JP3623003B2 - デジタル情報記録方法および解読方法 - Google Patents

デジタル情報記録方法および解読方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、印刷などによって平面状の記録面にデジタル情報を記録するデジタル記録方法と、そのように記録されたデジタル情報を解読するデジタル情報解読方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
最近、紙などの平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、デジタル情報を符号化して2次元パターンとして記録する技術が広く用いられている。例えば、デジタル情報のビットに対応する行列状の正方形の枡目を仮想的に設定し、各枡目に「0」と「1」を表す白と黒を付して情報を記録する方式が知られている。
【0003】
上記記録面に設定された枡目の値として、白または黒のどちらか一方が極端に多い場合には、記録面を光学的に読み取る読取装置(スキャナなど)によってコントラストが自動調節される結果、通常は無視されるようなノイズが誇張されて誤認識の原因となることがある。すなわち、白枡目の領域の中に現れた黒のノイズ(スポット)が黒枡目と判定されたり、黒枡目の領域の中に現れた白のノイズ(ボイド)が白枡目と判定されたりする。さらに、白枡目が黒枡目によって囲まれているような場合には、黒枡目を印刷するインクのにじみなどの影響により、白枡目の領域が侵食されたりつぶれたりして、読み取り時にその白枡目を黒枡目であると誤判定することがある。
【0004】
また、読取装置が記録面をスキャンするに伴って読取装置と記録面とのずれを修正(補正)しながら順次枡目の値を読み出す、いわゆるセルフクロッキング方式の読み取りを行う場合、白枡目または黒枡目の一方が多数連続して現れると、枡目の個数を数え間違える読み取りエラーが生じやすいという問題がある。つまり、セルフクロッキング方式は、一般に白枡目と黒枡目の境界(エッジ)を基準として行うことから、白枡目と黒枡目とが適度に分散しているときは、適当な頻度で白枡目と黒枡目との境界(エッジ)が現れるので補正を行いやすい。例えば、黒枡目が3個続いて白枡目に変わるときは、ずれを修正するのは簡単である。これに対して、白枡目または黒枡目の一方が多数連続して現れると、境界(エッジ)を用いた補正ができなくなる。例えば、黒枡目が20個続いて白枡目に変わるときは、ずれを修正することは難しく、黒枡目が21個続いたと誤判定するようなことがある。
【0005】
一般的なデジタル情報では、値0や値1が連続することは起こりがちである。例えば画像データなどの場合、バイト単位でデータを見ると、0x00や0xffといった値は、他の値に比べて用いられる可能性が高い。極端な場合には、記録されるデータのビットが全て1であるために記録面を構成する全ての枡目の値が黒となったり、逆に記録されるデータのビットが全て0であるために記録面を構成する全ての枡目の値が白となるようなことがある。
【0006】
また、例えばASCII(情報交換用米国標準コード)データの場合、最上位ビットが必ず0となるから、データの繰り返しパターンが問題となる。図22は、記録面20内の情報記録領域23に横24×縦16の行列状に配置した枡目に対して、ASCIIの数字データを記録した例を示している。この例では、各行を列方向に8枡目ごとに3つに区切り、この8枡目にバイト単位の情報を格納している。バイトの格納順は、まず最上段の行を左から右へ並べ、次に上から2番目の行を左から右へ並べ、以降順次下の行へと並べている。各バイト内におけるビットの並びは、左端に最上位ビット、右端に最下位ビットを対応させている。この情報記録領域23には48バイトのデータを格納できるので、ASCIIデータで0から9の数字(0x30から0x39)を48個記録している。すると、図から分かるように、各バイトの最上位とその次の位にあたる2枡目、すなわち左から1、2、9、10、17、18番目の列では縦に白枡目が連続する。また、左から3、4、11、12、19、20番目の列では縦に黒枡目が連続することになる。このように、データの繰り返しパターンが存在する場合も、白枡目や黒枡目が連続しやすいという問題がある。
【0007】
このような背景の下、本出願人は先に、記録面に、連結している3個以上の枡目からなり、隣接して複数並ぶことによって上記記録面を隙間なく埋めることができる特定の形をもつ小ブロックを設定し、この各小ブロックに、同じ値をとる枡目が連続する個数が行方向と列方向の少なくとも一方向で所定数以下である指定パターンを対応させる技術を提案した(特願平6−70911号)。この技術によれば、記録面内で同じ値をとる枡目が連続し得る最大の個数を行方向、列方向にそれぞれ制限することができる。したがって、白枡目と黒枡目とを適度に分散させることができ、読み取りエラーを防止することができる。
【0008】
しかしながら、この技術では、記録すべきデータ値と指定パターンとを対応させるために、予め変換用テーブルを用意しなければならない。このため、記録装置や解読装置に上記変換用テーブルのためのメモリ領域を設けなければならず、複雑になるという問題がある。さらに、小ブロックに対応させるパターンを指定パターンのみに制限しているため、1つの小ブロックに本来記録できる情報量(ビット数)に対して実際に使用できる指定パターンの数が少ない。このため、記録面内に実際に記録される情報量が、本来記録されるべき情報量よりも少なくなるという問題がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、デジタル情報のビットに対応する行列状の枡目を仮想的に設定し、上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークをそれぞれ付与して、記録すべきデジタル情報を上記マークからなる2次元パターンとして記録する場合に、行方向と列方向の両方に関して同一の値を表すマークが連続しないように分散させることができる上、簡便に、かつ情報量を減らすことなく記録することができるデジタル情報記録方法を提供することにある。また、そのようにして記録したデジタル情報を解読するのに適したデジタル情報解読方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、ビットに対応する行列状の枡目を仮想的に設定し、上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークをそれぞれ付与して、記録すべきデジタル情報を上記マークからなる2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、連結している3個以上の枡目からなり、隣接して複数並ぶことによって上記情報記録領域を隙間なく埋めることができる特定の形をもつ小ブロックを設定し、上記各枡目に上記マークを付与することにより上記小ブロックが取り得るパターン群のうち、少なくとも1つの行に関して行方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与するとともに、少なくとも1つの列に関して列方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与してなるパターンを変調用パターンとして採用し、記録すべきデジタル情報に対応して上記情報記録領域の各枡目にマークを付与してなる第1次パターンを上記小ブロック単位で取り出し、この取り出したパターンと上記変調用パターンとを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べてなる第2次パターンを上記情報記録領域に表現することを特徴としている。
