JP3622861B2 - 車両用座席と製法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れたクッション性と耐熱耐久性及び振動吸収性とを有し、リサイクルが可能な車両用座席とクッション体成形が容易で、深絞り成形も省略できる車両用座席の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、車両用座席は、発泡ウレタンや捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などをクッション層に使用されている。
【0003】
しかしながら、発泡ウレタンをクッション層とした車両用座席は、耐久性は極めて良好だが、透湿透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、熱可塑性では無いためリサイクルが困難となり焼却される場合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費が掛かる。このため埋め立てされることが多くなったが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され経費も高くなっていく問題がある。また、成形加工性は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題などもある。蒸れの改良法として特開昭63−77482号公報等が提案されているが不充分なものである。
【0004】
蒸れを改良した座席として、クッション層にポリエステル繊維をゴム系又はウレタン系接着剤で接着した樹脂綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭60−11352号公報、特開昭61−141388号公報、特開昭61−141391号公報等がある。又、架橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61−137732号公報等がある。これらのクッション層を用いた座席は耐久性に劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリサイクルも出来ない等の問題、及び加工時の煩雑さ、特に深絞り成形が難しく仕上がりが悪くなる問題がある。また、製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
【0005】
リサイクルが可能で、火災時、有毒な燃焼ガス発生が少ない座席になる熱接着繊維を接着剤にしたポリエステル硬綿を用いたものが、例えば特開平5−208470号公報、特開平5−220278号公報、特開平5−247815号公報、特開平5−269264号公報、特開平5−329937号公報等が提案されているが、用いている熱接着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため接着部分が脆く、使用中に接着部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する方法が特開平4−245965号公報等で提案されているが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大きい問題がある。また、接着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しにくい問題もある。なお、これらの方法では深絞り成形が困難である。耐久性を改良する方法として、接着部分を柔らかい、且つある程度変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用い、芯成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着繊維を用いたポリエステル硬綿で成形したクッション材がWO−91/19032号公報、特開平5−163654号公報、特開平5−337258号公報等で提案されている。WO−91/19032号公報のポリエステル硬綿はエラストマ−に非晶性成分を含有しており、熱接着部分の形成を良くしてアメーバー状の接着部を形成しているが塑性変形しやいため、及び芯成分が非弾性ポリエステルのため、特に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低下する問題点がある。これらの改良法として、特開平5−163654号公報にシ−ス成分にイソフタル酸を含有するポリエステルエラストマ−、コア成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着複合繊維のみからなる構造体が提案されているが上述の理由で加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低下するので車両用座席のクッション材に使用するには問題がある。他方、特開平5−337258号公報では、エラストマ−に非晶性成分を含有しないため、耐熱耐久性は改善され、アニ−リングで更に耐熱耐久性を向上させているが、非エラストマ−成分を含有するので、発泡ポリウレタンに比較して未だ耐久性は不充分である。また、発泡ウレタンでは、内部からの圧力で複雑な形状も容易に成形できるが、繊維を外側から圧縮力を加え熱成形する場合は、特に深絞り成形が困難である。また、側地の引込み部を成形する場合も繊維を用いると成形時の煩雑さが解決されていない問題がある。
【0006】
土木工事用に使用する熱可塑性のオレフィン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されている。が、素材がオレフィンのため耐熱耐久性が著しく劣り車両用座席のクッション材には使用ができないものである。また、特開平1−207462号公報では、塩化ビニ−ル製のフロアマットの開示があるが、室温での圧縮回復性が悪く、耐熱性は著しく悪いので、車両用座席のクッション材としては好ましくないものである。なお、網状構造体は難燃性や振動減衰、及び、成形加工に関する配慮が全くなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決し、振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性の優れた蒸れ難い、燃焼ガスの毒性指数が低く安全性の高い熱可塑性弾性樹脂網状体をクッション材に用いた車両用座席と深絞り成形を簡略化した製法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段、即ち、本発明は、座部及び背部の主着座部とサイド部が分割形成され、座席フレ−ムに接合装着された座席であり座席部分の裏面が開孔率10%以上の射出成形された樹脂成形体からなり、クッション層が繊度が100000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元立体構造体を形成したソフトセグメント含有量が15重量%以上80重量%以下である熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け密度が0.01〜0.2g/cm3 の網状体で構成され、前記樹脂成形体と網状体が接着剤または自己接着により一体接合され、表層に側地を配したことを特徴とする車両用座席、及び、座部及び背部の主着座部とサイド部が分割された形状で、個々の部分が雌型に所定形状に切断されたクッション層となる網状体を配し、その上に裏面又は背面となる芯材と補強材の機能を有する形状に成形された樹脂成形体を配し、又は網状体と樹脂成形体間に網状体の融点より少なくとも10℃以上低い融点を持つ接着層を配して、雄型で上からクッション層を圧縮すると共に樹脂成形体を介して凹部内側からも凸部を圧縮し、網状体の融点より5℃高い温度〜融点より50℃低い温度の加熱媒体で加熱して熱成形により一体化した後、一旦冷却するか、又は連続して、網状体のガラス転移温度より10℃高い温度以上、融点より20℃以上低い温度でアニ−リングして得たクッション成形体に側地を取付けた各部分を座席フレ−ムに接合して固定することを特徴とする車両用座席の製法である。
【0009】
本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソフトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリカ−ボネ−ト系グリコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端をカルボン酸または水酸基にしたオレフィン系化合物等をブロック共重合したポリエステル系エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−、ポリオレフィン系エラストマ−などが挙げられる。熱可塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能となるため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエステル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体が例示できる。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具体的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ−ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエステルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜5000のポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくとも各1種から構成される三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及びナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも使うこたができる。