JPH0824068A - 車両用座席と製法 - Google Patents

車両用座席と製法

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JPH0824068A
JPH0824068A JP16367294A JP16367294A JPH0824068A JP H0824068 A JPH0824068 A JP H0824068A JP 16367294 A JP16367294 A JP 16367294A JP 16367294 A JP16367294 A JP 16367294A JP H0824068 A JPH0824068 A JP H0824068A
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cushion
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英夫 磯田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保持性、クッ
ション性の優れた蒸れ難い、燃焼ガスの毒性指数が低く
安全性の高い熱可塑性弾性樹脂網状体をクッション材に
用いた車両用座席と深絞り成形を簡略化した製法を提供
することを目的とする。 【構成】座部及び背部の主着座部とサイド部が分割形成
され、座席フレ−ムに接合装着された座席であり、座席
部分の裏面が開孔率10%以上の射出成形された樹脂成
形体からなり、クッション層が繊度が100000デニ
−ル以下の連続した線条を曲がりくねらせ互いに接触さ
せて該接触部の大部分が融着した3次元立体構造体を形
成した熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け密度が0.01
g〜0.2g/cm3 の網状体で構成され、前記樹脂成形
体と網状体が接着剤または自己接着により一体接合さ
れ、表層に側地を配したことを特徴とする車両用座席と
その製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れたクッション性と
耐熱耐久性及び振動吸収性とを有し、リサイクルが可能
な車両用座席とクッション体成形が容易で、深絞り成形
も省略できる車両用座席の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、車両用座席は、発泡ウレタンや捲
縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などをクッション層に使
用されている。
【0003】しかしながら、発泡ウレタンをクッション
層とした車両用座席は、耐久性は極めて良好だが、透湿
透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、熱可
塑性では無いためリサイクルが困難となり焼却される場
合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費
が掛かる。このため埋め立てされることが多くなった
が、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され
経費も高くなっていく問題がある。また、成形加工性は
優れるが製造中に使用される薬品の公害問題などもあ
る。蒸れの改良法として特開昭63−77482号公報
等が提案されているが不充分なものである。
【0004】蒸れを改良した座席として、クッション層
にポリエステル繊維をゴム系又はウレタン系接着剤で接
着した樹脂綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとし
て特開昭60−11352号公報、特開昭61−141
388号公報、特開昭61−141391号公報等があ
る。又、架橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61
−137732号公報等がある。これらのクッション層
を用いた座席は耐久性に劣り、且つ、熱可塑性でなく、
単一組成でもないためリサイクルも出来ない等の問題、
及び加工時の煩雑さ、特に深絞り成形が難しく仕上がり
が悪くなる問題がある。また、製造中に使用される薬品
の公害問題などもある。
【0005】リサイクルが可能で、火災時、有毒な燃焼
ガス発生が少ない座席になる熱接着繊維を接着剤にした
ポリエステル硬綿を用いたものが、例えば特開平5−2
08470号公報、特開平5−220278号公報、特
開平5−247815号公報、特開平5−269264
号公報、特開平5−329937号公報等が提案されて
いるが、用いている熱接着繊維の接着成分が脆い非晶性
のポリマ−を用いるため接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、接着部分が変形しにくくソフトな
クッション性を付与しにくい問題もある。なお、これら
の方法では深絞り成形が困難である。耐久性を改良する
方法として、接着部分を柔らかい、且つある程度変形し
ても回復するポリエステルエラストマ−を用い、芯成分
に非弾性ポリエステルを用いた熱接着繊維を用いたポリ
エステル硬綿で成形したクッション材がWO−91/1
9032号公報、特開平5−163654号公報、特開
平5−337258号公報等で提案されている。WO−
91/19032号公報のポリエステル硬綿はエラスト
マ−に非晶性成分を含有しており、熱接着部分の形成を
良くしてアメーバー状の接着部を形成しているが塑性変
形しやいため、及び芯成分が非弾性ポリエステルのた
め、特に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮
性が低下する問題点がある。これらの改良法として、特
開平5−163654号公報にシ−ス成分にイソフタル
酸を含有するポリエステルエラストマ−、コア成分に非
弾性ポリエステルを用いた熱接着複合繊維のみからなる
構造体が提案されているが上述の理由で加熱下での塑性
変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低下するので車両用
座席のクッション材に使用するには問題がある。他方、
