JP4248292B2 - 安定化された可塑剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定化された可塑剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の脂肪族二塩基酸系可塑剤を添加した樹脂組成物の成形時などに、加熱により可塑剤が熱分解して臭気を発生するのを防止または低減させ得る、安定化された可塑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックスは軽量で成形加工が容易なため、大量生産され、フィルム、シート、成形品などの形で日常生活の上では必要不可欠の存在となっている。しかし、地球の環境破壊や資源枯渇の問題が叫ばれるようになってからは、大量消費の時代は終わり、資源の有効利用を進める循環型社会へと変化しつつあり、リサイクル化が進められている。
【0003】
また、生分解性または自然環境下で分解するポリマーが、環境保護の見地から注目されている。このため、ポリ乳酸、乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導されるポリエステルなどの研究が活発に行われている。
特にポリ乳酸は、農産物を原料として製造されるため、資源の枯渇の問題がない点で望ましい材料であり、近年、原料のL-乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造されるようになってきた。しかし、ポリ乳酸は、結晶性が高く、分子構造が剛直であるため、硬くて脆く、柔軟性に乏しいという難点がある。このため、ポリ乳酸自体では、フィルムや包装材などの柔軟性が必要とされる用途には適さない。
【0004】
ポリ乳酸を軟質化するための方法としては、可塑剤の添加、軟質ポリマーのブレンドまたはコポリマー化などの方法が考えられる。
可塑剤を添加して樹脂を成形する場合、成形時の加熱により可塑剤が熱分解し、その分解物(酸性物質)が成形金型を汚染したり、金型腐食を引き起こしたりして、成形不良を生じさせ、生産効率を低下させることがある。また、熱分解により生じる低分子化合物(低沸点成分)が臭気を発生して作業環境が悪化するために、作業環境の改善策が必要になる。さらには、分解物が樹脂成形品中にも混入するため、成形品の機械的強度が低下したり、臭気により用途が制約されたりするという問題もある。また、可塑剤の熱分解によりその有効重量が低下し、柔軟性が低下するという問題もある。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、様々な研究がなされている。
例えば、特開平7−292153号公報(特許文献1)、特開平7−304898号公報(特許文献2)および特開平7−330952号公報(特許文献3)には、アセチルトリブチルサイトレート(ATBC)、ジイソノニルアジペート、混合アジピン酸エステルなどの可塑剤を低臭気化するために水蒸気蒸留する方法が開示されている。
しかしながら、これらの先行技術では、可塑剤を樹脂に添加して混合または成形する際の可塑剤の熱分解は避けられず、この熱分解によって臭気が発生するのを防ぐことはできない。
【0006】
特許第3258662号公報(特許文献4)には、ラクチドポリマー組成物の製造時に立体障害フェノールもしくはフェノール化合物、または亜リン酸含有化合物を使用することにより、解重合反応を低減できることが開示されている。
特開平11−269365号公報(特許文献5)には、乳酸系ポリマーに、ホスファイトまたはホスフェートのリン化合物、ヒンダードフェノール化合物およびアリレートから選択される2種以上を組み合わせて使用することにより生分解性ポリエステルの変色および黄変、融点・結晶性の低下を抑制できることが開示されている。
しかしながら、これら先行技術では、樹脂の熱分解を防止するために安定化剤を使用しているだけであって、可塑剤の熱分解およびそれによる臭気の防止については記載も示唆もない。
【0007】
このように、可塑剤の使用場面、すなわち可塑剤を添加した樹脂組成物の実際の成形条件において、熱分解して臭気を発生するのを防止または低減させ得る安定化された可塑剤については今までに報告されていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−292153号公報
【特許文献2】
特開平7−304898号公報
【特許文献3】
特開平7−330952号公報
【特許文献4】
特許第3258662号公報
【特許文献5】
特開平11−269365号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定の脂肪族二塩基酸系可塑剤を添加した樹脂組成物の成形時などに、加熱により可塑剤が熱分解して臭気を発生するのを防止または低減させ得る、安定化された可塑剤を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究の結果、特定の脂肪族二塩基酸系可塑剤(A)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物からなる安定化剤を特定量添加することにより、この可塑剤を添加した樹脂組成物の成形時などに、可塑剤が加熱により熱分解して臭気を発生するのを防止または低減できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
