JP3625805B2 - 記録装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置用廃インクタンクに関し、より詳細には、廃インクを短時間に処理可能で長期間使用しても廃インク吸引の信頼性が保持される廃インクタンクの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置においては、長期間記録が行われず記録ヘッドが使用されなかったり、長期間低湿度環境に設置されていたり、記録頻度の差異等によっては記録ヘッド内のインクの粘度が高くなる。このように粘着度の増やしたインクや、さらにはヘッドのノズル面に塵埃が付着することなどによって、記録ヘッドのインク吐出口に目詰りを生じることがあった。
これらの不都合を取り除くためにインクジェット記録装置には、通常これら増粘インクを記録ヘッドの吐出口内方から加圧排出したり、あるいは記録ヘッド吐出口を覆って保護するためのキャップを介してインクを吸引して増粘インクを除去する吐出回復機構が装着されている。吐出回復処理の際に発生する廃インクは、インクジェット記録装置に着脱可能に取り付けられた所定の廃インクタンクに貯留される。
【0003】
図12は、従来のインクジェット記録装置の廃インクタンクの例を示す図で、図において、カラー記録に対応した4種のインクを各々収容したインクカートリッジ22は、各々対応した記録ヘッド23に連通し、インクを供給する。記録ヘッド23からは、吐出回復装置内に設けられた吸引ポンプ25によってインクが吸引され、吸引された廃インクは、廃インクパイプ26を通り、廃インクタンク21内に設けられた廃インク吸収体により回収される。このような交換式の廃インクタンク21では、廃インクタンク21は、廃インクが所定の量となったり、インクタンクの消費に応じて交換される。
廃インクタンク21の内部には、一般に、廃インクタンク21の形状に合わせて設けられた積層紙や多孔質又は繊維質の吸収体、高分子の吸収性ポリマー等(たとえば、でんぷん系,アクリル酸グラフト重化合物,ポリアクリル酸塩素ポリマー,ビニルアルコールアクリル酸塩素ポリマー,PVA系ポリマー,イソブチレン無水マレイン酸系ポリマー)が充填され、液体の吸収力を利用して回収した廃インクを吸着安定するというような廃インクの回収方法が採用されていた。交換式の廃インクタンクとしては、廃インクタンクを単独で交換できる方式のものやカートリッジと廃インクタンクとが一体になった方式のものがあった。
【0004】
図13は、従来の、廃インクタンクを単独で交換する他の方式のもので、図13において、廃インク吸収体31を充填した廃インクタンク30は、常時、押えばね32に取り付けられた押え部材33で、廃インク容器固定枠34にばね力により押え付けられて固定しており、ばね力に抗して押え部材32を移動することにより取り外すことができるようになっている。
【0005】
図14は、従来のカートリッジと廃インクタンクとが一体に収容された更に、他の方式のもので、図において、インクを収容したインクセット41と廃インク吸収体42とが積み重ねられるように廃インクタンク43内に一体となって収納されたインクカートリッジ30を示している。この方式においては、インクカートリッジ30は廃インクタンク43内のインクの消耗に応じて廃インクタンク43と同時に廃インクタンクは交換されるものがある。
【0006】
しかし、図12〜図14に示した従来技術においては、何れも廃インクタンクの開口部付近で、先に廃インクを吸着した部分から他の部分へ廃インクを拡散してからでないと、次の廃インクを吸着しないため、廃インクの吸着に時間がかかった。
また、開口部付近は、繰り返し、廃インクの吸収、蒸発・乾燥がされ、廃インクの濃度が高まったり、更に濃度が高まると、インク染料が析出したりし、廃インクの吸収能力が劣化してくる。この結果、開口部から十分離れたところに位置する吸収体の部分が未使用状態であっても、開口部付近では、吸収、拡散能力が不充分となり、全く廃インク吸収の機能ができなくなることがある。すなわち、廃インクタンク全体としては十分な吸収の余力があっても、廃インクの回収ができずに、廃インクが外部に流出してしまうことがあった。
【0007】
