JP3627667B2 - 熱電材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶の配向性が良い熱電材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱電材料は、例えば、一方向凝固させた材料を粉砕して固化成形することにより製造されている。図23(a)乃至(d)はこの従来の熱電材料の製造方法を示す模式図である。
【0003】
先ず、図23(a)に示すように、原料101を石英管100に入れた後、真空中又は不活性ガス置換後、原料の挿入口を溶断して、原料101を石英管100内に封入する。次に、図23(b)に示すように、石英管100を管状炉102に入れて原料101を溶解し、管状炉102を揺動して原料101を撹拌する。次に、図23(c)に示すように、管状炉102を垂直にし、更に管状炉102内に下部の温度が低く上部の温度が高い垂直方向の温度勾配をつける。これにより、石英管100内で原料溶液が結晶方位を温度勾配に対して平行方向に配向させながら凝固し、一方向凝固材が得られる。次に、この一方向凝固材を粉砕して、粉末原料103を得る。その後、図23(d)に示すように、粉末原料103をホットプレス等により固化成形する。この場合に、圧力の作用方向と垂直方向に低抵抗の結晶方位(a軸)が成長するため、この圧力と垂直の方向に電流を流すように電極を取りつけてモジュ−ルを作製している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来の熱電材料の製造方法では、熱電材料の結晶粒径が数mm以上になり、劈開性があるため脆いという問題点がある。また、熱伝導率が高いため、性能指数を高くすることができない。熱電材料の性能指数をZ、熱起電力をα、熱伝導率をκ、比抵抗をρとするとき、性能指数Zは、下記数式1にて示される。
【0005】
【数1】
Z=α/(κ×ρ)
【0006】
この数式1に示すように、熱伝導率κが高いと、性能指数Zが低くなる。
【0007】
また、熱伝導率κを小さくするためには、結晶粒径を微細化することが有効であるが、一方向凝固材を粉砕して得た粉末の粒径と、ホットプレスにより焼結して得た熱電材料の結晶粒径とが一致すると共に、粉砕時に微細粒にすることは限界があるため、結晶粒の微細化には限界がある。しかも、粉砕時に、粉粒の表面が酸化したり、不純物が混入するため、比抵抗ρが増大してしまい、性能指数Zが低下してしまう。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、性能指数が高い熱電材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱電材料は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する組成を有し、ガスアトマイズ法によって得られた粒径が0.8乃至500μmである粉末を固化成形したものであり、前記粉末は、その表面に厚さが500nm以下の酸化皮膜が形成されていることを特徴とする。
【0010】
前記粉末は、1つの粉粒における最大径と最小径との差の平均が10%以下である真球度を有することが好ましい。更に、前記組成は、更にI、Cl、Hg、Br、Ag及びCuからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有するものとすることができる。
【0011】
本発明に係る熱電材料の製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する組成の原料を溶解・凝固してインゴットを得る工程と、前記インゴットを溶解した溶湯を回転する円板上に流下すると共に、遠心力により前記円板から溶滴を離脱させて前記液滴を急冷し粉化させる工程と、得られた粉体を粒度分別して粒径が0.8乃至500μmの粉末を得る工程と、前記粉末を還元する工程と、前記粉末を固化成形する工程とを有することを特徴とする
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱電材料は、ガスアトマイズ法により得た粉末を固化成形したものである。このガスアトマイズ法により作成した熱電材料粉末は、真球度が高く、均質であるため、この粉末を固化成形した場合、緻密さが優れた成形体が得られる。このため、この成形体は力学的強度が優れており、また、強度のバラツキが小さく、熱電モジュール組み立て時の作業性が向上し、生産歩留まりが向上する。
