JP3625599B2 - 基板の焼成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローラで順次搬送する過程で基板に熱処理を施すための焼成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の被焼成物を支持して一方向に順次搬送する過程で、それら複数の被焼成物に熱処理を施す形式のトンネル状の焼成装置の一つとして、互いに平行に配置されてそれぞれ軸心回りに回転駆動される複数本のローラによって複数の被焼成物を支持して順次搬送する所謂ローラハースキルン(以下、RHKという)が知られている。このようなRHKにおいては、メッシュベルトで搬送する場合のような炉体内部における摺動がなくそれに伴う塵埃が発生し得ないため、被焼成物の汚染が生じ難いという利点がある。特に、ローラがセラミックスから構成される場合には、炉体内において被焼成物が金属と接触させられないことから、一層汚染が抑制される。そのため、以下のような高いクリーン度の下で焼成することが望まれる被焼成物の焼成炉として好適に用いられている。
【0003】
例えば、ソーダライムガラスに代表されるガラス製基板やアルミナに代表されるセラミックス基板の上に、金属或いは無機材料をガラスボンド成分の溶融や、材料自体の軟化、溶融、或いは焼結により、所定の機能を生じる膜が固着されたりするような、膜形成素材を含む基板が知られている。蛍光表示管の陽極基板、プラズマディスプレイパネル用基板、プラズマアドレス液晶表示装置のプラズマスイッチング基板、フィールドエミッション表示装置用基板などの表示デバイス用基板、厚膜配線基板、或いはサーマルプリンターヘッドやイメージセンサ等の電子デバイス用基板がそれである。このような電子デバイス用基板には、一般に、基板自体のアニールのためやガラス素材を結合剤として応用した機能材料の膜形成のために、500 乃至650(℃) 程度の熱処理が施され、セラミック基板においてはガラス素材を結合剤として応用した機能材料の膜形成、或いは金属材料自体の界面の溶融を応用した機能材料の膜形成のために例えば500 乃至900(℃) 程度の熱処理が施される。このような膜形成素材を含む基板において、所望の機能を得るためには高い品質の膜が形成されることが望まれることから製造過程における汚染が大きな問題となるため、焼成炉にも高いクリーン度が要求されるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のRHKでは、ローラの回転が基板との間の摩擦力によって伝達されることに基づいてその基板が搬送される。そのため、ローラと基板との滑りに起因する搬送ムラが生じて、順次搬送される基板が相互に干渉して損傷し得るという問題がある。すなわち、ローラは必ずしも軸心が回転軸心と一致した状態で支持されていないことから、複数本のローラの各々毎に回転角度位置に応じた周速度の変動が生じ得る。特に、ローラがセラミックスから構成される場合には、ステンレス鋼等から成る金属製ローラに比較して反りやうねり等が大きいことから、このような周速度の変動は一層生じ易くなる。また、基板の搬送面として機能するローラの上面は、反りやうねり等の存在によって必ずしも一平面上に位置させられていないことから、他のローラによって形成される搬送面よりも上側に位置するローラは搬送抵抗を生じさせ、下側に位置するローラは基板に回転力を伝達し得ないことから駆動力の低下をもたらす。したがって、これらの要因により、ローラと基板との滑りが生じ得るのである。
【0005】
そこで、一般に、RHKにおいては、搬送方向における基板位置を一乃至数箇所で非接触で検出する基板位置検出装置が備えられ、その検出結果に基づいてローラの回転速度を搬送方向の複数の区分毎に制御することが行われている。この基板位置検出装置は、例えば、RHKの左右の側壁に光電検出装置(光電スイッチ)を構成する一対の投受光器が設けられ、基板の搬送方向前側端部を検出するように構成されている。RHKは、前述のように高いクリーン度が要求されることから用いられているため、基板位置検出装置を設けることによるクリーン度の低下等が生じないように、非接触で光学的に基板を検出し得る光電検出装置が好適に用いられるのである。なお、基板がそれよりも大きい面積のセッタ上に載置された状態で搬送される場合には、基板位置検出装置によってそのセッタの端部が検出される。
【0006】
しかしながら、上記従来の基板位置検出装置は、光電検出装置の投光器の光軸がローラの軸心方向と平行となるように、すなわち基板表面と平行となるように設けられて、光電検出装置の投光器から射出された光が、基板或いはセッタの搬送方向に沿った側部端面によって遮られることにより基板位置が検出されるように構成されていた。そのため、前述のような用途に用いられる基板や、その基板が載置されるセッタの厚さは、それらの合計寸法でも数(mm)乃至十数(mm)程度と薄いものである一方、前述のようにローラの上面が反りやうねり等によって必ずしも一平面上に位置させられていないことから、検出位置において基板が光軸から外れた上側或いは下側に位置させられると、検出漏れが生じ得るという問題があった。
【0007】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、基板位置の検出漏れが生じ難いRHKを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、互いに平行に配置されてそれぞれ軸心回りに回転駆動される複数本のローラによって膜形成素材を含む複数の基板を支持して一方向に順次搬送する過程でそれら複数の基板に均一に熱処理を施す形式のトンネル状の焼成装置であって、(a)前記複数の基板の各々に順次均熱処理を施すために前記一方向に並んで熱的に分割して設けられ且つそれぞれ均熱制御される複数の加熱区分と、(b)前記基板を前記加熱区分の各々で所定時間保持してその基板を均熱するためにそれら加熱区分毎に設けられた停止位置に順次搬送する搬送装置と、(c)前記加熱区分毎に設けられた停止位置の各々に前記基板の位置を検出するために設けられ、前記ローラ相互の間の位置に設定された所定の基板検出点を、その基板の上面に対して所定角度傾斜する方向から非接触で検出するように位置させられた基板位置検出装置を、含むことにある。
【0009】
【発明の効果】
このようにすれば、トンネル状の焼成装置は、基板の搬送方向の一部においてその基板位置を検出するために設けられ、ローラ相互の間の位置に設定された所定の基板検出点を、その基板の上面に対して所定角度傾斜する方向から非接触で検出するように位置させられた基板位置検出装置を含んで構成される。そのため、検出方向が基板上面と平行とされていないことから、ローラの反りやうねり等に起因して基板が上下に変位させられた場合にも、実質的に基板検出点が変位することによって基板が検出可能な範囲から外れ難いため、基板位置の検出漏れが抑制される。
【0011】
しかも、基板の焼成装置には、一方向に並んで熱的に分割して設けられてそれぞれ均熱制御される複数の加熱区分と、基板をそれら複数の加熱区分の各々で所定時間保持するためにそれぞれに設けられた複数の停止位置に順次搬送する搬送装置とが備えられ、前記基板検出点は、それら複数の停止位置の各々に設けられる。そのため、基板は、トンネル状の焼成装置内において一方向に順次搬送される過程で複数の加熱区分の各々において順次均熱されるが、それら複数の加熱区分の各々においては、各々の停止位置に設けられた基板検出点において前記基板位置検出装置によって基板が検出されることにより、それら各々設定された停止位置に停止させられる。したがって、基板内の温度ばらつきを可及的に小さくするために複数の加熱区分毎に均熱されつつ基板が熱処理される場合において、可及的に高い均熱状態が得られるように設定される停止位置に基板が停止させられることから、基板内の温度ばらつきが一層抑制される。
【0012】
