JP3625435B2 - ズームレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、全変倍範囲にわたり高い光学性能を有したズームレンズに関し、特に撮像デバイスとして固体撮像素子を用いたビデオカメラ、デジタルカメラなどの撮影装置に好適なズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より負の屈折力のレンズが先行する、所謂ネガティブリード型のズームレンズは、広角化が比較的容易である為、多くのカメラの標準型のズームレンズとして用いられている。
【0003】
この種の標準型ズームレンズとして、負の屈折力を有する第1群と正の屈折力を有する第2群の2つのレンズ群で構成し、これら2つのレンズ群を光軸に沿って移動し、レンズ群間隔を変化させる事により変倍を行う、所謂2群ズームレンズが、例えば特開昭53−132360号公報、特開昭56−19022号公報、そして米国特許5283639号等で提案されている。
【0004】
又、特開平7−52256号公報では物体側より順に負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、そして正の屈折力の第3群の3つのレンズ群を有し、広角端から望遠端への変倍を第2群と第3群の間隔を増大させて行ったズームレンズが提案されている。
【0005】
又、米国特許第5434710号では物体側より順に負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、そして正の屈折力の第3群の3つのレンズ群を有し、広角端から望遠端への変倍を第2群と第3群の間隔を減少させて行ったズームレンズが開示されている。
【0006】
また、本出願人は特開平6−27377号公報により、3群構成以上の多群ズームレンズを提案している。
【0007】
これらのズームレンズにおいては、通常、正の屈折力を有するレンズ群を複数のレンズで構成する場合、正レンズにアッベ数の大きい硝材を選択し、負レンズにアッベ数の小さい硝材を選択する。これは、ズームやフォーカスにより生ずる色収差の変動を抑制する為に望まれる硝材選択である。但し、特開昭63−34505号公報に見られるように、固定群の硝材をこれとは逆に選択し、ズーム部で生じる色収差の残留成分を低減させる方法も提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般に負の屈折力のレンズ群が先行するネガティブリード型のズームレンズは広画角化が比較的容易であり、また所定のバックフォーカスが容易に得られるという特徴がある。
【0009】
しかしながら、全変倍範囲にわたり、また画面全体にわたり良好なる光学性能を得るには、各レンズ群の屈折力配置やレンズ形状などを適切に設定する必要がある。
【0010】
各レンズ群の屈折力配置やレンズ構成が不適切であると、変倍に伴う収差変動が大きくなり、全変倍範囲にわたり高い光学性能を得るのが難しくなってくる。
【0011】
特に負の屈折力のレンズ群が先行する2群ズームレンズにおいては、各群の光軸上の位置は変倍と像面位置の変動補正のために、相対位置が一義的に決定されてしまう。この結果、広角端から望遠端に変倍させる途中の変倍位置での光学性能を任意に制御する事が出来ない。
【0012】
従って変倍途中の光学性能を良くするには、変倍中の各群の収差変動を極力少なくする必要がある。そのための方法としては、例えば各群の屈折力を緩くしたり、或いは各群をより多くのレンズ枚数で構成するなどの方法が取られている。しかしながら、この方法はレンズ全長が大型になり、高変倍化、高性能化が困難になってくるという問題があった。
【0013】
これらの問題を解決するために、米国特許第5570233号では、物体側より順に正の屈折力の第1群、負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、正の屈折力の第4群から構成され、各群の移動により変倍を行うズームレンズが提案されている。しかしながら、撮像デバイスの発展に伴い、より高性能化を求められるビデオカメラ、デジタルカメラ等の分野においては、更なる光学性能の向上が求められている。
【0014】
また、特開昭63−34505号公報に提案されているズームタイプは、物体側のレンズ群でズーム動作を行い、像面側のリレー群で結像をさせるもので、沈胴機構を設けて全長を短縮することを目的としたカメラ形状には適さない。
【0015】