また、上記エラストマ−に非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの、ポリオレフィン系成分をソフトセグメントにしたもの等も本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含される。ポリアミド系エラストマ−としては、ハ−ドセグメントにナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等及びそれらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフトセグメントには、平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成されるブロック共重合体を単独または2種類以上混合して用いてもよい。更には、非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの等も本発明に使用できる。ポリウレタン系エラストマ−としては、通常の溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)の存在または不存在下に、(A)数平均分子量1000〜6000の末端に水酸基を有するポリエ−テル及び又はポリエステルと(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とするポリイソシアネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−ト基であるプレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分とするポリアミンにより鎖延長したポリウレタンエラストマ−を代表例として例示できる。(A)のポリエステル、ポリエ−テル類としては、平均分子量が約1000〜6000、好ましくは1300〜5000のポリブチレンアジペ−ト共重合ポリエステルやポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルが好ましく、(B)のポリイソシアネ−トとしては、従来公知のポリイソシアネ−トを用いることができるが、ジフェニルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体としたイソシアネ−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネ−ト等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミンとしては、エチレンジアミン、1・2プロピレンジアミン等公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のトリアミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポリウレタン系エラストマ−は単独又は2種類以上混合して用いてもよい。なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融点は耐熱耐久性が保持できる140℃以上が好ましく、160℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するのでより好ましい。なお、本発明の網状体は難燃性を付与するため燐系化合物を含有させるため、熱安定性が難燃剤を含有しないものよりやや劣るので必要に応じ、抗酸化剤等を添加して耐熱性や耐久性を向上させるのが特に好ましい。抗酸化剤は、好ましくはヒンダ−ド系抗酸化剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル系とヒンダ−ドアミン系があり、窒素を含有しないヒンダ−ドフェノ−ル系抗酸化剤を1%〜5%添加して熱分解を抑制すると燃焼時の致死量が少ない有毒ガスの発生を抑えられるので特に好ましい。本発明の目的である振動や応力の吸収機能をもたせる成分を構成する熱可塑性弾性樹脂のソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、耐熱耐へたり性からは80重量%以下が好ましく、より好ましくは70重量%以下である。即ち、本発明の弾性網状体の振動や応力の吸収機能をもたせる成分のソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%以上80重量%以下であり、より好ましくは30重量%以上70重量%以下である。
【0010】
本発明の座席に用いる網状体及び他の部位に用いる熱可塑性弾性樹脂は難燃性を有するのが好ましく、特に燐含有組成物がハロゲン系組成物よりより好ましい。難燃性を有する網状体は熱可塑性弾性樹脂中に燐含有量(Bppm)がソフトセグメント含有量(A重量%)に対し、60A+200以上を満足しない場合は難燃性が劣り、100000ppmを越えると可塑化効果による塑性変形が大きくなり熱可塑性弾性樹脂の耐熱性が劣るので、60A+200≦B≦100000の関係を満足するのが好ましい。より好ましい燐含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量(A重量%)に対し、30A+1800≦B≦100000であり、更に好ましい燐含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量(A重量%)に対し、16A+2600≦B≦50000である。難燃性は多量のハロゲン化物と無機物を添加して高度の難燃性を付与する方法があるが、燃焼時に致死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発生し、火災時の中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉の損傷が大きくなる問題がある。本発明では、ハロゲン化物の含有量は少なくとも1重量%以下が好ましく、より好ましくは、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%以下、最も好ましくはハロゲン化物を含有しないものである。本発明の好ましい燐系難燃剤としては、例えば、ポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、ハ−ドセグメント部分に難燃剤として、例えば特開昭51−82392号公報等に記載された10〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレンス・10オキシロ等のカルボン酸をハ−ドセグメントの酸成分の一部として共重合したポリエステル系熱可塑性弾性樹脂とする方法や、熱可塑性弾性樹脂に後工程で、例えば、トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェニル)フスファイト等の燐系化合物を添加して難燃性を付与することができる。その他、難燃性を付与できる難燃剤としては、各種燐酸エステル、亜燐酸エステル、ホスホン酸エステル(必要に応じハロゲン元素を含有する上記燐酸エステル類)、もしくはこれら燐化合物から誘導される重合物が例示できる。本発明は、熱可塑性弾性樹脂中に各種改質剤、添加剤、着色剤等を必要に応じて添加できる。本発明の網状体は、好ましくは難燃性を付与するために燐を含有させており、この理由は、上記している如く、安全性の観点から、火災時に発生するシアンガス、ハロゲンガス等の致死量の少ない有毒ガスをできるだけ少なくすることにある。このため、本発明での好ましい難燃性網状体の燃焼ガスの毒性指数は好ましくは6以下、より好ましくは5.5以下である。また、側地やワディング層にポリエステル繊維を使用される場合、好ましくはポリエステル系熱可塑性弾性樹脂とすることで分別せずに再生リサイクルができる。
【0011】
本発明での網状体を構成する熱可塑性弾性樹脂からなる線条は、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有するのが好ましい。融点以下に吸熱ピ−クを有するものは、耐熱耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく向上する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱可塑性樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸などを90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−ル成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次いで、ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均分子量が500以上5000以下、特に好ましくは1000以上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ルを15重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重量%以上60重量%以下共重合量させた場合、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱抗へたり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理するとより耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してからアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上する。このような処理をした網状構造体の線条を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ−リングしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−クを発現しない。このことから類推するに、アニ−リングにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているのではないかとも考えられる。(この処理を疑似結晶化処理と定義する)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミド系弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効である。