この点を鑑み、特開平3−227658号公報では、廃インクタンク内にインク吸着速度の早い吸水性部材とインク吸着保持力の高い保水性部材とを具備した廃インクタンクが提案されている。この廃インクタンクでは、吸収体の機能をインク吸着保持力の多い積層紙等の保水性部材と、インク吸着速度の速い吸取紙等の吸水性部材との2部分に分割し機能させることにより、前述の問題点の解決を図った。しかし、繰り返しの蒸発・乾燥をしたり、廃インクタンクが十分大型化したりした場合は、同様の問題が生じる。このことは、とくに、廃インクタンクを定期交換部品とせず、記録装置本体に備えつけるタイプとした場合、問題点として残存することとなる。
【0008】
また、廃インクタンクのみを独立して交換する場合、その交換時期を適切にユーザに知らせることが必要となる。
更にまた、廃インクが記録装置本体に備えつけるタイプとした場合、廃インクタンクの状態を検出し、異常状態が発生した場合は、正常状態に復帰させることが必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたもので、廃インクタンクによる廃インク収容の信頼性、安全性を高める廃インクタンクを提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、(1)少くとも1つの廃インク量検知室を有し、記録装置から排出される廃インクを吸収するインク吸収体を、前記廃インク量検知室の部位を除いて装填し廃インクを収容する廃インクタンクと、前記廃インク量検知室で廃インクの有無を検知し、廃インクタンク内の廃インク量を検出する廃インク検出手段とを有し、前記廃インクタンクを前記記録装置に交換装着する交換動作により、前記廃インク検出手段と前記インク吸収体とが接触し、前記廃インクタンクの交換装着に伴い前記廃インク検出手段に付着した廃インクのクリーニングを行うこと、更には、(2)前記(1)において、前記廃インクタンク内に装填したインク吸収体に、廃インクタンクの交換装着のスライド方向に沿って実質的な切れ目、または溝を設け、該インク吸収体の切り目、または溝と前記廃インク検出手段とが複数面で接触可能とし、前記廃インクタンクの交換装着に伴い、前記廃インク検出手段に付着した廃インクのクリーニングを行うこと、更には、(3)前記(1)において、少なくとも1つの廃インク検出手段と、廃インクを加熱蒸発させる廃インク蒸発手段とを有し、廃インク量が所定量以上であると検出したとき、該検出信号に基づいて前記廃インク蒸発手段を作動させること、更には、(4)前記(1)において、前記廃インクタンクの筐体の少なくとも1部は、記録装置の熱源を冷却する放熱板を兼ねていることを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、インクジェット記録装置用廃インクタンクの一例を説明するための斜視図であり、図中、1は廃インクタンク、2はインク吸収体、3は廃インク排出チューブである。
【0012】
廃インクタンク1は、インクジェット記録装置の吐出回復機構(図示せず)の下方に取り付けられる筐体で、内部にはインク吸収体2が装填されている。インク吸収体2は、吸水性の高い、例えば、フェルト材、積層紙、高分子多孔質体、あるいは吸水性樹脂等であり、これらを、それぞれ単独、あるいは複合して用いる。また、これらは廃タンク1の形状に合わせて複数個に分割したものを装填してもよい。
【0013】
廃インクタンク1の内部には、長手方向に多数の開口部3bを有する廃インク排出チューブ3が、好ましくは廃インクタンク1内を均等に通るようにはい廻されている。廃インク排出チューブ3には吐出回復用の吸引ポンプ(図示せず)と接続して廃インクを導入するが、図1では、廃インク排出チューブ3は、接続部3aを有し、記録装置本体と分離できるようにした交換式の廃タンク1の例を示したものであるが、記録装置に固着した固定式の場合は、接続部3aがなく、吸引ポンプと直接接続される。
【0014】
図1において、廃インク排出チュープ3は、廃インクタンク1内を接続部3aから接続部3aと対向する側などのすみずみまではい廻されているが、図1に示したように廃インクチューブを一本の管体で形成してもよく、また複数の管体を組合せて形成してもよい。
【0015】