【0013】
また、熱電材料の溶湯をガスアトマイズ法により冷却すると、この冷却速度が10乃至10K/秒と極めて速いため、凝固した粉末は極めて微細な組織を有している。図1(a)はガスアトマイズ法により得られた粉末の1つの粉粒を示す模式図である。この図に示すように、1つの粉粒の中に、極めて細かい放射状デンドライト組織(急冷組織)が形成されており、これを、例えば、アニール又は水素還元処理すると、構造緩和が生じ、図1(b)に示すように、少し幅広に太った組織となる。この粉末を、図1(c)に示すように、ホットプレスにより焼結して固化成形すると、圧力を印加した方向(c軸方向)よりもこの圧力印加方向に垂直の方向(a軸方向)に結晶粒が伸びる。この結晶粒は再結晶粒でもよい。よって、得られた熱電材料は、異方性が大きい。このように、ガスアトマイズにより微細な組織が得られるため、ガスアトマイズ後の粉末にアニール又は水素還元処理を加えたり、その処理条件を最適化したり、また固化成形時の加熱パターンを最適化することにより、粒成長及び再結晶を制御して、結晶に異方性を付けやすい。これにより、低抵抗方向に熱電材料としての性能が高い。結晶粒は低抵抗方向に伸びているが、粗大化はしておらず、アスペクト比のついた組織となっている。また、この結晶粒が粗大化せずに微細であるのは、ガスアトマイズで超急冷しているためである。
【0014】
ガスアトマイズ法の条件として、アンダーミクロンの粒径の微細粉末を含みながら、かつ適度に大きな粒径をもつ粉末を選別(分級)して固化すると、微細な粉末のみを集めてホットプレスした熱電材料は緻密になるので強度が向上する。また、大きな粉末のみを集めてホットプレスした熱電材料は、大きな粉末が変形し易いため、ホットプレス時の圧力方向に垂直方向に変形して、低抵抗方位をそろえることに貢献する。
【0015】
但し、粉末の粒径には最適値があり、微細に過ぎると、極端に抵抗値が高くなり、性能指数の低下を招く。また、粗大に過ぎると、密度が向上せず、強度の低下を招く。この最適な粉末の粒径は、0.8乃至500μm、好ましくは0.8乃至200μmである。
【0016】
また、粉末の各粉粒の真球度は、これが高いほど、比抵抗値ρと強度のバラツキが小さく、製造時の品質が安定する。但し、真球度は、図2に示すように、1つの粉粒において、最大径がxμm、最小径がyμmであるとき、真球度(%)は100(x−y)/xで表される値の平均値とする。この真球度は比抵抗値ρと強度のバラツキを小さくし、製造時の品質を安定させるために、10%以下であることが好ましい。
【0017】
また、粉末の各粉粒の表面酸化皮膜の厚さが厚いと、固化成形して得られた熱電材料のキャリアの移動度が低下するため、比抵抗を増大させて性能指数を低下させてしまう。なお、酸化皮膜の厚さ測定には、TEM(透過型電子顕微鏡)及び化学分析用電子分光法(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)法を使用することができる。この粉粒の表面酸化皮膜の厚さは、キャリアの移動度の低下を防止するために、500nm以下とすることが好ましい。
【0018】
次に、本発明の熱電材料の製造方法を説明する。本実施例では、先ず、Bi及び/又はSbと、Te及び/又はSeとを所定の組成になるように秤量する。なお、必要に応じて、I、Cl、Hg、Br、Ag又はCuを添加する。
【0019】
次に、図18(a)に示すように、この原料を石英管中に入れて、真空中又は不活性ガス雰囲気で石英管の原料口を封止して、原料を石英管内に封入する。
【0020】
その後、原料を石英管内で600℃乃至700℃の温度に加熱し、溶解した後、混合し、その後冷却してインゴットを作成する(溶解・混合・凝固工程)。
【0021】
次に、このインゴットをガスアトマイズ法によって粉末にする。そして、この粉末を所定の粒度に選別する。
【0022】
次に、この粉末をHガス中でアニーリングし、粉粒の表面の酸化皮膜を還元処理して酸素を除去する。例えば、炉内に粉末を入れ、一旦、真空引き(1.33Pa以上)した後、Hガスを炉内に入れ、その後、200乃至450℃で5乃至15時間加熱する。
【0023】
次に、還元処理した粉末を固化成形する。例えば、ホットプレス法にて350℃乃至500℃の温度で、49MPa乃至196MPaの圧力をかけて固化成形する。これにより、熱電材料が得られる。
