JP3625766B2 - 基板表面処理装置および基板表面処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板の表面に蒸気を供給して、基板の表面に処理を施す基板表面処理装置および基板表面処理方法に関する。たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、ふっ酸(HFおよび無水HFを含む)、酢酸などのような酸を含む蒸気を基板の表面に導き、いわゆる気相エッチング処理によって基板の表面の膜を除去するための基板表面膜除去装置および基板表面膜除去方法、あるいは、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)などのようなレジスト密着強化剤の蒸気を基板の表面に導き、いわゆるHMDS処理によって基板の表面にレジストの密着をよくするためのレジスト密着強化膜を塗布するためのレジスト密着強化剤塗布装置およびレジスト密着強化剤塗布方法などに関する。
【0002】
また、処理対象の基板には、半導体ウエハ、液晶表示装置およびプラズマディスプレイ用ガラス基板、ならびに光、磁気および光磁気ディスク用基板などの各種の基板が含まれる。また、基板の材質としては、シリコン、ガラス、樹脂およびセラミックなどの材質が含まれる。
【0003】
なお、基板表面膜除去装置および基板表面膜除去方法の場合には、基板表面の膜の除去は、所定の膜の一部または全部の選択的除去を目的としていてもよく、また、基板表面の洗浄を目的としていてもよい。
【0004】
【従来の技術】
半導体装置製造工程の半導体ウエハ(以下「ウエハ」という。)上にメモリキャパシタ膜を作製する工程においては、ウエハの温度を50℃〜80℃に加熱した状態でウエハ表面へふっ酸蒸気を供給することにより、熱酸化膜またはCVD(化学的気相成長)酸化膜をエッチングストッパ膜として、BSG(Boron-Silicate Glass)、PSG(Phosphor-Silicate Glass)、BPSG(Boron-doped Phosphor-Silicate Glass)などの犠牲酸化膜を選択的にエッチング除去している。あるいは、半導体装置製造工程の洗浄工程においては、このふっ酸蒸気のエッチングによるリフトオフ効果を利用して、ウエハ表面の異物を除去してウエハ表面を洗浄している。
【0005】
一方、半導体装置の特にフォトリソ工程においては、フォトレジスト膜のウエハに対する密着性をよくするために、ウエハ上へのフォトレジスト膜の塗布前に、ウエハの温度を40℃〜110℃に加熱した状態でHMDSなどのレジスト膜密着強化剤の蒸気をウエハ表面に向けて供給して、ウエハ表面に密着強化剤の膜を塗布している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のふっ酸蒸気によるエッチングおよび洗浄プロセスは、極めて微妙なプロセスである。このプロセスには、ウエハ表面上におけるふっ酸蒸気の濃度や流量が大きく関与している。すなわち、ウエハ表面へのふっ酸蒸気の供給が不均一であると、ウエハの面内で均一なエッチング処理および洗浄処理を行うことができない。またこれと同様に、上述のレジスト膜密着強化剤の蒸気による塗布プロセスにおいても、ウエハ表面へのレジスト膜密着強化剤の供給が不均一であると、ウエハの面内で均一な塗布処理を行うことができない。すなわち、いずれの蒸気による処理プロセスにおいても、ウエハ表面への供給が不均一であると、ウエハの面内で均一な処理を行うことができない。
【0007】
これらのウエハの面内で均一な処理を行うために、従来は、所定のノズル(以下、導入ノズルという)から容器内に蒸気を導入して一時的に収容し、その後、この容器の底面に設けられて多数の貫通孔がほぼ全体に形成された円形のパンチングプレートを介して蒸気を供給するようにしていた。しかしながら、上記導入ノズルの配置により、このノズルの延長線上付近の領域の貫通孔からの蒸気の流量だけが多くなってしまったり、貫通孔の孔径や加工具合などの微妙なバラツキによって各貫通孔からの蒸気の流量が不均一になったりするため、現実には、上記問題は十分には解決されていなかった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、蒸気を用いた基板表面の処理を基板面内で均一に行うことができる基板表面処理装置および基板表面処理方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板の表面に蒸気を供給して、基板の表面に処理を施す基板表面処理装置において、基板を保持しつつ、基板の中心を通り基板に垂直な回転軸を中心に基板を回転させる基板保持手段(45)と、この基板保持手段に保持された基板に向けて蒸気を供給する蒸気供給機構(90)とを備え、蒸気供給機構は、基板保持手段に保持された基板に対向する位置に設けられ、蒸気の導入口(36a)を有する供給室(91)と、基板保持手段を含む空間と供給室内の空間とを仕切るように設けられ、供給室内の蒸気を基板保持手段に保持された基板に供給するためのスリット状の蒸気供給孔(93a)を有する整流部材(93)とを備えることを特徴とする基板表面処理装置である。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じである。
【0011】
この構成によれば、蒸気が導入口から供給室内に供給される。この場合、蒸気は、供給室において流路の断面積が拡大されて広がった後、蒸気供給孔から吐出される。これにより、蒸気供給孔での蒸気の流量分布がより均一化されるため、基板表面での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にでき、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内でさらに均一に行うことができる。また、基板保持手段によって基板が回転されつつ、その基板の表面にスリット状の蒸気供給孔から蒸気がほぼカーテン状に供給される。これによると、蒸気供給孔がスリット形状であるので、多数の貫通孔から蒸気を供給する従来の技術のように導入ノズルの配置や蒸気供給孔の孔径や加工のバラツキなどによって、蒸気供給孔からの蒸気の流量分布が不均一になることが抑制され、基板が回転されている限り、基板表面での蒸気の濃度分布や流量分布を均一にできる。このため、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内で均一に行うことができる。
【0012】
