JP3629503B2 - 自動ロック機構を備えたシートベルト巻取装置 - Google Patents

自動ロック機構を備えたシートベルト巻取装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動ロック機構を備えたシートベルト巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のシートベルト巻取装置は、乗り物の座席に着いている搭乗者の身体の周りを通り、シートベルト巻取装置内のセンサによって緊急事態が検知されたときにロックしてベルトの伸びを阻止することによって、緊急の際に確実な拘束力をもたらす。非緊急時には、シートベルト巻取装置は、乗り物の搭乗者がシート内で比較的自由に動くことができるように、シートベルトウェビングの繰り出しを可能とする。
【0003】
そのようなシートベルトが取り付けられている乗り物の座席にチャイルドシートが取り付けられなければならないときに、問題が生じる。その理由は、安全法規はチャイルドシートがしっかりと乗り物に取り付けられることを要求し、したがって、シートベルト巻取装置は常時ロックされた状態でなければならないからである。シートベルト巻取装置は、チャイルドシートが取り付けられるべきときに係合することができる自動ロック機構を備えて製造されている。通常、自動ロック機構は、ウェビングの所定量、一般にはシートベルト巻取装置に巻き取られるウェビングの少なくとも90%程度の量が引き出されることによって係合させられる。この動作は、ウェビングの繰り出しに対してはシートベルト巻取装置をロックするがシートベルトがチャイルドシートのための正しい寸法に調整されるようにウェビングの巻き取りは可能とする自動ロック機構内で切り替わる。自動ロック機構は、ウェビングが完全にシートベルト巻取装置に巻き戻されたときに、係合を解除される。
【0004】
自動ロック機構の種々の機構が提案されている。提案されている全ての機構は、ウェビングが引き出される際の巻取スプールの大きな回転数を、自動ロック機構を作動する部材のより小さな回転数に変換する、何らかの形の減速伝動装置を必要としている。サイクロイドギヤ装置が特に適している。
【0005】
そのような装置の1つが、巻取スプールよりも遅い速度で回転するように配置されたサイクロイドギヤを用いた特許文献1に記載されている。アクチュエータ爪が、ばねによって2つの別個の位置へ付勢される。1つの位置、ロック用爪移動させられてラチェットに係合し、ウェビングがスプールからさらに伸ばされるのが止められる。他の位置では、アクチュエータ爪は何の働きもせず、シートベルト巻取装置は、緊急ロックモード時に動作するために、通常モードとして自由な状態にある。サイクロイドギヤ上の、軸方向に延びたアクチュエータタブが、アクチュエータレバーを上記の2つの位置の間で移動させる。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5518197号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この装置を改良することを目的とする。本発明によるシートベルト巻取装置は、公知のシートベルト巻取装置よりも少ない部品点数で、また全体的により小さいパッケージサイズ、特にスリムなパケットサイズで構成することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のシートベルト巻取装置は、緊急時にシートベルトウェビングを支持する、回転可能に取り付けられたスプールと、緊急事態が検知された時に、スプールを回転しないようにロックするロック機構と、動作状態にされた時に、ウェビングが繰り出されないようにスプールをロックする自動ロック機構とを有し自動ロック機構は、所定量のウェビングがスプールから引き出されことによって自動ロック機構を動作状態にし、所定量のウェビングがスプールに巻き戻されことによって自動ロック機構を非動作状態にする切り替え機構と、スプールを切り替え機構に連結するギヤ装置とを有しギヤ装置は、内歯が付けられた、一部が切り欠かれた環状のギヤリングと、スプールと共に回転する偏心カムと、偏心カムによって、ギヤリング対して偏心して取り付けられ、ギヤリングの内歯と噛み合う外歯が付けられたギヤホイールとを有し、切り替え機構は、ギヤホイールの外周に設けられた第1および第2のアクチュエータタブと、スプールをロックするアクチュエータ爪、および、ギヤリングの、切りかかれた部分に配置され、ギヤホイールの回転に応答 して第1または第2のアクチュエータタブと半径方向に互いに一直線に揃えれて相互に係合する部分を有する、回転するように取り付けられたアクチュエータ部材とを有し、自動ロック機構は、アクチュエータ部材が、アクチュエータ部材の部分が第1または第2のアクチュエータタブと相互に係合して回転させられることによって、アクチュエータ爪がスプールをロックする動作状態、またはアクチュエータ爪がスプールとの係合から外される非動作状態にされる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに良く理解し、本発明がどのようにして効果を達成するかを示すために、以下において例示として添付図面を参照する。
【0010】
図1は、広く知られている構造を有するシートベルト巻取装置1を示している。この装置は、フレーム2と、スプール3と、フレーム2の左側に取り付けられている緊急ロック機構および自動ロック機構とを備えている。
