JP3625254B2 - 塗布装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料、磁気記録材料、感圧・感熱記録紙、及びインクジェット記録シート等の記録材料の製造に用いられる塗布方法及び塗布装置に関し、詳しくは連続的に走行する帯状支持体(以下、「ウェブ」と称する。)に塗布液の薄膜状物(以下、「塗布液膜」と称する。)を塗布するカーテン塗布方法及び塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層同時塗布方式としてスライドビード方式あるいはエクストルージョン方式は一般的に知られているが、近年、高速塗布が要求されるに伴いカーテン塗布方式が多用されるようになってきた。カーテン塗布方式は、連続的に走行するウェブ上に塗布液膜を自由落下させて塗布する方法であり、基本技術として特公昭49−24133号公報、同49−35447号公報に開示されている。
【0003】
近年、生産性向上のため、さらなる高速塗布が要請されるようになってきている。しかしながら、塗布速度の上昇とともにウェブ表面に同伴する空気の量及び速度が増し、ウェブ−空気の固−気界面から、ウェブ−塗布液の固−液界面への置換が十分に行われず、いわゆる空気同伴と呼ばれる現象が見られるようになってきた。空気同伴は自由落下する塗布液膜(カーテン膜)を揺動させたり、ウェブ走行方向の下流側に湾曲状に膨らませたりして、縦スジや横段ムラ等の塗布ムラを発生させる原因となり、また、同伴空気量が増大した場合、最終的にウェブに塗布液膜が架橋することなしに飛散するような状況に至ることもある。
【0004】
かかる現象を抑止し、高速度での塗布を塗布故障なく行う目的で、ウェブに同伴する空気を除去する方法及び装置が開示されている。例えば、特公昭49−35447号公報には、塗布液膜の上流側に、ウェブに近接してシールド板を設けること、及びスリット状の吸引ノルズを有する同伴空気吸引装置を設けることが開示されている。しかし、前記シールド板では同伴空気の除去は不十分であり、同伴空気の除去能力を向上させるためにはシールド板をウェブに限りなく近接させなければならず、この場合、ウェブにシールド板が接触してウェブに傷を生じさせる危険性及びウェブ同士の継ぎ目部に接触してウェブを切断する危険性がある。また、スリット状の吸引ノルズを有する同伴空気吸引装置は、高速化による同伴空気量増大を抑止するために吸引力を増加させると塗布液膜が同伴空気吸引装置に引き寄せられ、塗布液膜が揺動しはじめるという問題がある。
【0005】
また、エアカットロール中空部に吸引ポンプを接続し、同伴空気を除去する装置が実公平8−1017公報に開示されている。本発明者らの実験によれば、同伴空気の効果的な除去を確認できたが、エアカットロールがウェブと接触しているため、ウェブ走行速度とエアカットロール周速との間に正確な同期をとる必要がある。両者に僅かな速度変動による速度差が生じた場合、ウェブ表面に擦れ傷を与えることになる。特に写真感光材料のような薄層精密塗布が要求される分野においては致命的な欠陥となる。
【0006】
また、特開平3−123657号、同平6−39331号、同平10−277458号公報には、バックアップローラに対向する減圧室を設けることが開示されている。これらの装置は、塗布速度、ウェブ表面粗度等の塗布条件変更により同伴空気量に変化が生じた場合、減圧室の減圧度を精度良く調整することが難しく、同伴空気の除去が不十分となるという問題点を有している。
【0007】
また、特開昭62−186966号、同平3−65266号公報には、ウェブに該ウェブの走行方向と反対方向に空気を吹き付ける方法が開示されている。しかしながら、空気を単に吹き付けるだけでは、特に200m/分以上の高速塗布では充分な効果が得られず、また吹き付けた空気の跳ね返りや漏れによって、空気流が乱れやすく、それらがカーテン膜へ悪影響を及ぼす場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、塗布液カーテン膜の揺動及び膨らみの原因である同伴空気を除去し、カーテン膜を安定に形成し、それによって均一な塗布面が得られるカーテン塗布方法及び塗布装置を提供することにある。本発明の他の目的は、高速塗布に適用できるカーテン塗布方法及び塗布装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成の塗布方法及び塗布装置によって達成された。
