JP3630235B2 - ねじり形材押出し成形方法、ねじり形材押出し成形装置及びねじり形材押出し成形の制御方法 - Google Patents

ねじり形材押出し成形方法、ねじり形材押出し成形装置及びねじり形材押出し成形の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金などを素材として、形材長手方向に沿って該形材長手方向に垂直な断面の位相(断面の現われ方)が変化するねじり形材を得るのに用いられる、ねじり形材押出し成形方法、ねじり形材押出し成形装置及びねじり形材押出し成形の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、押出し成形加工は、コンテナと称する容器内に入れた素材(ビレット)を加圧し、該素材をダイス孔を通して押し出して所定形状の押出し形材を得る方法であり、一回の工程で比較的複雑な断面形状の押出し形材製品を得ることができる。特に近年、環境・リサイクルの問題がクローズアップされ、こうした点からも、鉄道車両,自動車,船舶などの軽量化、高強度化及び低コストが要求される輸送機の外装構造部材として、また、同じく軽量化、高強度化及び低コストが要求される家電OA機器や各種機械部品の構造部材として、アルミニウム合金押出し形材の使用が増えてきている。
【0003】
こうしたことから、前述した一回の工程で製品が得られてコストパフォーマンスがよいという押出し成形加工のメリットを生かすべく、従来より、形材長手方向に垂直な断面形状の位相が形材長手方向に沿って変化するねじり形材を押出し成形する技術が、提案されている。
【0004】
例えば、特開平5−329532号公報には、外周に凹凸部を形材長手方向に沿って螺旋状かつ連続的に有する中空ねじり形材を、押出し成形するのに用いるダイス装置が開示されている。この公報に開示されたダイス装置は、中空ねじり形材の中実部分の断面を形成するため雌型ダイスと、この雌型ダイスの上流側に位置され、中空ねじり形材の中空部分の断面を形成する雄型ダイスとから構成されており、雄型ダイスは素材が収納されるコンテナの先端開口部に装着される。そして、雌型ダイスのダイス孔には、押出し成形すべき中空ねじり形材のねじれ形状を規定するための複数条のねじれ部(ねじり部)が所定ねじれ角をもって形成されている。また、特公平6−79739号公報には、外周に凹凸部を形材長手方向に沿って螺旋状かつ連続的に有する中空ねじり形材(図10参照)を得るためのダイス装置が開示されている。この公報に開示されたダイス装置は、前記中空ねじり形材の凹凸形状に対応した断面形状及びねじり角のダイス孔を有する雌型ダイス(ダイス雌型)と、前記中空ねじり形材の中空部分形成用の成形凸部のまわりに、素材(押出材料)のメタルフローにねじり方向への方向性を付与し該メタルフローを雌型ダイスのダイス孔に導く押出材料導入孔を有する雄型ダイス(ダイス雄型)とから構成されている。
【0005】
このように、断面形状の位相が形材長手方向に沿って変化するねじり形材(この場合は中空ねじり形材)を得るに際し、前者の特開平5−329532号公報には、雄型ダイスと、素材にねじれを付与するためのねじれ部が形成されたダイス孔を有する雌型ダイスとからなるダイス装置が開示されている。また、後者の特公平6−79739号公報には、雄型ダイスの押出材料導入孔と雌型ダイスのダイス孔とを連通することにより、雄型ダイス入口から雌型ダイス出口に向けて形材長手方向に対して斜め方向に延びる素材通路孔を形成して、素材にねじれを付与するようにした構造のダイス装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特開平5−329532号公報や、前記特公平6−79739号公報に開示された従来のねじり形材押出し成形用のダイス装置では、形状精度などの点において問題があった。
【0007】
