JP2003261658A - 新規生分解性樹脂 - Google Patents

新規生分解性樹脂

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JP2003261658A JP2002062936A JP2002062936A JP2003261658A JP 2003261658 A JP2003261658 A JP 2003261658A JP 2002062936 A JP2002062936 A JP 2002062936A JP 2002062936 A JP2002062936 A JP 2002062936A JP 2003261658 A JP2003261658 A JP 2003261658A
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Manabu Nakabashi
学 中橋
Ryuichiro Shimokado
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベースポリマーの生分解性を向上させ、さら
に成形性、機械的強度、耐熱性の向上を図ることができ
る生分解性樹脂用改質剤を提供すること。 【解決手段】 テルペン基、シクロペンテン基、水添テ
ルペン基、および水添シクロペンテン基の群から選ばれ
た少なくとも1種を環状骨格として有する環状ジカルボ
ン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステ
ルと、二価アルコールとから合成され、数平均分子量が
500〜30,000である新規生分解性樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規生分解性樹
脂、さらに詳細には、生分解性樹脂の改質剤として用い
ることにより、ベースとなる樹脂の生分解性を飛躍的に
向上させ、またさらに成形性、機械的強度、耐熱性の向
上を図ることができる新規生分解性樹脂に関する。ま
た、本発明は、粘接着剤、顕色剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、界面活性剤、殺虫剤、農薬、染料、医薬品、ゴ
ム用薬品、硬化剤などの原料および添加剤として用いる
ことができる新規生分解性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリマーの改質剤として、フタル
酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セ
バチン酸エステルなどが用いられ、更に分子量の大きい
ポリエステル型改質剤も用いられている。上記改質剤使
用量のうち、通常、フタル酸エステルが約8割を占め、
そのうち約6割がDOP(ジオクチルフタレート)とい
われている。近年ではより揮発性の低いDINP(ジイ
ソノニルフタレート)も多く用いられるようになってき
ている。これらのフタル酸エステル類は樹脂改質効果お
よび化学的安定性に優れている反面、近年内分泌攪乱物
質としての疑いが強まっている。即ち、改質剤として樹
脂とともに自然環境中に放置された場合、生体内に蓄積
される事により内分泌系に支障をきたす可能性が高いと
されている。そのため、自然環境中さらには生体内にあ
っても速やかに分解される改質剤が求められている。
【0003】また、生分解性樹脂は、地球環境保全の観
点から近年脚光を浴び、ポリ乳酸、ポリカプロラクト
ン、変性ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシブチレ
ートなど数多くの種類が研究開発あるいは上市されてい
る。しかし、生分解性樹脂は、通常、単独では成形性、
機械的特性(脆性、曲げ強度など)が不十分で汎用プラ
スチックに劣るものであり、ベースとなる生分解性樹脂
の生分解性を損なうことなく、成形性、機械的強度の向
上を図ることができる改質剤の開発が必要とされてい
る。上記改質剤としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクト
ンなどの脂肪族ポリエステルとの相溶性、混合安定性に
優れる脂肪族ポリエステル類であり、かつ、穏和な条件
下で極めて容易に分解される、優れた生分解性樹脂であ
ることが望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の課題を背景になされたものであり、自然環境中さ
らには生体内にあっても速やかに分解され、脂肪族ポリ
エステル系生分解性樹脂との相溶性、混合安定性に優れ
る改質剤として使用できる新規生分解性樹脂を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、テルペン基、
シクロペンテン基、水添テルペン基、および水添シクロ
ペンテン基の群から選ばれた少なくとも1種を環状骨格
として有する環状ジカルボン酸またはこれらの無水物も
しくはこれらのアルキルエステルと、二価アルコールと
から合成され、数平均分子量が500〜30,000で
ある新規生分解性樹脂に関する。上記二価アルコール
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、およびイ
ソプレングリコールの群から選ばれた少なくとも1種が
