JP3625334B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の印刷ステーションで重ねて転写する複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像形成装置として例えばカラーレーザプリンタにおいては、装置本体内部に張設した無端帯状の媒体搬送ベルトとしての用紙搬送ベルトにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4個の印刷ステーションを連続して配置して構成される。各印刷ステーションは、それぞれ静電潜像保持体としての感光ドラム、帯電部、レーザダイオードを備えた露光装置、現像装置等からなる電子写真プロセス機構を備える。
【0003】
また、図6に示すように各感光ドラム101には、真下に転写ローラ103を用紙搬送ベルト102を介して対向配置している。この転写ローラ103には、その鉛直方向に用紙搬送ベルト102及び感光ドラム101を一定の圧力で押付けるように付勢するスプリング等の付勢部材104が転写ローラシャフト103aの長手方向の両端部に設けられている。なお、図6において帯電部、露光装置その他は説明の都合上省略している。
【0004】
この付勢部材104の付勢力により、表面が比較的硬い材料で構成されている感光ドラム101と、表面がこの感光ドラム101より柔らかい材料で構成されている転写ローラ103により用紙搬送ベルト102をニップする。これにより、転写ローラ103の表面は図7に示すニップ幅Wで変形することになる。なお、図7は説明を明確にするため、用紙搬送ベルト102を省略し、転写ローラ103の変形を多少誇張して表現している。
【0005】
このような装置においては、用紙搬送ベルト102で矢印方向に搬送されてきた記録用紙に印刷ステーション2により形成されたトナー画像を感光ドラム101の帯電電位と転写ローラ103の転写バイアスの電位差により形成される転写電界によりトナーが記録用紙へ付着して転写が行われる。同様な動作が各印刷ステーション2で行われ各色が重ねられてカラー画像が形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成の画像形成装置においては、上記転写電界の強さによって、記録用紙が搬送されたとき、主に転写位置に対してベルト搬送方向上流側(転写位置入口)で放電が発生することがわかっている。この放電は、単色印字時の転写性及び重ね印宇時の転写性、特に不連続ステーションの重ね印字の転写性に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0007】
例えば、緑色を印刷する場合は、最も上流側に位置するイエロー(Y)の印刷ステーション、及び上流側から第3番目に位置するシアン(C)の印刷ステーションによる転写のみが必要であり、これらの中間に位置するマゼンタ(M)の印刷ステーションからの転写は必要がない。従って、この場合には、イエロー(Y)の印刷ステーションで転写された記録用紙は一定の帯電量で正に帯電しているイエロートナーを付着したまま、マゼンタ(M)の印刷ステーションの感光ドラムと転写部の間を通って、シアン(C)の印刷ステーションへ搬送される。
【0008】
このとき、マゼンタ(M)の印刷ステーションでは印刷を行わないため、マゼンダ(M)の感光ドラムと転写ローラとの間に記録用紙が挿入する際、その記録用紙のイエロートナー上にさらに放電が起きることによって、イエロートナーはさらに強く正に帯電し、帯電量が多くなる。このため、次のシアン(C)の印刷ステーションで転写するときには、記録用紙のイエロートナーが正に過剰帯電しているため、シアントナーを感光ドラムから転写させる転写電界が弱<なり、シアントナーの転写不良が発生するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、印刷ステーションにおける転写電界に起因する転写位置入口での放電を防止することができ、単色印字時及び重ね印字時、特に不連続の印刷ステーションで重ねて印字する際に生じる顕著な転写不良を改善できる画像形成装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の本発明は、静電潜像保持体の表面を帯電し、露光により静電潜像を形成し、その静電潜像を可視像化する印刷ステーションを無端帯状の媒体搬送ベルト上に複数配置するとともに、各印刷ステーションに対向して媒体搬送ベルトを介して転写部を設け、媒体搬送ベルトにより搬送された記録媒体に印刷ステーションにより可視像化したトナー画像を転写部により重ねて転写する画像形成装置において、転写部にこの転写部を印刷ステーション側に斜め下流側に向けて付勢する付勢部材を設けたものである。
