JP3624062B2 - チューブフラムポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はチューブフラムポンプに関する。さらに詳述すると、この発明は作動媒体補給弁たとえば作動油補給弁を備えることなしに作動油量を調節することができるチューブフラムポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流量調整の可能なポンプとして、図10に示されるような油圧ダイヤフラムポンプが知られていた。
【0003】
図10に示される油圧ダイヤフラムポンプaは、ダイヤフラムb、安全弁c、エア抜弁d、切換弁e、作動油補給弁f、プランジャーg、圧力室h、ポンプ室iを備える。
【0004】
図10に示される油圧ダイヤフラムポンプaにおいては、プランジャーgを前進させると、油圧室h内の作動油の量が増加してダイヤフラムbをプランジャーgとは反対側に湾曲させる。このプランジャーgの湾曲によりポンプ室iの容積が減少し、ポンプ室i内の液が吐出される。また、プランジャーgを後退させると、油圧室h内の作動油の量が減少してダイヤフラムbをプランジャーg側に湾曲させる。このプランジャーgの湾曲によりポンプ室iの容積が増大し、ポンプ室i内に液が吸引される。このようにプランジャーgの前進および後進を繰り返すことにより、ポンプ室iの容積が減少および増加して、ポンプ作用が発揮される。
【0005】
なお、切り替え弁eおよび作動油補給弁fは作動油自動補給機構を形成する。すなわち、圧力室i内の作動油量が異常に減少したときには、プランジャーgを後進させると、圧力室i内の作動油量が減少することによりプランジャーg側に湾曲するダイヤフラムbが切換弁eを押圧して切り替え弁eおよび作動油補給弁を開放状態にし、作動油補給路から油圧室h内に作動油を補給するようになっている。
【0006】
図10に示される油圧ダイヤフラムポンプにおいては、プランジャーgのストローク長(偏心量)を変化させることにより、ポンプ室iにおける吸引吐出量が調整されていた。前記ストローク長を変化させる手段として、クランク機構が設けられていた。
【0007】
しかし、従来の油圧ダイヤフラムポンプ等の定量ポンプには、以下のような問題がある。すなわち、(1) クランク機構は複雑な構造を要するので、装置が複雑化・大型化し、高価になり、複雑な機構の故に故障を起こし易い、(2) 故障が生じた場合には修理が容易でない、(3) ダイヤフラムはその縁辺の全周が固定され、かつシールされているので、湾曲変形量が少なく、したがってダイヤフラム直径を大きく取らざるを得ず、ダイヤフラム直径が大きくなるとポンプ部が大きくなり、(4) 圧力室換言すると油圧駆動室の作動油量を適正に維持するために油補給弁を必要とし、(5) ダイヤフラム部付近の移送流体の通過流速が小さく、沈降性の大きい固液二相流体を送液することができない、という問題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、作動媒体たとえば作動油の補給弁を不要にすることにより機構の簡単なチューブフラムポンプを提供することにある。
【0009】
この発明の目的は、作動媒体たとえば作動油の補給弁を用いずに圧力室の作動媒体たとえば作動油量を適正に保持することのできるチューブフラムポンプを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、
(1) 圧縮拡張によりポンプ室の内容積を変化させて流体の吸引吐出を行うチューブフラムと、前記チューブフラムを圧縮拡張させる作動媒体を収容する圧力室と、前記圧力室に連通する凹部を内周面に形成し、かつ前記圧力室に連通する先端開口部を有するシリンダーと、前記シリンダー内を往復動可能に挿通され、前記シリンダーの内壁面に摺動する外周面に設けた開口部と前記圧力室とを連通可能にする液流通路を備えたピストンと、前記シリンダーおよび前記ピストンのいずれか一方または両方をその中心軸を中心にして所定角度をもって回転させることにより前記液流通路、前記開口部および前記凹部を介して前記圧力室と作動媒体を貯留する油貯留室とを連通可能にする回転手段と、油貯留室と圧力室とが連通状態にあるとき前記チューブフラムをその半径方向に沿って外側に向かうように付勢し断面円形の内容積最大の円筒状態する付勢手段とを備え、前記凹部および前記ピストンの外周面に設けられた開口部のいずれか一方または両方の軸方向の長さがシリンダーおよびピストンの相対的な回転角度により相違するように形成することにより流体の吸引吐出量を調製可能とすることを特徴とするチューブフラムポンプである。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明のチューブフラムポンプは、チューブフラムと、圧力室と、シリンダーと、ピストンと、回転手段とを備える。
【0012】
前記チューブフラムは、それが拡張することにより、言い換えると膨満することにより、チューブフラムの内容積が増大してチューブフラム内に流体が吸引され、又チューブフラムが圧縮されることにより、言い換えると収縮することにより、チューブフラムの内容積が減少してチューブフラム内の流体を吐出する、というポンプ機能を有する。チューブフラムにおける内部空間は、ポンプ機能を有するポンプ室であると言える。
【0013】
なおここで、ポンプ室の吐出量は、チューブフラム内容積の変化量そのものであるから、チューブフラム初期変形量すなわち吐出開始時のチューブフラムの内容積及び形状はどのようであっても良い。とはいっても、チューブフラムの初期変形量が大きいと、チューブフラムの寿命が短くなる恐れがある。そこで、チューブフラムを拡開する方向に付勢する付勢部材例えばスプリングをチューブフラムに取りつけることが望ましい。付勢部材を設けておくと、圧力室のピストンによる圧力が伝達されない区間、すなわちピストンにおける開口部とシリンダーにおける先端開口部とが連通して油貯留室と圧力室とが連通状態にあるときに、前記付勢部材の付勢力によりチューブフラムを拡張し、流体を圧力室から油貯留室に排出することができるようになり、これによって、断面円形の内容積最大の円筒状態にチューブフラムにすることができる。こうして、付勢部材を設けることにより、吐出工程初期におけるチューブフラムの変形状態を一定に維持することができる。
【0014】
又、油貯留室と圧力室とが非連通状態のときにはポンプ室はポンプ作用を発揮し、連通状態のときにはポンプ室がポンプ作用を発揮するので、連通状態と非連通状態との区間比を変えることにより、ポンプ室による吐出流量の調整が可能になる。
【0015】
このチューブフラムは、チューブフラムポンプを形成するポンプ本体内に設けられた圧力室内に、圧力室内の作動媒体たとえば作動油による圧力に応じてチューブフラムが圧縮拡張可能なように、取り付けられる。
【0016】
このチューブフラムは、筒状を有し、その一端は流体導入路に接続され、その他端は流体導出路に接続される。流体導入路には、チューブフラムが収縮したときにポンプ室内の流体が流体導入路内に逆流するのを防止し、チューブフラムが拡張したときには流体導入路内の流体をポンプ室内に導入する一方向流通弁ないし逆流防止弁たとえば逆止弁が設けられる。流体導出路には、チューブフラムが拡張したときに流体導出路内の流体がポンプ室内に逆流するのを防止し、チューブフラムが収縮したときにはポンプ室内の流体を流体導出路内に導出する一方向流通弁ないし逆流防止弁たとえば逆止弁が設けられる。