かくして、本発明によれば、一般式(I):
R1OOC(CH2)nCOOR2 (I)
[式中、R1およびR2は互いに異なって、-CHR3-CH2-O-CH2-CHR3-OR4(式中、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4は低級アルキル基を示す)またはアラルキル基を示し、nは2または4を示す]
で表される脂肪族二塩基酸系可塑剤(A)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物からなる安定化剤(B)が0.01〜3.0重量部の割合で添加されてなることを特徴とする安定化された可塑剤が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における脂肪族二塩基酸系可塑剤(A)は、一般式(I)で表される。一般式(I)の-CHR3-CH2-O-CH2-CHR3-OR4における置換基R3は、水素原子またはメチル基であり、水素原子が特に好ましい。
一般式(I)の-CHR3-CH2-O-CH2-CHR3-OR4における置換基R4の「低級アルキル基」は、C1-6の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、neo-ペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、これらの中でもメチル、n-ブチルが特に好ましい。
【0013】
一般式(I)における置換基R1およびR2の「アラルキル基」としては、ベンジル、フェネチルなどが挙げられ、ベンジルが特に好ましい。
したがって、一般式(I)における置換基R1およびR2としては、ベンジル、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-OCH3、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-OC4H9が特に好ましい。
【0014】
一般式(I)の脂肪族二塩基酸系可塑剤は、コハク酸およびアジピン酸から選択される脂肪族二塩基酸、好ましくはアジピン酸と、ジエチレングリコールモノ低級アルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノ低級アルキルエーテルおよびアラルキルアルコールから選択される化合物との反応により得ることができる。
次に具体的な化合物を例示するが、これらにより本発明の範囲が限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り「ブチル」は「n-ブチル」を意味する。
【0015】
ジエチレングリコールモノ低級アルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
ジプロピレングリコールモノ低級アルキルエーテルとしては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエプロピレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
アラルキルアルコールとしては、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが挙げられる。
上記の化合物の中でも、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ベンジルアルコールが特に好ましい。
【0016】
本発明における脂肪族二塩基酸系可塑剤(A)には、一般式(I)における置換基R1およびR2が同一の化合物(「同基エステル」という)および置換基R1およびR2が互いに異なる化合物(「混基エステル」という)があり、後者が好ましい。
【0017】
同基エステルとしては、例えば、
ビス(メチルジエチレングリコール)アジペート、
ビス(エチルジエチレングリコール)アジペート、
ビス(ブチルジエチレンググリコール)アジペート、
ビス(メチルジプロピレングリコール)アジペート、
ビス(エチルジプロピレングリコール)アジペート、
ビス(ブチルジプロピレングリコール)アジペート、
ジベンジルアジペート、および
ジフェネチルアジペート;
【0018】
ビス(メチルジエチレングリコール)スクシネート、
ビス(エチルジエチレングリコール)スクシネート、
ビス(ブチルジエチレンググリコール)スクシネート、
ビス(メチルジプロピレングリコール)スクシネート、
ビス(エチルジプロピレングリコール)スクシネート、
ビス(ブチルジプロピレングリコール)スクシネート、
ジベンジルスクシネート、および
ジフェネチルスクシネート
などが挙げられる。
【0019】