上記により、例えば、膜形成素材を含む基板を熱処理する場合においても、基板内の温度のばらつきが可及的に小さくされるので、基板がガラス製である場合にあってその歪点以上の温度で熱処理される場合は、基板内の寸法の局部的変化すなわち形成パターンのゆがみが可及的に小さくされるので、次工程以降のパターンとの位置ずれが防止されて、精細なパターンや大型基板であっても製造歩留まりが飛躍的に高められる。また、基板の表面に厚膜誘電体層、隔壁状誘電体層、厚膜抵抗層、電極層、無機着色顔料層が設けられる場合にあっては、それら厚膜内のボンド成分として機能するガラスの溶融、軟化の程度が一様となって、また金属−金属酸化物系の溶融、焼結の程度が一様となって、それぞれ耐電圧品質、隔壁の高さおよび幅寸法、抵抗値、放電品質、光学的フィルター特性のばらつきなどが好適に小さくされ、大型基板であっても製造歩留まりが飛躍的に高められる。さらに、上記のように抵抗値のばらつきが小さくされる結果、工程の管理負荷や、トリミングなどの工程が削減され或いは負荷が軽減される。
【0013】
因みに、近年では、上記のような膜形成素材を含む基板は、その表面にパターニング形成される導体、抵抗、誘電体などの多層化および細密化が図られるとともに、特に、前記表示デバイス用基板では表示面積の大型化に伴って比較的大きな寸法のものを製造することが必要となっている。そのため、表示デバイス用基板では大きな寸法に亘って細密にパターン形成することが要求されるとともに、前記電子デバイス用基板では、機能を発生させる膜に与えられるパターン空間が細密化することによって品質の確保のために膜の均一性が一層要求される。しかしながら、基板の焼成によってもたらされる品質への影響は、上記のように大型となる程大きくなり、それらのばらつきが製品設計上の制約となったり、製品の歩留まりを低下させる一因となっていた。
【0014】
例えば、熱処理に伴って基板素材そのものの膨張或いは収縮による寸法変動がある場合は、機能を有する膜のパターニング後に行われる焼成毎のパターン間の位置合わせが困難となる。また、抵抗層においては抵抗値のばらつき、誘電体層においては耐電圧のばらつきや残存率の不均一による厚み寸法のばらつき、導体層においては導通抵抗およびワイヤボンディング性やスパッタリング性などのばらつきが大きくなる。これらパターン間の位置合わせの一致性および層品質の均一性は、精細なパターンとなる程或いは基板が大型となる程、維持することが困難となり、製品歩留まりが加速度的に低下するという不都合があった。したがって、例えば40インチ以上の大型表示装置としてのプラズマディスプレイ用基板を例にとると、次のような歩留まり低下要因がある。すなわち、多数のセルを形成する多層構造の各層の寸法精度が確保できない、障壁の高さおよび幅の寸法のばらつきが生じる、抵抗付セルにおいては抵抗値のばらつきを生じる、誘電体層においては耐電圧にばらつきを生じる、全体的な寸法ばらつきはフロント板とリヤ板とを組み合わせて放電セルを形成するときにズレを生じる、などである。本発明者等の研究結果によれば、このような問題は厚膜に含まれる金属、無機材料の溶融或いは焼結状態、機能成分を固着させるために低下されるガラスボンド成分、或いは誘電体にあってはガラス成分そのものの軟化或いは溶融状態が基板内において局部的に相違することによって生じることから、熱処理の過程においては、基板内の温度分布が可及的に均一となることが望まれるのである。
【0015】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記基板位置検出装置は、前記基板検出点を含み且つ前記基板の搬送方向に垂直な面内( すなわち法線がその搬送方向に平行な面内 )に設けられているものである。このようにすれば、搬送されている基板は、搬送方向に垂直な基板検出点を含む面内で検出されることから、ローラの反りやうねり等によって基板位置が上下に変位させられた場合にも、基板検出点は専らその搬送方向に垂直な面内でのみ変位させられる。したがって、搬送方向において予め設定された所定位置において確実に基板が検出されて、搬送間隔や間歇搬送される場合の停止位置の変化が一層抑制される。なお、ここで、「基板位置検出装置は、・・・・・面内に設けられている」とは、基板位置検出装置のうち、実際に基板検出のために機能する部分が上記面内に設けられていることを意味し、例えば、光電検出装置等によって光学的に基板位置を検出する場合においては、投光器の光軸がその面内に位置させられていることを意味する。
【0016】
また、好適には、前記所定角度は、1 乃至6 度である。なお、上記所定角度は、例えば90度とすることも可能である。ただし、この場合は、基板の上面に垂直な上下方向に基板位置検出装置が備えられるが、通常、上下位置にはヒータが備えられることから、ヒータとの干渉を避け得る焼成装置の側面、すなわち90度よりも小さい角度とするほうが、基板位置検出装置を設けることが容易となるため好ましい。
【0017】
また、好適には、前述のように複数の加熱区分が設けられる場合において、前記基板は、各加熱区分内における均熱中において前記一方向に沿って往復移動させられ、前記基板検出点は、各加熱区分内において搬送方向後方側に設けられる往復移動の停止位置にも設けられる。このようにすれば、基板内の温度ばらつきを一層抑制するために各加熱区分における均熱中に基板が往復移動させられる場合にも、予め設定された往復移動範囲でその基板が確実に往復移動させられる利点がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1、図2、図3は、本発明の基板の焼成装置の一実施例であって、基板10を一方向へ順次搬送する過程で焼成を施す形式の連続型焼成装置12の構成を示しており、図1は正面図、図2は炉体の幅方向中央を通り長手方向に沿った断面図、図3(a) 〜(e) はそれぞれ図2におけるa−a乃至e−e視断面をそれぞれ示す図である。図において、それぞれ独立に駆動される第1搬送装置14、複数の第2搬送装置16a、16b、〜16f(以下、特に区別しないときは単に第2搬送装置16という)、第3搬送装置18が直列に配置されており、基板10は、それら第1搬送装置14、第2搬送装置16、第3搬送装置18によって一方向に搬送されることにより、トンネル状の炉体20a、20b(以下、特に区別しないときは単に炉体20という)内を通過させられるようになっている。
【0020】
上記トンネル状の炉体20は、例えば内壁がβ−スポジュメン系結晶化ガラス等の耐熱ガラスから構成されたものである。炉体20a内には、基板10を最高処理温度まで加熱すると共にその過程で基板10上に印刷形成された膜に含まれているバインダ(樹脂)を燃焼除去するための予熱ゾーン(予熱部)22と、基板10をその最高処理温度で所定時間保持するための加熱ゾーン(加熱部)24と、基板10を徐々に冷却するための徐冷ゾーン(徐冷部)26とが設けられており、炉体20b内には、基板10を常温付近まで冷却するための冷却ゾーン(冷却部)28が設けられている。
【0021】
前記第1搬送装置14は、上記予熱ゾーン22および加熱ゾーン24に対応する位置に設けられている。この第1搬送装置14は、炉体20aの下方に設けられて連続的に駆動される減速機付モータ30の回転を、チェーン32、および一軸線上に設けられた複数本のラインシャフト34a、34b、〜34e(以下、特に区別しないときは単にラインシャフト34という)を介して、炉体20aの長手方向に沿って一定の間隔で設けられた複数のマイタギア36a、36b、〜36f(以下、特に区別しないときは単にマイタギア36という)に伝達し、それら複数のマイタギア36によってそれぞれ分担される駆動区分38a、38b、38c、38d(以下、特に区別しないときは単に駆動区分38という)、駆動区分40a、40b(以下、特に区別しないときは単に駆動区分40という)毎に、図2に示されるように炉体20aを水平方向に貫通して設けられている複数本のローラ42を回転させることにより、そのローラ42上に乗せられた基板10を例えば300(mm/min) 程度の第1の搬送速度で連続的に搬送するものである。
【0022】
なお、駆動区分40bに対応するマイタギア36fは、ワンウェイカップリングを介してラインシャフト34eに接続されていると共に、そのラインシャフト34eと反対側位置において更にワンウェイカップリングを介して減速機付モータ44が接続されている。モータ44は、第2搬送装置16に同期してラインシャフト34よりも速い回転速度で間歇的に駆動されるものである。そのため、マイタギア36fは、モータ44の停止中にはラインシャフト34eの回転が伝達されてマイタギア36eと同様な速度で駆動されるが、モータ44の駆動中はその回転のみが伝達されて、駆動区分40b内のローラ42上の基板10が前記の第1の搬送速度(例えば300[mm/min] 程度)よりも速い例えば5000(mm/min)程度の第2の搬送速度で搬送される。
