JP2004277715A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールをエステル化、重合して得られる脂肪族ポリエステルに該脂肪族ポリエステル重量当り1×10-6重量%以上1重量%以下の重合平均分子量500以上600万以下のポリアルキレンを含有させたことを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
結晶核剤の代表的なものとしてはタルクが挙げられるが、比較的結晶性の低いポリエステルには、効果が低いという問題がある。
さらに、脂肪族ポリエステルに80〜300℃の融点又は軟化点を有しかつ10〜100cal/K/molの溶融エントロピーを有する有機化合物を透明核剤として含有させることにより、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステルを製造する方法が開示されている(特許文献3参照)。これらの方法において開示されている低分子有機化合物は沸点が低いために、高温での減圧重合下においては蒸発してしまい、核剤としての機能を果たさないという問題がある。
一方、脂肪族グリコール及び脂肪族ジカルボン酸から製造された脂肪族ポリエステル100重量部に対し、ポリエチレンやポリプロピレンを2〜5重量部添加することにより、油分吸着性を改良する方法が開示されている(特許文献4参照)。しかしながらこのように多量のポリオレフィンを含有させると、分散性が悪く、フィルム成形した際に外観が悪化する。
本発明の目的は、脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法に関する。
詳しくは、結晶核剤を加えることで結晶化温度を向上させ、成形性を高めた外観の良好な脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法に関するものである。
即ち本発明は、脂肪族ポリエステルに、分子量500以上600万以下のポリアルキレンを前記脂肪族ポリエステルに対し1×10-6重量%以上1重量%以下含有させたことを特徴とするポリエステル樹脂組成物を要旨とするものである。
本発明における脂肪族ポリエステルは、(a)脂肪族ジオール成分および(b)脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体成分を主体とするものであって、他に、(C)脂肪族オキシカルボン酸成分を含有させることが好ましい。一般的に、(a)脂肪族ジオール単位と(b)脂肪族ジカルボン酸単位のモル比が実質的に等しくなっており、脂肪族ポリエステル系重合体の全構成成分のモル数を100モル%としたとき、(c)脂肪族オキシカルボン酸単位は、下限が通常0.01モル%以上、好ましくは1モル%以上、上限が通常90モル%以下、好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。これらは、重量平均分子量500以上600万以下のポリアルキレンを1×10-6重量%以上1重量以下%含む。
本発明に用いられる(a)脂肪族ジオールは、脂肪族化合物であって、水酸基を2個持つ化合物であり、好ましくは下記の式(I)で表されるものである。
くは6以下の2価の脂肪族炭化水素基である。好ましいR1は−(CH2)m−であり、m
は2以上11以下の整数、好ましくは6以下の整数を示す)
本発明に用いることができる(a)脂肪族ジオールは特に限定されないが、その具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ダイマージオールエーテル、12−ヒドロキシステアリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。得られる共重合体の物性の点からは、脂肪族ジオールは、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールまたは1,6−ヘキサンジオールであることが特に好ましい。
本発明に用いられる(b)脂肪族ジカルボン酸としては、分子中に2個のカルボキシル基を有するものであれば特に限定されるものではないが、(b)脂肪族ジカルボン酸は、下記の式(II)で表されるものが好ましい。
以下、特に好ましくは6以下の2価の脂肪族炭化水素基である。好ましいR2は、−(C
H2)p−である。ただし、pは0以上11以下の整数、好ましくは6以下の整数を表す)
(b)脂肪族ジカルボン酸の好ましい具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等が挙げられる。誘導体としては通常、脂肪族ジカルボン酸の酸無水物や低級アルキルエステル、好ましくは、酸無水物が挙げられる。得られる共重合体の物性からは、(b)脂肪族ジカルボン酸成分はコハク酸または無水コハク酸であることが好ましい。これらのジカルボン酸または誘導体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる(c)脂肪族オキシカルボン酸としては、分子中に1個以上の水酸基と1個以上のカルボキシル基を有するものであれば特に限定されるものではないが、2官能脂肪族オキシカルボン酸としては下記の式(III)で表される脂肪族オキシカルボン
酸が好適である。
くは6以下の2価の脂肪族炭化水素基である。これらのR3のうち鎖状のものが好ましく
用いられる。さらに好ましくは、1つの炭素原子に水酸基とカルボキシル基を持つ化合物、特には式(IV)で表されるものである。
