JP3626464B2 - 生分解性樹脂用改質剤 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベースとなる樹脂の生分解性を飛躍的に向上させ、またさらに成形性、機械的強度、耐熱性の向上を図ることができる生分解性樹脂用改質剤に関する。
また、本発明の生分解性樹脂用改質剤は、粘接着剤、顕色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、殺虫剤、農薬、染料、医薬品、ゴム用薬品、硬化剤などの原料および添加剤として用いることできる新規生分解性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリマーの改質剤として、フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セバチン酸エステルなどが用いられ、更に分子量の大きいポリエステル型改質剤も用いられている。
上記改質剤使用量のうち、通常、フタル酸エステルが約8割を占め、そのうち約6割がDOP(ジオクチルフタレート)といわれている。近年ではより揮発性の低いDINP(ジイソノニルフタレート)も多く用いられるようになってきている。
これらのフタル酸エステル類は樹脂改質効果および化学的安定性に優れている反面、近年内分泌攪乱物質としての疑いが強まっている。即ち、改質剤として樹脂とともに自然環境中に放置された場合、生体内に蓄積される事により内分泌系に支障をきたす可能性が高いとされている。そのため、自然環境中さらには生体内にあっても速やかに分解される改質剤が求められている。
【0003】
また、生分解性樹脂は、地球環境保全の観点から近年脚光を浴び、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、変性ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシブチレートなど数多くの種類が研究開発あるいは上市されている。しかし、生分解性樹脂は、通常、単独では成形性、機械的特性(脆性、曲げ強度など)が不十分で汎用プラスチックに劣るものであり、ベースとなる生分解性樹脂の生分解性を損なうことなく、成形性、機械的強度の向上を図ることができる改質剤の開発が必要とされている。
上記改質剤としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステルとの相溶性、混合安定性に優れる脂肪族ポリエステル類であり、かつ、穏和な条件下で極めて容易に分解される、優れた生分解性樹脂であることが望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものであり、自然環境中さらには生体内にあっても速やかに分解され、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂との相溶性、混合安定性に優れる改質剤として使用できる生分解性樹脂用改質剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、テルペン基、シクロペンテン基、水添テルペン基、および水添シクロペンテン基の群から選ばれた少なくとも1種を環状骨格として有する環状ジカルボン酸またはこれらの無水物もしくはこれらのアルキルエステルと、二価アルコール1〜5倍モルとから合成され、数平均分子量が700〜1,500である生分解性樹脂からなる生分解性樹脂用改質剤に関する。
上記二価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、およびイソプレングリコールの群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、上記テルペン基は、d−リモネン、フェランドレン、アロオシメン、テルピネン、カンフェン、ターピノーレン、ターピネオール、およびカルボンの群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂は、テルペン基、シクロペンテン基、水添テルペン基、および水添シクロペンテン基の群から選ばれた少なくとも1種を環状骨格として有する環状ジカルボン酸またはこれらの無水物もしくはこれらのアルキルエステルと、二価アルコール1〜5倍モルより合成される。
上記テルペン基および/またはシクロペンテン基を環状骨格として有する環状ジカルボン酸またはその無水物は、一般にテルペン類および/またはシクロペンタジエンと、不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物の環化付加反応により合成される。また、上記環状ジカルボン酸またはその無水物のアルキルエステルは、上記環化付加反応の原料として、テルペン類および/またはシクロペンタジエンと不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物のアルキルエステルを用いることで合成できる。あるいは、環状ジカルボン酸またはこれらの無水物とアルコールを原料とし、適当な試剤を使用したエステル化反応により得ることもできる。
上記テルペン類としては、特に制限はないが、具体的にはd−リモネン、フェランドレン、アロオシメン、α−テルピネン、カンフェン、ターピノーレン、ターピネオール、カルボンなどを用いることができる。好ましくはd−リモネン、フェランドレン、アロオシメン、α−テルピネンを用いるとよい。d−リモネン、フェランドレン、アロオシメン、α−テルピネンなどはヤスハラケミカル(株)より市販されており容易に入手可能である。テルペン類は、1種単独または2種以上を併用して使用してもよい。
【0007】
上記シクロペンタジエンとしては、市販試薬のジシクロペンタジエンを160℃以上に加熱することで得られるものが挙げられる。