(1)塗布液を薄膜状で自由落下させて連続走行する支持体上に塗布するカーテン塗布方法において、塗布液の自由落下着地部の上流側において前記支持体との間隔が5mm以内に前記支持体の幅方向に渡って遮断された空間内で支持体への空気の吹き付け及び吸引をすることを特徴とするカーテン塗布方法。
(2)塗布液を薄膜状で自由落下させて連続走行する支持体上に塗布するカーテン塗布装置において、塗布液の自由落下着地部の上流側に前記支持体との間隔が5mm以内に前記支持体の幅方向に渡って遮断された空間を形成するための空間形成手段と、前記空間内で支持体へ空気を吹き付けるための空気吹き付け手段と、空気を吸引をするための空気吸引手段とを有することを特徴とするカーテン塗布装置。
【0010】
支持体(ウェブ)の走行とともに生じる同伴空気の量あるいは速度は、ウェブ近傍で最も大きく、ウェブから離れるにつれて小さくなるが、ウェブから10cm離れたところでも空気の同伴は生じている。同伴空気は、ウェブから500μm以内で大きな流速を持っており、ウェブに近接した同伴空気を除去することが重要である。上記の本発明の方法および装置は、高速塗布におけるウェブに近接した同伴空気を効率よく除去することができることを見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の同伴空気除去方法は、従来のように単に空気をウェブに吹き付けるというのではなく、ウェブに近接した狭い空間を作り、該空間内で空気の吹き付けと吸引を行うというものである。前記空間は、ウェブから5mm以内の間隔をもって、該ウェブの幅方向に渡って上部空間から遮断するように遮断部材で覆うことによって形成される。該空間はウェブの塗布面に対して狭い空間であって、ウェブの両側端は開放されていても支障はない。
【0012】
前記ウェブ上に設けられた狭い空間は、ウェブとの間隔(クリアランス)が5mm以内であり、好ましくは0.3〜3mmの範囲、より好ましくは0.3〜1mmの範囲である。
【0013】
以下、図面を用いて本発明の塗布方法を実施するための塗布装置を詳細に説明する。図1は、本発明のカーテン塗布装置の一例を示した模式構成側面図である。計量ポンプ7a、7bによってスライドヘッド1内部の供給路4a、4bに送り込まれた塗布液はスロット3a、3bを経てスライド面2へ吐出する。吐出した塗布液は積層状態を保持しつつ、重力の作用によってスライド面2に沿ってリップ8に向かって流れていく。リップ8から積層状態の塗布液を鉛直下方に自由落下させることによって塗布液膜9を形成させる。自由落下させた該塗布液膜9は、バックアップローラ10に支持されて連続走行するウェブ11上に衝突させることによって塗布される。
【0014】
本発明のカーテン塗布装置は、塗布液膜9の自由落下着地部14の上流側に同伴空気を除去するための手段である空間形成部材21を具備する。該空間形成部材21は、ウェブ11の幅方向に渡ってウェブ11との間に狭い空間22を形成するような部材である。かかる空間形成部材21は、ウェブ11の幅方向に渡って同伴空気を遮断するような部材であって、同伴空気遮断面(以降、遮断面と称す)21aとウェブ11と対向する面(以降、対向面と称す)21bから構成されている。空間形成部材21はその対向面21bが、ウェブ11に対して5mm以内、好ましくは0.3〜3mm、より好ましくは0.3〜1mmの間隔で設置され、空間形成部材21と支持体11の間には狭い空間22が形成される。
【0015】
図1のカーテン塗布装置の部分拡大断面図を図2に示す。前述したように空間形成部材21の対向面21bとウェブ11との間隔Lは5mm以内に設定されており、空間形成部材21とウェブ11の間には、空間22が形成されている。対向面21bは、平面であっても、対向するウェブ面と平行な曲面(図1に示すようにウェブ11がバックアップローラ10に支持されている場合)であってもよい。空間22はウェブ11の幅方向及び走行方向にほぼ同じ大きさで存在する。本発明の方法は、この空間22内でウェブ11への空気の吹き付けと吸引を同時に行うことを特徴とする。そのための空気吹き付け手段23と空気吸引手段24が空間形成部材21と一体的に設けられている。空気吹き付け手段23は、ウェブ11の幅方向に渡ってほぼ均一な吹き出しスリット23aとキャビティ23bと図示しない送風機から構成されている。空気吸引手段24はウェブ11の幅方向に渡ってほぼ均一な吸引スリット24aとキャビティ24bと図示しない吸引ポンプから構成されている。前記送風機及び吸引ポンプは、空間形成部材21の側面から配管でそれぞれのキャビティ23b及び24bに連結される。