ここで、「スリット状」とは、幅に比べて長さが長い細長い形状のことを指す。また、「スリット状の蒸気供給孔」は、たとえば、薄板材に開けられたスリット状の貫通孔であってもよいし、ブロック状の部材に開けられたスリット状の開口部であってもよいし、あるいは、隙間をもって向かい合う2枚の平板のスリット状の開口部であってもよい。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板表面処理装置において、蒸気供給孔(93a)は、基板保持手段に保持されている基板の表面に平行な平面内において延びるように設けられていることを特徴とする基板表面処理装置である。
【0014】
この構成によれば、蒸気供給孔は基板の表面に平行な方向に延びて設けられている。これにより、蒸気供給孔から基板表面までの距離はどの位置においても一定であるため、基板表面での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にできるので、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内でさらに均一に行うことができる。
【0015】
なお、この請求項2に記載の発明において、請求項3に記載の発明のように、整流部材(93)は、基板保持手段に保持されている基板の表面に対向し、該基板の表面に平行な上記平面内において上記蒸気供給孔の周囲に広がる整流面(93の下面)を有することが好ましい。この場合には、基板に平行で蒸気供給孔を含む平面内において広がる整流面を有するような整流部材が設けられている。これにより、基板表面と整流部材の整流面との間は、平行な2面で囲まれた処理空間となるため、基板の回転による乱流が最小限に抑えられる。このため、基板の処理空間における蒸気の流れが乱されて偏ってしまうことがないので、基板表面での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にでき、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内でさらに均一に行うことができる。
【0016】
なお、整流部材は、蒸気供給孔を含み基板表面に平行に対向する平面(整流面)を有するものであればよく、たとえば、少なくとも一つの整流面が形成された薄板状の部材であってもよいし、少なくとも一つの整流面が形成されたブロック状部材であってもよい。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、蒸気供給孔(93a)は、基板の回転軸(OW)に交差するように設けられていることを特徴とする基板表面処理装置である。
【0018】
この構成によれば、基板の回転軸の延長線上に少なくとも蒸気供給孔が開口している。これにより、基板の回転中心(回転軸と基板との交点)においても確実に蒸気が供給される。このため、基板の回転中心を含む基板表面全域での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にでき、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内でさらに均一に行うことができる。
【0019】
なお、この請求項4に記載の発明において、請求項5に記載の発明のように、蒸気供給孔(93a)は、少なくとも基板の回転半径を覆う範囲に設けられているのが好ましい。この場合、基板の回転中心から基板の回転外周に至る範囲全域に対して確実に蒸気が供給される。これにより、基板が回転している限り、基板表面全域での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にでき、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内でさらに均一に行うことができる。
【0020】
ここで、「基板の回転外周」とは、基板が回転する際に、基板の回転中心から最も遠い基板上の点が描く円軌跡のことで、「基板の回転半径」とは、この基板の回転外周の半径のことである。たとえば、基板が円形の場合は、回転外周は基板自体の外周に等しく、回転半径は基板自体の半径に等しいが、基板が角形、たとえば長方形である場合には、回転外周は基板の角部が描く円軌跡であり、回転半径は基板の対角線の長さの半分に等しい。
【0021】
なお、さらに、請求項6に記載の発明のように、蒸気供給孔(93a)は、少なくとも基板の回転直径を覆う範囲に設けられていることが好ましい。この場合、基板の回転外周から回転中心を介して反対側の回転外周に至る範囲全域に対して確実に蒸気が供給される。これによれば、請求項5の発明に比べてさらに、基板が1回転する間に2回の蒸気供給を行うことができ、仮にスリット状の孔の幅が長さ方向に関して不均一であったとしても、2回の蒸気供給によってこの不均一さを平均化することができる。このため、基板表面全域での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にでき、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内でさらに均一に行うことができる。
【0022】
なお、基板が1回転する間の蒸気供給の回数を増加させればさせるほど蒸気の濃度分布や流量分布の均一性を向上できることになる。たとえば、蒸気供給孔を、基板の回転軸を中心とする十字状や放射状のスリット状の孔とすればよい。しかし、このような構成にすると、結局、蒸気供給孔の開口面積の合計が増えるため、蒸気供給孔での蒸気の流量分布の均一性が低下してしまい、基板表面での濃度や流量の分布は必ずしもよくなるとは限らない。
【0023】
ここで、「基板の回転直径」とは、基板の回転外周の直径であり、言い換えれば、基板の回転半径の2倍である。たとえば、基板が円形の場合は、回転直径は基板自体の直径に等しいが、基板が角形、たとえば長方形である場合には、回転直径は基板の対角線の長さに等しい。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、蒸気供給孔に連通し、互いに平行に向かい合う一対の面で挟まれた通路(92b)をさらに有することを特徴とする基板表面処理装置である。
【0025】
この構成によれば、蒸気は、平らな隙間状の通路を介して蒸気供給孔から基板へと供給される。これにより、蒸気供給孔からの蒸気の吐出方向が安定し、蒸気供給孔付近での蒸気の乱流を抑制するため、基板表面への蒸気の供給を確実に行うことができ、蒸気を用いた基板表面の処理を、基板の面内でさらに均一に行うことができる。
【0026】
ここで、「一対の面」とは、一対の平面であってもよいし、一対の曲面であってもよいが、蒸気の吐出方向の安定性を考慮すると、一対の平面である方が好ましい。
【0027】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、基板保持手段に保持されている基板を加熱する基板加熱手段(45b)をさらに備えることを特徴とする基板表面処理装置である。