【0017】
このチューブフラムは、前述のように圧力室内に配置されるので、作動媒体に対する耐久性(作動媒体が作動油であるときには作動油に対する耐油性)およびポンプ室内を流通する流体に対する耐久性を有し、収縮拡張の可能な材質で形成されるのが好ましい。このような材質として、たとえばゴム製、樹脂製、皮革製などを挙げることができる。また、チューブフラムの形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、前記ポンプ機能を達成することができるように適宜に選択することができる。チューブフラムを形成する好適な材質としては、たとえば天然ゴムや、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、弗素ゴム等の合成ゴムが挙げられる。これらの中でも、耐油性、耐久性及び経済性に優れたNBRが好ましい。もっとも、ポンプ室内を流通される流体が腐食性を有する薬品等であるときには、耐食性にも優れた弗素ゴムあるいは弗素系樹脂が好ましい。
【0018】
より好適なチューブフラムは、強化材により強化されている。前記強化材としては、チューブフラムを強化することができる限りどのような材質が用いられても良く、また、どのような態様により前記チューブフラムを強化するものであっても良い。強化材で強化された弾性筒体であるチューブフラムとしては、ゴム中に繊維を分散してなる弾性筒体、筒状に形成された編織物あるいは不織布の内側面あるいは外側面にゴムをコーティングしてなる弾性筒体、筒状に形成されたゴムチューブの内部に編織物あるいは不織布を埋設してなる弾性筒体等を挙げることができる。
【0019】
この発明におけるチューブフラムは、その半径方向に付勢する付勢手段を有してなるのが好ましい。この付勢手段は収縮したチューブフラムを拡開する方向に付勢力を発揮する機能を有する。この機能を有する付勢手段が設けられていると、収縮したチューブフラムが迅速にもとの筒形状に復帰することができ、チューブフラムが収縮する際に急激な収縮力がチューブフラムに印加されることによるチューブフラムの破損等を防止することができる。
【0020】
付勢手段は、前記機能を有する限りその形状、構造、材質、取り付け位置等につき特に制限がない。理論上はチューブフラムの内部空間に付勢手段を設けることもできるのであるが、通常はチューブフラムの外側に付勢手段が設けられる。
【0021】
好適な付勢手段は、前記チューブフラムの直径方向(あるいは半径方向)に弾性体を備える。前記弾性体の具体例として、円筒コイルばね、円錐コイルばね、ゴムリング、磁石ばね、中空ゴムばね、ぜんまいばね、金網状ばね、輪ばね等が挙げられる。これらの中で好適な弾性体は円錐コイルばねである。
【0022】
前記圧力室は、作動媒体を内蔵し、この作動媒体の圧力により前記チューブフラムを収縮拡大させる機能を有し、目的に応じてその形状、構造、大きさ等を適宜に選択することができる。
【0023】
なおここで、作動媒体としては、圧縮率の小さな液体であればとくに制限はなく、水、水溶液、油などを挙げることができる。好適な作動媒体として油が使用される場合には、この作動媒体は作動油と称される。
【0024】
前記圧力室には、シリンダー取り付けられ、シリンダーの開口部が圧力室に臨む。シリンダー内にはピストンが装填される。
【0025】
前記シリンダーは、円筒形状の内周面を有する筒状体である。好適なシリンダーは前記圧力室に連通する先端開口部と、円筒形状の内周面とを有する筒状体である。より好適なシリンダーは、前記圧力室に連通する先端開口部と、凹部が形成された、円筒形状の内周面とを有する筒状体である。言い換えると、筒状体であるシリンダーの内周面には凹部が形成され、かつ圧力室に連通する先端開口部を有する。
【0026】
前記ピストンは、前記シリンダーに摺動可能に裝入されてなる。好適なピストンは、前記シリンダーの内周面と液密に摺動可能な外周面を有し、かつ前記シリンダーに裝入可能な円柱体である。
【0027】
前記シリンダーに設けられた凹部は、ピストンに設けられた液流通路の開口部との重なり合いによって圧力室と作動媒体貯留室との連通状態が達成されるようになっている。
【0028】
前記液流通路は圧力室に連通し、ピストンの周面の適宜の位置に開口部を有し、凹部は圧力室に連通するようになっている。また、この開口部を有する液流通路と凹部とは、シリンダーおよび/またはピストンを、前記回転手段によりそれらの中心軸を中心にして回転させることにより、ピストンの往復動中において、液流通路の開口部が終始シリンダーの内周面により閉塞される態様、流通路の開口部が凹部と連通する状態と凹部がシリンダーの内周面により閉塞される状態とが現れる態様を任意に設定することのできる機能を有していれば良い。
【0029】
前記液流通路の開口部の形状および凹部の形状は、シリンダーおよび/またはピストンをそれらの中心軸を中心にして任意の角度で回転させたときに、ピストンの往復動期間中に、前記開口部と凹部とが連通する状態および開口部がシリンダーの内周面により閉塞される状態を交互に発現することができ、あるいはピストンの往復動期間中、前記開口部がシリンダーの内周面に閉塞され続ける状態を発現することができるように、設計されていれば良い。
【0030】
たとえば、凹部の展開形状として、台形あるいは平行四辺形のみならず、例えば階段状の辺を有する形状を有する凹部であっても良く、要するに、シリンダーおよび/またはピストンを所定の回転角で回転したときにピストンの進行につれて液流通路の開口部と凹部とが連通する期間を任意に可変することができるような形状にされているのが好ましい。また、凹部の展開形状として、ピストンの進行方向に直交する方向に延在する一対の平行な辺を有する四角形あるいは長方形となるように、凹部の展開形状が形成されていても良く、この場合にはシリンダーの回転角度を変えても、液流通路の開口部が凹部に連通している期間は一定になり、可変することはできない。
【0031】
シリンダーおよび/またはピストンの回転角に応じて、ピストンの進行につれて液流通路の開口部と凹部とが連通状態になっている期間を可変するためには、液流通路の形状と凹部の形状の組み合わせを考慮するのが良い。
【0032】
たとえば、後述する実施例におけるように液流通路の開口部がピストンの周面に、ピストンの先端面から中央部所定の位置まで開設された長溝であるときには、凹部は、シリンダーの内周面において螺旋を描く線を有する形状を有していれば好い。また、液流通路の開口部が、ピストンの先端面で開口し、かつピストンの内部に環状に形成された液流通路のピストンの周面で開口する開口部であるときには、凹部は、シリンダーの内周面において螺旋の一部となる螺旋部分線と、この螺旋部分線の一端との長さと他端との長さの相違する他の線分とを有する形状を挙げることができる。
【0033】