【0016】
空間22内における空気の吹き付け方向は、ウェブ11の搬送方向に対して垂直あるいは反対方向である。好ましくは反対方向であり、吹き出しスリット23aとウェブ11との角度θを20〜90度、好ましくは30〜70度の範囲に設定する。吹き出しスリット23aのスリット幅(クリアランス)は0.3〜1mm程度が適当である。吹き出し速度は、塗布速度に準じて調整されるが、風速5m/sec以上で吹き出すのが好ましい。
【0017】
空間22内における空気の吸引は、空気の吹き付け位置よりウェブ11の走行方向に対して上流側で行うのが好ましく、更に後述(図4に示す)するように下流側でも行うのがより好ましい。空気の吸引力は、空気の吹き付け風量の50%以上が好ましく、より好ましくは同量かそれ以上になるように設定する。吸引スリット24aの角度αは、ウェブ11に対して垂直か、あるいは吹き出しスリット23aとは反対に、ウェブ11の搬送方向と同じ方向が好ましい。吸引スリット24aのクリアランスは0.3〜2mm程度が適当である。対向面21bにおける吹き出しスリット23aと吸引スリット24aの距離は、吹き出しスリットより吹き付けられた空気がウェブ11に当たった後に吸引するように設定する。即ち、吹き出しスリット23aと吸引スリット24aの角度、対向面21bとウェブ11との間隔によって両者間の距離は変わるが、通常3〜20mm程度が適当である。
【0018】
本発明は、ウェブ面(塗布面)の上空を5mm以内に遮断して、ウェブ面に近接した狭い空間を作り、該空間内で吹き付けと吸引を同時に行うものであり、その意味において、次に説明する態様も本発明の一つであり、充分な効果を奏するものである。図3は空間形成部材の別の態様を示す部分断面図である。空間形成部材21の下流側端部に空気吹き付け手段23と、上流側端部に空気吸引手段24が設けられている。空気吹き付け手段23の吹き出しスリット23aの角度は、ウェブ11の搬送方向に反対方向に向けられており、空間22内で吹き付けられている。また、空気吸引手段24の吸引スリット24aは、ウェブ11の搬送方向と同じ方向を向いており、空間22内で吸引されている。
【0019】
前述したように、本発明の好ましい態様は、図2に示すように空間22において吹き付け位置の上流側で吸引することであるが、図4に示すように吹き付け位置の下流側でも吸引することが更に好ましい。図4において、空気吹き付け手段23の上流側と下流側にそれぞれ空気吸引手段24と25が設けられている。下流側の空気吸引手段25は、ウェブ11の幅方向に渡ってほぼ均一な吸引スリット25aとキャビティ25bと図示しない吸引ポンプから構成されている。吸引スリット25aの角度βは、ウェブ11に対して垂直か、あるいはウェブ11の搬送方向と反対方向が好ましい。吸引スリット25aのクリアランスは0.3〜2mm程度が適当である。対向面21bにおける吸引スリット25aと吹き出しスリット23aの距離については、3〜20mm程度が適当である。下流側の空気吸引手段25の吸引力は、上流側の空気吸引手段24と同程度か、あるいは弱く設定される。
【0020】
本発明において、図1、2、3及び4に示す空間形成部材21の遮断面21aは、ウェブの幅方向に渡って同伴空気を遮断する働きをする。前述したように、空気同伴は、ウェブから10cm離れた位置でも発生しており、遮断面21aは高さ方向寸法も充分にとる必要がある。好ましくは図1に示すように、スライドヘッド1に空間形成部材21を取り付けて、スライドヘッド1と一体的に、同伴空気を遮断することである。
【0021】
【実施例】
実施例1
図1に示したカーテン塗布装置を用いて塗布試験を実施した。但し、同伴空気を除去するための装置は下記に示すものをそれぞれ用いた。
【0022】
A:図2に示す同伴空気除去装置
対向面21bは平面でウェブとの間隔Lは最大部で0.6mm、吹き出しスリット23aの角度θは50度でスリットのクリアランスは0.5mm、吹き出し速度(風速)10m/sec、吸引スリット24aのクリアランスは1.0mmで角度αは60度である。空気吸引手段24の吸引量は、空気吹き付け手段23の吹き付け量とほぼ同じになるように設定した。