特開平5−337258号公報では、エラストマ−に非
晶性成分を含有しないため、耐熱耐久性は改善され、ア
ニ−リングで更に耐熱耐久性を向上させているが、非エ
ラストマ−成分を含有するので、発泡ポリウレタンに比
較して未だ耐久性は不充分である。また、発泡ウレタン
では、内部からの圧力で複雑な形状も容易に成形できる
が、繊維を外側から圧縮力を加え熱成形する場合は、特
に深絞り成形が困難である。また、側地の引込み部を成
形する場合も繊維を用いると成形時の煩雑さが解決され
ていない問題がある。
【0006】土木工事用に使用する熱可塑性のオレフィ
ン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されて
いる。が、素材がオレフィンのため耐熱耐久性が著しく
劣り車両用座席のクッション材には使用ができないもの
である。また、特開平1−207462号公報では、塩
化ビニ−ル製のフロアマットの開示があるが、室温での
圧縮回復性が悪く、耐熱性は著しく悪いので、車両用座
席のクッション材としては好ましくないものである。な
お、網状構造体は難燃性や振動減衰、及び、成形加工に
関する配慮が全くなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点を解決し、
振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性
の優れた蒸れ難い、燃焼ガスの毒性指数が低く安全性の
高い熱可塑性弾性樹脂網状体をクッション材に用いた車
両用座席と深絞り成形を簡略化した製法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち、本発明は、座部及び背部の主着座部とサ
イド部が分割形成され、座席フレ−ムに接合装着された
座席であり座席部分の裏面が開孔率10%以上の射出成
形された樹脂成形体からなり、クッション層が繊度が1
00000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねら
せ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元
立体構造体を形成した熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け
密度が0.01〜0.2g/cm3 の網状体で構成され、
前記樹脂成形体と網状体が接着剤または自己接着により
一体接合され、表層に側地を配したことを特徴とする車
両用座席、及び、座部及び背部の主着座部とサイド部が
分割された形状で、個々の部分が雌型に所定形状に切断
されたクッション層となる網状体を配し、その上に裏面
又は背面となる芯材と補強材の機能を有する形状に成形
された樹脂成形体を配し、又は網状体と樹脂成形体間に
網状体の融点より少なくとも10℃以上低い融点を持つ
接着層を配して、雄型で上からクッション層を圧縮する
と共に樹脂成形体を介して凹部内側からも凸部を圧縮
し、網状体の融点より5℃高い温度〜融点より50℃低
い温度の加熱媒体で加熱して熱成形により一体化した
後、一旦冷却するか、又は連続して、網状体のガラス転
移温度より10℃高い温度以上、融点より20℃以上低
い温度でアニ−リングして得たクッション成形体に側地
を取付けた各部分を座席フレ−ムに接合して固定するこ
とを特徴とする車両用座席の製法である。
【0009】本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソ
フトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ
−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリ
カ−ボネ−ト系グリコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端を
カルボン酸または水酸基にしたオレフィン系化合物等を
ブロック共重合したポリエステル系エラストマ−、ポリ
アミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−、
ポリオレフィン系エラストマ−などが挙げられる。熱可
塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能と
なるため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエス
テル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルを
ハ−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフ
トセグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重
合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメント
とするポリエステルエステルブロック共重合体が例示で
きる。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具
体的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカル
ボン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダ
イマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエス
テル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少な
くとも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ
−ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ
−ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリ
コ−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメ
タノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環
族ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体など
から選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平
均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種
から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエス
テルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボ
ン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜5000の
ポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくと
も各1種から構成される三元ブロック共重合体である。
熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮する
と、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及び
ナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては
1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとして
はポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合
体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの
3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、
ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも
使うこたができる。また、上記エラストマ−に非エラス
トマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの、ポ
リオレフィン系成分をソフトセグメントにしたもの等も
本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含される。ポリアミド系
エラストマ−としては、ハ−ドセグメントにナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12等及びそれらの共重合ナイ
ロンを骨格とし、ソフトセグメントには、平均分子量が
約300〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプ
ロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、
エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポ
リアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成さ
れるブロック共重合体を単独または2種類以上混合して
用いてもよい。更には、非エラストマ−成分をブレンド
されたもの、共重合したもの等も本発明に使用できる。
ポリウレタン系エラストマ−としては、通常の溶媒(ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)の存在
または不存在下に、(A)数平均分子量1000〜60
00の末端に水酸基を有するポリエ−テル及び又はポリ
エステルと(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とする
ポリイソシアネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−
ト基であるプレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分と
するポリアミンにより鎖延長したポリウレタンエラスト
マ−を代表例として例示できる。(A)のポリエステ
ル、ポリエ−テル類としては、平均分子量が約1000
〜6000、好ましくは1300〜5000のポリブチ
レンアジペ−ト共重合ポリエステルやポリエチレングリ
コ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレ
ングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド
共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−
ルが好ましく、(B)のポリイソシアネ−トとしては、
従来公知のポリイソシアネ−トを用いることができる
が、ジフェニルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体
としたイソシアネ−トを用い、必要に応じ従来公知のト
リイソシアネ−ト等を微量添加使用してもよい。(C)
のポリアミンとしては、エチレンジアミン、1・2プロ
ピレンジアミン等公知のジアミンを主体とし、必要に応
じて微量のトリアミン、テトラアミンを併用してもよ
い。これらのポリウレタン系エラストマ−は単独又は2
種類以上混合して用いてもよい。なお、本発明の熱可塑
性弾性樹脂の融点は耐熱耐久性が保持できる140℃以
上が好ましく、160℃以上のものを用いると耐熱耐久
性が向上するのでより好ましい。なお、本発明の網状体
は難燃性を付与するため燐系化合物を含有させるため、
熱安定性が難燃剤を含有しないものよりやや劣るので必
要に応じ、抗酸化剤等を添加して耐熱性や耐久性を向上
させるのが特に好ましい。抗酸化剤は、好ましくはヒン
ダ−ド系抗酸化剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル系と
ヒンダ−ドアミン系があり、窒素を含有しないヒンダ−