前記凹部の具体例としては、帯状の螺旋溝が好ましい。つまり、螺旋溝であれば、ピストン及びシリンダーのいずれかまたは両方を回転させることにより角度を変えた場合にも、凹部と開口部との接触開始幅を常に一定にすることができ、回転角度による開口接触線の長さ(幅)の違いによる通路抵抗の値が変わらなくなる。
【0034】
前記帯状の螺旋溝は、シリンダーの内周面をシリンダーの中心軸に対し、ねじれの位置にない平行な直線で切断し、展開して平面にしたとき、前記平面において、圧力室5側に向かって螺旋状をなす帯状の形状を有する。このため、シリンダーの内周面において前記帯状の螺旋溝は、螺旋の一部を形成している。
【0035】
前記回転手段は、前記凹部と前記液流通路の開口部との連通状態を任意に調整可能に、かつ前記シリンダーおよび/または前記ピストンを、その中心軸を中心にして回転可能に形成されてなる。
【0036】
前記回転手段の具体的な一例として、コントロールバーを備えたウォーム歯車と前記シリンダーの外周面にこの外周面を一巡するように形成され、かつ前記ウォーム歯車に噛合する環状ラックとを有する回転装置等が挙げられる。
【0037】
シリンダーを回転させる回転手段すなわちシリンダー回転手段は、シリンダーを回転させることができる機能を有し、好ましくは定量ポンプの流量目盛りが形成さていればよく、前記ウォームおよびウォームホィールに限られず、たとえば、平歯車の組み合わせ、かさ歯車、ポインテッド・ギヤ、鼓形ウォーム・ギヤ、ウォーム・フェース・ギヤ、はすば歯車、ねじ歯車、やまば歯車、内歯車とピン歯車、輪型ピン歯車と小歯車、ラックと小歯車、ピンラックと小歯車、ラックとピン車、小歯車と2つのラック、丸棒ラックと小歯車、はすばラックなどを用い、これらの各要素における一方をシリンダーの外周面に形成したものをシリンダー回転手段としてもよい。
【0038】
これらの中でも、一方の部材の回転軸と他方の部材の回転軸とがねじれの位置にあるものが好ましい。所定の位置に設定したシリンダーが容易に回転してその位置を変えてしまうのを防止することができるからである。具体的には、かさ歯車、鼓形ウォーム・ギヤ、ウォーム・フェース・ギヤ、ねじ歯車、丸棒ラックと小歯車、はすばラックなどを用いたシリンダー回転手段が好ましい。
【0039】
前記作動媒体貯留室としては、その形状、構造、大きさ等に特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができる。
【0040】
この発明のチューブフラムポンプは以下のように動作する。
【0041】
この発明のチューブフラムの一態様としてピストンが回転不可能に形成されているときには、回転手段によりシリンダーの中心軸を中心にしてシリンダーを回転させる。他の態様としてシリンダーが回転不可能に形成されているときには、回転手段によりピストンの中心軸を中心にしてピストンを回転させる。この操作により、ピストンをシリンダー内で往復動させたときに、ピストンにおける開口部とシリンダーにおける凹部との連通状態が可変する。
【0042】
たとえば、ピストンの往復動中に、液流通路の開口部と凹部とが連通するときには液圧室と液収容室とが、凹部、開口部および液流通路を介して連通状態になり、また開口部がシリンダーの内周面により閉塞されるときには、圧力室と作動媒体貯留室とが非連通状態になる。圧力室と作動媒体貯留室とが連通状態になっているときには、ピストンが前進しても圧力室の液圧が増加せず、またピストンが後退しても圧力室の液圧は減少しない。圧力室と作動媒体貯留室とが非連通状態になっているときには、ピストンの前進により圧力室の液圧が増加し、ピストンの後退により圧力室の液圧が減少する。
【0043】
したがって、シリンダーおよび/またはピストンの回転量および前記凹部の形状に応じて、圧力室中の液量あるいは有効内容積を任意に変化させることができる。
【0044】
たとえば、ピストンの往復動中、液流通路の開口部が終始シリンダーの内周面により閉塞されているようにシリンダーおよび/またはピストンを回転させておくと、凹部がどのような形状であっても、ピストンの進行により圧力室中の液圧が増加し、ピストンの後退により圧力室中の液圧が減少する。
【0045】
また、シリンダーおよび/またはピストンの回転量および前記凹部の形状に応じて、ピストンの往復動中に凹部と液流通路の開口部とが連通する連通状態と、液流通路の開口部がシリンダーの内周面により閉塞された状態とを交互に出現させることができる。また、シリンダーおよび/またはピストンの回転量に応じて、ピストンの往復動中終始凹部と開口部とが連通状態になり、したがって、圧力室と作動媒体貯留室とを導通状態に維持することもできる。ピストンの往復動中終始、圧力室と作動媒体貯留室とが導通状態に維持されていると、ピストンの往復動にもかかわらず、圧力室中の液圧は増加も減少もしない。
【0046】
チューブフラムポンプにおいては、ピストンの往復動により圧力室の容積を可変することによりポンプ室により吸引吐出される流体の吸引吐出量が可変される。
【0047】
たとえば、前記凹部の形状に応じて、ピストンの往復動中、液流通路の開口部が終始シリンダーの内周面により閉塞されているようにシリンダーおよび/またはピストンを前述のように回転させておくと、ピストンが後退している期間中圧力室と作動媒体貯留室とが非連通状態になっていて圧力室の内容積は一定であるから、ピストンの後退につれて圧力室内の液圧が減少し、その結果ポンプ室の容積が拡大し、ポンプ室内に流体が吸引される。ピストンが完全に後退し、次いで前進状態になると、圧力室の内容積は一定に保持されているので、ピストンの前進につれて圧力室中の液圧が増加する。液圧の増加により、ポンプ室の内容積が縮小してポンプ室内の流体が吐出されて行く。このように、このチューブフラムポンプにおいては、ピストンの往復動中終始開口部がシリンダーの内周面に閉塞された状態であると、ピストンの全ストロークにおいて、ポンプ室の容量に応じた最大流量をもって流体の吸引および吐出を行うことができる。
【0048】
前記凹部の形状に応じて、ピストンの往復動中開口部が終始凹部に連通しているようにシリンダーおよび/またはピストンを回転させておくと、ピストンの往復運動中終始圧力室と作動媒体貯留室とが連通状態になるので、ピストンの往復動にもかかわらず、圧力室内の液圧は増加も減少もしなくなり、その結果、ポンプ室内に流体を吸引し、ポンプ室から流体を吐出することができなくなる。つまり、このような状態下では、ピストンの駆動にもかかわらず、その全ストロークにおいてチューブフラムポンプの機能は停止状態になる。
【0049】
前記凹部の形状に応じて、ピストンの往復動中にある期間においては開口部が凹部に連通し、またある期間においては開口部がシリンダーの内周面により閉塞されているように、シリンダーおよび/またはピストンを回転させておく。そうすると、ピストンの往復動中のある期間において圧力室と作動媒体貯留室とが連通する状態が発生して、その期間中はピストンの往復動にもかかわらず圧力室の液圧が増加も減少もせずに一定になる。このときには、ピストンの駆動にもかかわらず圧力室内の液圧が一定であるからポンプ室には圧力がかからずにポンプ室のポンプ作用を行わない。また、ある期間において圧力室と作動媒体貯留室とが連通していない状態が発生して、その期間中にピストンが後退すると圧力室はその内容積を一定に保持しようとしてポンプ室の内容積を拡大し、ピストンが前進すると圧力室はその内容積を一定に保持しようとしてポンプ室の内容積を縮小させる。
