JP4562821B2 - 基材の一部が剥離可能な粘着ラベル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、対象となる物品にラベルを貼った後、その基材を剥がして、別の目的に使用するのに適した特殊な構造の粘着ラベルに関する。本発明の粘着ラベルは、集荷業者、運送業者、もしくは配達業者等の貨物の輸送の際や、通信販売業者が顧客の注文に応じて、取扱い商品を発送する際等に、商品や商品を集めて収納する通箱等に貼って使用するのに、特に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
商品が多くの経路で流通したり、貨物が多くの輸送拠点を経由して輸送されたり、あるいは素材が多くの加工機により加工されるような場合には、情報の管理が非常に重要である。流通の各経路、輸送の各拠点、あるいは加工の各工程等において、そこに流れている物品に特有な諸事項に関する情報を把握し、それらの情報に基づいて、輸送条件や輸送経路を適切に選択したり、素材や仕様に基づいて、加工条件を選択する等の処置、判断を行なう必要があるからである。
【0003】
また、流通・輸送の各拠点や加工の各工程では、それらの場所において、新たに発生する情報を追加入力する必要性、その段階での情報を記録しておく必要性、及び内容を記載したラベルのコピーを保管する必要性がある。
【0004】
このため、従来は複数枚の伝票を重ねて帳合する事により1組の貼付用伝票(ラベルでもある)を作成し、最初に所定事項を記入して物品に貼り付け、上記したような各拠点や加工の職場毎に、必要の都度、追加記入したり、表側から1枚ずつめくって分離し、保管する等の作業を行っていた。
【0005】
しかし、多数枚の用紙が重ねられた伝票は、厚みが増すため、伝票の保管時にも使用時にも不便であり、多くは片側のみが綴じられている構造であるので、めくれたり、破損する事もあり、更に、流通ルートや輸送ルートが単純なときは、用紙の一部が不要となる事がある等の無駄もあった。
また、最近は、伝票に付けられたバーコードを読み取ることにより、伝票に記載された内容に頼らなくても情報の把握が可能なシステムが出現しており、そのような場合には、流通・輸送ルート、加工工程等が複雑であっても、多数枚の伝票を要しないことも出てきた。
これとは別に、手書きによる記入を中止し、ノンインパクトプリンターによる一括印字を行ないたいとの要請もあり、この意味でも、多数枚の伝票が片側のみが綴じられている構造の従来品は扱いにくかった。
【0006】
これらの状況を踏まえて、発明者は先に、1枚の基材を、2つの部分に分離可能に作成し、一方を配達先の住所・氏名等を印字して物品に貼るための荷札の部分とし、他方を配達先で受取印を押印して貰うための通称、「判取り」の部分としたものを提案した。
このものを使用するときは、まず、シート全体を物品に貼り付けて配達先に配達し、配達先において認印を押して貰った「判取り」の部分を分離して持ち帰るものである(特開平9−327985号)。
【0007】
この配送伝票は、従来の欠点をすべて解消するものではあるが、ただ、「判取り」を分離する際に、積層している伝票の剥離部材の部分での分離が必ずしも円滑には行えなかった。剥離部材が介在しているとは言え、各層は通常の取り扱いにおいては剥がれない程度に接着しているためである。
また、剥離部材が介在しないと「判取り」部分が剥がれないので、その部分にのみ、剥離部材を適用しなければならず、部分的に塗布する手段、又は印刷手段を必要とした。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、剥がすべき部分を円滑に剥がすことができ、その部分が剥がされ、除去された後の残りの貼られたままの部分も粘着ラベルとしての十分な強度を有しており、全体を剥がす際にも、剥がすのが容易なラベルを提供することを課題としている。又、剥離部材として、現状、剥離性層及び合成樹脂からなる中間層の2つの層を必要とするのを、層の数を減らして材料を減らす事も課題としている。これは又、製造工程を簡略化できる事につながる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
