JP3628994B2 - 集合住宅の床下構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、集合住宅の床下構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集合住宅の床下構造の一形態として、各階層を区画する床スラブ上に、複数の逆梁を上向きに突設して、同逆梁上に床材を横架して床面を形成することにより、床材と床スラブとの間に床下多目的空間を形成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した床下構造は、以下のような不具合を有している。
【0004】
▲1▼床スラブ上に逆梁を設ける逆梁工法は、不必要に大きな床下収納空間を形成して、無駄な床下収納空間も保有することになるため、比較的にコスト高になる。
【0005】
▲2▼逆梁工法では、各階の高さが500mm〜600mm程度高くなるため、日影規制や高度斜線規制により、階数・床面積を確保することが困難である。
【0006】
▲3▼逆梁を設けて床下収納空間を形成するため、各階の高さが高くなり、階数に制限が生じることから、集合住宅の戸数が制限されることになる。
【0007】
▲4▼床下収納空間が大きいため、消防法の適用を受けて火災感知器の設置を義務付けられる等の煩わしさが生じる場合がある。
【0008】
▲5▼物品の収納以外の用途に床下収納空間が活用されることがほとんどなく、特に掃除を簡単に行う目的で活用されることがなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、床スラブにより複数の階層に区画して形成した集合住宅の上下階層において、上階層の床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状の多目的空間形成部を形成するとともに、同じく下階層の床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状の多目的空間形成部を形成し、上下階層の多目的空間形成部は、左右方向に千鳥状となるように配置し、バルコニーに設けた多目的空間形成部内にセントラルクリーナを配置する一方、クローゼット内部と一体となった多目的空間形成部をクローゼットの下方に設けて、同多目的空間形成部内と、別途に収納部とした多目的空間形成部内とに、ダクトを介して上記セントラルクリーナを連通させるとともに、ダクトは、床部と床スラブとの間に配管して、同床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状に形成した多目的空間形成部内に先端部を開口して連通させたことを特徴とする集合住宅の床下構造を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
すなわち、本発明に係る集合住宅の床下構造は、床スラブにより複数の階層に区画して形成した集合住宅において、各床スラブの一部を下方へ膨出させて、各床スラブに凹状の多目的空間形成部を形成している。
【0012】
このようにして、各床スラブに多目的空間形成部を形成することにより、必要な場所に必要な大きさの多目的空間を、コスト負担を掛けることなく形成することができる。
【0013】
そして、多目的空間形成部は、収納空間や配管スペースやメンテナンス空間等の多目的空間として有効利用することができる。
【0014】
しかも、各階の高さに変更が生じないため、日影規制や高度斜線規制を受ける心配がなく、階数・床面積を有効に確保することができる。
【0015】
さらには、各階の高さに変更が生じず、階数に制限が生じないことから、集合住宅の戸数が制限されることはない。
【0016】
また、多目的空間形成部は、必要以上に大きく形成しないため、消防法の適用を受けることはなく、火災感知器の設置を義務付けられる等の煩わしさを生じることがない。
【0017】
ここで、多目的空間形成部の直下方に位置する階下の部屋以外の部屋に、居室を配置することができる。
【0018】
このようにして、居室の天井高さを大きく確保して、入居者に圧迫感を与えることなく、居住空間をゆったりと大きく形成することができる。その結果、居住性を良好に確保することができる。
【0019】
また、多目的空間形成部の直下方に位置する階下の部屋に、キッチン、浴室、洗面所、及び、便所等の水廻り機能室を配置することができる。
【0020】
このようにして、キッチン、浴室、及び、洗面所等の水廻り機能室は、天井部が高すぎると、清掃がし難い上に、熱効率が悪くなるという不具合があるが、かかる水廻り機能室は、下方に膨出する多目的空間形成部の直下方に位置する階下の部屋に配置していることより、同多目的空間形成部が下方に膨出している分だけ、水廻り機能室の天井部の高さを低くすることができて、同水廻り機能室の清掃をし易くすることができると共に、同水廻り機能室の熱効率を高くすることができる。
【0021】
