JP3624706B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真プロセスを用いた複写機、プリンターなどに用いられる耐刷性の優れた電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
カールソン法による電子写真画像形成方法においては、感光体表面を一様帯電させた後に、この表面を形成する画像情報に応じた露光を行うことにより電荷を消失させ、該感光体表面に静電潜像を形成する。ついで、その静電潜像をトナーによって現像、可視化し、さらに、トナー像を感光体上から転写紙等に転写後、定着させる。一方、転写後の感光体は、その表面に残留するトナーの除去や除電等を行うことにより、表面が初期化され繰り返し使用される。
【0003】
従って、電子写真感光体は帯電特性、感度が良好で、さらに暗減衰性が小さい等の感光特性が要求されると共に、繰り返し使用において、耐刷性、耐磨耗性、耐傷性等の機械的性質や、コロナ放電時に発生するオゾン等の活性種、露光時の紫外線等に対する耐性についても良好なことが要求される。
従来、電子写真感光体には、セレン、セレン−テルル合金、セレン化ヒ素、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系光導電物質が広く用いられてきた。しかし、これら無機系光導電物質は人体に対して有害であり廃棄に問題があったり、コストが高くなるなどの問題があった。
【0004】
このような理由から、低公害であり、製造が容易である特長を持つ有機系の光導電物質を感光層に用いた研究が盛んに行われ、実用化が進んでいる。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層、及び、電荷移動層からなる積層型の感光体が主流となっている。これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の分野に広く用いられている。
また、近年、電子写真方式の複写機、プリンターにおいては、大量の画像を迅速に形成できること、メインテナンスに手間がかからないことなどが要請されており、これに対応するためには、感光体の高耐刷化が不可欠であるが、有機系の感光体には、無機系の感光体に比べて機械的特性が弱く、繰り返し使用すると磨耗しやすい、傷つきやすいという欠点がある。
【0005】
このような欠点を改善するため、種々の検討が行われている。電荷輸送物質の量を減らすと、磨耗量は減少するが、感光特性は劣化する。別の手段として、電荷輸送層のバインダーの分子量を増加すると磨耗量は減少するが、塗布液の粘度が上昇するため、塗布の段階でタレやムラなどの欠陥が生じやすくなる。また最近では無機フィラーや潤滑性粒子を電荷輸送層に分散させる方法が考案されているが、粒子によって入射光が散乱されるため、感度が大きく劣化したり、塗布液中の分散粒子が放置しておくと沈降するなどの欠点があり、感光特性、塗布性等の特性を損なわずに機械特性を改善させた電子写真感光体は得られていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に鑑みなされたもので、その目的は、長期の繰り返し使用において磨耗が少なく、クリーニング性及びキズに対する耐久性に優れ、しかも、電気特性、塗布性などの他の特性を損なわない電子写真感光体を提供することである。
上記課題に関し鋭意検討を行った結果、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体の最外層が、ワックスを含有させることにより帯電性、感度等の感光特性、塗布性等を損なうことなく、耐磨耗性、耐刷性を向上できることを本発明者らは先に見いだした。
しかしながら、反応体のカルボン酸などが残存することにより、酸価が高くなった場合、電気特性が劣化することがあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体の表面層が、酸価が5mgKOH/g以下であるワックスを含有することを特徴とした電子写真感光体を要旨とするものである。酸価は低いほど好ましいが、より好ましくは、2mgKOH/g以下、さらに好ましくは1mgKOH/g以下である。
【0008】
【発明の実施の態様】
本感光体で用いられるワックスはエステル基を有するものが好ましい。更に好ましくは、ワックスの原料成分であるカルボン酸又はアルコールの一方又は両方の炭素数が12以上40以下のワックスである。炭素数が大きいほど、融点は高くなり、機械特性は良好になるが、逆に塗布液中では析出しやすくなるため上記の範囲の炭素数が好ましい。
ワックスの感光層中での相溶性を向上させるためにはエステル基を分子内に2つ以上有するワックスがより好ましい。このようなワックスとしてはジアルコール(またはポリアルコール)とジカルボン酸(またはポリカルボン酸)とモノカルボン酸またはモノアルコールから縮合反応により得られるワックスが例示できる。
さらに好ましくはワックスのDSC測定において40〜130℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスが良い。
ワックスの具体例としてはエステル基を1つ有するものとして
【0009】
【化1】
R1 −COO−R2
【0010】
(式中、R1 、R2 は炭素数が1以上の炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基(直鎖、分岐のいずれでもよく、飽和、不飽和のいずれでもよい)、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基をあらわす。)特にR1 は炭素数が11以上39以下、R2 は炭素数が12以上40以下の直鎖飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。このようなワックスの例としてセチルパルミテート、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘニレート、セチルミリステート、パルミチンヘキサデシレート等が使用される。