アルキルイソシアネート付加ポリアミンの樹脂層を基材と粘着剤層との間に介在させると、この樹脂層は基材や粘着剤層との接着性はかなりあるが、層間の強度が比較的低く、基材2を剥離しようとすると、この樹脂層間で破壊するために、剥離性層と合成樹脂による中間層からなる2層構造の剥離部材等を介在させなくても、一つの層を介在させるだけで剥離が実現できる。また、積層されたアルキルイソシアネート付加ポリアミンの樹脂層を過度に加熱すると、加熱された部分のみ層間強度が上昇し、加熱されない部分には影響が及ばないので、剥離できる部分と剥離できない部分との区分が可能であり、これらの性質を、貼った後に一部が剥がせる粘着ラベルの製造に応用したものである。
【0010】
請求項1の発明は、基材の裏側の面の少なくとも一部に、層間で剥離させるためのアルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層が積層され、更に、前記軽剥離性層の裏面を含む前記基材の裏側の全面に粘着剤層が積層され、前記基材を剥離しようとすると前記軽剥離性層の層間で剥離する粘着ラベルであって、前記軽剥離性層が積層されている基材に、基材切り離し用のミシン目が設けられていることを特徴とする粘着ラベルに関するものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、アルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層が、加熱により架橋された部分と、架橋されていない部分とに区画されており、前記の架橋されていない部分の表側の基材に、基材切り離し用のミシン目が設けられている粘着ラベルに関するものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、架橋された箇所が面状である粘着ラベルに関するものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、架橋された箇所が線状、又は破線状である粘着ラベルに関するものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項2〜4何れか一項の発明において、少なくとも軽剥離性層が架橋されている部分と粘着剤層との間に耐熱性樹脂層が積層されている粘着ラベルに関するものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1〜5何れか一項の発明において、少なくとも軽剥離性層が形成されている部分と基材との間に溶剤の浸透を阻止する溶剤不透過層が積層されている粘着ラベルに関するものである。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1〜6何れか一項の発明において、アルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層の層間の強度が、JISK−6854−1994で規定されるT型剥離において、10g/25mm〜100g/25mmである粘着ラベルに関するものである。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1〜7何れか一項の発明において、基材が伝票用シートである粘着ラベルに関するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
図を引用しながら説明すると、図1は、本発明の粘着ラベルの構造を示す模式的な断面図である。この粘着ラベル1は、基材2の裏側の面にアルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層3、粘着剤層4、および剥離性シート5とがいずれも基材2と同じ大きさ、形状を有していて、順に積層された構造を有している。
この図1に示す粘着ラベル1は、裏側の剥離性シート5を剥がして物品に貼って使用し、物品の内容や取扱いの方法等を表示する役割を終えた時点で、基材2を軽剥離性層3の部分で剥離し、回収するものである。
なお、上記の図及び説明、並びに、以降の説明及び図面では、粘着ラベルを、便宜上、使用する大きさに裁断、分離されている物のように扱うが、本発明は、このように1単位の粘着ラベルに分離されたものに限定されるものではなく、多くの単位の粘着ラベルが隣接して連なった連続のシート状であってもよく、連続のシートが巻取り状態であったり、ミシン目により1単位毎に区画され、ミシン目の位置で折り畳まれ、ジグザグ折り(=経文折り)にして重ねられた状態のものであってもよい。