【0028】
この構成によれば、基板加熱手段によって蒸気が供給されている基板を加熱することができる。これにより、蒸気による基板処理に最適な温度とすることができ、基板処理を良好に行うことができる。
【0029】
たとえば、基板の処理がエッチング処理である場合には、エッチング処理速度を増減させたり、エッチング選択比を大きくすることができ、また、密着強化剤塗布処理である場合には、密着強化剤塗布膜の均一性を向上させることができる。
【0030】
ここで、「基板加熱手段」とは、基板保持手段内に内蔵された面発熱ヒータであってもよいし、基板保持手段の上方に設けられた赤外線ランプまたはセラミックヒータであってもよい。
【0031】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から8までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、上記蒸気は、基板の表面の膜を除去するための酸を含む蒸気であることを特徴とする基板表面処理装置である。
【0032】
この構成によれば、酸を含む蒸気が蒸気供給孔から基板に供給され、基板表面をエッチング処理または洗浄処理することができ、請求項1から8までのいずれかに記載の基板表面処理装置との組合わせにより、蒸気を用いて基板表面を均一に気相エッチングまたは気相洗浄することができる。
【0033】
ここで、「酸を含む蒸気」とは、塩酸、硝酸、硫酸、ふっ酸(HFおよび無水HFを含む)、または酢酸であってもよい。
【0034】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から9までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、供給室は、少なくとも基板の回転半径を覆うように設けられたことを特徴とする基板表面処理装置である。
【0035】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1から10までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、供給室は、少なくとも基板の回転直径を覆うように設けられたことを特徴とする基板表面処理装置である。
【0036】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1から11までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、供給室は、円筒状の内部空間を有することを特徴とする基板表面処理装置である。
【0037】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1から12までのいずれかに記載の基板表面処理装置において、供給室内で整流部材のスリット状の蒸気供給孔上に設けられたノズルブロック(92)をさらに備え、ノズルブロックは、蒸気供給孔と供給室内の空間とを連通させる通路(92b)を有することを特徴とする基板表面処理装置である。
【0038】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の基板表面処理装置において、供給室内の空間がノズルブロックにより一方および他方の拡散室(91A,91B)に分離されたことを特徴とする基板表面処理装置である。
【0039】
また、請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の基板表面処理装置において、ノズルブロックの側面に通路を通して蒸気供給孔に連通するブロック孔(92a)が開口したことを特徴とする基板表面処理装置である。
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の基板表面処理装置において、ブロック孔は、導入口とは反対側に開口したことを特徴とする基板表面処理装置である。
【0040】
また、請求項17に記載の発明は、基板の表面に蒸気を供給して、基板の表面に処理を施す基板表面処理方法において、基板の中心を通り基板に垂直な回転軸を中心に基板を回転させる基板回転工程と、基板保持手段に保持された基板に対向する位置に設けられた供給室内に蒸気を導入する蒸気導入工程と、基板保持手段を含む空間と供給室内の空間とを仕切るように設けられた整流部材のスリット状の蒸気供給孔から基板回転工程において回転されている基板の表面に対して蒸気を供給する蒸気供給工程と、を備えることを特徴とする基板表面処理方法である。
【0041】
この方法によれば、上記請求項1に記載の基板表面処理装置の発明の効果と同様に、基板表面の面内で均一な処理を行うことができるので、処理均一性が良好な基板を提供することができる。
【0042】
なお、この請求項17の基板表面処理方法の発明に関しても、上記請求項1から16までのいずれかに記載の基板表面処理装置の発明に関して上述したとおりの変形と同様の変形を行うことができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付けの図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図1は、この発明の一実施形態に係る基板表面膜除去装置の構成を説明するための図解的な平面図である。この装置は、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの表面に形成された酸化膜を除去するための装置である。より具体的には、たとえば、ウエハW上に形成された熱酸化膜上にメモリキャパシタ形成のために使用される犠牲酸化膜(BPSG膜など)が形成されている場合に、この犠牲酸化膜を選択的に除去するための装置である。この処理のために、この基板表面膜除去装置では、ふっ酸の蒸気をウエハWの表面に供給することにより、ふっ酸の気相エッチング処理によって膜除去工程が行われる。
【0045】
装置の構成について説明すると、この装置は、処理前のウエハWを収容したカセットCLが置かれるローダ部10と、ウエハWの表面に対して、ふっ酸蒸気による気相エッチング処理を行う気相エッチング処理部40と、この気相エッチング処理後のウエハWを水洗し、その後、水切り乾燥を行う水洗・乾燥処理部50と、水洗・乾燥処理部50によって処理された後のウエハWを収容するためのカセットCUが載置されるアンローダ部60と備えている。
【0046】
ローダ部10およびアンローダ部60は、この基板表面処理装置の前面パネル77の背後に配置されている。ローダ部10、気相エッチング処理部40、水洗・乾燥処理部50、およびアンローダ部60は、平面視においてほぼU字形状のウエハ搬送径路78に沿って、この順に配列されている。