また、各階層の床スラブに形成した多目的空間形成部は、左右方向に千鳥状となるように階別に交互に配置することができる。
【0022】
このようにして、集合住宅全体の荷重バランスを良好に保つことができて、集合住宅の強度も良好に確保することができる。
【0023】
また、多目的空間形成部は、居室の直下方に配置することができる。
【0024】
このようにして、居室の直下方に配置した多目的空間形成部に、物品を収納することができると共に、必要に応じて物品の出し入れを楽に行うことができる。
【0025】
また、多目的空間形成部は、少なくとも一つの端面を梁部に直接接続することができる。
【0026】
このようにして、多目的空間形成部を梁部に対して少なくとも一辺固定構造となすことができて、床スラブの剛性を良好に確保することができる。
【0027】
また、多目的空間形成部内に複数の段差を有する凹部を形成することができる。
【0028】
このようにして、多目的空間形成部内に形成した複数の段差を有する凹部内に、適宜高さの異なる収容物を収容することができて、収容効率を良好に確保することができる。
【0029】
しかも、かかる多目的空間形成部の直下方に形成される天井裏の未利用空間を、最大限に有効利用することができる。
【0030】
例えば、天井が低くても良い浴室や洗面所や便所と、天井をもう少し高くしておきたいキッチン等を隣接させて配設することができ、居住空間内のレイアウト設計に広がりをもたせることができる。
【0031】
また、多目的空間形成部内に掃除機を収納し、さらに、床面上のゴミを同掃除機に回収すべく、掃除機にダクトを接続して、同ダクトの終端を床面に開放するか、若しくは、床面にゴミ回収用の孔を設けたので、室内から集めたゴミをダクトの開放端若しくは孔に集めるようにすることで、ゴミをダクト開放端若しくは孔から吸引して掃除機内に回収することができる。すなわち、ゴミをダクトの開放端若しくは孔の部分に集めるだけで掃除機に回収することができ、掃除を簡単にすますことができる。
【0032】
特に、ペットの毛は一日に何度も掃除しなければならなかったのがこの掃除を楽にすることができるものである。
【0033】
また、最近は洋室が多くためモップで掃除することが多く掃除機を使用しなくて簡易に掃除ができるし、必要に応じて掃除機も使用できるし、市販の掃除機も使用できるため状況に応じて自由な掃除の形態を選択できる効果があるものである。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1及び図2に示すAは、本発明に係わる鉄筋コンクリート製の集合住宅であり、同集合住宅Aは、前後左右方向に対向させて立設した複数の柱部1と、対向する柱部1,1の間に横架した梁部2との間に、外壁3と内壁4と床スラブ5とを張設して、内部に複数の居住空間Sを区画した状態にて形成している。
【0036】
そして、居住空間S内には、床部6を張設して、同床部6上に、リビング・ダイニングルーム7と和室8とキッチン9と浴室10と洗面所11と便所12と洋室13,14と玄関15と下駄箱16と吊り戸棚24と押入れ25と物入れ26とクローゼット27,28とを設けている。20は窓、21は内部仕切壁、23は、左右対称位置にそれぞれ配置したパイプスペースである
ここで、居室としてのリビング・ダイニングルーム7と和室8と洋室13,14の内、本実施例では、和室8は、床部6の左右いずれか一側の中央部に形成する一方、キッチン9、浴室10、洗面所11、及び、便所12等の水廻り機能室17は、床部6の左右いずれか他側の中央部に形成して、和室8と水廻り機能室17とを左右に隣接させて配置している。
【0037】
しかも、和室8の直下方に位置する床スラブ5の部分には、下方へ膨出して、上面に凹状の多目的空間S1を形成する多目的空間形成部18を形成し、同多目的空間形成部18の直下方に位置する階下の部屋には、水廻り機能室17を配置している。19は収納ケースである。
【0038】
このようにして、各階層の床スラブ5に形成した多目的空間形成部18は、左右方向に千鳥状となるように階別に交互に配置して、集合住宅A全体の荷重バランスを良好に保つと共に、集合住宅Aの強度も良好に確保することができるようにしている。
【0039】
この際、居室8の床部6(本実施例では畳22を敷設している)の下には開閉体(図示せず)を設けて、同開閉体を開放することにより、居室8の直下方に配置した多目的空間形成部18に、物品を楽に収納することができると共に、必要に応じて物品の出し入れを楽に行うことができる。
【0040】
ここで、キッチン9、浴室10、洗面所11、及び、便所12等の水廻り機能室17は、床スラブ5の下面によって形成される各階層の天井部5aが高すぎると、清掃がし難い上に、熱効率が悪くなるという不具合があるが、かかる水廻り機能室17は、下方に膨出する多目的空間形成部18の直下方に位置する階下の部屋に配置しているため、同多目的空間形成部18が下方に膨出している分だけ、水廻り機能室17の天井部5aの高さを低くすることができて、同水廻り機能室17の清掃をし易くすることができると共に、同水廻り機能室17の熱効率を高くすることができる。
