JP3629630B2 - 火災報知機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信部に接続されている火災感知器の状態が簡単にわかる火災報知機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、受信部としての火災受信機に複数の火災感知器が共通の信号線に接続され、信号伝送により各火災感知器の状態監視や点検制御を行なうときには、各火災感知器には個別のアドレスが設定され、そのアドレスを付けて信号伝送を行うことにより、信号を発信した火災感知器を特定できるとともに、特定の火災感知器に制御命令を出力できるようになっている。
【0003】
当然、火災受信機によって接続可能な火災感知器の個数は異なるが、伝送時間の効率化やシステムとしての監視制御を簡便なものとするため、アドレスの範囲は1番から順次連続的に設定され、その個数によって最終のアドレスが火災受信機に設定される。これにより、火災受信機が各火災感知器から個別にデータを収集するときに、1番から順次最終アドレスまでの範囲でデータ返送命令を出力することにより、各火災感知器を個別に応答させてデータを収集することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ビル等の対象物の大きなものであっても、多数の火災感知器が一つの火災受信機によって監視制御される場合には、火災受信機に最終のアドレスを一つ設定しておくことで済む。しかし、マンションなどの住宅用のシステムでは、住戸ごとに火災受信機が設けられ、その火災受信機ごとに火災感知器の設置数が異なる。これらの火災受信機を設置する場合、各受信機ごとに設置数をデータ設定するのは非常に面倒である。このため、火災感知器の設置個数が、現場で簡単に設定できること、また、自動的に付与されることが好ましい。
【0005】
本願各発明は、所定数の火災感知器に対して、最終アドレスを現場で簡単に設定できることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑み、この発明では、各火災感知器は、連続する別個のアドレスが設定されるアドレス設定部を有するとともに、受信部は、前記アドレスにより各火災感知器を個別に認識するものであって、さらに、各火災感知器は、受信部により認識される最終のアドレスであることが設定される最終設定部を有することを特徴とするものである。
【0007】
したがって、受信部に対して各火災感知器を個別に応答させるときに、最終の火災感知器が簡単に判別でき、自動点検機能を実施するときには点検対象の数と応答数を対比したり、また、火災受信機等の受信部を取り換えた場合にも最終のアドレスから設置個数が簡便に判断できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施した形態について説明する。図1は共同住宅を設置対象としたシステムの一実施形態を概略的に示す構成図である。
【0009】
共同住宅の個別の部屋として例えば101号室(R101)や401号室(R401)等の住戸内の居間に設けられた火災受信機1から引き出された例えば電源線を兼ねた一対の信号線2に、各部屋毎等に設けられる複数の火災感知器4が並列に送り配線によって接続されている。信号線2の火災受信機1と各火災感知器4との間には、常時は信号線2を火災受信機1に接続し、戸外点検器12の使用時には信号線2をその戸外点検器12側に切り換え接続する線路切換用中継器6が配置されている。
【0010】
これらの各火災感知器4は、常時は、信号線2を通じて火災受信機1から供給される電源によってそれぞれ火災監視動作を行い、火災検出時にはスイッチング動作を行って信号線2間を低インピーダンスの略短絡状態とする。そのときに火災受信機1は、そのスイッチング動作に基づく略短絡状態を検知して住戸内に火災報知動作を行う。このとき、火災受信機1は住戸内だけでなく、共同住宅の建物全体の監視制御として設けられている住棟受信機5に信号線3を介して必要な火災信号を出力する。さらに、例えば戸外点検器12と一体にして住戸の玄関脇に設けられ接続される戸外表示器に火災表示を行ってもよい。 点検時には、線路切換用中継器6に戸外点検器12から切換入力がある。この点検器12からの点検操作に基づき、中継器6は詳細に示さない火災受信機1へ点検出力線を介して点検開始出力を行い、火災受信機1で点検中を表示させるとともに、各火災感知器4への信号線2を、火災受信機1から切り離し、戸外点検器12へ接続する。この状態において、火災受信機1は、中継器6の点検開始出力に基づき点検表示を行い、戸外点検器12からの戸外点検を可能とする。このとき、各火災感知器4は信号線2を通じて点検器12から供給される電源電圧によって動作する。この戸外点検器12は着脱式であってよく、その場合図1の戸外点検器12の位置にはコネクタだけを設ければよい。