【0024】
次に、ガスアトマイズ法による粉末作成工程について更に詳細に説明する。図3はガスアトマイズ装置を示す模式図である。るつぼ1内に、予め、高周波溶解炉等で溶解した溶湯2を装入し、るつぼ1の底部のノズル3から流出させる。このるつぼ1の下部には、空気、Nガス、Arガス又はHeガス等の噴霧媒体(アトマイズ媒体)のジェットノズル4が配置されており、ノズル3から流下する溶湯2の流下流5に対し、ノズル4から噴霧媒体が噴射され、噴霧媒体が流下流5に衝突する。溶湯2の流下流5は噴霧媒体のジェット流により急冷され、粉化して飛散する。この飛散した粉末6は、冷却用媒液7内に入り、冷却される。また、冷却用媒液のかわりに容器壁内に冷却水を循環させた冷却式回収箱を用いると、回収効率がよい。
【0025】
この場合に、ノズル3から流下する溶湯流下流5の径(ノズル径)と、対向するジェットノズル4間の間隔と、対向するジェットノズル4対からの噴霧媒体のジェット流がなす角度、即ち、ジェット尖端角と、により、冷却用媒液7中に回収される粉末の粒径及び真球度等の特性が決定される。また、溶湯流距離は、ジェットノズル4の間隔と、ジェット尖端角とにより決まり、粉末飛散距離は、るつぼ1と冷却用媒液7との間の距離から、溶湯流距離を除いたものである。また、噴霧媒体のガス圧は、例えば6.86Paであり、溶湯差圧は、例えば1.96Paである。
【0026】
図4は他のガスアトマイズ装置を示す断面図である。装置本体11の中心に、溶湯ノズル9が垂直に装入されており、その上端から溶湯10が供給され、溶湯ノズル9の下端から溶湯が流下する。本体11には冷却水の供給口12と高圧ガスの供給口13とが設けられており、供給口12から供給された冷却水により本体11が冷却され、供給口13から供給された高圧ガスが衝撃波発生ノズル14から溶湯10の流下流に向けて噴射される。なお、この衝撃波発生ノズル14からの高圧ガス流のジェット尖端角は、例えば、45°である。
【0027】
この図4に示すガスアトマイズ装置においては、高圧ガスを衝撃波として溶湯流に衝突させるものであり、より微細かつ均質な熱電材料の粉末を製造することができる。
【0028】
図5は遠心力によるガスアトマイズ法を示す模式図である。溶湯20を回転する円板21上に供給し、半径方向に飛散した溶湯粒又は円板21に接触して冷却凝固した粉末に対し、溶湯流の周囲に配置した高圧ガスノズル22から高圧ガスを吹き付けて急冷する。
【0029】
図6も遠心力により溶湯を粉化するガスアトマイズ法を示す模式図である。空気タービン27により円板26を回転させ、この回転円板26の上に溶湯26を供給し、真空引きしつつHeガスを供給した減圧Heガス雰囲気のハウジング28内で溶湯25を円板26により飛散させると共に、冷却する。これにより、微細な粉末が得られ、ハウジング28の底部に回収される。
【0030】
このように、図5及び図6に示す方法は、回転円板を利用した方法で、溶湯流を高速で回転している円板上に落下させることにより、遠心力により溶滴を円板から離脱させて粉化させるものである。ガスアトマイズ法にも種々の方法があるが、図5及び図6に示すように、回転円板を使用すると、特に微細な粉末を得やすい。回転円板法の場合は、溶湯が同一の組成及び溶解温度を有していても、アンダーミクロンの粉末の質量比を回転円板を使用しない方法の倍以上に多くすることができる。
【0031】
なお、円板の材質は、通常、銅若しくはアルミニウム又は夫々の合金であるが、本発明においては、円板の材質はこれに限らず、例えば、アルミニウム合金板の表面に、塩化ビニルのような有機物の薄板を固定したもの等、種々のものを使用することができる。このように、金属又は合金板の表面に有機物の薄板を固定することにより、粒度の均質性又は真球度の高い粉末を得ることができる。また、ディスクの回転数を5000rpm以上、好ましくは10000rpm以上にすることにより、粉末の粒径を著しく微細にすることができる。
【0032】