【0047】
ローダ部10と気相エッチング処理部40との間には、ローダ部10に置かれたカセットCLから処理前のウエハWを1枚ずつ取り出して、気相エッチング処理部40に搬入するローダ搬送ロボット71が配置されている。また、気相エッチング処理部40と水洗・乾燥処理部50の間には、気相エッチング処理後のウエハWを気相エッチング処理部40から取り出して、水洗・乾燥処理部50に搬入する中間搬送ロボット81が配置されている。そして、水洗・乾燥処理部50とアンローダ部60の間には、水洗・乾燥処理後のウエハWを水洗・乾燥処理部50から取り出してアンローダ部60に置かれたカセットCUに収容するためのアンローダ搬送ロボット72が配置されている。
【0048】
ローダ搬送ロボット71、中間搬送ロボット81およびアンローダ搬送ロボット72は、それぞれ、下アームLAと上アームUAとを有する屈伸式のロボットの形態を有している。下アームLAは、図示しない回動駆動機構によって水平面に沿って回動されるようになっている。この下アームLAの先端に、上アームUAが水平面に沿う回動が自在であるように設けられている。下アームLAが回動すると、上アームUAは、下アームLAの回動方向とは反対方向に、下アームLAの回動角度の2倍の角度だけ回動する。これによって、下アームLAと上アームUAとは、両アームが上下に重なり合った収縮状態と、両アームが径路78に沿って一方側または他方側に向かって展開された伸長状態とをとることができる。
【0049】
このようにして、ローダ搬送ロボット71、中間搬送ロボット81およびアンローダ搬送ロボット72は、処理部間またはカセット−処理部間で、径路78に沿ってウエハWの受渡し行うことができる。
【0050】
気相エッチング処理後のウエハWを水洗および乾燥させる水洗・乾燥処理部50は、たとえば、ウエハWを水平に保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持されたウエハWに対して純水を供給する純水供給ノズルを備えている。この構成によって、ウエハWの表面および/または裏面に純水を供給してウエハWの表面を水洗する。水洗終了後は、純水の供給を停止し、スピンチャックを高速回転させることによって、ウエハWの表面の水分を振り切って乾燥する。
【0051】
図2は、気相エッチング処理部40の構成を説明するための図解的な断面図である。気相エッチング処理部40は、ハウジング41内に、ふっ酸水溶液42を密閉状態で貯留し、ウエハWに向けて供給すべきふっ酸蒸気を発生させるふっ酸蒸気発生機構43を備えている。このふっ酸蒸気発生機構43の下部には、ふっ酸蒸気をウエハWに向けて供給するためのふっ酸蒸気供給部90が設けられている。さらに、このふっ酸蒸気供給部90には、ほぼ円筒状の供給室91と、この供給室91の底部を閉塞するように、ウエハWとほぼ平行に設けられ、細長形状のスリット孔93aが形成された円板状の整流板93と、が備えられている。このふっ酸蒸気供給部90においては、ふっ酸蒸気は、供給室91内部を通過して、整流板93のスリット孔93aからウエハWの上面に供給される。なお、このふっ酸蒸気供給部90周辺の詳しい構成については後述する。
【0052】
整流板93の下方には、処理対象のウエハWを整流板93に対向させた状態で水平に保持するホットプレート45が配置されている。このホットプレート45の内部には、ウエハWを所定の温度(たとえば、40℃〜80℃)で加熱するためのヒータ45bが設けられている。さらに、ホットプレート45は、モータ等を含む回転駆動機構46によってウエハWの中心を通る鉛直軸OW(以下、回転軸OWという)まわりに回転(自転)されるスピン軸47の上端に固定されている。なお、上述のとおり、BPSG膜と熱酸化膜とでは、一定の温度(たとえば、40℃〜80℃の範囲内の所定温度)でのふっ酸蒸気によるエッチングレートが大きく異なるから、これを利用して、ウエハWの表面のBPSGを選択的に取り除くことができる。そこで、ホットプレート45は、ウエハWを上記一定の温度に保持するように、内部のヒータ45bへの通電が行われている。
【0053】
ホットプレート45の平面視における外方側には、ハウジング41の底面41aに対して上下に収縮するベローズ48が設けられている。このベローズ48は、上端縁に設けられている円環状の当接部48aを整流板93の周囲(ふっ酸蒸気発生機構43の下面)に当接させて、ホットプレート45の周縁の空間を密閉して処理室85を形成する密閉位置(図において実線で示す位置)と、その上端縁がホットプレート45の上面45aによりも下方に退避した退避位置(図2において2点鎖線で示す位置)との間で、図示しない駆動機構によって伸長/収縮駆動されるようになっている。
【0054】
ベローズ48の内部空間は、ハウジング41の底面41aにおいて開口する排気口49aに接続された排気配管49を介して、排気源55により排気されるようになっている。また、この排気口49aは、ホットプレート45に保持されたウエハWよりも下方に位置しており、ウエハWの上方から供給されたふっ酸蒸気を円滑に排気できるようになっている。なお、この排気源55は、排気ブロワまたはエジェクタなどの強制排気機構であってもよいし、当該基板表面処理装置が設置されるクリーンルームに備えられた排気設備であってもよい。
【0055】
ホットプレート45の側方には、ウエハWを搬入するための搬入用開口21、およびウエハWを排出するための搬出用開口22が、ハウジング41の側壁に形成されている。これらの開口21,22には、それぞれシャッタ38,39が配置されている。ウエハWの搬入時には、ベローズ48が退避位置(図2の破線の位置)に下降させられるとともに、シャッタ38が開成され、ローダ搬送ロボット71(図1参照)によって、ホットプレート45にウエハWが受け渡される。また、ウエハWの搬出時には、ベローズ48が退避位置とされるとともに、シャッタ39が開成されて、ホットプレート45上のウエハWが中間搬送ロボット81に受け渡されて搬出される。なお、開口21およびシャッタ38と、開口22およびシャッタ39との配置関係は、実際には、平面視でこれらとウエハWの中心とを結ぶ2本の線分が直交するようになっているが、この図2においては、図示の簡略化のため、これらの配置関係が、平面視でこれらとウエハWの中心とを結ぶ2本の線分が一直線上に重なるように(ウエハWの中心に対してほぼ点対称の位置関係に)描かれている。
【0056】