すなわち、前記従来のダイス装置では、雌型ダイスのダイス孔にねじれ部を設けたり、雄型ダイス入口から雌型ダイス出口に向けて形材長手方向に対して斜め方向に延びる素材通路孔を設けたりすることにより、ダイス内の素材に対して、形材長手方向に対してある角度(ねじり角)をなす斜め方向への流れを付与し、前記斜め方向への流れを付与されて雌型ダイスから押し出された素材の慣性力と、該素材の連続性による拘束力とによってねじり形材を成形している。
【0008】
このために、従来のダイス装置では、ある一定のねじり角を有するダイスを使用する場合においても、押出し出し速度を上げて素材の流れを速くすると得られるねじり形材のねじり角が小さくなり、逆に押出し速度を下げて素材の流れを遅くすると得られるねじり形材のねじり角が大きくなるという傾向があり、雌型ダイスのダイス孔と同じ大きさのねじり角を持つねじり形材を得ることが難しかった。
【0009】
また、従来のダイス装置では、形材長手方向において連続的にねじりを付与し、かつ、該ねじりを等ピッチとしたねじり形材を対象としており、形材長手方向において連続的でなく間欠的にねじりを付与したねじり形材や、ねじりを等ピッチ(断面の位相の変化が一定のもの)でなく非等ピッチ(断面の位相の変化が一定でなく変化するもの)にしたねじり形材を得ることができない。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、アルミニウム合金などを素材として、形材長手方向に沿って該形材長手方向に垂直な断面の位相が変化するねじり形材を得るに際し、形状精度の良いねじり形材を得ることができ、また、形材長手方向において連続的でなく間欠的にねじりを付与したねじり形材や、ねじりを等ピッチでなく非等ピッチにしたねじり形材を得ることができる、ねじり形材押出し成形方法、ねじり形材押出し成形装置及びねじり形材押出し成形の制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1の発明は、素材が収納されるコンテナの先端開口部に装着して固定され、環状をなし、その内周面に螺旋状ガイド部を有するガイド用固定ダイスと、押出し成形孔を有し、前記ガイド用固定ダイス内に前記螺旋状ガイド部に沿って移動可能に挿入された可動ダイスとからなるダイス装置を備え、コンテナ内に収納された素材を押圧して前記可動ダイスの前記押出し成形孔から押出ししつつ、該可動ダイスを前記螺旋状ガイド部に沿って移動させることで該可動ダイスを並進運動と回転運動とを同時に行うネジ運動させることにより、形材長手方向に沿って該形材長手方向に垂直な断面の位相が変化するねじり形材を押出し成形することを特徴とするねじり形材押出し成形方法である。
【0012】
請求項2の発明は、素材が収納されるコンテナと、該コンテナ内の素材をコンテナ先端側に押圧する素材押圧手段と、前記コンテナの先端開口部に装着して固定され、環状をなし、その内周面に螺旋状ガイド部を有するガイド用固定ダイス、及び、前記素材押圧手段によって押圧された素材が押し出される押出し成形孔を有し、前記ガイド用固定ダイス内に前記螺旋状ガイド部に沿って移動可能に挿入された可動ダイスとからなるダイス装置と、前記可動ダイスを前記螺旋状ガイド部に沿って移動させることで該可動ダイスを並進運動と回転運動とを同時に行うネジ運動させる可動ダイス駆動手段と、該可動ダイス駆動手段による可動ダイスの移動を制御する制御装置とを備え、形材長手方向に沿って該形材長手方向に垂直な断面の位相が変化するねじり形材を押出し成形することを特徴とするねじり形材押出し成形装置である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載のねじり形材押出し成形装置を用いて素材を押出し成形加工してねじり形材を得るに際し、(イ)予め、押出し成形すべきねじり形材の寸法形状から、可動ダイスの初期位置と、該ねじり形材の各ねじり部分を成形するのに必要な前記可動ダイスの移動量・移動速度とを求めておくこと、(ロ)前記可動ダイスを前記初期位置に設定し、素材の押出し成形加工を開始すること、(ハ)押出し成形加工終了までの間に、押出し成形中の形材がそのねじり部分の開始位置に達する都度、可動ダイスを前記(イ)のステップで求めておいた移動量と移動速度にてネジ運動させること、という前記(イ)〜(ハ)のステップにより押出し成形加工を制御することを特徴とするねじり形材押出し成形の制御方法である。