【0012】
本発明座席に使用する側地や樹脂成形体を構成する熱可塑性非弾性樹脂とは、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等が例示できる。なお、本発明ではガラス転移点温度が少なくとも40℃以上のものを使用するのが好ましい。例えば、ポリエステルでは、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレ−ト(PCHDT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンナフタレ−ト(PCHDN)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリブチレンナフタレ−ト(PBN)、ポリアリレ−ト等、及びそれらの共重合ポリエステル等が例示できる。ポリアミドでは、ポリカプロラクタム(NY6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(NY66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(NY6−10)等が例示できる。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン・1(PB・1)等が例示できる。本発明に用いる熱可塑性非弾性樹脂としては、クッション材の側地にポリエステルを用いる場合が多いので、廃棄する場合に分離せずにリサイクルが可能なクッション素材として、耐熱性も良好なPET、PEN、PBN、PCHDT等のポリエステルが特に好ましい。なお、樹脂成形体に用いる場合は、必要強度を保持した範囲で耐衝撃性を向上させる成分、例えば熱可塑性弾性樹脂やガラス転移点温度の低いPBT,ポリプロピレンテレフタレ−ト(PPT)、ポリヘキシレンテレフタレ−ト等を5%未満添加するのが好ましい。本発明の好ましい実施形態である難燃性を有する網状体は熱可塑性非弾性樹脂中に燐含有量は、1000ppm未満では、難燃性が不充分であり、200000ppmを越えると可塑化効果による塑性変形が大きくなり熱可塑性非弾性樹脂の耐熱性が劣るので、1000ppm以上20000ppm以下含有するのが良い。より好ましい燐含有量は2000ppm以上10000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以上8000ppmである。難燃性は多量のハロゲン化物と無機物を添加して高度の難燃性を付与する方法があるが、燃焼時に致死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発生し、火災時の中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉の損傷が大きくなるので好ましくは含有しないものが良い。特に塩化ビニ−ルは自己消火性を有するが燃焼すると有毒ガスを多く発生するので本発明に用いるのは好ましくない。本発明では、ハロゲン化物の含有量は少なくとも1重量%以下、好ましくは、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%以下、より好ましくはハロゲン化物を含有しないものである。本発明の燐系難燃剤としては、例えば、ポリエステル系熱可塑性非弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、難燃剤として、例えば特開昭51−82392号公報等に記載された10〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレンス・10オキシロ等のカルボン酸を酸成分の一部として共重合したポリエステル系熱可塑性非弾性樹脂とする方法や、熱可塑性非弾性樹脂を射出成形時の後工程で、例えば、トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェニル)フスファイト等の燐系化合物を添加して難燃性を付与することができる。その他、難燃性を付与できる難燃剤としては、各種燐酸エステル、亜燐酸エステル、ホスホン酸エステル(必要に応じハロゲン元素を含有する上記燐酸エステル類)、もしくはこれら燐化合物から誘導される重合物が例示できる。本発明は、熱可塑性非弾性樹脂中に各種改質剤、添加剤、着色剤等を必要に応じて添加できる。本発明の座席を構成するクッション体は、難燃性を付与するために燐を含有させており、この理由は、上記している如く、安全性の観点から、火災時に発生するシアンガス、ハロゲンガス等の致死量の少ない有毒ガスをできるだけ少なくすることにある。このため、本発明の座席を構成するクッション体の燃焼ガスの毒性指数は好ましくは6以下、より好ましくは5.5以下である。また、側地やワディング層に好ましくはポリエステル系熱可塑性非弾性樹脂とすることで分別せずに再生リサイクルができる。
【0013】
本発明は、座部及び背部の主着座部とサイド部が分割形成され(第1図に分割した部分と組立られた座席の位置関係を示す。)、座席フレ−ムに接合装着された座席(第2図に組立られた座部座席の断面概念図を示す。)において、各分割された座席部分の裏面が開孔率10%以上の射出成形された樹脂成形体(第3図に座部用の主着座部用樹脂成形体7及びサイドの樹脂成形体8を示す。)からなり、クッション層11が繊度が100000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元立体構造体を形成した熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け密度が0.01g/cm3 から0.2g/cm3 の網状体で構成され、該樹脂成形体と該網状体が接着剤または自己接着により一体接合され、表層に側地14を配した車両用座席である。分割することで、座席パ−ツを組み立てる際に接続部16で接続されたクッション体に側地を被せて側地に皺が発生しないように側地の引込み孔17を介して側地をきれいに張りこむ事が容易となる。また、パ−ツが小さく単純な形態となるので、クッションパ−ツを輸送時の積載量が多くなり輸送コストの削減ができる。また、部分的にクッションのへたりが生じた場合は、へたった部分のみ交換することで、ユ−ザ−の交換経費が節約できる。本発明の座席は、各分割された座席部の裏面が開孔率が10%以上の樹脂成形体(第3図に座部用の主着部とサイドの樹脂成形体を発明の一例として示す。)とする事で、熱可塑性弾性樹脂からなる弾力性と回復性の優れた網状体からなるクッション層から受ける局部的な応力を接合一体化した樹脂成形体が面全体で受ける補強機能を有すると共に、主着部の膨らみ部やサイド部などの芯材の働きも兼ね備えるために必要である。網状体と樹脂成形体が接合一体化していない場合は局部的に大きい変形を受けると網状体構造が破壊される場合があるので好ましくない。樹脂成形体の形状は、耐圧構造化、例えば補強梁構造を有するものや、中空構造化したものが好ましい。このことで金属からなるフレ−ム部材を少なく出来、軽量化ができる。座席裏面又は背面の深絞り形状部もクッション層としたものは不織布の補強層および、金属製補強フレ−ムが必要なため座席重量が重くなるので好ましくない。しかして、樹脂成形体には、後述する成形加工時に加熱流体を貫通させる必要と、座席使用時の通気性保持のため開孔率が10%以上必要である。10%未満では、成形時の昇温速度が遅くなり、局部的に熱劣化したり、形状形成が不良になったりして好ましくない。また、網状体の通気性が良好でも背面の通気が不充分になると蒸れやすくなるので好ましくない。蒸れ防止の目的からはサイド部は開孔部が無くてもよいが、成形時に加熱媒体を貫通させて加熱成形するためには必要である。本発明の樹脂成形体の開孔率は、好ましくは20%から70%、より好ましくは30%から50%である。本発明のクッション層は繊度が100000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元立体構造体を形成した熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け密度が0.01g/cm3 から0.2g/cm3 の網状体で構成されているので、外部から与えられた振動を熱可塑性弾性樹脂の振動吸収機能で大部分の振動を吸収減衰し、局部的に大きい変形応力を与えられた場合でも網状体の表面が熱成形により実質的にフラット化され接触部の大部分が融着しており、クッション層の面で変形応力を受け止め変形応力を分散させ、熱可塑性弾性樹脂からなる線条が3次元立体構造体を形成し融着一体化されて補強機能を持つ樹脂成形体と一体化しているので、座席構造を保持して、網状体は容易に構造体全体が変形してエネルギ−変換により変形応力を吸収し、変形応力が解除されると熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性で容易に元の形態に回復する機能があるので耐へたり性が良好である。公知の非弾性樹脂のみからなる線条で構成した網状体では、ゴム弾性を持たないので圧縮変形により塑性変形を生じて回復しなくなり耐久性が劣る。なお、網状体の線条が連続していない場合は、接着点が応力の伝達点となるため接着点に著しい応力集中が起こり構造破壊を生じ前記従来技術にも例示した特開昭60−11352号公報、特開昭61−137732号公報、WO91−19032号公報等に開示された構造体の如く耐熱耐久性が劣り好ましくない。また、非弾性樹脂よりなる繊維をマトリックスとした硬綿では、塑性変形を生じて耐へたり性が劣るのでクッション層に用いるには好ましくない。融着していない場合は、形態保持が出来ず、構造体が一体で変形しないため、応力集中による疲労現象が起こり耐久性が劣ると同時に、形態が変形して体型保持ができなくなるので好ましくない。