙独特の繊維絵柄が顕出して印鑑基材10の外観視が極めて風合いに富んだものになるからである。
【0026】
なお、本発明は、シート本体が和紙であることに限定されるが、参考例としては、通常の西洋紙であってもよいし、合成樹脂製のフィルムであってもよい。また、絵柄付きシート体30の絵柄の中には、模様、文字、図形、記号またはこれらの組み合わせが含まれることはもちろん、写真や手書きの書画なども含まれる。
【0027】
かかる絵柄付きシート体30は、縦寸法が筒体20の軸心方向の内寸法より若干短めに寸法設定されているとともに、横寸法が筒体20の内周長と略等しく寸法設定されている。したがって、この絵柄付きシート体30を横方向に向けて筒状に巻いた後に摺接状態で奥部にまで届くように筒体20内に挿入することによって、筒体20の開口側の内周面に絵柄付きシート体30が存在しない部分が形成された状態になる。
【0028】
上記芯材40は、本実施形態においては、エポキシ樹脂によって形成されている。芯材40としてエポキシ樹脂が採用されるのは以下の理由による。すなわち、エポキシ樹脂は、液状を呈した固化前のものに所定の硬化剤を混入して所定時間加温処理を施すことにより固化するため、取り扱いが容易で成形の作業性に優れているため、およびエポキシ樹脂は硬化時に収縮することがなく、極めて良好な寸法安定性を備えているためである。さらにエポキシ樹脂は彫刻などの加工性にも優れ、印鑑基材10の芯材40の材料として優れているためである。但し、本発明は、芯材40がエポキシ樹脂製であることに限定されるものではなく、エポキシ樹脂に代えて寸法安定性に富んだ他の合成樹脂を採用してもよい。
【0029】
かかる硬化剤の混入されたエポキシ樹脂を、絵柄付きシート体30の挿入された筒体20内に注入したのち加温による固化処理を施すことによって図1に示すような印鑑基材10が得られる。このようにして得られた印鑑基材10の外部に露出している芯材40の端面に彫刻面41が形成され、この彫刻面41に所定の彫刻処理が施されることによって印鑑が完成する。
【0030】
図2は、第一実施形態の印鑑基材10の製造方法を説明するための工程図である。この図に示すように、第一実施形態の印鑑基材10は、第一次樹脂注入工程P1と、シート体挿入工程P2と、第二次樹脂注入工程P3と、樹脂固化工程P4と、仕上げ工程P5とを経ることによって製造される。
【0031】
第一次樹脂注入工程P1は、上記筒体20に硬化剤の混入された液状のエポキシ樹脂Xを注入する工程である。この第一次樹脂注入工程P1においては、エポキシ樹脂Xは満了に満たない量が筒体20内に注入される。因みに、本実施形態においては筒体20の内容積の40%〜80%、好ましくは略70%が満たされるまでエポキシ樹脂Xが筒体20内に注入される。このようにされるのは、つぎのシート体挿入工程P2において絵柄付きシート体30の筒体20内への挿入操作を容易に行い得るようにするためである。
【0032】
すなわち、予め筒体20内にエポキシ樹脂Xを満量になるまで注入してしまうと、筒状の絵柄付きシート体30を筒体20内に挿入したときの当該絵柄付きシート体30の拡径操作が困難になったり、エポキシ樹脂Xが筒体20から溢れ出てしまうようなことが起こるなど、絵柄付きシート体30の筒体20への挿入操作が困難になるが、かかる不都合を回避するために満量になる前にエポキシ樹脂Xの注入操作を中止するようにしているのである。
【0033】
また、この第一次樹脂注入工程P1で使用される筒体20の内周面には、予め所定の工具を用いて無数の引掻き傷が付与されている。こうすることによって注入されたエポキシ樹脂Xが無数の引掻き傷の中に入り込み、固化したエポキシ樹脂Xの絵柄付きシート体30を介した筒体20内周面に対する密着力が向上するようにしている。
【0034】
上記シート体挿入工程P2は、先の第一次樹脂注入工程P1で満量になる手前までエポキシ樹脂Xの注入された筒体20内に、円筒状に丸めた絵柄付きシート体30を挿入する工程である。そして、このシート体挿入工程P2においては、筒体20の内径寸法と略一致する外径寸法になるように丸められた絵柄付きシート体30が、筒体20の内周面に密着した状態で当該筒体20内に緩やかに挿入される。こうすることによって内容積の略70%がエポキシ樹脂Xによって満たされた筒体20の内周面に絵柄付きシート体30が当接した状態になる。
【0035】
なお、筒体20の内周面には無数の引掻き傷が設けられ、これらの引掻き傷にエポキシ樹脂Xが入り込んだ状態になっているため、丸めた絵柄付きシート体30を筒体20内に挿入するに際し、当該絵柄付きシート体30の下端縁部が、筒体20の内周面に付着しているエポキシ樹脂Xを追い出してしまうようななく、筒体20と絵柄付きシート体30との間にエポキシ樹脂を残存させることができる。したがって、絵柄付きシート体30が筒体20内に挿入され終わった時点で、絵柄付きシート体30の外周面と筒体20の内周面との間にエポキシ樹脂Xが存在しなくなって両者間の密着力が低下するような不都合は生じない。