ふっ酸蒸気発生機構43には、ふっ酸水溶液42の液面の上方の空間35に、キャリアガスとしての窒素ガスを供給する窒素ガス供給配管54が接続されている。また、この空間35は、バルブ37を介して、ウエハWへとふっ酸蒸気を導くためのふっ酸蒸気供給路36に接続することができるようになっている。ふっ酸蒸気供給路36には、窒素ガス供給源31からの窒素ガスが、流量コントローラ(MFC)32、バルブ33および窒素ガス供給配管34を介して供給されるようになっている。また、窒素ガス供給源31からの窒素ガスは、流量コントローラ52およびバルブ53を介して、窒素ガス供給配管54に与えられるようになっている。なお、窒素ガスの供給/停止を切り換えるバルブ33,53、および窒素ガスの供給量を変化させる流量コントローラ32,52は、コントローラ80によって制御されるようになっている。
【0057】
また、ふっ酸蒸気発生機構43内に貯留されるふっ酸水溶液42は、いわゆる疑似共沸組成となる濃度(たとえば、1気圧、室温(20℃)のもとで、約39.6%)に調製されている。この疑似共沸組成のふっ酸水溶液42は、水とフッ化水素との蒸発速度が等しく、そのため、バルブ37からふっ酸蒸気供給路36を介してふっ酸蒸気が導かれることによってふっ酸蒸気発生機構43内のふっ酸水溶液42が減少したとしても、ふっ酸蒸気供給路36に導かれるふっ酸蒸気の濃度は不変に保持される。なお、図2中、符号44は、ふっ酸蒸気発生機構43内のふっ酸水溶液42を一定の温度に保持するための温調水が流通する温調配管を示している。
【0058】
ここで、ふっ酸蒸気供給部90周辺の構成を図3を用いてさらに詳細に説明する。ウエハWの上方には、ふっ酸蒸気供給路36からのふっ酸蒸気およびキャリアガスとしての窒素ガスが導かれる内部空間を有する供給室91が形成されており、前述の整流板93が、この供給室91の底面を塞ぐように設けられている。なお、供給室91の内部空間はウエハWの回転軸OWを中心軸とする円筒空間となっている。また、供給室91の内周面91aには、ふっ酸蒸気供給路36に連通し、供給室91内にふっ酸蒸気を導入するための導入口36aが開口している。
【0059】
そして、整流板93の中央部には、図3における紙面の手前から奥の方向に直線状に延びたスリット孔93aが貫通して形成されており、このスリット孔93aの上方を覆うように、整流板93上にノズルブロック92が設けられている。このノズルブロック92の図2における右側面には、スリット孔93aと同様な長さのスリット状のブロック孔92aが開口しており、また、ノズルブロック92の内部には、平らな隙間状のブロック通路92bが、ブロック孔92aとスリット孔93aを連通するように形成されている。なお、このブロック通路92bは、互いに平行に向かい合う一対の平面(図3におけるブロック通路92bの左右の平面)で挟まれて設けられる。
【0060】
このノズルブロック92によって、供給室91の内部は、図3における左右の2つの拡散室91Aおよび91Bに分割されており、また、これら2つの拡散室91A,91Bは、供給室91の天井面とノズルブロック92との間の隙間91hで連通されている。これらの構成によると、ふっ酸蒸気供給路36を介して導入口36aから導かれたふっ酸蒸気は、まず、左の拡散室91Aに導入された後、隙間91hを通過して右の拡散室91Bに導入され、そして、ブロック孔92aおよびブロック通路92bを介して、スリット孔93aからウエハWの上方へと供給される。
【0061】
なお、図3および図4で示したように、導入口36aの断面積よりも拡散室91Aの断面積の方が大きく、また、隙間91hの断面積よりも拡散室91Bの断面積の方が大きくなっている。このため、拡散室91Aおよび91Bは、ともにふっ酸蒸気を拡散させることができる蒸気拡散室として機能することとなり、ふっ酸蒸気の濃度分布および流量分布を均一化させる働きを持つことになる。
【0062】
ここで、図3におけるA−A断面の平面図を図4に示す。この図4に示すように、スリット孔93a(およびブロック通路92b)は、その長さのほぼ中央で、ウエハWの回転軸OWに交差(本実施形態の場合は、直交)するように設けられている。また、スリット孔93aの長さは、ウエハWの直径以上の長さとなっており、ウエハWの直径を覆う範囲に設けられている。この構成によると、ウエハWを回転させている限り、ウエハWの全面に向けてふっ酸蒸気が供給されることになるので、ウエハW表面でのエッチング処理を均一化できる。
【0063】
ここで、処理室85内でのウエハWの処理動作について説明する。ウエハWの表面の膜を除去する膜除去工程を行う時には、ベローズ48は整流板93の周縁に密着した密着位置(図2の実線の位置)まで上昇させられて、ホットプレート45を取り囲む密閉した処理室85が形成される。この状態で、コントローラ80は、バルブ33,37,53を開成状態に保持する。これにより、ふっ酸蒸気発生機構43内の空間35において生成されたふっ酸蒸気は、窒素ガス供給配管54からの窒素ガスによって、バルブ37を介し、ふっ酸蒸気供給路36へと押し出される。このふっ酸蒸気は、さらに、窒素ガス供給配管34からの窒素ガスによって、導入口36aから供給室91内へと導入され、さらに整流板93上のノズルブロック92や整流板93に形成されたスリット孔93aを介して、回転するウエハWの表面へと供給される。そして、ウエハWの表面では、ふっ酸蒸気とウエハWの表面の酸化膜(酸化シリコン)とが反応し、これにより、酸化膜の除去が達成される。
【0064】
以上のようにして膜除去工程を予め定めた一定の時間だけ行った後には、コントローラ80は、バルブ37,53を閉じて、膜除去工程を停止させる。それとともに、コントローラ80は、バルブ33を継続して開成状態にしておくとともに、流量コントローラ32を制御して配管34中を流通する窒素ガスの流量を増大させ、この窒素ガスを整流板93のスリット孔93aを介して、ウエハWの表面に供給する。これによって、ウエハWの表面付近に存在している水分子およびふっ酸分子が置換除去され、排気配管49を介する処理室85の排気によって、処理室85外へと運び去られる。このようにして膜除去工程の直後に、ウエハWの表面には不活性ガスとしての窒素ガスが供給されると、ウエハWの表面付近の水およびふっ酸の分子がすみやかに除去され、気相エッチング処理がすみやかに停止する。そして、膜除去工程後の窒素ガスの供給は、一定時間(たとえば10秒以上。20秒程度が好ましい。)にわたって継続され、その後、コントローラ80は、バルブ33を閉じて窒素ガスの供給を停止して一連の気相エッチング処理を終了する。
【0065】
以上に説明した一実施形態によると、ホットプレート45によってウエハWが回転されつつ、そのウエハWの表面にスリット孔93aからふっ酸蒸気がほぼカーテン状に供給される。このため、ウエハWが回転されている限り、ウエハW表面でのふっ酸蒸気の濃度分布や流量分布を均一にでき、蒸気を用いたウエハW表面の気相エッチング処理を、ウエハWの面内で均一に行うことができる。
【0066】
