JP3624777B2 - 鍵盤装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、押鍵操作により回動する質量体等の回動体を備えた鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、押鍵操作により鍵に連動して質量体(ハンマ体)等の回動体を回動させると共に、該回動体がストッパ等に当接してその回動終了位置が規制されるようにした鍵盤装置が知られている。
【0003】
この装置では例えば、鍵及び質量体等の回動体を夫々回動自在に支持し、回動体の自重等で回動体と鍵との当接を維持して、その当接を介して押鍵の駆動力が回動体に伝達されるように構成される。また、例えばストッパとしての被当接部を装置本体に設けると共に回動体の腕の端部に当接部を設け、回動体が回動して当接部が被当接部に当接することにより回動体の回動終了位置が規制されるように構成される。
【0004】
この装置では、製造の容易さや製造コスト等を考慮し、回動体の腕に設ける当接部は、平面等の面状に形成されることが多く、一方、装置本体に設ける被当接部は、フェルト等の緩衝材が複数の鍵(あるいは全鍵)の幅に亘って一様な形状で装置本体に取り付けられて構成されることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の鍵盤装置では、押鍵による鍵の回動終了時には回動体の当接部が装置本体に設けた被当接部に当接するから、これら当接部と被当接部との当接の態様が押鍵感触に直接影響を与えることになる。そのため、被当接部による緩衝機能はあるものの、当接部の面状部分が被当接部に急激に当接する際の衝撃によって質量体のリバウンドによるあばれが発生しやすい。従って、押鍵感触が悪化する場合があり、しかも、質量体でスイッチを押下して押鍵動作を電気的に検出するように構成した場合には、その傾向は増し、さらにノイズの原因にもなる。
【0006】
また、被当接部の形状や材質等は各鍵について一様であるから、押鍵感触は各鍵で同様のものとなる。しかし、グランドピアノ等のアコースティックピアノでは、例えば低音鍵と高音鍵とでは押鍵感触が相違しており、このような自然な押鍵感触に擬似的に近づける上で改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、押鍵感触を向上することができる鍵盤装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の鍵盤装置は、押鍵操作により回動する回動体と、該回動体と当接して該回動体の回動終了位置を規制する規制手段とを備えた鍵盤装置において、前記回動体及び前記規制手段の一方に、尖状の先端を有する当接部を設けると共に、前記回動体及び前記規制手段の他方に、前記当接部と当接する弾性を有した面である対向当接面を設け、前記回動体と前記規制手段との当接時において、前記当接部の前記尖状の先端が前記対向当接面にめり込むように構成したことを特徴とする。
【0009】
この構成により、回動体と規制手段との当接時において、当接部の尖状の先端が対向当接面にめり込むので、回動体と規制手段との当接面積が当接開始当初から徐々に大きくなっていく。従って、急激な当接による衝撃が和らげられるので、回動体がリバウンドしてあばれが発生することを抑制することができる。また、当接力が大きいほど当接面積が大きくなるので、押鍵力に応じた反発力が滑らかな態様で生じ、前記一方は、広い押鍵態様に対して適切な緩衝機能を発揮することができる。さらに、回動体で電気的に押鍵操作を検出するように構成した場合でも、リバウンドが抑制されることで、スイッチのチャタリング等を抑制してノイズを防止することができ、ひいてはタッチ感に違和感を与えることを回避することができる。よって、押鍵終了時における回動体のリバウンドを抑制して押鍵感触を向上することができる。