上記不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物としては、特に制限はないが、具体的には無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、フタル酸など(いずれも市販試薬として入手可能のもの)を用いることができる。好ましくは、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸を用いるとよい。不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物は1種単独または2種以上を併用して使用してもよい。
上記テルペン類および/またはシクロペンタジエンと不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物の環化付加反応としては、どのような付加反応でもよいが、好ましくはDiels−Alder反応と呼ばれる熱環化付加反応で行うのが好ましい。具体的には、上記の不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物を好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは150〜165℃に加熱し、等モルのテルペン類などを徐々に加えていくことで反応が行なわれる。
また、上記アルキルエステルの具体例としてはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等である。
【0008】
上記環化付加反応により得られたテルペン基および/またはシクロペンテン基を環状骨格として有する環状ジカルボン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステルのテルペン基および/またはシクロペンテン基については、必要に応じ水添されてもよい。
水添方法の一例としては、テルペン基および/またはシクロペンテン基を環状骨格として有する環状ジカルボン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステルを100〜200gに対し、1,4−ジオキサン(和光純薬(株)製、特級)を50〜150g、安定化ニッケル(日揮化学(株)製、品名「N−103」粉末)を1〜5g添加し、純水素30kgf/cmゲージ圧加圧下、200〜300℃にて、10〜30時間撹拌する。
【0009】
二価アルコールとしてはどのようなものを用いてもよいが、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールまたはイソプレングリコールを用いることができる。好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールを用いるとよい。いずれも試薬として市販品を入手可能である。二価アルコールは、1種単独または2種以上を併用して使用してもよい。
【0010】
本発明の生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂は、上記環状ジカルボン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステルと二価アルコールとから重縮合反応により合成される。
合成条件は、環状ジカルボン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステルと、1〜5倍モル、好ましくは1.2〜1.5倍モルの二価アルコールを触媒と共に加熱する。1倍モル未満であると過剰となった環状ジカルボン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステルが、生成樹脂中に残存し、樹脂の安定性を阻害する。一方、5倍モルを超えると生成樹脂の分子量が低く抑えられてしまうため好ましくない。
上記触媒としては、酸性化合物であれば何を用いてもよいが、具体的にはp−トルエンスルホン酸などの有機酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、チタンテトライソプロポキサイドなどの金属アルコキシド、金属酸化物などを用いることができる。好ましくはp−トルエンスルホン酸、チタンテトライソプロポキサイドを用いるとよい。触媒添加量としては特に限定されるものではないが、仕込み原料合計重量に0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量%である。0.01重量%未満であると、反応が全く進行しないか、進行する場合でも著しく反応時間を長く必要とするため好ましくない。一方、5重量%を超えると、反応速度が極めて速くなり、重縮合が局部的に進行しすぎたり、生成樹脂の色相が悪化する場合がある。
【0011】
反応温度は、特に限定されないが、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは、120〜250℃である。反応温度が100℃未満であると、反応が全く進行しないか、進行する場合でも著しく反応時間を長く必要とするため好ましくない。一方、300℃を超えると、反応速度が極めて速くなり、重縮合が局部的に進行しすぎたり、生成樹脂の色相が悪化する場合がある。
反応圧力としては、特に限定されるものではないが、好ましくは760〜0.1torr以下である。
反応時間としては、特に限定されるものではないが、好ましくは3〜30時間、さらに好ましくは5〜10時間である。3時間未満であると、未反応の原料が多く残存したり、生成樹脂の分子量が極めて低いままの場合があり好ましくない。一方、30時間を超えると、副生成物が増加する可能性があり好ましくない。
【0012】