【0014】
本発明においては、素材が収納されるコンテナの先端開口部に装着して固定され、環状をなしその内周面に螺旋状ガイド部を有するガイド用固定ダイスと、形材長手方向に素材が通過する押出し成形孔を有し、前記ガイド用固定ダイス内に前記螺旋状ガイド部に沿って移動可能に挿入された可動ダイスとからなるダイス装置を備えているので、コンテナ内に収納された素材を押圧して可動ダイスの押出し成形孔から押出ししつつ、該可動ダイスを、ガイド用固定ダイスの螺旋状ガイド部に沿って移動させることで、形材長手方向に延びる可動ダイス中心軸線に沿う並進運動と該可動ダイス中心軸線のまわりの回転運動とを同時に行うネジ運動させることができる。これにより、従来とは違って、可動ダイスの押出し成形孔から素材を形材長手方向(可動ダイス中心軸線方向)に対して斜めの方向へ押出すことなくねじり形材を成形することができるので、形状精度の良いねじり形材が得られる。
【0015】
また、可動ダイスを間欠的にネジ運動させることにより、形材長手方向において連続的でなく間欠的にねじりを付与したねじり形材を得ることができる。また、可動ダイスの移動速度を一定でなく変化させることにより、ねじりを等ピッチでなく非等ピッチにしたねじり形材を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態によるねじり形材押出し成形装置の全体構成を示す図である。
【0017】
ねじり形材押出し成形装置は、図1に示すように、素材としての加熱されたアルミニウム合金ビレットAが収納されるコンテナ1と、ステム(ラム)2によってコンテナ1内の前記アルミ合金ビレットAをコンテナ先端側に押圧する押出しシリンダ(素材押圧手段)3と、コンテナ1の先端開口部に装着して固定され、円環状をなし、その内周面に螺旋状ガイド部としての螺旋状ガイド溝部4aを有するガイド用固定ダイス4と、押出しシリンダ3のステム2によって押圧されたアルミ合金ビレットAが押し出される押出し成形孔5bを有し、ガイド用固定ダイス4内に螺旋状ガイド溝部4aに沿って進退移動可能に挿入された可動ダイス5とを備えている。ガイド用固定ダイス4及び可動ダイス5は、ダイス装置を構成している。さらに、ねじり形材押出し成形装置は、可動ダイス5を螺旋状ガイド溝部4aに沿って移動させることで、該可動ダイス5を、形材長手方向に延びる可動ダイス中心軸線に沿う並進運動(進退運動)と該可動ダイス中心軸線のまわりの回転運動とを同時に行うネジ運動させるための、第1のネジ運動用部材7、第2のネジ運動用部材8及びシリンダ9,9よりなる可動ダイス駆動手段と、該可動ダイス駆動手段による可動ダイス5の移動を制御する制御装置10とを備えている。
【0018】
前記ガイド用固定ダイス4及び前記可動ダイス5について説明する。図2は本発明に係るダイス装置のガイド用固定ダイスを示す平面図、図3は図2においてAA線で切断し矢視方向からみた場合のガイド用固定ダイスを示す斜視図、図4は本発明に係るダイス装置の可動ダイスを示す平面図、図5は図4においてAA線で切断し矢視方向からみた場合の可動ダイスを示す斜視図である。
【0019】
ホルダー6によりコンテナ1の先端開口部に固定される前記のガイド用固定ダイス4は、図2及び図3に示すように、円環状をなしており、その内周面には、ガイド用固定ダイス4内に嵌め込まれた可動ダイス5をネジ運動させるために案内する螺旋状ガイド溝部4aが形成されている。本例では螺旋状ガイド溝部4aは、細幅で螺旋状に延びる凹部をなしている。
【0020】
このガイド用固定ダイス4内に挿入される可動ダイス5は、図4及び図5に示すように、前記ガイド用固定ダイス4の内周面と互いに接触して摺動しうる外周面を有するとともに、本例では断面形状がH型の形材用の押出し成形孔5bを有している。可動ダイス5の該押出し成形孔5bを形成する(画成する)面は、傾斜することなく、素材押出し方向(形材長手方向)に真っ直ぐに延びている。そして、可動ダイス5の前記円形外周面の所定位置には、前記ガイド用固定ダイス4の螺旋状ガイド溝部4aの一部分に嵌め合わされて、該螺旋状ガイド溝部4aに沿って摺動自在な突起部5aが形成されている。
