JP3627032B2 - 糊残りのない感熱性粘着ラベルおよびこれを用いた容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱して容器表面の全周に巻回貼付する感熱性粘着ラベル、特に、リサイクルの対象となる容器用に好適で、わずかな時間で粘着性を発現する感熱粘着層を有し、かつ剥離時には粘着剤が容器に転移しない感熱性粘着ラベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物量の低減、資源の有効利用の観点から、使用後の容器をリサイクルする動きが定着しつつある。ガラス瓶、ペットボトル、紙パック等に代表される各種容器には、容器破損保護、内容物に関する表示、意匠性の点から通常、各種のラベルが貼付されている。これらは、リサイクルの際に容易に容器から分離できるものが好ましいため、それに好適なラベルやそのラベルを貼付した容器が種々提案されている。例えば、特開平4−279454号公報では、プラスチックボトルの胴周外周に、印刷を施したプラスチックフィルムからなる矩形のラベルを巻きつけ、上記ラベル裏面の先端部分をボトルの表面に、後端部分を巻かれたラベルの表面にそれぞれホットメルト剤により接着し、プラスチックボトルとホットメルト剤の接着強度が、ホットメルト剤とラベルの接着強度より小さいことを特徴とするプラスチックボトルが開示されている。また、本発明者も特開2001−42775号公報の通り、粘着剤が容器に付着しない感熱性粘着ラベルの研究を重ねてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これは、特開平4−279454号公報に記載の発明の場合空気中、即ち酸素存在下で、150〜200℃という高温でホットメルト剤を溶融して使用するため(一般的にホットメルト剤はこのような温度で使用される)、ホットメルト剤の一部熱分解による異臭がラベルに残り易い、熱によりプラスチックフィルムが変形し易い、さらには、ホットメルト剤塗布作業開始前の準備や作業終了後のホットメルト剤塗布ローラを含む塗布装置の掃除に手間取る、等の問題がある。また、特開2001―42775号公報に記載の発明の場合、前記の課題は解決したものの、感熱粘着剤層の粘着性発現に時間がかかるため高速自動ラベル装着機での装着には更なる改良が求められていた。
【0004】
本発明が解決しようとする第1の課題は、リサイクルにより好適な感熱性粘着ラベルを提供することにある。第2の課題は、高速自動ラベル装着機で装着可能な感熱性粘着ラベルを提供することにある。第3の課題は、リサイクルに好適な容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決する手段として本発明は、加熱して容器の全周に巻回貼付するプラスチックフィルムを基体とする感熱性粘着ラベルにおいて、該プラスチックフィルム上に酢酸ビニル含有量25〜35モル%で且つメルトインデックス5〜200のエチレンー酢酸ビニル共重合体85〜99重量%と低分子量炭化水素樹脂15〜1重量%からなる感熱性粘着剤層が積層されている感熱性粘着ラベルであることを特徴とする。
【0006】
前記感熱性粘着ラベルを貼付した容器であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態についてより具体的に説明する。
【0008】
本発明の感熱性粘着ラベルとは、プラスチックフィルム基体と感熱性粘着剤層の少なくとも2層からなるものである。
本発明の感熱性粘着ラベルの容器への装着方法の1例を示すと、以下の通りである。
【0009】
まず、ロール状に巻かれた長尺ラベルを巻きほぐしながら、感熱性粘着剤層を加熱し、粘着性を有した感熱性粘着剤層をラベルの先端部分から後端部分に向かって容器に巻き付け貼付する。ラベルの先端部分に容器を1周巻回したラベルの後端部分を重ね合わせ、ラベル1枚の所定の寸法に裁断する。
【0010】
容器に本発明のラベルを加熱貼付した状態図を図1に示す。容器1に感熱性粘着ラベル2を巻回し、ラベルの4の部分では、感熱性粘着剤層が容器に貼付され、ラベルの3の部分(ラベルの先端部と後端部が重なり合う部分)では感熱性粘着層はラベルの表面、すなわちプラスチックフィルム基体の粘着剤非積層面に貼付されている。