混基エステルとしては、例えば、
メチルジエチレングリコールエチルジエチレングリコールアジペート、
メチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールアジペート、
エチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールアジペート、
ベンジルメチルジエチレングリコールアジペート、
ベンジルエチルジエチレングリコールアジペート、
ベンジルブチルジエチレングリコールアジペート、
メチルジプロピレングリコールエチルジプロピレングリコールアジペート、
メチルジプロピレングリコールブチルジプロピレングリコールアジペート、
エチルジプロピレングリコールブチルジプロピレングリコールアジペート、
ベンジルメチルジプロピレングリコールアジペート、
ベンジルエチルジプロピレングリコールアジペート、および
ベンジルブチルジプロピレングリコールアジペート;
【0020】
メチルジエチレングリコールエチルジエチレングリコールスクシネート、
メチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールスクシネート、
エチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールスクシネート、
ベンジルメチルジエチレングリコールスクシネート、
ベンジルエチルジエチレングリコールスクシネート、
ベンジルブチルジエチレングリコールスクシネート、
メチルジプロピレングリコールエチルジプロピレングリコールスクシネート、
メチルジプロピレングリコールブチルジプロピレングリコールスクシネート、
エチルジプロピレングリコールブチルジプロピレングリコールスクシネート、
ベンジルメチルジプロピレングリコールスクシネート、
ベンジルエチルジプロピレングリコールスクシネート、および
ベンジルブチルジプロピレングリコールスクシネート
などが挙げられる。
【0021】
これらの中でも、ビス(メチルジエチレングリコール)アジペート、ビス(エチルジエチレングリコール)アジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペートおよびジベンジルアジペートなどの同基エステル、ならびにメチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールアジペート、ベンジルメチルジエチレングリコールアジペート、ベンジルエチルジエチレングリコールアジペート、ベンジルブチルジエチレングリコールアジペート、メチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールスクシネート、ベンジルメチルジエチレングリコールスクシネート、ベンジルブチルジエチレングリコールスクシネートなどの混基エステルが好ましい。
【0022】
上記の化合物の中でも、ビス(メチルジエチレングリコール)アジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペートおよびジベンジルアジペートなどの同基エステル、ならびにメチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールアジペート、ベンジルメチルジエチレングリコールアジペートおよびベンジルブチルジエチレングリコールアジペートなどの混基エステルが特に好ましい。
【0023】
本発明におけるヒンダードフェノール系化合物からなる安定化剤(B)は、分子量が150〜1200であり、200〜1000がより好ましい。
安定化剤(B)の分子量が150未満の場合には、揮発性の観点から好ましくなく、1200を超えると、溶解性の観点から好ましくない。
【0024】
上記の分子量を有するヒンダードフェノール系化合物としては、
2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、
ブチル化ヒドロキシアニソール、
2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、
2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、
4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-〔β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]2,4,8,10-テトラオキシサスピロ[5.5]ウンデカン、
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
ビス[3,3'-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエーテル、
1,3,5-トリス(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)-sec-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、
オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
3,3',3',5,5',5'-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a'-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、および
DL-α-トコフェロール(ビタミンE)
などが挙げられる。
【0025】
これらの中でも、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール[分子量220]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール[分子量234]、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-〔β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]2,4,8,10-テトラオキシサスピロ[5.5]ウンデカン[分子量741]、1,3,5-トリス(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)-sec-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン[分子量784]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート[分子量531]、3,3',3',5,5',5'-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a'-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール[分子量774]、DL-α-トコフェロール(ビタミンE)[分子量431]が好ましい。具体的には、チバスペシャリティケミカルズ社製の「IRGANOX(イルガノックス)」、住友化学工業株式会社製の「スミライザー」などが挙げられる。
【0026】
本発明における安定化剤(B)は、上記の化合物を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる安定化剤(B)の特に好ましい化合物としては、実施例に記載の安定化剤a〜cが挙げられる。
安定化剤(B)としてDL-α-トコフェロール(ビタミンE)のような天然由来の化合物を用いて安定化した脂肪族二塩基酸系可塑剤を、ポリ乳酸のような生分解性脂肪族系ポリエステル樹脂に添加することにより、成形加工時および成形品の使用時には充分な可塑性(柔軟性)を有し、かつ成形品の使用後には分解、すなわちリサイクル可能な樹脂材料を提供することができる。
【0027】
本発明の安定化された可塑剤は、可塑剤(A)に下記の割合の安定化剤(B)を添加し、公知の方法で混合することにより得られる。
しかしながら、可塑剤の熱分解は、可塑剤自体の製造時の熱によっても僅かながら起こる。したがって、本発明の安定化された可塑剤は、可塑剤(A)の製造工程中に安定化剤(B)を添加して得るのがより好ましい。
【0028】
安定化剤(B)の添加量は、可塑剤(A)100重量部に対して0.01〜3.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部である。
安定化剤(B)の添加量が0.01重量部未満の場合には、本発明の効果が充分に得られないので好ましくない。また、安定化剤(B)の添加量が3.0重量部を超える場合には、それ以上添加量を増してもそれに見合った効果が得られないばかりか、樹脂に添加したときに樹脂組成物の機械的強度が低下し、しかも安定化剤が高価なために不経済となり、好ましくない。
【0029】
本発明の安定化された可塑剤は、熱可塑性樹脂、特に、生分解性脂肪族系ポリエステル樹脂に好適に用いられる。
本発明において安定化される脂肪族二塩基酸系可塑剤には、安定化剤としてDL-α-トコフェロール(ビタミンE)のような天然由来の化合物も含まれる。このような可塑剤をポリ乳酸のような生分解性脂肪族系ポリエステル樹脂に添加することにより、成形加工時および成形品の使用時には充分な可塑性(柔軟性)を有し、かつ成形品の使用後には分解、すなわちリサイクル可能な樹脂材料を提供することができる。
【0030】
熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ABS樹脂、AS樹脂、ACS樹脂、液晶ポリマー、ポリフェニレンエーテル樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルヒド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、これらのポリマーブレンドおよびポリマーアロイ(例えば、PC/ABSポリマーアロイ)などが挙げられる。
【0031】
生分解性脂肪族系ポリエステル樹脂としては、