【0011】
例えば、上記小ブロックの形は、行方向または列方向のいずれか一方向に枡目p個分(ただし、pは2以上、所定数以下の整数とする)の寸法をもち、行方向または列方向のうち他方向に枡目q個分(ただし、qは2以上、p以下の整数とする)の寸法をもつ矩形であり、上記変調用パターンは、同じ値を表すマークが連続する個数が、上記一方向でp個未満であり、かつ上記他方向でq個未満のパターンである。
【0012】
また、請求項2に記載のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、ビットに対応する行列状の枡目を仮想的に設定し、上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークをそれぞれ付与して、記録すべきデジタル情報を上記マークからなる2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、一行または一列内で2個以上直線的に連結した枡目からなる小ブロックを設定し、上記小ブロックが取り得るパターン群のうち、長手方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与してなるパターンを第1の変調用パターンとして採用するとともに、上記第1の変調用パターンのマークを反転してなる第2の変調用パターンを採用し、記録すべきデジタル情報に対応して上記情報記録領域の各枡目にマークを付与してなる第1次パターンを上記小ブロック単位で取り出し、奇数行又は列に関しては上記取り出したパターンと上記第1の変調用パターンとを1対1に対応させる一方、偶数行又は列に関しては上記取り出したパターンと上記第2の変調用パターンとを1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べてなる第2次パターンを上記情報記録領域に表現することを特徴としている。
【0013】
また、請求項3に記載のデジタル情報記録方法は、請求項1または2に記載のデジタル情報記録方法において、上記変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを複数種類採用し、上記複数種類の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを、上記第1次パターンのパターン構成に応じて用いることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4に記載のデジタル情報記録方法は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の情報記録方法において、上記第1次パターンのうち上記情報記録領域の特定領域に相当する部分のパターンを、上記第2次パターンのうち上記特定領域に相当する部分のパターンとしてそのまま用いることを特徴としている。
【0015】
また、請求項5に記載のデジタル情報解読方法は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のデジタル情報記録方法によって記録された記録情報を解読するためのデジタル情報解読方法であって、上記変調用パターンと同一のパターンを復調用パターンとして採用し、上記情報記録領域に表現された第2次パターンを上記小ブロック単位で取り出し、この取り出したパターンと上記復調用パターンとを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べて元の第1次パターンを得ることを特徴としている。
【0016】
また、請求項6に記載のデジタル情報解読方法は、請求項5に記載のデジタル情報解読方法において、上記情報記録領域に上記第2次パターンを記録する段階で採用した可能性のある全ての種類の変調用パターンに対応する復調用パターンを用意し、上記小ブロック単位で取り出したパターンについて、上記各復調用パターンを用いて上記排他的論理和を算出して、この排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるか否かを判断し、上記排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるとき、その情報を上記情報記録領域の上記小ブロックに対応する情報として採用することを特徴としている。
【0017】
【作用】
請求項1のデジタル情報記録方法では、第1次パターンは、情報記録領域に本来表現されるべきパターンであり、0又は1に対応するマークが連続することが多いパターンであると想定され得る。一方、変調用パターンは、小ブロックが取り得るパターン群のうち、少なくとも1つの行に関して行方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与するとともに、少なくとも1つの列に関して列方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与してなるパターンであるから、この変調用パターンを並べたものは、行方向および列方向の両方に関して0に対応するマークと1に対応するマークとが繰り返すものとなっている。ここで、第2次パターンは、第1次パターンを小ブロック単位で取り出し、この取り出したパターンと上記変調用パターンとを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べて作成されるから、全体として、第1次パターンと上記変調用パターンを並べたものとを枡目単位で排他的論理和をとったものに相当する。したがって、第2次パターンは、行方向と列方向の両方に関して0に対応するマークと1に対応するマークとが分散されたパターンとなる。つまり、行方向と列方向の両方に関して同一の値を表すマークが数多く連続することがないパターンとなる。
【0018】
この結果、読取装置(スキャナなど)での読み取り時にコントラストが白または黒に偏ることがないので、ノイズが誇張されることはない。また、いわゆるセルフクロッキング方式で順次読み取りを行う場合に、適当な頻度で白枡目と黒枡目との境界(エッジ)が現れるため、補正を行いやすい。したがって、読み取りエラーが生じにくくなる。
【0019】
また、第1次パターンと変調用パターンとの排他的論理和を算出する際、すなわち第1次パターンを変調して第2次パターンを得る際に、単純なビット計算(排他的論理和)を行えば足り、予め変換用テーブルなどを用意する必要がない。したがって、このデジタル情報記録方法を実施する記録装置に、変換用テーブルのためのメモリ領域を設ける必要がなく、簡便に情報が記録され得る。また、上記変調によって得られた第2次パターンは第1次パターンと同じ情報密度を持つから、上記情報記録領域に実際に記録される情報量が、本来記録されるべき第1次パターンの情報量よりも減ることはない。