【0011】
緊急ロック機構は広く知られている構造のもので、従来、立ちゴマとして知られている形式のビークルセンサ4、ビークルセンサ爪5、およびビークルセンサロック爪6を備えている。緊急時には、所定の限界値を越える加速または減速によって、ビークルセンサ4が傾く。このことによってセンサ爪5が上昇し、それによって、次にロック爪6が回転して、スプール3に固定されて連結されているラチェットホイールの歯と係合する。ロック爪6がラチェットホイールと係合することによって、加重支持用のロックドグ7は、加重を支持するようにスプールをロックするための係合状態になる。ロックドグ7は、フレーム上で回転し、ロックドグ7のカム8と、ビークルセンサ4が取り付けられている多機能部品10のカム溝9との相互作用によって係合させられる。
【0012】
自動ロック機構は、サイクロイドギヤ装置11とアクチュエータ部材12を備えている。サイクロイドギヤ装置11は、内歯が付けられたギヤリング13と、外歯が付けられて、偏心カムドライブ23と協同する偏心カム22によってギヤリング13に対して偏心して取り付けられているギヤホイール14とを備えている。この機構は、スプール3の急激な運動をサイクロイドギヤホイール14のより緩やかな運動に変換する。
【0013】
アクチュエータ部材12は、その一端部にラチェットホイールと係合するように配置されたアクチュエータ爪15と、ギヤホイール14の外歯と係合するように間隔をおいて配置されている2つの歯であるアーム16および脚部17と、ばね装置18とを備えている。ばね装置18は、アクチュエータ部材12の一部として成形され、くぼみ19を有するプラスチックループを備えている。ループの内側には、ばね装置18が作用する作用面を与える、尖った柱部材20がくぼみ19に隣接している。くぼみ19は、アクチュエータ部材12に加えられなければならない弾性付勢の方向に応じて、柱部材20のいずれの側にも配置され得る。
【0014】
スプリング21は、多機能部品10を、ロックドグ7がラチェットホイールに係合しない位置へ付勢している。図2には、これらの部品が分解図で示されており、したがって、同じ部品が引用されている。
【0015】
次に、シートベルト巻取装置の動作を、図3〜7を参照して説明する。
【0016】
図3は、ウェビングが完全に収容され、自動ロック機構が係合していない、乗り物内のシートベルト巻取装置の収容位置を示している。したがって、シートベルト巻取装置は、緊急ロック巻取(ELR)モードにある。
【0017】
ウェビングは、矢印24で示されている方向にスプールから引き出されている。その結果、スプールは矢印25で示されているように、時計回りの方向に回転する。このため、偏心カム22も時計回りに回転し、したがって、ギヤホイール14は反時計回りに回転する。偏心カム22は、スプール3に固定された偏心カムドライブ23に取り付けられている。その結果、ギヤホイール14は矢印26で示されている方向へ反時計回りに回転する。
【0018】
図3において、アクチュエータ部材12は、アクチュエータ爪15がラチェットホイール27と係合しておらず、そしてばね装置18は、くぼみ19が柱部材20の頂部の右側に(図3に示されているように)位置する状態にある。こうして、アクチュエータ部材12はその回転軸に対して反時計回りの方向に付勢される。この状態では、ウェビングは自由に出し入れできる。
【0019】
図4において、ウェビングはスプールから矢印24で示されている方向に引き出され、スプール3および偏心カム22は、矢印25の方向に時計回りに回転している。ギヤホイール14は、矢印26の方向に反時計回りに回転している。
【0020】
ギヤホイール14は、2つの例外を除いて、ほぼ一様な間隔で配置されている歯を有している。1つの特に長い歯28は、他の歯の長さより長く半径方向に延びており、以下、第1のアクチュエータタブと呼ぶ。さらに、正規の歯の中の2つの歯の間の空間が部分的に埋められて、第2のアクチュエータタブ29が設けられている。本実施形態では、第1のアクチュエータタブ28は第2のアクチュエータタブ29に対して直径方向反対側にある。
【0021】
図4に示す位置では、ギヤホイール14の第1のアクチュエータタブ28は、アクチュエータ部材12の第1の脚部17に接触している。このアクチュエータタブ28は、ばね装置18の力に抗してアクチュエータ部材12を押圧し、オーバセンタばね(ばね装置18)が切り替え点を越えて、すなわち、尖った柱部材20の頂部を越えて移動するのに十分に遠くへアクチュエータ部材12を回転させるように寸法決めされている。この位置では、オーバセンタばねは、尖った柱部材20の他の側と係合してアクチュエータ部材12をその回転中心に対して全体として時計回りの方向に付勢し、それによってアクチュエータ爪15を付勢してラチェットホイールの歯に係合させる。この位置では、ウェビングがそれ以上伸びないようにスプールがロックされているので、シートベルト巻取装置は自動ロック巻取(ALR)モードにある。
【0022】