【0011】
本発明のラベルは、容器から剥離する際、粘着剤が容器に転移しないことが特徴である。更には、300〜500bpmの高速自動ラベル装着機の高速でも問題なくラベル装着ができることが特徴である。容器に粘着剤が転移すると、リサイクル工程で容器とラベルとを剥離した後、粘着剤を取り除かなくてはならないので、非常に手間がかかり、また、低速でしかラベル装着ができないのは夏場などの供給量増に対応できず好ましくない。
【0012】
本発明の感熱性粘着ラベルとは、室温では粘着性がないが、加熱すると粘着性が発現する粘着剤を予めプラスチックフィルム基体に積層されてなるラベルである。
粘着剤が積層されるプラスチックフィルム基体とは、特に限定されるものではなく、例えば、各種ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなる延伸、無延伸のフィルムが例示できる。これらのなかでも、透明性、光沢、適度な腰などの観点から、とりわけ、2軸延伸ポリプロピレンが好ましい。
【0013】
本発明の感熱性粘着剤は、酢酸ビニル含有量25〜35モル%、且つメルトインデックス5〜200のエチレン−酢酸ビニル共重合体85〜99重量%と低分子量炭化水素樹脂15〜1重量%からなるものが好ましい。
エチレンー酢酸ビニル共重合体は、粘着剤の厚さによって、ラベル表面との剥離強度、及び容器との剥離強度がコントロールし易い、さらには臭気が少ないという点で好ましい。
【0014】
酢酸ビニルの含有量が25%未満の場合、メルトインデックスが前記適正範囲であっても、ラベル表面および容器への粘着力が十分でない為に、ラベル表面からの剥離や容器からの脱落が発生する可能性があり、ラベルとしての機能が不十分であり好ましくない。
酢酸ビニルの含有量が35モル%を超えた場合、メルトインデックスが前記適正範囲であっても、ラベルをロール状態で保管した際に粘着剤非積層面へのブロッキングが生じやすく、巻きほぐすことが著しく困難になるため、低温下で保管したり、粘着面へ剥離紙を配する必要がでてくる。更に、加熱貼付後粘着剤や印刷インキが容器上に残り好ましくない。
【0015】
一方、酢酸ビニルの含有量が25〜35モル%で、メルトインデックスが200を超える場合、加熱貼付後の容器との剥離強度やラベル表面との剥離強度が弱くなったりするため、その調整が困難であり好ましくない。メルトインデックスが5未満の場合、ラベルをロール状態で保管した際に粘着剤非積層面へのブロッキングが生じやすくなる。
【0016】
本発明の低分子量炭化水素系樹脂とは、代表的なものとして、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂、炭化水素樹脂(脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、共重合系炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂)などがあげられる。
これらの中でも、取り扱いのしやすさ、粘着性発現速度の調整のしやすさの点から、とりわけ、炭化水素樹脂が好ましい。炭化水素樹脂の中でもより好ましくは、軟化点が90℃以上および数平均分子量800以上のものが好ましい。これは軟化点が90℃未満の場合、または数平均分子量が800未満の場合、容器からラベルを剥がした際に、粘着剤が転写するので好ましくない傾向にあるからである。
【0017】
また、低分子量炭化水素系樹脂の添加量は粘着剤の1〜15重量%が好ましい。添加量が1重量%未満の場合、粘着剤の粘着性発現に時間がかかるため高速自動ラベル装着機でのラベル装着ができない傾向にある。また、添加量が15重量%を越える場合、ロールラベルで保管中にも粘着性が発現するためロールラベルがブロッキングする傾向にある。
粘着剤に低分子量炭化水素系樹脂を添加することにより、粘着剤の粘着性発現を早くすることができ、即ち高速自動ラベル装着機でのラベル装着を可能にし、高い生産性を維持する効果を有する。
【0018】
プラスチックフィルムに積層する粘着剤層の厚みは、本発明の性状を有するのであれば特に制限されるものではないが、通常1〜50μm、好ましくは2〜30μm、より好ましくは3〜15μmが例示できる。