【0020】
また、このようにして記録された情報を解読する場合においても、上記第2次パターンを復調して第1次パターンを得る際に、単純なビット計算(排他的論理和)を行えば足り、予め変換用テーブルなどを用意する必要がない。したがって、上記記録された情報を解読する解読装置に、変換用テーブルのためのメモリ領域を設ける必要がない。しかも、変調と復調に同一のアルゴリズムを用いることができる。したがって、上記情報記録領域に記録された情報が簡便に解読され得る。
【0021】
請求項2のデジタル情報記録方法では、請求項1と同様に、第1次パターンは、上記情報記録領域に本来表現されるべきパターンであり、0又は1に対応するマークが連続することが多いパターンであると想定され得る。一方、第1の変調用パターンは、一行または一列内で枡目が連結した小ブロックが取り得るパターン群のうち、長手方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与してなるパターンであり、第2の変調用パターンは上記第1の変調用パターンを反転させたものであるから、これらの第1、第2の変調用パターンをその長手方向に垂直な方向に並べたものは、行方向および列方向の両方に関して0に対応するマークと1に対応するマークとが繰り返すものとなっている。ここで、第2次パターンは、記録すべきデジタル情報に対応して上記情報記録領域の各枡目にマークを付与してなる第1次パターンを上記小ブロック単位で取り出し、奇数行又は列に関しては上記取り出したパターンと上記第1の変調用パターンとを1対1に対応させる一方、偶数行又は列に関しては上記取り出したパターンと上記第2の変調用パターンとを1対1に対応させて、対応する枡目が表す表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べて作成されるから、全体として、第1次パターンと上記第1、第2の変調用パターンを並べたものとを枡目単位で排他的論理和をとったものに相当する。したがって、2次パターンは、行方向と列方向の両方に関して0に対応するマークと1に対応するマークとが分散されたパターンとなる。つまり、行方向と列方向の両方に関して同一の値を表すマークが数多く連続することがないパターンとなる。
【0022】
この結果、請求項1と同様に、ノイズが誇張されることがなく、補正が容易になって、読み取りエラーが生じなくなる。また、簡便に、かつ情報量を減らすことなく情報が記録され得る。また、記録された情報が簡便に解読され得る。
【0023】
請求項3のデジタル情報記録方法では、上記変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを複数種類採用し、上記複数種類の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを、上記第1次パターンのパターン構成に応じて用いるので、最適の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを選択して第2次パターンを作成することが可能となる。また、第1次パターンの各部分のパターン構成に応じて、第2次パターンの特定の行あるいは列に、同一の値の枡目が数多く連続しないのはいずれの変調用パターンであるかを判断し、第1次パターンの各部分毎に最適の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを用いることも可能となる。
【0024】
請求項4のデジタル情報記録方法では、上記第1次パターンのうち上記情報記録領域の特定領域に相当する部分のパターンを、上記第2次パターンのうち上記特定領域に相当する部分のパターンとしてそのまま、すなわち無変調で用いるので、第1次パターンのうち上記特定領域に相当する部分の光学的特徴がそのまま保存される。例えば、第1次パターン内にクロック等の制御情報が配置されているような場合に、この制御情報の光学的特徴がそのまま保存される。したがって、第2次パターンにおいても、上記制御情報によって各枡目の境界や位置を示すことができる。
【0025】
請求項5のデジタル情報解読方法では、上記情報記録領域に上記第2次パターンを記録する方法と同一のアルゴリズムで元の第1次パターンが得られる。したがって、記録情報が簡単に解読され得る。
【0026】
請求項6のデジタル情報解読方法では、上記情報記録領域に上記第2次パターンを記録する段階で採用した可能性のある全ての種類の変調用パターンに対応する復調用パターンを用意し、上記小ブロック単位で取り出したパターンについて、上記各復調用パターンを用いて上記排他的論理和を算出して、この排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるか否かを判断し、上記排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるとき、その情報を上記情報記録領域の上記小ブロックに対応する情報として採用するので、変調の種類を区別しながら、上記情報記録領域に記録された情報を解読することができる。なお、情報記録領域に記録されている第2次パターンが1種類の変調用パターンによる変調によって記録されたものである場合は、1つ又は幾つかの小ブロックについて上記排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるか否かを判断すれば良く、上記情報記録領域の全域についてこの判断を行う必要はない。
【0027】
【実施例】
以下、この発明のデジタル情報記録方法および解読方法を実施例により詳細に説明する。
【0028】
(第1実施例)
まず、デジタル情報記録方法の一つの例について説明する。
【0029】
図1は、この記録方法によって情報を記録すべき、平面状の記録面20内に設けられた情報記録領域23を示している。この情報記録領域23には、ビットに対応する行列状の枡目(破線で示す)を仮想的に設定している。この例では、横24個×縦16個の正方形の枡目を設定している。
【0030】
上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークとして、図22に示したものと同様に、値“0”を表す白(明)または値“1”を表す黒(暗)を付すものとする(なお、黒は便宜上ハッチングを施して表す。)。
【0031】
また、横4個×縦4個の正方形に連結した16個の枡目からなる小ブロックT(実線で示す)を設定する。この小ブロックTは横6個×縦4個で縦情報記録領域23を隙間なく埋めている。
【0032】
また、上記各枡目に白又は黒を付与することにより上記小ブロックTが取り得るパターン群のうち、図3に示すような市松模様をなすパターン24を変調用パターンとして採用する。詳しくは、この変調用パターン24の第1行の値は「1010」、第2〜4行の値はそれぞれ「0101」「1010」「0101」であり、行方向および列方向に白と黒が交互に並んでいる。
【0033】