図2は、廃インクタンクの、他の例を説明するための平面図で、廃インク排出チューブ3は、例えば、長さ方向に多数の開口部3bを有する廃インク排出チューブ3−2、3−3、および3−4を廃インクタンク1内に平行に配設して、これらの一端を接続口3aに連通する接続管3−1から分岐されるように接続したもので、管径、配置および開口部3aの選択によって均等に廃インクを流出させることができる。
【0016】
図3(a),(b)は、廃インク排出チューブの開口部の形状および配置を説明するための部分拡大図を示し、図3(a)は、開口部3bの形状が四角形で長手方向の側壁面に交互に開口している場合のもので、図3(b)は、開口部3bの形状が円形で長手方向の管壁面に交互に均等に開口している。
【0017】
このように、開口部3bが長手方向に多数開口していると、吐出回復機構が動作して、吐出回復処理を実行すると、その際廃インクが発生し、廃インク排出チューブを経て、インク吸収体に吸収され、回収されるが、もし開口部3bがなく、廃インク排出チューブ3から多量の廃インクが排出されると、インク吸収体2が廃インクを吸着するのに必要な時間をオーバしてしまい処理しきれなくなる。しかし、その場合でも、廃インク排出チューブ3が長手方向に複数の開口部3bを有しているため接続口3aに最も近接した位置に開口する第1の開口部3bでの吸収体の吸着が遅れても、さらにその先の第2,第3,…の開口部3bまで廃インクは流出し、第2,第3,…の開口部付近のインク吸収体2よりインロ吸収がなされる。
また、長期間の使用による繰り返しの廃インクの吸収、蒸発乾燥がされると、開口部3b付近は、吸収能力が劣化してくるが、その場合も、同様に第1の開口部3bでのインク吸収体2の吸収が不能となっても、第2,第3,…の開口部3b付近でインク吸収がなされる。
【0018】
図4は、固定式の廃インクタンクの一例を説明するための分解図、図5は、図4の組立図であり、図中、4は廃インクタンク、5はインク吸収体、6は排出チューブである。
【0019】
記録装置の空きスペースを利用して廃インクタンクを構成し配置するため形状の設計の自由度が少ないときは、廃インク排出チューブの開口が1箇所しかない従来のものでは、廃インクタンクの形状が複雑であると廃インクタンク内のインク吸収体による廃インク吸収が奥の方まで有効になされる以前に廃インクの回収ができなくなるという不具合があった。
【0020】
図4,5に示した廃インクタンクは、上述の従来の固定式廃インクタンクの不具合をなくしたもので、廃インクタンク4の形状は、例えば、コの字形の平面形状を有している。廃インクタンク4内には、形状に応じて区分した直方体のインク吸収体5a,5bおよび5cが装填される。インク吸収体5a,5bおよび5cには各々上部端面に開口する切断溝5d,5eおよび5fが配設され、長手方向に開口部6aを開口する廃インク排出チューブ6を嵌挿する。廃インク排出チューブ6の一端は、廃インクタンク4の一端に形成された開口4a部から吐出回復用の吸引ポンプに接続される。
【0021】
図示の固定式の廃インクタンクは、空スペースを利用し記録装置内に据付けるため任意な形状が選択できる。
また、廃インク排出チューブ6と、それに設けた複数の開口部6bにより、複雑な形状の廃インクタンク4のすみずみまで有効にインク吸収体5を利用し、機能させることができる。
また、このときは、廃インク排出用チューブ6が、吐出回復機構(図示せず)から直接に連通しており、途中、中継箇所や接続箇所がないので液洩れをおこす恐れがなくなる。
このとき、インク吸収体5は、複雑な形状の廃インクタンク4にあわせて、適当に分割すれば良い。また、図のように廃インク排出用チューブにあわせて、インク吸収体にチューブ保持用の切断溝5d〜5fを設けてもよい。
【0022】
図6は、図5におけるインク吸収体の保持手段の一例を示す図で、図中、7は蓋体、8は保持部材である。
【0023】
図5において、廃インク排出チューブ6はインク吸収体6に配設された切断溝5d〜5fに埋め込んだが、図6においては、廃インクタンク4の蓋体7に形状に沿って取り付けたコの字形の保持部材8の開口腕8aに弾性的に挟持させて保持したものである。
【0024】