【0010】
同じ目的を達成するために本発明の請求項2の鍵盤装置は、複数の鍵の各々に対応して設けられ、対応する鍵の操作により各々回動する複数の回動体と、該複数の回動体と当接して該複数の回動体の回動終了位置を規制する複数の規制手段とを備え、前記複数の規制手段の各々を、前記複数の回動体の少なくとも1つの回動体毎に対応して設け、前記回動体及び前記規制手段の一方に、尖状の先端を有する当接部を各回動体に対応して設けると共に、前記回動体及び前記規制手段の他方に、各当接部に対応して、弾性を有する緩衝材で構成され対応する当接部と当接する対向当接面を設け、前記回動体と前記規制手段との当接時において、前記当接部の前記尖状の先端が、対応する対向当接面にめり込むように構成し、前記複数の回動体のうち少なくとも2つの回動体に夫々対応する要素であって、前記当接部の形状、前記対向当接面を構成する緩衝材の材質、該緩衝材の硬度、該緩衝材の厚み、該緩衝材の大きさ、該緩衝材の配置並びに該緩衝材の形状の少なくとも1つの要素を、前記少なくとも2つの回動体間で互いに異ならせたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、回動体と規制手段との当接時において、当接部の尖状の先端が対向当接面にめり込むので、押鍵終了時における回動体のリバウンドを抑制することができる。また、複数の回動体のうち少なくとも2つの回動体に夫々対応する要素であって、前記当接部の形状、前記対向当接面を構成する緩衝材の材質、該緩衝材の硬度、該緩衝材の厚み、該緩衝材の大きさ、該緩衝材の配置並びに該緩衝材の形状の少なくとも1つの要素が、前記少なくとも2つの回動体間で互いに異なっているので、回動体と規制手段とが当接した場合に生じる反発力を少なくとも2つの回動体間で異ならせることができる。従って、例えば回動体の回動終了位置での停止の態様や反発による戻りの速度等を回動体毎に設定することができ、押鍵感触を個別に設定して押鍵感触の向上、演奏性の向上を図ることができる。また、上記各種要素の組み合わせを変えることで、反発力の個別設定が容易である。例えば低音鍵から高音鍵にかけて段階的あるいは各鍵毎に反発力を異ならせて、アコースティックピアノのような自然な押鍵感触に擬似的に近づける等、タッチ感触のキースケーリングを実現することも可能である。よって、回動体の回動終了時の反発力を個別に設定可能にして押鍵感触を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1、図2は、本発明の一実施の形態に係る鍵盤装置の部分縦断面図である。図1は非押鍵状態(後述する鍵1、質量体40(回動体)が回動開始位置にある状態)を示し、図2は押鍵往行程終了状態(鍵1、質量体40が回動終了位置にある状態)を示す。これらの図では、上ケースや蓋体等は省略されている。なお、以下、本鍵盤装置の演奏者側(図1の左方)を前方、演奏者からみて鍵後端方向(同図右方)を後方とそれぞれ称する。
【0014】
本装置は、例えば電子鍵盤楽器として構成され、押鍵操作されるシーソー型の鍵1(白鍵1W及び黒鍵1B)と、質量体支持部材20と、該支持部材20によって回動自在に支持され鍵1によって駆動されて回動する質量体40とを有する。質量体40は、白鍵1W及び黒鍵1Bの各々に対応して設けられ、質量配分等を除きいずれも同様に構成される。
【0015】