好ましい。また、上記テルペン基は、d−リモネン、フ
ェランドレン、アロオシメン、テルピネン、カンフェ
ン、ターピノーレン、ターピネオール、およびカルボン
の群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の新規生分解性樹脂は、テ
ルペン基、シクロペンテン基、水添テルペン基、および
水添シクロペンテン基の群から選ばれた少なくとも1種
を環状骨格として有する環状ジカルボン酸またはこれら
の無水物もしくはこれらのアルキルエステルと、二価ア
ルコールより合成される。上記テルペン基および/また
はシクロペンテン基を環状骨格として有する環状ジカル
ボン酸またはその無水物は、一般にテルペン類および/
またはシクロペンタジエンと、不飽和ジカルボン酸およ
び/または不飽和酸無水物の環化付加反応により合成さ
れる。また、上記環状ジカルボン酸またはその無水物の
アルキルエステルは、上記環化付加反応の原料として、
テルペン類および/またはシクロペンタジエンと不飽和
ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物のアルキル
エステルを用いることで合成できる。あるいは、環状ジ
カルボン酸またはこれらの無水物とアルコールを原料と
し、適当な試剤を使用したエステル化反応により得るこ
ともできる。上記テルペン類としては、特に制限はない
が、具体的にはd−リモネン、フェランドレン、アロオ
シメン、α−テルピネン、カンフェン、ターピノーレ
ン、ターピネオール、カルボンなどを用いることができ
る。好ましくはd−リモネン、フェランドレン、アロオ
シメン、α−テルピネンを用いるとよい。d−リモネ
ン、フェランドレン、アロオシメン、α−テルピネンな
どはヤスハラケミカル(株)より市販されており容易に
入手可能である。テルペン類は、1種単独または2種以
上を併用して使用してもよい。
【0007】上記シクロペンタジエンとしては、市販試
薬のジシクロペンタジエンを160℃以上に加熱するこ
とで得られるものが挙げられる。上記不飽和ジカルボン
酸および/または不飽和酸無水物としては、特に制限は
ないが、具体的には無水マレイン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、無水フタル酸、フタル酸など(いずれも市販試薬
として入手可能のもの)を用いることができる。好まし
くは、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸を用いる
とよい。不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無
水物は1種単独または2種以上を併用して使用してもよ
い。上記テルペン類および/またはシクロペンタジエン
と不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物の
環化付加反応としては、どのような付加反応でもよい
が、好ましくはDiels−Alder反応と呼ばれる
熱環化付加反応で行うのが好ましい。具体的には、上記
の不飽和ジカルボン酸および/または不飽和酸無水物を
好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは150
〜165℃に加熱し、等モルのテルペン類などを徐々に
加えていくことで反応が行なわれる。また、上記アルキ
ルエステルの具体例としてはマレイン酸ジメチル、マレ
イン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等である。
【0008】上記環化付加反応により得られたテルペン
基および/またはシクロペンテン基を環状骨格として有
する環状ジカルボン酸またはその無水物もしくはこれら
のアルキルエステルのテルペン基および/またはシクロ
ペンテン基については、必要に応じ水添されてもよい。
水添方法の一例としては、テルペン基および/またはシ
クロペンテン基を環状骨格として有する環状ジカルボン
酸またはその無水物もしくはこれらのアルキルエステル
を100〜200gに対し、1,4−ジオキサン(和光
純薬(株)製、特級)を50〜150g、安定化ニッケ
ル(日揮化学(株)製、品名「N−103」粉末)を1
〜5g添加し、純水素30kgf/cm2ゲージ圧加圧
下、200〜300℃にて、10〜30時間撹拌する。
【0009】二価アルコールとしてはどのようなものを
用いてもよいが、具体的にはエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレ
ングリコールまたはイソプレングリコールを用いること
ができる。好ましくは、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオールを用いるとよ
い。いずれも試薬として市販品を入手可能である。二価
アルコールは、1種単独または2種以上を併用して使用
してもよい。
【0010】本発明の新規生分解性樹脂は、上記環状ジ
カルボン酸またはその無水物もしくはこれらのアルキル
エステルと二価アルコールとから重縮合反応により合成
される。合成条件は、環状ジカルボン酸またはその無水
物もしくはこれらのアルキルエステルと、好ましくは1
〜5倍モル、さらに好ましくは1.2〜1.5倍モルの
二価アルコールを触媒と共に加熱する。1倍モル未満で
