JP3626886B2 - 車両用幌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車室を上方から覆う閉止位置から車体後方の収納位置に可動とされる幌を備えた車両用幌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車室を上方から覆う閉止位置から車体後方の収納位置に可動とされる幌を備えた車両用幌装置はよく知られている。この種の車両用幌装置としては、例えば幌の閉止時においてサイドウインドの後部が挿入されるとともに前記幌の端末部が挿入され、車体に対して揺動自在に枢支されたフレーム部材を備えて構成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような構成の車両用幌装置の場合、幌の収納時には、フレーム部材も後方へ回動することとなる。この時、幌の端末部がフレーム部材から離脱して、別々の動きをしないと、幌およびフレーム部材の収納が円滑に行えない場合が生ずる。
【0004】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、幌の収納動作初期において該幌の端末部をフレーム部材から強制的に離脱させ得るようにすることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、車室を上方から覆う閉止位置から車体後方の収納位置に可動とされる幌と、該幌の閉止時においてサイドウインドの後部が挿入されるとともに前記幌の端末部が挿入され、車体に対して揺動自在に枢支されたフレーム部材と、前記幌の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌の閉止時に起立状態に回動され且つ前記フレーム部材と連動するように前記車体に対して揺動自在に枢支された第1のメインリンクと、前記幌の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌の閉止時に起立状態に回動されるように前記第1のメインリンクに対して揺動自在に枢支された第2のメインリンクとを備えた車両用幌装置において、前記第1のメインリンクに一端が固着され且つ後方に向かって突出するガイド部材と、前記幌の端末部に一端が接続され、前記ガイド部材を経由して前記第2のメインリンクに他端が接続された連結部材とからなる強制離脱手段を付設している。
【0006】
上記のように構成したことにより、第1および第2のメインリンクが後方へ回動開始すると、第1および第2のメインリンクが近づくこととなり、ガイド部材を経由して第2のメインリンクに連結された連結部材の一端に接続された幌の端末部がフレーム部材の揺動量より大きく移動することとなる。従って、幌の収納動作初期に幌の端末部がフレーム部材から強制的に離脱されることとなり、幌とフレーム部材とが別々の動きをして円滑に収納される。
【0007】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載の車両用幌装置において、前記第1のメインリンクと前記幌の端末部との間に、前記幌の閉止動作終期に前記端末部を前記フレーム部材に強制的に挿入する付勢手段を介設した場合、幌の閉止動作終期において、第1のメインリンクの起立状態への移行に伴って、幌の端末部に付勢手段の付勢力が作用することとなり、幌の端末部がフレーム部材に確実に挿入されることとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施の形態について詳述する。
【0009】
この車両用幌装置は、図1ないし図3に示すように、車室1を上方から覆う閉止位置から車体2後方の収納位置に可動とされる幌3と、該幌3の閉止時においてサイドウインド4の後部が挿入されるとともに前記幌3の端末部3aが挿入され、車体2に設けられたリンクセットブラケット27に対して揺動自在に枢支されたフレーム部材5と、前記幌3の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌3の閉止時に起立状態に回動され且つ前記フレーム部材5と連動するように前記リンクセットブラケット27に対して揺動自在に枢支された第1のメインリンク6と、前記幌3の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌3の閉止時に起立状態に回動されるように前記第1のメインリンク6に対して揺動自在に枢支された第2のメインリンク7とを備えて構成されている。
【0010】
前記幌3は、前記フレーム部材5の前端に対して揺動自在に枢支され、幌3の閉止状態においてフロントウインド8の後端に当接されるハード部9を備えており、該ハード部9の先端から車体2の後方における収納部10の後端縁にかけてを覆っている。符号26はリヤウインドである。
【0011】