上記合成条件で環状ジカルボン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステルと二価アルコールとから合成される本発明の生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂の数平均分子量は、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定できる。本発明の生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂の数平均分子量は、700〜1,500である。
本発明の生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂は、IRスペクトルから、1,700〜1,750cm−1のエステル結合性カルボニル基に起因する吸収、2,500〜3,500cm−1の末端カルボキシル基付属のOH基に起因する吸収から、その構造を確認することができる。
【0013】
また、本発明の生分解性樹脂用改質剤を脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂に添加する場合、添加量としては、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。0.1重量%未満であると、改質効果が殆ど現れない。一方、30重量%を超えると、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂独自の機械特性強度が弱まり、産業資材として使用しにくくなる可能性がある。
本発明の生分解性樹脂用改質剤は、脂肪族ポリエステルであるので、化学構造が類似している脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂に添加する改質剤として、相溶性、安定性が特に優れている。
【0014】
さらに、本発明の生分解性樹脂用改質剤は、他にも、粘接着剤、顕色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、硬化剤、殺虫剤、殺菌剤、農薬、染料、医薬品、ゴム用薬品などの原料として使用できる。また、生分解性樹脂用改質剤は、上記生分解性樹脂の改質剤のほかに、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)などの合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)などの汎用プラスチック、さらにエンジニアリングプラスチックの改質剤として使用することができる。
以上のように、本発明の生分解性樹脂用改質剤は、広い用途に使用可能な上、それらの性能向上を図ることができる極めて有用な樹脂である。
【0015】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
下記分子量測定は分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPCにて行った。
すなわち、数平均分子量の測定は、Waters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)モデル「150」を使用し、Waters社製、Polystyrene Standardを標準として、ポリスチレン換算数平均分子量として実施した。
【0016】
実施例1
本実施例は、下記構造式(I)の製法に関するものである。
【0017】
【化1】
Figure 0003626464
【0018】
温度計、撹拌装置、クライゼン分岐管、リービッヒ氏冷却管および受けフラスコを備えた300MLセパラブル四つ口フラスコに、マレイン化α−テルピネン(α−テルピネンを環状骨格として有する環状マレイン酸)60.7g(0.26モル:ヤスハラケミカル(株)製、商品名TM−60、純度97%)、プロピレングリコール23.7g(0.31モル、ナカライテスク(株)製、純度99%)を仕込み、窒素雰囲気として100℃で30分間撹拌した。その後、チタンテトライソプロポキサイド0.08g(仕込み重量の0.1%、ナカライテスク(株)製、純度98%)を注入し撹拌した。圧力は開始時1気圧とし、徐々に3torrまで減圧した。温度は100℃から徐々に260℃まで昇温した。反応進行に伴い水が、次いでプロピレングリコールが留出してきた。留出液がなくなった時点で反応終了とした。上記反応によりMn(数平均分子量)=1,100の淡黄色透明樹脂が83g(収率98%)で得られた。
実施例1で得られた樹脂のIRスペクトルを図1に示す。
【0019】
実施例2
本実施例は、下記構造式(II)の製法に関するものである。
【0020】
【化2】
Figure 0003626464
【0021】
温度計、撹拌装置、クライゼン分岐管、リービッヒ氏冷却管および受けフラスコを備えた300MLセパラブル四つ口フラスコに、マレイン化シクロペンタジエン(シクロペンタジエンを環状骨格として有する環状マレイン酸)164g(1モル、東京化成(株)製、商品名「5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物」、純度98%)、ジエチレングリコール106g(1モル、ナカライテスク(株)製、純度98%)およびp−トルエンスルホン酸0.24g(仕込み重量の0.1%、和光純薬(株)製、純度97%)を仕込み、窒素雰囲気として直ちに250℃で撹拌開始した。圧力は開始時1気圧とし、徐々に3torrまで減圧した。反応進行に伴い水が、次いでジエチレングリコールが留出してきた。留出液がなくなった時点で反応終了とした。上記反応により、Mn=1,500の硬質の無色透明樹脂が240g(収率89%)で得られた。
実施例2で得られた樹脂のIRスペクトルを図2に示す。図中1250cm−1において、ジエチレングリコール由来のC−O−C結合の吸収を確認することができる。