(C1)ヒドロキシカルボン酸の脱水重縮合により得られるポリマー、
(C2)脂肪族二塩基酸と脂肪族ジオールとを主成分として合成される脂肪族ポリエステル、
(C3)ヒドロキシカルボン酸と脂肪族二塩基酸と脂肪族ジオールのターポリマー、
(C4)脂肪族二塩基酸および芳香族二塩基酸と脂肪族ジオールとから合成される脂肪族・芳香族ポリエステル、および
これらの混合物が挙げられる。
【0032】
(C1)のポリマーとしては、ポリヒドロキシプロピオン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンが特に好ましい。
ポリ乳酸としては、株式会社島津製作所製「LACTY」、ユニチカ株式会社製「テラマック」、三菱樹脂株式会社製「エコロージュ」、大日本インキ化学工業株式会社製「CPLA(仮称)」、Cargill−Dow社(米)製「eco−PLA」、カネボウ合繊株式会社「ラクトロン」などが挙げられる。
【0033】
(C2)の脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート、ポリヘキサメチレンスクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケートなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペートが好ましく、ポリブチレンスクシネートまたはポリブチレンスクシネートアジペートが特に好ましい。
【0034】
ポリブチレンスクシネートとしては、昭和高分子株式会社製「ビオノーレ」、三菱化学株式会社製 「GS−P1a」、SKインダストリー社製「スカイグリーン」などが挙げられる。
ポリブチレンスクシネートアジペートとしては、昭和高分子株式会社製「ビオノーレ」などが挙げられる。
ポリエチレンスクシネートとしては、株式会社日本触媒製「ルナーレ」などが挙げられる。
【0035】
(C2)の脂肪族ポリエステルは、テレフタル酸、カーボネートなどを共縮合した変性脂肪族ポリエステルであってもよい。
テレフタル酸を共縮合した変性脂肪族ポリエステルの具体例としては、BASF社製「ECOFLEX」、EASTMAN CHEMICALS社製「EASTAR BIO」、DuPONT社製「BIOMAX」、IRE CHEMICAL社製「ENPOL」などが挙げられ、カーボネートを共縮合した例として三菱瓦斯化学株式会社製「ユーペック」などが挙げられる。
【0036】
(C3)のターポリマーとしては、乳酸/コハク酸/エチレングリコール、乳酸/コハク酸/1,4―ブタンジオール、乳酸/アジピン酸/エチレングリコール、乳酸/アジピン酸/1,4ブタンジオールなどの組み合わせからなるターポリマーが挙げられる。
【0037】
(C4)の脂肪族・芳香族ポリエステルとしては、コハク酸/テレフタル酸/ブタンジオール、コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコール、コハク酸/イソフタル酸/ブタンジオール、コハク酸/イソフタル酸/エチレングリコール、アジピン酸/テレフタル酸/ブタンジオール、アジピン酸/テレフタル酸/エチレングリコール、アジピン酸/イソフタル酸/ブタンジオール、アジピン酸/イソフタル酸/エチレングリコールなどの組み合わせからなるものが挙げられる。脂肪族・芳香族ポリエステル(C4)としては、BASF社製「ECOFLEX」、EASTMAN CHEMICALS社製「EASTAR BIO」、DuPONT社製「BIOMAX」などが挙げられる。
【0038】
本発明の安定化された可塑剤は、樹脂の種類や用途により異なるが、通常、樹脂100重量部に対して3〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部の割合で添加される。
可塑剤の添加量が余りにも少ない場合には、可塑化効果が不十分となり、樹脂に目的の柔軟性を付与することができない。一方、可塑剤の添加量が余りにも多い場合には、可塑剤のブリードアウトが生じる場合がある。
【0039】
本発明の安定化された可塑剤を添加した樹脂には、必要に応じて、通常、樹脂組成物に用いられるその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。このような成分としては、改質剤、結晶核剤、香料、抗菌剤、顔料、染料、耐熱材、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、耐電肪止剤、安定化剤、充填剤、強化剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、その他の重合体(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂)、木粉、でんぷんなどが挙げられる。
【0040】
本発明の安定化された可塑剤は、重合前の樹脂のモノマー原料、重合工程中の樹脂のモノマー原料、および重合後の樹脂のいずれに添加してもよい。
可塑剤がモノマー原料と反応する場合(例えば、樹脂がポリエステル樹脂の場合)には、重合後であって、かつ樹脂の成形前または成形工程中に添加するのが好ましい。
