JP3628906B2 - レール添え部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レール添え部材に関する発明であり、具体的には自動車などが走行する道路と電車などが走行するレールとが交差する踏切内でレールの側方に配されるレール添え部材に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの走行のために踏切には道路の路面と略同一の高さとなるようにレールの側方で踏切舗装がなされており、これによりレールの段差を解消している。この踏切舗装には例えばアスファルトなどの舗装材が用いられる。踏切舗装とレールとの隙間には、図4に示すようにレール添え部材100が配されている。このレール添え部材100は、レール1と略同一の高さを有する逆L字状の形状で、レール1を固定する枕木3の上面に載置固定された際に上面100aがレール1の上面1aと略面一になるように設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このレール添え部材100は、一般に木材により形成されているが、木材は磨耗し易く、このため自動車のタイヤ等との接触により上面100aが磨耗し、長期間の使用が不可能である。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の課題は、自動車などの接触による磨耗を防止し、長期間使用することができるレール添え部材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0006】
即ち、本発明は、踏切内でレールの側部に配設されるレール添え部材であって、レールと略同一の高さを有する添え部材本体と、該本体上面を被覆する保護板とを備え、前記添え部材本体と保護板の材質が異なっており、前記添え部材本体は、枕木の表面と当接する下面に防振ゴムが固着された、枕木に設置するための脚部と、添え部材本体に形成された切欠き部の上部が加重によって撓むことを防止可能な、下面に防振ゴムが固着された、レールの下部フランジ部に設置するための脚部とを備えていることを特徴とするものである。これによれば、添え部材本体の構成材料としては、軽量で安価な木材や合成木材(長繊維からなる補強繊維を一定方向に揃えるように形成された繊維強化硬質合成樹脂発泡体)を使用しつつ、保護板の構成材料としては、本体よりも耐摩耗性の大きい材料(例えば、FRP板、縞鋼板などの鋼板、ゴム板など)を使用することにより、自動車の通過等による上面の摩耗を軽減し得る。また、保護板の表面摩擦係数を、添え部材本体の表面摩擦係数よりも小さくなるように材料の選定をすることによっても、自動車のタイヤ等との摩擦抵抗が小さくなって、摩耗が軽減される。
【0007】
なお、添え部材本体は、枕木の表面と当接する下面に防振ゴムが固着された、枕木に設置するための脚部と、添え部材本体に形成された切欠き部の上部が加重によって撓むことを防止可能な、下面に防振ゴムが固着された、レールの下部フランジ部に設置するための脚部とを備えるものである必要がある。これによれば、添え木本体の脚部を枕木の上面とレール下部フランジに設置し、レールの側部に沿って枕木上に載置すると、添え木本体の上面がレール上面と略面一となる。この上面が自動車のタイヤ等と接触しても、保護板による耐磨耗部が形成されているので、上面の磨耗を防止できる。
【0008】
添え木本体は、長繊維部材を一定方向に引きそろえるように形成された繊維強化硬質合成樹脂発泡体から構成することが好適であり、これによれば、軽量であるため設置工事などが容易であり、加工性に優れ、しかも木材などから構成した場合に比して耐久性にも優れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態のレール添え部材の正面図を示す。図2は、図1のレール添え部材の設置状態の断面図を示す。図3は、本発明の他の実施形態におけるレール添え部材の正面図を示す。
【0010】
本発明の実施形態のレール添え部材は、下部の一方側を切り欠いて切欠き部12が形成された略逆L字状の添え部材本体10と、この本体10の切欠き部12に固着されたレール当接部材30(脚部)とから構成されている。
【0011】