【0023】
また、複数の第2搬送装置16は、それぞれ独立して間歇的に駆動される減速機付モータ46a、46b、〜46f(以下、特に区別しないときは単にモータ46という)を備えたものであり、図2に示される各駆動区分48毎に設けられた複数本のローラ42を軸心回りに右回りおよび左回りに回転させるように構成されている。そのため、基板10を図の右方向に搬送する際には、その搬送速度が例えば5000(mm/min)程度の第2の搬送速度となるように右回りに回転駆動されるが、後述のように各加熱室R内で基板10を均熱する際には、1300(mm/min)程度の第3の搬送速度で基板10が往復移動させられるように、右回りおよび左回りに交互に反転駆動される。
【0024】
また、第3搬送装置18は、図1から明らかなように、第1搬送装置14においてマイタギア36の個数を減じ、炉体20の長手方向の前後が反転された構成とされている。すなわち、駆動区分40bと同様な構成の駆動区分50a、駆動区分38b等と同様な構成の駆動区分50b、および駆動区分38aと同様な構成の駆動区分50cから構成されている。そのため、炉体20bの下方に備えられた減速機付モータ52の回転がチェーン54、ラインシャフト34g、および34fを介してマイタギア36i、36h、および36gに伝達されることにより、それぞれの駆動区分50に備えられているローラ42が回転させられる。また、徐冷ゾーン26に隣接する駆動区分50aでは、駆動区分40bと同様に、減速機付モータ56の回転がワンウェイカップリングを介して伝達されることにより、それに属するローラ42が間歇的に他のローラ42よりも速い速度すなわち第2搬送装置16に同期した速度で駆動される。
【0025】
図3に戻って、炉体20を水平方向に貫通して設けられた前記複数本のローラ42は、例えば円筒状のアルミナ製ローラである。炉体20の側部外側には一対の軸受け58、58(図3(a) のみに図示)が設けられており、これにローラ42と同軸的に設けられた回転軸60がそれぞれ支持されている。ローラ42は、それぞれこれら一対の回転軸60、60に両側から挟まれた状態で支持されており、駆動区分38、40、50においては、図において省略されているマイタギア36等、ラインシャフト34等、および各駆動区分38等毎にマイタギア36等と複数本の回転軸60との間にそれぞれ巻き掛けられたチェーン61を介して、前記モータ30の回転がそれら複数本の回転軸60に伝達され回転させられると、その回転軸60の回転に伴って回転させられる。すなわち、マイタギア36等は、直接にはこの回転軸60を駆動している。また、駆動区分48においては、それぞれ備えられているモータ46の回転がそのモータ46と複数本の回転軸60との間に巻き掛けられたチェーン61を介して伝達されることにより、その回転軸60の回転に伴ってローラ42が回転させられる。なお、図3(a) は、図2におけるa−a視断面に対応する図であるが、a2 −a2 視断面も同様な断面形状である。前記基板10は、炉体20内においてこのローラ42に支持されている。そのため、ローラ42が回転させられるとその回転に伴って一方向に搬送されることとなる。このとき、第1搬送装置14および第3搬送装置18が設けられている予熱ゾーン22、加熱ゾーン24、冷却ゾーン28においてはローラ42が連続的に回転させられて基板10が連続的に搬送される一方、第2搬送装置16が設けられている徐冷ゾーン26においてはローラ42が間歇的に回転させられて基板10が間歇的に搬送されることとなる。すなわち、本実施例においては、第2搬送装置16が間歇搬送装置すなわち請求の範囲でいう「搬送装置」に相当する。
【0026】
また、図1、図2、図3から明らかなように、前記の予熱ゾーン22には、予熱ゾーン22内の温度を検出するための複数の温度検出器TCが、前記の駆動区分38毎に長手方向中央の幅方向の3位置において上下に設けられると共に、炉体20の上側および下側に複数のゾーンを形成し且つそのゾーン毎に独立して制御されるヒータHが、それぞれの駆動区分38毎に炉体20の長手方向および幅方向にそれぞれ4ゾーンずつ設けられている。すなわち、図1乃至図3においては一部が省略されているが、図4(a) に駆動区分38aについて模式的に示すように、各駆動区分38毎に基板10の送り方向Aおよびそれに直交する図示しないローラ42の長手方向にそれぞれ4分割された合計16組のヒータH1111、H1112、H1113、H1114、H1121、H1122、H1123、H1124、H1131、H1132、H1133、H1134、H1141、H1142、H1143、H1144(駆動区分38b、38c、38dにはそれぞれH1211〜H1244、H1311〜H1344、H1411〜H1444が備えられる)が炉体20の上下において各一対として配設され、ヒータH1121とH1131の間の位置、ヒータH1122、H1123、H1132、およびH1133の間の位置、ヒータH1124とH1134の間の位置にそれぞれ温度検出器TC111 、TC112 、TC113 (駆動区分38b、38c、38dにはそれぞれTC121 〜TC123 、TC131 〜TC133 、TC141 〜TC143 )が配設されている。図2に駆動区分38aの上側に一部について例示するように、各々の温度検出器TCおよびヒータHは制御装置62に接続されており、温度検出器TCで検出された温度信号に従ってヒータHの出力が制御される。
【0027】
また、予熱ゾーン22には、炉体20aの入口側の駆動区分38aの入口上部に給気管64が設けられると共に、続く駆動区分38b、38c、38dの基板10の搬送方向前方側に排気管66が設けられている。これら給気管64および排気管66は、例えばローラ42と同様なアルミナセラミックスから構成されて何れも炉体20の幅方向に貫通するように設けられている。給気管64は、その両端部において炉体20側面に備えられている給気用配管68に接続されており、図示しない空気供給源から導かれた空気を炉体20内に供給する。また、排気管66は、その両端部において炉体20側面に備えられている排気用配管70に接続されており、炉体20内に供給された空気はその内部を流れる過程で複数の排気管66から吸い込まれ、排出口72から排出される。これら給気管64および排気管66は、それぞれ図5(a) 、(b) に示されるように丸穴状のノズル74或いは長穴状のノズル76を複数箇所に備えたものである。
【0028】
また、前記加熱ゾーン24には、加熱ゾーン24内の温度を検出するための複数の温度検出器TCが、駆動区分40毎に炉体20の長手方向および幅方向のそれぞれ3位置において上下に設けられると共に、炉体20の上側、下側および両側面上部に複数のゾーンを形成し且つそのゾーン毎に独立して制御されるヒータHが、それぞれの駆動区分40毎に炉体20の長手方向に4ゾーン、幅方向に両側面上部の各1ゾーンを含む6ゾーンずつ設けられている。すなわち、図4(b) に示されるように、各駆動区分40毎に基板10の送り方向Aおよびそれに直交する図示しないローラ42の長手方向にそれぞれ4分割された合計16組のヒータH2111、H2112、H2113、H2114、H2121、H2122、H2123、H2124、H2131、H2132、H2133、H2134、H2141、H2142、H2143、H2144が炉体20の上下において各一対として配設されると共に、炉体20の幅方向両側の上部側面において送り方向Aにそれぞれ4分割された(4組の)ヒータH2115、H2125、H2135、H2145、H2116、H2126、H2136、H2146(駆動区分40bにはH2211〜H2246)が両側面で一対として配設されている。また、ヒータH2111内、H2112とH2113との間、H2114内、H2121とH2131との間、H2122、H2123、H2132、H2133の間、H2124とH2134との間、H2141内、H2142とH2143との間、H2144内の位置にそれぞれ9組の温度検出器TC2111、TC2112、TC2113、TC2121、TC2122、TC2123、TC2131、TC2132、TC2133(駆動区分40bにはTC2211〜TC2233)が上下に配設されている。
【0029】