【0011】
図2は、図1のシステムに使用される火災感知器4の概略回路図である。
【0012】
火災感知器4は、電源兼信号線2がそれぞれ接続される端子C、Lを電源として、安定した電圧および電流を供給する定電圧回路B2と、抵抗とコンデンサとの充電時定数に基づきマイコンに割り込み入力を行う図示しない発振回路やマイコン等による制御回路B3と、サーミスタの温度特性により火災による熱を検出するなどのセンサ回路B4と、制御回路B3により火災と判別されるときに端子C、L間を低インピーダンスの略短絡状態にスイッチングするとともに図示しない確認灯を点灯する火災出力回路B1と、を有し、さらに、点検動作を行うために信号線2の入力側が接続される端子Lから点検信号としてのパルスの入力を検出する信号伝送回路B6と、点検動作時に制御回路B3の制御に基づいてセンサ回路B4へ点検動作を行わせる試験回路B5と、を有する。
【0013】
例えばサーミスタを用いる場合の制御回路B3による点検動作は、疑似的な高温度状態を形成するため、センサ回路B4においてサーミスタに例えば抵抗を並列に接続することにより、疑似的に高温度状態を検出することができる。そして、その結果に基づき、制御回路B3は点検結果を正常と判断し、火災出力回路B1をオンする。図1のシステムに使用される火災感知器4としてサーミスタ式熱感知器以外に、その他の種類の例えば光電式煙感知器や炎感知器等を用いることができるが、そのときに、点検動作を行うための必要な回路を設けておく必要がある。
【0014】
この制御回路B3には不揮発性かつ書換え可能なメモリとしてEEPROMによる記憶部41が形成されていて、その中に、各火災感知器4に連続する別個のアドレスを設定して個々を特定するためのアドレス設定部42と、一つの信号線2内の各火災感知器4の内で最終のアドレスであることが設定される最終設定部43と、を構成するための領域が設定されている。
【0015】
次に、上記信号線2の信号伝送方式について説明する。戸外点検器12は、まず準備信号を送出して、各火災感知器4に伝送を開始することを認識させ、先頭を表すヘッダ信号、要求する点検の内容を示す制御コード信号、各火災感知器4を個別に指定するアドレス信号、最後を示すフッタ信号を1つの制御ユニットとして、これらを各火災感知器4に個別に作用させるために接続可能個数分のアドレスを変えながら送出する。そして、最後に伝送を終了することを各火災感知器4に認識させるEND信号を送出する。この信号伝送の間、各火災感知器4は、制御ユニットのアドレス信号が自己のアドレスと一致するときに、その制御ユニットの制御信号に示された点検動作をフッタ信号のタイミングで行う。そして、指定された火災感知器4は、次のヘッダ信号(最終はEND信号)の前に設けられたタイミングで自己のアドレス信号と正常信号または異常信号による応答信号を伝送して応答する。
【0016】
次に、伝送信号の具体的な形態について、まず、準備信号は例えば1秒間以上の定常電位を継続した後、例えば30m秒の幅にプラス側のパルスを形成し、定常電位を例えば500m秒継続する。この準備信号により各火災感知器4は、現在処理中の動作を中断して伝送に対応する準備を行う。このとき、パルスの幅は、火災感知器4の動作中に確実に検出できる幅であることが必要である。そして、ヘッダ信号およびフッタ信号は、例えば12m秒の幅のパルスと例えば200m秒の定常電位を継続する。この始めのパルスの立ち上がりは、他の信号でも同様であるが、直前の信号の定常電位の終端を示し、このヘッダ信号等のパルスは、次に説明する制御コードやアドレスを示すコード信号部分のパルスと形状を異ならせている。これにより、制御コードやアドレスを示したい信号部分との区別を容易にしている。