【0041】
従って、清掃の容易化と熱効率の良好な確保が図れるように、水廻り機能室17の天井部5aの高さを必要最低限の高さに設定することにより、多目的空間形成部18の容積を最大限に大きく設定することができて、必要最低限の多目的空間S1を確保することができる。
【0042】
また、本実施例では、図2に示すように、和室8の直下方に形成した多目的空間形成部18を、押入れ25と物入れ26とクローゼット27の直下方位置まで伸延させて形成している。
【0043】
図3は、多目的空間形成部18の平面説明図、図4は、図3のI−I線断面図であり、同多目的空間形成部18の底部18−1の一側端面を小梁部45に直接接続して、同小梁部45に多目的空間形成部18の底部18−1の一辺を固定させた一辺固定構造となしている。
【0044】
このように、多目的空間形成部18が小さい場合には、少なくとも梁部である小梁部45に底部18−1の一辺を固定させた一辺固定構造となすことにより、床スラブ5の剛性を良好に確保することができる。
【0045】
図5は、第1変容例としての多目的空間形成部18の平面説明図、図6の(a)は図5のII−II線断面図、図6の(b)は図5のII’−II’線断面図であり、同多目的空間形成部18の底部18−1の左右側端面を、梁部2とそれに対向させて配置した小梁部46に直接接続して、両梁部2,46に多目的空間形成部18の底部18−1の二辺を固定させた二辺固定構造となしている。
【0046】
このように、梁部2と小梁部46とに多目的空間形成部18の底部18−1の二辺を固定させた二辺固定構造となすことにより、床スラブ5の剛性をより一層良好に確保することができる。
【0047】
図7は、第2変容例としての多目的空間形成部18の平面説明図、図8は、図7のIII−III線断面図であり、同多目的空間形成部18の底部18−1の三つの端面を、梁部2と二つの小梁部45,46に直接接続して、これら梁部2,45,46に多目的空間形成部18の底部18−1の三辺を固定させた三辺固定構造となしている。
【0048】
このように、梁部2と小梁部45,46とに多目的空間形成部18の底部18−1の三辺を固定させた三辺固定構造となすことにより、床スラブ5の剛性をさらに一層良好に確保することができる。
【0049】
図9は、第3変容例としての多目的空間形成部18の平面説明図、図10は、図9のIV−IV線断面図であり、同多目的空間形成部18の底部18−1の四つの端面を、梁部2と三つの小梁部45,45,46に直接接続して、これら梁部2,45,45,46に多目的空間形成部18の底部18−1の四辺を固定させた四辺固定構造となしている。
【0050】
このように、梁部2と小梁部45,45,46とに多目的空間形成部18の底部18−1の四辺を固定させた四辺固定構造となすことにより、床スラブ5の剛性を強固なものとなすことができる。
【0051】
図11は、第4変容例としての多目的空間形成部18の平面説明図、図12は、図11のV−V線断面図であり、同多目的空間形成部18は三辺固定構造となすと共に、同多目的空間形成部18内に複数(本実施例では二つ)の段差を有する凹部としての第1・第2多目的空間S1a,S1bを形成している。
【0052】
このようにして、多目的空間形成部18内に形成した第1・第2多目的空間S1a,S1b内に、適宜高さの異なる収容物を収容することができて、収容効率を良好に確保することができる。
【0053】
しかも、かかる多目的空間形成部18の直下方に形成される天井裏の未利用空間を、最大限に有効利用することができる。
【0054】
例えば、天井が低くても良い浴室10や洗面所11や便所12と、天井をもう少し高くしておきたいキッチン9等を隣接させて配設することができ、居住空間S内のレイアウト設計に広がりをもたせることができる。
【0055】
図13は、第5変容例としての多目的空間形成部18の平面説明図、図14は、図13のVI−VI線断面図であり、同多目的空間形成部18は四辺固定構造となすと共に、同多目的空間形成部18内に複数(本実施例では二つ)の段差を有する凹部としての第1・第2多目的空間S1a,S1bを形成している。
【0056】
このようにして、多目的空間形成部18内に形成した第1・第2多目的空間S1a,S1b内に、適宜高さの異なる収容物を収容することができて、収容効率を良好に確保することができると共に、多目的空間形成部18の剛性を強固なものとなすことができる。
【0057】
図15は、第5変容例としての多目的空間形成部18の第1・第2多目的空間S1a,S1b内に、水廻り機能室17に始端を接続した排水横管47を配置した実施例を示しており、同実施例では、排水横管47の終端を排水竪管48に接続する場合に、第1多目的空間S1a分の大きな勾配を形成することができて、排水効率を向上させることができる。