【0011】
ワックスとしてエステル基を2つ以上持つものがより好ましい。このようなワックスはジアルコール(またはポリアルコール)とジカルボン酸(またはポリカルボン酸)とモノカルボン酸またはモノアルコールから縮合反応により得られる。これらの原料の少なくとも一つは炭素数が12以上40以下のものを用いたワックスが好ましい。ポリアルコールとしてグリセリン、エリトリット、ペンタエリトリット等も使用される。
【0012】
例としてはペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールベヘニン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールベヘニン酸ジエステル、ペンタエリスリトールベヘニン酸トリエステル、ネオペンチルグリコールベヘニン酸ジエステル、ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物、デカンジオールとアゼライン酸とステアリルアルコールの縮合物等が挙げられる。
【0013】
ワックスの全添加量は、少なすぎると機械特性に効果が無く、多すぎると電気特性を悪化させたり、塗膜の表面が凸凹になる。そこで、添加量は表面層の全固形分重量に対し、0.01%から30%の範囲が好ましく、0.1%から10%がより好ましい。
塗膜の表面を平滑にするためには、少なくとも異なる2種類以上のワックスを用いた方が好ましい。組み合わせとしては、(1)以下のA群、B群から少なくとも1種類選んだ物を組み合わせた場合、(2)A群から少なくとも2種類選んだ場合、(3)B群から少なくとも2種類選んだ場合が挙げられる。
【0014】
A群:セチルパルミテート、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘニレート、セチルミリステート、パルミチンヘキサデシレート。
B群:ペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールベヘニン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールベヘニン酸ジエステル、ペンタエリスリトールベヘニン酸トリエステル、ネオペンチルグリコールベヘニン酸ジエステル、ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物、デカンジオールとアゼライン酸とステアリルアルコールの縮合物。
【0015】
更には、分子構造が大きく異なる物を組み合わせた方が、より好ましい。
具体例としては
1.少なくともエステル基を1つ持つ分子とエステル基を2つ以上持つ分子を含有するものとの組合わせ。例えば、
(1)セチルパルミテート、ネオペンチルグリコールベヘニン酸ジエステル。
(2)セチルパルミテート、ネオペンチルグリコールステアリン酸ジエステル。
(3)セチルパルミテート、ペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステル。
(4)セチルパルミテート、ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物。
(5)ステアリルステアレート、ネオペンチルグリコールベヘニン酸ジエステル。
(6)ステアリルステアレート、ネオペンチルグリコールステアリン酸ジエステル。
(7)ステアリルステアレート、ペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステル。
(8)ステアリルステアレート、ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物。
(9)ベヘニルベヘネート、ネオペンチルグリコールベヘニン酸ジエステル。
(10)ベヘニルベヘネート、ネオペンチルグリコールステアリン酸ジエステル。
(11)ベヘニルベヘネート、ペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステル。
(12)ベヘニルベヘネート、ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物。
【0016】
2.エステル基を2つ以上持つ分子を2種類以上の組み合わせ。例えば、
(13)ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物及びネオペンチルグリコールベヘニン酸ジエステルの組み合わせ。
(14)ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物及びペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステルの組み合わせ。
等が挙げられる。
2種類のワックスの混合物の場合、全体としての酸価が5mgKOH/g以下であればよい。
本発明の表面層を形成する場合は、ワックスを表面層の塗布液に溶解させ、これを塗工手段により塗布し、感光体を形成する。
【0017】
次に本発明に用いられる電子写真感光体の構成を説明する。
本感光体の層構成には図1から4に示す既存の有機電子写真感光体として提案されているものが使用できる。