【0011】
このような構成の本発明は、印刷時、付勢部材により転写部が印刷ステーション側に斜め下流側に向けて押当てられ、上流側における転写部表面のニップ量が下流側よりも少なくなり、上流側における静電潜像保持体と転写部との距離が広がる。これにより、上流側における静電潜像保持体と転写部との間で発生する放電を防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をカラーレーザプリンタに適用した場合の第1の実施形態を図1ないし図3を参照して説明する。
図1は、本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタの構成を示す断面図で、21 〜24 は装置本体内部に張設した無端帯状の媒体搬送ベルトとしての用紙搬送ベルト1に連続して配置された4個の印刷ステーションである。
【0016】
各印刷ステーション21 〜24 は、正帯電用単層感光体で構成された静電潜像保持体としての感光ドラム3の周囲に帯電器4、露光装置5、現像装置6、ドラムクリーナ7、除電ランプ8を対向配置し、かつ感光ドラム3に用紙搬送ベルト1を介して転写ローラ9を対向配置している。
【0017】
各印刷ステーション21 〜24 の現像装置6はそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収納し、下部に回転自在に設けた現像ローラ10の接触帯電により感光ドラム3にトナーを供給するようになっている。
【0018】
また、転写ローラ9は転写ローラシャフト9aに導電性ウレタンゴム等のゴム部材9bを巻設してなる。この転写ローラシャフト9aには、図2に示すようにその中心と感光ドラム3の中心を通る直線を基準として、この基準線と鋭角α(0°≦α≦90°)をなす矢印方向へ付勢するスプリング等の付勢部材24を設けている。
【0019】
この付勢部材24は、各転写ローラ9の長手方向に対して両側に1個ずつ計2個を設けている。そして、各転写ローラ9に所定の荷重、例えば約1.5kgがかかるようにしている。
【0020】
上記用紙搬送ベルト1の搬送開始位置にはベルト帯電器11を配置し、また用紙搬送ベルト1に所定の張力を与えるテンションローラ12を配置している。この用紙搬送ベルト1は導電材からなり、その表面を絶縁層で被覆している。例えば半導電性のポリイミドからなる。そして導電材が接触するように所定の張力を保って1対のガイドローラ14,15に掛け渡されている。
【0021】
上記用紙搬送ベルト1の下方には、記録用紙18を積層して収納した給紙装置19を着脱自在に設けている。この給紙装置19の上側には記録用紙18をピックアップする給紙ローラ23及び搬送路13へ記録用紙18を導く搬送ローラ等を設けている。なお、用紙搬送ベルト1の上流側には、この用紙搬送ベルト1に導かれた記録用紙18がずれないように静電吸着させるための吸着ローラが設けられている。
【0022】
一方のガイドローラ14近傍には、給紙装置19から用紙搬送ベルト1の端部へ記録用紙18を案内する搬送路13を設けている。また、他方のガイドローラ15の外側に定着装置20を近接して配置している。
【0023】
この装置は、給紙装置19から送り込まれる記録用紙18を吸着ローラで用紙搬送ベルト1に吸着した後、印刷ステーション21 でイエロー(Y)の画像転写を行い、印刷ステーション22 でマゼンタの画像転写を行い、印刷ステーション23 でシアンの画像転写を行うことにより、色を重ね合わせてカラー印刷を行い、定着装置20で熱定着して排紙部21又は22へ排紙するようになっている。
【0024】
このような構成の本実施の形態においては、印刷を行う際、付勢部材24により、転写ローラ9はその中心と感光ドラム3の中心を通る直線を基準として、この基準線と鋭角α(0°≦α≦90°)をなす矢印方向へ付勢されるため、転写ローラ9は図3に示すように変形する。なお、図3は、説明を明確にするため、用紙搬送ベルト1を省略し、多少誇張して表現したものである。