【0058】
そして、水廻り機能室17をパイプスペース23から離れた位置に配置した場合にも排水性を良好に確保することが可能となり、同水廻り機能室17のレイアウトの自由度を増大させることができる。
【0059】
図16以降は多目的空間S1の有効利用を図るように構成した例であり、以下順に説明する。
【0060】
図16は多目的空間S1内にゴミ箱を配置した例であって、(a)は要部の概略縦断面図、(b)は室内における多目的空間S1の配置を示す概略平面図である。
【0061】
多目的空間S1は図16の(b)に示すように外壁51に沿って配置されている。多目的空間S1にはゴミ箱52を配置するとともにゴミを外部に圧送する圧送器53もしくは内部に吸引する掃除機を配置している。ゴミ箱52は多目的空間S1の一部を占める領域または全体に亘るように配置されたものである。このような構成では、床面のゴミをほうきでゴミ箱52の中にそのまま落とし込むだけで簡単に掃除でき、ゴミ箱52に溜まったゴミは圧送器53によってエアーシュータ(図示せず)から屋外のゴミ置き場まで排出することができる。
【0062】
図17はバルコニーに設けた多目的空間S1にセントラルクリーナ57を配置した例を示す概略図である。セントラルクリーナ57は室内にダクト57aによって接続され、セントラルクリーナ57を作動させることにより自動的に室内のゴミを吸引して外部のゴミ置き場まで排出することができる。ダクト57aは各部屋を巡るように配管され、クローゼット57bの下に設けた多目的空間S1に連通させたり、収納部とした多目的空間S1に連通させたりすることで、各部屋からのゴミの回収を可能とする。このような構成では、定期的にセントラルクリーナ57を作動されば、自動的に室内のゴミを回収することができ、室内を常に清潔に保つことができる。
【0063】
図18の(a)は多目的空間S1内に掃除機58を収納するとともにこの掃除機58にダクト58aを接続したものである。ダクト58aの終端は床面に開放してゴミを吸引可能としている。このような構成では、室内から集めたゴミをダクト58aの開放端に集めるようにすることで、ゴミをダクト58aの開放端から吸引して掃除機58内に回収することができる。すなわち、ゴミをダクト58aの開放端の部分にほうきやモップ等で集めるだけで掃除機58に回収することができ、掃除を簡単にすますことができる。
【0064】
図18の(b)は多目的空間S1に収納した吸引用の掃除機58と床面に開けた孔58bによって床面上のゴミを回収できる構成としたものである。この構成では、ダクト58aを設けていないでも掃除機58の吸引力によって床面上のゴミを孔58b部分に集めることによって、ゴミを掃除機58に吸引回収することができる。
【0065】
このように多目的空間S1内に掃除機58を収納しておくだけで室内の掃除が簡単に行えるようになる。
【0066】
図19はキッチンの床下に形成した多目的空間S1の内部に吸引用の掃除機59を収納した例である。この例では、キッチン用のキャビネット60の下端の幕板60aに複数の孔を開けておくことで、図18の例と同様にキッチン内のゴミを幕板60aの部分に集めると、掃除機59の吸引力によってゴミが回収される。なお、多目的空間S1に上に被さる床面には回収用の孔60bを開けたものとする。このようにキッチンに設けた多目的空間S1に掃除機59を収納することによって、キッチンを常に清潔な環境に維持することができる。
【0067】
図20の(a)は居室やダイニングルーム等にかけて多目的空間S1を形成するとともに、この多目的空間S1にシュート部75を形成した例である。シュート部75は各室に開けた開口76に連通し、開口76から投入したゴミはシュート部75を滑り落ちて多目的空間S1内に落下して溜められる。したがって、居室やダイニングルーム等にゴミ箱を設備していなくても、ゴミを開口76に投入するだけでゴミを多目的空間S1内に回収することができる。なお、多目的空間S1内にはゴミ袋を設けておき、これを定期的に回収することで溜まったゴミを廃棄することができる。
【0068】
図20の(b)は居室やダイニングルーム等にかけて2個所に多目的空間S1を形成するとともにこれらの多目的空間S1の真上の床面に開口76を形成した例である。中央の開口76の真下には多目的空間S1に連なるシュート部75が形成され、多目的空間S1にほうり込むことができ、同図の(a)と同様に居室やダイニングルーム等にゴミ箱を設備していなくても、ゴミを開口76に投入するだけでゴミを多目的空間S1内に回収することができる。また、多目的空間S1を二カ所に設けているので、これらのそれぞれにゴミを分別して投入すれば回収廃棄作業が簡単になる。
【0069】
【発明の効果】
本発明では、床スラブにより複数の階層に区画して形成した集合住宅の上下階層において、上階層の床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状の多目的空間形成部を形成するとともに、同じく下階層の床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状の多目的空間形成部を形成し、上下階層の多目的空間形成部は、左右方向に千鳥状となるように配置している。