ドフェノ−ル系抗酸化剤を1%〜5%添加して熱分解を
抑制すると燃焼時の致死量が少ない有毒ガスの発生を抑
えられるので特に好ましい。本発明の目的である振動や
応力の吸収機能をもたせる成分を構成する熱可塑性弾性
樹脂のソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%
以上、より好ましくは30重量%以上であり、耐熱耐へ
たり性からは80重量%以下が好ましく、より好ましく
は70重量%以下である。即ち、本発明の弾性網状体の
振動や応力の吸収機能をもたせる成分のソフトセグメン
ト含有量は好ましくは15重量%以上80重量%以下で
あり、より好ましくは30重量%以上70重量%以下で
ある。
【0010】本発明の座席に用いる網状体及び他の部位
に用いる熱可塑性弾性樹脂は難燃性を有するのが好まし
く、特に燐含有組成物がハロゲン系組成物よりより好ま
しい。難燃性を有する網状体は熱可塑性弾性樹脂中に燐
含有量(Bppm)がソフトセグメント含有量(A重量
%)に対し、60A+200以上を満足しない場合は難
燃性が劣り、100000ppmを越えると可塑化効果
による塑性変形が大きくなり熱可塑性弾性樹脂の耐熱性
が劣るので、60A+200≦B≦100000の関係
を満足するのが好ましい。より好ましい燐含有量(Bp
pm)はソフトセグメント含有量(A重量%)に対し、
30A+1800≦B≦100000であり、更に好ま
しい燐含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量
(A重量%)に対し、16A+2600≦B≦5000
0である。難燃性は多量のハロゲン化物と無機物を添加
して高度の難燃性を付与する方法があるが、燃焼時に致
死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発生し、火災
時の中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉の損傷が大
きくなる問題がある。本発明では、ハロゲン化物の含有
量は少なくとも1重量%以下が好ましく、より好ましく
は、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%以下、最も好
ましくはハロゲン化物を含有しないものである。本発明
の好ましい燐系難燃剤としては、例えば、ポリエステル
系熱可塑性弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、ハ−ドセグ
メント部分に難燃剤として、例えば特開昭51−823
92号公報等に記載された10〔2・3・ジ(2・ヒド
ロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9・10・ジ
ヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレンス・10
オキシロ等のカルボン酸をハ−ドセグメントの酸成分の
一部として共重合したポリエステル系熱可塑性弾性樹脂
とする方法や、熱可塑性弾性樹脂に後工程で、例えば、
トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェニル)フスファイ
ト等の燐系化合物を添加して難燃性を付与することがで
きる。その他、難燃性を付与できる難燃剤としては、各
種燐酸エステル、亜燐酸エステル、ホスホン酸エステル
(必要に応じハロゲン元素を含有する上記燐酸エステル
類)、もしくはこれら燐化合物から誘導される重合物が
例示できる。本発明は、熱可塑性弾性樹脂中に各種改質
剤、添加剤、着色剤等を必要に応じて添加できる。本発
明の網状体は、好ましくは難燃性を付与するために燐を
含有させており、この理由は、上記している如く、安全
性の観点から、火災時に発生するシアンガス、ハロゲン
ガス等の致死量の少ない有毒ガスをできるだけ少なくす
ることにある。このため、本発明での好ましい難燃性網
状体の燃焼ガスの毒性指数は好ましくは6以下、より好
ましくは5.5以下である。また、側地やワディング層
にポリエステル繊維を使用される場合、好ましくはポリ
エステル系熱可塑性弾性樹脂とすることで分別せずに再
生リサイクルができる。
【0011】本発明での網状体を構成する熱可塑性弾性
樹脂からなる線条は、示差走査型熱量計にて測定した融
解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有するのが好
ましい。融点以下に吸熱ピ−クを有するものは、耐熱耐
へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく向上す
る。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱可塑性
樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のある
テレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸などを9
0モル%以上含有するもの、より好ましくはテレフタル
酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は95モル
%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−ル成分
をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次いで、
ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均分子量
が500以上5000以下、特に好ましくは1000以
上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ルを15
重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重量%
以上60重量%以下共重合量させた場合、ハ−ドセグメ
ントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン
2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメント
の結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱抗へ
たり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より少なく
とも10℃以上低い温度でアニ−リング処理するとより
耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してからア
ニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上する。この
ような処理をした網状構造体の線条を示差走査型熱量計
で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピ
ークをより明確に発現する。なおアニ−リングしない場
合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−クを発現し
ない。このことから類推するに、アニ−リングにより、
ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点
が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているのではない
かとも考えられる。(この処理を疑似結晶化処理と定義
する)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミド系弾性樹
脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効である。
【0012】本発明座席に使用する側地や樹脂成形体を
構成する熱可塑性非弾性樹脂とは、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリオレフィン等が例示できる。なお、本発明
ではガラス転移点温度が少なくとも40℃以上のものを
使用するのが好ましい。例えば、ポリエステルでは、ポ
リエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレンナ
フタレ−ト(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレ
ンテレフタレ−ト(PCHDT)、ポリシクロヘキシレ
ンジメチレンナフタレ−ト(PCHDN)、ポリブチレ
ンテレフタレ−ト(PBT)、ポリブチレンナフタレ−
ト(PBN)、ポリアリレ−ト等、及びそれらの共重合
ポリエステル等が例示できる。ポリアミドでは、ポリカ
プロラクタム(NY6)、ポリヘキサメチレンアジパミ
ド(NY66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(NY
6−10)等が例示できる。ポリオレフィンとしては、
ポリプロピレン(PP)、ポリブテン・1(PB・1)
等が例示できる。本発明に用いる熱可塑性非弾性樹脂と
しては、クッション材の側地にポリエステルを用いる場
合が多いので、廃棄する場合に分離せずにリサイクルが
可能なクッション素材として、耐熱性も良好なPET、
PEN、PBN、PCHDT等のポリエステルが特に好
ましい。なお、樹脂成形体に用いる場合は、必要強度を
保持した範囲で耐衝撃性を向上させる成分、例えば熱可
塑性弾性樹脂やガラス転移点温度の低いPBT,ポリプ
ロピレンテレフタレ−ト(PPT)、ポリヘキシレンテ
レフタレ−ト等を5%未満添加するのが好ましい。本発
明の好ましい実施形態である難燃性を有する網状体は熱
可塑性非弾性樹脂中に燐含有量は、1000ppm未満
では、難燃性が不充分であり、200000ppmを越
えると可塑化効果による塑性変形が大きくなり熱可塑性
非弾性樹脂の耐熱性が劣るので、1000ppm以上2
0000ppm以下含有するのが良い。より好ましい燐
含有量は2000ppm以上10000ppm以下、最
も好ましくは3000ppm以上8000ppmであ
る。難燃性は多量のハロゲン化物と無機物を添加して高
度の難燃性を付与する方法があるが、燃焼時に致死量の
少ない有毒なハロゲンガスを多量に発生し、火災時の中
毒の問題があり、焼却時には、焼却炉の損傷が大きくな
るので好ましくは含有しないものが良い。特に塩化ビニ
−ルは自己消火性を有するが燃焼すると有毒ガスを多く
発生するので本発明に用いるのは好ましくない。本発明
では、ハロゲン化物の含有量は少なくとも1重量%以
下、好ましくは、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%
以下、より好ましくはハロゲン化物を含有しないもので
ある。本発明の燐系難燃剤としては、例えば、ポリエス
テル系熱可塑性非弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、難燃
剤として、例えば特開昭51−82392号公報等に記
載された10〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)
−カルボニルプロピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキ
サ・10ホスファフェナレンス・10オキシロ等のカル
ボン酸を酸成分の一部として共重合したポリエステル系
熱可塑性非弾性樹脂とする方法や、熱可塑性非弾性樹脂
を射出成形時の後工程で、例えば、トリス(2・4−ジ
−t−ブチルフェニル)フスファイト等の燐系化合物を
添加して難燃性を付与することができる。その他、難燃
性を付与できる難燃剤としては、各種燐酸エステル、亜
燐酸エステル、ホスホン酸エステル(必要に応じハロゲ
ン元素を含有する上記燐酸エステル類)、もしくはこれ
ら燐化合物から誘導される重合物が例示できる。本発明
は、熱可塑性非弾性樹脂中に各種改質剤、添加剤、着色
剤等を必要に応じて添加できる。本発明の座席を構成す
るクッション体は、難燃性を付与するために燐を含有さ
せており、この理由は、上記している如く、安全性の観
点から、火災時に発生するシアンガス、ハロゲンガス等
の致死量の少ない有毒ガスをできるだけ少なくすること
にある。このため、本発明の座席を構成するクッション