また、前記の徐冷ゾーン26には、図2に駆動区分48aについて示されるように、炉体20の長手方向に沿って等間隔で複数のシャッタ装置S1 、S2 、〜S7 (S1 、S2 のみ図示。以下、特に区別しないときは単にシャッタ装置Sという)が設けられており、徐冷ゾーン26が駆動区分48a、48b、〜48fにそれぞれ対応する複数例えば6つの第1加熱室R1 、第2加熱室R2 、〜第6加熱室R6 (以下、特に区別しないときは単に加熱室Rという)に分割されている。本実施例においては、第1加熱室R1 乃至第6加熱室R6 が相互に熱的に区分された複数の加熱区分に相当する。なお、図に示されるように、シャッタ装置S1 は駆動区分40bと48aとの間に、S2 は駆動区分48aと48bとの間にそれぞれ設けられており、図示しない他のシャッタ装置は、S3 乃至S6 が駆動区分48b乃至48f相互の間に、S7 が駆動区分48fと50aとの間にそれぞれ設けられている。
【0030】
上記のシャッタ装置Sは、図2に断面構造を、図3(d) にシャッタ装置S2 を通る断面(図2におけるd−d視断面)をそれぞれ示すように、例えば炉体20の長手方向に垂直な面内において上側内壁面から下方に伸びる上側固定シャッタ78と、下側内壁面から上方に伸びる下側固定シャッタ80と、平板状を成してそれらに平行に設けられ、ローラ42に平行な回動軸82の軸心回りに回動させられる回動シャッタ84とを備えたものである。回動軸82の炉外に突き出した部分の近傍には、その回動軸82を軸心回りに回動させるためのエアシリンダ86が設けられている。このため、シャッタ装置Sは、エアシリンダ86の作動に従ってその回動軸82が回動させられることにより、上下の固定シャッタ78、80間に形成された開口部88が回動シャッタ84によって開放され或いは閉鎖され、加熱室R間を相互に連通させ或いは遮蔽させる。なお、上側固定シャッタ78、下側固定シャッタ80、回動シャッタ84は何れも内壁と同様な材質の耐熱ガラス製板等から構成されている。
【0031】
上側固定シャッタ78および下側固定シャッタ80は、それぞれ互いに平行に設けられた相互に高さの異なる一対の耐熱ガラス製板から構成されており、上記回動軸82は、上側固定シャッタ78の下端位置において一対の耐熱ガラス製板の間の位置に設けられ、回動シャッタ84はその回動軸82から伸びて設けられている。なお、上側固定シャッタ78は、複数本のローラ42によって形成される基板10の搬送面(図6参照)から例えば80(mm)程度の距離だけ離隔して位置させられており、一方、下側固定シャッタ80は、搬送面から数(mm)乃至十数(mm)程度の距離だけ離隔して位置させられている。例えばPDP用のフロントプレートやリヤプレートにおいては、基板10の厚さは、基板10を載せて炉内を搬送するために通常用いられているセッタ138(図9参照)の厚さを含めても10(mm)程度以下であって、上記の上側固定シャッタ78と搬送面との距離に比較して十分に薄いことから、基板10は、上側固定シャッタ78および回動シャッタ84に干渉することなく加熱室R間に設けられている開口部88を通過させられる。また、ローラ42相互の中心間隔gは、図に示されるように各加熱室R内およびそれらの境界部において、150(mm) 程度の一様な寸法に設定されている。
【0032】
また、徐冷ゾーン26の各駆動区分48には、それぞれ前記制御装置62に制御されて各加熱室Rの温度を検出するための複数の温度検出器TCおよび各加熱室Rを加熱するための複数のヒータHが、前記図4(b) に示される前記加熱ゾーン24と同様な配設パターン(駆動区分48aにはTC3111〜TC3133およびH3111〜H3146、駆動区分48bにはTC3211〜TC3233およびH3211〜H3246、駆動区分48cにはTC3311〜TC3333およびH3311〜H3346、駆動区分48dにはTC3411〜TC3433およびH3411〜H3446、駆動区分48eにはTC3511〜TC3533およびH3511〜H3546、駆動区分48fにはTC3611〜TC3633およびH3611〜H3646)で設けられている。また、各加熱室R内には、基板10の搬送方向後方側(上流側)に上部および下部から冷却用空気を供給するための給気管90、90が備えられると共に、その冷却用空気を搬送方向前方側(下流側)の上部から排出するための排気管92とが設けられている。これら給気管90および排気管92は、それぞれ予熱ゾーン22に設けられている給気管64、排気管66と同様なものであり、丸穴状のノズル74或いは長穴状のノズル76が設けられたアルミナセラミックス製のチューブから構成されている。また、給気管90および排気管92は、炉体20の外部に設けられた給気用配管94および排気用配管96にそれぞれ接続されており、給気管90に図示しない空気供給源から個々の加熱室Rの給気用配管94毎に設けられた送気管98a、98b、〜98f(送気管98aのみ図示。以下、特に区別しないときは単に送気管98という)を介して冷却用空気が導かれると共に、排気管92から吸い込まれた各加熱室R内の空気が排出口100から排出される。個々の送気管98には電磁弁102a、102b、〜102f(電磁弁102aのみ図示。以下、特に区別しないときは単に電磁弁102という)が設けられており、制御装置62によって加熱室R内への給気が開始および停止させられると共に給気量が調節される。なお、図においては、加熱室Rの上下にそれぞれ設けられた給気管90、90が共通の送気管98に接続されているが、それぞれ電磁弁102を備えた別々の送気管98に接続されて独立に制御されてもよい。
【0033】
また、前記の冷却ゾーン28には、冷却ゾーン28内の温度を検出するための温度検出器TC41、TC42、T43が、駆動区分50毎に炉体20長手方向中央の幅方向中央位置において上側に設けられると共に、炉体20の上側および下側にその幅寸法に略等しい長さを有する複数の冷却ジャケットCが、それぞれの駆動区分50毎に炉体20の長手方向に3列ずつ設けられている。冷却ジャケットCは、その内部に図1に示される冷却水配管104から枝管106を介して供給される冷却水が流通させられるものである。上下に配されたそれぞれ3つの冷却ジャケットCは相互に連結されており、それら3つの冷却ジャケットC内を順次流通させられた冷却水は、図1に示される反対側の側面に設けられた図示しない排水管から排出される。冷却ジャケットCに供給される冷却水の流量は駆動区分50毎に枝管106に設けられている電磁弁108a、108b、108cによって調節される。この冷却ゾーン28に設けられている温度検出器TCおよび電磁弁108も前記の制御装置62に接続されており、温度検出器TCによって検出された温度信号に基づいて冷却ジャケットCに流通される冷却水量が制御される。
【0034】
また、図1乃至3には省略されているが、駆動区分48a、48bの境界近傍について図1における背面側を軸受け58を省略した状態で図6に示すように、各駆動区分相互の境界近傍には、前記制御装置62に接続された基板位置検出装置110が備えられている。この基板位置検出装置110は、図6におけるVII −VII 視断面に対応する図7に示すように、炉体20aの幅方向両外側に対向して配置された一対の投光器112aおよび受光器112bから成る光電スイッチ(光電センサ)112(以下、投光器112aおよび受光器112bを特に区別しないときは単に光電スイッチ112という)を有するものである。この光電スイッチ112は、例えば赤外線を投受光することにより、図に一点鎖線で示される投光器112aの光軸上における基板10の有無を検出するものである。図6に示されるように、光電スイッチ112は駆動区分相互の境界から例えば150 (mm)程度の距離dだけ基板搬送方向後方側に隔てた位置において、複数本のローラ42間の中央に位置させられている。したがって、光電スイッチ112とその両側に位置する2本のローラ42、42との間隔d1 、d2 は同じ大きさとなっているが、ローラ42相互の間隔gは焼成装置12全体に亘って例えば150 (mm)程度とされていることから、本実施例においては、d1 =d2 =75(mm)程度である。
【0035】
