JP3625126B2 - アスファルト乳剤用カチオン性乳化剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アスファルトに対して優れた乳化性能を示し、製造されるアスファルト乳剤に対し優れた貯蔵安定性を与えるアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤に関する。また、本発明は、前記アスファルト乳剤用カチオン性乳化剤を用いたアスファルト乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油から得られるアスファルト、タール、ピッチ等の瀝青質は、古くから、舗装材料や防水・接着材料として、及び鉄道軌道の敷設において、広く使用されている。しかし、瀝青質は非常に粘着性が高いため、そのままで使用すると作業性が極めて悪い。そこで、所望の作業性を確保するために、瀝青質は、加熱する(即ち、加熱溶融方式)、適当な乳化剤及び水を用いて乳化物の形態とする、適当な溶剤に溶解させる等の方法によってその流動性を向上させたのちに、使用されている。
【0003】
瀝青質の乳化物のうち、アスファルトの水性乳化物は、一般に「アスファルト乳剤」と呼ばれている。そのようなアスファルト乳剤は、施工面に直接散布される急分解性乳剤(即ち、散布用乳剤)と、骨材と混合される遅分解性乳剤(即ち、混合用乳剤)とに大別される。アスファルト乳剤の調製において使用される界面活性剤は、アニオン性活性剤、カチオン性活性剤、ノニオン性活性剤及び両性活性剤の中から適宜選択されるが、その種類は、概ね、その施工方法に応じて規定される。
【0004】
上記アスファルト乳剤のうち、混合用乳剤は、骨材、フィラー、その他の成分と混合される。そのようにして調製されたアスファルト組成物が、道路舗装体の形成に用いられる。アスファルト組成物を用いて道路施工したのち、その組成物中の水性成分が蒸発して除去されると、いわゆるエマルション破壊が起こる。それにより、アスファルトが硬化し、道路舗装体の形成が完成する。
【0005】
また、この混合用乳剤と共に使用される骨材の種類により、形成される道路舗装体の種類と、その性質・性能が異なる。例えば、混合用乳剤と開粒度骨材とからなるアスファルト組成物(開粒度混合)は、上層・下層路盤の施工に又は表層の排水性舗装の施工に使用される。また、混合用乳剤と密粒度骨材とからなるアスファルト組成物(密粒度混合)は、上層路盤や表層の施工に使用される。さらに、混合用乳剤を細骨材やフィラーと混合してなる組成物は、劣化舗装表面の修復を目的とするスラリーシールに、それを砂と混合してなる組成物(サンド混合)は、簡易表層の形成に使用される。劣化した既設舗装の再利用のために、混合用乳剤を舗装体の破砕物と混合すること(再生混合)も行われている。一方、このようなアスファルト組成物を調製するための混合方法には、プラント混合と路上混合の二種類があり、それは、状況に応じて適宜使い分けられる。
【0006】
これらの道路舗装用途に用いられるアスファルト乳剤は一般にカチオン性アスファルト乳剤が使用される。カチオン性アスファルト乳剤の製造に用いられる乳化剤は、アルキルモノアミン、アルキルプロピレンジアミン、アルキルジプロピレントリアミン又はそれらのアルキレンオキサイド付加物、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の含窒素化合物が一般的である。カチオン性乳剤の特徴は湿った骨材への付着性、混合性が優れていること及び施工後のアスファルト養生が短時間のうちに行われるので施工時間が短くてすむことである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら乳化剤を用いて製造したカチオン性アスファルト乳剤は、全ての面で優れているわけではなく、長期間保存していると底部に沈殿を生じ、いわゆる貯蔵安定性がよくないという問題がある。
【0008】
また、近年の交通量の増加という交通環境の変化に伴い、道路も高耐久性が要求されるようになってきた。これに伴いカチオン性アスファルト乳剤に使用されるアスファルトも針入度の小さい、即ち硬いアスファルトや、スチレン・ブタジエンゴム又は熱可塑性エラストマー、スチレン・ブタジエンブロックポリマーを添加した改質アスファルトが使用されるようになってきた。
【0009】
しかし、これらのアスファルトは乳化がより困難であるため、製造されたアスファルト乳剤の平均粒径は大きく、そのため貯蔵安定性の面で問題がある。これらの点を解決する目的で特公昭54−44248、特公昭59−123523では、モノアミンとポリアミンを配合した乳化剤が開示されているものの、上記問題点を完全に解決しうるものではない。さらに貯蔵安定性を改善する目的で水溶性高分子、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、グアーガム等をアスファルト乳剤に添加する方法も提案されているが、アスファルト乳剤の粘度が高くなりすぎる、施工後の道路の劣化が早くなるといった問題がある。
【0010】
また、特開平6−319974号公報には、陽イオン窒素化乳化剤と、ホスホン酸の少なくとも1種の水溶性金属イオン封鎖剤又はこの前駆体からなる補助剤を含む陽イオン乳化剤系が開示されているものの、このものは解乳化性の改善を目的としたものであり、貯蔵安定性の問題は改善されていない。
【0011】
そこで本発明は、アスファルトに添加した場合、針入度の小さな硬いアスファルトや改質アスファルトに対する乳化作用が優れており、貯蔵安定性も優れているアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤及びそれを用いたアスファルト乳剤を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カチオン性アスファルト乳剤に関する上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、特定構造のカチオン性乳化剤を使用することにより、針入度の小さな硬いアスファルトや改質アスファルトに対する乳化作用が優れており、得られるアスファルト乳剤の貯蔵安定性も優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