また、本実施例においては、粉末を固化成形する方法として、ホットプレスによる焼結方法を使用したが、HIP(Hot Isostatic press;熱間静水圧加圧)、CIP(Cold Isostatic press;冷間静水圧加圧)又は放電プラズマ焼結法も効果的である。図7はHIPを示す模式的断面図、図8はCIPを示す模式的断面図である。HIPにおいては、圧力容器40内に、例えばアルミニウムからなるケース材44が配置されている。このケース材44の中には固化成形しようとする粉末45が充填されている。圧力容器40内のケース材44の周囲にはヒータ41が設けられており、更に圧力容器40には、配管42を介して、例えば高圧のArガスが導入されるようになっている。この配管42に設けられたバルブ43を開にして圧力容器40内に高圧のArガスを導入するときに、ヒータ41によりケース材44内の粉末45を加熱することにより、粉末45を圧縮成形し焼結することにより粉末45を固化成形する。
【0033】
CIPにおいては、圧力容器40内に、例えばゴムからなるケース材44が配置されている。このケース材44の中には固化成形しようとする粉末45が充填されている。圧力容器40内には、例えば水又は油等の流体46が満たされ、流体46は栓47により圧力容器40内に密封されている。この流体46により粉末45に静水圧をかけて加圧し、粉末45を固化成形する。このように、HIP及びCIPは、等方加圧のため、均質な材料を作成することに有効である。
【0034】
更に、図9(a)及び(b)に示すように、一旦、固化したものを更に熱間又は冷間で鍛造して異方性(配向性)を強化する方法も、熱電材料の高性能化及び高強度化には有効である。
【0035】
図10は縦軸に変位速度をとり、横軸に時間をとって段造時の変位速度の変化を示すグラフ図である。初期の段階で大きく変化させ、後はじっくりクラックの発生を抑えながら押圧する。このように、鍛造するときには、変位速度を複数の段階で変化させても強度ばらつきの低減に効果的である。
【0036】
図11は押出成形法を示す模式図、図12は側圧付加プレス法を示す斜視図である。押出成形法においては、押出し比(入り口52aと出口52bとの面積比)が10乃至20のダイ51にサンプル50を投入し、300乃至450℃の温度でダイ50を通過させてサンプル50を固化成形して熱電材料53を得ることができる。
【0037】
また、側圧付加プレス(ECAP;Equal−Channel Angular Pressing)法においては、ダイ55にL字形状の通路56が形成されている。予め冷間形成したサンプル50をプランジャ54で押圧し、サンプル50に側圧をかけながら、せん断応力をかけて、微細化高配向組織を有する熱電材料53を得ることができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明に係る熱電材料の実施例について、その特性を本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0039】
実施例1
BiTe2.7Se0.3となるように原料を秤量し、溶解して得たインゴットを、図13に示すAl(アルミナ)製又はBN(ボロンナイトライド)製の円筒形の坩堝30内に投入した。なお、図13において、符号31は溶湯量を絞り込むために細径となっているオリフィスであり、その内径は例えば1.0乃至4.0mmである。そして、チャンバ内を1.333Pa以上の真空度に引いた後、アルゴンガスで置換し、高周波誘導加熱により原料を溶解し、8.82MPaの圧力をかけてアルゴンガスを噴出した。
【0040】
得られた粉末を下記のように分級したものを、夫々水素雰囲気中で還元処理した後に、ホットプレスにより、480℃の温度で、98MPaの圧力をかけて30分間焼結した。
【0041】
このとき、SEM(走査型電子顕微鏡)にて100検体の粒子径を測定したところ、最大径と最小径との比の平均値、即ち、100(x−y)/xで表される値の平均値が3%であった。
【0042】
図14(a)はサンプル採取方法を示す模式図、図14(b)は測定方向を示す模式図である。ばらつきを測定したサンプルは以下のように採取した。図14(a)に示すように、アトマイズ粉末を水素還元等の処理の後、50mm角で高さが10mmのサンプルを5等分し、夫々から図14(b)に示すように、5mm角のサンプルを切り出し、α/ρ(出力因子)とせん断強度を測定した。なお、α及びρの測定方向は圧力と垂直の方向である。
【0043】
図15は横軸に試験片番号をとり、縦軸にα/ρ(出力因子)をとって加圧方向に垂直な方向の物性のばらつきを示すグラフ図、図16は横軸に試験片番号をとり、縦軸にせん断強度をとって粉末粒径とせん断強度ばらつきを示すグラフ図である。なお、図15において、αは熱起電力(μV/K)、ρは比抵抗(×10−5Ωm)である。
【0044】
A:0.8乃至700μm
B:500μm乃至1mm