一方、記録すべきデジタル情報に対応して情報記録領域23の各枡目に白又は黒を付与して第1次パターンを作成する。この第1次パターンは、情報記録領域23に本来表現されるべきパターンである。この例では、白や黒が多く連続している図22に示したパターンを第1次パターンとする。
【0034】
そして、図22の第1次パターンの各小ブロックTに相当する部分を左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に取り出す。取り出したパターンと変調用パターン24とを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出する。この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロックT単位のパターンを左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に並べて第2次パターンを作成する。この第2次パターンを上記情報記録領域23に表現する。
【0035】
この例では、第2次パターンとして、図5に示すようなパターンが得られる。図5の第2次パターンでは1行または1列全てが白枡目になったり黒枡目になったりすることはなく、図22に示した第1次パターンに比して、適度に白黒が分散され、行方向と列方向の両方に関して白又は黒が数多く連続することがないパターンとなっている。この理由は、図22の第1次パターンは白や黒が多く連続しているものであり、図3の変調用パターン24を並べたものは白と黒とが行方向および列方向に交互に繰り返すパターンであることから、全体として両者の枡目単位の排他的論理和をとったものに相当する第2次パターンについては、行方向と列方向の両方に関して白黒が分散されるからでである。
【0036】
この結果、読取装置(スキャナなど)での読み取り時にコントラストが白または黒に偏ることがないので、ノイズが誇張されることはない。また、いわゆるセルフクロッキング方式で順次読み取りを行う場合に、適当な頻度で白枡目と黒枡目との境界(エッジ)が現れるため、補正を行いやすい。したがって、読み取りエラーが生じるのを防止することができる。
【0037】
また、この記録方法によれば、第1次パターンと変調用パターンとの排他的論理和を算出する際、すなわち第1次パターンを変調して第2次パターンを得る際に、単純なビット計算(排他的論理和)を行えば足り、予め変換用テーブルなどを用意する必要がない。したがって、この記録方法を実施する記録装置に、変換用テーブルのためのメモリ領域を設ける必要がなく、簡便に情報を記録することができる。また、上記変調によって得られた第2次パターンは第1次パターンと同じ情報密度を持つから、情報記録領域23に実際に記録される情報量が、本来記録されるべき第1次パターンの情報量よりも減ることはない。
【0038】
また、このようにして記録された情報を解読する場合においても、第2次パターンを復調して第1次パターンを得る際に、単純なビット計算(排他的論理和)を行えば足り、予め変換用テーブルなどを用意する必要がない。したがって、解読装置に、変換用テーブルのためのメモリ領域を設ける必要がない。しかも、変調と復調に同一のアルゴリズムを用いることができる。したがって、情報記録領域23に記録された情報を簡便に解読することができる。
【0039】
また、いずれの変調用パターンを用いて変調を行ったかを第三者に対して秘密にしておくことにより、第三者が第2次パターンを解読することが困難となり、一種の暗号化の効果をもち、情報の秘匿性を高めることができる。
【0040】
なお、図22の第1次パターン内で部分的(例えば7列目、14列目)に白枡目と黒枡目とが交互に並んでいる結果、図5の第2次パターン内で白枡目や黒枡目が少し長く連続する部分31,32が生ずる。しかしながら、図22の第1次パターンにおいて、1〜4列目、9〜12列目、17〜20列目に白枡目と黒枡目が縦に連続することは、ASCIIデータの数字のみをコード化する場合に必ず発生する本質的問題であるのに対し、そのような部分的な白黒の交互の並びは瑣末的な問題にすぎない。一般的に言って、ASCIIデータの数字をコード化するような場合には、この記録方法によって効果的に白黒分散を図ることができる。
【0041】
ただし、第1次パターンにおいて白枡目と黒枡目が交互に広範囲に並んでいる場合は、図3の変調用パターン24との排他的論理和をとると、第2次パターンにおいて白枡目や黒枡目が長く連続する部分が表れることが予想される。特に、図19に示すように、第1次パターン全部が市松模様となっているときは、第2次パターン全部が白または黒(この例では黒)となる。このようなことが予め分かっているならば、小ブロックTが取り得るパターン群の中から別の好適な変調用パターンを採用すべきである。変調用パターンとしては、小ブロックが取り得るパターン群のうち、少なくとも1つの行に関して行方向に白枡目と黒枡目とが並び、かつ少なくとも1つの列に関して列方向に白枡目と黒枡目とが並ぶパターンを複数種類容易し、好適なものを選択して用いることができる。また、変調を行うことによってかえって白枡目や黒枡目が長く連続してしまうような場合には、パターンに応じて変調を行わないことを選択することもできる。
【0042】
また、小ブロックの形状は、正方形や長方形に限られるものではなく、連結している3個以上の枡目からなり、隣接して複数並ぶことによって情報記録領域23を隙間なく埋めることができるものであれば良い。例えば、図6に示すように、1つの行に並ぶ2個の枡目と、隣の行に並ぶ3個の枡目とが、行方向にずれて枡目の1辺で接している形をもつ小ブロックUを設定することができる。この場合、図3に示すような変調用パターン25を採用することができる。なお、図6で、情報記録領域23の端で小ブロックUが不完全な形状となっているが、問題はない。第1次パターンと変調用パターンとを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出できれば良いからである。
【0043】
また、枡目の形状も正方形や長方形に限られるものではない。図7に示すように、枡目として三角形の網目(破線で示す)で情報記録領域63を構成しても良い。この場合、頂点を共有する6個の三角形の網目からなる小ブロックVを設定することができる。また、図8に示すように、隣接する三角形の網目に交互に白と黒を付してなる変調用パターン64を採用することができる。
【0044】
(第2実施例)
次に、デジタル情報記録方法の別の例について説明する。
【0045】
図1に示した横24個×縦16個の正方形の枡目からなる情報記録領域23に情報を記録するものとし、図22に示したパターンを第1次パターンとする。
【0046】
この例では、一行内で8個直線的に連結した枡目からなる小ブロック(図示せず)を設定する。また、上記小ブロックが取り得るパターン群のうち、「10100101」を表す「黒白黒白白黒白黒」のパターンを第1の変調用パターンとして採用する。これとともに、この第1の変調用パターンを反転した、「01011010」を表す「白黒白黒黒白黒白」のパターンを第2の変調用パターンとして採用する。なお、これら第1、第2の変調用パターンはそれぞれ8ビットの定数に相当する。
【0047】