【0050】
このように、ピストンの往復動の過程において、圧力室と作動媒体貯留室とが連通状態にされているときには、ピストンの駆動にもかかわらずポンプ室のポンプ作用は行われず、圧力室と作動媒体貯留室とが非連通状態であるときには、ピストンの前進および後退によりポンプ室による液量の吸引吐出が行われる。
【0051】
この発明においては、シリンダーの内周面に形成された凹部の形状とピストンの周面に開設されたところの、作動媒体貯留室内に連通する液流通路の開口部の開口位置等とにより、ポンプ室による液の吸引吐出のモードおよび吸引吐出量が調整される。
【0052】
【実施例】
以下、この発明のチューブフラムポンプの一実施例につき、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
(実施例1)
図1は、この発明のチューブフラムポンプの実施例を示す断面概略説明図である。
【0054】
このチューブフラムポンプ1は、シリンダー2と、ピストン3と、圧力室4と、作動油貯留室4aと、チューブフラム5と、ポンプ室6と、液導入管7と、液導出管8と、回転手段9と、図示しない作動油補給手段とを備えてなる。
【0055】
前記シリンダー2は、円筒形状の内周面を有する筒状体である。このシリンダー2は、その先端部に、前記圧力室4と連通する先端開口部2aを有する。シリンダー2の内周面には、凹部10が形成されている。
【0056】
前記凹部10は、シリンダー2の内周面であって凹部10の存在しない部位において、シリンダー2の中心軸に対しねじれの位置になく、かつ前記中心軸に平行な直線をもって前記内周面を切り開き、切り開いた内周面を平面にしたときに、この凹部の平面形状が、二つある斜辺の内の一方の斜辺が底辺に対して垂直であり、残る斜辺が底辺に対して斜向する台形である。なお、この台形において、台形の底辺(下底)および上底は、前記内周面を切り開いて得られる四角形において前記シリンダー2の内側端部の内縁に相当する直線に平行な直線である。この凹部10の平面形状は、たとえば図2に示されるように、シリンダー2の中心軸に直交する方向に延在する底辺10aと、これに平行な上底10bと、前記底辺に対して斜向する辺すなわち斜向辺10cと、前記低辺および上底に直交する辺10dとを有する略台形に形成されてなる。
【0057】
図1に示されるように、前記下底近傍の凹部10には、作動油貯留室4aに連通する連通口11が形成されている。
【0058】
このシリンダー2の先端開口部2aは、圧力室4に接続される。圧力室4の内部とシリンダー2の内部とはシリンダー2の先端開口部2aを介して連通している。また、シリンダー2の内部空間は、前記連通口11を介して、圧力室4と連通している。
【0059】
このシリンダー2は、装置本体12に設けられた装着穴13に、その装着穴13の内周面とこのシリンダー2の外周面とが液密に摺動しつつシリンダー2が回転可能に、装着されている。
【0060】
前記ピストン3は、シリンダー2の内周面と液密に摺動可能な外周面を有する円柱体である。このピストン3は、前記シリンダー2に装入されている。このピストン3は、その外周面に開口部を有する液流通路14を有する。
【0061】
この液流通路14は、ピストン3の圧力室4に臨む先端面で開口し、このピストン3の中心軸と平行してピストン3の略中央部所定の位置まで帯状に延在し、延在していくその終点で、前記ピストン3の中心軸に対して所定の角度で傾斜して形成された長穴状の終端部15を有する溝である(図2を参照)。したがって、この液流通路14はピストン3の先端部から終端部15(図2を参照)に至るまで、ピストン3の周面において開口し、この開口する部分が液流通路14の開口部となる。この終端部15のピストン3の中心軸に対する傾斜角度は、前記凹部10の形状である台形における斜向辺10cの傾斜角度と一致させるのが好ましい。
【0062】
ピストン3における液流通路14が形成されていない側の一端すなわち後端部は、ピストン3を往復動させるピストン駆動手段16に接続される。このピストン駆動手段16の駆動により、シリンダー2内で、ピストン3が往復動することができるようになっている。
【0063】
このとき、シリンダー2を適宜に回転させることにより、ピストン3を前進させる過程において、シリンダー2の内周面に形成された凹部10とピストン3の外周面に形成された液流通路14とが重なり合うことによって、圧力室4が連通状態ないし導通状態になる。ピストン駆動手段16の駆動によりさらにピストン3がシリンダー2内で前進すると、その移動に応じて、この液流通路14がシリンダー2における凹部10の形成されていない内周面で閉塞されてしまって、圧力室4が非連通状態もしくは非導通状態になる。前進しきったピストン3を後退させると、前記と逆の状態が現出する。
【0064】
前記圧力室4は、作動媒体たとえば作動油を収容する空間であり、この実施例においては、シリンダー2を回転可能に装着する装置本体12に装着されたポンプ本体17の内壁面と、前記チューブフラム5とで形成される空間である。前記圧力室4内に前記チューブフラム5が貫通する状態に配置されている。圧力室4は、装置本体12の内壁面から突出するシリンダー2を囲繞するように形成されている。
【0065】
図3にチューブフラムを示す。図3は図1におけるチューブフラムポンプを右手から見た断面図である。
【0066】
前記チューブフラム5は、図3に示されるようにその直径方向に付勢手段18を備え、かつ筒状に形成された弾性体である。前記チューブフラム5は、その外周面で前記作動油と接触している。前記チューブフラム5は、前記作動油が前記ピストン3により押圧吸引されると、作動油の液圧によって収縮膨満するようになっている。
【0067】
この実施例における前記チューブフラム5の材質は、弗素樹脂ゴムの円筒体チューブの外層と合成ゴムの円筒体チューブの内層とを貼り合わせた弾性二重円筒体である。
【0068】
図示しない作動油補給手段は、前記圧力室4内の作動油が減少したときに圧力室4内に作動油を補給する手段である。作動油補給手段そのものは、従来から公知の油圧チューブフラムポンプに設けられているのと同様であるのでその詳細な説明を省略する。
【0069】
前記付勢手段18は、チューブフラム5を形成する前記外層と内層との間に介装された支持板18aと、この支持板18aに結合され、チューブフラム5の半径方向に突き出した支持体18bと、一端部が前記支持体18bの先端部に結合され、かつ後端部がポンプ本体17から延在するベース17aに結合された円錐状コイル18cとを有する。
【0070】
前記付勢手段18により、チューブフラム5が収縮膨満して変形しても、元の円筒体に迅速に復帰するようになっている。
【0071】
前記ポンプ室6は、前記チューブフラム5の内部空間である。ポンプ室6には液導入管7と液導出管8とが設けられる。
【0072】
前記液導入管7は、逆止弁19を有し、その一端がポンプ室6に接続され、他端が図示しない貯液槽に接続される。