棚板2上には鍵フレーム10が設けられている。鍵フレーム10上には鍵支持部3が設けられ、鍵支持部3には支点ピン6(白鍵用支点ピン6W、黒鍵用支点ピン6B)が各鍵1に対応して突設されている。各鍵1W、1Bにはそれぞれ支点穴1Wa、1Baが設けられている。支点穴1Wa、1Baはいずれも、下方に向かって縮径している。各鍵1の鍵盤装置本体への組み付け(鍵フレーム10を介した棚板2への取り付け)時には、支点ピン6が支点穴1Wa、1Baを貫通し、これにより、各鍵1の鍵並び方向及び鍵長手方向の位置が規制されると共に、各鍵1が鍵支持部3によって押離鍵方向に回動自在に支持される。各鍵1の後端部上面には、ラバーが貼着され、このラバーが貼着された部分は後述する質量体40の発音位置調整ネジ41と当接して質量体40を駆動する駆動部9として機能する。上記ラバーにより当接がチャタリングなく円滑にされている。
【0016】
鍵フレーム10の前部には、押鍵ストッパ4(白鍵用押鍵ストッパ4W、黒鍵用押鍵ストッパ4B)及びキーガイド5(白鍵用キーガイド5W、黒鍵用キーガイド5B)が各鍵1毎に設けられている。押鍵ストッパ4は鍵1と当接して鍵1の押鍵による回動終了位置(図2)を規制する。キーガイド5は、鍵1の回動時における鍵並び方向への揺動を抑制する。
【0017】
鍵フレーム10上における押鍵ストッパ4、キーガイド5の後方であって鍵支持部3の前方には、スイッチ基板7が設けられ、該スイッチ基板7には各鍵1毎に第1の押鍵スイッチ8が設けられている。第1の押鍵スイッチ8は押鍵操作を検出する。
【0018】
質量体支持部材20は、棚板2上における鍵1の後端部近傍に設けられている。支持部材20は、例えば1オクターブ単位で構成され、前部及び後部の適所で棚板2に固定されている。支持部材20の前部には、非押鍵時用ストッパ21が各鍵1毎に設けられており、非押鍵時用ストッパ21は、鍵1と当接して鍵1の押鍵による回動開始位置(図1)、すなわち非押鍵時の位置を規制する。支持部材20の後部には、後述する質量体用ストッパ22(被当接部)が設けられている。質量体用ストッパ22は、詳細は後述するが、弾性を有し、後述する質量体40の当接部44と当接して押鍵に伴う質量体40の回動終了位置(図2)を規制すると共に、緩衝機能を果たす。
【0019】
支持部材20にはさらに、スイッチ基板23が設けられる。スイッチ基板23は、複数の支持部材20に対応、例えば全鍵に対応して設けられ、ネジ24によって支持部材20に固定されている。スイッチ基板23上には第2の押鍵スイッチ25が各質量体40毎に設けられている。第2の押鍵スイッチ25は、質量体40によって押下され、鍵1の押鍵動作を間接的に検出する。なお、本実施の形態では、押鍵スイッチ8及び第2の押鍵スイッチ25の双方による検出結果に基づいて、所定のアルゴリズムによる多彩な楽音制御が可能なように構成されているが、押鍵スイッチ8及び第2の押鍵スイッチ25のいずれか一方による検出結果に基づいて楽音制御を行うようにしてもよい。
【0020】
支持部材20にはまた、回動軸部32が設けられる。回動軸部32は後述する質量体40の軸受け部45と係合して質量体40を回動自在に支持する。
【0021】
図3は、質量体40の構成を示す図である。同図(a)は側面図、同図(b)は質量体40を後方からみた(同図(a)の略右方からみた)背面図である。
【0022】
質量体40(ハンマ体)は、適当な押鍵感触を得るために設けられる。質量体40は、支持部材20の回動軸部32によって軸受け部45で回動自在に支持され、押離鍵時には軸受け部45を中心として回動する。
【0023】
質量体40は、軸受け部45から前方に延びる前方延設部40Aと、軸受け部45から後方に延びる後方延設部40Bとから構成される。質量体40には、押鍵時に適当な慣性力を得るための質量として、前方延設部40Aの頭部46及び後方延設部40Bの尾部47に鉄等の金属が埋設されている。
【0024】
この金属の埋設の態様としては、グランドピアノにおけるキータッチを参考に、低音鍵ほど慣性質量が大きく、すなわち重いタッチとなるように設定されている。さらに、白鍵1Wと黒鍵1Bとの長さの相違を考慮して、質量体40の質量配分は白鍵1W、黒鍵1Bで別々に設定されており、全鍵に亘るタッチ感触のキースケーリングがなされている。これにより、アコースティックピアノの動的タッチを擬似的に実現している。
