JP3623451B2 - 水分量測定方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質に含まれる水分量を測定する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質(例えば、植物の葉、セロハン、布等)に含まれる水分量を測定する従来の方法として、物質を乾燥処理し、その乾燥処理の前後の重さの差分から、物質に含まれる水分量を測定する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、物質をゲージに収容してから、加熱して乾燥処理を行っていたが、物質をゲージに収容する際に、水分を含んだ外気も一緒に収容されるので、物質から迅速に水分を蒸発させることができず、水分量の測定に長時間を要していた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、迅速に水分量を測定することが可能な水分量測定方法及び装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る水分量測定方法は、物質に含まれる水分量を測定する方法であって、被測定物質を収容したゲージ内の空気を吸引して真空に近づけることで、ゲージ内の湿度を一定にした後、ゲージ内を一定温度に保持しつつそのゲージ内に乾燥した空気を供給し、このときのゲージ内の湿度の変化量に基づいて、被測定物質に含まれる水分量を測定するところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明に係る水分量測定装置は、物質に含まれる水分量を測定する水分量測定装置であって、被測定物質を収容して密閉したゲージと、ゲージ内の湿度を測定する湿度センサと、ゲージ内の温度を測定する温度センサと、ゲージ内の空気を吸引して真空に近づけることが可能な吸引手段と、ゲージの内部を加熱又は冷却する加熱冷却手段と、温度及び湿度の両センサから検出信号を受ける制御部と、制御部からの信号に基づいて、ゲージ内に乾燥空気を供給する空気供給手段とを備え、制御部は、吸引手段を駆動して、ゲージ内から空気を吸引することで、ゲージ内を一定湿度に保持した後、加熱冷却手段を駆動してゲージ内を一定温度に保持しつつ、空気供給手段を駆動してゲージ内に乾燥空気を供給し、湿度センサからの検出信号に基づいて、乾燥空気を供給する前後のゲージ内の湿度の変化量を求め、その変化量から被測定物質に含まれる水分量を算出するところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2記載の水分量測定装置において、加熱冷却手段は、ペルチェ素子であるところに特徴を有する。
【0008】
【発明の作用及び効果】
<請求項1〜3の発明>
請求項1及び請求項2の発明では、ゲージ内に被測定物質を収容し、空気を吸引して真空に近づけると、空気に含まれていた水分までもが吸引されてゲージ内の湿度が一定になる。そして、この状態で、ゲージ内の温度を一定に保持しつつ、乾燥空気をゲージ内に供給すると、この乾燥空気に接した被測定物質から水分が迅速に蒸発して、ゲージ内の湿度が上昇する。ここで、ゲージ内の湿度の変化量は、被測定物質に含まれていた水分量に応じた値になる。従って、湿度センサで検出したゲージ内の湿度の変化量に基づき、被測定物質に含まれていた水分量が求められる。
【0009】
このように本発明によれば、被測定物質の周りから水分が含まれた空気を取り除いてから、乾燥空気を被測定物質の周りに供給するから、被測定物質に含まれていた水分が迅速に乾燥空気側に奪われ、水分量の測定時間を短縮することができる。なお、ゲージ内を加熱又は冷却する手段として、ペルチェ素子を用いてもよい(請求項3の発明)。
【0010】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1において、符号10で示したゲージは、蓋体10Fを外して内部に被測定物質を収容することが可能な容器構造をなし、蓋体10Fを閉めた状態にして、少なくとも1気圧以上の圧力に耐え得る強度を有する。