【0073】
前記液導出管8は、逆止弁19を有し、ポンプ室6に接続される。
【0074】
前記回転手段9は、装置本体12の外部に突出するコントロールバー20を有するウォーム歯車9aと、前記シリンダー2の外周面にこの外周面を一巡するように形成され、かつ前記ウォーム歯車9aに噛合する環状ラック9bとを有し、前記コントロールバー20を操作し、これを回転することによりウォーム歯車9aを回転させて、回転するウォーム歯車9aがラック9b上を噛合することによりシリンダー2を回転させることができるようになっている。さらに、この回転手段9には、チューブフラムポンプ1の流量目盛り(図示せず。)が、装置本体12の外部に突出しているコントロールバー20に設けられている。
【0075】
このチューブフラムポンプ1においては、前記チューブフラム5と、圧力室4と、前記圧力室4に連通する凹部10を内周面に形成し、かつ前記圧力室4に連通する先端開口部2aを有するシリンダー2と、前記シリンダー2内を往復動可能に挿通され、外周面に開口部を有して前記チューブフラム5に通じる液流通路14を備えたピストン3と、前記凹部10と前記液流通路14の開口部との連通状態を任意に調整可能に、前記シリンダー2を、その中心軸を中心にして回転させる回転手段9とを備えてなる液量調整装置を有する。
【0076】
以上に詳述したチューブフラムポンプ1の構成を要約すると、このチューブフラムポンプは、シリンダーと、ピストンと、油圧室と、チューブフラムと、ポンプ室と、回転手段とを備え、前記シリンダーは前記油圧室に連通する凹部を内周面に形成してなり、前記ピストンは前記シリンダー内を往復動可能にシリンダーに液密に挿通され、その外周面には先端面に通じる液流通溝が形成されてなり、前記油圧室は装置本体の内壁面を有する空間と前記チューブフラムとポンプ内壁とを有して形成されてなり、前記チューブフラムは膨満収縮可能に形成され、前記ポンプ室はポンプ機能を有するように形成され、たとえば前記チューブフラムの膨満収縮の繰り返しにより流体の吸引吐出が可能に形成されてなり、前記回転手段は外部操作部材の操作により前記シリンダーを回転可能に形成してなり、例えば前記シリンダーの外周面に設けられた環状ラック、この環状ラックに噛合するウォーム歯車、このウォーム歯車に軸支され、かつ装置本体外に突出するコントロールバーを備えてなり、前記シリンダーの回転により、ピストンの往復動中に前記凹部と液流通路との連通状態を任意に調整可能となっている。
【0077】
以下に、以上構成のチューブフラムポンプの作用について説明する。
【0078】
チューブフラムポンプ1は次のように動作する。
【0079】
コントロールバー20を操作してシリンダー2を回転させることにより、図4に示されるように、ピストン3の往復動のいずれにおいても液流通路14が凹部10と一致せず、液流通路14が終始シリンダー2の内周面で閉塞されるようにする。なお、このコントロールバー20は装置本体12の外部に突き出ているので、このコントロールバー20を操作するだけでシリンダー2の回転を調整することができるので、このコントロールバー20はチューブフラムポンプの操作性向上に寄与している。
【0080】
次いで、ピストン駆動手段16がピストン3を駆動する。ピストン3がシリンダー2内を往復動する。ピストン3がシリンダー2内を往動(前進)する全期間中、液流通路14が凹部10と一致せずにシリンダー2の内周面によって閉塞されている。液圧室5の容積とピストン3の先端面から先のシリンダー2内の容積との合計容積は一定であり、しかも内部の液は非圧縮性の液体であるから、ピストン3を圧力室4に向かって前進させると、圧力室4内の液圧が上昇し、その液圧がポンプ室6内の圧力を越えると、チューブフラム5が収縮して、ポンプ室6内の容積が縮小し、図5に示されるように、ポンプ室6内の液が液導出管8より吐出されていく。ピストン3が前進しきったときにポンプ室6内の容積が最小になって、ポンプ室6内からの液の導出量が最大になる。また、ピストン3が前進を開始してから停止するまでの間、図4(b)に示されるように、ポンプ室6はその内部の流体を液導出管8から吐出し続ける。
【0081】
次いで、ピストン駆動手段16を駆動してピストン3を後退させる。ピストン3がシリンダー2内を復動(後退)すると、液圧室5内の容積は一定であり、しかも内部の液は非圧縮性の液体であるから、チューブフラム5が圧力室4側に膨満してチューブフラム5が変形する。チューブフラム5の液圧室5側への膨満により、ポンプ室6の内容積が増加して減圧になるので、図4(b)に示されるように、液導入管7から液がポンプ室6に吸引導入される。
【0082】
前記吸引吐出工程において、作動油が所定の量よりも多いときには、吸引時に付勢手段18により、収縮しようとするチューブフラム5が膨満して最初の円筒形となり、適宜の場所に設置されたコントロールバルブにより余分な油が外部に排出される。また、作動油が所定の量よりも少ないときには、付勢手段18により、膨満しようとするチューブフラム5が収縮して最初の円筒形になる。
【0083】
上記におけるシリンダー2の回転状態では、ピストン3の全ストローク中においてポンプ室6のポンプ作用が実現され、円滑な吸引吐出が行われる。
【0084】
以下の動作では、ピストン3の全ストローク中にポンプ作用が停止する期間が存在し、しかも吸引吐出量の調整が行われる。
【0085】
コントロールバー20を操作してシリンダー2を回転させることにより、図5(a)に示されるように、ピストン3の往復動の期間中に液流通路14が凹部10と一致して流通状態になり、あるいは一致せずに液流通路14が終始シリンダー2内周面で閉塞されて不通状態になるように、シリンダー2の回転位置を調整する。
【0086】
ピストン3の初期状態として、ピストン3が圧力室4から完全に後退しているとする。ピストン駆動手段16がピストン3を圧力室4に向かって前進させる。ピストン3がシリンダー2内を往動(前進)する。ピストン3がシリンダー2内を前進し始めて液流通路14と凹部10とが一致して連通しているときには、作動油貯留室4aと圧力室4とが液流通路14および凹部10を介して導通状態になっているので、ピストン3の前進にもかかわらず圧力室4内の液圧は上昇しない。圧力室4内の液圧が上昇しないのでチューブフラム5は収縮せず、したがってポンプ室6の容積が変化することがなく、図5(b)に示されるように、ポンプ室6から流体が吐出されない。図5(b)においては、縦軸に吸引吐出液量を示す曲線において、ハッチングを入れていない部分が、ポンプ室6がポンプ機能を停止していることを示す。
【0087】
ピストン3が前進することにより液流通路14がシリンダー2の内周面により閉塞された状態になると、ピストン3の前進に伴って圧力室4内の液圧が上昇する。圧力室4内の液圧が上昇することによりチューブフラム5がポンプ室6側に膨満して、ポンプ室6内の容積が縮小する。図5(b)に示されるように、ポンプ室6の容積縮小によりポンプ室6内の流体が液導出管8へ吐出される。ピストン3が前進しきったときに圧力室4内の液圧は最大になる。圧力室4内の圧力が増加し始めてから圧力が最大値に達するまでの間、ポンプ室6はその内部の流体を液導出管8から吐出し続ける。