この2官能オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸、あるいはカプロラクトン等のラクトン類を開環させたもの、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれでもよく、形状としては固体、液体、あるいは溶液であってもよい。特に使用時の重合速度の増大が特に顕著で、なおかつ入手容易な乳酸、またはグリコール酸およびこれらの水溶液が好ましい。乳酸、グリコール酸などは、50%、70%、90%の水溶液が一般的に市販されており、入手が容易である。3官能脂肪族オキシカルボン酸としては、リンゴ酸、クエン酸が挙げられる。これらの脂肪族オキシカルボン酸は、単独で用いても、混合物として用いてもよい。
本発明において用いられるポリアルキレンは、重量平均分子量500以上600万以下のものである。この分子量の下限値は、好ましくは、800、より好ましくは1000であり、上限値は、好ましくは500万、より好ましくは100万である。この分子量が小さすぎると、高温での減圧重合下においては蒸発してしまうために核剤としての機能を果さないという問題があり、また大きすぎると分散性不良となる傾向がある。ポリアルキレンとはエチレン、プロピレン等の炭化水素基を含有するもので直鎖状、分岐状であってもよい。また、ポリアルキレンはアルキレン基以外の他の成分を通常10モル%以下含有していてもよく、この他の成分を含有するポリマーとしては、ポリエチレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリエチレン、ポリプロピレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリプロピレン、エチレン、プロピレン、ブテン−1等のオレフィン類とアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体、オレフィン類と無水マレイン酸との共重合体等、及び、上で例示した化合物の混合物等が挙げられる。
一般的にポリアルキレンは高圧下でのラジカル重合、あるいは低圧のチーグラー−ナッタ(Zigler−Natta)触媒を用いた配位アニオン重合で得られる。
脂肪族ポリエステルの製造は、通常エステル化反応とそれに続く重合反応によって行われる。エステル化反応は、温度の下限が通常120℃、好ましくは150℃であり、上限が通常240℃である。反応時間は通常1時間以上10時間以下であり、不活性乾燥ガス雰囲気下で、常圧で行えばよい。それに続く重合反応は、温度の下限が通常150℃、好ましくは180℃であり、上限が通常、240℃である。反応時間の下限は通常1時間、好ましくは2時間であり、上限は通常15時間である。圧力は常圧より徐々に減圧にし、最終的に10mmHg以下、好ましくは1mmHg以下で行えばよい。
(c)脂肪族オキシカルボン酸の添加量は、(a)〜(c)からなる脂肪族ポリエステル
系重合体の全構成成分のモル数を100モル%としたとき、下限が通常0.01モル%以上、好ましくは1モル%以上、上限が通常90モル%以下、好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂組成物は脂肪族ポリエステルに、重量平均分子量500以上600万以下のポリアルキレンを前記脂肪族ポリエステルに対し1×10-6重量%以上1重量%以下含有させてなる脂肪族ポリエステル樹脂組成物である。本発明においては、ポリアルキレンを核剤として用いることにより、比較的結晶性の低いポリエステルの結晶化温度を向上させ、成形性を高めることができる。これはポリアルキレンがポリエステルの非晶部分と相互作用し、パッキングを促進するために生起されるものと推測される。
脂肪族ポリエステルと重量平均分子量500〜600万のポリアルキレンとの混合方法としては、脂肪族カルボン酸及び脂肪族ジオールをエステル化工程に次いで、重合反応を行って得られる脂肪族ポリエステルを製造する際に、エステル化開始時から重合反応終了時までの任意の段階に、重量平均分子量500〜600万のポリアルキレンを、得られる脂肪族ポリエステルに対し1×10-6重量%以上1重量%以下添加する方法及び重合後の脂肪族ポリエステルに、重量平均分子量500〜600万のポリアルキレンを前記脂肪族ポリエステルに対し1×10-6重量%以上1重量%以下混合させる方法が挙げられる。
上記の方法で得られるポリエステルは、必要に応じてその他の添加剤を含有させても良い。添加剤としては、滑剤、着色剤、フィラー、安定剤等が挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、熱安定性、引張強度、引張伸び等の実用物性を有するので射出成形法、中空成形法、及び押出成形法等の汎用プラスティック成形法
等により、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体等の成形品に利用可能である。
撹拌翼、窒素導入および減圧口を備えた重合管にコハク酸76.9g(不純物としてリンゴ酸0.191g含む)、アジピン酸24.8g、1,4−ブタンジオール85.8g、リンゴ酸0.171g、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%乳酸水溶液5.4g、ポリエチレンワックス(重量平均分子量:約1000)0.15gを仕込み、窒素雰囲気中、撹拌しながら1時間かけて150℃から220℃まで昇温し、さらに220℃で1時間、エステル化反応を行った。引き続いて、1.5時間かけて1.0mmHgまで減圧させた。減圧開始と同時に0.5時間かけて230℃まで昇温した。1.0mmHgまで減圧させた後、引き続いて2.5時間重合反応させた。結晶化温度は43℃であった。
撹拌翼、窒素導入および減圧口を備えた重合管にコハク酸76.9g(不純物としてリンゴ酸0.191g含む)、アジピン酸24.8g、1,4−ブタンジオール85.8g、リンゴ酸0.171g、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%乳酸水溶液5.4g、ポリエチレン(重量平均分子量:約10万)0.15gを仕込み、窒素雰囲気中、撹拌しながら1時間かけて150℃から220℃まで昇温し、さらに220℃で1時間、エステル化反応を行った。引き続いて、1.5時間かけて1.0mmHgまで減圧させた。減圧開始と同時に0.5時間かけて230℃まで昇温した。1.0mmHgまで減圧させた後、引き続いて2.5時間重合反応させた。結晶化温度は43℃であった。