上記の光電スイッチ112は、図7に示されるように、断面L字状の金具114によって軸受け58に取り付けられているが、投光器112aはローラ42よりも上側に位置させられ、受光器112bはローラ42よりも下側に位置させられている。これら一対の投光器112a、受光器112bは、投光面および受光面が互いに平行となるように対向して設けられており、その光軸は水平面に対して例えばθ=4 °程度の傾き角度とされている。すなわち、光電スイッチ112はθ=4 °程度の角度で基板10の搬送面を光軸が貫くように設定されている。なお、前記の図6においては、軸受け58等は省略されている。炉体20aの側壁には、光電スイッチ112の光軸が軸心と一致するように上記の傾き角度θだけ傾斜した一対の貫通穴116、116が設けられており、この貫通穴116を介して投光器112aから射出された光が受光器112bで受光されるようになっている。これら一対の貫通穴116は、上側に位置する投光器112aに対応する一方はローラ42よりも上側に設けられているが、下側に位置する受光器112bに対応する他方はローラ42よりも下側に設けられている。
【0036】
上記の貫通穴116にはパイプ118が埋め込まれており、そのパイプ118の炉外側端部にはソケット120が取り付けられ、更に、そのソケット120にサイトホール122が取り付けられている。これらパイプ118およびソケット120は、例えば何れもステンレス鋼から成るものである。また、サイトホール122は、例えば、図8に示されるように軸心方向に貫通する段付き貫通穴124を備えたステンレス鋼等から成る略円筒状の本体部126と、その段付き貫通穴124が大径とされた薄肉部128側に嵌め込み固定された耐熱ガラス円板130とから成るものである。本体部126は、薄肉部128の内周面およびその薄肉部128を除く部分の外周面にそれぞれ雌ねじおよびテーパ雄ねじを備えており、上記耐熱ガラス円板130は、環状の一対のパッキン132、132に挟まれた状態で薄肉部128の雌ねじにねじ込まれた環状ねじ134によって固定されている。このように構成されたサイトホール122は、外周面の雄ねじが前記ソケット120の内周面に設けられた図示しない雌ねじと嵌め合わされることにより固定されており、このため、炉体20aに設けられた貫通穴116は耐熱ガラス円板130によって塞がれている。耐熱ガラス円板130は、炉体20a内の熱から光電スイッチ112を保護する目的で設けられたものであり、光電スイッチ112の投受光はこの耐熱ガラス円板130を通して行われることとなる。
【0037】
また、前述のように、光電スイッチ112はローラ42、42の間の位置に設けられているが、前記光軸は、図7におけるIX−IX視断面に対応する図9に示されるように、ローラ42の軸心に平行且つ複数本のローラ42によって形成される基板10の搬送面(図6に一点鎖線で図示)と垂直な平面内に位置させられている。このように構成された基板位置検出装置110によれば、基板10が図に示される搬送方向に搬送される過程で光電スイッチ112の光軸上に差し掛かると、その基板10の端部136によって受光器112bへの赤外線の入射が妨げられることから、基板10が駆動区分48等毎に予め定められた停止位置SB まで搬送されたことが検出される。このとき、実際に検出されるのは、基板10の端部136のうち光軸との交点すなわち図7に示されるP点である。すなわち、本実施例においては、このP点が基板検出点に相当し、基板検出点Pは基板10の上面に対して角度θ(=4 °)だけ傾斜する方向から検出される。そのため、ローラ42の反りやうねり等に起因して基板10が上下に変位させられていたとしても、光軸と基板10との交点が図の左右方向のどこかで生じることから、基板検出点Pが図における左右に変位するだけであるため、基板10の検出ミス(検出漏れ)が抑制される。
【0038】
しかも、上記構成から明らかなように、基板位置検出装置110は、炉体20に設けた貫通穴116にサイトホール122を取り付けて炉体外から非接触で光学的に基板位置を検出するため、炉内雰囲気を乱し、或いは炉外への放熱量を増大させることなく、基板位置を検出し得ることとなる。なお、図において138は、基板10に焼成装置12によって熱処理を施すに際してその基板10を載置して搬送するためのセッタである。したがって、上記基板位置検出装置110によって検出される端部136は、厳密にはセッタ138の端部である。焼成装置12においては、基板10はセッタ138上に載置された状態で熱処理が施されるが、それぞれの厚さが極めて小さいことから、図1乃至図7においては両者を一体的に描き、全体を基板10として図示している。
【0039】
なお、上記の基板位置検出装置110は、以上説明した駆動区分48aと駆動区分48bとの間だけではなく、各駆動区分38、40、48、および50の各々に前記図2に符号SA 、SB 、SC で示される位置に設けられている。すなわち、駆動区分38a乃至40b、および駆動区分50a乃至50cでは、基板10の搬送方向前部の基板検出位置SA に対応する位置に基板位置検出装置110がそれぞれ設けられている。また、駆動区分48a乃至48fでは、搬送方向前部の基板検出位置SB および搬送方向後部の基板検出位置SC に対応する位置に基板検出装置110が設けられている。したがって、前記図6等に示される基板検出装置110は、基板検出位置SB に対応する位置に設けられたものである。前述のように、駆動区分48a乃至48fすなわち加熱室R1 乃至R6 では、基板10が搬送方向の前後に往復移動させられるようになっていることから、その往復位置の前後に対応する位置すなわちSB 、SC に基板位置検出装置110が設けられているのである。
【0040】
なお、図2においては、基板検出位置SA がSB およびSC よりも隣接する駆動区分との境界から離隔した位置に設けられているが、基板検出位置SA は、原則として各駆動区分内における通過点に過ぎず、その位置で基板10が定期的に停止させられるものではないため、任意の位置に設けることが可能であり、例えば、基板検出位置SB に対応する位置に設けられてもよい。また、駆動区分48a乃至48fでは相互に隣接する駆動区分の前部および後部にそれぞれ基板位置検出装置110が前記距離dの2倍程度の間隔(すなわち2d=300 [mm]程度の間隔)で設けられることとなることから、検出ミスを抑制するためには、投光器112aおよび受光器112bの図7における左右の配置を隣接する駆動区分相互に前部および後部で反対とし、或いは、ローラ42との上下関係を前部および後部で相互に反対とすることが望ましい。
【0041】
図10は前記制御装置62の構成を示す図である。予熱ゾーン22、加熱ゾーン24、徐冷ゾーン26、および冷却ゾーン28の駆動区分38、40、48、50(或いは加熱室R)毎に所定数ずつ設けられた炉体20内の温度を検出するための温度検出器TC111 、TC112 、〜TC43により検出された温度を示す各信号、および、各駆動区分毎に1或いは2箇所に設けられた基板位置検出装置110(一つのみ図示)により基板10が検出されることにより発生させられる基板検出信号は、マルチプレクサ140によって所定の周期で時分割され、且つA/D変換器142においてデジタル信号に変換された後、演算制御回路144へ入力される。この演算制御回路144は、例えばマイクロコンピュータにより構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、出力インターフェース146を介して、モータ駆動回路MD1 へ第1搬送装置14を連続駆動させるための信号を、モータ駆動回路MD2 へ第1搬送装置14の駆動区分38bを第2搬送装置16の駆動速度に同期して駆動させるための信号をそれぞれ供給し、また、各ヒータ駆動回路D1111、D1112、〜D3646へ、ヒータH1111、H1112、〜H3646を駆動させるための信号を供給し、また、モータ駆動回路MD31、MD32、〜MD36へ第2搬送装置16a、16b、〜16fを間歇駆動するための信号を供給し、また、シリンダ駆動回路CDS1、CDS2、〜CDS7へ回動シャッタ84を駆動するためのエアシリンダ86a、86b、〜86gを駆動させるための信号を供給し、また、モータ駆動回路MD41へ第3搬送装置18を連続駆動させるための信号を、モータ駆動回路MD42へ第3搬送装置18の駆動区分50aを第2搬送装置16の駆動速度に同期して駆動させるための信号をそれぞれ供給し、更に、電磁弁駆動回路SD1 、SD2 、SD3 、SDa1、SDa2、〜SDa6へ電磁弁108a、108b、108c、102a、102b、〜102fを駆動させるための信号を供給する。
【0042】