【0023】
B:図5に示す同伴空気除去装置
スリットの角度θは50度、スリットのクリアランスは0.5mm、吹き出し速度(風速)は10m/sec、スリット先端部とウェブとの間隔は0.6mmである。
【0024】
上記のそれぞれの塗布装置を用いて、下記条件で塗布した。
【0025】
塗布試験の結果を下記に示す。
同伴空気除去装置A(本発明):塗布速度300m/分でもカーテン膜は安定に形成され、均一な塗布面が得られた。
同伴空気除去装置B(比較):塗布速度300m/分で、カーテン膜が揺動し、部分的に縦スジが発生した。
【0026】
実施例2
次に、図4に示す同伴空気除去装置を用いて塗布試験を行った。図4において下流側の吸引スリット25aのクリアランスは1.0mm、角度βは60度、吸引量は上流側空気吸引手段23の20%、その他の構成部分については実施例1の図2のそれと同じである。塗布試験条件は実施例1に準じた。塗布試験の結果、400m/分の高速塗布でも、安定なカーテン膜が形成され、均一な塗布面が得られた。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の同伴空気除去装置を用いたカーテン塗布装置は、高速塗布であっても、十分に同伴空気が除去でき、均一な塗布面が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるカーテン塗布装置の模式構成側面図。
【図2】本発明のカーテン塗布装置の部分拡大断面図。
【図3】本発明のカーテン塗布装置の他の態様を示す部分拡大断面図。
【図4】本発明のカーテン塗布装置の他の態様を示す部分拡大断面図。
【図5】従来のカーテン塗布装置の部分拡大断面図。
【符号の説明】
1 スライドヘッド
9 自由落下塗布液膜
11 ウェブ(支持体)
21 空間形成部材
22 空間
23 空気吹き付け手段
24 空気吸引手段
25 空気吸引手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料、磁気記録材料、感圧・感熱記録紙、及びインクジェット記録シート等の記録材料の製造に用いられる塗布方法及び塗布装置に関し、詳しくは連続的に走行する帯状支持体(以下、「ウェブ」と称する。)に塗布液の薄膜状物(以下、「塗布液膜」と称する。)を塗布するカーテン塗布方法及び塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層同時塗布方式としてスライドビード方式あるいはエクストルージョン方式は一般的に知られているが、近年、高速塗布が要求されるに伴いカーテン塗布方式が多用されるようになってきた。カーテン塗布方式は、連続的に走行するウェブ上に塗布液膜を自由落下させて塗布する方法であり、基本技術として特公昭49−24133号公報、同49−35447号公報に開示されている。
【0003】
近年、生産性向上のため、さらなる高速塗布が要請されるようになってきている。しかしながら、塗布速度の上昇とともにウェブ表面に同伴する空気の量及び速度が増し、ウェブ−空気の固−気界面から、ウェブ−塗布液の固−液界面への置換が十分に行われず、いわゆる空気同伴と呼ばれる現象が見られるようになってきた。空気同伴は自由落下する塗布液膜(カーテン膜)を揺動させたり、ウェブ走行方向の下流側に湾曲状に膨らませたりして、縦スジや横段ムラ等の塗布ムラを発生させる原因となり、また、同伴空気量が増大した場合、最終的にウェブに塗布液膜が架橋することなしに飛散するような状況に至ることもある。
【0004】
かかる現象を抑止し、高速度での塗布を塗布故障なく行う目的で、ウェブに同伴する空気を除去する方法及び装置が開示されている。例えば、特公昭49−35447号公報には、塗布液膜の上流側に、ウェブに近接してシールド板を設けること、及びスリット状の吸引ノルズを有する同伴空気吸引装置を設けることが開示されている。しかし、前記シールド板では同伴空気の除去は不十分であり、同伴空気の除去能力を向上させるためにはシールド板をウェブに限りなく近接させなければならず、この場合、ウェブにシールド板が接触してウェブに傷を生じさせる危険性及びウェブ同士の継ぎ目部に接触してウェブを切断する危険性がある。また、スリット状の吸引ノルズを有する同伴空気吸引装置は、高速化による同伴空気量増大を抑止するために吸引力を増加させると塗布液膜が同伴空気吸引装置に引き寄せられ、塗布液膜が揺動しはじめるという問題がある。