【0036】
上記第二次樹脂注入工程P3は、シート体挿入工程P2で絵柄付きシート体30が挿入された筒体20内にさらにエポキシ樹脂Xを満了になるまで継ぎ足す工程である。この第二次樹脂注入工程P3を経ることにより、筒体20内には印鑑基材10を構成するべき材料の全てが装填されたことになる。
【0037】
上記樹脂固化工程P4は、先の第二次樹脂注入工程P3において満了になるまでエポキシ樹脂Xの注入された筒体20を所定の均熱炉50に装填して加熱処理し、これによって液状のエポキシ樹脂Xを固化させるための工程である。本実施形態においては、均熱炉50内は40℃〜90℃に温度制御されている。かかる均熱炉50内に満量のエポキシ樹脂Xを有する筒体20が装填されて1時間〜2時間静置される。こうすることによって筒体20内のエポキシ樹脂Xが硬化して固化し、印鑑基材10の原体60が形成される。
【0038】
このようにして得られた原体60は、つぎの仕上げ工程P5において、高圧水の噴射を受けるいわゆる水研磨や、回転しているバフに周面を押し付けることにより研磨するいわゆるバフ研磨等の表面処理が行われて製品としての印鑑基材10となる。
【0039】
このようにして製造された第一実施形態の印鑑基材10によれば、度重なる使用で印鑑の表面がこすれても、絵柄は筒体20の内周面に密着している絵柄付きシート体30に付与されたものであるため、従来の印鑑基材の外周面に手書きされた絵柄のようにこすれて落剥するような不都合が生じることはなく、いつまでも美麗な状態を維持することができる。
【0040】
また、絵柄付きシート体30の絵柄として、単なる模様に留まらずに写真や書画をも採用することが可能であり、印鑑基材10が極めて特異性に富んだものになる。特に絵柄付きシート体30のシート本体として和紙を採用すれば、印鑑基材10に和紙独特の風合いが醸し出され、印鑑基材10を高級感に富んだものにすることができる。
【0041】
さらに、絵柄付きシート体30として、プリクラと通称される即席写真で撮影した印画紙を採用すれば、印鑑基材10が所有者個人のオリジナルな記念品ともなり、無味乾燥であった印鑑を極めて興趣に富んだ愛着心を喚起させ得るものにすることができる。
【0042】
また、印鑑基材10の製造方法は、筒体20の周面に彫刻を施したり図柄を手書きするような面倒な工程が存在しないため製造が容易で大量生産に向いており、絵柄を有する印鑑のコストダウンに貢献することができる。
【0043】
図3は、本発明に係る印鑑基材の第一の参考例を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)はC−C線断面図、(ハ)はD−D線断面図である。図3に示すように、第一の参考例の印鑑基材11は、円筒状に巻かれて形成した絵柄付きシート体30と、この絵柄付きシート体30内に注入された芯材40とからなっており、第一実施形態で採用されていた筒体20は存在しない。絵柄付きシート体30の材料については、第一実施形態のものと同様のものが採用可能であるが、絵柄付きシート体30が直接外部に露出していることから、特に合成樹脂製のフィルムが好適である。かかるフィルムに例えば印刷処理等により絵柄を施したものの印刷面側を内側にして筒体を形成し、この筒体の中にエポキシ樹脂等の合成樹脂を注入することによって印鑑基材11を得ることができる。
【0044】
具体的には、印鑑基材11の製造に際し、当該印鑑基材11の立体形状と同一の凹部形状を備えたキャビティを有する金型が採用される。そして、この金型のキャビティ内に筒状にした絵柄付きシート体30がまず装填され、しかる後に筒状の絵柄付きシート体30内に液状の合成樹脂が注入され、引き続き当該合成樹脂の硬化処理が行われることにより、印鑑基材11を得ることができる。
【0045】
第一の参考例の印鑑基材11によれば、第一実施形態における筒体20を採用しない分部品点数の削減が実現し、その分製造コストの低減化に寄与することができる。
【0046】
なお、第一の参考例においては、絵柄付きシート体30内に流動状態の合成樹脂を注入することによって芯材40を形成するようにしているが、こうする代わりに、まず、芯材40を製作しておき、この芯材40の外周面に例えば接着剤を介し絵柄付きシート体30を巻き付けるようにして印鑑基材11を製造するようにしてもよい。
【0047】
図4は、本発明に係る印鑑基材の第二の参考例を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)はE−E線断面図、(ハ)はF−F線断面図である。図4に示すように、この実施形態の印鑑基材12は、芯材(柱状体)40と、この芯材40の外周面に印刷されることによって形成した印刷層70とからなっている。すなわち、第二の参考例においては、先の各実施形態のように芯材40の外周面に絵柄付きシート体30を積層することなく、絵柄付きシート体30の外周面に絵柄が直接付与されるのである。