体の燃焼ガスの毒性指数は好ましくは6以下、より好ま
しくは5.5以下である。また、側地やワディング層に
好ましくはポリエステル系熱可塑性非弾性樹脂とするこ
とで分別せずに再生リサイクルができる。
【0013】本発明は、座部及び背部の主着座部とサイ
ド部が分割形成され(第1図に分割した部分と組立られ
た座席の位置関係を示す。)、座席フレ−ムに接合装着
された座席(第2図に組立られた座部座席の断面概念図
を示す。)において、各分割された座席部分の裏面が開
孔率10%以上の射出成形された樹脂成形体(第3図に
座部用の主着座部用樹脂成形体7及びサイドの樹脂成形
体8を示す。)からなり、クッション層11が繊度が1
00000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねら
せ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元
立体構造体を形成した熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け
密度が0.01g/cm3 から0.2g/cm3 の網状体で
構成され、該樹脂成形体と該網状体が接着剤または自己
接着により一体接合され、表層に側地14を配した車両
用座席である。分割することで、座席パ−ツを組み立て
る際に接続部16で接続されたクッション体に側地を被
せて側地に皺が発生しないように側地の引込み孔17を
介して側地をきれいに張りこむ事が容易となる。また、
パ−ツが小さく単純な形態となるので、クッションパ−
ツを輸送時の積載量が多くなり輸送コストの削減ができ
る。また、部分的にクッションのへたりが生じた場合
は、へたった部分のみ交換することで、ユ−ザ−の交換
経費が節約できる。本発明の座席は、各分割された座席
部の裏面が開孔率が10%以上の樹脂成形体(第3図に
座部用の主着部とサイドの樹脂成形体を発明の一例とし
て示す。)とする事で、熱可塑性弾性樹脂からなる弾力
性と回復性の優れた網状体からなるクッション層から受
ける局部的な応力を接合一体化した樹脂成形体が面全体
で受ける補強機能を有すると共に、主着部の膨らみ部や
サイド部などの芯材の働きも兼ね備えるために必要であ
る。網状体と樹脂成形体が接合一体化していない場合は
局部的に大きい変形を受けると網状体構造が破壊される
場合があるので好ましくない。樹脂成形体の形状は、耐
圧構造化、例えば補強梁構造を有するものや、中空構造
化したものが好ましい。このことで金属からなるフレ−
ム部材を少なく出来、軽量化ができる。座席裏面又は背
面の深絞り形状部もクッション層としたものは不織布の
補強層および、金属製補強フレ−ムが必要なため座席重
量が重くなるので好ましくない。しかして、樹脂成形体
には、後述する成形加工時に加熱流体を貫通させる必要
と、座席使用時の通気性保持のため開孔率が10%以上
必要である。10%未満では、成形時の昇温速度が遅く
なり、局部的に熱劣化したり、形状形成が不良になった
りして好ましくない。また、網状体の通気性が良好でも
背面の通気が不充分になると蒸れやすくなるので好まし
くない。蒸れ防止の目的からはサイド部は開孔部が無く
てもよいが、成形時に加熱媒体を貫通させて加熱成形す
るためには必要である。本発明の樹脂成形体の開孔率
は、好ましくは20%から70%、より好ましくは30
%から50%である。本発明のクッション層は繊度が1
00000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねら
せ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元
立体構造体を形成した熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け
密度が0.01g/cm3 から0.2g/cm3 の網状体で
構成されているので、外部から与えられた振動を熱可塑
性弾性樹脂の振動吸収機能で大部分の振動を吸収減衰
し、局部的に大きい変形応力を与えられた場合でも網状
体の表面が熱成形により実質的にフラット化され接触部
の大部分が融着しており、クッション層の面で変形応力
を受け止め変形応力を分散させ、熱可塑性弾性樹脂から
なる線条が3次元立体構造体を形成し融着一体化されて
補強機能を持つ樹脂成形体と一体化しているので、座席
構造を保持して、網状体は容易に構造体全体が変形して
エネルギ−変換により変形応力を吸収し、変形応力が解
除されると熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性で容易に元の形
態に回復する機能があるので耐へたり性が良好である。
公知の非弾性樹脂のみからなる線条で構成した網状体で
は、ゴム弾性を持たないので圧縮変形により塑性変形を
生じて回復しなくなり耐久性が劣る。なお、網状体の線
条が連続していない場合は、接着点が応力の伝達点とな
るため接着点に著しい応力集中が起こり構造破壊を生じ
前記従来技術にも例示した特開昭60−11352号公
報、特開昭61−137732号公報、WO91−19
032号公報等に開示された構造体の如く耐熱耐久性が
劣り好ましくない。また、非弾性樹脂よりなる繊維をマ
トリックスとした硬綿では、塑性変形を生じて耐へたり
性が劣るのでクッション層に用いるには好ましくない。
融着していない場合は、形態保持が出来ず、構造体が一
体で変形しないため、応力集中による疲労現象が起こり
耐久性が劣ると同時に、形態が変形して体型保持ができ
なくなるので好ましくない。本発明のより好ましい融着
の程度は、線条が接触している部分の大半が融着した状
態であり、もっとも好ましくは接触部分が全て融着した
状態である。なお、クッション材の機能は、基本のクッ
ション層は繊度を少し太くして少し硬くして体型保持を
受け持つ層と振動減衰性の良い成分で密度を少し高くし
た振動吸収して振動を遮断する層で構成し、表面層はや
や繊度を細くし構成線条本数を多くした少し柔らかな層
として適度の沈み込みにより快適な臀部のタッチを与え
て臀部の圧力分布を均一分散化させると共にクッション
層で吸収できなかった振動を吸収して人体の共振部分の
振動を遮断する層が一体化されることで、応力や振動を