【0021】
次に前記可動ダイス駆動手段について説明する。図6は本発明に係る可動ダイス駆動手段を説明するための断面図、図7は図6における第1のネジ運動用部材を示す斜視図である。可動ダイス5をネジ運動させるための可動ダイス駆動手段を構成する第1のネジ運動用部材7は、図7に示すように、可動ダイス5とほぼ同一寸法の直径を持つ円筒体71と、円筒体71の下側円周端に固着された円環状をなす鍔部72とにより構成されている。鍔部72の表面と裏面のそれぞれには、円筒体71と同心をなす複数の同心円上に所定の間隔をあけて設けられた各ポケット内に小球72aが回転自在に取り付けられている。
【0022】
この第1のネジ運動用部材7及びシリンダ9,9とともに可動ダイス駆動手段を構成する第2のネジ運動用部材8は、図6に示すように、全体として円環状をなし、前記第1のネジ運動用部材7の鍔部72を間にして対向する面に同心円状の細い溝が設けられている。このように、この実施形態では、第1のネジ運動用部材7の鍔部72に設けられた前記多数個の小球72aが第2のネジ運動用部材8の前記同心円状の溝に沿ってころがる回転運動用のころがり案内機構が構成されており、第2のネジ運動用部材8に対して第1のネジ運動用部材7が回転自在となされている。
【0023】
したがって、ガイド用固定ダイス4内に挿入された可動ダイス5の素材出側面における周縁部分に第1のネジ運動用部材7の上側円周端を固定する一方、第2のネジ運動用部材8の下側面に2個のシリンダ9,9のピストンロッド9a,9aを連結し、該ピストンロッド9a,9aを伸長又は縮めることにより、可動ダイス5をネジ運動させることができる。例えば、ピストンロッド9a,9aを伸長することにより、可動ダイス5をガイド用固定ダイス4の素材入側に向かって前進させるとともに、ステム2側から見て時計回りに回転させ、可動ダイス5をネジ運動させることができる。そして、前記可動ダイス駆動手段により、精度良くスムーズに可動ダイス5をネジ運動させることができる。
【0024】
次に前記の制御装置10について説明する。10aは前記シリンダ9,9の伸縮動作を制御するための制御弁などを持つシリンダ制御部(油圧回路)であり、10bはアルミ合金ビレットAをコンテナ先端側に押圧する押出しシリンダ3の伸縮動作を制御するための制御弁などを持つ押出しシリンダ制御部(油圧回路)である。前記可動ダイス駆動手段による可動ダイス5の移動を制御する制御装置10は、コンピュータを備えている。制御装置10は、押出し成形しようとするねじり形材の寸法形状情報が端末コンソール11にて入力されると、その寸法形状情報に基づいて、等ピッチのねじり部分や非等ピッチのねじり部分などの設定された各ねじり部分の押出し長さを得るに必要な可動ダイス5の移動量と、等ピッチ、又は非等ピッチという設定されたねじり形態を得るのに必要な該可動ダイス5の移動速度とを算出し、この求めた値になるようにシリンダ制御部10aに指令信号を所定のタイミングにて与えるものである。また、制御装置10は、各ねじり部分や非ねじり部分の押出し量に対応するステム速度となるように、押出しシリンダ制御部10bに押出し速度の指令信号を所定のタイミングにて与えるようになっている。12はステム2の移動量を検出する位置検出器(パルス発振器)であり、制御装置10は、この位置検出器12からの検出信号に基づいて成形時におけるねじり形材の押出し量(押出し長さ)を求めるようにしている。
【0025】
次に、このように構成されたねじり形材押出し成形装置を用いてねじり形材を押出し成形する方法について説明する。図8は本発明によって押出し成形されるねじり形材の一例を示す斜視図である。
【0026】
図8における(a)部分は、ねじりを付与しない非ねじり部分である。シリンダ9,9により可動ダイス5をその初期位置としてガイド用固定ダイス4の素材出側端に位置決めする(図1参照)。この可動ダイス位置にて押出しが開始され、可動ダイス5がネジ運動することなく該初期位置に所定期間維持されて、図8の(a)部分に示すように、ねじりが付与されていない断面H型の非ねじり部分が所定長さ成形される。