本発明のより好ましい融着の程度は、線条が接触している部分の大半が融着した状態であり、もっとも好ましくは接触部分が全て融着した状態である。なお、クッション材の機能は、基本のクッション層は繊度を少し太くして少し硬くして体型保持を受け持つ層と振動減衰性の良い成分で密度を少し高くした振動吸収して振動を遮断する層で構成し、表面層はやや繊度を細くし構成線条本数を多くした少し柔らかな層として適度の沈み込みにより快適な臀部のタッチを与えて臀部の圧力分布を均一分散化させると共にクッション層で吸収できなかった振動を吸収して人体の共振部分の振動を遮断する層が一体化されることで、応力や振動を一体で変形し吸収させ座り心地を向上させることができる。かくして、振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からなる連続した線条が接触部の大部分が融着した3次元立体構造体を形成し融着一体化され表面が実質的にフラット化されたクッション層とクッション層の裏面に補強機能を持つ樹脂成形体が接着剤または自己接着により一体接合したクッション体は、表面層は面で変形応力を受け止め応力の分散を良くし、個々の線状に掛かる応力を少なくして樹脂成形体で支えられ、網状構造全体が形態保持しつつ変形して変形応力を吸収し、且つ臀部を支えるクッション性も向上させ、応力が解除されると回復し、フレ−ムから伝わる振動も振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からなるクッション層が吸収して人体の共振部分の振動を遮断して座り心地と耐久性を向上させることができる。本発明の網状体を形成する振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からなる線条の繊度は100000デニ−ル以下である。座席のクッション層の見掛け密度を0.2g/cm3 以下にした場合、100000デニ−ルを越えると構成本数が少なくなり、密度斑を生じて部分的に耐久性の悪い構造ができ、応力集中による疲労が大きくなり耐久性が低下するので好ましくない。本発明の熱可塑性弾性樹脂からなる線条の繊度は、繊度が細すぎると抗圧縮性が低くなり過ぎて変形による応力吸収性が低下するので100デニ−ル以上であり、構成本数の低下による構造面の緻密性を損なわない50000デニ−ル以下である。より好ましくは500デニ−ル以上、10000デニ−ル以下である。本発明のクッション層を形成する網状体の平均の見掛け密度は、0.005g/cm3 では反発力が失われ、振動吸収能力や変形応力吸収能力が不充分となりクッション機能を発現させにくくなる場合があり、0.25g/cm3 以上では反発力が高すぎて座り心地が悪くなる場合があるので、振動吸収能力や変形応力吸収機能が生かせてクッション体としての機能が発現されやすい0.01g/cm3 以上0.20g/cm3 以下であり、好ましくは0.03g/cm3 以上0.08g/cm3 以下である。本発明においては繊度の異なる線状を見掛け密度との組合せで最適な構成とする異繊度積層構造とする方法も好ましい実施形態として選択できる。本発明の網状体の厚みは特に限定されないが、厚みが5mm未満では応力吸収機能と応力分散機能が低下するので、好ましい厚みは力の分散をする面機能と振動や変形応力吸収機能が発現できる厚みとして20mm以上であり、より好ましくは30mm以上である。なお、本発明座席の樹脂成形体と網状体を接合一体化する方法に、接着剤を用いる場合は、接着剤としては、網状体と樹脂成形体の両方に良好な接着性を有する樹脂が好ましく、特には熱接着性を有するものが良い。特に好ましい実施形態としては、例えば、網状体がポリエステル系熱可塑性弾性樹脂で、樹脂成形体がポリエステル系熱可塑性弾性樹脂又は、ポリエステル系熱可塑性非弾性樹脂の場合、少なくとも網状体の熱可塑性弾性樹脂の融点より10℃以上低い融点のポリエステル系樹脂が良い。好ましくは、網状体の融点より20℃から50℃低い融点のものが良い。クッション層の変形に耐えるためには、熱可塑性弾性樹脂が特に好ましい。接着剤の形態は特には限定されないが、フィルム、不織布、粉末又は溶液状のものを塗布する等の方法があるが、取り扱い上からと熱風を貫通させて熱接着させるので不織布が特に好ましい。不織布としては、熱可塑性弾性樹脂からなるスパンボンド不織布、メルトブロ−不織布、又は、短繊維不織布などが使える。自己接着の場合は、網状体の線条に熱接着機能を付与するため、高融点成分と低融点成分のシ−ス・コア構造又はサイドバイサイド構造とした線条で網状体を形成する。網状体の線条を複合構造とした場合、好ましい熱接着機能も付与できる。例えば、シ−スコア構造ではシ−ス成分の振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分とし、コア成分の抗圧縮性を示すソフトセグメント含有量が少ない熱可塑性弾性樹脂を網状形態の保持機能をもたせるための高融点成分とする構成で、熱接着成分の融点を高融点樹脂の融点より10℃以上低くしたものを用いることにより熱接着機能も付与できる。また、本発明の難燃性補強網状体の表面層を振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い低融点の熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分とし積層することでも好ましい熱接着機能を付与できる。熱接着機能を発現させるに好ましい網状体中の線条を形成する熱接着成分の融点は高融点成分の融点より15℃から50℃低い融点であり、より好ましくは20℃から40℃低い融点である。かかるクッション機能を持つクッション体に側地を被せてフレ−ムに固定された、例えば第2図の断面を有する本発明の座席は振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性の優れた蒸れにくい車両用座席である。なお、本発明座席の側地は安全性の観点からは難燃性のものを用いるのが特に好ましい。
【0014】
本発明座席の網状体と側地の間にファイバ−フィルからなるワディング層13を配することで、座席のタッチを柔らかくする効果があるので好ましい。ワディング層は、熱接着繊維が熱可塑性弾性樹脂からなる繊維を用いた場合、耐熱耐久性とクッション性が良好となるので特に好ましい。熱接着繊維に熱可塑性非弾性樹脂からなる繊維を用いた場合、耐熱耐久性が劣るので好ましくない。ワディング層を側地とクッション層との熱接着成分として使用する場合は網状体の熱可塑性弾性樹脂の融点より少なくとも10℃以上低い融点の熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分とした繊維を用いることで網状構造を保持して網状体および側地との熱接着が可能となるので好ましい実施形態である。
【0015】
本発明では網状体の線条の断面形状は特には限定されないが、中空断面や異形断面にすることで好ましい抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することができるので特に好ましい。抗圧縮性は繊度や用いる素材のモジュラスにより調整して、繊度を細くしたり、柔らかい素材では中空率や異形度を高くし初期圧縮応力の勾配を調整できるし、繊度をやや太くしたり、ややモジュラスの高い素材では中空率や異形度を低くして座り心地が良好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面の他の効果として中空率や異形度を高くすることで、同一の抗圧縮性を付与した場合、より軽量化が可能となり、自動車等の座席に用いると省エネルギ−化ができる。好ましい抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することができる他の好ましい方法として、本発明の網状体の線条を複合構造とする方法がある。複合構造としては、シ−スコア構造またはサイドバイサイド構造及びそれらの組合せ構造などが挙げられる。が、特にはクッション層が大変形してもエネルギ−変換できない振動や変形応力をエネルギ−変換して回復できる立体3次元構造とするために線状の表面の50%以上を柔らかい熱可塑性弾性樹脂が占めるシ−スコア構造またはサイドバイサイド構造及びそれらの組合せ構造などが挙げられる。すなわち、シ−スコア構造ではシ−ス成分は振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂とし、コア成分は抗圧縮性を示すソフトセグメント含有量が少ない熱可塑性弾性樹脂で構成し適度の沈み込みによる臀部への快適なタッチを与えることができる。サイドバイサイド構造では振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度をソフトセグメント含有量が少ない抗圧縮性を示す熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度より低くして線状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を多くした構造(比喩的には偏芯シ−ス・コア構造のシ−スに熱可塑性弾性樹脂を配した様な構造)として線状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を80%以上としたものが特に好ましく、最も好ましくは線状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を100%としたシ−スコアである。ソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の線状の表面を占める割合が多くなると、溶融して融着するときの流動性が高いので接着が強固になる効果があり、構造が一体で変形する場合、接着点の応力集中に対する耐疲労性が向上し、耐熱性や耐久性がより向上する。
【0016】