プラスチックフィルムに粘着剤層を積層する方法は特に限定するものでなく、例えば、押出法、各種コーティング法、各種印刷法等公知の方法によればよい。(但し、ホットメルト法のような空気中での高温加熱が不可欠なものは、前記理由から避けたほうがよい)
とりわけ、グラビア印刷による方法が好ましい。その理由は以下による。即ち、ラベルには文字や図柄がグラビア印刷されるのが一般的であるので、感熱性粘着剤層を積層するのにグラビア印刷法を用いると、1台のグラビア印刷機で、文字や図柄の印刷に引き続いて感熱性粘着剤を塗布することができ、極めて効率的であるからである。さらにはグラビア版のメッシュや版深度を適宜選定することにより、所望の厚さの感熱性粘着剤層を精度よく得ることができるからである。
【0019】
又、ラベルを容器から剥離する際、粘着剤が容器に転移しないようにするために、カットされた1枚のラベルにおいて、粘着剤層の厚みがラベルの先端部分と後端部分、すなわち、ラベル裏面と表面が重なり合う部分で厚く、容器に巻回する部分で薄く形成するのも、1つの好ましい形態である。さらに好ましくは、ラベルの裏面と表面が重なる部分において、ラベルが容器に貼付される先端部分よりラベルの表面に貼付される後端部分の粘着剤層を厚くするほうが好ましい。これは容器に貼付される部分の剥離強度は、リサイクルの際に粘着剤層を容器上に残さない程度でかつ、ラベル巻回時の張力でずれの生じない程度であればよいが、一方、ラベルの表面に貼付される部分の剥離強度はラベルを容器上で保持しなくてはならないため容器に貼付される部分より剥離強度が大きいのが好ましいからである。
【0020】
プラスチックフィルム基体と感熱性粘着剤層との間に印刷インキ層を設けると、更に有意なラベルとなる。何故ならば、商品名や内容物に関する表示の印刷、他社同種商品との差別化を図るための意匠性付与等が図れるからである。印刷インキ層はプラスチックフィルムの全面でもよいし、部分的であってもよい。用いる印刷インキは、使用するプラスチックフィルム基体と適用するバインダー(例えば、ポリウレタン系、塩素化ポリプロピレン系、ポリアミド系等)を含む公知のインキを用いればよい。
【0021】
本発明のラベルは、容器の全周に巻回貼付する際には、貼付直前に感熱粘着層側に80〜120℃、好ましくは90〜120℃、より好ましくは95〜120℃の熱風を0.5秒間吹き付けることにより粘着性が発現するため、ラベルが熱変形を起こすことなく、高速自動ラベル装着機で好適に装着できる。
【0022】
【実施例】
次に本発明の代表的な実施例を挙げて説明する。本発明において使用した物性値の測定方法及び評価方法は次の通りである。
【0023】
(ブロッキング度)
10cm×10cmに切り取ったラベルを粘着剤積層面と粘着剤非積層面とが重なるように10枚重ね合わせ、更にその上に100g/cmの荷重を乗せ、40℃ドライの環境下で24時間保管した。その後、23℃の環境下で新東科学株式会社製T型剥離試験機HEIDON−17で JIS P8139に記載の測定方法に基づいて剥離強度を測定した。
評価1として、この剥離強度が0.5N/25mm以下のものを良好とした。
【0024】
(ラベル表面との剥離強度)
15mm×100mmに切り取った2枚のラベルを粘着剤積層面と粘着剤非積層面(つまりラベル表面)が重なるように重ね合わせ、温度=80℃、時間=0.5秒、圧力=60kPa、面積=10×25mmで東洋精機製ヒートシーラーを用いて接着し、23℃の環境下で新東科学株式会社製T型剥離試験機HEIDON−17で JIS P8139に記載の測定方法に基づいて剥離強度を測定した。
評価2として、この剥離強度が、1N/15mmを越え、5N/15mm以下のものを良好とした。
【0025】
(容器との剥離強度)
15mm×100mmに切り取ったラベルの粘着剤積層面とポリエチレンテレフタレートシート上に粘着剤積層面が接するように重ね合わせ、温度=100℃、時間=0.5秒、圧力=60kPa、面積=10×25mmで東洋精機製ヒートシーラーを用いて接着し、23℃の環境下で新東科学株式会社製T型剥離試験機HEIDON−17で JIS P8139に記載の測定方法に基づいて剥離強度を測定した。
評価3として、この剥離強度が、0.01〜1N/15mmのものを良好とした。
【0026】