即ち本発明は、下記一般式(1):
【0014】
【化2】
【0015】
[式中、R1は炭素数11〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2及びR3は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R4は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、xは1〜4の整数を示す]
で表される化合物を含有することを特徴とするアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤を提供するものである。
【0016】
また本発明は、アスファルト、前記のアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤及び水を含有しており、前記アスファルト乳剤用カチオン性乳化剤の含有量が0.02〜3.0重量%であり、pHが1.5〜7.0であることを特徴とするアスファルト乳剤を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤(以下、「カチオン性乳化剤」という)に含まれる一般式(1)の化合物において、式中のR1は炭素数11〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数13〜21の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくは炭素数15〜19の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基である。R2及びR3は炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは1又は2のアルキル基である。R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基である。xは1〜4の整数であり、好ましくは2又は3である。
【0018】
一般式(1)で表される化合物としては、ジメチルアミノプロピルステアロイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルパルミトイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルミリストイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルラウロイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルメチルステアロイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルメチルパルミトイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルメチルミリストイルアミンのアミンオキサイド、ジエチルアミノプロピルパルミトイルアミンのアミンオキサイド、ジエチルアミノプロピルミリストイルアミンのアミンオキサイド、ジエチルアミノプロピルステアロイルアミンのアミンオキサイド、ジエチルアミノプロピルメチルステアロイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・ヤシ脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・牛脂脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・パーム油脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・パーム核油脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・硬化パーム脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・硬化牛脂脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・コーヒーオイル脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・トール油脂肪酸アミドのアミンオキサイド等を挙げることができる。これらの中でも好ましくは、ジメチルアミノプロピルステアロイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・硬化牛脂脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・牛脂脂肪酸アミドのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルパルミトイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルミリストイルアミンのアミンオキサイド、ジメチルアミノプロピルアミン・ヤシ脂肪酸アミドのアミンオキサイド等を挙げることができる。
【0019】
一般式(1)で表される化合物の製造方法としては、脂肪酸又は脂肪酸と低級アルコールのエステルとアミン化合物を縮合反応させたのち、過酸化水素で酸化する方法が一般的であるが、この方法に限られるものではない。
【0020】
カチオン性乳化剤には、さらに使用目的に応じてその他の界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤、アルキルアミン、アルキルポリアミン、アルキルアミン又はアルキルポリアミンのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドアミン、ポリアミンの脂肪酸アミド、イミダゾリン、4級アンモニウム塩、両性界面活性剤及びアミノ化リグニンから選ばれる1種又は2種以上を配合することができる。この場合の本発明カチオン性乳化剤/その他の乳化剤の配合割合は、優れた乳化性能とアスファルト乳剤の貯蔵安定性を得るため、重量比で好ましくは10/90〜99/1であり、特に好ましくは10/90〜90/10であり、さらに好ましくは20/80〜70/30である。
【0021】