【0025】
このように、転写ローラ9を付勢部材24により上流側から下流側上方へ押し上げるように斜めに付勢することにより、転写ローラ9の上流側のニップ量を下流側のニップ量よりも少なくさせて、上流側における転写ローラ9と感光ドラム3との間を広くするため、上流側において感光ドラム3と転写ローラとの間で発生する放電を防止でき、転写効率を向上することができる。
【0026】
すなわち、従来は図6に示すように付勢部材104で転写ローラ103を感光ドラム101の中心と転写ローラの中心を結ぶ直線方向に真下から付勢するため、図7に示すように転写工程で上記転写ローラ103がベルト搬送方向上流側及び下流側に均等に変形し、そのニップ量も均等になる。このため、転写ローラ103と感光ドラム101とのベルト搬送方向上流側及び下流側における距離も一定となる。
【0027】
これに対し、本実施の形態では図2に示すように転写ローラ9を付勢部材24により上流側から下流側上方へ押し上げるように斜めに付勢するため、図3に示すように転写ローラ9の上流側のニップ量が下流側のニップ量よりも少なくなるように変形し、上流側における転写ローラ9と感光ドラム3との間が下流側に比して広くなる。これにより、上流側で発生する放電を防止できる。
【0028】
特に、不連続な印刷ステーションで色を重ねて転写するときには効果が大きい。例えば、緑色を印刷する場合、イエロー(Y)の印刷ステーション21 で転写されてイエロートナーが付着した記録用紙がマゼンダ(M)の印刷ステーション22 を通過するときその転写部位の上流側での放電が抑制されるため、記録用紙18上のイエロートナーの帯電量が増加することなくマゼンダ(M)の印刷ステーション22 を通過することができる。このため、次のシアンの印刷ステーション23 における転写効率を向上させることができる。
【0029】
なお、本実施の形態においては、転写ローラ9のニップ量を変化させるために付勢部材24を設けたものについて述べたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、転写ローラ9の外径を感光ドラム3の外径よりも所定の割合以上に大きくして転写ローラ9のニップ幅を大きくとることにより、上流側の感光ドラム3と転写ローラ9との間の距離を広げてもよい。これによっても、上流側に生じる放電を抑制することができる。具体的には、感光ドラム3の外径と転写ローラ9の外径との所定の割合は、実験等により例えば約3/5以上にすると良好な結果が得られることがわかった。
【0030】
また、本実施の形態における付勢部材24と組合わせてもよい。これにより、上述した効果はさらに向上する。例えば、感光ドラム3の外径をφ30mm、付勢部材24のなす角をα=45°とした場合に転写ローラ9の外径をφ20mm、φ18mm、φ16mmとした場合に良好な実験結果を得ている。
【0031】
さらに、転写ローラ9の表面を構成するゴム部材の肉厚を感光ドラム3の外径の所定以上にしても、転写ローラ9のニップ幅を大きくとることができ、上流側の感光ドラム3と転写ローラ9との間の距離を広げてることができる。これによっても、上流側に生じる放電を抑制することができる。転写ローラ9の表面を構成するゴム部材の肉厚を感光ドラム3の外径の約1/6以上にした場合に良好な結果が得られている。例えば、感光ドラム3の外径をφ30mm、転写ローラ9の外径をφ18mmとした場合に、転写ローラ9の表面を構成するゴム部材の肉厚を6mm程度にすると好ましい結果が得られた。
【0032】
次に、本発明をカラーレーザプリンタに適用した場合の第2の実施形態を図4を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
本実施の形態において上記第1の実施形態と異なるのは、付勢部材24を各転写ローラ9の長手方向に対して両側に1個ずつ計2個を設ける代わりに、各転写ローラ9の長手方向に対して両側に、上流側及び下流側に離間した2個ずつの付勢部材31,32を計4個を設け、しかもこれら上流側の付勢部材31は下流側の付勢部材32よりもバネ定数が大きいものを設ける点である。
【0034】