【0017】
そして、制御コードやアドレスを示すコード信号部分については、ヘッダ信号等のパルスとは異なる幅、例えば3m秒のパルスを形成し、続く定常電位の時間を「0」を示す幅、例えば12m秒、または「1」を示す幅、例えば24m秒とする。この「0」、「1」の組み合わせにより、制御コードおよびアドレスを表していて、例えば制御コードでは、2ビットで点検時の各種モードを表し、また、アドレスは4ビットでアドレス1からアドレス10までを表している。したがって、この場合のコード信号部分は6ビット分になる。コード信号部分について、制御コード部分が「01」、アドレス部分が「0001」により、アドレス1の火災感知器に点検モードの動作を行うように指定され、制御コード部分が「01」、アドレス部分が「1010」では、アドレス10の火災感知器に点検モードの動作を行うように指定されている。
【0018】
そして、アドレス指定された火災感知器4は、制御コードに指定された処理を行って、信号伝送回路B6を動作させて、戸外点検器12に自己のアドレス信号を含む応答信号を伝送することにより応答する。このとき火災感知器4は記憶部41のアドレス設定部42および最終設定部43の内容を読み込み、応答信号のコードとする。戸外点検器12は、この火災感知器4の応答するタイミングに信号がない、または異常信号を受信することにより、該当するアドレスの火災感知器4が何らかの異常であることを識別する。
【0019】
また、アドレス指定された火災感知器4のうち、最終のアドレスが設定されている火災感知器4には、その最終設定部43に最終であるかがオンオフ等で設定されていて、その最終アドレスの火災感知器4は、応答信号に自己アドレスの代わりに最終信号を付加して応答信号を伝送する。この信号を受信した戸外点検器12は、次のアドレスの火災感知器が存在しないことを認識し、アドレスを変えて信号伝送を行うことを終了してEND信号を出力する。END信号は、例えば12m秒の幅のパルスと例えば1秒の定常電位を継続する。各火災感知器4は、この1秒以上の定常状態を検出して、伝送への対応を終了し、通常の火災検出動作を開始する。
【0020】
ここで、具体的な信号伝送の流れとして、図1の101号室(R101)を例にとって説明する。そこには3つ火災感知器4が接続されていて、それぞれアドレス設定部42にはアドレス1〜3が、最終設定部43にはアドレス1、2にはオフ、アドレス3にはオンが設定され、正常に終了する場合について示す。
【0021】
まず、戸外点検器12が準備信号を出力して、ヘッダ信号、点検モードおよびアドレス1のコード信号、フッタ信号を出力する。次に、アドレス1(AD1)の火災感知器4がアドレス1および正常信号のコード信号を応答する。そして、戸外点検器12がヘッダ信号、点検モードおよびアドレス2のコード信号、フッタ信号を出力する。次に、アドレス2(AD2)の火災感知器4がアドレス2および正常信号のコード信号を応答する。そして、戸外点検器12がヘッダ信号、点検モードおよびアドレス3のコード信号、フッタ信号を出力する。次に、アドレス3(AD3)の火災感知器4が最終信号および正常信号のコード信号を応答する。最後に戸外点検器12がEND信号を出力して信号伝送を終了する。このように、戸外点検器12は部屋ごとの最終アドレスを火災感知器4からの応答で認識できるので、1個の戸外点検器12を各部屋で共用する場合に、部屋毎の設置個数等をわざわざ確認しなくてもよい。
【0022】
また、上記のような実施形態におけるアドレスが格納されるアドレス設定部は、詳細に示さないが制御回路B3に設けられたEEPROMなどの記憶手段であり、端子C、Lを介して制御回路B3に設定命令を出力することなどによってデータ設定できればよく、不揮発性で書換え可能な記憶手段が好ましい。次に、EEPROMなどの記憶手段以外に各火災感知器4に個別のアドレスを設定する手段について、抵抗素子の着け換えによるアドレス設定方式、コイルとバリキャップから共振周波数を設定しておくことによるアドレス設定方式、コイルと抵抗成分を信号線部分に設けることにより、自動的に接続順に周波数が設定されるアドレス設定方式などであってもよい。また、同様に、最終設定部についても、記憶手段を用いずに、スイッチ素子や終端抵抗を利用するなど、ハード的に設定される構成であってもよい。