C:0.8乃至500μm
D:700μm以下(下限なし)
E:0.8乃至200μm
【0045】
図15に示すように、試験片Aのように、粒度の幅が広すぎると物性のばらつきも大きい。また、図16に示すように、試験片B及びDのように、微細粒を含まないと、せん断強度の低下とばらつきが目立つ。これらの結果から、試験片C、好ましくは試験片Eが性能と強度が良好でバランスがよいといえる。
【0046】
実施例2
Bi1.9Sb0.1Te2.6Se0.4の組成のインゴットを使用して、実施例1と同様の試験を行った。この結果を図17及び図18に示す。図17は横軸に試験片番号をとり、縦軸にα/ρ(出力因子)をとって加圧方向に垂直な方向の物性ばらつきを示すグラフ図、図18は横軸に試験片番号をとり、縦軸にせん断強度をとって粉末粒径とせん断強度ばらつきを示すグラフ図である。なお、図17において、αは熱起電力(μV/K)、ρは比抵抗(×10−5Ωm)である。
【0047】
本実施例においても、実施例1と同様の結果が確認できた。これらの結果から、試験片C,E、好ましくは試験片Eが性能と強度が良好でバランスがよいといえる。
【0048】
実施例3
Bi1.9Sb0.1Te2.7Se0.3+0.15質量%SbI(組成A)、Bi0.5Sb1.5Te(組成B)及びBi0.4Sb1.6Te(組成C)に対し、チャンバ内真空度と射出用ガスの純度及び酸素含有度を制御して、粉末の表面酸化物層の厚さと真球度とを変えたサンプルを作成した。アトマイズ法における射出アルゴンガス圧は0.49乃至9.8MPaまで制御してサンプルを作成した。
【0049】
組成A、B及びCの夫々において、何回か条件を変えて粉末を作ったアトマイズ粉体において1バッチごとに、サンプルを10検体(10粒の粉)について酸化物層の厚さを測定して各バッチの平均酸化物層厚さを求める。
【0050】
また、同様に1バッチ毎に、100検体(100粒)の最大径及び最小径を測定し、真球度を測定し、各バッチ毎の平均値を求める。これら、平均値のわかっているバッチの粉末を採取し、固化成形し、5サンプル切り出し評価する。
【0051】
即ち、粉末を分級し、粉末の粉径を0.8乃至200μmとした後、10検体の粉末の表面酸化皮膜の厚さと、100検体に対する最大径と最小径との差(%)とを測定し、ホットプレスにて温度が500℃、圧力が78.4MPaの条件で15分、焼結を行った。
【0052】
図19は横軸に粉末表面の酸化皮膜厚さをとり、縦軸に出力因子をとって酸化皮膜層の厚さと熱電性能(出力因子)との相関関係を示すグラフ図である。即ち、図19は酸化皮膜の厚さを決定した中で4バッチの粉を選び、物性平均値(切り出した5つ)との相関関係を示すものである。
【0053】
本実施例においては、サンプルの切り出し方は実施例1及び実施例2と同じであり、図19に示すグラフの数値は、5サンプルの平均値である。
【0054】
図19に示すように、酸化皮膜の膜厚が500nmより厚くなると、急激に性能が悪化する。
【0055】
図20は横軸に最大径と最小径との差の平均をとり、縦軸にせん断強度をとって組成Aにおける1つの粉末の最大径と最小径との差(%)の100検体の平均値とせん断強度のばらつきの相関関係を示すグラフ図、図21は横軸に最大径と最小径との差の平均をとり、縦軸にせん断強度をとって組成Bにおける1つの粉末の最大径と最小径との差(%)の100検体の平均値とせん断強度のばらつきの相関関係を示すグラフ図、図22は横軸に最大径と最小径との差の平均をとり、縦軸にせん断強度をとって組成Cにおける1つの粉末の最大径と最小径との差(%)の100検体の平均値とせん断強度のばらつきの相関関係を示すグラフ図である。即ち、図20乃至22は、100検体から決めた真球度をもとに、選定したバッチの粉を使用して固化し、5サンプル(切り出し)の強度のばらつきを最大径と最小径との差の平均との相関関係でまとめたものである。図20乃至22に示すように、最大径と最小径との差の平均が10%を超えると、ばらつきが大きくなる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明においては、ガスアトマイズ法によって成形された粉末の粒径が0.8乃至500μmである粉末を固化成形することによって低抵抗に配向された結晶を有する熱電材料を得ることができる。
【0057】