また、スリット孔93aはウエハWの表面に平行な方向に延びて設けられているので、スリット孔93aからウエハW表面までの距離はどの位置においても一定であり、したがって、ウエハW表面でのふっ酸蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にできる。
【0067】
また、ウエハW表面に平行でスリット孔93aの周囲に広がる整流面(整流板93の下面)を有する整流板93が設けられている。これにより、ウエハWの回転による乱流が最小限に抑えられるため、ウエハWの処理空間におけるふっ酸蒸気の流れが乱されて偏ってしまうことがないので、ウエハW表面でのふっ酸蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にできる。
【0068】
また、ウエハWの回転軸OWの延長線上に少なくともスリット孔93aが開口しているから、ウエハWの回転中心(回転軸OWとウエハWとの交点)を含むウエハW表面全域でのふっ酸蒸気の流量分布をさらに均一にできる。
【0069】
また、スリット孔93aは、ウエハWの回転半径(ウエハWの半径)を覆う範囲に設けられているので、ウエハWの回転中心からウエハWの回転外周(ウエハWの外周)に至る範囲全域に対して確実にふっ酸蒸気が供給される。これにより、ウエハWが回転している限り、ウエハW表面全域での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にできる。
【0070】
なお、この実施形態においては、さらに、スリット孔93aは、ウエハWの回転直径(ウエハWの直径)をも覆う範囲に設けられているので、仮にスリット孔93aの幅が長さ方向に関して不均一であったとしても、この不均一さを平均化することができる。このため、ウエハWが回転している限り、ウエハW表面全域での蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にできる。
【0071】
また、ふっ酸蒸気は、平らな隙間状のブロック通路92bを介してスリット孔93aからウエハWへと供給される。これにより、スリット孔93aからのふっ酸蒸気の吐出方向が安定し、スリット孔93a付近での蒸気の乱流を抑制するため、ウエハW表面へのふっ酸蒸気の供給を確実に行うことができる。
【0072】
また、供給室91内を流れるふっ酸蒸気は、拡散室91Aおよび91Bにおいてその流路の断面積が拡大されて広がった後、スリット孔93aから吐出される。これにより、スリット孔93aでのふっ酸蒸気の流量分布がより均一化されるため、ウエハW表面でのふっ酸蒸気の濃度分布や流量分布をさらに均一にできる。
【0073】
また、ヒータ45bによってふっ酸蒸気が供給されているウエハWを加熱することができるので、ウエハWを気相エッチング処理に最適な温度とすることができ、エッチング処理速度を増減させたり、エッチング選択比を大きくすることができる。
【0074】
(他の実施形態および参考例)
【0075】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することも可能である。
【0076】
上述の一実施形態では、ウエハW表面に平行な整流板93の上にノズルブロック92が設けられているが、このような場合には、導入口36aから導入されたふっ酸蒸気は、供給室91内で拡散されてすぐにスリット孔93aからウエハW表面に供給されることになる。
【0077】
また、上述の一実施形態では、整流部材としての整流板93は薄板材で形成されているが、すくなくともウエハW表面に平行な整流面を有するものであればよく、ウエハWに平行な平面が形成されたブロック状の部材であってもよい。
【0078】
図5は参考例のふっ酸蒸気供給部の周辺の構成を説明するための側方から見た図解的な断面図である。ここで、この構成について簡単に説明すると、ホットプレート45に保持されたウエハWの上方には、ウエハW表面にふっ酸蒸気を供給するためのふっ酸蒸気供給部290が備えられている。このふっ酸蒸気供給部290は、図5における手前から奥の方向に長く延びた外形を有し、ウエハW表面に向けてふっ酸蒸気を吐出するスリットノズル292と、このスリットノズル292と導入口36aとを接続する接続配管293とからなっている。また、このスリットノズル292には、スリットノズル292の図5における左側面において配管293が接続される丸孔状のノズル開口292aと、このノズル開口292aに連通する直方体状の拡散室292bと、この拡散室292bに連通する平らな隙間状のノズル通路292cと、このノズル通路292cに連通する細長形状のスリット孔292dと、が形成されている。これらの構成により、導入口36aから導入されたふっ酸蒸気は、接続配管293、ノズル開口292a、拡散室292b、およびノズル通路292cを順に通過して、スリット孔292dからウエハW表面へ供給されることになる。
【0079】
なお、スリット孔292dは、上述の一実施形態と同様に、平面視でウエハWの直径を覆う範囲に設けられている。また、ノズル通路292cは一対の面で挟まれた通路となっており、拡散室292bは上述の蒸気拡散室としての機能を有している。
【0080】
また、この図5で示した参考例においては、スリットノズル292とホットプレート45とを相対的に往復移動させるモータやシリンダなどの往復移動手段(図示せず)を備えるのが好ましい。具体的には、図5の紙面左右方向(Fの方向)に沿う方向、すなわち、スリット孔292dの延びる方向に直交しウエハWに平行な方向にスリットノズル292の移動を案内するガイドレール(案内機構)を設け、モータ等により、このガイドレールに沿ってスリットノズル292をウエハWおよびホットプレート45に対して往復して揺動させてもよい。なお、このスリットノズル292を揺動させる範囲は、ウエハWの全面を覆う範囲とするのが好ましい。また、上述の一実施形態(図2〜図4)においても、たとえば、ホットプレート45を紙面左右方向に往復して揺動させることができる。このようにすれば、スリットノズル292とウエハWおよびホットプレート45とを相対的に揺動させることができ、ウエハWに対する蒸気の供給位置が常に変化するので、ウエハW上方の処理空間における蒸気の濃度や流量が均一化される。
【0081】