【0088】
次いで、ピストン駆動手段16を駆動してピストン3を後退させる。ピストン3がシリンダー2内を復動(後退)すると、液流通路14がシリンダー2の内周面に閉塞され、圧力室4内の液圧が減少し続ける。液圧の減少によりチューブフラム5が膨満して圧力室4が変形する。チューブフラム5の圧力室4側への膨満により、ポンプ室6内が減圧になるので、図5(b)に示されるように、液導入管7から一定量の液がポンプ室6に吸引導入される。
【0089】
さらにピストン3が後退して液流通路14が凹部10と連通するようになると、圧力室4と導通状態になるので、圧力室4内の液圧減少が停止する。その結果、ポンプ室6内への流体吸引が停止する。
【0090】
以上のようにしてチューブフラム5の収縮膨満の繰り返しによりポンプ室6への流体の吸引およびポンプ室6からの流体の吐出が実行され、またピストン3における液流通路14と凹部10との重なりによりポンプのロストモーションが実現される。
【0091】
圧力室4内の作動油量が増加したときには、チューブフラム5はその分すでに収縮してつぶれた状態から変形を初め、1回の吐出流量に相当する量までチューブフラム5が変形し、ポンプ室6における吸込工程においてチューブフラム5の変形が回復される。圧力室4の作動油量が多いときには、液流通路14と凹部10とが重なる期間(ロストモーション期間)中に、それまで収縮していたチューブフラム5が付勢手段18により円筒形を更に拡大させるので、チューブフラム5の拡開により余分な作動油量が排出される。圧力室4内の作動油量が少ないときには、ロストモーション期間中に、チューブフラム5の弾性力によりチューブフラム5が収縮することにより圧力室4内に作動油が流入する。このチューブフラム5の弾性力および付勢手段18の付勢力により、チューブフラム5は、流体を吸引吐出する1ストロークごとに常に正常な筒状体から収縮膨満を繰り返すことになる。
【0092】
以下の動作では、前述したよりも更に少ない吸引吐出容量でポンプ室6による流体の吸引吐出が行われる。
【0093】
コントロールバー20を操作してシリンダー2を回転させることにより、図2(a)に示されるように、ピストン3の往復動の期間中に液流通路14が凹部10と一致したり、あるいは一致せずに液流通路14が終始シリンダー2の内周面で閉塞されるように、シリンダー2の回転位置を調整する。この例では、ピストン3の往復動の期間中に液流通路14が凹部10と一致する期間が、液流通路14がシリンダー2の内周面によって閉塞される期間よりも長く設定されている。
【0094】
ピストン3の初期状態として、ピストン3が圧力室5から完全に後退しているとする。ピストン駆動手段16がピストン3を駆動する。ピストン3がシリンダー2内を往動(前進)する。ピストン3がシリンダー2内を前進し始めて液流通路14と凹部10とが連通しているときには、圧力室5と液収容室4とが液流通路14および凹部10を介して導通状態になっているので、ピストン3の前進にもかかわらず圧力室5内の液圧は上昇しない。圧力室5内の液圧が上昇しないのでダイヤフラム18は膨満せず、したがってポンプ室6の容積が変化することがなく、図2(b)に示されるようにポンプ室6から流体が吐出されない。
【0095】
ピストン3が前進することにより液流通路14がシリンダー2の内周面により閉塞された状態になると、ピストン3の前進に伴って圧力室5内の液圧が上昇する。圧力室5内の液圧が上昇することによりチューブフラム5がポンプ室6側に収縮して、ポンプ室6内の容積が減少する。図2(b)に示されるように、ポンプ室6の容積減少(縮小)によりポンプ室6内の流体が液導出管8へ吐出される。ピストン3が前進しきったときに圧力室5内の液圧は最大になる。圧力室5内の圧力が増加し始めてから圧力が最大値に達するまでの間、ポンプ室6はその内部の流体を液導出管8から吐出し続ける。
【0096】
この場合、ピストン3の前進中、圧力室5と液収容室4とが連通している期間が圧力室5と液収容室4とが不導通状態になっている期間よりも長いので、図2に示される場合に比べて、ポンプ室6により液が吸引吐出される期間、すなわちポンプ機能が発揮されている期間が短くなっている。また、吸引吐出液量も、図2に比べて少なくなっている。
【0097】
次いで、ピストン駆動手段16を駆動してピストン3を後退させる。ピストン3がシリンダー2内を復動(後退)すると、液流通路14がシリンダー2の内周面に閉塞されている期間中、圧力室5内の液圧が減少し続ける。液量の減少によりチューブフラム5が圧力室5側に膨満して圧力室5が変形する。チューブフラム5の圧力室5側への膨満により、ポンプ室6内が減圧になるので、図2(b)に示されるような吸引量で、液導入管7から液がポンプ室6に吸引導入される。
【0098】
さらにピストン3が後退して液流通路14が凹部10と連通するようになると、圧力室5と液収容室4とが導通状態になるので、圧力室5内の液量減少が停止する。その結果、図2(b)に示されるように、ポンプ室6内への流体吸引が停止する。
【0099】
以上に詳述したように、凹部10の平面形状が台形になっているから、シリンダー2を回転させることにより、ピストン3の進行中に液流通路14がシリンダー2の内周面に終始閉塞された状態にすることもできるし、また、液流通路14が凹部10と連通した状態および液流通路14がシリンダー2の内周面により閉塞された状態を交互に出現させることができ、前記二種の状態が交互に出現する場合、連通状態および非連通状態の期間を任意に設定することができる。
【0100】
このチューブフラムポンプ1は、従来における流量調整リングのような部材を内部に備える必要がないので、構造が簡単で、修理等が容易であり、小型に構成されることができる。このチューブフラムポンプ1は、各種分野において好適に用いることができる。
【0101】
なお、この実施例においてはシリンダーを回転させる機構としているが、シリンダーを固定し、ピストンをその中心軸を中心にして任意に回転することのできる機構を採用しても良いし、シリンダーおよびピストンの両方がその中心軸を中心にして任意に回転することのできる機構を採用しても良い。
【0102】
(実施例2)
図6はこの発明の他の実施例であるチューブフラムポンプの一部の断面を示す概略説明図である。
【0103】
図6に示すチューブフラムポンプ1Aが図1に示すチューブフラムポンプ1と相違する主なところは、シリンダー2に設けられた凹部10Aと、ピストン3に設けられた液流通路14Aとである。図1に示されるチューブフラムポンプ1におけるのと同じ部材については図6において同じ番号が付される。また、このチューブフラムポンプ1Aは、図1に示されるチューブフラムポンプ1と同様に回転手段9およびピストン駆動手段16を備えるのであるが、図6においてはそのような回転手段およびピストン駆動手段が省略されている。
【0104】
図6に示すチューブフラムポンプ1Aにおけるシリンダー2に設けられた凹部10Aは、図7(a)、図8(a)および図9(a)を総合することにより理解されるように、シリンダー2の内周面であって凹部10Aの存在しない部位において、シリンダー2の中心軸に対しねじれの位置になく、かつ前記中心軸に平行な直線をもって前記内周面を切り開き、切り開いた内周面を平面にしたときに、シリンダー2の軸線の両端縁に平行な直線を有する平行四辺形となっている。