この添え部材本体10およびレール当接部材30は、何れも長繊維部材を一定方向に引きそろえように形成した繊維強化硬質合成樹脂発泡体の板材から構成されている。この各部材を構成する発泡樹脂の種類としては、例えば、ウレタン、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化樹脂であって硬質のものが好適に使用される。なお、発泡樹脂中に、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどの無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されてもよい。板材の硬質樹脂発泡材を補強する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維等の無機質繊維や、芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維や天然繊維等の有機質繊維の何れかであればよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。繊維の形態は、ヤーン、クロス、ロービング、ロービングクロス、クロスマット等の長繊維形態のものが好適であり、必要に応じてチップ、ミドルファイバー等の短繊維やシラスバルーン等の中空充填材を併用しても良い。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は、単独で使用してもよいし、2層以上積層して使用してもよく、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用してもよい。最も好適な材料としては、硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体である(例えば、商品名「エスロンネオランバー FFU」 積水化学工業株式会社製)。
【0012】
添え部材本体10には、一側上部から上面10a、上面10aから他側上部にかけて、保護板14(耐磨耗部)が設けられている。この保護板14は、繊維強化硬質樹脂(発泡体を除く)から構成されている。該樹脂を構成するガラス繊維は、少なくとも2種類のものが積層されている。例えば、ガラスマットとガラスロービングを交互に積層して樹脂層を形成することができる。積層するガラス繊維の数は耐磨耗性に応じて適宜定めることができ、例えば、ガラスマット(M)とガラスロービング(R)を計十一層積層したFRP11プライ(MRMRMRMRM)とすることができる。
【0013】
添え部材本体10は、踏切の道路幅と略同一の長さを有し、複数の枕木3に載置されるよう構成されている。また、添え部材本体10はレール1の高さとほぼ同一の高さを有し、枕木3上に載置固定された際にその上面10aがレール1の上面1aと面一になるように構成されている。さらに、添え部材本体10には、枕木3に固定するためのスクリューボルトなどの固定手段を挿通可能な孔部(図示省略)が本体10の上面から下面へ貫通して形成されている。
【0014】
添え木部材本体10の切欠き部12は、本体10の下部のレール1側の側部に長手方向に沿って形成されており、レール1を枕木3に固定するためのタイプレート5、犬釘(図示省略)などの保持部材と当接せずに、この保持部材を収納できるような大きさに形成されている。
【0015】
この本体10の切欠き部12には、犬釘などレール1の底部1bの上面に部材が存在しない部分で、前記レール当接部材30が下方に向けて突出するように固着されている。このレール当接部材30は、下面が傾斜した略台形状に形成されており、その下面がレール1の底部1bと当接するよう構成されている。このレール当接部材30の下面にはSBRなどの防振ゴム32が固着されており、枕木3の表面と当接する添え木部材本体10の下面(当接部)にも同様の防振ゴム16が固着されている。
【0016】
本実施形態のレール添え部材は、図2に示すように本体10の下面を枕木3の上面に当接し、レール当接部材30の下面をレール1の底部1bに当接した状態で、スクリューボルトなどによって枕木3に固定される。なお、図2に示す踏切においては電車などが走行する平行な一対の本線レール1に沿って、ガイドレール1が敷設されており、この本線レール1およびガイドレール1のそれぞれの側方にレール添え部材が立設されている。
【0017】
このようにガイドレール1の側部に配されたレール添え部材同士の間(図2の右側のレール添え部材の右側)に、および、本線レール1の側部に配されたレール添え部材の背面側(図2の左側のレール添え部材の左側)に、アスファルトなどの舗装材7を充填して、踏切内が舗装されることとなる。
【0018】
このようにして、舗装された踏切に自動車などが走行しても、添え部材本体10の表面には保護板14が形成されているので、本体10の表面の磨耗が防止でき、このためレール添え部材を長期間使用することができる。
【0019】