そして、図22の第1次パターンを上記小ブロック単位で左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に取り出す。奇数行に関しては上記取り出したパターンと上記第1の変調用パターンとを1対1に対応させる一方、偶数行に関しては上記取り出したパターンと上記第2の変調用パターンとを1対1に対応させて、対応する枡目が表す表す値の排他的論理和をそれぞれ算出する。この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に並べて第2次パターンを作成する。この第2次パターンを上記情報記録領域23に表現する。
【0048】
この例では、第2次パターンとして、図9に示すように、行方向と列方向の両方に関して白又は黒が数多く連続することがないパターンを得ることができる。この理由は、図22の第1次パターンは白や黒が多く連続しているものであり、上記第1、第2の変調用パターンを並べたものが白と黒とが行方向および列方向に交互に繰り返すパターンであることから、全体として両者の枡目単位の排他的論理和をとったものに相当する第2次パターンについては、行方向と列方向の両方に関して白黒が分散されるからである。
【0049】
この結果、第1実施例と同様に、ノイズが誇張されることがなく、補正が容易になって、読み取りエラーが生じるのを防止することができる。また、簡便に、かつ情報量を減らすことなく情報を記録することができる。また、記録された情報を簡便に解読することができる。
【0050】
さらに、第1の変調用パターン、第2の変調用パターンを表す定数を、8ビットあるいは16ビットなどの計算機にとって処理しやすい単位に設定することにより、変調あるいは復調の計算を効率的に行うことができる。
【0051】
また、いずれの変調用パターンを用いて変調を行ったかを第三者に対して秘密にしておくことにより、第三者が第2次パターンを解読することが困難となり、一種の暗号化の効果をもち、情報の秘匿性を高めることができる。
【0052】
なお、小ブロックの設定にあたって、行と列とを入れ替えて、列方向に直線的に連結した小ブロックを設定しても良い。この場合、第1の変調用パターンは、列方向に並ぶ枡目が異なる値のマークを付与してなるパターンとする。第2の変調用パターンは、上記第1の変調用パターンのマークを反転してなるパターンとする。
【0053】
(第3実施例)
次に、第1次パターンのうち情報記録領域23の特定領域に相当する部分のパターンを、第2次パターンのうち上記特定領域に相当する部分のパターンとしてそのまま用いる例について説明する。
【0054】
図10は、第1次パターンのうち枡目の位置を示すための制御情報に相当する部分22を、第2次パターン内にそのまま残した例を示している。
【0055】
すなわち、記録面20内で、実際に情報が記録されている情報記録領域23内には、本来の記録情報を表す領域21の隙間に、特定の形状に連結した複数の枡目に特定のパターンで白黒を付してなる特定パターン22が複数配置されている。この例では、矩形の情報記録領域23内に、縦4×横3の合計12個の特定パターン22が縦横一定間隔(縦方向の間隔と横方向の間隔は同じであっても異なっていてもよい)で行列状に配置されている。図11によって良く分かるように、特定パターン22の配列で最上段、最下段、左列、右列に属する10個の特定パターン22は情報記録領域23の外周に沿って配置され、残りの2個の特定パターン22は情報記録領域23の外周から離間した内部(中央部近傍)に配置されている。
【0056】
このように、情報記録領域23の外周から離間した内部に特定パターン22が配置した場合、記録されているデジタル情報を読み取るとき、記録面20に多少歪みがあったとしても、後述するようにデジタル情報を正確に読み取ることができる。
【0057】
図12に示すように、この特定パターン22は、黒が付された1個の枡目からなる中心部41と、その周囲を環状に取り囲む白が付された8個の枡目からなる第1環状部42と、さらにその周囲を環状に取り囲む黒が付された16個の枡目からなる第2環状部43とで構成されている。全体として5行×5列の合計25個の枡目を含む正方形のブロックとなっている。
【0058】
この特定パターン22は、▲1▼情報記録領域23の内部に埋没する形で配置されていても比較的見つけやすい、▲2▼特定パターン22を構成する枡目の数が25枡目と比較的小さい、▲3▼特定パターン22の近傍に同じパターンが現れる場合であっても比較的遠い位置(縦または横に4枡目ずれた位置)にしか現れない(図13参照)、▲4▼白枡目と黒枡目がバランスよく配置されているため汚れやにじみなどの影響を受けにくい、▲5▼読み取りアルゴリズムとして、中心部(黒)41が第1環状部(白)に囲まれた閉領域を構成しており、かつ第1環状部(白)42もまた第2環状部(黒)43に囲まれた閉領域を構成しているという特徴を調べることによって簡単に見つけることができる、といった利点をもっている。
【0059】
特定パターン22を設けた情報記録領域23に記録情報をマッピングする仕方は図14に示すようなものである。図14は、図10に示した情報記録領域23の一部に相当する横35×縦20の枡目の部分23Aを示している。この情報記録領域23Aには、6個(横方向3個×縦方向2個)の特定パターン22が、横15枡目おき、かつ縦15枡目おきに配置されている。情報記録領域23Aの枡目700個のうち特定パターン22に用いられる枡目の数は150個であり、残り550個の枡目21が本来の記録情報を表すために用いられている。本来の記録情報を表す枡目21にはアドレス番地1,2,…,550(簡単のため一部の番地のみ示す)が付されている。アドレス番地は、左上隅の特定パターン22に接する第1行の左端の枡目から右へ向かって1番地から10番地、さらに最上段中央の特定パターン22を越えて11番地から20番地となっている。第2行〜第5行まで同様に番地付けがなされ、第5行の右端の特定パターンに接する枡目が100番地となっている。第6行〜第15行までは、各行左端の枡目から右へ向かって1ずつ番地が増加している。第16行から第20行までは、第1行〜第5行までと同様に、中央の特定パターン22を越えて番地付けがなされている。このようにして、行の中央に特定パターン22が配置されているときはその特定パターン22を越えて番地付けがなされている。アドレス番地1の枡目に記録情報の1番目のビット情報が対応し、ビット情報の値が“1”の場合は黒、“0”の場合には白がその枡目に付される。以下同様に記録情報が記録され、この結果、情報記録領域23Aの550個の枡目21に550ビットのデジタル情報がマッピングされ得る。
【0060】
さて、このように情報記録領域23内の特定領域に特定パターン22が配置されているような場合、第1次パターンの全部を変調して第2次パターンを作成すると、特定パターン22が変形する結果、その制御情報としての機能が失われることがある。例えば、図15は、第1次パターンとして、情報記録領域23に図10,図11と同様に特定パターン22が配置され、本来の記録情報が全て0(白)に相当するものを示している。ここで、特定パターン22の形と同じ縦5個×横5個の正方形の小ブロックを設定する。また、図4に示す変調用パターン26を採用する。そして、図15の第1次パターンの上記小ブロックに相当する部分を左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に取り出し、取り出したパターンと変調用パターン26とを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出する。この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べて第2次パターンを作成する。この第2次パターンを情報記録領域23に表現した場合、図16に示すように、特定パターン22が変形して、その制御情報としての機能を果たさなくなる。