【0020】
図1に示すものは、基材2を所定の位置で分離することは少々難しい。そこで、所定の位置で分離するための構造が以下に幾つか示す構造である。
図2に示すものは、基材2の一部を剥がし、残りはそのまま残留させるための構造を有しており、図3の平面図にも示すように、基材2の向かって右側の部分を剥離できるよう、ミシン目6が中央に設けられて基材2を2つの部分に区分し、軽剥離性層3がミシン目6の直下を含んでミシン目6よりも向かって右側にのみ積層された構造を有している。この構造を有することにより、基材2の向かって左側の部分は剥がれないが、向かって右の部分は剥がすことができる。なお、図2では、ミシン目6は分かりやすいよう、幅を広く描いてあるが、通常のミシン目であり、基材2の一部を幅を持って除去したのではない。
【0021】
図4に示すものは、基材2のミシン目よりも向かって左の部分の裏側には、軽剥離性層3を過度に加熱して層間強度を向上させた「層間強度の向上した軽剥離性層3’」が積層されていて、剥がれないようにしてあり、ミシン目の直下を含む、向かって右の剥がれる部分の裏側には、過度な加熱を施してない軽剥離性層3が積層されていて、剥がれるようになっている。
層3及び層3’は、同じ原材料を両層に共通に連続して形成した後、向かって右側の層3’に相当する部分のみ、過度に加熱することにより、区分される。
層3’の部分の層3とは方向の異なるハッチの追加、及び符号の「ダッシュ」は、原材料は軽剥離性層3と共通だが、加熱により層間強度が向上した事を示している。
図4に示す物の平面図は図3と同じになるので省いてある。
図4に示すものは、図2及び図3に示すものとくらべると、層3の有無による段差が生じない利点がある。段差が生じない分、層3’の材料が余分に必要で、一見不利に見えるが、部分的に層3を形成しなくてもよいので、通常の塗布手段で形成でき、パターン形成のための特別な手段が不要になる利点がある。
【0022】
図5及び図6に示すものは、加熱する部分を必要最小限にするため、剥がさないようにする部分の周囲のみか、主要部分のみを加熱して接着強度を上げたものである。例えば、図6において、符号3’aの部分か、又は、3’bの部分のみ過度に加熱すればよい。
【0023】
基材2は、粘着ラベルが配送伝票として使用されるときは、荷札や「判取り」のような記入、押印ができ、又、それら記入、押印による情報を表示しうる機能を持つものである。基材2には、配送伝票として使用する場合には、上質紙等の紙が使われる事が普通で、感熱記録紙が使用される事が多いが、感熱記録紙以外にも、感圧複写紙等の機能を持った機能紙はもちろん、ノンインパクトプリンター用紙、ベースとして、ポリプロピレンフィルム(延伸、未延伸を含む)、発泡PET等を用いた、あるいは他の紙を用い、高分子樹脂層を塗布又は貼り付けてなる合成紙、プラスチックフィルム、例えば、PET、塩化ビニル、ポリプロピレン等の高分子のフィルム類、不織布、金属箔又は金属シート等、フレキシブルなシートであれば、原則として使用でき、使用用途によって使い分けるとよい。印字や手書き、押印等の様々な情報記録の手法が適用されるので、これらの手法が適用されたときに文字が滲んだり、撥いたりする事の無いよう、基材の素材としては、印字適性、筆記適性、又は捺印適性を備えたものを選んで使用するとよい。
印刷された項目や記入欄を見やすくする意味で、基材2としては、下地隠蔽性があるものが好ましく、色彩は特に問わないものの、使いやすさから言えば、白色か、他の色であっても淡色で、明度の高いものが好ましい。
【0024】
後述するアルキルイソシアネート付加ポリアミンが積層時に溶剤系で適用される場合には、適用される面に、溶剤が透過しない溶剤不透過層を形成しておくとよい。
溶剤不透過層は、一般的なコーティング用樹脂組成物中に溶剤として含まれるトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等、比較的極性の低い有機溶剤に溶解しない樹脂を選んで作成した樹脂組成物を使用して形成する。