撹拌翼、窒素導入および減圧口を備えた重合管にコハク酸76.9g(不純物としてリンゴ酸0.191g含む)、アジピン酸24.8g、1,4−ブタンジオール85.8g、リンゴ酸0.171g、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%乳酸水溶液5.4g、ポリエチレンワックス(重量平均分子量:約1000)0.15mgを仕込み、窒素雰囲気中、撹拌しながら1時間かけて150℃から220℃まで昇温し、さらに220℃で1時間、エステル化反応を行った。引き続いて、1.5時間かけて1.0mmHgまで減圧させた。減圧開始と同時に0.5時間かけて230℃まで昇温した。1.0mmHgまで減圧させた後、引き続いて2.5時間重合反応させた。結晶化温度は43℃であった。
撹拌翼、窒素導入および減圧口を備えた重合管にコハク酸76.9g(不純物としてリンゴ酸0.191g含む)、アジピン酸24.8g、1,4−ブタンジオール85.8g、リンゴ酸0.171g、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%乳酸水溶液5.4gを仕込み、窒素雰囲気中、撹拌しながら1時間かけて150℃から220℃まで昇温し、さらに220℃で1時間、エステル化反応を行った。引き続いて、1.5時間かけて1.0mmHgまで減圧させた。減圧開始と同時に0.5時間かけて230℃まで昇温した。1.0mmHgまで減圧させた後、引き続いて2.5時間重合反応させた。結晶化温度は25℃であった。
撹拌翼、窒素導入および減圧口を備えた重合管にコハク酸76.9g(不純物としてリンゴ酸0.191g含む)、アジピン酸24.8g、1,4−ブタンジオール85.8g、リンゴ酸0.171g、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%乳酸水溶液5.4g、タルク0.15gを仕込み、窒素雰囲気中、撹拌しながら1時間かけて150℃から220℃まで昇温し、さらに220℃で1時間、エステル化反応を行った。引き続いて、1.5時間かけて1.0mmHgまで減圧させた。減圧開始と同時に0.5時間かけて230℃まで昇温した。1.0mmHgまで減圧させた後、引き続いて2.5時間重合反応させた。結晶化温度は25℃であった。
撹拌翼、窒素導入および減圧口を備えた重合管にコハク酸76.9g(不純物としてリンゴ酸0.191g含む)、アジピン酸24.8g、1,4−ブタンジオール85.8g、リンゴ酸0.171g、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%乳酸水溶液5.4g、セルロース0.15gを仕込み、窒素雰囲気中、撹拌しながら1時間かけて150℃から220℃まで昇温し、さらに220℃で1時間、エステル化反応を行った。引き続いて、1.5時間かけて1.0mmHgまで減圧させた。減圧開始と同時に0.5時間かけて230℃まで昇温した。1.0mmHgまで減圧させた後、引き続いて2.5時間重合反応させた。得られたポリマーは熱劣化が顕著で茶褐色に着色し、脆く十分な分子量のものが得られなかった。結晶化温度は35℃であった。
)
撹拌翼、窒素導入および減圧口を備えた重合管にコハク酸76.9g(不純物としてリンゴ酸0.191g含む)、アジピン酸24.8g、1,4−ブタンジオール85.8g、リンゴ酸0.171g、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%乳酸水溶液5.4g、ステアリン酸アミド0.15gを仕込み、窒素雰囲気中、撹拌しながら1時間かけて150℃から220℃まで昇温し、さらに220℃で1時間、エステル化反応を行った。引き続いて、1.5時間かけて1.0mmHgまで減圧させた。減圧開始と同時に0.5時間かけて230℃まで昇温した。1.0mmHgまで減圧させた後、引き続いて2.5時間重合反応させた。結晶化温度は25℃であった。
Claims (4)
- 脂肪族ポリエステルに、重量平均分子量500以上600万以下のポリアルキレンを前記脂肪族ポリエステルに対し1×10-6重量%以上1重量%以下含有させたことを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステルが、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール及び脂肪族オキシカルボン酸を共重合して得られる共重合体である、請求項1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
- 少なくとも脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールをエステル化し、次いで、重合反応を行って脂肪族ポリエステルを製造する際に、エステル化開始時から重合反応終了時までの任意の段階に、重量平均分子量500以上600万以下のポリアルキレンを、得られる脂肪族ポリエステルに対し1×10-6重量%以上1重量%以下添加することを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 脂肪族ポリエステルに、重量平均分子量500以上600万以下のポリアルキレンを前記脂肪族ポリエステルに対し1×10-6重量%以上1重量%以下混合することを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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