【0005】
また、エアカットロール中空部に吸引ポンプを接続し、同伴空気を除去する装置が実公平8−1017公報に開示されている。本発明者らの実験によれば、同伴空気の効果的な除去を確認できたが、エアカットロールがウェブと接触しているため、ウェブ走行速度とエアカットロール周速との間に正確な同期をとる必要がある。両者に僅かな速度変動による速度差が生じた場合、ウェブ表面に擦れ傷を与えることになる。特に写真感光材料のような薄層精密塗布が要求される分野においては致命的な欠陥となる。
【0006】
また、特開平3−123657号、同平6−39331号、同平10−277458号公報には、バックアップローラに対向する減圧室を設けることが開示されている。これらの装置は、塗布速度、ウェブ表面粗度等の塗布条件変更により同伴空気量に変化が生じた場合、減圧室の減圧度を精度良く調整することが難しく、同伴空気の除去が不十分となるという問題点を有している。
【0007】
また、特開昭62−186966号、同平3−65266号公報には、ウェブに該ウェブの走行方向と反対方向に空気を吹き付ける方法が開示されている。しかしながら、空気を単に吹き付けるだけでは、特に200m/分以上の高速塗布では充分な効果が得られず、また吹き付けた空気の跳ね返りや漏れによって、空気流が乱れやすく、それらがカーテン膜へ悪影響を及ぼす場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、塗布液カーテン膜の揺動及び膨らみの原因である同伴空気を除去し、カーテン膜を安定に形成し、それによって均一な塗布面が得られるカーテン塗布方法及び塗布装置を提供することにある。本発明の他の目的は、高速塗布に適用できるカーテン塗布方法及び塗布装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成の塗布方法及び塗布装置によって達成された。
(1)塗布液を薄膜状で自由落下させて連続走行する支持体上に塗布するカーテン塗布方法において、塗布液の自由落下着地部の上流側において前記支持体との間隔が5mm以内に前記支持体の幅方向に渡って遮断された空間内で支持体への空気の吹き付け及び吸引をすることを特徴とするカーテン塗布方法。
(2)塗布液を薄膜状で自由落下させて連続走行する支持体上に塗布するカーテン塗布装置において、塗布液の自由落下着地部の上流側に前記支持体との間隔が5mm以内に前記支持体の幅方向に渡って遮断された空間を形成するための空間形成手段と、前記空間内で支持体へ空気を吹き付けるための空気吹き付け手段と、空気を吸引をするための空気吸引手段とを有することを特徴とするカーテン塗布装置。
【0010】
支持体(ウェブ)の走行とともに生じる同伴空気の量あるいは速度は、ウェブ近傍で最も大きく、ウェブから離れるにつれて小さくなるが、ウェブから10cm離れたところでも空気の同伴は生じている。同伴空気は、ウェブから500μm以内で大きな流速を持っており、ウェブに近接した同伴空気を除去することが重要である。上記の本発明の方法および装置は、高速塗布におけるウェブに近接した同伴空気を効率よく除去することができることを見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の同伴空気除去方法は、従来のように単に空気をウェブに吹き付けるというのではなく、ウェブに近接した狭い空間を作り、該空間内で空気の吹き付けと吸引を行うというものである。前記空間は、ウェブから5mm以内の間隔をもって、該ウェブの幅方向に渡って上部空間から遮断するように遮断部材で覆うことによって形成される。該空間はウェブの塗布面に対して狭い空間であって、ウェブの両側端は開放されていても支障はない。
【0012】
前記ウェブ上に設けられた狭い空間は、ウェブとの間隔(クリアランス)が5mm以内であり、好ましくは0.3〜3mmの範囲、より好ましくは0.3〜1mmの範囲である。
【0013】
以下、図面を用いて本発明の塗布方法を実施するための塗布装置を詳細に説明する。図1は、本発明のカーテン塗布装置の一例を示した模式構成側面図である。計量ポンプ7a、7bによってスライドヘッド1内部の供給路4a、4bに送り込まれた塗布液はスロット3a、3bを経てスライド面2へ吐出する。吐出した塗布液は積層状態を保持しつつ、重力の作用によってスライド面2に沿ってリップ8に向かって流れていく。リップ8から積層状態の塗布液を鉛直下方に自由落下させることによって塗布液膜9を形成させる。自由落下させた該塗布液膜9は、バックアップローラ10に支持されて連続走行するウェブ11上に衝突させることによって塗布される。