例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等の有機高分子化合物、シリコーン樹脂等を含浸したグラシン紙、熱硬化性や電離放射線硬化性の樹脂が硬化したもの、金属箔、ポリエステル樹脂フィルム等がある。
溶剤不透過層は、直接、基材2に直接塗布して形成するか、あるいは、一旦、別の一時的キャリヤの上に塗布し、乾燥させて乾燥して皮膜を得てから、その皮膜のみを接着剤を介して貼る等の方法によって形成する。
【0025】
基材2の表側には、粘着ラベルを物品に貼った際に、物品の内容、取扱い、決められた輸送ルートや輸送方式に関する情報等を記入又は印字する。このため、配送伝票であれば、依頼日、配達先の住所・氏名、発送元の住所・氏名、内容物等の情報を印字又は手書きするための記入欄や項目等が予め印刷されており、通常、ラベル毎にバーコードや一連番号を印刷して1つの案件毎の固有の番号を付けておき、バーコードリーダーにより読み取って、詳しい情報を照会したり、取り扱った事を記録することもできる。
配送伝票以外の用途の場合、貼る目的にもよるが、日付、大分類・中分類、小分類などの分類の記号の欄、その後の取扱い(単価の割引や無償提供、セット販売、景品としての使用等、)を記入する記入欄が予め印刷されており、これらの欄に必要な情報を記入又は印字する。
【0026】
粘着ラベルが配送伝票である場合、基材2はその全部又は一部を、配達先に届ける際に、予め剥離しておくか、受取りの確認のための押印を受けた後に剥離して、配達業者や取り扱った人が回収する部分とすることもできる。このように、受取り確認のための押印をして貰う場合は、「判取り」と通称される。
「判取り」としても使用するときは、基材2の表側には、受取印を押す押印欄を設けておく事が望ましい。
【0027】
基材2の一部を分離するためのミシン目6は、又、ハーフカット、筋押しなどであってもよい。以降の説明では、ミシン目の用語で代表させるが、以降の説明は、ハーフカット、筋押しなどにも共通である。ミシン目6の形成位置、形成する箇所の数、ミシン目6によって区画される形状は任意である。ミシン目6の形成の深さについては、アルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層3に到達していることが好ましいが、基材2が確実に到達していればよい。
【0028】
ミシン目6は、図3に示すように、破線状に設けても、つながった一つの線状に設けてもよい。ところで、ミシン目6の端については、図3に示すように、粘着ラベル1の上辺、下辺を分断するか、あるいは、つないでおくかの選択ができるが、分断された切り目としておくと、判取りの分を分離する際に分離が容易になるが、若干破れやすくなる。又、つないでおけば、不用意に破れる事は防止できるが、若干破りにくくなる傾向があるので、基材シートの強度や判取り部分の分離に際に必要な力の大きさ、あるいは使用される環境等を考慮して、いずれかに決めるのがよい。
【0029】
軽剥離性層3を構成する樹脂として本発明で用いるアルキルイソシアネート付加ポリアミンは、活性水素を有する1級アミノ基、2級アミノ基のいずれか若しくは両方を分子内に複数個持つポリアミンとし、炭素数8以上の比較的長鎖のアルキル基を有するアルキルイソシアネートとを、前者のポリアミン1分子に対し、後者のアルキルイソシアネートを数分子付加させたものであり、種々のタイプであり得る。
【0030】
活性水素を有する1級アミノ基、2級アミノ基のいずれか若しくは両方を分子内に複数個持つポリアミンとしては、次のようなものがある。
(1)ポリアルキレンイミン、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、又は、ポリエチレンポリプロピレンイミン等、
(2)ポリアルキレンポリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、又は、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物等、
(3)ポリビニルアミン、例えば、ポリ(N−ビニルホルムアミド)を一部又は全部加水分解して得られるもの、又は、
(4)ポリアリルアミン、例えば、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合後、塩酸を除去したもの、