本発明の電子写真感光体の表面層としては、電荷発生剤と電荷輸送剤を含有する単層構造の場合には感光層全体が相当する。感光層が電荷発生剤を含有する電荷発生層上に電荷輸送剤を含有する電荷輸送層を設けた機能分離型積層感光体の場合には表面層としては電荷輸送層が相当する。また電荷輸送層上に電荷発生層を設けた機能逆転型感光体の場合には電荷発生層が表面層となる。さらに感光層上に保護層を設ける事も可能であり、この場合は、保護層が表面層に相当する。
【0018】
感光層は導電性支持体上に積層されるが、導電性支持体は、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、金、銀等の金属材料または、表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化錫、酸化インジウムもしくは導電性高分子等の導電性層を設けたポリエステル等のポリマー、紙もしくはガラス等の絶縁性基体が挙げられる。導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の酸化処理や薬品処理を行うことができる。電極酸化などにより、金属酸化処理した金属ドラムなどが該当する。形状はドラム、シート、ベルト、シームレスベルト等の任意の形状を取ることができる。
【0019】
感光層に含有される電荷発生剤としては、セレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化アンチモン、CdS−Se等の合金、酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、ペリレン、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、色素が使用できる。中でも無金属フタロシアニンまたは銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、シリコン、錫、オキシチタニウム、亜鉛もしくはバナジウム等の金属もしくは、これらの酸化物、塩化物、水酸化物の配位したフタロシアニン類あるいは、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料を用いた有機感光体が望ましい。これらの電荷発生剤は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
感光層に含有される電荷輸送剤としては、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン等の高分子化合物、又は各種ピラゾリン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、アリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体等の低分子化合物が使用できる。以上の正孔輸送型の電荷輸送剤の他に、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の電子輸送剤も必要により用いられる。これら電荷輸送剤は、電荷発生剤との組み合わせ、極性等を考慮し1種、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0021】
感光層に含有される電荷発生剤、電荷輸送剤が膜形成能が乏しい場合にはバインダーポリマーを用いて形成されても良い。この場合、電荷発生層はこれらの物質とバインダーポリマーを溶剤に溶解あるいは分散して得られる塗布液を塗布乾燥して得ることができる。バインダーとしては、例えばブタジエン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは適当な硬化剤等を用いて熱、光等により架橋させて用いる事もできる。これらのバインダーは単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
機能分離型積層感光体の場合、電荷発生層における電荷発生剤とバインダーポリマーの割合は、特に制限はないが、一般には電荷発生剤100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。
電荷発生剤は通常ボールミル、超音波分散器、ペイントシェイカー、アトライター、サンドグラインダ等により適当な分散媒に分散、溶解し、必要に応じてバインダー樹脂を添加して塗布液を調整し、この塗布液をディッピング法、スプレー法、バーコーター法、ブレード法、ロールコーター法、ワイヤーバー塗工法、ナイフコーター塗工法、等の塗布法により塗布後、乾燥する。また電荷発生層は上記電荷発生剤を蒸着、スパッタリング等の気相製膜法で製膜したものであってもよい。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2μmになるようにする。
【0023】
また電荷輸送層において電荷輸送剤とバインダーポリマーの割合は、特に制限はないが、一般には電荷輸送剤100重量部に対し、10〜500重量部、好ましくは30〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。電荷輸送層は、バインダーとして優れた性能を有する上記のポリマーと混合して電荷輸送剤と共に適当な溶剤中に溶解し、得られた塗布液を電荷発生層と同様の方法により塗布することにより、製造することができる。
電荷輸送層の膜厚は通常は10μm〜50μm、好ましくは13μm〜35μmの範囲で使用される。
【0024】
感光層が単層構造の場合には、上記電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダーポリマーの他に添加剤等を溶剤に溶解、分散した塗布液を同様の方法により基板上に塗布することにより感光層が得られる。