【0025】
質量体40はいずれも、前方延設部40Aの方が後方延設部40Bよりも重く設定されている。従って、鍵1が組み付けられた後は、非押鍵状態及び押鍵初期には鍵1の駆動部9と常に当接し、鍵1と質量体40とが連動状態となる。なお、質量体40と鍵1との当接を、質量体40の自重によることなくバネやゴム等の弾性部材により維持するように構成してもよい。なお、押鍵態様によっては押鍵往行程途中から質量体40が鍵1の駆動部9から離間する場合がある。
【0026】
発音位置調整ネジ41は延設部40Aに設けられている。発音位置調整ネジ41は、頭部41a、調整部41b及び軸部41cが一体となって構成され、例えば質量体40の金型による成形時にインサート成形により質量体40に取り付けられる。発音位置調整ネジ41は、頭部41aが鍵1の駆動部9と当接して押鍵による駆動力を質量体40に伝達し、これによって質量体40が回動する。
【0027】
発音位置調整ネジ41の頭部41aは曲面状に形成されており、鍵1の駆動部9との当接点が回動行程において滑らかに移動して、押鍵感触への悪影響が防止されている。調整部41bには例えばプラスまたはマイナス状の溝が切られ(図示せず)、頭部41aの下方への突出量をドライバで調整可能になっており、これによって、質量体40の回動量と押鍵スイッチ25の検出による発音タイミングとの関係を調整することができる。
【0028】
後方延設部40Bの下面には、アクチュエータ42が設けられ、アクチュエータ42は、質量体40の回動に伴い支持部材20の押鍵スイッチ25を押下する。後方延設部40Bの後端部下面には、当接部44が形成されている。当接部44は、質量体40の回動によって支持部材20の質量体用ストッパ22に当接する。
【0029】
当接部44は、尾部47から下方に山形状に突出している。同図(b)に示すように、当接部44は後方からみて両斜面44cを斜辺とした略2等辺三角形状をしている。三角形の頂点に相当する先端部44bは、断面R曲面状に形成されている。先端部44bはまた、同図(a)に示すように、質量体40の長手方向にある程度の長さを有する稜線として形成されると共に、質量体用ストッパ22との当接時にストッパ22の上面22a(対向当接面)(後述)と対向して略平行になるように設定され、質量体用ストッパ22との確実、適切な当接が確保されている。
【0030】
当接部44が先細の三角状をしているので、ミクロ的にみれば、ストッパ22との当接開始当初から当接終了に亘って当接面積が徐々に大きくなっていく。従って、急激な当接による衝撃が和らげられ、リバウンドが抑制される。さらに、質量体用ストッパ22に当接するときの衝撃の強さが強いほど、弾性を有する質量体用ストッパ22にめり込む深さが深くなり、質量体用ストッパ22との接触面積が大きくなる。従って、当接時の衝撃の強さに応じて反発力が滑らかに変化し、適切な反発力が得られる。しかも、先端部44bが断面R曲面状に形成されているので、質量体用ストッパ22を過剰に傷めることがない。
【0031】
なお、当接時の衝撃の強さに応じて反発力が滑らかに変化するようにするためには、当接部44の形状は上記のものに限定されない。例えば、当接部44の断面であって、当接時に質量体用ストッパ22の上面22aに平行な断面の面積が、尾部47から先端部44bにいくほど(ストッパ22に近接した部分ほど)小さくなるように構成すればよく、例えば角錐や円錐等の錐状のように先端が尖った形状に形成することが考えられる。また、これら錐状部分や上記例示した稜線状の先端部44bは複数設けてもよい。
【0032】
当接部44にはさらに、両斜面44cに複数(例えば3本)の溝44aが夫々設けられ、各溝44aは先端部44bに対して略垂直方向に形成されている。これにより、当接部44の強度を保持しつつ金型による成形時のひきやすさを確保し、さらに軽量化にも寄与している。