等が例示され、単独もしくは任意に混合して用いることができる。
【0031】
上記のようなポリアミンに付加させるアルキル基を有するアルキルイソシアネートとしては、アルキル基が炭素数8以上の比較的長鎖のものであり、より好ましくは、炭素数12〜22のアルキル基を有するものである。
具体的には、ドデシルイソシアネート、トリデシルイソシアネート、テトラデシルイソシアネート、ペンタデシルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ノナデシルイソシアネート、エイコシルイソシアネート、ヘンエイコシルイソシアネート、又はドコシルイソシアネートのアルキルモノイソシアネートである。
ここで言うアルキルイソシアネートとしては、モノイソシアネート以外のジイソシアネート、トリイソシアネート等を含んでいてもよい。
なお、炭素数7以下では、剥離性が得られない訳ではないが、実用的な観点から、本発明で必要とされる程度の軽剥離性の効果が必ずしも充分でなく、炭素数23以上では、効果はあるが、入手が難しく、価格が高くなる上、炭素数22以下のものとくらべて、効果上の優位性がない。上記のアルキルイソシアネートの中でもオクタデシルイソシアネートが入手しやすく、取り扱いやすい。
【0032】
上記のようなポリアミンとアルキルイソシアネートとは、ポリアミンを溶媒に溶解し、アルキルイソシアネートの溶液を添加し、攪拌することにより、アルキルイソシアネート付加ポリアミンが得られるが、ポリアミンを水系で扱う事により、反応生成物であるアルキルイソシアネート付加ポリアミンをエマルジョンとして得たものが、好ましい。
【0033】
軽剥離性層3の層間の接着の程度は、粘着ラベルが配送伝票として使用される場合には、発送時や輸送中の取り扱い、宛て先別の仕分け等の作業の際等に、不用意に剥離することがなく、かつ、意図的な剥離を行なう際に、それほど大きな力を入れなくても容易に剥離する程度であることが望ましく、これらの観点から、剥離を行なう際に要する力としては、JIS K−6854−1994にて規定されるT型剥離において、10g/25mm〜100g/25mmである事が望ましい。
【0034】
アルキルイソシアネート付加ポリアミンを適用する際には、被着箇所の2枚の帳票シートの一方又は両方に塗布し、両者を重ね合わせて圧着し、乾燥させる。塗布量としては、0.5g/m2 〜20g/m2 が好ましい。
接着剤のアルキルイソシアネート付加ポリアミンがエマルジョンである場合には、水分を乾燥により除去する必要がある。工業的な乾燥では、熱風を使用する事が多く、このアルキルイソシアネート付加ポリアミンに関しても、同様な乾燥方法が利用できるが、過度に加熱すると、エマルジョン粒子が完全に溶解し、接着強度が必要以上に上がる恐れがあるため、後に述べるように、意図的に接着強度を向上させようとする場合を除き、過度の加熱を避ける。代表的なアルキルイソシアネート付加ポリアミンであるオクタデシルイソシアネート付加ポリエチレンイミンのエマルジョンを使用した場合、120℃以上に加熱する事は避ける。
【0035】
本発明で使用する接着剤のアルキルイソシアネート付加ポリアミンは、架橋剤を使用して架橋させてもよい。
架橋剤としては、アミノ基と反応するものであればよいが、例えば、多価エポキシ化合物を使用することができ、例えば、次のような化合物である。
多価アルコール化合物、多価フェノール化合物、多価アミノ化合物のグリシジルエーテル化物、多価カルボキシル化合物のグリシジルエステル化物等が挙げられ、具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン多価グリシジルエーテル、グリセロール多価グリシジルエーテル、ソルビトール多価グリシジルエーテル、トリメチロールプロパン多価グリシジルエーテル、ペンタエリスリトール多価グリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサノン、ノボラックエポキシ、およびこれらの変成物である。
【0036】
多価エポキシ化合物の添加量としては、アルキルイソシアネート付加ポリアミンの固形分100重量部に対し、0.05〜50重量部である。