図5では、シートベルト巻取装置は自動ロック巻取(ALR)モードで動作しており、ウェビングはスプール上へ引き戻すことだけができる。スプール3および偏心カム22は、反時計回りのみに回転でき、ギヤホイール14は時計回りのみに回転できる。ギヤホイール14は、図4の位置に比較して約90°だけ時計回りに移動した位置で示されている。ギヤホイール14は、第2のアクチュエータタブ29がまわってアクチュエータ部材12のアーム16と係合するまで時計回りに回転し続ける。これが図6に示されている位置である。この位置では、第2のアクチュエータタブ29はアーム16を押圧して、アクチュエータ部材12をオーバセンタばね18の弾性力に抗して反時計回りに回転させる。第2のアクチュエータタブ29とアーム16の配置は、アクチュエータ爪15がラチェットホイールとの係合が外れるのに十分に遠くまでアクチュエータ部材12が回転させられるような配置である。このようにして、スプールは解放され、ALRモードが解除される。シートベルト巻取装置は、ここで再びELRモードになる。オーバセンタばね18のくぼみ19は柱部材20の頂部を越えて押されていること、および、アクチュエータ部材12は、アクチュエータ爪15が付勢されてラチェットホイールとの係合が外れるように、全体として反時計回りの方向に再び付勢されるということも分かるであろう。
【0023】
この位置において、ウェビングをスプールから引き出し、またはスプールに巻き戻すことができ、そして、偏心カム22は、ギヤホイール14と共に任意の方向に自由に回転することができる。これが図7に示されている位置である。
【0024】
この装置に必要な特別な構成要素の数が少ないことは、シートベルト巻取装置のパッケージサイズが従来のデザインよりもずっとスリムであることを意味している。この理由は、シートベルト巻取装置の作動および非作動の両者が、単一の層に全て設けられているタブによって行われるからである。
【0025】
変形例として、両方のアクチュエータタブ用に延びた歯を用いたり、または両方のアクチュエータタブ用に根元が埋められた歯を用いたりするものがある。アクチュエータ部材12のアームの配置を適切に修正して、多数の装置が当業者によって考えられるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートベルト巻取装置の斜視図である。
【図2】図1のシートベルト巻取装置の分解図である。
【図3】図1および2のシートベルト巻取装置の、動作順序を示す破断側面図である。
【図4】図1および2のシートベルト巻取装置の、動作順序を示す破断側面図である。
【図5】図1および2のシートベルト巻取装置の、動作順序を示す破断側面図である。
【図6】図1および2のシートベルト巻取装置の、動作順序を示す破断側面図である。
【図7】図1および2のシートベルト巻取装置の、動作順序を示す破断側面図である。
【符号の説明】
1 シートベルト巻取装置
2 フレーム
3 スプール
4 ビークルセンサ
5 センサ爪
6 ロック爪
7 ロックドグ
8 カム
9 カム溝
10 多機能部品
11 サイクロイドギヤ装置
12 アクチュエータ部材
13 ギヤリング
14 ギヤホイール
15 アクチュエータ爪
16 アーム
17 脚部
18 ばね装置
20 柱部材
21 スプリング
22 偏心カム
23 偏心カムドライブ
27 ラチェットホイール
28,29 アクチュエータタブ

Claims (4)

  1. 緊急時にシートベルトウェビングを支持する、回転可能に取り付けられたスプールと、
    緊急事態が検知された時に、前記スプールを回転しないようにロックするロック機構と、
    動作状態にされた時に、前記ウェビングが繰り出されないように前記スプールをロックする自動ロック機構と、
    を有し、
    前記自動ロック機構は、
    所定量のウェビングが前記スプールから引き出されことによって前記自動ロック機構を動作状態にし、所定量のウェビングが前記スプールに巻き戻されことによって前記自動ロック機構を非動作状態にする切り替え機構と、
    前記スプールを前記切り替え機構に連結するギヤ装置と、
    を有し、
    前記ギヤ装置は、
    内歯が付けられた、一部が切り欠かれた環状のギヤリングと、
    前記スプールと共に回転する偏心カムと、
    該偏心カムによって、前記ギヤリング対して偏心して取り付けられ、該ギヤリングの前記内歯と噛み合う外歯が付けられたギヤホイールと、
    を有し、
    前記切り替え機構は、
    前記ギヤホイールの外周に設けられた第1および第2のアクチュエータタブと、
    前記スプールをロックするアクチュエータ爪、および、前記ギヤリングの、切りかかれた部分に配置され、前記ギヤホイールの回転に応答して前第1または第2のアクチュエータタブと半径方向に互いに一直線に揃えれて相互に係合する部分を有する、回転するように取り付けられたアクチュエータ部材と、
    を有し、
    前記自動ロック機構は、前記アクチュエータ部材が、該アクチュエータ部材の前記部分が前記第1または第2のアクチュエータタブと相互に係合して回転させられることによって、前記アクチュエータ爪が前記スプールをロックする前記動作状態、または前記アクチュエータ爪が前記スプールとの係合から外される前記非動作状態にされる、
    シートベルト巻取装置。
  2. 前記第1のアクチュエータタブは、半径方向に延びる長いギヤ歯を有し、前記第2のアクチュエータタブは、浅くされた歯溝を有する、請求項1に記載のシートベルト巻取装置。
  3. 両方の前記アクチュエータタブは、浅くされた歯溝を有する、請求項1に記載のシートベルト巻取装置。
  4. 両方の前記アクチュエータタブは、半径方向に長く延びたギヤ歯を有する、請求項1に記載のシートベルト巻取装置。
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