【0027】
次に、図8における(b)部分、すなわち非等ピッチねじり部分について説明する。シリンダ9,9のピストンロッド9a,9aをその速度を一定でなく変化させながら所定期間伸長することにより、可動ダイス5をその移動速度を一定でなく変化させながら所定移動量だけネジ運動させる。これにより、前記(b)部分に示すように、断面の位相の変化が一定でなくで変化する非等ピッチねじり部分が所定長さ成形される。
【0028】
次いで、図8における(c)部分、すなわち等ピッチねじり部分について説明する。シリンダ9,9のピストンロッド9a,9aを速度一定にて所定期間伸長することにより、可動ダイス5を移動速度一定で所定移動量だけネジ運動させる。これにより、前記(c)部分に示すように、断面の位相の変化が一定である等ピッチねじり部分が所定長さ成形される。
【0029】
なお、図示省略しているが、シリンダ9,9のピストンロッド9a,9aを縮めて後退させることにより、前記(c)部分とは逆方向にねじりを付与した逆ねじり部分を成形することができる。また、可動ダイス5を間欠的にネジ運動させることにより、形材長手方向において連続的でなく間欠的にねじりを付与したねじり形材を押出し成形することができる。
【0030】
次に、図1に示すねじり形材押出し成形装置を用いて素材を押出し成形加工してねじり形材を得るに際し、どのような制御を行うかについて説明する。図9は本発明によるねじり形材押出し成形の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0031】
まず、予め、押出し成形すべきねじり形材の寸法形状に基づいて、可動ダイス5の初期位置と、該ねじり形材における等ピッチや非等ピッチの各ねじり部分それぞれを成形するのに必要な可動ダイス5の移動量・移動速度とを計算により求めておく(ステップS1)。しかる後、可動ダイス5を初期位置に位置決めし(ステップS2)、押出し成形加工を開始しする(ステップS3)。
【0032】
次いで、そのねじり部分の開始位置に達したか否かが判定される(ステップS4)。ここで、該開始位置に達していない場合(ステップS4でNO)には、ステップS6において可動ダイス5をネジ運動させることなく押出し成形がなされ、ねじりを付与しない非ねじり部分が成形される。
【0033】
開始位置に到達した場合(ステップS4でYES)には、ステップS5に進み、等ピッチあるいは非等ピッチのねじり部分それぞれに応じて可動ダイス5を該ねじり部分についてステップS1で予め求めておいた移動量・移動速度にてネジ運動させる。これにより、等ピッチあるいは非等ピッチのねじり部分が押出し成形される。しかる後、ステップS7で押出し成形加工終了か否かが判定されて、ここで押出し成形加工終了でない場合(ステップS7でNO)にはステップS4に戻ることになる。このようにして押出し成形加工終了までの間に、押出し成形中の形材がそのねじり部分の開始位置に達する都度、可動ダイス5をステップS1で求めておいた移動量・移動速度にてネジ運動させて、ねじり形材押出し成形の制御がなされる。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によるねじり形材押出し成形方法、ねじり形材押出し成形装置及びねじり形材押出し成形の制御方法によると、アルミニウム合金などを素材として、形材長手方向に沿って該形材長手方向に垂直な断面の位相が変化するねじり形材を得るに際し、形材長手方向に素材が通過する押出し成形孔を有する可動ダイスをネジ運動させるようにしたものであるから、形状精度の良いねじり形材を得ることができ、また、従来とは違って、形材長手方向において連続的でなく間欠的にねじりを付与したねじり形材や、ねじりを等ピッチでなく非等ピッチにしたねじり形材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるねじり形材押出し成形装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明に係るダイス装置のガイド用固定ダイスを示す平面図である。
