JP3628107B2 - タイヤサイドウォール用ゴム組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐外傷性、剛性、柔軟性を高め、さらに加工性をも向上させたタイヤサイドウォール用ゴム組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、低燃費性、操縦安定性の向上のためにタイヤの軽量化が求められるようになっている。そしてこの軽量化の一環としてタイヤサイドウォール部を薄肉化する試みがなされている。タイヤサイドウォール部の薄肉化のためには、耐外傷性、剛性を確保するために高硬度であって、かつ、耐疲労性のよい柔軟なゴム組成物でタイヤサイドウォール部を構成するのがよい。
【０００３】
しかしながら、従来、例えば高硬度ゴム組成物を得る技術としてゴムにノボラック型変性フェノール樹脂を配合する技術が知られているが（特開昭５５−５４３３７号公報）、この技術ではゴム組成物に硬さを付与することができるもののその他の物性面では満足的ではなく、さらに未加硫時のゴム組成物のムーニー粘度を上昇させるので加工性が悪いという問題があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐外傷性、剛性、柔軟性を高めると共に、加工性をも向上させたタイヤサイドウォール用ゴム組成物を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、天然ゴム、ブタジエンゴム、又はスチレン−ブタジエン共重合体ゴムに対し、重量平均分子量Ｍｗと数平均分子量Ｍｎとの比Ｍｗ／Ｍｎが１〜1.3 で融点が６０〜８０℃のテルペンフェノール樹脂を配合してなることを特徴とする。
このように特定のテルペンフェノール樹脂を天然ゴム、ブタジエンゴム、又はスチレン−ブタジエン共重合体ゴムに配合したため、上記目的の達成が可能となる。このため本発明によれば、タイヤサイドウォール部を薄肉化してタイヤの軽量化をはかることができる。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明ではジエン系ゴムとして、天然ゴム（ＮＲ）、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）又はブタジエンゴム（ＢＲ）を用いるのである。
【０００７】
また、本発明で用いるテルペンフェノール樹脂は、重量平均分子量Ｍｗと数平均分子量Ｍｎとの比Ｍｗ／Ｍｎが１〜１．３ で融点が６０〜８０℃のものである。Ｍｗ／Ｍｎの値は分子量分布の指標であり、値が小さい程分布が狭い。融点は、樹脂の分子量とほぼ相関し、分子量分布が狭い樹脂は、その融点付近で急激に樹脂が軟化する。このため、特定の融点及び特定のＭｗ／Ｍｎを持った樹脂を選ぶことにより、加工時の高温域では軟らかく、加硫後の常温の使用温度域では硬いゴム組成物をえることができる。
【０００８】
Ｍｗ／Ｍｎが１．３ 超では、樹脂の融解温度域が広くなり、狙った効果が得られない。Ｍｗ、Ｍｎは、それぞれ、ＧＰＣ（ゲルパーミエーションクロマトグラフィー）によって測定される。また、融点が８０℃超では高温でゴム組成物の粘度が十分下がらず、一方、６０℃未満では樹脂が保管中にブロッキングを起こす可能性があり、その取扱い性が悪化すると共に、ゴム組成物の加硫後の常温での十分な硬度が得られない。この融点は、示差熱走査熱量計（ＤＳＣ、Ｄｉｆｆｅｒｅｎｃｉａｌ Ｓｃａｎｎｉｎｇ Ｃａｌｏｒｉｍｅｔｅｒ）によって測定される。
【０００９】
配合量は、ジエン系ゴム１００重量部に対し前記テルペンフェノール樹脂１〜２０重量部であるのがよい。テルペンフェノール樹脂が１重量部未満では少な過ぎることになり、一方、２０重量部を超えて配合してもその効果が十分に上がらないので、１〜２０重量部が樹脂の性能を効果的に発揮できる範囲だからである。
【００１０】
【実施例】
表１に示す配合内容（重量部）でゴム組成物を作製し（実施例１〜４、比較例１〜４）、下記によりムーニー粘度（ＭＬ_１＋４ （１００℃））、引張強度（ＭＰａ）、引張伸び（％）、ＪＩＳ硬度、およびギロチンカット深さを測定し評価した。この結果を表１に示す。
【００１１】
ムーニー粘度（ＭＬ _１＋４ （１００ ℃ ））：
未加硫ゴム組成物を、ＪＩＳ Ｋ６３００に従って測定した。この結果を、比較例１を１００とする指数で表わす。数値の小さい方が加工性に優れている。
引張強度（ＭＰａ）：
加硫ゴム組成物をＪＩＳ Ｋ６２５１に従って測定した。この結果を、比較例１を１００とする指数で表わす。数値の大きい方が引張強度が高く剛性が高い。
【００１２】
引張伸び（％）：
加硫ゴム組成物をＪＩＳ Ｋ６２５１に従って測定した。この結果を、比較例１を１００とする指数で示す。数値の大きい方が引張伸び（％）が大きく、変形に強く柔軟性が大である。
ＪＩＳ硬度：
加硫ゴム組成物につき、ＪＩＳ Ｋ６２５３に準拠してデュロメータ硬さ試験タイプＡで測定した。この結果を、比較例１を１００とする指数で示す。数値の大きい方が硬度が高く剛性が高い。
【００１３】
ギロチンカット深さ：
加硫ゴムの試験片（幅４０ｍｍ×長さ１２５ｍｍ×高さ９ｍｍ）に対し、刃物（先端角度２０℃、幅８０ｍｍ、高さ約４０ｍｍ）を２５０ｍｍの高さから落下させ、そのカット深さを測定することによった。この結果を、比較例１を１００とする指数で示す。数値の小さい方が耐外傷性に優れている。
【００１４】
【表１】

【００１５】
表１において、比較例１はいずれの樹脂をも含有しない場合であり、比較例２〜４はそれぞれ本発明範囲外の樹脂３、４、５を含有する場合である。表１から明らかなように、本発明のゴム組成物（実施例１〜４）は、比較例１〜４に比し、耐外傷性、剛性、柔軟性、および加工性に優れていることが判る。
【００１６】
【発明の効果】
以上に説明した本発明によれば、ジエン系ゴムに対し特定のテルペンフェノール樹脂を配合したため、耐外傷性、剛性、柔軟性、および加工性を向上させることができる。このため、タイヤサイドウォール部を薄肉化してタイヤの軽量化をはかることが可能となる。

Claims (2)

1. 天然ゴム、ブタジエンゴム、又はスチレン−ブタジエン共重合体ゴムに対し、重量平均分子量Ｍｗと数平均分子量Ｍｎとの比Ｍｗ／Ｍｎが１〜1.3 で融点が６０〜８０℃のテルペンフェノール樹脂を配合したタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
2. 天然ゴム、ブタジエンゴム、又はスチレン−ブタジエン共重合体ゴム１００重量部に対し、前記テルペンフェノール樹脂１〜２０重量部配合した請求項１記載のタイヤサイドウォール用ゴム組成物。