本発明は、沈胴鏡筒に適した4群のズーム構成において、5倍程度の変倍比を満足し、各レンズ群のレンズ構成を適切に設定する事により、変倍範囲中の任意のズーム位置において良好なる光学性能が得られるズームレンズの提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力の第1群、負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、正の屈折力の第4群の4つのレンズ群から成り、広角端から望遠端へのズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化するように、該第1群及び第2群は像側に凸状の軌跡で移動し、該第3群は物体側に単調に移動し、第4群が移動するズームレンズにおいて、
前記第4群が、正レンズと負レンズの2枚のレンズで構成されると共に、以下の条件式を満足することを特徴としている。
1 < νn−νp < 30
0.4 < (Cw−Ct)/(Aw−At) < 0.8
但し、 νn:第4群中の負レンズのアッベ数
νp:第4群中の正レンズのアッベ数
Cw:広角端での第3群と第4群の光軸上間隔
Ct:望遠端での第3群と第4群の光軸上間隔
Aw:広角端での第1群と第2群の光軸上間隔
At:望遠端での第1群と第2群の光軸上間隔
【0017】
請求項2の発明は請求項1の発明において、前記第4群は、物体側から順に、両面が凸形状の正レンズと、負レンズにより構成されることを特徴としている。
【0018】
請求項3の発明は請求項1又は2の発明において、前記第4群は、前記正レンズと前記負レンズとを貼り合せた貼り合せレンズにより構成されることを特徴としている。
【0019】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれかの発明において、固体撮像素子に像を形成することを特徴としている。
【0020】
請求項5の発明の撮像装置は、請求項1〜4のいずれかに記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する固体撮像素子とを備えることを特徴としている。
【0022】
上記構成のズームレンズにより、高性能で高倍のズームレンズが光学性能の小型を維持したままで実現可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の撮影装置は図1、図3、図5のレンズ断面図に示すズームレンズを用いて撮像手段上に物体像を形成している。
尚、図1、図3、図5は、本発明のズームレンズの数値実施例1〜3のレンズ断面図である。
【0024】
レンズ断面図において(W)は広角端、(M)は中間のズーム位置、(T)は望遠端である。各断面図においてAは正の屈折力の第1レンズ群、Bは負の屈折力の第2レンズ群、Cは正の屈折力の第3レンズ群、Dは正の屈折力の第4レンズ群である。また、SPは絞り、IPは固体撮像素子などの像面、Gはフィルター、フェイスプレートなどのガラスブロックである。
【0025】
図2、図4、図6は各々本発明の数値実施例1〜3の諸収差図である。
【0026】
本発明のズームレンズはレンズ全系を少なくとも4群の構成とし、各群の光軸上間隔を変化させる事により変倍を行っている。
【0027】
特に第2群は像面側に凸の軌跡を描くように反転させる事により、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔余裕を減じる事を可能としてレンズ系全体の小型化を図っている。このズームタイプでは、広角端において第1群と第2群の間隔及び第3群と第4群の間隔が極小値を持つ一方、第2群と第3群の間隔が極大値を持つため、非撮影時に第2群と第3群の間隔を狭める機構を有することで、収納時のカメラ全長を短縮することが可能である。
【0028】
本発明においては、第4群を少なくとも正、負レンズの2枚以上の単レンズで構成し、該第4群の負レンズのアッベ数をνp、正レンズのアッベ数をνnとしたとき、
1 < νn−νp < 30 ・・・(1)
を満たす事を必要とする。
【0029】
条件式(1)は変倍での第4群の硝材選択に関するものである。物体側より順に正の屈折力を有する第1群、負の屈折力を有する第2群、正の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を有し、各群間隔を変化させる事により変倍動作を行うズームレンズでは、第1群における入射光が高い為、生じる倍率色収差を補正するためには第4群の硝材選択を適切にする必要がある。
【0030】
条件式(1)の上限を超えると広角端から望遠端への変倍時の第4群の変倍負担が制限されるため、レンズ全系の焦点距離の高変倍化が困難になる。更に第4群をフォーカス群として使用した場合、被写体距離の変動に対するフォーカス時の収差変動が大きくなる。下限を超えると第1群で生ずる倍率色収差を第4群で補正する事が困難になる。
【0031】
また、本発明において、Cwを広角端での第3群と第4群の光軸上間隔、Ctを望遠端での第3群と第4群の光軸上間隔、Awを広角端での第1群と第2群の光軸上間隔、Atを望遠端での第1群と第2群の光軸上間隔とした時、
0.4 < (Cw−Ct)/(Aw−At) < 0.8 ・・(2)