なお、上記の各ヒータH1111、H1112、〜H2246は、予熱ゾーン22および加熱ゾーン24内で炉体20の温度が幅方向において均等且つ長手方向(基板10の搬送方向)で所定の温度勾配が形成されるように、また、ヒータH3111、H31 12、〜H3646は、徐冷ゾーン26の各加熱室R内の温度がそれぞれ予め設定された温度で均等となるように、それぞれ予め設定された各部位の目標温度比或いは相互の出力比に従って制御されるようになっている。例えば、炉体20の幅方向中央に位置するヒータH1112、H1113、H1122、H1123、〜H3642に比較して、幅方向端部に位置するヒータH1111、H1114、H1121、H1124、〜H3644の出力が高められる。また、炉体20の長手方向において低温側(予熱ゾーン22および加熱ゾーン24の駆動区分40aにおいては基板10の搬送方向後方側、加熱ゾーン24の駆動区分40bおよび徐冷ゾーン26においては搬送方向前方側)に位置するヒータH1111、H1112、H1113、H1114、H1211、H1212、H1213、H1214、〜H2116、およびH2241、H2242、H2243、H2244、H2245、H2246、H3141、H3142、H3143、H3144、H3145、H3146、〜H3646は、各ゾーン22、128、130の高温側(上記と反対側位置)に位置するヒータH1141、H1142、H1143、H1144、H1241、H1242、H1243、H1244、〜H2146、およびH2211、H2212、H2213、H2214、H2215、H2216、H3111、H3112、H3113、H3114、H3115、H3116、〜H3616に比較して出力が高められる。
【0043】
図11および図12は、連続型焼成装置12を用いて膜形成素材を含む基板10を焼成する場合において、各基板10毎の位置および図11において時刻t0 に搬入された基板10の昇降温カーブをそれぞれ示すタイミングチャートである。なお、図11において一点鎖線は各駆動区分38等の境界を示し、図に示されるように徐冷ゾーン26においては各加熱室Rすなわち加熱区分の境界に等しい。すなわち、縦軸は炉体20内の長手方向(基板10の搬送方向)の位置を示している。また、右上がりに描かれた複数本の実曲線はそれぞれ各基板10の動きに対応し、その傾きの大きさが搬送速度の速さを表す。以下、これらのタイミングチャートを参照して基板10の焼成方法を説明する。
【0044】
まず、時刻t0 において、未焼成の基板10が図1に示される搬入方向に従って予熱ゾーン22の駆動区分38側から搬入される。このとき、徐冷ゾーン26に設けられたシャッタ装置Sは全て閉じられて、各加熱室Rが相互に分離されており、基板10が搬送過程において図12に示される温度カーブで昇降温させられるように、炉体20の各ゾーン22、24、26に設けられたヒータHがフィードバック制御で駆動されて炉体20内が加熱されると共に、冷却ゾーン28に設けられた電磁弁108が駆動されて冷却ジャケットCに冷却水が流されることにより、それぞれのゾーンの各部位が予め設定された目標温度に保持されている。また、モータ30およびモータ52が駆動されて第1搬送装置14および第3搬送装置18内のローラ42が図2における右回り方向に回転させられている。このため、搬入された基板10は、前記の第1の搬送速度で加熱ゾーン24に向かって搬送される。
【0045】
次いで、時刻t0 から例えば300 秒程度経過した時刻t1 においては、次の基板10が予熱ゾーン22に搬入され、更に300 秒程度経過した時刻t2 においては、更に次の基板10が予熱ゾーン22に搬入される。すなわち、予熱ゾーン22には、例えば300 秒程度毎に基板10が順次搬入され、基板10の前端部136の間隔は1500(mm)程度となることから、基板10の搬送方向の長さを1000(mm)とすれば、相互の間隔が500 (mm)程度で搬入されることとなる。このように順次搬入された基板10は、回転駆動されているローラ42に支持された状態で予熱ゾーン22をその終端まで搬送される過程で、例えば1100秒程度の時間で例えば500(℃) 程度の最高焼成温度MTまで昇温させられる。図11、図12のt3 時点はこの状態を示す。
【0046】
このとき、予熱ゾーン22の駆動区分38の各々に設けられた基板位置検出装置110により、順次搬入される基板10が各基板検出位置SA において順次検出され、検出信号が制御装置62に順次送られる。前記演算制御回路144は、この検出時間間隔が搬入間隔に保持されているか否かを判断し、例えば検出時間間隔が搬入間隔の4/5 程度に短くなっている場合には、搬入を一時的に停止させて予熱ゾーン22に搬入される基板10の搬入時間間隔を調節し、或いは、第1搬送装置14を一時的に停止させることにより、加熱ゾーン24に続く徐冷ゾーン26への基板10の搬入時間間隔を調節する。すなわち、実質的に基板10の搬送速度を調節する。因みに、焼成装置12のように複数本のローラ42によって基板10を搬送する所謂RHKにおいては、ローラ42と基板10との滑りに起因する搬送速度ムラが生じ得る。そのため、基板10の搬送時間間隔は必ずしも搬入時間間隔に保持されないことから、時として前後に続く基板10が相互に接触して破損し得るという問題があるため、上記のように搬送時間間隔を炉体20内において検出して調節することが必要となるのである。
【0047】
続く加熱ゾーン24においては、基板10が最高焼成温度MTに保持された状態で第1搬送装置14によって予熱ゾーン22から連続して搬送される。但し、加熱ゾーン24内での搬送速度は、当初は予熱ゾーン22と同様に第1の搬送速度とされるが、基板10が駆動区分40bに完全に入ると、モータ44が駆動されることによって第2の搬送速度に高められる。このとき、加熱ゾーン24と徐冷ゾーン26との間に設けられているシャッタ装置S1 が開けられると共に、加熱室R1 内のローラ42を駆動する第2搬送装置16aが所定の第2の搬送速度(すなわち駆動区分40bと同様な搬送速度)で駆動される。そのため、基板10は加熱ゾーン24から徐冷ゾーン26の加熱室R1 すなわち第1の均熱温度KT1 に保持されている加熱室R1 内に速やかに搬送され、往復移動範囲の前方側端となる基板検出位置SB において基板位置検出装置110によってその端部136が検出されることにより、加熱室R毎に定められた停止位置(すなわち基板検出位置SB )に停止させられる。t4 時点はこの状態を示している。本実施例においては、最高焼成温度MTに達してから加熱室R1 内に搬入されるまでの加熱時間(所謂キープ時間)は例えば400 秒程度である。このようにして徐冷ゾーン26に搬入された基板10は、各加熱室R内で予め設定されている所定温度(すなわち第1乃至第6の均熱温度)KT1 、KT2 、〜KT6 で所定時間保持されて均熱され、続く加熱室Rに速やかに搬送される過程を繰り返しつつ、図12に示される階段状の降温カーブに従って徐冷される。なお、第1の均熱温度KT1 は最高焼成温度MTよりも数 (℃) 乃至十数 (℃) 程度の所定値ΔKTだけ低い温度であり、第2の均熱温度KT2 、第3の均熱温度KT3 、〜第6の均熱温度KT6 は、それぞれ更に所定値ΔKTずつ低くされた温度である。
【0048】
このとき、基板10が加熱室R1 内に搬入されると、開けられていたシャッタ装置S1 が閉じられると共に、駆動区分48aの第2搬送装置16aのモータ46aが反転駆動されて、基板10が搬送方向に沿って加熱室R1 内で図2に破線で示される範囲(SB 〜SC )で往復移動させられつつ均熱される。この往復移動時において、往復移動範囲の搬送方向前方側端では、加熱室R内への基板10搬入時と同様に基板検出位置SB において基板端部136が検出されることによりモータ46が逆転駆動に切り換えられるが、搬送方向後方側端では、図に基板検出位置SC において基板10の上記端部136とは反対側の後方側端部が検出されることによりモータ46が正転駆動に切り換えられる。このようにして、予め定められた例えば180 秒程度の保持時間が経過すると、基板10の往復移動が停止させられてシャッタ装置S2 が開けられ、基板10が続く加熱室R2 内に搬送される。図11のt5 時点はこの状態を示している。基板10が加熱室R2 内に完全に入るとシャッタ装置S2 が閉じられ、その加熱室R2 内において加熱室R1 内と同様に均熱処理が施される一方、空室となった加熱室R1 内に必要に応じて給気管90から冷却用空気が供給された後、同様にして続く基板10が搬入されて均熱処理が施される。なお、基板10の搬入出に要する時間すなわちシャッタ装置Sが開けられてから再び閉じられるまでの時間は例えば30秒程度である。また、各加熱室R内における熱処理の1サイクル、すなわち順次基板10を搬入するために搬送方向後方側のシャッタ装置Sが開けられる間隔は、予熱ゾーンへの基板10の搬入間隔に等しい300 秒程度である。