【0105】
この凹部10Aには液収容室4に連通する連通口11が形成されている。なお、この連通口11は液収容室4に直接に連通し、かつ開口するように形成されていても良く、また図6に示すように、装置本体12の液収容室4に向けて開口する連通穴12Aに連続するように形成されていても良い。
【0106】
液流通路14Aは、ピストン3の先端面に開口する先端開口部14Bと、ピストン3の周側面に開口する周面開口部14Cと、この先端開口部14Bおよび周面開口部14Cを連通する連通路とを有する。
【0107】
この流通路14Aは、図示しないピストン駆動手段16を前後動させると、前記シリンダー2の回転状態に応じて、前記周面開口部14Cが凹部14Aに連通状態となったり、シリンダー2の内周面によって前記周面開口部14Cが閉塞状態になったりする。
【0108】
なお、この実施例装置においても、前記実施例1におけるのと同様に付勢手段が設けられている。
【0109】
以下に、以上構成のチューブフラムポンプの作用について説明する。
【0110】
前記液量調整装置2を備えたチューブフラムポンプ1Aは次のように動作する。
【0111】
図示しないコントロールバーを操作してシリンダー2を回転させることにより、図7(a)に示されるように、ピストン3の往復動のいずれにおいてもそのストローク範囲で周面開口部14Cが凹部10Aと一致せず、周面開口部14Cが終始シリンダー2の内周面で閉塞されて、液流通路14Aが終始非導通状態となるようにする。なお、前記実施例で示されたのと同様に、このコントロールバーは装置本体12の外部に突き出ているので、このコントロールバーを操作するだけでシリンダー2の回転を調整することができるので、このコントロールバーはチューブフラムポンプの操作性向上に寄与している。
【0112】
次いで、図示しないピストン駆動手段がピストン3を駆動する。ピストン3がシリンダー2内を往復動する。ピストン3がシリンダー2内を往動(前進)する全期間中、周面開口部14Cが凹部10Aと一致せずにシリンダー2の内周面によって閉塞されている。圧力室5の容積とピストン3の先端面から先のシリンダー2内の容積との合計容積は一定であり、しかも内部の液は非圧縮性の液体であるから、ピストン3を圧力室5に向かって前進させると、圧力室5内の液圧が上昇し、その液圧がポンプ室6内の圧力を越えると、チューブフラム5がポンプ室6側に膨満して、ポンプ室6内の容積が縮小し、図7(b)に示されるように、ポンプ室6内の液が液導出管8より吐出されていく。ピストン3が前進しきったときにポンプ室6内の容積が最小になって、ポンプ室6内からの液の導出量が最大になる。また、ピストン3が前進を開始してから停止するまでの間、図7(b)に示されるように、ポンプ室6はその内部の流体を液導出管8から吐出し続ける。
【0113】
次いで、ピストン駆動手段を駆動してピストン3を後退させる。ピストン3がシリンダー2内を復動(後退)すると、圧力室5内の容積は一定であり、しかも内部の液は非圧縮性の液体であるから、チューブフラム5が圧力室5側に膨満して圧力室5が変形する。チューブフラム5の圧力室5側への膨満により、ポンプ室6の内容積が増加して減圧になるので、図7(b)に示されるように、液導入管7から液がポンプ室6に吸引導入される。
【0114】
上記におけるシリンダー2の回転状態では、ピストン3の全ストローク中においてポンプ室6のポンプ作用が実現され、円滑な吸引吐出が行われる。また、付勢手段の作用については前記実施例1における付勢手段と同様である。
【0115】
以下の動作では、ピストン3の全ストローク中にポンプ作用が停止する期間が存在し、その期間外でポンプ作用が行われて吸引吐出量の調整が行われる。しかも、以下の動作では、前記実施例1におけるポンプ室6のポンプ機能とは逆のポンプ機能が実行される。
【0116】
コントロールバーを操作してシリンダー2を回転させることにより、図8(a)に示されるように、ピストン3の往復動の期間中に周面開口部14Cが凹部10Aと一致したり、あるいは一致せずに周面開口部14Cが終始シリンダー2内周面で閉塞されるように、シリンダー2の回転位置を調整する。
【0117】
ピストン3の初期状態として、ピストン3が圧力室5から完全に後退しているとする。ピストン駆動手段がピストン3を圧力室5に向かって前進させる。ピストン3がシリンダー2内を往動(前進)する。ピストン3がシリンダー2内を前進し始めても周面開口部14Cがシリンダー2の内周面により閉鎖されているので、圧力室5と液収容室4とが非導通状態になる。したがって、ピストン3の前進によって圧力室5内の液圧が上昇する。圧力室5内の液圧が上昇すると、チューブフラム5がポンプ室6側に押圧される。したがってポンプ室6の容積が低下し、図8(b)に示されるように、ポンプ室6から液導出管8へと流体が吐出されていく。図8(b)においては、縦軸に吸引吐出液量を示す曲線において、ハッチングを入れている部分が、ポンプ室6のポンプ機能が発揮されていることを示す。
【0118】
ピストン3が更に前進することにより周面開口部14Cがシリンダー2の内周面により閉塞された状態から凹部10Aに連通する状態に変わる。周面開口部14Cが凹部14Aと一致するようになると、、凹部10A、周面開口部14C、液流通路14A、および先端開口部14Bを介して液収容室4と圧力室5とが導通状態になる。そうすると、ピストン3の前進によって、液流通路14Aを介して圧力室5内の液体が液収容室4へと抜けていく。したがって、ピストン3の前進にもかかわらず、圧力室5内の液圧が上昇せず、したがって、図8(b)に示すように、ポンプ室6のポンプ機能が発揮されることがない。図8(b)に示されるように、ピストン3が前進しきって後進に転じても、周面開口部14Cは凹部10Aと連通状態にあるので、ポンプ室6のポンプ機能は依然として発揮されない。図8(b)において、縦軸に吸引吐出液量を示す曲線において、ハッチングを入れていない部分が、ポンプ室6のポンプ機能が発揮されていないことを示す。
【0119】
ピストン3が更に後退して周面開口部14Cがシリンダー2の内周面により閉鎖されるようになると、ピストン3の後進によって圧力室5内の液がピストン3に引っ張られることによりチューブフラム5が圧力室5側に引っ張られる。したがってポンプ室6の容積が拡大し、図8(b)に示されるように、ポンプ室6内へと液導入管7から流体が導入される。
【0120】
ピストン3が後退しきってから前進に転じると、前述したように、周面開口部14Cがシリンダー2の内周面により閉鎖されている期間中は、図8(b)に示されるように、ピストン3の前進に応じて圧力室5内の液圧が上昇する。圧力室5内の液圧の上昇により、チューブフラム5がポンプ室6側に膨張ないし押圧されることにより、ポンプ室6内に収容されている液体が液導出管8へと吐出されていく。
【0121】
ピストン3が更に前進した後、周面開口部14Cが凹部10Aに連通するようになると、圧力室5と液収容室4とは導通状態になるので、ピストン3の前後動にかかわらず、チューブフラム5に液体の圧力がかからなくなり、図8(b)に示されるように、ポンプ室6のポンプ機能が発揮されなくなる。