カチオン性乳化剤には、乳化剤の形態の面から、例えば液状にする目的で、水、低級アルコール、グリコール、ポリオキシエチレングリコール等の溶剤類、グルコースやソルビトール等の糖類、低級脂肪酸類、低級アミン類、パラトルエンスルホン酸やエーテルカルボン酸等のハイドロトロープ剤等を配合することもできる。
【0022】
カチオン性乳化剤には、道路施工時における骨材とセメントとの混合性を改善する目的で、オリゴマー型活性剤を添加することができる。オリゴマー型活性剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0023】
カチオン性乳化剤には、アスファルト乳剤の貯蔵安定性を更に向上させる目的で水溶性高分子を添加することができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、メチルセルロース、ガム類等を挙げることができる。さらに、施工後の骨材とアスファルトの付着性を向上させる目的でタンニン、没食子酸等のフェノール系化合物を添加することもできる。
【0024】
本発明のカチオン性乳化剤の使用量は、経済性を考慮し、優れた貯蔵安定性を得るため、通常の使用においては生成するアスファルト乳剤重量に対して、好ましくは0.02〜3.0重量%であり、より好ましくは0.05〜2.0重量%であり、もっとも好ましくは0.10〜1.0重量%である。
【0025】
本発明のアスファルト乳剤は、アスファルト、カチオン性乳化剤及び水を含有するものである。
【0026】
本発明のアスファルト乳剤で用いるアスファルトとしては、石油ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、カットバックアスファルト、天然アスファルト、劣化した道路から回収されたアスファルト及び改質アスファルトI型、改質アスファルトII型等を挙げることができる。
【0027】
本発明のアスファルト乳剤で用いる水としては、海水のような極端に塩濃度の高いものでなければ、水道水、地下水、工業用水等を用いることができる。
【0028】
アスファルト乳剤中におけるアスファルト及び水の含有量は、常温で流動性のある所望の貯蔵安定性及び静置安定性を有する乳剤を得るため、アスファルトの含有量が40〜80重量%であり、好ましくは50〜75重量%であり、水の含有量が20〜60重量%であり、好ましくは25〜75重量%である。カチオン性乳化剤の含有量は、上記したとおりである。
【0029】
本発明のアスファルト乳剤は、pHが1.5〜7.0であり、好ましくは1.5〜4.0である。このpHの調整には、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸又は酢酸等の有機酸を用いることができ、これらの中でも塩酸が好ましい
本発明のアスファルト乳剤には、さらに必要に応じて、上記したその他の界面活性剤、溶剤類、糖類、ハイドロトロープ剤 、オリゴマー型活性剤、水溶性高分子、フェノール系化合物等を配合することができる。また、本発明のアスファルト乳剤には、乳化時の泡立ち及び乳化性能を改善する目的で、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、芒硝、塩化カリウム、塩化アルミニウム等の無機化合物を配合することができる。
【0030】
本発明のアスファルト乳剤は、使用目的に応じて選択されるコロイドミル、ハレル型ホモジナイザー、ホモジナイザー、ラインミキサー等の乳化機により製造することができる。アスファルトは加熱溶融状態にして乳化を行うが、その際の加熱温度はアスファルト種、乳化機等の条件によって異なり、一般的には120〜160℃が好ましい。カチオン性乳化剤の温度は、アスファルトの温度と製造するアスファルト乳剤を何度にするかによって決まるが、通常は30〜60℃に加温して使用される。
【0031】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
針入度80〜100のストレートアスファルト60重量部を、145℃に加熱溶融した。55℃の温水に表1に示す一般式(1)で表される化合物1をアスファルト乳剤重量に対して0.4重量%となるような量を溶かし、塩酸でpH3に調整したカチオン性乳化剤40重量部と、前記溶融アスファルトとを同時にコロイドミルに通して、アスファルト乳剤を得た。このアスファルト乳剤の貯蔵安定度(静置安定性)、ふるい残留物、粘度、蒸発残留物(アスファルト濃度)をJIS K 2208に従い又はそれに準じて下記の方法により測定した。また、平均粒子径をレーザー回折粒度分布測定装置(島津社製、LA−500)にて測定した。結果を表2に示す。
【0033】
(静置安定性)
静置安定性試験用シリンダーにアスファルト乳剤を所定量入れて24時間静置した。その後、上部50g及び下部50gを各々採取し、乾燥したのち、蒸発残分の差を求めた。この値が小さいほど沈殿等によるアスファルトの損失が少なく、静置安定性がよいことを示している。
【0034】
(アスファルト濃度)
1500mlのステンレス製容器にアスファルト乳剤300gを採取し、電熱器を用いて、温度計でかき混ぜながら20分程度かけて加熱した。アスファルト乳剤の泡立ちが終了し、水分がなくなったことを確認してから、さらに160℃で1分間加熱したのち、室温まで放冷した。その後、残留物の重量をはかり、試験前重量に対する重量百分率(%)(アスファルト濃度)を求めた。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例2
実施例1と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。使用したカチオン性乳化剤は、化合物2を0.3重量%及び塩化カルシウム0.1重量%を用い、塩酸でpH2に調整したものである。得られたアスファルト乳剤について、実施例1と同様の試験をした。結果を表2に示す。
【0037】
実施例3
実施例1と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。使用したカチオン性乳化剤は、化合物3を0.2重量%及び塩化カルシウム0.1重量%を用い、塩酸でpH2に調整したものである。得られたアスファルト乳剤について、実施例1と同様の試験をした。結果を表2に示す。
【0038】
比較例1