あると過剰となった環状ジカルボン酸またはその無水物
もしくはこれらのアルキルエステルが、生成樹脂中に残
存し、樹脂の安定性を阻害する。一方、5倍モルを超え
ると生成樹脂の分子量が低く抑えられてしまうため好ま
しくない。上記触媒としては、酸性化合物であれば何を
用いてもよいが、具体的にはp−トルエンスルホン酸な
どの有機酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、チタン
テトライソプロポキサイドなどの金属アルコキシド、金
属酸化物などを用いることができる。好ましくはp−ト
ルエンスルホン酸、チタンテトライソプロポキサイドを
用いるとよい。触媒添加量としては特に限定されるもの
ではないが、仕込み原料合計重量に0.01〜5重量%
が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量%であ
る。0.01重量%未満であると、反応が全く進行しな
いか、進行する場合でも著しく反応時間を長く必要とす
るため好ましくない。一方、5重量%を超えると、反応
速度が極めて速くなり、重縮合が局部的に進行しすぎた
り、生成樹脂の色相が悪化する場合がある。
【0011】反応温度は、特に限定されないが、好まし
くは100〜300℃、さらに好ましくは、120〜2
50℃である。反応温度が100℃未満であると、反応
が全く進行しないか、進行する場合でも著しく反応時間
を長く必要とするため好ましくない。一方、300℃を
超えると、反応速度が極めて速くなり、重縮合が局部的
に進行しすぎたり、生成樹脂の色相が悪化する場合があ
る。反応圧力としては、特に限定されるものではない
が、好ましくは760〜0.1torr以下である。反
応時間としては、特に限定されるものではないが、好ま
しくは3〜30時間、さらに好ましくは5〜10時間で
ある。3時間未満であると、未反応の原料が多く残存し
たり、生成樹脂の分子量が極めて低いままの場合があり
好ましくない。一方、30時間を超えると、副生成物が
増加する可能性があり好ましくない。
【0012】上記合成条件で環状ジカルボン酸またはそ
の無水物もしくはこれらのアルキルエステルと二価アル
コールとから合成される本発明の新規生分解性樹脂の数
平均分子量は、分子量既知のポリスチレン試料によって
作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー)にて測定できる。本発明の新
規生分解性樹脂の数平均分子量は、500〜30,00
0、好ましくは700〜2,000、さらに好ましくは
700〜1,500である。本発明の新規生分解性樹脂
は、IRスペクトルから、1,700〜1,750cm
-1のエステル結合性カルボニル基に起因する吸収、2,
500〜3,500cm-1の末端カルボキシル基付属の
OH基に起因する吸収から、その構造を確認することが
できる。
【0013】また、本発明の新規生分解性樹脂を改質剤
として脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂に添加する場
合、添加量としては、好ましくは0.1〜30重量%、
さらに好ましくは0.1〜5重量%である。0.1重量
%未満であると、改質効果が殆ど現れない。一方、30
重量%を超えると、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂
独自の機械特性強度が弱まり、産業資材として使用しに
くくなる可能性がある。本発明の新規生分解性樹脂は、
脂肪族ポリエステルであるので、化学構造が類似してい
る脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂に添加する改質剤
として、相溶性、安定性が特に優れている。
【0014】さらに、本発明の新規生分解性樹脂は、他
にも、粘接着剤、顕色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
界面活性剤、硬化剤、殺虫剤、殺菌剤、農薬、染料、医
薬品、ゴム用薬品などの原料として使用できる。また、
本発明の新規生分解性樹脂は、上記生分解性樹脂の改質
剤のほかに、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン−スチレン共重
合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重
合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レン共重合体(SEBS)などの合成ゴム、エチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(P
E),ポリプロピレン(PP)などの汎用プラスチッ
ク、さらにエンジニアリングプラスチックの改質剤とし
て使用することができる。以上のように、本発明の新規
生分解性樹脂は、広い用途に使用可能な上、それらの性
能向上を図ることができる極めて有用な樹脂である。
【0015】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限
定されるものではない。なお、実施例中の部および%
は、特に断らない限り重量部および重量%である。下記
分子量測定は分子量既知のポリスチレン試料によって作