また、上述の実施形態および参考例では、スリット孔93a,292dはウエハWの表面に平行な方向に延びて設けられているが、これに限らず、ウエハWの表面に対して傾斜した方向に延びていてもよい。たとえば、ウエハWの周辺部ではふっ酸蒸気の濃度低下のためにエッチングレートが低下する場合があるので、このような場合には、ウエハWの中心から外周に行くにしたがってウエハW表面に近づくように傾斜する山形状のスリット孔としてもよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、平面視でスリット孔93aは一直線状に延びているが、たとえば、平面視で曲線状に延びるものであってもよいし、ウエハWの回転軸OWを中心として平面視で十字状または放射状に延びるものであってもよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、基板保持手段としてのホットプレート45にはヒータ45bが設けられているが、特に基板保持手段にヒータ45bが設けられている必要はない。またこの基板加熱手段としてのヒータ45の代わりに、たとえば、ウエハWの上方に設けられた赤外線ランプまたはセラミックヒータを用いてもよい。
【0084】
また、上述の実施形態および参考例では、スリット孔93a,292dに至るまでの流路の途中には、蒸気拡散室としての拡散室91A,91B,292bが設けられているが、この蒸気拡散室を設ける場合、その蒸気拡散室の数は2つ以上であることが好ましい。
【0085】
なお、上述の実施形態では、ウエハW表面を処理するための蒸気としてふっ酸蒸気を用いているが、塩酸、硝酸、硫酸、または酢酸などのような酸を含む蒸気であれば何でもよい。たとえば、上記酸を含む水溶液自体の蒸気であってもよく、上記酸を含むガス(気相状態のもの)を水蒸気中に混合したものであってもよい。また、レジスト密着強化膜をウエハW表面で均一に塗布するレジスト密着強化剤塗布装置およびレジスト密着強化剤塗布方法に本発明を適用してもよく、この場合、ウエハW表面を処理するための蒸気としては、HMDSなどのようなレジスト密着強化剤の蒸気が用いられる。
【0086】
また、上述の実施形態においては、処理対象の基板は、半導体用のウエハWであるが、液晶表示装置およびプラズマディスプレイ用ガラス基板、ならびに光、磁気および光磁気ディスク用基板などの各種の基板であってもよい。また、その基板の外形も、円形に限らず、角型であってもよい。
【0087】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0088】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に係る発明の基板表面処理装置によると、基板表面での蒸気の濃度分布や流量分布を均一にでき、蒸気を用いた基板表面の処理を基板の面内で均一に行うことができるという効果を奏する。
【0089】
また、請求項2に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1に記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0090】
また、請求項3に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項2に記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0091】
また、請求項4に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から3までのいずれかに記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0092】
また、請求項5に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項4に記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0093】
また、請求項6に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項5に記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0094】
また、請求項7に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から6までのいずれかに記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0095】
また、請求項8に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から7までのいずれかに記載の発明において、蒸気による基板処理に最適な温度とすることができ、基板処理を良好に行うことができるという効果を奏する。
【0096】
また、請求項9に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から8までのいずれかに記載の発明において、特に、基板表面を均一に気相エッチングまたは気相洗浄することができるという効果を奏する。
【0097】
また、請求項10に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から9までのいずれかに記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0098】
また、請求項11に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から10までのいずれかに記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0099】
また、請求項12に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から11までのいずれかに記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0100】
また、請求項13に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項1から12までのいずれかに記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0101】
また、請求項14に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項13に記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0102】
また、請求項15に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項13または14に記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0103】
また、請求項16に係る発明の基板表面処理装置によると、請求項15に記載の発明の効果をさらに向上させることができる。
【0104】
さらに、請求項17に係る発明の基板表面処理方法によると、請求項1に記載の発明の基板表面処理装置と同様の効果を奏する基板表面処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板表面処理装置の構成を説明するための図解的