【0014】
本発明のカーテン塗布装置は、塗布液膜9の自由落下着地部14の上流側に同伴空気を除去するための手段である空間形成部材21を具備する。該空間形成部材21は、ウェブ11の幅方向に渡ってウェブ11との間に狭い空間22を形成するような部材である。かかる空間形成部材21は、ウェブ11の幅方向に渡って同伴空気を遮断するような部材であって、同伴空気遮断面(以降、遮断面と称す)21aとウェブ11と対向する面(以降、対向面と称す)21bから構成されている。空間形成部材21はその対向面21bが、ウェブ11に対して5mm以内、好ましくは0.3〜3mm、より好ましくは0.3〜1mmの間隔で設置され、空間形成部材21と支持体11の間には狭い空間22が形成される。
【0015】
図1のカーテン塗布装置の部分拡大断面図を図2に示す。前述したように空間形成部材21の対向面21bとウェブ11との間隔Lは5mm以内に設定されており、空間形成部材21とウェブ11の間には、空間22が形成されている。対向面21bは、平面であっても、対向するウェブ面と平行な曲面(図1に示すようにウェブ11がバックアップローラ10に支持されている場合)であってもよい。空間22はウェブ11の幅方向及び走行方向にほぼ同じ大きさで存在する。本発明の方法は、この空間22内でウェブ11への空気の吹き付けと吸引を同時に行うことを特徴とする。そのための空気吹き付け手段23と空気吸引手段24が空間形成部材21と一体的に設けられている。空気吹き付け手段23は、ウェブ11の幅方向に渡ってほぼ均一な吹き出しスリット23aとキャビティ23bと図示しない送風機から構成されている。空気吸引手段24はウェブ11の幅方向に渡ってほぼ均一な吸引スリット24aとキャビティ24bと図示しない吸引ポンプから構成されている。前記送風機及び吸引ポンプは、空間形成部材21の側面から配管でそれぞれのキャビティ23b及び24bに連結される。
【0016】
空間22内における空気の吹き付け方向は、ウェブ11の搬送方向に対して垂直あるいは反対方向である。好ましくは反対方向であり、吹き出しスリット23aとウェブ11との角度θを20〜90度、好ましくは30〜70度の範囲に設定する。吹き出しスリット23aのスリット幅(クリアランス)は0.3〜1mm程度が適当である。吹き出し速度は、塗布速度に準じて調整されるが、風速5m/sec以上で吹き出すのが好ましい。
【0017】
空間22内における空気の吸引は、空気の吹き付け位置よりウェブ11の走行方向に対して上流側で行うのが好ましく、更に後述(図4に示す)するように下流側でも行うのがより好ましい。空気の吸引力は、空気の吹き付け風量の50%以上が好ましく、より好ましくは同量かそれ以上になるように設定する。吸引スリット24aの角度αは、ウェブ11に対して垂直か、あるいは吹き出しスリット23aとは反対に、ウェブ11の搬送方向と同じ方向が好ましい。吸引スリット24aのクリアランスは0.3〜2mm程度が適当である。対向面21bにおける吹き出しスリット23aと吸引スリット24aの距離は、吹き出しスリットより吹き付けられた空気がウェブ11に当たった後に吸引するように設定する。即ち、吹き出しスリット23aと吸引スリット24aの角度、対向面21bとウェブ11との間隔によって両者間の距離は変わるが、通常3〜20mm程度が適当である。
【0018】
本発明は、ウェブ面(塗布面)の上空を5mm以内に遮断して、ウェブ面に近接した狭い空間を作り、該空間内で吹き付けと吸引を同時に行うものであり、その意味において、次に説明する態様も本発明の一つであり、充分な効果を奏するものである。図3は空間形成部材の別の態様を示す部分断面図である。空間形成部材21の下流側端部に空気吹き付け手段23と、上流側端部に空気吸引手段24が設けられている。空気吹き付け手段23の吹き出しスリット23aの角度は、ウェブ11の搬送方向に反対方向に向けられており、空間22内で吹き付けられている。また、空気吸引手段24の吸引スリット24aは、ウェブ11の搬送方向と同じ方向を向いており、空間22内で吸引されている。
【0019】