また、本発明においては、ガスアトマイズ法で作成した熱電材料粉末は真球度が高く、均質であるため、固化成形した場合、緻密さが優れており、力学的強度が優れ、また、そのバラツキが小さく、作業性及び生産歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る熱電材料のミクロ組織の変化を示す模式図である。
【図2】真球度の測定方法を示す模式図である。
【図3】ガスアトマイズ法の原理を示す模式図である。
【図4】他のガスアトマイズ装置を示す断面図である。
【図5】遠心力によるアトマイズ法(円板ディスク法)を示す模式図である。
【図6】回転円板アトマイズ法を示す模式図である。
【図7】HIPを示す模式的断面図である。
【図8】CIPを示す模式的断面図である。
【図9】(a)及び(b)は鍛造の方法を工程順に示す模式図である。
【図10】縦軸に変位速度をとり、横軸に時間をとって段造時の変位速度の変化を示すグラフ図である。
【図11】押出成形法を示す模式図である。
【図12】側圧付加プレス法を示す斜視図である。
【図13】坩堝を示す模式図である。
【図14】(a)はサンプル採取方法を示す模式図、(b)は測定方向を示す模式図である。
【図15】横軸に試験片番号をとり、縦軸にα/ρ(出力因子)をとって加圧方向に垂直な方向の物性ばらつきを示すグラフ図である。
【図16】横軸に試験片番号をとり、縦軸にせん断強度をとって粉末粒径とせん断強度ばらつきを示すグラフ図である。
【図17】図12は横軸に試験片番号をとり、縦軸にα/ρ(出力因子)をとって加圧方向に垂直な方向の物性ばらつきを示すグラフ図である。
【図18】横軸に試験片番号をとり、縦軸にせん断強度をとって粉末粒径とせん断強度ばらつきを示すグラフ図である。
【図19】横軸に粉末表面の酸化皮膜厚さをとり、縦軸に出力因子をとって酸化皮膜層の厚さと熱電性能(出力因子)との相関関係を示すグラフ図である。
【図20】横軸に最大径と最小径との差の平均をとり、縦軸にせん断強度をとって組成Aにおける1つの粉末の最大径と最小径との差(%)の100検体の平均値とせん断強度のばらつきの相関関係を示すグラフ図である。
【図21】横軸に最大径と最小径との差の平均をとり、縦軸にせん断強度をとって組成Bにおける1つの粉末の最大径と最小径との差(%)の100検体の平均値とせん断強度のばらつきの相関関係を示すグラフ図である。
【図22】横軸に最大径と最小径との差の平均をとり、縦軸にせん断強度をとって組成Cにおける1つの粉末の最大径と最小径との差(%)の100検体の平均値とせん断強度のばらつきの相関関係を示すグラフ図である。
【図23】(a)乃至(d)は従来の熱電材料の製造方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1;るつぼ、 2、10、20、25;溶湯、 3;ノズル、 4;ジェットノズル、 5;流下流、 6;粉末、 7;冷却用媒液、 9;溶湯ノズル、 11;装置本体、 12、13;供給口、 14;衝撃波発生ノズル、 21;円板、 22;高圧ガスノズル、 26;回転円板、 27;空気タービン、 28;ハウジング、 30;坩堝、 31;オリフィス、 100;石英管、 101;原料、 102;管状炉、 103;粉末原料

Claims (3)

  1. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する組成を有し、ガスアトマイズ法によって得られた粒径が0.8乃至500μmである粉末を固化成形したものであり、前記粉末は、その表面に厚さが500nm以下の酸化皮膜が形成されていることを特徴とする熱電材料。
  2. 前記粉末は、1つの粉粒における最大径と最小径との差の平均が10%以下である真球度を有することを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。
  3. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する組成の原料を溶解・凝固してインゴットを得る工程と、前記インゴットを溶解した溶湯を回転する円板上に流下すると共に、遠心力により前記円板から溶滴を離脱させて前記液滴を急冷し粉化させる工程と、得られた粉体を粒度分別して粒径が0.8乃至500μmの粉末を得る工程と、前記粉末を還元する工程と、前記粉末を固化成形する工程とを有することを特徴とする熱電材料の製造方法。
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