【0061】
そこで、第1次パターンのうち特定パターン22の小ブロックを取りだしたとき、変調用パターン26との排他的論理和をとらず、特定パターン22の小ブロックをそのまま第2次パターンの一部として用いる。このようにすれば、図17に示すように、本来の記録情報に対して白黒を分散させるような変調をかけつつ、情報記録領域23内に制御情報としての特定パターン22を残すことができる。
【0062】
図10,図17のように情報記録領域23内に特定パターン22を配置した形式のデジタル記録情報は、以下のようにして読み取ることができる。
【0063】
まず、特定パターン22が格子状に配置されているという配置情報をもとに、特定パターン22の位置情報を得る。
【0064】
次に、図18に示す仕方で、本来の記録情報を表す枡目21の値を得る。
【0065】
図18は、情報記録領域23のうち隣り合う4個の特定パターン22を含む領域(M行N列の枡目を含む領域)を模式的に示している。記録面20全体に対して不均一な歪みが生じた場合であっても、このように隣接する4個の特定パターンに囲まれた小さな領域に対して生じる歪みはほぼ比例的な歪みに近似される。
【0066】
図18において、左上(0行0列目)の特定パターン22の位置をP00、右上(0行N列目)の特定パターン22の位置をP0N、左下(M行0列目)の特定パターン22の位置をPM0、右下(M行N列目)の特定パターン22の位置をPMNとし、これら4個の特定パターン22に囲まれた領域内のm行n列目(m,nは任意の整数)の枡目の位置をPmnとする。
【0067】
00とP0Nとをn:(N−n)に内分した点をP0n、PM0とPMNとをn:(N−n)に内分した点をPMn、P00とPM0とをm:(M−m)に内分した点をPm0、P0NとPMNとをm:(M−m)に内分した点をPmNとすると、求める枡目Pmnの位置は、P0nとPMnとを結ぶ直線L1と、Pm0とPmNとを結ぶ直線L2との交点として表される。直線L1と直線L2との交点Pmnは、直線L1をm:(M−m)に内部した点または直線L2をn:(N−n)に内分した点としても表される。上記4個の特定パターン22の位置P00,P0N,PM0,PMNを用いて、これら4個の特定パターン22に囲まれた領域内の枡目の位置Pmnを表すと、
【数1】
Figure 0003623003
となる。このようにして各枡目の位置Pmnを求め、この位置Pmnの値を調べることにより、各枡目の値を知ることができる。
【0068】
(第4実施例)
次に、記録段階で採用した変調用パターンが分かっている場合のデジタル情報解読方法の例について説明する。
【0069】
まず、図5の情報記録領域23に表現された第2次パターンを解読する。予め、この第2次パターンは、図22の第1次パターンを図2の変調用パターン24で変調して得られたことが分かっているものとする。
【0070】
図5の第2次パターンを解読する場合、図2の変調用パターン24と同一のパターンを復調用パターン(簡単のため同一数字24で表す)として採用する。そして、上記第2次パターンを図1に示した小ブロックT単位で左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に取り出す。取り出したパターンと上記復調用パターン24とを1対1に対応させて、対応する枡目が表す表す値の排他的論理和をそれぞれ算出する。この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に並べる。これにより、図22に示した第1次パターンを元のパターンとして得ることができる。
【0071】
同様に、図9に情報記録領域23に表現された第2次パターンを解読する。予め、この第2次パターンは、図22の第1次パターンを、「10100101」を表す「黒白黒白白黒白黒」の第1の変調用パターンと、「01011010」を表す「白黒白黒黒白黒白」の第2の変調用パターンとで変調して得られたことが分かっているものとする。
【0072】
図9の第2次パターンを解読する場合、上記第1、第2の変調用パターンと同一の第1、第2の復調用パターンを採用する。そして、上記第2次パターンを一行内で8個直線的に連結した枡目からなる小ブロック(図示せず)単位で左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に取り出す。奇数行に関しては上記取り出したパターンと上記第1の復調用パターンとを1対1に対応させる一方、偶数行に関しては上記取り出したパターンと上記第2の復調用パターンとを1対1に対応させて、対応する枡目が表す表す値の排他的論理和をそれぞれ算出する。この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に並べる。これにより、図22に示した第1次パターンを元のパターンとして得ることができる。
【0073】
(第5実施例)
次に、記録段階でいずれの変調用パターンを採用したが不明な場合のデジタル情報解読方法の例について説明する。
【0074】
このような場合には、記録段階で採用された可能性のある変調用パターンに対応する全ての種類の復調を行い、得られた情報のうち予め定められた形式に一致するものを採用するという方法が考えられる。
【0075】
ここで、予め定められた形式としては、いわゆるヘッダ情報と呼ばれるものが考えられる。簡単な例では、記録段階で「01011100」などの定数を本来の記録情報の先頭に付加し、情報記録領域全域に同一の変調用パターンを用いて情報を記録しておく。
【0076】
例えば、図21の情報記録領域23に表現された第2次パターン(左上隅部分のパターンのみ示す)を解読する。記録段階で採用した可能性のある全ての変調用パターンに対応する復調用パターンを用意する。
【0077】
図21の第2次パターンを、例えば図1の小ブロックT単位で取り出す。ここでは、左上隅の小ブロックのパターンとその右隣の小ブロックのパターンとを取り出す。上記取り出した小ブロック単位のパターンについて、上記各復調用パターンとの上記排他的論理和の値を算出する。この例では、復調用パターン24を用いて復調を行ったとき、図20に示すように情報記録領域23の左上隅に「01011100」を表す「白黒白黒黒黒白白」のパターンが現れる。これにより、記録段階で、図2の変調用パターン24が採用されたと判断することができる。この後、第2次パターンの残りの部分を、各小ブロックT単位で順に取り出し、取り出したパターンと上記復調用パターン24とを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロックT単位のパターンを順に並べる。これにより、元のパターン(第1次パターン)を得ることができる。