【0049】
なお、加熱ゾーン24内においても基板検出装置110は予熱ゾーン22と同様に基板10の搬送時間間隔を維持するために機能させられるが、徐冷ゾーン26内においては、上記のように各加熱室R内において、基板10が均熱性の可及的に高い往復移動範囲に位置し、且つその範囲内で往復移動させられることが望まれるため、基板位置検出装置110は、専ら前記停止位置SB 、SC でそれぞれ停止させるために機能させられる。更に、徐冷ゾーン26においては、上記のようにシャッタ装置Sによって加熱室Rが相互に遮蔽されることから、確実に停止位置SB で停止させられないとシャッタ装置Sと基板10との干渉が生じることにもなるため、基板位置検出の必要性は一層高くなっているのである。因みに、図2の下部に搬送方向における温度分布を加熱室R1 について例示するように、搬送方向の前後においては隣接する加熱室R等の設定温度の影響を受けて所望の温度が得られないため、加熱室R内での均熱処理中において基板10全体を所望の温度に保持するためには、グラフの水平部分に対応する位置に基板10を位置させることが必要となる。基板検出位置SB 、SC は、このような範囲に設定されているのである。
【0050】
また、因に、図12に示される昇温カーブの例えば500(℃) 程度以上の最高焼成温度MTに続く所定の冷却期間における冷却条件は、膜形成素材を含む基板10の熱処理の上で重要な要素である。たとえば、VFD(蛍光表示管)やPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、PALC(プラズマ・アドレスド液晶表示装置)、FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)に用いるとき、基板10がソーダライムガラスに代表される低歪点のガラス製である場合には、基板10内の温度が不均一となって各部の冷却速度が相互に相違することに起因してその寸法の局所的変化を発生させることから、多層厚膜印刷の位置合わせを困難としたり、あるいはフロントプレートとリヤプレートとの厚膜印刷面を組合わせることにより多数のセルを形成するPDPやFEDに用いるときに両者のずれによってセルを構成できない部分を生じるので、たとえば40インチというような大型となるほど製造歩留まりを加速度的に低下させる。図13は、搬送方向前端側の冷却速度が搬送方向後端側の冷却速度よりも高い従来の焼成法における基板10の寸法(実線)を焼成前の寸法(一点鎖線)に比較して示している。また、基板10上に多数個の厚膜印刷抵抗体や厚膜ボンディングパッドなどが設けられる場合には、基板10内の温度が不均一となって各部の冷却速度が相互に相違することに起因して、機能を有する厚膜層に結合材として含まれるガラス成分の溶融、軟化の程度によって、また、厚膜に含まれる金属、無機材料粒子の溶融、焼結の程度によって抵抗値やボンディング適性が左右されることから、印刷抵抗体の抵抗値やボンディング適性のばらつきによって基板10が大型となるほど製造歩留まりを加速度的に低下させる。更に、厚膜印刷による誘電体層の積層によって基板10に所定高さのリブ壁を形成する場合でも、基板10内の温度が不均一となって各部の冷却速度が相互に相違することに起因して厚膜に含まれるガラス成分の溶融、軟化の程度によって焼成収縮率すなわち厚膜の膜厚や幅寸法が左右されることから、基板10が大型となるほど製造歩留まりを加速度的に低下させる。
【0051】
上記のようにして、加熱室R1 、R2 、〜R6 内で順次保持されることにより徐冷ゾーンでの熱処理が終了すると、シャッタ装置S7 が開けられると共に、モータ46fとモータ56とが駆動されることにより、駆動区分48fおよび133aが同期して駆動され、基板10が加熱室R6 から冷却ゾーン28に搬出される。図11および図12のt14時点はこの状態を示している。その後、第3搬送装置18のモータ56が停止させられて基板10が冷却ゾーン28内を第1の搬送速度で搬送されてその右端部から搬出され、その過程で図12に示されるように昇温速度と略同様な降温速度で急速に冷却される。図11のt15時点はこの状態を示している。この冷却過程に要する時間は、例えば700 秒程度であり、基板10が予熱ゾーン22に搬入されてから冷却が終了するまでの時間(t0 〜t15)は、例えば3500秒程度(1時間程度)である。なお、前述のように、基板10は例えば300 秒程度の所定の時間間隔で予熱ゾーン22に順次搬入されていることから、図11から明らかなように、搬入時と等しい300 秒程度の所定時間間隔で順次冷却ゾーン28から搬出されていくこととなる。この冷却ゾーン28においても、前記予熱ゾーン22等と同様に基板検出位置SA において基板位置が検出され、基板間隔が所期の値に保持されるように、第3搬送装置18が制御される。
【0052】
上述のように、本実施例によれば、焼成装置12は、各駆動区分38a、38b、〜50cの基板10の搬送方向の前部或いは前後において基板位置を検出するために設けられ、ローラ42相互の間の位置に設定された所定の基板検出点Pを、その基板10の上面に対して角度θ傾斜する方向から非接触で検出するように位置させられた基板位置検出装置110を含んで構成される。そのため、検出方向が基板10上面と平行とされていないことから、ローラ42の反りやうねり等に起因して基板10が上下に変位させられた場合にも、基板検出点Pが変位することによって基板10が検出可能な範囲から外れ難いため、基板位置の検出漏れが抑制される。
【0053】
また、本実施例によれば、焼成装置12には、一方向に並んで熱的に分割して設けられてそれぞれ均熱制御される複数の加熱室R1 、R2 、〜R6 と、基板10をそれら複数の加熱室R毎に設けられた複数の停止位置に順次搬送する第2搬送装置16とが備えられ、基板検出点Pすなわち基板検出位置SB は、それら複数の停止位置の各々に設けられる。そのため、基板10は、熱処理の過程において一方向に順次搬送される過程で複数の加熱室Rの各々において順次均熱されるが、複数の加熱室Rの各々においては、各々の基板検出位置SB すなわち停止位置に設けられた基板検出点Pにおいて基板位置検出装置110によって基板10が検出されることにより、それら各々設定された停止位置に停止させられる。したがって、本実施例のように基板10内の温度ばらつきを可及的に小さくするために複数の加熱室R毎に均熱されつつ基板10が熱処理(徐冷)される場合において、可及的に高い均熱状態が得られるように設定される停止位置に基板10が停止させられることから、基板10内の温度ばらつきが一層抑制される。
【0054】
また、本実施例においては、基板位置検出装置110は、基板検出点Pを含み且つ基板10の搬送方向に垂直な面内に投光器112aの光軸が位置するように設けられているものである。このようにすれば、搬送されている基板10は、搬送方向に垂直な基板検出点Pを含む面内で検出されることから、ローラ42の反りやうねり等によって基板位置が上下に変位させられた場合にも、基板検出点Pは予め設定された基板検出位置SA 、SB 、SC において、基板10の搬送方向に垂直な面内でのみ変位させられる。したがって、搬送方向において予め設定された基板検出位置SA 、SB 、SC において確実に基板10が検出されて、搬送間隔や間歇搬送される場合の停止位置の不要な変化が一層抑制される。
【0055】
また、本実施例においては、基板10は、各加熱室R内における均熱中において搬送方向に沿って往復移動させられ、基板検出点Pすなわち基板検出位置SC は、各加熱室R内において搬送方向後方側に設けられる往復移動の停止位置にも設けられる。このようにすれば、基板10内の温度ばらつきを一層抑制するために各加熱室Rにおける均熱中に基板10が予め設定された往復移動範囲で確実に往復移動させられる。
【0056】