【0011】
ゲージ10内には、加熱冷却手段としてのペルチェ素子11が備えられており、そのペルチェ素子11との対向位置には、温度センサ12及び湿度センサ13が設けられている。そして、これらペルチェ素子11、温度センサ12及び湿度センサ13の各端子に接続した電線が、ゲージ10外に引き出されて、図2に示すように、制御部20に接続されている。また、ゲージ10内には、ワーク台10Dが形成され、その上に被測定物質である、例えば、紙、セロハン、布、糸、半導体ウェハー等が載置される。なお、本実施形態では、前記湿度センサ13は、例えば、静電容量型湿度センサにて構成されている。
【0012】
ゲージ10には、吸引ポンプ14が連なる排出路と、コンプレッサ15が連なる供給路とが形成されており、これら排出路及び供給路の途中には、それぞれ電磁弁14A,15Aが設けられて、制御部20にて開閉制御可能としてある。また、供給路のうちコンプレッサ15と電磁弁15Aとの間には、一対の除湿器19A,19Bと、流量調整用のバルブ19Cとが直列にして設けられている。そして、本実施形態では、流量調整用のバルブ19Cにて、供給路内の流量を、例えば、0.3リットル/分に調整し、このとき前記除湿器19A,19Bを通過した空気の湿度が、例えば、3〜10%湿度になるように設定してある。
【0013】
制御部20は、図2に示されており、CPU21の入力ポートには、マルチプレクサ22を介して前記した温度センサ12と湿度センサ13が接続されており、これらの検出信号をマルチプレクサ22で選択的に切り替えてCPU21に取り込むことができる。
【0014】
また、CPU21の出力ポートには、I/Oユニット23を介して、ペルチェ素子11,吸引ポンプ14,コンプレッサ15及び電磁弁14A,15Aが接続されている。さらに、CPU21の出力ポートには、モニタ26が接続されると共に、D/Aコンバータ24を介してアナログ出力端子25が導出されている。
【0015】
次に、この水分量測定装置の動作及び作用効果について説明する。
ゲージ10の蓋体10Fを外して、内部に被測定物質(例えば、セロハン、紙等)を収容し、蓋対10Fを閉じる。この状態では、大気に含まれた水分もゲージ10内に密閉されている。従って、この状態で仮にペルチェ素子11にてゲージ10内を加熱しても、被測定物質から水分を迅速且つ十分に奪うことは困難である。
【0016】
制御部20に備えた起動スイッチをオンする。すると、CPU21から出力された2値信号がI/Oユニット23で所定のレベルに増幅され、オンオフ信号として、電磁弁14A,電磁弁15Aに与えられる。これにより、電磁弁14Aは開放し、電磁弁15Aは閉じた状態になり、これと共に、吸引ポンプ14が駆動されて、ゲージ10から空気が吸引される。このとき、ゲージ10内の空気と共に水分も吸引されて、ゲージ10内の湿度が低下する。そして、真空に近づくと、それ以上水分を吸引することができないから、湿度も安定する。すなわち、湿度センサ13の検出結果が一定値に平衡し、これをもって、CPU21は、ゲージ10内が真空になったと判断する。すると、CPU21は、ペルチェ素子11を駆動して、ゲージ10内を予め設定した温度まで上昇させると共に、温度センサ12の検出信号をフィードバックして、ゲージ10内の温度を、例えば設定温度±1℃に保持するように制御する。なお、本実施形態では、前記設定温度は、被測定物質が引火しない程度に設定されている。
【0017】
ゲージ10内の温度が、設定温度±1℃に保持されたら、CPU21は、電磁弁14Aを閉じる一方、電磁弁15Aを開放して、除湿器19A,19Bにて乾燥させた空気をゲージ10内に供給する。なお、このとき、迅速に乾燥空気を供給するためにコンプレッサ15が駆動される。
【0018】
乾燥空気がゲージ10内に供給されると、この乾燥空気に被測定物質が覆われることで、被測定物質から水分が迅速に奪われる。そして、被測定物質に含まれていたほぼ全ての水分が乾燥空気に奪われ、その分、ゲージ10内の湿度が上がる。なお、このとき、ゲージ10内は、ペルチェ素子11にて一定温度に保持されている。そして、CPU21は、同じ温度条件の下での湿度の上昇量と、ゲージ10内の空気量とに基づき、被測定物質から乾燥空気に移行した水分量を算出し、これが被測定物質に含まれていた水分量としてモニタ26及びアナログ出力端子25に出力される。