【0078】
なお、解読しようとする段階で、図20に示すように、当初から情報記録領域23の先頭に「01011100」を表すパターンが現れているときは、排他的論理和による復調を行わず、与えられた2次元パターンをそのまま第1次パターンとして出力する。
【0079】
また、情報記録領域23に複数種類の変調用パターンを用いて又は無変調で情報が記録されている場合は、解読段階で1つ又は幾つかの小ブロック単位で逐次変調用パターンについての判断を行う。そして、復調後の小ブロック単位のパターンを左上隅から右上隅、その次の段の左から右というように順に並べることによって、元のパターン(第1次パターン)を得るようにする。
【0080】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1のデジタル情報記録方法によれば、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、デジタル情報のビットに対応する行列状の枡目を仮想的に設定し、上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークをそれぞれ付与して、記録すべきデジタル情報を上記マークからなる2次元パターンとして記録する場合に、行方向と列方向の両方に関して同一の値を表すマークが連続しないように分散させることができる。この結果、読取装置(スキャナなど)での読み取り時に読み取りエラーが生じるのを防止することができる。
【0081】
また、第1次パターンと変調用パターンとの排他的論理和を算出する際、すなわち第1次パターンを変調して第2次パターンを得る際に、単純なビット計算(排他的論理和)を行えば足り、予め変換用テーブルなどを用意する必要がないので、簡便に情報を記録することができる。また、上記変調によって得られた第2次パターンは第1次パターンと同じ情報密度を持つから、上記情報記録領域に実際に記録される情報量が、本来記録されるべき第1次パターンの情報量よりも減ることはない。
【0082】
また、このようにして記録された情報を解読する場合においても、上記第2次パターンを復調して第1次パターンを得る際に、単純なビット計算(排他的論理和)を行えば足り、予め変換用テーブルなどを用意する必要がないので、記録された情報を簡便に解読することができる。
【0083】
また、いずれの変調用パターンを用いて変調を行ったかを第三者に対して秘密にしておくことにより、第三者が第2次パターンを解読することが困難となり、一種の暗号化の効果をもち、情報の秘匿性を高めることができる。
【0084】
また、請求項2のデジタル情報記録方法では、請求項1と同様に、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、デジタル情報のビットに対応する行列状の枡目を仮想的に設定し、上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークをそれぞれ付与して、記録すべきデジタル情報を上記マークからなる2次元パターンとして記録する場合に、行方向と列方向の両方に関して同一の値を表すマークが連続しないように分散させることができる。この結果、読取装置(スキャナなど)での読み取り時に読み取りエラーが生じるのを防止することができる。また、簡便に情報を記録することができる。また、上記情報記録領域に実際に記録される情報量が、本来記録されるべき情報量よりも減ることはない。さらに、記録された情報を簡便に解読することができる。
【0085】
さらに、第1の変調用パターン、第2の変調用パターンを表す定数を、8ビットあるいは16ビットなどの計算機にとって処理しやすい単位に設定することにより、変調あるいは復調の計算を効率的に行うことができる。
【0086】
また、いずれの変調用パターンを用いて変調を行ったかを第三者に対して秘密にしておくことにより、第三者が第2次パターンを解読することが困難となり、一種の暗号化の効果をもち、情報の秘匿性を高めることができる。
【0087】
また、請求項3のデジタル情報記録方法では、上記変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを複数種類採用し、上記複数種類の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを、上記第1次パターンのパターン構成に応じて用いるので、最適の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを選択して第2次パターンを作成することができる。また、第1次パターンの各部分のパターン構成に応じて、第2次パターンの特定の行あるいは列に、同一の値の枡目が数多く連続しないのはいずれの変調用パターンであるかを判断し、第1次パターンの各部分毎に最適の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを用いることもできる。
【0088】
また、請求項4のデジタル情報記録方法では、上記第1次パターンのうち上記情報記録領域の特定領域に相当する部分のパターンを、上記第2次パターンのうち上記特定領域に相当する部分のパターンとしてそのまま、すなわち無変調で用いるので、第1次パターンのうち上記特定領域に相当する部分の光学的特徴をそのまま保存することができる。例えば、第1次パターン内にクロック等の制御情報が配置されているような場合に、この制御情報の光学的特徴をそのまま保存することができ、したがって、第2次パターンにおいても、上記制御情報によって各枡目の境界や位置を示すことができる。
【0089】
また、請求項5のデジタル情報解読方法では、上記情報記録領域に上記第2次パターンを記録する方法と同一のアルゴリズムで元の第1次パターンを得ることができ、記録情報が簡単に解読することができる。
【0090】
また、請求項6のデジタル情報解読方法では、上記情報記録領域に上記第2次パターンを記録する段階で採用した可能性のある全ての種類の変調用パターンに対応する復調用パターンを用意し、上記小ブロック単位で取り出したパターンについて、上記各復調用パターンを用いて上記排他的論理和を算出して、この排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるか否かを判断し、上記排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるとき、その情報を上記情報記録領域の上記小ブロックに対応する情報として採用するので、変調の種類を区別しながら、上記情報記録領域に記録された情報を解読することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録面内に設けられた情報記録領域に、横4個×縦4個の正方形に連結している小ブロックを設定した例を示す図である。
【図2】単位パターンの一例を示す図である。
【図3】単位パターンの別の例を示す図である。
【図4】単位パターンの別の例を示す図である。
【図5】一実施例のデジタル情報記録方法によって情報を記録した例を示す図である。
【図6】記録面内に設けられた情報記録領域に、別の小ブロックを設定した例を示す図である。の1つに対して、単位パターンを設定した例を表す概念図である。