多価エポキシ化合物の添加量が0.05重量部未満であると、架橋剤を添加することによって得られる効果がなく、50重量部を超えると、アルキルイソシアネート付加ポリアミンと架橋せずに残存する部分が生じ、逆効果となるためである。
軽剥離性層3は先にも述べたように、層3を形成するアルキルイソシアネート付加ポリアミンの融点以上に加熱すると、粘着剤層4を積層すると、粘着剤層4〜軽剥離性層3が加熱されたもの〜基材2までの3つの層が完全に接着し、粘着ラベル1からは剥離性シート5のみが剥がれるようになる。
又、軽剥離性層3への加熱を行なう際に、耐熱性樹脂層で軽剥離性層3を被覆しておくと、加熱バー等への軽剥離性層3の樹脂の付着が防止できる。
【0037】
軽剥離性層3には、粘着剤層を積層するのに先立って、印刷層を介在させてもよい。この印刷層は、軽剥離性層3を通して見るため、印刷に使用する印刷用版としては左右逆の、いわゆる逆版を用いる必要がある。印刷しておく情報としては、基材2の表側に付与した固定情報と同様なものか、あるいは、基材2が除去された後に必要な情報としては、粘着ラベルが貼ってある対象物品の取扱い方、問い合わせ先、注意、発送元や運送会社の配達先への謝辞、等がある。
【0038】
粘着剤層4は、粘着ラベル1を物品に貼るためのもので、メチルメタクリレート等の一般的な(メタ)アクリル酸エステル系、若しくは、SBR系、NBR系、SIS系、NR系などのを使用し、通常は、さらに、剥離性シートが貼ってある。粘着剤の中でも一般的である(メタ)アクリル酸エステル系のものは、カルボン酸を含んでいるものが多く、このカルボン酸と軽剥離性層3中のアミンとが反応し、塩を形成するので、接着強度の向上に寄与し、軽剥離性層3と粘着剤層4との間の接着強度が向上する。
【0039】
剥離性シート5は、粘着剤層4に積層されていて、ラベルを物品に貼るまでの間、粘着剤層4を保護し、かつ、粘着剤層4が不用意に他の物品に貼りつくのを防止するものである。一般に、シートの裏面に粘着剤層が積層されていても、基材の表面が剥離性を有していれば、そのような粘着剤付きシートを巻いても、使用時には剥離可能であるが、本発明のような場合、貼付前に印字する事が多く、印字面に剥離性を与えると、印字の適性と剥離性とは矛盾するのが普通なので、設計がしにくい。従って、本発明の場合、剥離性シート5を粘着剤層4に積層しておいた方がよい。
【0040】
剥離性シート5としては、ポリエチレンのような接着性の低いポリオレフィン系等のプラスチックフィルムや、紙の表面にシリコーン樹脂やワックスをコーティングして剥離層を設けたシートを選択して使用さればよいが、剥離性シート5の粘着剤層に積層するのとは反対側に印刷するような場合には、印刷適性も考慮して選択する。通常、剥離性シート5に粘着剤層4を塗布、形成しておき、粘着剤層を内側にして軽剥離性層3に貼り合わせ、積層する。
【0041】
以上に説明した本発明の粘着ラベルは、基材シート2の表側に印字し、剥離性シート5を剥がして物品に貼り付け、粘着ラベルの役割が終わった時点で基材2を軽剥離性層3と共に剥離して回収するものである。
本発明の粘着ラベルは、配送伝票、荷札等の物流管理用として、又、基材2を葉書、封書、くじとすることにより情報秘匿用として使用することができる。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、アルキルイソシアネート付加ポリアミンの層が層間で剥離するため、粘着ラベルとして使用した後、必要が生じたときに基材を剥離でき、しかもその剥離がアルキルイソシアネート付加ポリアミンを1層介在させるだけで実現できる。また、剥がす部分と剥がさない部分とを軽剥離性層の有無で区分してあり、かつ、その境界にミシン目を形成してあるので、剥がしたい部分の剥離が確実に行なえる。また、従来の発明において剥離のために2つの層を必要としていたのが、1つの層で済む。
【0044】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、軽剥離性層形成用の素材で層を均一に形成し、加熱の有無で区分する事により、剥がれる部分と剥がれない部分とが形成できるので、剥がれる部分と剥がれない部分とで、層の有無による段差が生じる事がなく、また、部分的に層を形成するための特別な手段を利用する必要がない。