【0019】
このように本実施形態の水分量測定装置によれば、被測定物質の周りから水分が含まれた空気を取り除いてから、乾燥空気を被測定物質の周りに供給するから、被測定物質に含まれていた水分が迅速に乾燥空気側に奪われ、水分量の測定時間を短縮することができる。
【0020】
<参考例>
本参考例は、図3及び図4に示されており、図3において符号31は、チューブであって、例えば、外径3mm、内径2mmのビニール管で構成されている。チューブ31の先端部分の周壁には、複数の孔(図示せず)が形成され、それら孔を覆うように、チューブ31先端の外周に、布状のフィルタ32が巻き付けられている。そして、フィルタ32ごとチューブ32の先端部が、オムツ30内に配されて、オムツ30内の空気を吸引可能としてある。なお、このフィルタ32は、例えば、水分吸着布の内部にスポンジを埋設してなる。
【0021】
また、チューブ31は、途中部分で切断されており、その切断部は、ドレイン容器33内に下向きにして取り付けられている。そして、チューブ31内に吸引された空気中の水分が液化した場合に、その液体がこのドレイン容器33内に排出されて、後述の湿度センサ42側に送られないようにしてある。
【0022】
チューブ31の基端部には、排泄検出装置40に結合されている。この排泄検出装置40は、チューブ31内を通ってきた空気が充填されるゲージ41を備え、そのゲージ41内に、湿度センサ42と温度センサ43とを備える。また、温度及び湿度の両センサ42,43の出力線は、制御部44に接続されると共に、その制御部44にはメモリ45が連ねられている。さらに、排泄検出装置40に内蔵したコンプレッサ(図示せず)により、オムツ30内の空気がチューブ31を介してゲージ41に引き込まれるようになっている。
【0023】
上記構成からなる本参考例の排泄検出装置40は、以下のように動作する。図4には、オムツ装着部分における空気の湿度の推移が例示されており、同図において、(2)で示したタイミングでオムツ30が被験者に装着される。
【0024】
まずは、オムツ30を未装着の状態(図4において(1)のタイミング)で、排泄検出装置40をオンする。すると、図示しないコンプレッサが起動して、オムツ装着部分の空気が、チューブ31を通って排泄検出装置40に取り込まれ、湿度センサ42が湿度を検出する。そして、制御部44が、単位時間当たりの湿度の変化量(図4のグラフの傾き)を算出する。ここで、制御部44は、上記湿度の変化量を環境湿度が変化として、メモリ45に記憶する。
【0025】
さて、図4における(2)のタイミングでオムツ30が被験者に装着される。すると、発汗や排出等によりオムツ30内の湿度が上昇する。制御部44は、このときの単位時間当たりの湿度の変化量(即ち、湿度の傾き)を求め、これをメモリ45に記憶する。そして、時間の経過と共に、随時、湿度の傾きをメモリ45に記憶していく。これにより、被験者の体調の変化によって、発汗量自体が徐々に変化しても対応することができる。
【0026】
なお、発汗による湿度の変化量から、前記した環境湿度による変化量を差し引いて、発汗のみによる単位時間当たりの湿度の変化量を求めてもよい。また、上記した湿度は、全て相対湿度であって、温度の影響を受けるから、湿度センサ42と共に温度センサの検出信号も制御部44に取り込まれて、相対湿度が求められる。さらに、メモリ45に記憶したデータは、測定を終了するまで有効で、オムツ30を取り替えた後に再度傾きを算出する際の参照データとしても使用してもよい。
【0027】
さて、被験者は排泄を行っていないが、発汗量が多くなって湿度が上昇する場合がある。ここで、本実施形態の排泄検出装置40では、制御部44が、被験者の発汗による湿度の変化量を、随時メモリ45に記憶し、このメモリ45に記憶されたデータと、湿度センサ42で実際に測定した現時点の湿度の変化量とを比較する。これにより、湿度の変化量が急激に増加しない限り、排泄以外の要因で湿度が上昇したと判断する。これに対し、被験者が排泄した場合には、オムツ30内の湿度は急激に上昇する((6)−(7)間)。そして、この湿度の変化量の急激な変化をもって、排泄がなされたと判断する。