【0041】
重合前または重合工程中の樹脂のモノマー原料に、安定化された可塑剤を添加する場合には、可塑剤の熱分解防止のために、予め安定化剤を可塑剤に均一に添加しておくのが好ましい。
また、重合後の樹脂に安定化された可塑剤を添加する場合には、可塑剤が加熱される前であれば、安定化剤を可塑剤に均一溶解させたものを樹脂に添加・混合してもよく、また樹脂と可塑剤と安定化剤とを同時に混合してもよい。
【0042】
樹脂と安定化された可塑剤との混合方法や混合装置は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。特に、連続的に処理できるものが工業的には有利で好ましい。例えば、樹脂と安定化された可塑剤とを所定比率で混合し、そのまま押出成形機のホッパー内に投入し、溶融させ、直ちに成形することができる。また、樹脂と安定化された可塑剤とを溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後に溶融成形することもできる。樹脂がポリエステル樹脂である場合には、安定化された可塑剤を均一に混合させるために、一旦ペレット化する方法が好ましい。
これらの溶融混合の場合には、ポリマーの劣化、変質を防ぐために、できるだけ低温で短時間内に処理することが好ましい。溶融押出温度は、使用する樹脂の融点および樹脂と可塑剤との混合比率などを考慮して適宜選択すればよいが、通常100〜250℃程度とすればよい。
【0043】
【実施例】
本発明を以下の合成例、実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
なお、以下の説明において「部」はすべて「重量部」を意味する。
【0044】
実施例および比較例において用いた可塑剤および安定化剤ならびにそれらを添加した樹脂を以下に示す。
(A)可塑剤
可塑剤a:メチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールアジペート(合成例1)
可塑剤b:ベンジルブチルジエチレングリコールアジペート(合成例2)
可塑剤c:ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペート、大八化学工業株式会社製、商品名「BXA」
【0045】
(B)安定化剤
安定化剤a:オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、分子量531、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「IRGANOX1076」
安定化剤b:3,3',3',5,5',5'-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a'-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、分子量774、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「IRGANOX1330」
安定化剤c:DL-α-トコフェロール(ビタミンE)、分子量431、キシダ化学株式会社製、試薬
【0046】
(C)脂肪族系ポリエステル樹脂
樹脂a:ポリ乳酸、株式会社島津製作所製、商品名「LACTY9030」
樹脂b:脂肪族ポリエステル、昭和高分子株式会社製、商品名「ビオノーレ#3020」
【0047】
合成例1(可塑剤aの合成)
撹拌機、温度計、水分離装置および還流管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、アジピン酸146.0g(1.0モル)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル126.0g(1.05モル)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル172.2g(1.05モル)、パラトルエンスルホン酸1.9gおよびトルエン120.0gを充填した。この混合溶液を常圧下で撹拌しながら118℃まで30分かけて加熱昇温した。同温度(118℃)で還流が始まったが、エステルの生成に伴って還流開始後6時間で温度が145℃まで上昇し、反応水37.3g(2.1モル)が回収され、これ以上の水の生成が認められなかったので反応が完結したものと判断した。その後、反応混合物を60℃まで冷却し、同温度(60℃)で反応混合物の酸価に対して2倍となる炭酸ナトリウム(2.4g)と水120.0gを添加し中和を行った。さらに、有機層を120.0gの水で洗浄した後、120℃になるまで加熱し、約4kPaに到達するまで減圧してトルエンを回収し、引き続いて同減圧下120℃で水蒸気蒸留を1時間行い、反応混合物から低沸点成分を除去し、無色透明の液体380.5gを得た。この液体の全てが目的化合物のメチルジエチレングリコールブチルジエチレングリコールアジペートであると仮定した場合の粗収率は97.0%で、その酸価は0.03(mgKOH/g)であった。