前記フレーム部材5は、図4および図5に示すように、サイドウインド4が挿入されるウインド挿入部5aと、幌3の端末部3aが挿入される幌挿入部5bとを有しており、該幌挿入部5bには、幌端末部3aとの間のシールを行うウエザストリップ11が配設されている。なお、ウインド挿入部5aにも図示省略されているが、ウエザストリップが配設されている。
【0012】
また、このフレーム部材5の先端に対して回動自在に枢支され、該フレーム部材5に沿うようにして配置され、後端が前記フレーム部材5と第1のメインリンク6とを連動可能に連結するアーム状の連結アーム13の中間部に対して回動自在に枢支されたコントロールリンク12が設けられている。該コントロールリンク12は、平行四辺形リンクを構成しており、フレーム部材5の揺動をコントロールするものである。
【0013】
さらに、前記フレーム部材5のリンクセットブラケット27における枢支点Aは、前記第1のメインリンク6のリンクセットブラケット27における枢支点Bより前方且つ上方に位置されており、前記フレーム部材5と第1のメインリンク6とは、前記連結アーム13を介して連動可能に連結されている。該連結アーム13の前端は、前記フレーム部材5の枢支点Aよりやや上方に回動自在に枢支される一方、連結アーム13の後端は、前記第1のメインリンク6の枢支点Bよりやや上方に後ろ向きに固着されたブラケット14の先端に回動自在に枢支されている。符号15は前記フレーム部材5を起立方向(換言すれば、幌3の閉止方向)に付勢するスプリングである。
【0014】
前記第2のメインリンク7の下端は、前記第1のメインリンク6の中間部に固着されたブラケット16に対して枢支点Cにより回動自在に枢支されており、この第2のメインリンク7と前記第1のメインリンク6との間には、両メインリンク6,7を近づける方向に付勢するスプリング17が介設されている。符号18は第2のメインリンク7の起立姿勢を保持するためのバンドである。
【0015】
そして、この車両用幌装置には、図4および図5に示すように、前記第1のメインリンク6に一端が固着され且つ後方に向かって突出する四角枠状のガイド部材19と、前記幌3の端末部3aに一端が接続され、前記ガイド部材19を経由して前記第2のメインリンク6に他端が接続された連結部材20とからなる強制離脱手段Xが付設されている。
【0016】
前記ガイド部材19の先端部(換言すれば、後端部)19aには、前記連結部材20を通す通し穴21が設けられている。該通し穴21は、ガイド部材先端部19aと該先端部19aに固着されたコ字状の枠体22との間に形成されることとなっている。
【0017】
前記連結部材20は、前記幌端末部3aに一端が接続された第1の連結ベルト20aと、該第1の連結ベルト20aの他端に接続された連結リング20bと、該連結リング20bに一端が接続され且つ他端が前記ガイド部材19の通し穴21を介して前記第2のメインリンク7に接続された第2の連結ベルト20cとからなっている。このようにすると、第1および第2のメインリンク6,7をリンクセットブラケット27に組み付けた後に、連結部材20を組み付けることができるため、組付作業性がよくなる。なお、前記第1の連結ベルト20aの一端は、幌端末部3aにおけるフレーム部材5に挿入されている部分全体に力が作用し易いように幅広とされている。
【0018】
さらに、前記第1のメインリンク6と前記幌3の端末部3aとの間には、前記幌3の閉止動作終期に前記端末部3aを前記フレーム部材5に強制的に挿入する付勢手段23が介設されている。該付勢手段23は、前記第1のメインリンク6の上部に一端が接続されたスプリング24と、該スプリング24の他端に一端が接続され、他端が幌端末部3aに接続された(図示省略)ベルト部材25とからなっている。
【0019】
上記のように構成した車両用幌装置においては、次のような作用効果が得られる。
【0020】
即ち、図2に示す閉止状態から幌3を車体2の後部に形成された収納部10に収納する場合には、幌3のハード部9を後方に押しやると、コントロールリンク12にコントロールされながらフレーム部材5が枢支点Aを支点として後方に揺動するとともに、第1および第2のメインリンク6,7もフレーム部材5と連動して枢支点Bおよび枢支点Cを支点として後方に揺動することとなる。
【0021】
このようにして、第1および第2のメインリンク6,7が後方へ回動開始すると、図6に示すように、第1および第2のメインリンク6,7が近づくこととなり、ガイド部材19を経由して第2のメインリンク7に連結された連結部材19の一端に接続された幌3の端末部3aが、第1のメインリンク6の後方移動量と第2のメインリンク7の前方移動量とを加算した移動量だけ移動することとなる。従って、幌端末部3aが、フレーム部材5の揺動量より大きく移動することとなる。従って、幌3の収納動作初期に幌3の端末部3aがフレーム部材5から強制的に離脱されることとなり、幌3とフレーム部材5とが別々の動きをして円滑に収納される。そして、幌3が図8に示すように収納部10に収納された状態においては、図7に示すように、幌端末部3aがフレーム部材5の外側に位置せしめられることとなる。
【0022】