【0070】
このようにして、多目的空間形成部を形成することにより、必要な場所に必要な大きさの多目的空間を、コスト負担をかけることなく形成することができるとともに、集合住宅全体の荷重バランスを良好に保つことができて、集合住宅の強度も良好に確保することができる。
【0071】
そして、多目的空間形成部は、収納空間や配管スペースやメンテナンス空間等の多目的空間として有効利用することができる。
【0072】
しかも、各階の高さに変更が生じないため、日影規制や高度斜線規制を受ける心配がなく、階数・床面積を有効に確保することができる。
【0073】
さらには、各階の高さに変更が生じず、階数に制限が生じないことから、集合住宅の戸数が制限されることはない。
【0074】
また、多目的空間形成部は、必要以上に大きく形成しないため、消防法の適用を受けることはなく、火災感知器の設置を義務付けられる等の煩わしさを生じることがない。
【0075】
また、本発明では、バルコニーに設けた多目的空間形成部内にセントラルクリーナを配置する一方、クローゼット内部と一体となった多目的空間形成部をクローゼットの下方に設けて、同多目的空間形成部内と、別途に収納部とした多目的空間形成部内とに、ダクトを介して上記セントラルクリーナを連通させるとともに、ダクトは、床部と床スラブとの間に配管して、同床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状に形成した多目的空間形成部内に先端部を開口して連通させている。
従って、定期的にセントラルクリーナを作動させれば、自動的に室内のゴミを回収することができ、室内を常に清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る集合住宅の床下構造の断面正面説明図。
【図2】同床下構造の平面説明図。
【図3】多目的空間形成部の平面説明図。
【図4】図3のI−I線断面図。
【図5】第1変容例としての多目的空間形成部の平面説明図。
【図6】(a)は図5のII−II線断面図、(b)は図5のII’−II’線断面図。
【図7】第2変容例としての多目的空間形成部の平面説明図。
【図8】図7のIII−III線断面図。
【図9】第3変容例としての多目的空間形成部の平面説明図。
【図10】図9のIV−IV線断面図。
【図11】第4変容例としての多目的空間形成部の平面説明図。
【図12】図11のV−V線断面図。
【図13】第5変容例としての多目的空間形成部の平面説明図。
【図14】図13のVI−VI線断面図。
【図15】排水横管の配管構造を示す断面側面説明図。
【図16】多目的空間の中に掃除機と圧送器を備える例あって、(a)は要部の縦断面図、(b)は多目的空間の配置位置を示す概略平面図。
【図17】多目的空間内にセントラルクリーナを配置した例を示す概略図。
【図18】多目的空間内に掃除機を配置した例をであって、(a)は掃除機にダクトを接続した例の概略図、(b)は床に開けた孔からゴミを吸引する構成とした例を示す概略図。
【図19】キッチンに設けた多目的空間内に掃除機を収納した例を示す概略図。
【図20】多目的空間にシュート部を形成してゴミを回収可能とした例であって、(a)は1個所に多目的空間を形成した例を示す概略図、(b)は2個所に多目的空間を形成した例を示す概略図。
【符号の説明】
A 集合住宅
S 居住空間
S1 多目的空間
1 柱部
2 梁部
3 外壁
4 内壁
5 床スラブ
6 床部
7 リビングルーム
8 居室
9 キッチン
17 水廻り機能室
18 多目的空間形成部
Claims (1)
- 床スラブにより複数の階層に区画して形成した集合住宅の上下階層において、
上階層の床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状の多目的空間形成部を形成するとともに、同じく下階層の床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状の多目的空間形成部を形成し、上下階層の多目的空間形成部は、左右方向に千鳥状となるように配置し、
バルコニーに設けた多目的空間形成部内にセントラルクリーナを配置する一方、クローゼット内部と一体となった多目的空間形成部をクローゼットの下方に設けて、同多目的空間形成部内と、別途に収納部とした多目的空間形成部内とに、ダクトを介して上記セントラルクリーナを連通させるとともに、
ダクトは、床部と床スラブとの間に配管して、同床スラブの一部を下方へ膨出させて凹状に形成した多目的空間形成部内に先端部を開口して連通させたことを特徴とする集合住宅の床下構造。
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