一体で変形し吸収させ座り心地を向上させることができ
る。かくして、振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性
弾性樹脂からなる連続した線条が接触部の大部分が融着
した3次元立体構造体を形成し融着一体化され表面が実
質的にフラット化されたクッション層とクッション層の
裏面に補強機能を持つ樹脂成形体が接着剤または自己接
着により一体接合したクッション体は、表面層は面で変
形応力を受け止め応力の分散を良くし、個々の線状に掛
かる応力を少なくして樹脂成形体で支えられ、網状構造
全体が形態保持しつつ変形して変形応力を吸収し、且つ
臀部を支えるクッション性も向上させ、応力が解除され
ると回復し、フレ−ムから伝わる振動も振動吸収性と弾
性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からなるクッション層
が吸収して人体の共振部分の振動を遮断して座り心地と
耐久性を向上させることができる。本発明の網状体を形
成する振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂
からなる線条の繊度は100000デニ−ル以下であ
る。座席のクッション層の見掛け密度を0.2g/cm3
以下にした場合、100000デニ−ルを越えると構成
本数が少なくなり、密度斑を生じて部分的に耐久性の悪
い構造ができ、応力集中による疲労が大きくなり耐久性
が低下するので好ましくない。本発明の熱可塑性弾性樹
脂からなる線条の繊度は、繊度が細すぎると抗圧縮性が
低くなり過ぎて変形による応力吸収性が低下するので1
00デニ−ル以上であり、構成本数の低下による構造面
の緻密性を損なわない50000デニ−ル以下である。
より好ましくは500デニ−ル以上、10000デニ−
ル以下である。本発明のクッション層を形成する網状体
の平均の見掛け密度は、0.005g/cm3 では反発力
が失われ、振動吸収能力や変形応力吸収能力が不充分と
なりクッション機能を発現させにくくなる場合があり、
0.25g/cm3 以上では反発力が高すぎて座り心地が
悪くなる場合があるので、振動吸収能力や変形応力吸収
機能が生かせてクッション体としての機能が発現されや
すい0.01g/cm3 以上0.20g/cm3 以下であ
り、好ましくは0.03g/cm3 以上0.08g/cm3
以下である。本発明においては繊度の異なる線状を見掛
け密度との組合せで最適な構成とする異繊度積層構造と
する方法も好ましい実施形態として選択できる。本発明
の網状体の厚みは特に限定されないが、厚みが5mm未満
では応力吸収機能と応力分散機能が低下するので、好ま
しい厚みは力の分散をする面機能と振動や変形応力吸収
機能が発現できる厚みとして20mm以上であり、より好
ましくは30mm以上である。なお、本発明座席の樹脂成
形体と網状体を接合一体化する方法に、接着剤を用いる
場合は、接着剤としては、網状体と樹脂成形体の両方に
良好な接着性を有する樹脂が好ましく、特には熱接着性
を有するものが良い。特に好ましい実施形態としては、
例えば、網状体がポリエステル系熱可塑性弾性樹脂で、
樹脂成形体がポリエステル系熱可塑性弾性樹脂又は、ポ
リエステル系熱可塑性非弾性樹脂の場合、少なくとも網
状体の熱可塑性弾性樹脂の融点より10℃以上低い融点
のポリエステル系樹脂が良い。好ましくは、網状体の融
点より20℃から50℃低い融点のものが良い。クッシ
ョン層の変形に耐えるためには、熱可塑性弾性樹脂が特
に好ましい。接着剤の形態は特には限定されないが、フ
ィルム、不織布、粉末又は溶液状のものを塗布する等の
方法があるが、取り扱い上からと熱風を貫通させて熱接
着させるので不織布が特に好ましい。不織布としては、
熱可塑性弾性樹脂からなるスパンボンド不織布、メルト
ブロ−不織布、又は、短繊維不織布などが使える。自己
接着の場合は、網状体の線条に熱接着機能を付与するた
め、高融点成分と低融点成分のシ−ス・コア構造又はサ
イドバイサイド構造とした線条で網状体を形成する。網
状体の線条を複合構造とした場合、好ましい熱接着機能
も付与できる。例えば、シ−スコア構造ではシ−ス成分
の振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグ
メント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分と
し、コア成分の抗圧縮性を示すソフトセグメント含有量
が少ない熱可塑性弾性樹脂を網状形態の保持機能をもた
せるための高融点成分とする構成で、熱接着成分の融点
を高融点樹脂の融点より10℃以上低くしたものを用い
ることにより熱接着機能も付与できる。また、本発明の
難燃性補強網状体の表面層を振動や変形応力をエネルギ
−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い低融点の
熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分とし積層することでも好
ましい熱接着機能を付与できる。熱接着機能を発現させ
るに好ましい網状体中の線条を形成する熱接着成分の融
点は高融点成分の融点より15℃から50℃低い融点で
あり、より好ましくは20℃から40℃低い融点であ
る。かかるクッション機能を持つクッション体に側地を
被せてフレ−ムに固定された、例えば第2図の断面を有
する本発明の座席は振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保
持性、クッション性の優れた蒸れにくい車両用座席であ
る。なお、本発明座席の側地は安全性の観点からは難燃
性のものを用いるのが特に好ましい。
【0014】本発明座席の網状体と側地の間にファイバ
−フィルからなるワディング層13を配することで、座
席のタッチを柔らかくする効果があるので好ましい。ワ
ディング層は、熱接着繊維が熱可塑性弾性樹脂からなる
繊維を用いた場合、耐熱耐久性とクッション性が良好と
なるので特に好ましい。熱接着繊維に熱可塑性非弾性樹
脂からなる繊維を用いた場合、耐熱耐久性が劣るので好
ましくない。ワディング層を側地とクッション層との熱
接着成分として使用する場合は網状体の熱可塑性弾性樹