【0048】
上記印刷層70は、着色された熱可塑性合成樹脂の加熱溶融物をインキとして印刷する、いわゆるホット印刷が採用されている。かかるホット印刷によって絵柄付きシート体30の周面に熱可塑性合成樹脂からなる印刷層70が形成され、これによって印鑑基材12は、その周面に各種の絵柄が確実に付与された状態になる。
【0049】
第二の参考例の印鑑基材12によれば、ホット印刷によって芯材40の周面に形成された印刷層70は、加熱溶融した熱可塑性合成樹脂からなるインキによって印刷されいるため、かかるインキは、冷却されることにより固化して芯材40の外周面に容易に剥がれない状態で固着した状態になる。したがって、印刷層70は、芯材40の周面に塗料を用いて手書きで絵柄を画いたものに比べて極めて安定した状態で芯材40の周面に固着しており、度重なる印鑑の使用でこすれても剥がれるような不都合を回避することができる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、印鑑基材を、透明な筒体と、筒体の内周面に積層された所定の絵柄を有する絵柄付きシート体と、この絵柄付きシート体の内側に注入された所定の合成樹脂とから構成しているため、従来の印鑑基材の外周面に手書きされた絵柄のようにこすれて落剥するような不都合の生じることはなく、印鑑にいつまでも美麗な状態を維持させることができるとともに、絵柄付きシート体の絵柄として、各種のものを容易に採用することができるばかりか、単なる模様などに留まらず、写真や書画をも採用することが可能であり、印鑑をオリジナリティに富んだものにすることができる。
【0053】
請求項4記載の発明によれば、印刷基材を、筒体に満量に満たない量の合成樹脂を注入する第一次樹脂注入工程と、この工程で合成樹脂の注入された筒体の内周面に沿うように絵柄付きシート体を当該筒体に挿入する絵柄付きシート体挿入工程と、この工程で絵柄付きシート体の挿入された筒体に満量になるまで合成樹脂を注入する第二次樹脂注入工程とを経ることによって製造するようにしているため、筒体の周面に彫刻を施したり図柄を手書きするような面倒な工程が存在しないため製造が容易で大量生産に向いており、絵柄を有する印鑑基材の製造コストの低減化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印鑑基材の第一実施形態を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)はA−A線断面図、(ハ)はB−B線断面図である。
【図2】第一実施形態の印鑑基材の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】印鑑基材の第一の参考例を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)はC−C線断面図、(ハ)はD−D線断面図である。
【図4】印鑑基材の第二の参考例を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)はE−E線断面図、(ハ)はF−F線断面図である。
【符号の説明】
10,11,12 印鑑基材
20 筒体
30 絵柄付きシート体
40 芯材
41 彫刻面
50 均熱炉
60 原体
70 印刷層

Claims (4)

  1. 有底状の透明な筒体と該筒体内に注入された透明な合成樹脂からなる芯材と該芯材と前記筒体の内周面との間に介挿入された所定の絵柄を有する和紙からなる筒状のシート体とからなり、しかも該シート体には前記合成樹脂が浸透してシート体と合成樹脂が一体化されてなることを特徴とする印鑑基材。
  2. 前記筒体は、アクリル系の合成樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の印鑑基材。
  3. 前記筒体内に注入された透明な合成樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印鑑基材。
  4. 有底状の透明な筒体内に満了に満たない量の透明な液状の合成樹脂を注入する第一次樹脂注入工程と、所定の絵柄を有する和紙からなる筒状のシート体を前記筒体の内周面と合成樹脂間に介挿入するシート体挿入工程と、シート体の介挿入された筒体内に満了になるまで液状の合成樹脂を注入する第二次樹脂注入工程と、前記筒体内の合成樹脂を固化させる固化工程とからなることを特徴とする印鑑基材の製造方法。
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