【0033】
図4は、支持部材20を上方からみた平面図である。同図では、質量体40やスイッチ基板23等が省略されている。
【0034】
支持部材20の回動軸部32は、同図に示すように、左側突起部32L及び右側突起部32Rで構成され、各質量体40に対応して設けられる。
【0035】
質量体用ストッパ22は、緩衝材として、例えばフェルト製等の弾性を有する部材で構成される。質量体用ストッパ22は、直方体状をしており、各質量体40毎に対応して、支持部材20の後部に固着されている。質量体用ストッパ22の上面22aは平面状に形成される。
【0036】
各質量体用ストッパ22は、緩衝材の硬度が各質量体40毎に1つ1つ異なっており、白鍵1W及び黒鍵1B間でも異なるが、白鍵1W及び黒鍵1Bの夫々についても、低音鍵に対応するものほど硬度が高く設定されている。上述したように、質量体40は動荷重特性が各々異なり、低音鍵ほど重いタッチとなるように設定されていること、及び白鍵1Wと黒鍵1Bとでは長さが相違していることから、当接部44と質量体用ストッパ22との当接による反発力もこれらを考慮して適当な値にするべく、質量体用ストッパ22の硬度を個々に設定したものである。これにより、質量体40の停止の態様や戻り速度を質量体40毎に設定することができる。
【0037】
なお、質量体用ストッパ22の反発力を個別に設定するためには、硬度だけでなく、緩衝材の厚み、大きさ、配置、形状等の各種要素のいずれかまたは複数を変更し、それらの組み合わせにより個別に調整するようにしてもよい。
【0038】
本実施の形態によれば、質量体40の当接部44を先細の三角状に形成したので、広い面状に形成した場合に比し、急激な当接による衝撃が和らげられる。従って、質量体40がリバウンドしてあばれが発生することを抑制することができる。また、リバウンドが抑制される結果、第2の押鍵スイッチ25の不適切なオンオフが生じにくく、チャタリング等を抑制してノイズを防止することができ、ひいてはタッチ感に違和感を与えることを回避することができる。さらに、当接部44と質量体用ストッパ22との当接力が大きいほど当接面積が大きくなるので、押鍵力に応じた反発力が滑らかな態様で生じ、ストッパ22が広い押鍵態様に対して適切な緩衝機能を発揮することができる。よって、押鍵終了時における質量体40のリバウンドを抑制して押鍵感触を向上することができる。
【0039】
本実施の形態によればまた、質量体用ストッパ22を質量体40毎に対応して設け、その硬度を個々に設定したので、当接部44と質量体用ストッパ22との当接による反発力を個々に任意に設定することができ、従って、質量体40の停止の態様や戻り速度を質量体40毎に設定することができ、押鍵感触を個別に設定して押鍵感触の向上、演奏性の向上を図ることができる。そして、白鍵1Wと黒鍵1Bとの長さの相違、質量体40の個々の動荷重特性、低音鍵と高音鍵とのタッチの重さの相違等、各種条件を総合的に考慮して、ストッパ22の硬度を白鍵1W及び黒鍵1B間で異ならせると共に、白鍵1W及び黒鍵1Bの夫々についても低音鍵ほど硬度を高く設定したので、アコースティックピアノのような自然な押鍵感触に擬似的に近づけたタッチ感触のキースケーリングを実現することができる。よって、質量体40の回動終了時の反発力を個別に設定可能にして押鍵感触を向上することができる。
【0040】
なお、質量体40の当接部44の形状は全質量体40について同様としたが、個々に変えてもよい。例えば、質量体用ストッパ22の硬度等の要素の組み合わせの変更によってストッパ22の反発力のバリエーションを設定するだけでなく、当接部44の形状(めりこみ深さに対する当接面積の変化態様等)をも要素に加え、各鍵毎に個別設定してもよい。
【0041】