【0023】
次に、他の実施形態として、詳細に示さないが、戸外点検器12に空アドレス設定部を有する場合について説明する。
【0024】
このシステムの一例として、図示しないが、図1の101号室(R101)を参照して、アドレス3の火災感知器4にアドレス4が付与されている場合を想定する。そして、戸外点検器12の図示しない記憶領域に空アドレス設定部を設けておき、アドレス3を格納しておくことにより、アドレス3の火災感知器が存在しないことを設定しておく。
【0025】
ここで、上記実施形態と同様、具体的な信号伝送の流れとして示すと、まず、戸外点検器12が準備信号を出力して、ヘッダ信号、点検モードおよびアドレス1のコード信号、フッタ信号を出力する。次に、アドレス1の火災感知器4がアドレス1および正常信号のコード信号を応答する。そして、戸外点検器12がヘッダ信号、点検モードおよびアドレス2のコード信号、フッタ信号を出力する。次に、アドレス2の火災感知器4がアドレス2および正常信号のコード信号を応答する。そして、戸外点検器12がヘッダ信号、点検モードおよびアドレス3のコード信号、フッタ信号を出力する。ここでアドレス3の火災感知器は存在しないので応答信号は発生しない。次に、戸外点検器12がヘッダ信号、点検モードおよびアドレス4のコード信号、フッタ信号を出力する。アドレス4の火災感知器4が最終信号および正常信号のコード信号を応答する。最後に戸外点検器12がEND信号を出力して信号伝送を終了する。その後、戸外点検器12が応答信号から各火災感知器の状態を判別するときに、上記のままではアドレス3が異常ということになるが、戸外点検器12の図示しない空アドレス設定部にアドレス3が空きであることを設定してあるので、無応答を異常と判別しない。
【0026】
このように、戸外点検器12は部屋ごとの最終アドレスを火災感知器4からの応答で認識できるので、1個の戸外点検器12を各部屋で共用する場合に、部屋毎の設置個数等をわざわざ確認しなくてもよく、アドレスごとに正常か異常かを確実に認識できる。ここで、空アドレスの判別は、点検動作後の表示時に判別してもよいが、無応答のタイミングで比較識別してもよく、予め空アドレスを読み出して、信号を送出しないようにしてもよい。
【0027】
ここで、上記各実施形態での戸外点検器12は受信部の一例であり、この戸外点検器12の点検動作を火災受信機1自体が行ってもよい。また、各火災感知器4を信号線2を介して個別に認識して監視制御を行ういわゆるR型のシステムであれば、受信部は直接火災受信機1であってよいし、同様の監視制御を行えれば、その他、信号線2に接続される機器であってもよい。
【0028】
以上のように、上記の実施形態では、各火災感知器4は、連続する別個のアドレスが設定されるアドレス設定部42を有するとともに、受信部は、前記アドレスにより各火災感知器4を個別に認識するものであって、さらに、各火災感知器4は、受信部により認識される最終のアドレスであることが設定される最終設定部43を有するので、受信部に対して各火災感知器4を個別に応答させるときに、最終の火災感知器4が簡単に判別でき、自動点検機能を実施するときには点検対象の数と応答数を対比したり、また、受信部を取り換えた場合にも最終のアドレスから設置個数が簡便に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】システムを概略的に示す構成図。
【図2】図1の火災感知器の概略ブロック回路図。
【符号の説明】
2 信号線
4 火災感知器
12 点検器

Claims (2)

  1. 火災受信機等の受信部からの信号線に複数の火災感知器が接続されてなる火災報知機において、
    前記各火災感知器は、連続する別個のアドレスが設定されるアドレス設定部を有するとともに、前記受信部は、前記アドレスにより各火災感知器を個別に認識するものであって、
    さらに、前記各火災感知器は、前記受信部により認識される最終のアドレスであることが設定される最終設定部を有することを特徴とする火災報知機。
  2. 受信部は、連続するアドレスのうち空アドレスを設定する空アドレス設定部を有する請求項1の火災報知機。
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