【0045】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果に加え、剥がれない部分の全面の接着強度が向上しているので、その部分の基材2が被着体に強固に接着しており、粘着ラベルを貼付して、情報を表示する機能を全うできる。
【0046】
請求項4の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、比較的狭い幅の線状、又は点状の部分で接着強度が向上しているので、面状に接着強度を向上させた場合にくらべれば、機能が若干低いが、この仕様でも剥がさない部分の形成ができ、加熱に要する熱量も少なくて済む。
【0047】
請求項5の発明によれば、請求項2〜4何れか一項の発明の効果に加え、耐熱性樹脂層が軽剥離性層を被覆しているので、接着力向上のために加熱しようとする際に、加熱バーへの焼きつきが防止でき、作業効率がよい。
【0048】
請求項6の発明によれば、請求項1〜5何れか一項の発明の効果に加え、基材と軽剥離性層との間に溶剤不透過層を積層してあるので、基材2が溶剤の浸透で発色しやすいものであっても、軽剥離性層の形成時に、基材2への影響が生じない。
【0049】
請求項7の発明によれば、請求項1〜6何れか一項の発明の効果に加え、軽剥離性層の層間の強度を規定したので、剥離が容易であるだけでなく、通常の状態では不用意に剥がれることがない十分な接着強度を与える。
【0050】
請求項8の発明によれば、請求項1〜7何れか一項の発明の効果に加え、伝票用として企画されるために、物品の流通、配送の際に、依頼人や、輸送に従事する人、あるいは物品を受領した人等が、情報を記入したり、情報を参照して処置を施したり、配送ルートを決める等の際に便利な構造となっており、しかも、使用が終了した時点で、基材の少なくとも一部を剥離して回収するのに便利な構造を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】粘着ラベルの実施例の断面図である。
【図2】粘着ラベルの他の実施例の断面図である。
【図3】図2のものの平面図である。
【図4】他の実施例の断面図である。
【図5】更に他の実施例の断面図である。
【図6】図5に示すものの平面図である。
【符号の説明】
1 粘着ラベル
2 基材
3 軽剥離性層
3’ 軽剥離性層の接着強度が向上した部分
4 粘着剤層
5 剥離性シート
6 ミシン目
Claims (8)
- 基材の裏側の面の少なくとも一部に、層間で剥離させるためのアルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層が積層され、更に、前記軽剥離性層の裏面を含む前記基材の裏側の全面に粘着剤層が積層された粘着ラベルであって、
前記軽剥離性層が積層されている基材に、基材切り離し用のミシン目が設けられていることを特徴とする粘着ラベル。 - アルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層が、加熱により架橋された部分と、架橋されていない部分とに区画されており、前記の架橋されていない部分の表側の基材に、基材切り離し用のミシン目が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の粘着ラベル。
- 架橋された箇所が面状であることを特徴とする請求項2に記載の粘着ラベル。
- 架橋された箇所が線状、又は破線状であることを特徴とする請求項2に記載の粘着ラベル。
- 少なくとも軽剥離性層が架橋されている部分と粘着剤層との間に耐熱性樹脂層が積層されていることを特徴とする請求項2〜4何れか一項に記載の粘着ラベル。
- 少なくとも軽剥離性層が形成されている部分と基材との間に溶剤の浸透を阻止する溶剤不透過層が積層されていることを特徴とする請求項1〜5何れか一項に記載の粘着ラベル。
- アルキルイソシアネート付加ポリアミンからなる軽剥離性層の層間の強度が、JISK−6854−1994で規定されるT型剥離において、10g/25mm〜100g/25mmであることを特徴とする請求項1〜6何れか一項に記載の粘着ラベル。
- 基材が伝票用シートであることを特徴とする請求項1〜7何れか一項に記載の粘着ラベル。
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