次に本発明の製法を述べる。本発明での網状体は、本発明がなされた時点では公知ではないので特に詳細にその製法を述べる。複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性弾性樹脂を各ノズルオリフィスに分配し、該熱可塑性樹脂の融点より20℃以上、80℃未満高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめて連続した網状体を得る。本発明では、前記の如く、難燃性を必要条件とはしないが必要に応じ難燃性を付与するために、燐化合物を重合時に添加して共重合する方法と重合後に添加して混合練り込みする方法ができる。混合練り込みは二軸混練押出機又はダルメ−ジ、ピン等の混練機能をもつ単軸押出機を用い、溶融押し出し前に行う場合と、溶融押し出し時に定量供給等の方法で行う場合を選択できる。難燃剤の定量供給が出来れば溶融押し出し時に混練するのが最も安価な方法となる。このような方法で好ましくはソフトセグメント量(A重量%)と燐含有量(Bppm)が60A+200≦B≦100000の関係を満足する燐含有量を熱可塑弾性樹脂に添加して、次いで溶融押出しして網状体を形成する。溶融した燐含有熱可塑弾性樹脂は複数のオリフィスを持つ多列ノズルに供給し、オリフィスより下方へ吐出する。線条を複合化する場合は、多数の押出機より別々に溶融混練りした熱可塑性弾性樹脂を、多列ノズルのオリフィス直前で複合化するように分配合流させて下方に吐出する。ス−スコアではコア成分を中央から供給し、その回りからシ−ス成分を合流させて吐出する。サイドバイサイドでは左右または前後から各成分を合流させて吐出する。この時の溶融温度は、熱可塑性弾性樹脂の融点より10℃〜80℃高い温度である。(複合化される場合は高融点成分の融点より10℃以上高く、低融点成分の融点より80℃以下の同一の溶融温度が好ましい)熱可塑性弾性樹脂の融点より80℃を越える高い溶融温度にすると熱分解が著しくなり熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性特性が低下するので好ましくない。他方、熱可塑性弾性樹脂の融点より10℃以上高くしないとメルトフラクチャ−を発生し正常な線条形成が出来なくなり、また、吐出後ル−プ形成しつつ接触させ融着させる際、線条の温度が低下して線条同士が融着しなくなり接着が不充分な網状体となる場合があり好ましくない。好ましい溶融温度は融点より25℃から60℃高い温度、より好ましくは融点より30℃から40℃高い温度である。オリフィスの形状は特に限定されないが、中空断面(例えば三角中空、丸型中空、突起つきの中空等となるよう形状)及び、又は異形断面(例えば三角形、Y型、星型等の断面二次モ−メントが高くなる形状)とすることで前記効果以外に溶融状態の吐出線条が形成する3次元構造が流動緩和し難くし、逆に接触点での流動時間を長く保持して接着点を強固にできるので特に好ましい。特開平1−2075号公報に記載の接着のための加熱をする場合、3次元構造が緩和し易くなり平面的構造化し、3次元立体構造化が困難となるので好ましくない。網状体の特性向上効果としては、見掛けの嵩を高くでき軽量化になり、また抗圧縮性が向上し、弾発性も改良できへたり難くなる。中空断面では中空率が80%を越えると断面が潰れ易くなるので、好ましくは軽量化の効果が発現できる10%以上70%以下、より好ましくは20%以上60%以下である。オリフィスの孔間ピッチは線状が形成するル−プが充分接触できるピッチとする必要がある。緻密な構造にするには孔間ピッチを短くし、粗密な構造にするには孔間ピッチを長くする。本発明の孔間ピッチは好ましくは3mm〜20mm、より好ましくは5mm〜10mmである。本発明では所望に応じ異密度化や異繊度化もできる。列間のピッチ又は孔間のピッチも変えた構成、及び列間と孔間の両方のピッチも変える方法などで異密度層を形成できる。また、オリフィスの断面積を変えて吐出時の圧力損失差を付与すると、溶融した熱可塑性弾性樹脂を同一ノズルから一定の圧力で押し出される吐出量が圧力損失の大きいオリフィスほど少なくなる原理を使って長手方向の区間でオリフィスの断面積が異なる列を少なくとも複数有するノズルを用い異繊度線条からなる網状構造体を製造することができる。次いで、該ノズルより下方に向けて吐出させ、ル−プを形成させつつ溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、接合した網状構造体両面を引取りネットで挟み込み、網状体の表面の溶融状態の曲がりくねった吐出線条を45°以上折り曲げて変形させて表面をフラット化すると同時に曲げられていない吐出線条との接触点を接着して構造を形成後、連続して冷却媒体(通常は室温の水を用いるのが冷却速度を早くでき、コスト面でも安くなるので好ましい)で急冷して本発明の3次元立体網状構造体化した網状体を得る。ノズル面と引取り点の距離は少なくとも40cm以下にすることで吐出線条が冷却され接触部が融着しなくなることを防ぐのが好ましい。吐出線条の吐出量5g/分孔以上と多い場合は10cm〜40cmが好ましく、吐出線条の吐出量5g/分孔未満と少ない場合は5cm〜20cmが好ましい。網状体の厚みは溶融状態の3次元立体構造体両面を挟み込む引取りネットの開口幅(引取りネット間の間隔)で決まる。本発明では上述の理由から引取りネットの開口幅は5mm以上とする。次いで水切り乾燥するが冷却媒体中に界面活性剤等を添加すると、水切りや乾燥がしにくくなったり、熱可塑性弾性樹脂が膨潤することもあり好ましくない。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリフィスの孔径と吐出量などにより所望のループ径や線径をきめられる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な一対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線条を挟み込み停留させることで互いに接触した部分を融着させつつ連続的に冷却媒体中に引込み固化させ網状構造体を形成する時、上記コンベアの間隔を調整することで、融着した網状体が溶融状態でいる間で厚み調節が可能となり、所望の厚みのものが得られる。コンベア速度も速すぎると、接触点の形成が不充分になったり、融着点が充分に形成されるまでに冷却され、接触部の融着が不充分になる場合がある。また、速度が遅過ぎると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高くなるので、所望の見掛け密度に適したコンベア速度を設定する必要がある。かくして得られた網状体は、次いで、座席のクッション形態にあわせた形に打ち抜き、所定形状の切断された網状体を得る。網状体をクッション層に用いる場合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、繊度、ル−プ径、嵩密度を選択する必要がある。例えば、ソフトなタッチと適度の沈み込みと張りのある膨らみを付与するためには、低密度で細い繊度、細かいル−プ径にするのが好ましく、中層のクッション機能も発現させるには、共振振動数を低くし、適度の硬さと圧縮時のヒステリシスを直線的に変化させて体型保持性を良くし、耐久性を保持させるために、中密度で太い繊度、やや大きいル−プ径の層と低密度で細い繊度、細かいル−プ径の層を積層一体化した構造にするのが好ましい。また、樹脂製造過程以外でも性能を低下させない範囲で製造過程から成形体に加工し、座席化する任意の段階で難燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油化、着色、芳香等の機能付与を薬剤添加等の処理加工ができる。
他方樹脂成形体は、一般の公知の射出成形機を用いて熱可塑性弾性樹脂、又は熱可塑性非弾性樹脂、又はそれらの混合物、及び必要な改質剤、例えば難燃剤等を、例えば二軸押出機を用いて溶融混合した溶融樹脂を例えば第3図や第4図の形状となる金型内へ押し出し、冷却して射出成形体として得られる。樹脂押し出し時の金型の温度は、樹脂の融点から樹脂の融点より30℃低い温度として、金型の壁面に離型剤を付与を少なくして、好ましくは付与しないで成形したものが、成形時の網状体との接着が強固となるので望ましい。
【0017】
座部及び背部の主着座部とサイド部が分割された形状で、個々の部分が雌型に所定形状に切断されたクッション層となる網状体を配し、その上に裏面又は背面となる芯材と補強材の機能を有する形状に成形された樹脂成形体を配し、又は網状体と樹脂成形体間に網状体の融点より少なくとも10℃以上低い融点を持つ接着層を配して、雄型で上からクッション層を圧縮すると共に樹脂成形体を介して凹部内側からも凸部を圧縮し、網状体の融点より5℃高い温度〜融点より50℃低い温度の加熱媒体で加熱して熱成形により一体化した後、一旦冷却するか、又は連続して、網状体のガラス転移温度より10℃高い温度以上、融点より20℃以上低い温度でアニ−リングして得たクッション成形体に側地を取付けた各部分を座席フレ−ムに接合して固定することを特徴とする車両用座席の製法である。
【0018】