を満たす事を必要とする。
【0032】
条件式(2)は第1群と第2群の光軸上間隔及び第3群と第4群の光軸上間隔に関するものであり、制限値を超えると第1群の移動量及び第3群の移動量が十分に取れないため、所望の変倍比を得る事が困難になる。また、広角端における第1群と第2群の光軸間距離及び第3群と第4群の光軸間距離を小さくし、沈胴機構に適したレンズ構成とする為の必要条件である。
【0033】
さらに本発明において、他のレンズ群と比較して小径、軽量である第4群にフォーカス機能を持たせることで、鏡筒構造の小型化が期待出来る。
【0034】
また、本発明においては、第1群及び第2群が変倍時に像側に凸の軌跡を描き、第3群が物体側に単調に移動することで、レンズ前玉径の小型化及び全長の短縮と、ズーム中間城における収差変動を抑制することが可能である。
【0035】
更に好ましくは、第4群の構成を物体側から順に両面が凸の正の単レンズと、負の単レンズにより構成することで、ズーム全域における非点収差及び像面湾曲の変動を抑制することが可能である。
【0036】
また、第4群の正、負レンズ、の単レンズを貼り合せることで、レンズ及びレンズ保持鏡筒の製造誤差による性能劣化を抑えたズームレンズが提供できる。
【0037】
以下に本発明の数値実施例を示す。各数値実施例においてriは物体側より順に第i番目のレンズ面の曲率半径、diは物体側より順に第i番目の光学部材厚または空気間隔、niとViは各々物体側より順に第i番目の光学部材の材率の屈折力とアッベ数である。
【0038】
また、非球面形状はレンズ中心部の曲率半径をRとし、光軸方向(光の進行方向)をX軸とし、光軸と垂直方向をY軸、Kを円錐係数、A、B、C、D、Eを各非球面係数とした時、
【0039】
【数1】
【0040】
なる式で表わしている。また「e−X」は「×10−x」を意味している。
【0041】
【外1】
【0042】
【外2】
【0043】
【外3】
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば以上のように、4群のズーム構成において、第4群を正負2枚以上の単レンズで構成し、各レンズの硝材選択を適切に行うことにより、変倍範囲中の任意のズーム位置において良好なる光学性能を有するズームレンズを実現する事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の数値実施例1のレンズ断面図
【図2】本発明の数値実施例1の諸収差図
【図3】本発明の数値実施例2のレンズ断面図
【図4】本発明の数値実施例2の諸収差図
【図5】本発明の数値実施例3のレンズ断面図
【図6】本発明の数値実施例3の諸収差図
【符号の説明】
SP 絞り
IP 像面
d d線
g g線
△S サジタル像面
△M メリディオナル像面
Claims (5)
- 物体側から順に、正の屈折力の第1群、負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、正の屈折力の第4群の4つのレンズ群から成り、広角端から望遠端へのズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化するように、該第1群及び第2群は像側に凸状の軌跡で移動し、該第3群は物体側に単調に移動し、第4群が移動するズームレンズにおいて、
前記第4群が、正レンズと負レンズの2枚のレンズで構成されると共に、以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
1 < νn−νp < 30
0.4 < (Cw−Ct)/(Aw−At) < 0.8
但し、 νn:第4群中の負レンズのアッベ数
νp:第4群中の正レンズのアッベ数
Cw:広角端での第3群と第4群の光軸上間隔
Ct:望遠端での第3群と第4群の光軸上間隔
Aw:広角端での第1群と第2群の光軸上間隔
At:望遠端での第1群と第2群の光軸上間隔 - 前記第4群は、物体側から順に、両面が凸形状の正レンズと、負レンズにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
- 前記第4群は、前記正レンズと前記負レンズとを貼り合せた貼り合せレンズにより構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
- 固体撮像素子に像を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のズームレンズ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する固体撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
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