具体的には、付勢部材31の上面を転写ローラシャフト9aの上流側及び下流側に離間して上方に向けて取付ける。すなわち、これら付勢部材31のバネ定数の違いを利用して転写ローラ9を斜め下流側に付勢するものである。例えば、各転写ローラ9にかかる荷重は、1.5kg(片側750gずつ)とし、転写ローラ9に対して上流側の付勢部材31からは450gの荷重を与え、下流側の付勢部材32からは300gの荷重を与えると良好な結果が得られた。なお、図4において帯電部、露光装置その他は説明の都合上省略している。
【0035】
このように、力の合力が上記第1の実施の形態における付勢部材24の向きと同様の向きにするようにそれぞれの付勢部材31,32で力配分を決めれば上記第1の実施の形態と同様の結果を得ることができる。
【0036】
次に、本発明をカラーレーザプリンタに適用した場合の第2の実施形態を図5を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
本実施の形態において上記実施の形態と異なるのは、付勢部材24によって転写ローラ9のニップ量を変化させて上流側における感光ドラム3と転写ローラ9との距離を広くする代わりに、上流側の用紙搬送ベルト1を搬送ローラ33で下方に付勢して上流側における感光ドラム3と転写ローラ9との距離を広くする点である。
【0038】
具体的には、転写位置よりも上流側であって感光ドラム3と転写ローラ9との対向位置よりも下方に搬送ローラ33を設け、この搬送ローラ33の下側に用紙搬送ベルト1を通している。この搬送ローラ33は電気的に絶縁で、用紙搬送ベルト1に従動して回転するようになっている。また、転写ローラ9には、その鉛直方向に用紙搬送ベルト1及び感光ドラム3を一定の圧力で押付けるように付勢するスプリング等の付勢部材34が転写ローラシャフト9aの長手方向の両端部に設けられている。なお、図5において帯電部、露光装置その他は説明の都合上省略している。
【0039】
このようにすることにより、転写位置の上流側で用紙搬送ベルト1により転写ローラの上部表面が下側に押され、上流側における感光ドラム3と転写ローラ9との距離が大きくなる。これにより、上記実施の形態と同様に上流側の放電を防止することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、カラーレーザプリンタに適用した場合について述べたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、カラー複写機に適用してもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、印刷ステーションにおける転写電界に起因する転写位置入口での放電を防止することができ、単色印字時及び重ね印宇時、特に不連続の印刷ステーションで重ねて印字する際に生じる顕著な転写不良を改善できる画像形成装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるカラーレーザプリンタの要部構成を示す断面図。
【図2】図1に示す転写ローラの構成を説明する図。
【図3】図2に示す転写ローラのニップ量を説明する図。
【図4】本発明の第2の実施形態を説明する図。
【図5】本発明の第3の実施形態を説明する図。
【図6】従来のカラーレーザプリンタの要部構成を説明する図。
【図7】従来のカラーレーザプリンタにおける転写ローラのニップ量を説明する図。
【符号の説明】
1…用紙搬送ベルト(媒体搬送ベルト)
21 〜24 …印刷ステーション
3…感光ドラム(静電潜像保持体)
9…転写ローラ(転写部)
18…記録用紙(記録媒体)
24…付勢部材
31,32…付勢部材
32…搬送ローラ
Claims (1)
- 静電潜像保持体の表面を帯電し、露光により静電潜像を形成し、その静電潜像を可視像化する印刷ステーションを無端帯状の媒体搬送ベルト上に複数配置するとともに、各印刷ステーションに対向して前記媒体搬送ベルトを介して転写部を設け、前記媒体搬送ベルトにより搬送された記録媒体に前記印刷ステーションにより可視像化したトナー画像を前記転写部により重ねて転写する画像形成装置において、前記転写部にこの転写部を前記印刷ステーション側に斜め下流側に向けて付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
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