前述したように、本発明の好ましい態様は、図2に示すように空間22において吹き付け位置の上流側で吸引することであるが、図4に示すように吹き付け位置の下流側でも吸引することが更に好ましい。図4において、空気吹き付け手段23の上流側と下流側にそれぞれ空気吸引手段24と25が設けられている。下流側の空気吸引手段25は、ウェブ11の幅方向に渡ってほぼ均一な吸引スリット25aとキャビティ25bと図示しない吸引ポンプから構成されている。吸引スリット25aの角度βは、ウェブ11に対して垂直か、あるいはウェブ11の搬送方向と反対方向が好ましい。吸引スリット25aのクリアランスは0.3〜2mm程度が適当である。対向面21bにおける吸引スリット25aと吹き出しスリット23aの距離については、3〜20mm程度が適当である。下流側の空気吸引手段25の吸引力は、上流側の空気吸引手段24と同程度か、あるいは弱く設定される。
【0020】
本発明において、図1、2、3及び4に示す空間形成部材21の遮断面21aは、ウェブの幅方向に渡って同伴空気を遮断する働きをする。前述したように、空気同伴は、ウェブから10cm離れた位置でも発生しており、遮断面21aは高さ方向寸法も充分にとる必要がある。好ましくは図1に示すように、スライドヘッド1に空間形成部材21を取り付けて、スライドヘッド1と一体的に、同伴空気を遮断することである。
【0021】
【実施例】
実施例1
図1に示したカーテン塗布装置を用いて塗布試験を実施した。但し、同伴空気を除去するための装置は下記に示すものをそれぞれ用いた。
【0022】
A:図2に示す同伴空気除去装置
対向面21bは平面でウェブとの間隔Lは最大部で0.6mm、吹き出しスリット23aの角度θは50度でスリットのクリアランスは0.5mm、吹き出し速度(風速)10m/sec、吸引スリット24aのクリアランスは1.0mmで角度αは60度である。空気吸引手段24の吸引量は、空気吹き付け手段23の吹き付け量とほぼ同じになるように設定した。
【0023】
B:図5に示す同伴空気除去装置
スリットの角度θは50度、スリットのクリアランスは0.5mm、吹き出し速度(風速)は10m/sec、スリット先端部とウェブとの間隔は0.6mmである。
【0024】
上記のそれぞれの塗布装置を用いて、下記条件で塗布した。
【0025】
塗布試験の結果を下記に示す。
同伴空気除去装置A(本発明):塗布速度300m/分でもカーテン膜は安定に形成され、均一な塗布面が得られた。
同伴空気除去装置B(比較):塗布速度300m/分で、カーテン膜が揺動し、部分的に縦スジが発生した。
【0026】
実施例2
次に、図4に示す同伴空気除去装置を用いて塗布試験を行った。図4において下流側の吸引スリット25aのクリアランスは1.0mm、角度βは60度、吸引量は上流側空気吸引手段23の20%、その他の構成部分については実施例1の図2のそれと同じである。塗布試験条件は実施例1に準じた。塗布試験の結果、400m/分の高速塗布でも、安定なカーテン膜が形成され、均一な塗布面が得られた。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の同伴空気除去装置を用いたカーテン塗布装置は、高速塗布であっても、十分に同伴空気が除去でき、均一な塗布面が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるカーテン塗布装置の模式構成側面図。
【図2】本発明のカーテン塗布装置の部分拡大断面図。
【図3】本発明のカーテン塗布装置の他の態様を示す部分拡大断面図。
【図4】本発明のカーテン塗布装置の他の態様を示す部分拡大断面図。
【図5】従来のカーテン塗布装置の部分拡大断面図。
【符号の説明】
1 スライドヘッド
9 自由落下塗布液膜
11 ウェブ(支持体)
21 空間形成部材
22 空間
23 空気吹き付け手段
24 空気吸引手段
25 空気吸引手段
Claims (1)
- 塗布液を薄膜状で自由落下させて連続走行する支持体上に塗布するカーテン塗布装置において、塗布液の自由落下着地部の上流側に前記支持体との間隔が5mm以内に前記支持体の幅方向に渡って遮断された空間を形成して同伴空気を除去するための空間形成手段と、前記空間内で走行する支持体の搬送方向に対して反対方向に空気を吹き付けるための空気吹き付け手段と、その吹き付けた空気を吸引をするための空気吸引手段とを有することを特徴とするカーテン塗布装置。
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