成した検量線を標準としてGPCにて行った。すなわ
ち、数平均分子量の測定は、Waters社製ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)モデル「1
50」を使用し、Waters社製、Polystyr
ene Standardを標準として、ポリスチレン
換算数平均分子量として実施した。
【0016】実施例1 本実施例は、下記構造式(I)の製法に関するものであ
る。
【0017】
【化1】
【0018】温度計、撹拌装置、クライゼン分岐管、リ
ービッヒ氏冷却管および受けフラスコを備えた300M
Lセパラブル四つ口フラスコに、マレイン化α−テルピ
ネン(α−テルピネンを環状骨格として有する環状マレ
イン酸)60.7g(0.26モル:ヤスハラケミカル
(株)製、商品名TM−60、純度97%)、プロピレ
ングリコール23.7g(0.31モル、ナカライテス
ク(株)製、純度99%)を仕込み、窒素雰囲気として
100℃で30分間撹拌した。その後、チタンテトライ
ソプロポキサイド0.08g(仕込み重量の0.1%、
ナカライテスク(株)製、純度98%)を注入し撹拌し
た。圧力は開始時1気圧とし、徐々に3torrまで減
圧した。温度は100℃から徐々に260℃まで昇温し
た。反応進行に伴い水が、次いでプロピレングリコール
が留出してきた。留出液がなくなった時点で反応終了と
した。上記反応によりMn(数平均分子量)=1,10
0の淡黄色透明樹脂が83g(収率98%)で得られ
た。実施例1で得られた樹脂のIRスペクトルを図1に
示す。
【0019】実施例2 本実施例は、下記構造式(II)の製法に関するものであ
る。
【0020】
【化2】
【0021】温度計、撹拌装置、クライゼン分岐管、リ
ービッヒ氏冷却管および受けフラスコを備えた300M
Lセパラブル四つ口フラスコに、マレイン化シクロペン
タジエン(シクロペンタジエンを環状骨格として有する
環状マレイン酸)164g(1モル、東京化成(株)
製、商品名「5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸
無水物」、純度98%)、ジエチレングリコール106
g(1モル、ナカライテスク(株)製、純度98%)お
よびp−トルエンスルホン酸0.24g(仕込み重量の
0.1%、和光純薬(株)製、純度97%)を仕込み、
窒素雰囲気として直ちに250℃で撹拌開始した。圧力
は開始時1気圧とし、徐々に3torrまで減圧した。
反応進行に伴い水が、次いでジエチレングリコールが留
出してきた。留出液がなくなった時点で反応終了とし
た。上記反応により、Mn=1,500の硬質の無色透
明樹脂が240g(収率89%)で得られた。実施例2
で得られた樹脂のIRスペクトルを図2に示す。図中1
250cm-1において、ジエチレングリコール由来のC
−O−C結合の吸収を確認することができる。
【0022】実施例3 本実施例は、下記構造式(III)の製法に関するものであ
る。
【0023】
【化3】
【0024】温度計、撹拌装置、クライゼン分岐管、リ
ービッヒ氏冷却管および受液フラスコを備えた300M
Lセパラブル四つ口フラスコに、マレイン化アロオシメ
ン(アロオシメンを環状骨格として有する環状マレイン
酸)234g(1モル、ヤスハラケミカル(株)製アロ
オシメンおよび和光純薬(株)製無水マレイン酸より合
成したもの、純度99%)、イソプレングリコール10
4g(1モル、東京化成(株)製、純度98%)および
チタンテトライソプロポキサイド3.3g(仕込み重量
の1%、ナカライテスク(株)製、純度98%)、n−
ブチルスズオキシド0.3g(仕込み重量の0.1%、
和光純薬(株)製、純度96%)を仕込み、窒素雰囲気
として室温から徐々に昇温しつつ撹拌開始した。圧力は
開始時1気圧とし、徐々に3torrまで減圧した。温
度は100℃から徐々に260℃まで昇温した。反応進
行に伴い水が、次いで、イソプレングリコール留出液が
なくなった時点で反応終了とした。上記反応によりMn
=1,800の微橙色半透明の軟質樹脂が331g(収
率98%)で得られた。実施例3で得られた樹脂のIR
スペクトルを図3に示す。
【0025】比較例1 ポリ乳酸系生分解性樹脂 三井化学(株)製LACEA
HP−100Lを用いた。
【0026】評価試験1(新規生分解性樹脂の酵素分解
性) 試験は、酵素を用いた生分解性試験とし下記条件で行っ
た。実施例1で得られた樹脂を、加熱溶融して深さ約2
0μmの角形金型に流し込み冷却してフィルムを得た。
該フィルムを50mg切り抜き、ポリエチレンメッシュ
シートの袋(目開き1mm×1mm)に封入した。これ
を酵素および緩衝液の入ったサンプル瓶に浸漬し、37
℃で振盪した。酵素としては、プロティナーゼK(Trit
irachium album 由来、和光純薬工業(株)製、活性1
8IU/mg)を、濃度0.3重量%で使用し、緩衝液には同
仁化学製の商品名Tricineの2重量%水溶液(pH=8)
を用いた。なお、酵素を含む緩衝液は、酵素活性の低下
などを考慮して約40時間ごとに新液と入れ替えた。
【0027】酵素分解性は、評価試験前後の樹脂の重量
変化より評価した。樹脂の重量は、酵素液中よりポリエ
チレンメッシュシートの袋を取り出し、真空乾燥機中に
て24時間以上乾燥させ、絶乾重量として測定した。試
験結果を図7に示す。図7より、実施例1の新規生分解