【0048】
合成例2(可塑剤bの合成)
アルコールの原料として、ベンジルアルコール108.0g(1.0モル)およびジエチレングリコールモノブチルエーテル166.3g(1.03モル)を用いること以外は合成例1と同様にして、無色透明の液体369.5gを得た。この液体の全てが目的化合物のベンジルブチルジエチレングリコールアジペートであると仮定した場合の粗収率は97.1%で、その酸価は0.08(mgKOH/g)であった。
【0049】
実施例および比較例における可塑剤ならびにそれを添加した樹脂組成物の成形品の評価方法を以下に示す。
【0050】
(1)可塑剤の長期安定性の評価
内容積50mlの共栓付試験管に可塑剤40mlと所定量の安定化剤を加え、溶解後(比較例では安定化剤を加えない)、30℃で6カ月間加熱保存した。その後、混合物を室温まで冷却した後、試験管の気層部分の臭気を以下の基準より評価した(官能臭気テスト)。
官能臭気テスト基準
◎:臭気なし
○:極僅かに臭気あり
×:著しく臭気あり
【0051】
また、試験管の液層部分の可塑剤について以下の条件でガスクロマトグラフィー(GC)分析を行い、評価した。
GC分析条件
GC分析装置:株式会社島津製作所製 GC−17A
検出器:FID
カラム:J&W社製 DB−1
(100%ジメチルポリシロキサン、φ0.32mm×30m)
カラム温度:初期;40℃×2min
昇温;20℃/min(40〜280℃)
後期;280℃×5min
キャリアガス:ヘリウム
サンプル量:0.4μl(生打ち)
GC分析データの評価
得られたデータにおける保持時間0〜2分のピークを低沸点成分(低沸分)ピークと規定し、安定化剤を添加しなかった可塑剤サンプルの低沸分ピーク面積%(A)と安定化剤を添加した可塑剤サンプルの低沸分のピーク面積%(B)から次式により低沸分増加率(%)を求めた。
低沸分増加率(%)=(B/A)×100
【0052】
(2)樹脂組成物の成形品の評価
成形した厚さ0.5mmのシートを10cm×10cmに切り出し、これを15cm×20cmのポリエチレン製の袋に入れ室温で1週間放置後、袋中の臭気を可塑剤の官能臭気テストと同様の基準より評価した。
【0053】
(3)可塑剤の評価
内容積50mlの共栓付試験管に可塑剤40mlと所定量の安定化剤を加え、溶解後(比較例では安定化剤を加えない)、200℃で10分間加熱した。その後、混合物を室温まで冷却した後、試験管の気層部分の臭気を官能臭気テストと同様の基準より評価した。
また、試験管の液層部分の可塑剤についても上記と同様にしてGC分析を行い、低沸分増加率(%)を求めた。
なお、この試験は、「可塑剤の長期安定性の評価」のための加速試験であり、200℃×10分間の加熱は、30℃×6カ月間加熱保存に相当する。
【0054】
実施例1
可塑剤a100重量部に対して安定化剤aを0.1重量部の割合で添加した安定化された可塑剤について、上記「(1)可塑剤の長期安定性の評価」により官能臭気テストおよびGC分析を行った。
得られた結果を、可塑剤の種類および安定化剤の種類とその添加量と共に表1に示す。
【0055】
可塑剤a100重量部に安定化剤aを0.1重量部の割合で添加・混合した。得られた可塑剤を、樹脂a100重量部に対して20部添加し、ロール温度160〜165℃で10分間ロール練りしてシート成形し、さらに圧縮成形機を用いて、加熱:155℃×150kg/cm2×3分間、冷却:50kg/cm2×3分間の条件で圧縮成形して、厚さ0.5mmのシートを得た。得られたシート(成形品)について、上記「(2)樹脂組成物の成形品の評価」により官能臭気テストを行った。
得られた結果を表1に示す。
【0056】
実施例2〜5
表1に記載の可塑剤100重量部に、表1に記載の安定化剤をその割合で添加すること以外は、実施例1と同様にして、安定化された可塑剤の官能臭気テストおよびGC分析を行った。また、同様に厚さ0.5mmのシートを成形し、その官能臭気テストを行った。
得られた結果を表1に示す。
【0057】
比較例1〜2
表1に記載の安定化剤を添加しない可塑剤を用いること以外は、実施例1と同様にして、可塑剤の官能臭気テストおよびGC分析を行い、同様に厚さ0.5mmのシートを成形し、その官能臭気テストを行った。
得られた結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果から、安定化剤を添加した可塑剤(実施例1〜5)は、安定化剤を添加しなかった可塑剤(比較例1〜2)に比べて、加熱保存後の臭気が改善され、長期安定性に優れていることがわかる。また、これらの成形品についても同様の傾向のあることがわかる。
【0060】
実施例6
可塑剤a100重量部に対して安定化剤aを0.1重量部の割合で添加した安定化された可塑剤について、上記「(3)可塑剤の評価」により官能臭気テストおよびGC分析を行った。
得られた結果を、可塑剤の種類および安定化剤の種類とその添加量と共に表2に示す。
【0061】