図7は、廃インクタンクの他の例を説明するための分解斜視図、図8は平面図で、図中、9は廃インク量検知室、10は廃インク検出手段、11は蓋体で、図1と同じ作用をする部分には図1と同一の参照番号を付している。
【0025】
図7,図8に示した廃インクタンクは、内部に廃インク量検知室9を配設したもので、廃インクタンク1内には、インク吸収体2が装填されているが、その一部に廃インク量を検知する廃インク量検知室9を設置するための空室2aが開口している。
インク吸収体2には、廃インクが吸収して回収されるが、廃インク量が多くなると、インク吸収体2に吸収できる量を超えてしまい、終にはオーバーフローする。
このオーバーフローは、はじめに廃インク量検知室9でおこる。廃インク量検知室9を設けることで、この廃インク量検知室9に流出した廃インクを検知することで、廃インクタンク内の廃インクの回収状態を知ることができる。
【0026】
図7,図8において、廃インクの検出手段10は、廃インク量検知室9内に設けた2つの電極10a,10b間における電気的抵抗値の変化や電気容量の変化により検出するものであるが、検出手段10のみを記録装置本体に据付けることもなされる。
【0027】
図9は、本発明による廃インクタンクの一実施例を説明する斜視分解図、図10は、廃インク検出部の断面図を示し、図中、2′はオーバーフローしたインク、12は溝で、図7に示した例と同じ作用する部分には図7の場合と同一の参照番号を付してある。
【0028】
図9に示した検出手段は、該検出手段10を記録装置本体に据付け、該記録装置本体に設けた検出電極10c,10dにより廃インクを検出するようにしたもので、交換式の廃インクタンク1であっても、廃インクタンク1の交換廃棄時に、同時に検出手段10も廃棄することがなくてすむため、使い捨てを考慮した低コストの簡易的な検出方式だけでなく、種々の方式の選定が可能となる。また、廃棄部品としないため経済的である。
【0029】
廃インクタンク1が充分多量の廃インクを回収し、検出手段10が、オーバーフローして流出したインクを検出する場合、電極10cと10dのような検出手段の構造によっては、廃インクが直接検出手段に接触する。これをそのまま放置して、新たな廃インクタンクと交換しても、検出手段が誤動作をする恐れが高い。このような誤動作をなくすため、廃インクタンクの交換時の着脱動作に伴い、前記検出手段をクリーニングすることが必要となる。
【0030】
図9に示した廃インクタンク1においては、廃インクタンク1の交換時に、前記検出手段のクリーニングを行うこともできるようにしている。
図9において、11は廃インクタンク1の蓋、11aは該蓋11に設けられた溝、12は廃インク量検知室9から検出手段10が据付けられた記録装置本体側に向けてインク吸収体2と廃インクタンク壁面を貫通して配設された溝で、交換するために廃インクタンクを引き抜くとき、および、新しい廃インクタンクを装着するとき、電極10c,10dをこれら溝を通して交換するようにすることにより、検出電極10c,10dがインク吸収体2に弾性的に押し付けられ乍ら移動することによりクリーニングが行われる。
【0031】
このように、検出手段10のクリーニングは、廃インクタンク1内に配設されたクリーニングを兼用した吸収体2を廃インクタンク1の交換動作に伴い、検出手段10に押しつけるように接触させて行なうのがよい。望ましくは、図7に示したように廃インクタンク1の交換動作時には、廃インク吸収体2がクリーニング用吸収体の機能を兼ねるようにするのが、部品点数の増加をすることがなく、コストアップを招くことがないので最適である。
一般に、インクジェット記録装置で使用される水溶性インクは、その80〜95%程度が水で構成されている。したがって、廃インクタンク1内のインク吸収体2に回収された廃インクも、その水分を蒸発させることで吸収機能を十分回復させることができる。
【0032】
図11は、フォトセンサを用いて廃インクを検出するようにした廃インクタンクの例を説明するための図で、図11(a)は廃インク量検知室9へ廃インク検出用吸収体を入れようとしている時の斜視図、図11(b)は廃インク検出用吸収体を挿入した後の断面図で、図中、10eは廃インク検出用吸収体、10fはフォトセンサで、図示のように、廃インク量検知室9内に廃インク検出用吸収体10eを入れ、その上方にフォトセンサ10fを設けたものである。フォトセンサ10fは、発光素子と受光素子(図示せず)とからなり、発光素子から発光した光が廃インク検出用吸収体10eで反射し、反射光を受光素子で受光して得られた受光信号により廃インク検出用吸収体10eのインク吸収量を知ることができる。