性樹脂は、比較例1のポリ乳酸系生分解性樹脂よりも飛
躍的に生分解性に優れていることが分かる。
【0028】評価試験2(機械的強度) 実施例1の新規生分解性樹脂を、比較例1のポリ乳酸系
生分解性樹脂へ5重量%となるように添加し、下記条件
で2軸押出機にて溶融混合し、ペレットとした。得られ
たペレットを、フィルム製造装置にてフィルムに加工
し、機械的強度を評価した。また、比較例1のポリ乳酸
系生分解性樹脂を、そのままフィルム加工し、機械的強
度を評価した。表1に評価結果を示す。
【0029】ペレット化条件; 使用機器:フリージアマクロス社製 2軸押出機 型番
「NR−II」、L/D=46 押出温度:C1/C2/C3〜C5/C6〜C9/A/D=80/100/20
0/180/180/180(℃) 主スクリュー回転数:300(rpm)、供給スクリュ
ー回転数:5(rpm) ペレット乾燥:60(℃)×12(HR)
【0030】フィルム加工条件; 使用機器:(株)東洋精機製作所製”ラボプラストミ
ル”付属単軸押出機、フィルム引き取り装置FT2B2
0 Tダイ幅:150mm、L/D=20 押出温度:T1/T2/T3/D=180/180/180/180(℃)×30r
pm ロール温度:50℃、リップ幅:400μm 機械的強度測定条件; 上記フィルムを、JIS1号ダンベル(1cm幅、チャッ
ク間距離4cm)型とし、島津製作所(株)製AGS−1
0kNDを使用し、引っ張り速度200mm/min(JIS
K7127準拠)で測定した。
【0031】
【表1】
【0032】上表によると、本発明により得られた構造
式(I)の新規生分解性樹脂を添加したもの(実施例
1)は、添加無しの条件に比べ、機械的強度のいずれも
優れた値を示し、ポリ乳酸系生分解性樹脂の改質剤とし
て非常に適している。
【0033】
【発明の効果】本発明の新規生分解性樹脂は、生分解性
樹脂として使用される、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン
などの脂肪族ポリエステルとの相溶性、混合安定性に優
れる脂肪族ポリエステル類であり、かつ、穏和な条件下
で極めて容易に分解される、優れた生分解性樹脂であ
る。従って、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂用改質
剤として極めて適している。また、本発明の新規生分解
性樹脂は、生分解性樹脂の改質剤として用いることがで
き、自然環境中さらには生体内にあっても速やかに分解
される。従って、自然界の景観を損ねたりすることな
く、生態系、ひいては人体への影響も極めて少ないと考
えられる。そのため、環境への負荷の少ない持続的発展
が可能な社会の構築という世界共通の課題に、産業面か
ら大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた新規生分解性樹脂のIRス
ペクトルである。
【図2】実施例2で得られた新規生分解性樹脂のIRス
ペクトルである。
【図3】実施例3で得られた新規生分解性樹脂のIRス
ペクトルである。
【図4】実施例1で得られた新規生分解性樹脂および比
較例1のポリ乳酸系生分解性樹脂の酵素分解性の評価結
果のグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB01 AC01 AD01 AE06 AE13 BA02 BA03 BA05 BA08 CD03 HA01 HB01 HB02 HB06 JA151 JA191 JA251 JB021 JB161 JF321 KB02 KB05 KD01 KD05 4J200 AA02 AA10 AA19 BA05 BA10 BA19 CA01 DA05 DA19 DA22 EA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テルペン基、シクロペンテン基、水添テ
    ルペン基、および水添シクロペンテン基の群から選ばれ
    た少なくとも1種を環状骨格として有する環状ジカルボ
    ン酸またはこれらの無水物もしくはこれらのアルキルエ
    ステルと、二価アルコールとから合成され、数平均分子
    量が500〜30,000である新規生分解性樹脂。
  2. 【請求項2】 二価アルコールが、エチレングリコー
    ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
    ジエチレングリコール、およびイソプレングリコールの
    群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の新
    規生分解性樹脂。
  3. 【請求項3】 テルペン基が、d−リモネン、フェラン
    ドレン、アロオシメン、テルピネン、カンフェン、ター
    ピノーレン、ターピネオール、およびカルボンの群から
    選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の
    新規生分解性樹脂。
JP2002062936A 2002-03-08 2002-03-08 生分解性樹脂用改質剤 Expired - Fee Related JP3626464B2 (ja)

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