(実施例1)
厚み50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム上に、グラビア印刷にて印刷層(1色)と感熱性粘着剤層を形成した。この際の感熱性粘着剤層は、酢酸ビニル含有量30モル%、メルトインデックス60のエチレン―酢酸ビニル共重合体に、低分子量炭化水素系樹脂として脂肪族系炭化水素樹脂(軟化点100℃、分子量1200)を10重量%添加し、濃度15重量%でトルエンに溶解し、乾燥後の塗布厚が7μmになるように深度を調整したグラビア版で形成し、乾燥した。
【0027】
(実施例2)
厚み50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、グラビア印刷にて印刷層(1色)と感熱性粘着剤層を形成した。この際の感熱性粘着剤層は、酢酸ビニル含有量25モル%、メルトインデックス150のエチレン―酢酸ビニル共重合体に低分子量炭化水素系樹脂として脂肪族系炭化水素樹脂(軟化点100℃、分子量1200)を10重量%添加し、これを、濃度15重量%でトルエンに溶解し、1つのラベルの図柄において、乾燥後の塗布厚が、ラベルが重なり合う両端10mm幅の部分で、容器と貼付する端側は7μm、ラベルの表面に貼付する端側は10μm、容器に巻回する部分は3μmになるように深度を調整したグラビア版で形成し、乾燥した。
【0028】
(実施例3)
低分子量炭化水素系樹脂として、テルペン樹脂(軟化点120℃、分子量1200)を使用する以外は実施例1と同じように調製した。
【0029】
(比較例1)
感熱性粘着剤として、酢酸ビニル含有量10モル%、メルトインデックス2のエチレン―酢酸ビニル共重合体を使用する以外は実施例1と同じように調製した。
【0030】
(比較例2)
感熱性粘着剤として、酢酸ビニル含有量43モル%、メルトインデックス350のエチレン―酢酸ビニル共重合体を使用する以外は実施例1と同じように調製した。
【0031】
(比較例3)
低分子量炭化水素系樹脂として脂肪族系炭化水素樹脂(軟化点80℃、分子量800を20%添加する以外は実施例1と同じように調製した。
【0032】
前記実施例1から比較例3までの評価結果を表1にまとめた。
【0033】
(表1)
Figure 0003627032
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成からなるので、以下に記載する効果を奏す。
【0035】
本発明の感熱性粘着ラベルは、容器から剥離する際粘着剤が容器に転移しないので、リサイクルの対象となる容器用に好適なラベルである。
ブロッキングしないので夏場長時間保管しても、使用時にはスムーズに巻きほぐすことができる。
容器に巻回貼付するためのラベルの粘着性発現速度が早いので、高速自動ラベル装着機によるラベル装着に好適である。
常温で感熱性粘着剤層を形成するので高温による異臭発生やプラスチックフィルムの熱変形がない。
【0036】
プラスチックフィルムに粘着剤層を積層する方法としてグラビア印刷法を採用すると、厚み精度がよく、且つ、効率的に生産することができる。さらには粘着剤層の厚さを部分的に変更することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例2の感熱性粘着ラベルの断面図である。
【図2】本発明にかかわる感熱性粘着ラベルを加熱貼付した状態図である。
【符号の説明】
1 容器
2 感熱性粘着ラベル
3 ラベル両端重ね合わせ部
4 容器との貼付部
5 感熱性粘着剤層
6 印刷インキ層
7 プラスチックフィルム基体

Claims (2)

  1. 加熱して容器の全周に巻回貼付するプラスチックフィルムを基体とする感熱性粘着ラベルにおいて、該プラスチックフィルム上に酢酸ビニル含有量25〜35モル%で且つメルトインデックス5〜200のエチレンー酢酸ビニル共重合体85〜99重量%と低分子量炭化水素樹脂15〜1重量%からなる感熱性粘着剤層が積層されていることを特徴とする、高速自動ラベル装着機用感熱性粘着ラベル。
  2. 請求項1に記載の高速自動ラベル装着機用感熱性粘着ラベルを貼付した容器。
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