塗布の際に使用される溶媒、分散媒としては、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、1,2−ジクロルプロパン、1,1,2−トリクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエタン、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、或いは2種以上を混合溶媒として用いても良い。
【0025】
必要に応じて電子吸引性化合物、あるいは、可塑剤、顔料その他の添加剤を添加しても良い。
電子吸引性化合物としては、テトラシアノキノジメタン、ジシアノキノメタン、ジシアノキノビニル基を有する芳香族エステル類等のシアノ化合物;2,4,6−トリニトロフルオレノン等のニトロ化合物;ペリレン等の縮合多環芳香族化合物;ジフェノキノン誘導体;キノン類;アルデヒド類;ケトン類;エステル類;酸無水物;フタリド類;置換及び無置換サリチル酸の金属錯体;置換及び無置換サリチル酸の金属塩;芳香族カルボン酸の金属錯体;芳香族カルボン酸の金属塩が挙げられる。好ましくは、シアノ化合物、ニトロ化合物、縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩;芳香族カルボン酸の金属錯体;芳香族カルボン酸の金属塩を用いるのがよい。
【0026】
更に、本発明の電子写真用感光体の感光層は成膜性、可とう性、塗布性機械的強度、製膜性、耐久性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤を含有していてもよい。
このようにして形成される感光体は必要に応じて、下引き層、中間層、表面保護層等を有していてもよいことは言うまでもない。
【0027】
下引き層は通常、感光層と導電性支持体の間に使用され(図5)、通常使用される公知のものが使用できる。下引き層としては酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコニア、酸化珪素などの無機微粒子、有機微粒子、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、カゼイン、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどの樹脂等の成分を使用することができる。これらの微粒子、樹脂は単独で、または2種以上を混合して使用できる。厚さは、通常0.01〜50μm、好ましくは0.01〜10μmである。感光層と導電性支持体との間に公知のブロッキング層を設けることもできる。
【0028】
本感光体に表面保護層を設ける場合保護層の厚みは0.01〜20μmが可能であり、好ましくは0.1〜10μmである。保護層には前記のバインダーを用いることができるが、前記の電荷発生剤、電荷輸送剤、添加剤、金属、金属酸化物、などの導電材料を含有しても良い。この場合、ワックスの添加量は、表面層保護層の0.01〜30重量%が可能であり、0.1〜10重量%が好ましい。
【0029】
このようにして得られる電子写真感光体は長期間にわたって優れた耐刷性を維持する感光体であり、複写機、プリンター、ファックス、製版機等の電子写真分野に好適である。
本発明の電子写真感光体を使用するのにあたって、帯電器はコロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器、帯電ロール、帯電ブラシ等の接触帯電器などが用いられる。露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等を用いて行われる。現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。転写行程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着などが用いられる。クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー、などが用いられる。
【0030】
【実施例】
以下本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とあるのは、「重量部」を示す。
【0031】
(ワックスの構造と酸価)
ワックス(W−1):ノナンジオールとセバシン酸とステアリルアルコールの縮合物
【0032】
【化2】
(参考化学式)
CH3(CH2)16OCO(CH2)8COO(CH2)9OCO(CH2)8COO(CH2)16CH3
【0033】
の種々のロッドに関して、酸価を滴定法により求めたところ、次表のようになった。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例1
(電荷発生層の作製)
下記構造を有するアゾ化合物10部を150部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2に加え、サンドグライドミルにて粉砕分散処理を行った。ここで得られた顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5%ジメトキシエタン溶液100部の混合液に加えて、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
【0036】
【化3】
【0037】
この電荷発生層液を外径30mm、長さ348mm、肉厚1.0mmのアルミシリンダーに浸漬塗布し、その乾燥膜厚が、0.4g/m2 (約0.4μm)となるように電荷発生層を設けた。
【0038】
(電荷移動層の作製)
次にこの電荷発生層上に次に示す電荷輸送物質(CTM)(T−1)70部と
【0039】
【化4】
【0040】
シアノ化合物(C−1)0.5部と
【0041】
【化5】
【0042】