ところで、幌3を閉止する場合には、幌3の端末部3aがフレーム部材5に挿入される必要があるが、本実施の形態においては、前記第1のメインリンク6と前記幌3の端末部3aとの間に、前記幌3の閉止動作終期に前記端末部3aを前記フレーム部材5に強制的に挿入する付勢手段23を介設しているので、幌3の閉止動作終期において、第1のメインリンク6の起立状態への移行に伴って、幌3の端末部3aに付勢手段23の付勢力が作用することとなり、幌3の端末部3aがフレーム部材5に確実に挿入されることとなる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、車室を上方から覆う閉止位置から車体後方の収納位置に可動とされる幌と、該幌の閉止時においてサイドウインドの後部が挿入されるとともに前記幌の端末部が挿入され、車体に対して揺動自在に枢支されたフレーム部材と、前記幌の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌の閉止時に起立状態に回動され且つ前記フレーム部材と連動するように前記車体に対して揺動自在に枢支された第1のメインリンクと、前記幌の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌の閉止時に起立状態に回動されるように前記第1のメインリンクに対して揺動自在に枢支された第2のメインリンクとを備えた車両用幌装置において、前記第1のメインリンクに一端が固着され且つ後方に向かって突出するガイド部材と、前記幌の端末部に一端が接続され、前記ガイド部材を経由して前記第2のメインリンクに他端が接続された連結部材とからなる強制離脱手段を付設して、第1および第2のメインリンクの後方への回動開始により、第1および第2のメインリンクが近づき、ガイド部材を経由して第2のメインリンクに連結された連結部材の一端に接続された幌の端末部がフレーム部材の揺動量より大きく移動するようにしたので、幌の収納動作初期に幌の端末部がフレーム部材から強制的に離脱されることとなり、幌とフレーム部材とが別々の動きをして円滑に収納されるという効果がある。
【0024】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載の車両用幌装置において、前記第1のメインリンクと前記幌の端末部との間には、前記幌の閉止動作終期に前記端末部を前記フレーム部材に強制的に挿入する付勢手段を介設した場合、幌の閉止動作終期において、第1のメインリンクの起立状態への移行に伴って、幌の端末部に付勢手段の付勢力が作用することとなり、幌の端末部がフレーム部材に確実に挿入されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる幌装置を備えた自動車の斜視図である。
【図2】図1のII−II各大部分断面図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる車両用幌装置の一部を切除した平面図である。
【図4】本願発明の実施の形態にかかる車両用幌装置の要部を示す各大斜視図である。
【図5】本願発明の実施の形態にかかる車両用幌装置における幌閉止状態を示す要部各大断面図である。
【図6】本願発明の実施の形態にかかる車両用幌装置における幌の収納途中の状態を示す要部各大断面図である。
【図7】本願発明の実施の形態にかかる車両用幌装置における幌の収納状態を示す要部各大断面図である。
【図8】本願発明の実施の形態にかかる車両用幌装置における幌の収納状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1は車室、2は車体、3は幌、3aは端末部、5はフレーム部材、6は第1のメインリンク、7は第2のメインリンク、10は収納部、19はガイド部材、20は連結部材、Xは強制離脱手段。

Claims (2)

  1. 車室を上方から覆う閉止位置から車体後方の収納位置に可動とされる幌と、該幌の閉止時においてサイドウインドの後部が挿入されるとともに前記幌の端末部が挿入され、車体に対して揺動自在に枢支されたフレーム部材と、前記幌の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌の閉止時に起立状態に回動され且つ前記フレーム部材と連動するように前記車体に対して揺動自在に枢支された第1のメインリンクと、前記幌の収納時に後傾状態に回動される一方、前記幌の閉止時に起立状態に回動されるように前記第1のメインリンクに対して揺動自在に枢支された第2のメインリンクとを備えた車両用幌装置であって、前記第1のメインリンクに一端が固着され且つ後方に向かって突出するガイド部材と、前記幌の端末部に一端が接続され、前記ガイド部材を経由して前記第2のメインリンクに他端が接続された連結部材とからなる強制離脱手段を付設したことを特徴とする車両用幌装置。
  2. 前記第1のメインリンクと前記幌の端末部との間には、前記幌の閉止動作終期に前記端末部を前記フレーム部材に強制的に挿入する付勢手段を介設したことを特徴とする前記請求項1記載の車両用幌装置。
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