ついで、本発明の車両用座席は、座部及び背部の主着座部とサイド部が分割された形状で、個々の部分が雌型に所定形状に切断されたクッション層となる網状体を配し、その上に裏面又は背面となる芯材と補強材の機能を有する形状に成形された樹脂成形体を配し、又は網状体と樹脂成形体間に網状体の融点より少なくとも10℃以上低い融点を持つ接着層を配して、雄型で上からクッション層を圧縮すると共に樹脂成形体を介して凹部内側からも凸部を圧縮し、網状体の融点より5℃高い温度〜融点より50℃低い温度の加熱媒体で加熱して熱成形により一体化した後、一旦冷却するか、又は連続して、網状体のガラス転移温度より10℃高い温度以上、融点より20℃以上低い温度でアニ−リングして得たクッション成形体に側地を取付けた各部分を座席フレ−ムに接合して固定することで得られる。以下、座部主着部の成形方法の例を示す。第4図(A)に示すように、通気孔20を有する雌金型18に、所定の形状に切断したワディング層13、網状体11及び熱接着不織布19を乗せて、次いで第4図(B)に示す如く、開孔部12を有する樹脂成形体7をその上から乗せて、次いで、網状体11を樹脂成形体7の裏側まで巻き込み、樹脂成形体7の裏側にある網状体11を止めるフック15に引っ掛けて網状体11、ワディング層13、熱接着不織布19を共にとめる。次いで、第4図(C)の如く、通気孔20を有する雄金型21で圧縮する。雄金型20で上から圧縮することで樹脂成形体7の凸部7’が網状体11の内側から網状体11’の外側へ圧縮力を伝え、雌金型18の形状にきれいに添う形状に圧縮される。次いで、加熱流体を矢印の方向から通じて全体を加熱し、熱成形する。このときの加熱流体の温度は網状体の一部が塑性緩和して座席の形状に変形し、樹脂成形体が塑性変形しない温度で、樹脂成形体と網状体が熱接着できる温度に加熱する。例えば、(例1)網状体が単一組成の場合、網状体の融点より5℃高い温度で加熱し、網状体の線条の表面を溶融させて樹脂成形体と熱接着させる。網状体の融点より10℃以上高くすると網状体の形状が崩れてクッション機能が低下するので好ましくない。網状体がシ−スコア構造の線条からなる場合、例えば、(例2)シ−ス成分の融点より5℃以上高い温度から網状体のコア成分の融点より5℃高い温度で熱成形することで、網状体構造を保持して、所望の座席形状に形成出来、且つ、樹脂成形体との熱接着が強固にできる好ましい事例である。コア成分が塑性変形しない温度、例えば、融点より60℃以上低い温度では所望の座席形状に形成出来なくなるので好ましくない。例えば、網状体が単一組成で、接着剤を用いる場合、(例3)第4図(B)にセットする前に予め接着剤を樹脂成形体3の表面に塗布するか、又は(例4)第4図に示すように熱接着不織布19を積層して熱成形する場合にも、例えば接着剤の融点が160℃の熱可塑性弾性樹脂からなる樹脂又はメルトブロー不織布19、網状体11及び11’の融点が220℃の場合、加熱温度は170℃以上、225℃以下が好ましい。(例5)第4図は、本発明の実施形態の一例のワディング層13にファイバ−フィルを用いた場合であるが、例えばポリエステル系熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分としたファイバ−フィルウエッブの熱接着成分の融点が185℃で、ファイバ−フィルウエッブの母材が融点265℃のPETで、接着剤のメルトブロー不織布19が160℃で網状体11の融点が220℃の場合は、熱接着成分の融点の高いほうの185℃より10℃高く、網状体の融点より5℃高い温度、即ち、195℃から225℃で熱成形するのが好ましい。昇温時間は15分以内にしないと低融点成分の熱分解が促進され接着機能が低下したり、生産性が低下するので好ましくない。好ましくは、10分以内、より好ましくは5分以内に加熱温度まで昇温し、1分から5分程度加熱温度を保持し成形して、ついで冷却する。本発明の好ましい方法としては、連続して、又は一旦冷却後、一体成形して製品化に至る任意の工程で熱可塑性弾性樹脂のガラス転移点温度より10℃高い温度以上、融点より少なくとも10℃以下の温度でアニ−リングよる疑似結晶化処理を行うのがより好ましい製法である。疑似結晶化処理温度は、少なくとも融点(Tm)より10℃以上低く、ハ−ドセグメントのガラス転移点温度であるTanδのα分散立ち上がり温度(Tαcr)以上で行う。この処理で、融点以下に吸熱ピ−クを持ち、疑似結晶化処理しないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)より耐熱耐へたり性が著しく向上する。本発明の好ましい疑似結晶化処理温度は(Tαcr+10℃)から(Tm−20℃)である。連続してアニ−リングする場合、例えば、例1ではガラス転移点温度+10℃以上、融点より20℃以上低い温度まで冷却して、5分以上その温度を保持後、50℃未満まで冷却して金型からクッション体を取り出す。例1では、網状体の融点が220℃でガラス転移点温度が50℃とすると、60℃以上、好ましくは100℃から200℃未満、好ましくは150℃未満で5〜10分加熱状態を保持するのが良い。例2では、シース成分の融点より20℃以上低い温度からコア成分のガラス転移点温度、例えばシ−ス成分の融点が185℃、コア成分のガラス転移点温度が50℃の場合は、60℃以上、好ましくは100℃以上、165℃以下、好ましくは130℃以下の温度でアニ−ルするのが良い。例3、例4、例5では、同様に60℃以上、好ましくは100℃以上、140℃以下、好ましくは130℃以下でアニ−ルするのが良い。一旦冷却後、非連続してアニ−ルすることで同様の効果が発現する。かくして、単なる熱処理により疑似結晶化させても耐熱耐へたり性がより向上したクッション体を得る。が更には、別途、10%以上の圧縮変形を付与してアニ−リングすることで耐熱耐へたり性が著しく向上するのでより好ましい。同様にして各パ−ツ(座部のサイドや背部の主着部、サイド)が成形できる。かくして得られたクッションパ−ツは、樹脂成形体の接続部16で接続されクッション体に組立られ、側地14を被せて、好ましくは難燃性の側地、例えば東洋紡績(株)製の難燃性ポリエステル繊維ハイムを用いたポリエステルモケットを被せてクッション体に添わせてクッション体の裏側で側地を止めると共に、クッション表面に側地14を添わして、クッション体の凹部より、例えば、実開昭56−101071号公報、実開昭60−109499号公報等に開示された引込みボタン等で樹脂成形体7の吊り込み孔17を貫通させて側地を吊り込み、又は、公知の吊り込み方法、例えば予め雌金型18の凸部に吊り込みジグをセットして熱成形後、クッション体凹部より樹脂成形体7又は、補強フレ−ム部分で固定して側地14をクッション体に添わせて固定する方法も採用できる。次いで座席のセットフレ−ムに固定して本発明の座席が得られる。
【0019】
本発明の座席は、回復性と振動吸収性の良い熱可塑性弾性樹脂からなる網状体をクッション層に用い、多孔質の樹脂成形体が従来のクッション体での深絞り成形部を構成して、通気性を良くし、凸部の芯材効果も果たし、且つクッション体の形態保持性を向上させているので、自動車や鉄道車両用の座席に最適な、振動遮断性、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性の優れた、蒸れにくく、難燃性を有し、燃焼ガスの毒性指数が低い、安全性の高い座席である。また、従来公知のファイバ−フィルを用いたクッション体では、深絞り成形が困難で、成形が煩雑になっているが本発明の方法では、深絞り成形を省略して一段で成形加工ができるため、成形加工のコストダウンが図れ安価に有用な座席を提供できる。車両用以外に船舶用、事務用、家具用等の座席にも勿論有用である。
【0020】
【実施例】
以下に実施例で本発明を詳述する。
【0021】
なお、実施例中の評価は以下の方法で行った。
1.融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク
島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。
2.Tαcr
ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm のフイルムを作成して、オリエンテック社製バイブロンDDVII型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測定したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分M’との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域への転移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。
3.見掛け密度
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さを測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示す。(n=4の平均値)
4.線条の繊度
試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を得る。各部分の断面写真より各部の断面積(Si)を求める。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃にて測定した比重(SGi)を求める。ついで次式より線状の9000mの重さを求める。(単位cgs)
繊度=〔(1/n)ΣSi×SGi〕×900000
5.融着
試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないものを融着していると判断する。
6.耐熱耐久性(70℃残留歪)
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮して70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)から次式、即ち(a−b)/a×100より算出する。単位%(n=3の平均値)
7.繰返し圧縮歪
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万回後の試料を1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)から次式、即ち(a−b)/a×100より算出する。単位%(n=3の平均値)
8.燃焼ガスの毒性指数
JIS−K−7217の方法で測定した各燃焼ガス量(mg)を10分間吸入した時の致死量(mg/10リットル)で除した値の積算値で示す。
9.座り心地
30℃RH75%室内で、本発明の方法により作成した座席、又は比較の方法で作成した座席にパネラ−を座らせ以下の評価をおこなった。(n=5)
(1) 床つき感:座ったときの「どすん」と床に当たった感じの程度を感覚的に定性評価した。感じない;◎、殆ど感じない;○、やや感じる;△、感じる;×
(2) 蒸れ感:2時間座っていて、臀部やふと股の内側の座席と接する部分が蒸れた感じを感覚的に定性評価した。殆ど感じない:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや蒸れを感じる;△、蒸れを著しく感じる;×
(3) 8時間以内でどの程度我慢して座席に座っていられるか:1時間以内;×、2時間以内;△、4時間以内;○、4時間以上;◎
(4) 4時間座席に座らせたときの腰の疲れ程度を感覚的に定性評価した。無し;◎、殆ど疲れない;○、やや疲れる;△、非常に疲れる;×