【0122】
以下の動作では、前記よりもさらに少ない吸引吐出容量でポンプ室6による流体の吸引吐出が行われる。
【0123】
コントロールバーを操作してシリンダー2を回転させることにより、図9(a)に示されるように、ピストン3の全ストローク中殆どの期間において周面開口部14Cが凹部10Aと一致するように、シリンダー2の回転位置を調整しておく。この図9(a)に示される状態においては、後退し切ったピストン3が前進するわずかの期間において、周面開口部14Cがシリンダー2の内周面により閉鎖されるようになっている。
【0124】
図9(a)に示されるようなシリンダー2の回転状態にあると、前述したのと同様の作用により、図9(b)に示されるような吸引吐出動作が実現される。なお、図8(b)において、縦軸に吸引吐出液量を示す曲線において、ハッチングを入れた部分が、ポンプ室6のポンプ機能が発揮されていることを示し、ハッチングを入れていない部分が、ポンプ室6のポンプ機能が発揮されていないことを示す。
【0125】
【発明の効果】
この発明によると、小型で簡単な構造であり、ピストンのストローク長を変えることなく液圧の微調整を容易に行うことができるチューブフラムポンプを提供することができる。この発明によると、作動油の補給弁を不要にすることにより機構が簡単なチューブフラムポンプを提供することができる。この発明によると、チューブフラムが円筒状となった状態を初期状態としてその拡張収縮を行い、ポンプ室のポンプ機能が円滑に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のチューブフラムポンプの一実施例を示す一部断面概略説明図である。
【図2】図2は、この発明のチューブフラムポンプの一実施例におけるシリンダーとピストンとの関係を示す概略説明図である。
【図3】図3は、この発明のチューブフラムポンプの一実施例における付勢手段とチューブフラムとを示す一部断面概略説明図である。
【図4】図4はこの発明のチューブフラムポンプにおけるシリンダーとピストンとの作用を示す説明図であり、(a)は、図1に示すチューブフラムポンプにおける液流通路と凹部との相対位置の一例を説明するための概念図であり、(b)は、(a)の場合におけるチューブフラムポンプの吐出・吸引モードを示す関係図である。
【図5】図5はこの発明のチューブフラムポンプにおけるシリンダーとピストンとの作用を示す説明図であり、(a)は、図1に示すチューブフラムポンプにおける液流通路と凹部との相対位置の一例を説明するための概念図であり、(b)は、(a)の場合におけるチューブフラムポンプの吐出・吸引モードを示す関係図である。
【図6】図6はこの発明のチューブフラムの他の実施例を示す一部断面概略説明図である。
【図7】図7はこの発明のチューブフラムポンプにおけるシリンダーとピストンとの作用を示す説明図であり、(a)は、図7に示すチューブフラムポンプにおける液流通凹部と液流通溝との相対位置の一例を説明するための概念図であり、(b)は、(a)の場合におけるチューブフラムポンプの吐出・吸引モードを示す関係図である。
【図8】図8はこの発明のチューブフラムポンプにおけるシリンダーとピストンとの作用を示す説明図であり、(a)は、図7に示すチューブフラムポンプにおける液流通凹部と液流通溝との相対位置の一例を説明するための概念図であり、(b)は、(a)の場合におけるチューブフラムポンプの吐出・吸引モードを示す関係図である。
【図9】図9はこの発明のチューブフラムポンプにおけるシリンダーとピストンとの作用を示す説明図であり、(a)は、図7に示すチューブフラムポンプにおける液流通凹部と液流通溝との相対位置の一例を説明するための概念図であり、(b)は、(a)の場合におけるチューブフラムポンプの吐出・吸引モードを示す関係図である。
【図10】図10は従来のダイヤフラムポンプを示す断面説明図である。
【符号の説明】
a・・・油圧ダイヤフラムポンプ、b・・・ダイヤフラム、c・・・安全弁、d・・・エア抜弁、e・・・切換弁、f・・・作動油補給弁、g・・・プランジャー、h・・・圧力室、i・・・ポンプ室、1・・・チューブフラムポンプ、1A・・・チューブフラムポンプ、2・・・シリンダー、2a・・・先端開口部、3・・・ピストン、4・・・圧力室、4a・・・作動油貯留室、5・・・チューブフラム、6・・・ポンプ室、7・・・液導入管、8・・・液導出管、9・・・回転手段、9a・・・ウォーム歯車、9b・・・ラック、10,10A・・・凹部、10a・・・底辺、10b・・・上底、10c・・・斜向辺、10d・・・辺、11・・・連通口、12・・・装置本体、12A・・・連通穴、13・・・装着穴、14,14A・・・液流通路、14B・・先端開口部、14C・・・周面開口部、15・・・終端部、16・・・ピストン駆動手段、17・・・ポンプ本体、18・・付勢手段、18a・・・支持板、18b・・・支持体、18c・・・円錐状コイル、19・・・逆止弁、20・・・コントロールバー。
Claims (1)
- 圧縮拡張によりポンプ室の内容積を変化させて流体の吸引吐出を行うチューブフラムと、前記チューブフラムを圧縮拡張させる作動媒体を収容する圧力室と、前記圧力室に連通する凹部を内周面に形成し、かつ前記圧力室に連通する先端開口部を有するシリンダーと、前記シリンダー内を往復動可能に挿通され、前記シリンダーの内壁面に摺動する外周面に設けた開口部と前記圧力室とを連通可能にする液流通路を備えたピストンと、前記シリンダーおよび前記ピストンのいずれか一方または両方をその中心軸を中心にして所定角度をもって回転させることにより前記液流通路、前記開口部および前記凹部を介して前記圧力室と作動媒体を貯留する油貯留室とを連通可能にする回転手段と、油貯留室と圧力室とが連通状態にあるとき前記チューブフラムをその半径方向に沿って外側に向かうように付勢し断面円形の内容積最大の円筒状態する付勢手段とを備え、前記凹部および前記ピストンの外周面に設けられた開口部のいずれか一方または両方の軸方向の長さがシリンダーおよびピストンの相対的な回転角度により相違するように形成することにより流体の吸引吐出量を調製可能とすることを特徴とするチューブフラムポンプ。
Priority Applications (1)
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JP29374496A JP3624062B2 (ja) | 1996-11-06 | 1996-11-06 | チューブフラムポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH10141234A JPH10141234A (ja) | 1998-05-26 |
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-
1996
- 1996-11-06 JP JP29374496A patent/JP3624062B2/ja not_active Expired - Lifetime
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