実施例1と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。使用した乳化剤は、牛脂アルキルプロピレンジアミン0.4重量%を、塩酸でpH2に調整したものである。得られたアスファルト乳剤について、実施例1と同様の試験をした。結果を表2に示す。
【0039】
比較例2
実施例1と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。使用した乳化剤は、ステアリルトリメメチルアンモニウムクロライド0.3重量%及び塩化カルシウム0.1重量%を用い、塩酸でpH2に調整したものである。得られたアスファルト乳剤について、実施例1と同様の試験をした。結果を表2に示す。
【0040】
比較例3
実施例1と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。使用した乳化剤は、エチレンジアミンモノステアリルアミドを等モルの過酸化水素で酸化処理した化合物0.3重量%及び塩化カルシウム0.1重量%を用い、塩酸でpH2に調整したものである。得られたアスファルト乳剤について、実施例1と同様の試験をした。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
本発明のカチオン性乳化剤及びアスファルト乳剤は、従来より使用されていた牛脂アルキルプロピレンジアミン、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等を用いて得られるアスファルト乳剤等に比較し、アスファルト乳剤の蒸発残留分及び粘度は各例ともほぼ同じであるにもかかわらず、いずれの例においても貯蔵安定度に優れ、ふるい残留分が少なく、平均粒子径が細かくなっていた。この結果から、本発明のカチオン性乳化剤及びアスファルト乳剤が優れたものであることが明らかとなった。
【0043】
実施例4
針入度80〜100のストレートアスファルトに熱可塑性エラストマー(タフプレン、旭化成工業(株)製)を3重量%添加し、ホモジナイザーにより、180℃で3時間攪拌し、改質アスファルトI型を得た。この改質アスファルトI型60重量部を145℃に加熱溶融した。55℃の温水に、アスファルト乳剤重量に対して0.4重量%となるような量の化合物4と0.1重量%となるような量の塩化カルシウムを溶かし、塩酸でpH2に調整したカチオン性乳化剤40重量部と、溶融改質アスファルトI型60重量部を同時にコロイドミルに通して、アスファルト乳剤を製造した。このアスファルト乳剤の貯蔵安定度(静置安定性)、ふるい残留物、粘度、蒸発残留物(アスファルト濃度))をJIS K 2208に従い又はそれに準じて測定した。また、平均粒子径をレーザー回折粒度分布測定装置(島津社製、LA−500)にて測定した。結果を表3に示す。
【0044】
実施例5
実施例4と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。使用したカチオン性乳化剤は、化合物2を0.3重量%及び塩化カルシウム0.1重量%を用い、塩酸でpH2に調整したものである。得られたアスファルト乳剤について、実施例4と同様の試験をした。結果を表3に示す。
【0045】
比較例4
実施例1と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。使用した乳化剤はステアリルトリメチルアンモニウムクロライドを0.4重量%及び塩化カルシウム0.1%重量を用い、塩酸でpH2に調整したものである。得られたアスファルト乳剤について、実施例4と同様の試験をした。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
本発明のカチオン性乳化剤は、乳化が困難である改質アスファルトI型を用いても、ストレートアスファルトを用いた場合と同様に、充分な乳化性及び乳化安定性を有するアスファルト乳剤を得ることができた。
【0048】
実施例6〜8及び比較例5〜7
実施例1と同様の方法でアスファルト乳剤を製造した。乳化剤は表4に示すものを用いた。但し、塩化カルシウム等の添加剤は用いず、pHは塩酸を用いてpH2に調整した。得られたアスファルト乳剤について、実施例1と同様の試験をした。結果を表5に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
この結果より、本発明のカチオン性乳化剤は、他の乳化剤と併用しても、乳化性及び乳化安定性が充分発現することが明らかとなった。
【0052】
【発明の効果】
本発明のカチオン性乳化剤は、針入度の小さな硬いアスファルトや改質アスファルトに対しても優れた乳化作用を発揮することができるため、これらのアスファルトを用いた乳剤であっても貯蔵安定性が優れている。よって、乳剤中のアスファルト分の損失を少なくできるため、作業コストを低下させることができる。本発明のカチオン性乳化剤及びそれを用いたアスファルト乳剤は、道路舗装、防水・接着材料、鉄道軌道の敷設、燃料等に広く利用することができる。
Claims (4)
- さらに、ノニオン性乳化剤、アルキルアミン、アルキルポリアミン、アルキルアミン又はアルキルポリアミンのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドアミン、ポリアミンの脂肪酸アミド、イミダゾリン、4級アンモニウム塩、アルキルピペラジン型界面活性剤、両性乳化剤及びアミノ化リグニンからなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1記載のアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤。
- 一般式(1)で表される化合物/他の乳化剤が、重量比で10/90〜99/1の比率である請求項2記載のアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤。
- アスファルト、請求項1、2又は3記載のアスファルト乳剤用カチオン性乳化剤及び水を含有しており、前記アスファルト乳剤用カチオン性乳化剤の含有量が0.02〜3.0重量%であり、pHが1.5〜7.0であることを特徴とするアスファルト乳剤。
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