【0033】
すなわち、廃インク量検知室9内に廃インクが流入すると、廃インク検出用吸収体10eの色が変わり、反射光量が変化するので、これをフォトセンサ10fにより光量変化として検出することにより、廃インクタンク内の廃インクの回収状態を知ることができる。
【0034】
前述したように、交換式の廃インクタンク1においては、検出手段10が廃インクの回収量オーバーを検出した後に交換すればよいが、記録装置に据付ける固定型のものでは、検出手段10が回収量オーバーを検出した場合は機能回復をさせる必要がある。このときの検出手段10は複数箇所に配置し、回収状態を多段階で報知し、早めに機能回復のための動作を実行するようにすれば、記録動作の中断をすることがなく、都合が良い。また、交換式の廃インクタンク1においても同様に吸収機能を回復させることで、インク洩れ等のトラブルに対しての安全性を向上できるし、廃インクタンク1自体の小型化を図ることもできる。
【0035】
以上の説明で、廃インクはインク吸収体2に吸収することにより安全に洩れを防ぐことを示したが、インクの水分を蒸発させることによっても廃インクを処理し機能回復することが可能で、機能回復のための廃インク蒸発手段は、加熱手段および送風手段により行うことができる。加熱手段としては、ヒータや電磁波の利用や記録装置の熱源を利用することができる。また、送風手段としては、ファンや記録装置の主走査動作力を利用して発生させる送風を利用することができる。
これらの手段を単独あるいは組合わせることにより、検出手段の検出後の動作で、回収された廃インクの水分を蒸発させることで吸収機能を回復することができる。
【0036】
また、前述の加熱手段として、特別な装置を用いることなく、低コストで簡易に有効的に実現できるものは、記録装置の熱源を利用するのがよい。これは記録装置本体を動作させるために必要な電気回路、トランス、モーター等から発生する熱を加熱源とすることである。
通常、これらの熱源は放熱板がとりつけられているか、あるいは取付基板自体が放熱板としての役割をしている。これらを積極的に加熱手段として使うためには、廃インクタンク1の筐体の少なくとも一部は、この放熱板を兼ねている構成とすることが効果的となる。
【0037】
なお以上の説明は、装置本体に固定したものについてのものであったが、廃インクタンク1がキャリッジの走査とともに移動するタイプのものに対しても何ら支障なく適用できる。
さらには、キャリッジの走査で画像を形成するタイプの装置だけでなく、被記録材の記録域の全幅にわたって吐出口が設けられたフルラインタイプの記録ヘッドを搭載した装置の廃インクタンクとしての適用も可能である。
【0038】
また、キャリッジ走査で画像を形成するタイプの装置においては、記録装置本体に装着されることで、記録装置本体との電気的な接続や記録装置本体からのインクの供給が可能になる、交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは、記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドや該カートリッジタイプの記録ヘッドにさらに廃インクタンクが一体となったもの、キャリッジ上に搭載する記録ヘッドに交換可能に装着可能なインクタンクと廃インクタンクが一体となったものに対しても本発明の有効性はある。
【0039】
また、記録ヘッドの構成としては、液滴吐出のためのエネルギー源として電気熱変換体や電気機構変位変換体を用いたもの、静電力を用いたもの、加圧インクをバルブの開閉により吐出させるものなどの他にも、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、記録を確実に効率よく行うことができるために有効となる。
【0040】