一方、質量体用ストッパ22は全質量体40毎に異ならせるというパターン以外も採用可能である。例えば白鍵1Wと黒鍵1Bとを異ならせるのみでもよいし、あるいは低音鍵から高音鍵まで複数鍵(例えば1オクターブ)毎に段階的に異ならせるようにしてもよい。
【0042】
なお、本実施の形態では樹脂製の当接部44を質量体40側に設けると共にフェルト製の質量体用ストッパ22を装置本体側に設けるようにしたが、これとは逆に、質量体40側の当接部を緩衝材でストッパ22と同じ態様で構成すると共に、装置本体側のストッパを樹脂で当接部44と同じ態様で構成するようにしてもよい。
【0043】
なお、本実施の形態では押鍵操作により質量体40が回動し、質量体40が質量体用ストッパ22に当接する場合を例示したが、これに限るものでなく、押鍵操作により回動する回動部材及びそのストッパが存在すれば広く適用可能である。例えば鍵1と質量体40との間に介在部材があってもよいし、質量体40によって駆動される回動部材とそのストッパにも適用できる。さらに鍵1の後端部と直接当接するストッパと鍵1との関係においても、上記質量体40と質量体用ストッパ22との関係と同様の構成を適用してもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る鍵盤装置によれば、押鍵終了時における回動体のリバウンドを抑制して押鍵感触を向上することができる。
【0045】
請求項2に係る鍵盤装置によれば、回動体の回動終了時の反発力を個別に設定可能にして押鍵感触を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る鍵盤装置の部分縦断面図(非押鍵状態)である。
【図2】同形態に係る鍵盤装置の部分縦断面図(押鍵往行程終了状態)である。
【図3】質量体の構成を示す図である。
【図4】支持部材を上方からみた平面図である。
【符号の説明】
1 鍵、 2 棚板、 3 鍵支持部、 9 駆動部、 10 鍵フレーム、20 質量体支持部材、 22 質量体用ストッパ(被当接部)、 22a 上面(対向当接面)、25 第2の押鍵スイッチ、 32 回動軸部、 40 質量体(回動体)、 41 発音位置調整ネジ、 44 当接部、 45 軸受け部、 47 尾部
Claims (2)
- 押鍵操作により回動する回動体と、該回動体と当接して該回動体の回動終了位置を規制する規制手段とを備えた鍵盤装置において、
前記回動体及び前記規制手段の一方に、尖状の先端を有する当接部を設けると共に、前記回動体及び前記規制手段の他方に、前記当接部と当接する弾性を有した面である対向当接面を設け、
前記回動体と前記規制手段との当接時において、前記当接部の前記尖状の先端が前記対向当接面にめり込むように構成したことを特徴とする鍵盤装置。 - 複数の鍵の各々に対応して設けられ、対応する鍵の操作により各々回動する複数の回動体と、該複数の回動体と当接して該複数の回動体の回動終了位置を規制する複数の規制手段とを備え、
前記複数の規制手段の各々を、前記複数の回動体の少なくとも1つの回動体毎に対応して設け、
前記回動体及び前記規制手段の一方に、尖状の先端を有する当接部を各回動体に対応して設けると共に、前記回動体及び前記規制手段の他方に、各当接部に対応して、弾性を有する緩衝材で構成され対応する当接部と当接する対向当接面を設け、
前記回動体と前記規制手段との当接時において、前記当接部の前記尖状の先端が、対応する対向当接面にめり込むように構成し、
前記複数の回動体のうち少なくとも2つの回動体に夫々対応する要素であって、前記当接部の形状、前記対向当接面を構成する緩衝材の材質、該緩衝材の硬度、該緩衝材の厚み、該緩衝材の大きさ、該緩衝材の配置並びに該緩衝材の形状の少なくとも1つの要素を、前記少なくとも2つの回動体間で互いに異ならせたことを特徴とする鍵盤装置。
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