また、連続型焼成装置12は、冷却領域内において膜形成素材を含む複数の基板10の搬送方向である一方向に沿って並ぶ複数の加熱室R毎に均熱制御する制御装置62と、その長手方向と垂直且つ互いに平行な軸心回りに回転駆動される複数本のローラ42によって複数の基板10を支持して一方向に搬送する第2搬送装置16とを含んで構成される。そのため、膜形成素材を含む基板10は、熱処理の冷却過程において、第2搬送装置16により一方向に沿って搬送される過程で複数の加熱室R1 、R2 、 〜R6 に順次位置させられ、それら複数の加熱室Rにおいて一方向に沿って図12に示されるように段階的に低くなるように区分毎に設定された設定温度KT1 、KT2 、〜KT6 で所定時間(t4 〜t5 )均熱される。このように、一方向に搬送される過程で段階的に低くなるように区分毎に設定された設定温度KTにそれぞれ維持された複数の加熱室Rにおいて順次均熱を繰り返しながら熱処理の冷却過程が行われることから、膜形成素材を含む基板10内の温度のばらつきが可及的に小さくされる。
【0057】
そのため、基板10がガラス製である場合には、基板10内の寸法の局部的変化やそれに起因する厚膜印刷等の位置ずれが防止されて、製造歩留まりが飛躍的に高められる。特に、基板10がソーダライムガラスである場合には、その歪点以上の温度まで昇温させられることから、その効果が顕著となる。また、上記のように膜形成素材を含む基板10内の温度のばらつきが可及的に小さくされることから、基板10の表面に多数の厚膜抵抗体やリブ状壁が設けられる場合にあっては、それら厚膜印刷層内で結合剤として機能するガラスの溶解の程度が一様となって、それら厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきやリブ状壁の高さのばらつきが好適に小さくされる。
【0058】
また、本実施例においては、第2搬送装置16は、複数の基板10を複数の加熱室R毎に間歇的に搬送するものである。このようにすれば、熱処理の冷却過程において、基板10が一方向に間歇的に搬送される過程で、複数の加熱室R内において順次熱処理が施されることから、膜形成素材を含む基板10が連続的に搬送されることにより連続的なヒートカーブが形成される従来の焼成装置によって基板10内の温度差を極めて小さくしようとする場合に比較して、全長が短縮されて連続型焼成装置12が小型となる。
【0059】
また、本実施例によれば、大型の電子デバイス用基板を製造するにあたり、基板10として安価なソーダライムガラスを用いることが可能となることから、高歪点のガラス板を用いる場合に比較して、大幅に安価となると同時に、焼成時の厚膜層との熱膨張率差からくるガラスの割れが発生し難い利点がある。
【0060】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施される。
【0061】
例えば、前述の実施例においては、基板位置検出装置110は、光電スイッチ112によって基板10を検出するように構成されていたが、光電スイッチ112に代えて他の光学的検出装置や、超音波発生器等を用いても同様に非接触での基板位置検出は可能である。
【0062】
また、実施例においては、光軸の傾斜角度がθ=4 °程度とされていたが、この角度は適宜変更される。但し、ローラ42の反りやうねり等に起因して基板10が上下に変位した場合の検出ミスを可及的に少なくするためには、一対の投受光器112の一方が搬送面よりも5 〜100 (mm)程度上側に位置し、他方が搬送面よりも5 〜100 (mm)程度下側に位置する1 〜6 °程度の角度範囲に設定されることが好ましい。
【0063】
また、実施例においては、投光器112aの光軸が基板10の搬送面に垂直な平面内に位置するように光電スイッチ112が配置されていたが、光軸の方向はローラ42と干渉しない範囲で適宜変更してもよい。すなわち、例えば、図9においてローラ42の軸心方向と光軸とが適当な角度を成すように設けられてもよい。
【0064】
また、実施例においては、基板10によって受光が妨げられることによりその基板10が検出されるように構成されていたが、例えば、一対の投光器112aおよび受光器112bを何れもローラ42の上側或いは下側に配置し、基板10によって反射された光を受光するようにしてもよい。この場合には、基板10が上下に変位すると反射光の光軸が平行に変位することとなるが、一般に光電スイッチ112等は、このように光軸が平行に変位した場合にも一定範囲内であれば検出可能であるため、上記のようにしても差し支えないのである。
【0065】
また、基板10を往復移動させる加熱室R内においては、搬送方向後方側の停止位置すなわち基板検出位置SC にも基板位置検出装置110を設けることにより、確実に設定された往復移動範囲で基板10が往復移動させられるように構成されていたが、この基板検出位置SC を設定することに代えて後方側への移動を時間で管理するようにしてもよい。往復移動範囲の搬送方向前方側端である基板検出位置SB からの移動開始時間を基準として時間で管理すれば、後方への送り過ぎは生じ得ないため、このようにしても特に問題は生じないのである。なお、加熱室R内での均熱処理中に基板10が搬送方向に往復移動させない場合には、上記の基板検出位置SC の設定は当然不要である。
【0066】
また、実施例においては、複数の加熱室Rが相互に回動シャッタ84を備えたシャッタ装置Sによって遮蔽されるように構成されていたが、各加熱室Rにおける均熱範囲が基板10の大きさに対して十分に大きく設定できる場合には、シャッタ装置Sは必ずしも備えられなくともよい。この場合には、基板位置を検出しなくともシャッタ装置Sと基板10との干渉は生じないが、可及的に均熱性の高い範囲に基板10を送り込むためには基板位置を検出することが望まれるため、実施例と同様に基板位置検出装置110を設ける効果は十分に得られる。
【0067】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の連続型焼成装置の全体構成を説明する図である。
【図2】図1の実施例の炉体の長手方向に沿った断面を一部省略して示す図である。
【図3】(a) 〜(e) は、図2におけるa−a乃至e−e視断面にそれぞれ相当する図である。
【図4】図1の実施例の複数のヒータ配置を説明する図である。
【図5】(a) 、(b) は図1の実施例の給気管および排気管をそれぞれ示す図である。
【図6】図1の焼成装置において基板位置検出装置の配置位置を説明する図である。
【図7】図6におけるVII −VII 視断面図を示す図である。
【図8】基板位置検出装置に備えられているサイトホールの構成を説明する図である。
【図9】図7におけるIX−IX視断面図を示す図である。
【図10】図1の実施例の制御回路を説明するブロック線図である。
【図11】図1の実施例の基板の搬送位置を示すタイムチャートである。
【図12】図1の実施例の各ゾーンの設定温度すなわち基板の焼成温度曲線を示す図である。
【図13】従来の焼成装置における基板の局所的な寸法変形を説明する図である。
【符号の説明】
10:基板
12:連続型焼成装置
16:第2搬送装置(搬送装置)
R1 、R2 、〜R6 :複数の加熱室(加熱区分)
S:シャッタ装置
P:基板検出点
SA 、SB 、SC :基板検出位置(停止位置)
42:ローラ
62:制御装置(温度制御装置)
110:基板位置検出装置
Claims (1)
- 互いに平行に配置されてそれぞれ軸心回りに回転駆動される複数本のローラによって膜形成素材を含む複数の基板を支持して一方向に順次搬送する過程で該複数の基板に均一に熱処理を施す形式のトンネル状の焼成装置であって、
前記複数の基板の各々に順次均熱処理を施すために前記一方向に並んで熱的に分割して設けられ且つそれぞれ均熱制御される複数の加熱区分と、
前記基板を前記加熱区分の各々で所定時間保持してその基板を均熱するために該加熱区分毎に設けられた停止位置に順次搬送する搬送装置と、
前記加熱区分毎に設けられた停止位置の各々に前記基板の位置を検出するために設けられ、前記ローラ相互の間の位置に設定された所定の基板検出点を、該基板の上面に対して所定角度傾斜する方向から非接触で検出するように位置させられた基板位置検出装置を、含むことを特徴とする基板の焼成装置。
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