な平面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る気相エッチング処理部の構成を説明するための側
方から見た図解的な断面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係るふっ酸蒸気供給部90周辺の構成を説明するため
の側方から見た図解的な断面図である。
【図4】この発明の一実施形態に係るふっ酸蒸気供給部90の周辺の構成を説明するた
めの図3A−A断面における図解的な断面図である。
【図5】参考例のふっ酸蒸気供給部の周辺の構成を説明するための側方から見た図解的な断面図である。
【符号の説明】
21 搬入用開口
22 搬出用開口
31 窒素ガス供給源
32 流量コントローラ
33 バルブ
34 窒素ガス供給配管
35 空間
36 ふっ酸蒸気供給路
36a 導入口
37 バルブ
38,39 シャッタ
40 気相エッチング処理部(基板表面処理装置)
41 ハウジング
41a ハウジングの底面
42 ふっ酸水溶液
43 ふっ酸蒸気発生機構
44 温調配管
45 ホットプレート(基板保持手段)
45a ホットプレートの上面
45b ヒータ(基板加熱手段)
46 回転駆動機構
47 スピン軸
48 ベローズ
49 排気配管
49a 排気口
52 流量コントローラ
53 バルブ
54 窒素ガス供給配管
55 排気源
80 コントローラ
85 処理室
90 ふっ酸蒸気供給部(蒸気供給機構)
91 供給室
91A 拡散室(蒸気拡散室)
91B 拡散室(蒸気拡散室)
91a 内周面
91h 隙間
92 ノズルブロック
92a ブロック孔
92b ブロック通路(通路)
93 整流板(整流部材)
93a スリット孔(蒸気供給孔)
290 ふっ酸蒸気供給部(蒸気供給機構)
292 スリットノズル
292a ノズル開口
292b 拡散室(蒸気拡散室)
292c ノズル通路(通路)
292d スリット孔(蒸気供給孔)
293 接続配管
OW 回転軸(基板の回転軸)
W ウエハ(基板)
Claims (17)
- 基板の表面に蒸気を供給して、基板の表面に処理を施す基板表面処理装置において、
基板を保持しつつ、基板の中心を通り基板に垂直な回転軸を中心に基板を回転させる基板保持手段と、
この基板保持手段に保持された基板に向けて蒸気を供給する蒸気供給機構とを備え、
上記蒸気供給機構は、
上記基板保持手段に保持された基板に対向する位置に設けられ、蒸気の導入口を有する供給室と、
上記基板保持手段を含む空間と上記供給室内の空間とを仕切るように設けられ、上記供給室内の蒸気を上記基板保持手段に保持された基板に供給するためのスリット状の蒸気供給孔を有する整流部材と、を備えることを特徴とする基板表面処理装置。 - 上記蒸気供給孔は、基板保持手段に保持されている基板の表面に平行な平面内において延びるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板表面処理装置。
- 上記整流部材は、基板保持手段に保持されている基板の表面に対向し、該基板の表面に平行な上記平面内において上記蒸気供給孔の周囲に広がる整流面を有することを特徴とする請求項2に記載の基板表面処理装置。
- 上記蒸気供給孔は、上記基板の回転軸に交差するように設けられていることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の基板表面処理装置。
- 上記蒸気供給孔は、少なくとも基板の回転半径を覆う範囲に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の基板表面処理装置。
- 上記蒸気供給孔は、少なくとも基板の回転直径を覆う範囲に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の基板表面処理装置。
- 上記蒸気供給孔に連通し、互いに平行に向かい合う一対の面で挟まれた通路をさらに有することを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の基板表面処理装置。
- 上記基板保持手段に保持されている基板を加熱する基板加熱手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の基板表面処理装置。
- 上記蒸気は、基板の表面の膜を除去するための酸を含む蒸気であることを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の基板表面処理装置。
- 上記供給室は、少なくとも基板の回転半径を覆うように設けられたことを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の基板表面処理装置。
- 上記供給室は、少なくとも基板の回転直径を覆うように設けられたことを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の基板表面処理装置。
- 上記供給室は、円筒状の内部空間を有することを特徴とする請求項1から11までのいずれかに記載の基板表面処理装置。
- 上記供給室内で上記整流部材のスリット状の蒸気供給孔上に設けられたノズルブロックをさらに備え、
上記ノズルブロックは、上記蒸気供給孔と上記供給室内の空間とを連通させる通路を有することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の基板表面処理装置。 - 上記供給室内の空間が上記ノズルブロックにより一方および他方の拡散室に分離されたことを特徴とする請求項13に記載の基板表面処理装置。
- 上記ノズルブロックの側面に上記通路を通して蒸気供給孔に連通するブロック孔が開口したことを特徴とする請求項13または14に記載の基板表面処理装置。
- 上記ブロック孔は、上記導入口とは反対側に開口したことを特徴とする請求項15に記載の基板表面処理装置。
- 基板の表面に蒸気を供給して、基板の表面に処理を施す基板表面処理方法において、
基板の中心を通り基板に垂直な回転軸を中心に基板を回転させる基板回転工程と、
上記基板保持手段に保持された基板に対向する位置に設けられた供給室内に蒸気を導入する蒸気導入工程と、
上記基板保持手段を含む空間と上記供給室内の空間とを仕切るように設けられた整流部材のスリット状の蒸気供給孔から上記基板回転工程において回転されている基板の表面に対して蒸気を供給する蒸気供給工程と、
を備えることを特徴とする基板表面処理方法。
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