更に、廃インクの発生およびその処理は、記録ヘッドに対するキャッピング手段やクリーニング手段や加圧あるいは吸引手段、あるいは記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードおよびこれらの関連動作や維持動作等に対して有効になるものである。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、以下の効果がある。
(1)請求項1に対応する効果:インク吸収体を装填しない箇所に廃インク量検知室を設けたので、確実に廃インク回収状態を検知することができる。また、廃インク検出手段を記録装置本体に据付ける固定型としたので、廃インクタンクを交換する際の交換廃棄部品としない。また、検出方式として、種々の方式の選定可能となるし経済的である。
(2)請求項2に対応する効果:廃インク検出手段をクリーニングできるので、信調性が向上する。
(3)請求項3に対応する効果:上記(2)を簡易に確実に行なうことができる。
(4)請求項4に対応する効果:廃タンクからのインク洩れ等が発生することを確実に防止できる。
(5)請求項5に対応する効果:廃インクタンクの廃インクの吸収機能の回復を記録装置で発生する熱源を有効に利用、活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置用廃インクタンクの一例を説明するための斜視図である。
【図2】廃インクタンクの、他の例を説明するための平面図である。
【図3】廃インク排出チューブの例を説明するための部分拡大図である。
【図4】固定式の廃インクタンクの例を説明するための分解図である。
【図5】固定式の廃インクタンクの一例を説明するための組立図である。
【図6】図5におけるインク吸収体の保持手段の一例を示す図である。
【図7】廃インクタンクの他の例を説明するための分解斜視図である。
【図8】廃インクタンクの、他の例を説明するための平面図である。
【図9】本発明による記録装置に使用される廃インクタンクの一実施例を説明する斜視分解図である。
【図10】本発明による廃インク検出部の断面図を示したものである。
【図11】廃インクタンクの更に他の例を説明するための図である。
【図12】従来の、インクジェット記録装置の廃インクタンクの例を示す図である。
【図13】従来の、廃インクタンクを単独で交換する方式のものである。
【図14】従来の、カートリッジと廃インクタンクとが一体に収容された方式のものである。
【符号の説明】
1…廃インクタンク、2…インク吸収体、3…廃インク排出チューブ、4…廃インクタンク、5…インク吸収体、6…排出チューブ、7…蓋体、8…保持部材、9…廃インク量検知室、10…廃インク検出手段、11…蓋体。
Claims (4)
- 少くとも1つの廃インク量検知室を有し、記録装置から排出される廃インクを吸収するインク吸収体を、前記廃インク量検知室の部位を除いて装填し廃インクを収容する廃インクタンクと、前記廃インク量検知室で廃インクの有無を検知し、廃インクタンク内の廃インク量を検出する廃インク検出手段とを有し、前記廃インクタンクを前記記録装置に交換装着する交換動作により、前記廃インク検出手段と前記インク吸収体とが接触し、前記廃インクタンクの交換装着に伴い前記廃インク検出手段に付着した廃インクのクリーニングを行うことを特徴とする記録装置。
- 前記廃インクタンク内に装填したインク吸収体に、廃インクタンクの交換装着のスライド方向に沿って実質的な切れ目、または溝を設け、該インク吸収体の切り目、または溝と前記廃インク検出手段とが複数面で接触可能とし、前記廃インクタンクの交換装着に伴い、前記廃インク検出手段に付着した廃インクのクリーニングを行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 少なくとも1つの廃インク検出手段と、廃インクを加熱蒸発させる廃インク蒸発手段とを有し、廃インク量が所定量以上であると検出したとき、該検出信号に基づいて前記廃インク蒸発手段を作動させることを特徴とした請求項1に記載の記録装置。
- 前記廃インクタンクの筐体の少なくとも1部は、記録装置の熱源を冷却する放熱板を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
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