【0022】
比較例1
ポリ乳酸系生分解性樹脂 三井化学(株)製LACEA HP−100Lを用いた。
【0023】
評価試験1(生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂の酵素分解性)
試験は、酵素を用いた生分解性試験とし下記条件で行った。
実施例1で得られた樹脂を、加熱溶融して深さ約20μmの角形金型に流し込み冷却してフィルムを得た。該フィルムを50mg切り抜き、ポリエチレンメッシュシートの袋(目開き1mm×1mm)に封入した。これを酵素および緩衝液の入ったサンプル瓶に浸漬し、37℃で振盪した。酵素としては、プロティナーゼK(Tritirachium album由来、和光純薬工業(株)製、活性18IU/mg)を、濃度0.3重量%で使用し、緩衝液には同仁化学製の商品名Tricineの2重量%水溶液(pH=8)を用いた。なお、酵素を含む緩衝液は、酵素活性の低下などを考慮して約40時間ごとに新液と入れ替えた。
【0024】
酵素分解性は、評価試験前後の樹脂の重量変化より評価した。樹脂の重量は、酵素液中よりポリエチレンメッシュシートの袋を取り出し、真空乾燥機中にて24時間以上乾燥させ、絶乾重量として測定した。試験結果を図に示す。
より、実施例1の新規生分解性樹脂は、比較例1のポリ乳酸系生分解性樹脂よりも飛躍的に生分解性に優れていることが分かる。
【0025】
評価試験2(機械的強度)
上記実施例1〜2生分解性樹脂を、比較例1のポリ乳酸系生分解性樹脂へ5重量%となるように添加し、下記条件で2軸押出機にて溶融混合し、ペレットとした。得られたペレットを、フィルム製造装置にてフィルムに加工し、機械的強度を評価した(評価試験例2−1〜2−2)。また、比較例1のポリ乳酸系生分解性樹脂を、そのままフィルム加工し、機械的強度を評価した(比較評価試験例1)。表1に評価結果を示す。
【0026】
ペレット化条件;
使用機器:フリージアマクロス社製 2軸押出機 型番「NR−II」、L/D=46
押出温度:C1/C2/C3〜C5/C6〜C9/A/D=80/100/200/180/180/180(℃)
主スクリュー回転数:300(rpm)、供給スクリュー回転数:5(rpm)
ペレット乾燥:60(℃)×12(HR)
【0027】
フィルム加工条件;
使用機器:(株)東洋精機製作所製“ラボプラストミル”付属単軸押出機、フィルム引き取り装置FT2B20
Tダイ幅:150mm、L/D=20
押出温度:T1/T2/T3/D=180/180/180/180(℃)×30rpm
ロール温度:50℃、リップ幅:400μm
機械的強度測定条件;
上記フィルムを、JIS1号ダンベル(1cm幅、チャック間距離4cm)型とし、島津製作所(株)製AGS−10kNDを使用し、引っ張り速度200mm/min(JIS K7127準拠)で測定した。
【0028】
【表1】
Figure 0003626464
【0029】
上表によると、本発明により得られた構造式(I)(実施例1)生分解性樹脂を添加したもの(評価試験例2−1)は、添加無しの条件に比べ、機械的強度のいずれも優れた値を示し、ポリ乳酸系生分解性樹脂の改質剤として非常に適している。
【0030】
【発明の効果】
本発明の生分解性樹脂用改質剤は、生分解性樹脂として使用される、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステルとの相溶性、混合安定性に優れる脂肪族ポリエステル類であり、かつ、穏和な条件下で極めて容易に分解される、優れた生分解性樹脂用改質剤である。従って、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂用改質剤として極めて適している。
また、本発明の生分解性樹脂用改質剤は、自然環境中さらには生体内にあっても速やかに分解される。従って、自然界の景観を損ねたりすることなく、生態系、ひいては人体への影響も極めて少ないと考えられる。そのため、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築という世界共通の課題に、産業面から大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂のIRスペクトルである。
【図2】実施例2で得られた生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂のIRスペクトルである。
【図3】実施例1で得られた生分解性樹脂用改質剤を構成する生分解性樹脂および比較例1のポリ乳酸系分解性樹脂の酵素分解性の評価結果のグラフである。

Claims (3)

  1. テルペン基、シクロペンテン基、水添テルペン基、および水添シクロペンテン基の群から選ばれた少なくとも1種を環状骨格として有する環状ジカルボン酸またはこれらの無水物もしくはこれらのアルキルエステルと、二価アルコール1〜5倍モルとから合成され、数平均分子量が700〜1,500である生分解性樹脂からなる生分解性樹脂用改質剤。
  2. 二価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、およびイソプレングリコールの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の生分解性樹脂用改質剤。
  3. テルペン基が、d−リモネン、フェランドレン、アロオシメン、テルピネン、カンフェン、ターピノーレン、ターピネオール、およびカルボンの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の生分解性樹脂用改質剤。
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