【0028】
具体的には、以下の通りである。
被験者の発汗による湿度の変化量を、K1= ((DtX−Dt2)/時間)で求めて、メモリ45に随時記憶する。次いで、湿度の変化量の変化の急激度の基準となる所定値αをK1に加え、現時点の湿度の変化量である、K2=(Dt7−Dt6)/時間、と比較する。そして、
K1+α < K2
の場合は排泄と判断し、
K1+α > K2
の場合は排泄は無かったものと判断する。
【0029】
このように、本参考例によれば、湿度の変化量の変化が、所定の基準値より大きくて変化したことをもって、排泄を検出するから、被験者が時間をかけて汗を大量にかいた場合に、それを排泄と誤って検出する事態を防ぐことができる。なお、本参考例の排泄検出装置40を利用して、環境湿度が変化したときの湿度の傾きを基本の傾きとしてメモリ45に記憶しておき、その環境湿度の変化の傾き分を、湿度センサ42で測定した現時点の湿度の変化の傾きからキャンセルすることで、被験者の発汗だけによる湿度の変化量を経時的に測定し、体調の変化を調べてもよい。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0031】
(1)前記実施形態の水分量測定装置は、加熱冷却手段としてペルチェ素子を備えていたが、例えばニクロム線を用いて加熱を行う一方、冷却は空冷にて行う構成としてもよい。
【0032】
(2)前記実施形態では、乾燥空気を供給する場合にコンプレッサ15を用いていたが、ゲージ内を真空にしたことによって生じた除湿器側との差圧によって乾燥空気をゲージ内に引き込む構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水分量測定装置の概念図
【図2】その水分量測定装置の制御部を示すブロック図
【図3】参考例に係る水分量測定装置の概念図
【図4】オムツ装着部分の空気の湿度の変化を示すグラフ
【符号の説明】
10…ゲージ
11…ペルチェ素子(加熱冷却手段)
12,43…温度センサ
13,42…湿度センサ
14…吸引ポンプ(吸引手段)
19A,19B…除湿器
21…CPU
44…制御部
45…メモリ(記憶手段)
Claims (3)
- 物質に含まれる水分量を測定する方法であって、
被測定物質を収容したゲージ内の空気を吸引して真空に近づけることで、前記ゲージ内の湿度を一定にした後、
前記ゲージ内を一定温度に保持しつつそのゲージ内に乾燥した空気を供給し、このときの前記ゲージ内の湿度の変化量に基づいて、前記被測定物質に含まれる水分量を測定することを特徴とする水分量測定方法。 - 物質に含まれる水分量を測定する水分量測定装置であって、 被測定物質を収容して密閉したゲージと、
前記ゲージ内の湿度を測定する湿度センサと、
前記ゲージ内の温度を測定する温度センサと、
前記ゲージ内の空気を吸引して真空に近づけることが可能な吸引手段と、
前記ゲージの内部を加熱又は冷却する加熱冷却手段と、
前記温度及び湿度の両センサから検出信号を受ける制御部と、
前記制御部からの信号に基づいて、前記ゲージ内に乾燥空気を供給する空気供給手段とを備え、
前記制御部は、前記吸引手段を駆動して、前記ゲージ内から空気を吸引することで、前記ゲージ内を一定湿度に保持した後、前記加熱冷却手段を駆動して前記ゲージ内を一定温度に保持しつつ、前記空気供給手段を駆動して前記ゲージ内に乾燥空気を供給し、前記湿度センサからの検出信号に基づいて、前記乾燥空気を供給する前後の前記ゲージ内の湿度の変化量を求め、その変化量から前記被測定物質に含まれる水分量を算出することを特徴とする水分量測定装置。 - 前記加熱冷却手段は、ペルチェ素子であることを特徴とする請求項2記載の水分量測定装置。
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