(5) 総合評価: (1)から(4) までの評価の◎を4点、○を3点、△を2点、×を1点として12点以上で△を含まないもの;非常に良い(◎)、12点以上で△を含むもの;良い(○)、10点以上で×を含まないもの;やや悪い(△)、×を含むもの;悪い(×)として評価した。
10. 耐久性
作成した座席(座部及び背部)の主着部、及びサイドに直径10cmの平板で60kgの圧縮力で繰り返し圧縮できる装置にて、0.5Hzのサイクルで100回繰り返し圧縮させて、座席のへたり程度を以下の基準で判定した。◎:へたりなし。○:へたり軽度。△:少しへこみがあり、側地のたるみが出てへたりが判る。×:へこみが大きく目立ちへたりが著しい。(n=3の平均値)
【0022】
実施例1
ポリエステル系エラストマ−として、ジメチルテレフタレ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DMN)と1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつつ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤2%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッチ10mm、長さ方向の孔間ピッチ5mmの千鳥配列としたオリフィス形状は外径2mm、内径1.6mmでトリプルブリッジの中空形成性断面としたノズルに、得られたA−1及びA−2を、2本の混練り機能をもつ押出機にて、別々に定量供給しつつ、難燃剤として既存化学物質番号(3)−3735を燐含有量10000ppmとなるように添加して溶融混練りし、A−1とA−2をオリフィス直前でA−1をシ−ス成分に、A−2をコア成分となるように(シ−ス/コア:50/50重量比)オリフィス背面に分配し、245℃にて単孔当たりの吐出量2.0g/分にてノズル下方に吐出させ、ノズル面10cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、両面を挟み込みつつ毎分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させ、次いで水切り処理した後、所定の大きさに切断して得られた網状体2の特性を表2に示す。実施例1に用いる網状体は断面形状がシースコア構造の三角おむすび型中空断面で中空率が40%、繊度が9000デニ−ル、燐含有量10000ppm(60A+200=2780ppm)の線条で形成しており、平均の見掛け密度が0.045g/cm3 であった。この網状体は柔らかい弾性樹脂の特性が生かせた網状構造のため耐熱性、常温での耐久性に優れたクッション機能を有し、難燃性で燃焼ガスの毒性指数も低い安全性の高いクッション層であった。
【0025】
【表2】
【0026】
ポリエチレンテレフタレ−ト95部とA−1を5部とを混合乾燥して、押出機に供給し275℃で溶融混練りし、全面にφ4mmの開孔部を有するようにした背部および座部用の主着部、及び各サイドの樹脂成形体金型に、余熱温度260℃として、混練り溶融した熱可塑性樹脂を注入して冷却後取り出し得られた樹脂成形体は、主着部の開孔率が36%、サイドの開孔率が32%であった。
【0027】
相対粘度1.2のPBTと極限粘度0.58のPETとを中空C型オリフィス直前に285℃にて、サイドバイサイドに分配して吐出させ、常法にて未延伸糸を紡糸し、次いで、延伸した繊維に、機械巻縮を付与後、乾熱165℃にて立体巻縮を発現させて51mmに切断し、繊度が13デニ−ル、巻縮度が35%、巻縮数が23山/インチ、中空率28%の丸断面で立体巻縮を有するファイバ−フィルウエッブの母材を得た。A−1をシ−ス成分、A−2をコア成分にして、260℃にて吐出し、紡糸速度3500m/分にて作成した繊維を2万デニ−ルに合糸してクリンパ−にて機械巻縮を付与後51mmに切断して、繊度が5デニ−ル、乾熱160℃の収縮率が8%、断面形状がシ−ス・コアの中実丸断面の熱接着繊維を得た。得られた母材60部と熱接着繊維40部を常法により混繊してカ−ドウエッブを作成し、積層してニ−ドルパンチして所定の大きさに切断した厚み10mmのファイバ−フィルウエッブを作成した。
【0028】
A−1を240℃にて溶融し、280℃の加熱空気にて常法により目付け30g/m2 、繊度0.05デニ−ルの繊維同士が融着したメルトブロ−不織布12を得た。
【0029】
第4図(A)に示すように、雌金型にファイバ−フィルウエッブ13と網状体11及び層間にメルトブロ−不織布19積層した上に、第4図(B)に示すように、樹脂成形体7を乗せて押さえ込み、ファイバ−フィルウエッブ13、網状体11、メルトブロ−不織布19を樹脂成形体7の裏側まで折り返してフック15に引っ掛けて止め、次いで、第4図(C)に示すように、雄金型21で押さえて圧縮し、200℃の加熱空気にて強制貫通させ、5分間で加熱昇温させ、2分間その温度を保持後、加熱空気を130℃に下げて冷却アン−リングを10分間行い、冷却して熱成形された、座部主着部のクッション層の平均見掛け密度が0.058g/cm3 のクッションパ−ツを得た。同様にして各パ−ツを成形した。背部主着部のクッション層の平均見掛け密度は0.055g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 のクッション体を得た。得られた各パ−ツを各接続部で接合してクッション体を作成した。
【0030】
次いで、ジメチルテレフタル酸と10〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレンス・10オキシロを燐含有量で5000ppmとなる量と、グリコ−ル成分にDEGを少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめて得た共重合PETを常法により繊維化した2デニ−ルのステ−プルを用い、常法により得たポリエステル繊維からなる目付け450g/m2 、通気度90cc/cm2 ・秒のモケットの側地1でクッション体の表面を被い、裏側に引っ張って側地を張りながら樹脂成形体に止めると共に、サイドと中央の間の凹部を返しの付いた引込みボタンで樹脂成形体の貫通口17を貫通させて側地を吊り込み、補強フレ−ムを樹脂成形体と固定して。裏面又は背面を裏張して、車両に固定するフレ−ムに固定して第1図に示す様な座席を作成した。表2に示す如く得られた座席の座り心地は良好で、耐久性も実用使用に耐えるものであった。座席の端を火炎に曝すと側地やワディング層と共に網状体も燃え始めるとドリップになり火炎の広がりは抑制されすぐに消炎した。難燃性の良好な素材を用いた場合は、火災時も安全性が確保できる例である。
【0031】
実施例2
ジメチルイソフタレ−ト(DMI)20モル%とDMT80モル%及び1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触媒と仕込み、実施例1の方法と同様にして得たポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の処方を表1に示す。A−3をオリフィスの孔形状を孔径φ1mmの丸断面としたノズルを用いた以外実施例1と同様にして得た網状体の特性を表2に示す。なお、中実丸断面の繊度が9000デニ−ル、の線条から形成されており、網状体の平均の見掛け密度が0.043g/cm3 であった。次いで、実施例1と同様にして作成した主着座座部のクッション層の平均見掛け密度が0.056g/cm3 、主着座背部のクッション層の平均見掛け密度が0.053g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 クッション体を同様にして組み立てて得た座席の評価結果を表2に併記する。表2で明らかなごとく、網状体の耐熱性と常温での耐久性は実用上使用可能で、燃焼ガスの毒性指数も低い安全性の高いクッション材であり、作成した座席は、座り心地の優れたクッション機能を有し、耐久性も実用使用が可能なものであることが判る。
【0032】
実施例3
ポリウレタン系エラストマ−として、4・4’ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)とPTMG及び鎖延長剤として1・*BDを添加して重合し次いで抗酸化剤2%を添加混合練込み後ペレット化し真空乾燥してポリエ−テル系ウレタンポリマ−の処方を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
得られた熱可塑性弾性樹脂B−1を溶融温度220℃とした以外実施例1と同様にして得た網状体の特性を表2に示す。実施例3はクッション層の網状体の線条は断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率は41%、繊度が9800デニ−ルの線条から形成されており、平均の見掛け密度が0.045g/cm3 の耐熱性、常温での耐久性ともに優れたクッション機能を有し、燃焼ガスの毒性指数も低い網状体であった。次いで、流動開始温度が135℃の熱可塑性ポリウレタフイルムを接着剤として用い、ファイバ−フルウエッブを使用しなかった以外実施例1と同様に積層圧縮し、熱成形温度を172℃とし、アニーリング温度を80℃とした以外実施例1と同様にして成形した主着座座部のクッション層の平均見掛け密度が0.060g/cm3 、主着座背部のクッション層の平均見掛け密度が0.056g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 のクッション体を組立てて得た実施例3の座席は、柔らかいウレタンの特性を生かした座り心地が優れ、耐久性も実用使用に耐える優れた座席であることが判る。
【0035】
比較例1
相対粘度1.20のポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)を溶融温度270℃とした以外、実施例2と同様にして得た線条の繊度が比較例1は8800デニ−ル、見掛け密度が0.044g/cm3 の網状体の特性を表2に示す。次いで、熱成形温度を250℃とし、疑似結晶化の為のアニ−リングをしなかった以外、実施例2と同様にして作成した主着座座部のクッション層の平均見掛け密度が0.055g/cm3 、主着座背部のクッション層の平均見掛け密度が0.052g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 のクッション体を用いて得た比較例1の座席は、元々耐熱耐久性が悪い熱可塑性非弾性ポリエステルからなる網状体をクッション層に使用しているため、硬くて座り心地が悪く、耐久性も悪い座席となった例である。