また、添え部材本体10の切欠き部12には、レール当接部材30が取付けられ、レール添え部材がレール1に当接した状態で固定されているので、切欠き部12を形成した上部が自動車などの上からの加重によって撓むことを確実に防止できる。しかも、このレール1との当接部分(レール当接部材30の下面)には防振ゴム32からなる滑り止めが取付けられているので、レール1に対してレール添え部材が不用意にスライドすることを防止できる。また、防振ゴム32からなる弾性体がレール1との当接部分に設けられ、同様に枕木3との当接部分(本体10の下面)にも弾性体16が設けられているので、スクリューボルトなどによる固定に際してレール添え部材の上面10aの位置(高さ)を調整することができる。
【0020】
上記実施の形態に係るレール添え部材は上述の構成からなり上記利点を有するものであったが、本発明は上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内で設計変更可能である。
【0021】
すなわち、上記実施形態においては、繊維強化硬質樹脂から保護板14を形成したが、保護板14は、繊維強化硬質樹脂層による他、縞鋼板などからなる金属板より構成することができ、また、図3に示すようにゴム板(例えばSBR)などからなる弾性部材14より構成することもできる。
【0022】
さらに、添え部材の側部の上部側には保護板14を形成せずに、図3に示すように上面10aにのみ保護板14を形成することもできる。
【0023】
また、上記実施形態においては、アスファルト7による踏切舗装を例にとり説明したが、本発明に係るレール添え部材はその他の踏切舗装に際しても用いることができる。
【0024】
さらに、上記実施形態においては、添え部材本体10を繊維強化硬質合成樹脂発泡体より構成したため、強度において優れ、加工も容易で、しかも軽量で取扱いやすいという利点を有するものであったが、添え部材本体10を木材などより構成することも本発明の意図する範囲内である。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るレール添え部材は、上面に繊維強化硬質樹脂などからなる保護板が形成されているので、上面が自動車のタイヤなどと接触しても上面の磨耗を防止でき、このため長期間にわたり使用することができ、前記添え部材本体は、枕木の表面と当接する下面に防振ゴムが固着された、枕木に設置するための脚部と、添え部材本体に形成された切欠き部の上部が加重によって撓むことを防止可能な、下面に防振ゴムが固着された、レールの下部フランジ部に設置するための脚部とを備えているので、添え木本体の脚部を枕木の上面とレール下部フランジに設置し、レールの側部に沿って枕木上に載置すると、添え木本体の上面がレール上面と略面一となり、この上面が自動車のタイヤ等と接触しても、保護板による耐磨耗部が形成されているので、上面の磨耗を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のレール添え部材の正面図を示す。
【図2】本発明の実施形態のレール添え部材の設置状態の断面図を示す。
【図3】本発明の他の実施形態におけるレール添え部材の正面図を示す。
【図4】従来のレール添え部材の設置状態における断面図を示す。
【符号の説明】
1 レール
1a 上面
1b 底部
3 枕木
5 保持プレート
7 舗装材(アスファルト)
10 添え部材本体
10a 上面
12 切欠き部
14 保護板
16 防振ゴム
30 レール当接部材
32 防振ゴム
Claims (5)
- 踏切内でレールの側部に配設されるレール添え部材であって、レールと略同一の高さを有する添え部材本体と、該本体上面を被覆する保護板とを備え、前記添え部材本体と保護板の材質が異なっており、前記添え部材本体は、枕木の表面と当接する下面に防振ゴムが固着された、枕木に設置するための脚部と、添え部材本体に形成された切欠き部の上部が加重によって撓むことを防止可能な、下面に防振ゴムが固着された、レールの下部フランジ部に設置するための脚部とを備えていることを特徴とするレール添え部材。
- 保護板の材質が、添え部材本体の材質よりも耐摩耗性が大きいことを特徴とする請求項1に記載のレール添え部材。
- 保護板の表面摩擦係数が、添え部材本体の表面摩擦係数よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のレール添え部材。
- 添え部材本体は、木材若しくは長繊維からなる補強繊維を一定方向に揃えるように形成された繊維強化硬質合成樹脂発泡体からなり、保護板は、繊維強化硬質樹脂、鋼若しくはゴムからなることを特徴とする請求項1に記載のレール添え部材。
- 前記保護板が、前記添え部材本体に、その一側部上面から上面、上面から他側上部にかけて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレール添え部材。
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