【図7】記録面内に設けられた三角形の網目からなる情報記録領域に、網目6個単位で連結している小ブロックを設定した例を示す図である。
【図8】図7の小ブロックに適合する単位パターンの例を示す図である。
【図9】一実施例のデジタル情報記録方法によって情報を記録した例を示す図である。
【図10】一実施例のデジタル情報記録方法を適用すべき第1次パターンの例を示す図である。
【図11】図10の情報記録領域における特定パターンの配置を示す図である。
【図12】上記特定パターンを詳細に示す図である。
【図13】情報記録領域内で上記特定パターンの近傍に同じパターンが出現した例を示す図である。
【図14】図10の情報記録領域に本来の記録情報をマッピングする仕方を説明する図である。
【図15】図10の情報記録領域に上記特定パターンが配置され、かつ本来の記録情報が全て0に相当するような第1次パターンを示す図である。
【図16】図15の第1次パターン全部を図4の変調用パターンで変調して得られた第2次パターンを示す図である。
【図17】図15の第1次パターンのうち特定パターン以外の部分を図4の変調用パターンで変調して得られた第2次パターンを示す図である。
【図18】図10の情報記録領域において、4つの特定パターンに囲まれた領域の枡目の値を読み取る方法を説明する図である。
【図19】情報記録領域内の全域が市松模様となっているような第1次パターンを示す図である。
【図20】情報記録領域内の先頭の8枡目の値がヘッダ情報と一致しているパターンを示す図である。
【図21】一実施例のデジタル情報解読方法を適用すべき第2次パターンの例を示す図である。
【図22】記録面内に設けられた情報記録領域に、従来の記録方法によりASCIIの数字データを記録した例を示す図である。
【符号の説明】
20 記録面
22 特定パターン
23 情報記録領域
24,25,26 変調用パターン
T,U,V 小ブロック

Claims (6)

  1. 平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、ビットに対応する行列状の枡目を仮想的に設定し、上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークをそれぞれ付与して、記録すべきデジタル情報を上記マークからなる2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、
    連結している3個以上の枡目からなり、隣接して複数並ぶことによって上記情報記録領域を隙間なく埋めることができる特定の形をもつ小ブロックを設定し、上記各枡目に上記マークを付与することにより上記小ブロックが取り得るパターン群のうち、少なくとも1つの行に関して行方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与するとともに、少なくとも1つの列に関して列方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与してなるパターンを変調用パターンとして採用し、
    記録すべきデジタル情報に対応して上記情報記録領域の各枡目にマークを付与してなる第1次パターンを上記小ブロック単位で取り出し、この取り出したパターンと上記変調用パターンとを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べてなる第2次パターンを上記情報記録領域に表現することを特徴とするデジタル情報記録方法。
  2. 平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、ビットに対応する行列状の枡目を仮想的に設定し、上記各枡目に0又は1の値に対応する光学的に認識可能なマークをそれぞれ付与して、記録すべきデジタル情報を上記マークからなる2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、
    一行または一列内で2個以上直線的に連結した枡目からなる小ブロックを設定し、
    上記小ブロックが取り得るパターン群のうち、長手方向に並ぶ枡目に異なる値のマークを付与してなるパターンを第1の変調用パターンとして採用するとともに、上記第1の変調用パターンのマークを反転してなる第2の変調用パターンを採用し、
    記録すべきデジタル情報に対応して上記情報記録領域の各枡目にマークを付与してなる第1次パターンを上記小ブロック単位で取り出し、
    奇数行又は列に関しては上記取り出したパターンと上記第1の変調用パターンとを1対1に対応させる一方、偶数行又は列に関しては上記取り出したパターンと上記第2の変調用パターンとを1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べてなる第2次パターンを上記情報記録領域に表現することを特徴とするデジタル情報記録方法。
  3. 請求項1または2に記載のデジタル情報記録方法において、
    上記変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを複数種類採用し、
    上記複数種類の変調用パターンまたは第1、第2の変調用パターンを、上記第1次パターンのパターン構成に応じて用いることを特徴とするデジタル情報記録方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の情報記録方法において、
    上記第1次パターンのうち上記情報記録領域の特定領域に相当する部分のパターンを、上記第2次パターンのうち上記特定領域に相当する部分のパターンとしてそのまま用いることを特徴とするデジタル情報記録方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載のデジタル情報記録方法によって記録された記録情報を解読するためのデジタル情報解読方法であって、
    上記変調用パターンと同一のパターンを復調用パターンとして採用し、
    上記情報記録領域に表現された第2次パターンを上記小ブロック単位で取り出し、この取り出したパターンと上記復調用パターンとを枡目毎に1対1に対応させて、対応する枡目が表す値の排他的論理和をそれぞれ算出し、この排他的論理和の値を表すマークからなる小ブロック単位のパターンを順に並べて元の第1次パターンを得ることを特徴とするデジタル情報解読方法。
  6. 請求項5に記載のデジタル情報解読方法において、
    上記情報記録領域に上記第2次パターンを記録する段階で採用した可能性のある全ての種類の変調用パターンに対応する復調用パターンを用意し、
    上記小ブロック単位で取り出したパターンについて、上記各復調用パターンを用いて上記排他的論理和を算出して、この排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるか否かを判断し、上記排他的論理和の値が所定の形式を持つ情報であるとき、その情報を上記情報記録領域の上記小ブロックに対応する情報として採用することを特徴とするデジタル情報解読方法。
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