ワックスW−1(a)10部と酸化防止剤(チバガイキー社製イルガノックス1076)8部及びポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製、商品名Z−200)を100部テトラヒドロフラン、ジオキサンの混合溶媒に溶解させた液を浸漬塗布した後、125℃で25分乾燥させ、その乾燥膜厚が21μmになるように電荷移動層を設けた。このようにして得られた電子写真感光体をA1とする。
【0043】
実施例2
ワックスとしてW−1(b)10部用いたこと以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をA2とする。
【0044】
比較例1
ワックスとしてW−1(c)を10部用いたこと以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をP1とする。
比較例2
ワックスを用いないこと以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をP2とする。
次にこれらの電子写真感光体を市販の複写機(シャープ(株)製SF7850)に装着し、30000枚のコピーテストを行った。この時の感光層の膜厚の変化を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例3
膜厚75μmのポリエステルフィルム上にアルミを蒸着させたものを導電性支持体として用い、前記電荷発生層液を乾燥後の重量が0.4g/m2 (約0.4μm)となるようにワイヤーバーで塗布して乾燥させ電荷発生層を形成させた。更に実施例1と同じ組成の電荷移動層液を電荷発生層上にアプリケーターで塗布する。その後、室温で30分、125℃で20分乾燥させ、乾燥後の膜厚が20μmになるように電荷移動層を設けた。この電子写真感光体をA3とする。
【0047】
実施例4
ワックスとしてW−1(b)10部用いたこと以外は実施例3と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をA4とする。
【0048】
比較例3
ワックスとしてW−1(c)を10部用いたこと以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をP3とする。
【0049】
比較例4
ワックスを用いないこと以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をP4とする。
【0050】
次にこれらの電子写真感光体を感光体特性測定[川口電気(株)製モデルEPA8100]に装着して、アルミニウム面への流れ込み電流を50μAになるように帯電させた後、露光、除電を行い、その時の帯電性(Vo)、帯電開始から2秒放置後の電位の低下率(暗減衰DD)、半減露光量(E1/2 基準電位:−450V)、残留電位(Vr)を測定した。この結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明の感光体は長期の繰り返し使用において磨耗が少なく、クリーニング性及びキズに対する耐久性に優れ、しかも、電気特性、塗布性などの他の特性を損なわない感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単層型感光体の説明図。
【図2】機能分離型積層感光体の説明図。
【図3】機能逆転型感光体の説明図。
【図4】表面保護層を設けた感光体の一例の説明図。
【図5】下引き層を設けた感光体の説明図。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 下引き層
6 表面保護層
Claims (8)
- 感光層の表面層に酸価が5mgKOH/g以下であるワックスを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 感光層の表面層に酸価が2mgKOH/g以下であるワックスを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- ワックスのうちの少なくとも一部が、エステル基を有するものである請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- ワックスの少なくとも1種類が、原料成分であるカルボン酸またはアルコールの少なくとも一方の炭素数が12以上である請求項3に記載の電子写真感光体。
- ワックスの少なくとも1種類が、分子内にエステル基を2つ以上有するワックスである請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- ワックスの少なくとも1種類が、ジアルコールもしくはポリアルコールと、ジカルボン酸もしくはポリカルボン酸と、モノカルボン酸もしくはモノアルコールから縮合反応により得られるワックスである請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- ワックスの少なくとも1種類が4級炭素を持つことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- ワックスがDSC測定において40〜130℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスである請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23668398A JP3624706B2 (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | 電子写真感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
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