【図3】図2においてAA線で切断し矢視方向からみた場合のガイド用固定ダイスを示す斜視図である。
【図4】本発明に係るダイス装置の可動ダイスを示す平面図である。
【図5】図4においてAA線で切断し矢視方向からみた場合の可動ダイスを示す斜視図である。
【図6】本発明に係る可動ダイス駆動手段を説明するための断面図である。
【図7】図6における第1のネジ運動用部材を示す斜視図である。
【図8】本発明によって押出し成形されるねじり形材の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明によるねじり形材押出し成形の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】従来の押出用ダイスにより製作される中空ねじり形材を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…コンテナ 2…ステム 3…押出しシリンダ 4…ガイド用固定ダイス
4a…螺旋状ガイド溝部 5…可動ダイス 5a…突起部 5b…押出し成形孔
6…ホルダー 7…第1のネジ運動用部材 71…円筒体 72…鍔部 72a…小球 8…第2のネジ運動用部材 9…シリンダ 9a…ピストンロッド
10…制御装置 10a…シリンダ制御部 10b…押出しシリンダ制御部 11…端末コンソール 12…位置検出器 A…アルミニウム合金ビレット

Claims (3)

  1. 素材が収納されるコンテナの先端開口部に装着して固定され、環状をなし、その内周面に螺旋状ガイド部を有するガイド用固定ダイスと、押出し成形孔を有し、前記ガイド用固定ダイス内に前記螺旋状ガイド部に沿って移動可能に挿入された可動ダイスとからなるダイス装置を備え、コンテナ内に収納された素材を押圧して前記可動ダイスの前記押出し成形孔から押出ししつつ、該可動ダイスを前記螺旋状ガイド部に沿って移動させることで該可動ダイスを並進運動と回転運動とを同時に行うネジ運動させることにより、形材長手方向に沿って該形材長手方向に垂直な断面の位相が変化するねじり形材を押出し成形することを特徴とするねじり形材押出し成形方法。
  2. 素材が収納されるコンテナと、該コンテナ内の素材をコンテナ先端側に押圧する素材押圧手段と、前記コンテナの先端開口部に装着して固定され、環状をなし、その内周面に螺旋状ガイド部を有するガイド用固定ダイス、及び、前記素材押圧手段によって押圧された素材が押し出される押出し成形孔を有し、前記ガイド用固定ダイス内に前記螺旋状ガイド部に沿って移動可能に挿入された可動ダイスとからなるダイス装置と、前記可動ダイスを前記螺旋状ガイド部に沿って移動させることで該可動ダイスを並進運動と回転運動とを同時に行うネジ運動させる可動ダイス駆動手段と、該可動ダイス駆動手段による可動ダイスの移動を制御する制御装置とを備え、形材長手方向に沿って該形材長手方向に垂直な断面の位相が変化するねじり形材を押出し成形することを特徴とするねじり形材押出し成形装置。
  3. 請求項2に記載のねじり形材押出し成形装置を用いて素材を押出し成形加工してねじり形材を得るに際し、以下のステップにより押出し成形加工を制御することを特徴とするねじり形材押出し成形の制御方法。
    (イ) 予め、押出し成形すべきねじり形材の寸法形状から、可動ダイスの初期位置と、該ねじり形材の各ねじり部分を成形するのに必要な前記可動ダイスの移動量・移動速度とを求めておく。
    (ロ) 前記可動ダイスを前記初期位置に設定し、素材の押出し成形加工を開始する。
    (ハ) 押出し成形加工終了までの間に、押出し成形中の形材がそのねじり部分の開始位置に達する都度、可動ダイスを前記(イ)のステップで求めておいた移動量と移動速度にてネジ運動させる。
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