【0036】
比較例2
樹脂成形体及びファイバ−フィルウエッブを用いないで、実施例2で作成した網状体のみを用いて座部のクッション体の平均見掛け密度が0.062g/cm3 、背部のクッション体の平均見掛け密度が0.056g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 となるように積層圧縮して熱成形し、アニ−リングしないで急速に冷却し、各パ−ツの接合を接着剤で接合して組み立てた以外、実施例2と同様にして作成したクッション体は、樹脂成形体を使用しないためサイド部の凸状形状の表面仕上がりが不良となり、クッション体の接合強度が弱く、表2に示す得られた座席の特性も、座り心地は良好だが、耐久性が劣り座席としては好ましくない例である。
【0037】
比較例3
網状体を用いずに、実施例1で作成したファイバ−フィルウエッブのみをクッション層に用いて、クッション層の平均見掛け密度が0.062g/cm3 、背部のクッション体の平均見掛け密度が0.056g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 となるように積層圧縮して熱成形し、アニ−リングしないで急速に冷却した以外、実施例2と同様にして作成したクッション体を用いて作成した、表2に示す座席の特性は、座り心地は良好だが、耐熱耐久性の優れた熱可塑性弾性樹脂からなる網状体を使用しないため、耐久性が劣り座席としては好ましくない例である。
【0038】
比較例4
180g/分の吐出量で、ノズル面下5cmに引取りコンベアネットを配して引取り速度1.2m/分にて引取った以外、実施例2と同様にして得た繊度が1800デニ−ル、燐含有量が9000ppm(60A+200=3320ppm)、平均の見掛け密度が0.006g/cm3 の網状体を用いて、座部及び背部のクッション層の見掛け密度が0.009g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.009g/cm3 となるように積層圧縮し、疑似結晶化処理をしなかった以外実施例2と同様にして得たクッション体を用いた座席は、密度が低すぎて座り心地が著しく劣り、耐久性も劣る座席の例である。
【0039】
比較例5
単孔当たりの吐出量3g/分にて吐出させ、引取りコンベアネットの速度を0.3m/分とした以外実施例2と同様して得た線条繊度が13000デニ−ルで、平均見掛け密度が0.21g/cm3 の網状体を用い、座部及び背部のクッション層の密度が0.25g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.210g/cm3 となるように積層圧縮して熱成形し、アニ−リングしないで急速に冷却した以外、実施例2と同様にして作成したクッション体を用いて得た座席は、クッション層が硬いため座り心地がやや劣り、耐久性が不充分な例である。
【0040】
比較例6
幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッチ10mm、長さ方向の孔間ピッチ20mmの千鳥配列としたオリフィス径φ2mmとしたノズルを用いて単孔当たりの吐出量25g/分にて吐出させて、ノズル面30cm下に引取りコンベアネットを配して1m/分にて引き取った以外、比較例2と同様にして得た線条の繊度は113000デニ−ルで平均見掛け密度が0.15g/cm3 の網状体を用いて、座部及び背部のクッション層の見掛け密度が0.035g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.035g/cm3 となるように積層圧縮し、疑似結晶化処理をしなかった以外実施例2と同様にして得たクッション体を用いた座席は、網状体の線条繊度が著しく太く密度斑があるため、耐久性が悪くなり、座り心地もやや悪くなる座席の例である。
【0041】
比較例7
ノズル面60cm下に引取りコンベアネットを配して引き取ったあと疑似結晶化処理をしなかった以外、実施例2と同様の方法で得た網状体の特性の一部を表2に示す。なお、接着状態が不良で形態保持が悪いため、50%圧縮時反発力、見掛け密度、補強効果、70℃残留歪、繰返圧縮歪みの評価はしていない。次いで、この線条がばらばらの網状体を雌金型に詰め込み、クッション層の見掛け密度が0.055g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 となるように積層圧縮し、疑似結晶化処理をしなかった以外実施例2と同様にして得たクッション体を用いた座席は、網状体の線条が融着していないので座り心地が悪く、網状形態が固定されていないのでクッション材の損傷が大きくなり耐久性も劣る例である。
【0042】
比較例8
実施例2で得た網状体を用い、実施例1で用いた樹脂成形体の表面にシリコ−ン油膜を塗布し、接着剤を用いないでクッション層の見掛け密度が0.055g/cm3 サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 となるように積層圧縮し、疑似結晶化処理をしなかった以外実施例2と同様にして得た樹脂成形体と網状体が接合一体化されていないクッション体を用いて作成した座席は、座り心地は悪くないが、耐久性が劣る座席であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の車両用座席は、座部および背部の主着部とサイドが分割されて、回復性と振動吸収性の良い熱可塑性弾性樹脂からなる線条が融着一体化した網状体をクッション層に用い、多孔質の芯材と補強材、および接合部材の機能を兼備した樹脂成形体が従来のクッション体での深絞り成形部を構成してクッション層と接合一体化しているため、通気性を良くし、凸部の耐久性とクッション体の形態保持性を向上させ、自動車や鉄道車両用の座席に最適な、振動遮断性、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性の優れた、蒸れにくく、分別せずにリサイクルが可能な座席である。また、従来公知のファイバ−フィルを用いたクッション体では、深絞り成形が困難で、成形が煩雑になっているが本発明の方法では、深絞り成形を省略して一段で単純な形態の各パ−ツに成形加工ができるため、成形加工のコストダウンが図れ安価に有用な座席を提供できる。更には、各パ−ツが単純な形態のため、組立前の輸送量が増やせ、また、パ−ツを必要に応じ交換できるので使用者の経費節減ができる。車両用以外に船舶用、事務用、家具用等の座席にも勿論有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明座席の組立時および分割時の概略を示す図である。
【図2】本発明座席の座部のサイドと主着座部横断面の概略を示す図である。
【図3】本発明座席の座部に用いる樹脂成形体の斜視図である。
【図4】本発明座席の成形加工工程例の概念を示す図であり、(A)→(B)→(C)の順に工程は進行する。
【符号の説明】
1:座部主着座 2,3:座部サイド
4:背部主着座 5,6:背部サイド
7,9:主着座部樹脂成形体 8,10:サイド樹脂成形体
11:網状クッション層 12:樹脂成形体の開口部
13:ファイバ−フィル層 14:側地
15:樹脂成形体のフック部 16:樹脂成形体の接合部
17:樹脂成形体の側地引き込み穴 18:雌金型
19:接着剤層 20:金型の通気穴
21:雄金型
Claims (6)
- 座部及び背部の主着座部とサイド部が分割形成され、座席フレ−ムに接合装着された座席であり、座席部分の裏面が開孔率10%以上の射出成形された樹脂成形体からなり、クッション層が繊度が100000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元立体構造体を形成したソフトセグメント含有量が15重量%以上80重量%以下である熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け密度が0.01〜0.2g/cm3 の網状体で構成され、前記樹脂成形体と網状体が接着剤または自己接着により一体接合され、表層に側地を配したことを特徴とする車両用座席。
- 網状体と側地の間にファイバ−フィルからなるワディング層を配してなる請求項1記載の車両用座席。
- 連続した線条の断面形状が中空断面又は及び異形断面である請求項1記載の車両用座席。
- 連続した線条の熱可塑性弾性樹脂成分を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度に吸熱ピークを持つ請求項1記載の車両用座席。
- 座部及び背部の主着座部とサイド部が分割された形状で、個々の部分が雌型に所定形状に切断されたクッション層となる網状体を配し、その上に裏面又は背面となる芯材と補強材の機能を有する形状に成形された樹脂成形体を配し、又は網状体と樹脂成形体間に網状体の融点より少なくとも10℃以上低い融点を持つ接着層を配して、雄型で上からクッション層を圧縮すると共に樹脂成形体を介して凹部内側からも凸部を圧縮し、網状体の融点より5℃高い温度〜融点より50℃低い温度の加熱媒体で加熱して熱成形により一体化した後、一旦冷却するか、又は連続して、網状体のガラス転移温度より10℃高い温度以上、融点より20℃以上低い温度でアニ−リングして得たクッション成形体に側地を取付けた各部分を座席フレ−ムに接合して固定することを特徴とする車両用座席の製法。
- クッション成形体と側地間にワディング層を配する請求項5に記載の車両用座席の製法。
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- 1994-07-15 JP JP16367294A patent/JP3622861B2/ja not_active Expired - Fee Related
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