可塑剤a100重量部に安定化剤aを0.1重量部の割合で添加・混合した。得られた可塑剤を、樹脂a100重量部に対して20部添加し、ロール温度160〜165℃で10分間ロール練りしてシート成形し、さらに圧縮成形機を用いて、加熱:155℃×150kg/cm2×3分間、冷却:50kg/cm2×3分間の条件で圧縮成形して、厚さ0.5mmのシートを得た。得られたシート(成形品)について、上記「(2)樹脂組成物の成形品の評価」により官能臭気テストを行った。
得られた結果を表2に示す。
【0062】
実施例7〜11(但し、実施例11は参考例である)
表2に記載の可塑剤100重量部に、表2に記載の安定化剤をその割合で添加すること以外は、実施例6と同様にして、安定化された可塑剤の官能臭気テストおよびGC分析を行った。また、同様に厚さ0.5mmのシートを成形し、その官能臭気テストを行った。
得られた結果を表2に示す。
【0063】
比較例3〜4
表2に記載の安定化剤を添加しない可塑剤を用いること以外は、実施例6と同様にして、可塑剤の官能臭気テストおよびGC分析を行い、同様に厚さ0.5mmのシートを成形し、その官能臭気テストを行った。
得られた結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2の結果から、安定化剤を添加した可塑剤(実施例6〜11)は、安定化剤を添加しなかった可塑剤(比較例3〜4)に比べて、加熱後の臭気が改善され、長期安定性に優れていることがわかる。また、これらの成形品についても同様の傾向のあることがわかる。
【0066】
実施例12
樹脂aの代わりに樹脂bを用いること以外は、実施例1と同様にして、厚さ0.5mmのシートを成形し、その官能臭気テストを行った。
得られた結果を、可塑剤の種類および安定化剤の種類とその添加量と共に表3に示す。
【0067】
実施例13〜15
表3に記載の可塑剤100重量部に、表3に記載の安定化剤をその割合で添加すること以外は、実施例12と同様にして、厚さ0.5mmのシートを成形し、その官能臭気テストを行った。
得られた結果を表3に示す。
【0068】
比較例5
表3に記載の安定化剤を添加しない可塑剤を用いること以外は、実施例12と同様にして、厚さ0.5mmのシートを成形し、その官能臭気テストを行った。
得られた結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
表3の結果から、安定化剤を添加した可塑剤を添加した樹脂組成物の成形品(実施例12〜15)は、安定化剤を添加しなかった可塑剤を添加した樹脂組成物の成形品(比較例5)に比べて、加熱後の臭気が改善されていることがわかる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の脂肪族二塩基酸系可塑剤を添加した樹脂組成物の成形時などに、加熱により可塑剤が熱分解して臭気を発生するのを防止または低減させ得る、安定化された可塑剤を提供することができる。
すなわち、本発明の安定化された可塑剤は、熱または水による分解を受け難いために、これを添加した樹脂組成物を成形する際に高温下に置かれても熱分解による臭気の発生が起こらないか、または抑えられる。
【0072】
また、可塑剤の熱分解により生じる酸性分は、成形金型の腐食の原因となったり、樹脂の劣化を促進する原因となり樹脂の機械的強度などを低下させるが、本発明によれば、これらの問題も解消される。
さらに、成形後の樹脂製品の中に可塑剤の熱分解物が存在すると臭気や変色の原因となって、樹脂製品の商品価値が低下したり、用途範囲が制約を受けることになるが、本発明によれば、これらの問題も解消される。
また、副次的な効果ではあるが、本発明によれば、樹脂自体の熱分解も抑制され、成形後の樹脂の経時的な劣化も抑制される。
Claims (3)
- 一般式(I):
R1OOC(CH2)nCOOR2 (I)
[式中、R1およびR2は互いに異なって、-CHR3-CH2-O-CH2-CHR3-OR4(式中、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4は低級アルキル基を示す)またはアラルキル基を示し、nは2または4を示す]
で表される脂肪族二塩基酸系可塑剤(A)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物からなる安定化剤(B)が0.01〜3.0重量部の割合で添加されてなることを特徴とする安定化された可塑剤。 - ヒンダードフェノール系化合物が、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3',3',5,5',5'-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a'-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾールおよびDL-α-トコフェロール(ビタミンE)から選択される請求項1に記載の安定化された可塑剤。
- 生分解性脂肪族系ポリエステル樹脂の可塑剤として用いられる請求項1または2に記載の安定化された可塑剤。
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