脂の融点より少なくとも10℃以上低い融点の熱可塑性
弾性樹脂を熱接着成分とした繊維を用いることで網状構
造を保持して網状体および側地との熱接着が可能となる
ので好ましい実施形態である。
【0015】本発明では網状体の線条の断面形状は特に
は限定されないが、中空断面や異形断面にすることで好
ましい抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することがで
きるので特に好ましい。抗圧縮性は繊度や用いる素材の
モジュラスにより調整して、繊度を細くしたり、柔らか
い素材では中空率や異形度を高くし初期圧縮応力の勾配
を調整できるし、繊度をやや太くしたり、ややモジュラ
スの高い素材では中空率や異形度を低くして座り心地が
良好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面の他の
効果として中空率や異形度を高くすることで、同一の抗
圧縮性を付与した場合、より軽量化が可能となり、自動
車等の座席に用いると省エネルギ−化ができる。好まし
い抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することができる
他の好ましい方法として、本発明の網状体の線条を複合
構造とする方法がある。複合構造としては、シ−スコア
構造またはサイドバイサイド構造及びそれらの組合せ構
造などが挙げられる。が、特にはクッション層が大変形
してもエネルギ−変換できない振動や変形応力をエネル
ギ−変換して回復できる立体3次元構造とするために線
状の表面の50%以上を柔らかい熱可塑性弾性樹脂が占
めるシ−スコア構造またはサイドバイサイド構造及びそ
れらの組合せ構造などが挙げられる。すなわち、シ−ス
コア構造ではシ−ス成分は振動や変形応力をエネルギ−
変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾
性樹脂とし、コア成分は抗圧縮性を示すソフトセグメン
ト含有量が少ない熱可塑性弾性樹脂で構成し適度の沈み
込みによる臀部への快適なタッチを与えることができ
る。サイドバイサイド構造では振動や変形応力をエネル
ギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑
性弾性樹脂の溶融粘度をソフトセグメント含有量が少な
い抗圧縮性を示す熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度より低く
して線状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い
熱可塑性弾性樹脂の割合を多くした構造(比喩的には偏
芯シ−ス・コア構造のシ−スに熱可塑性弾性樹脂を配し
た様な構造)として線状の表面を占めるソフトセグメン
ト含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を80%以上と
したものが特に好ましく、最も好ましくは線状の表面を
占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂
の割合を100%としたシ−スコアである。ソフトセグ
メント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の線状の表面を占
める割合が多くなると、溶融して融着するときの流動性
が高いので接着が強固になる効果があり、構造が一体で
変形する場合、接着点の応力集中に対する耐疲労性が向
上し、耐熱性や耐久性がより向上する。
【0016】次に本発明の製法を述べる。本発明での網
状体は、本発明がなされた時点では公知ではないので特
に詳細にその製法を述べる。複数のオリフィスを持つ多
列ノズルより熱可塑性弾性樹脂を各ノズルオリフィスに
分配し、該熱可塑性樹脂の融点より20℃以上、80℃
未満高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出さ
せ、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を
形成しつつ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめ
て連続した網状体を得る。本発明では、前記の如く、難
燃性を必要条件とはしないが必要に応じ難燃性を付与す
るために、燐化合物を重合時に添加して共重合する方法
と重合後に添加して混合練り込みする方法ができる。混
合練り込みは二軸混練押出機又はダルメ−ジ、ピン等の
混練機能をもつ単軸押出機を用い、溶融押し出し前に行
う場合と、溶融押し出し時に定量供給等の方法で行う場
合を選択できる。難燃剤の定量供給が出来れば溶融押し
出し時に混練するのが最も安価な方法となる。このよう
な方法で好ましくはソフトセグメント量(A重量%)と
燐含有量(Bppm)が60A+200≦B≦1000
00の関係を満足する燐含有量を熱可塑弾性樹脂に添加
して、次いで溶融押出しして網状体を形成する。溶融し
た燐含有熱可塑弾性樹脂は複数のオリフィスを持つ多列
ノズルに供給し、オリフィスより下方へ吐出する。線条
を複合化する場合は、多数の押出機より別々に溶融混練
りした熱可塑性弾性樹脂を、多列ノズルのオリフィス直
前で複合化するように分配合流させて下方に吐出する。
ス−スコアではコア成分を中央から供給し、その回りか
らシ−ス成分を合流させて吐出する。サイドバイサイド
では左右または前後から各成分を合流させて吐出する。
この時の溶融温度は、熱可塑性弾性樹脂の融点より10
℃〜80℃高い温度である。(複合化される場合は高融
点成分の融点より10℃以上高く、低融点成分の融点よ
り80℃以下の同一の溶融温度が好ましい)熱可塑性弾
性樹脂の融点より80℃を越える高い溶融温度にすると
熱分解が著しくなり熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性特性が
低下するので好ましくない。他方、熱可塑性弾性樹脂の
融点より10℃以上高くしないとメルトフラクチャ−を
発生し正常な線条形成が出来なくなり、また、吐出後ル
−プ形成しつつ接触させ融着させる際、線条の温度が低
下して線条同士が融着しなくなり接着が不充分な網状体
となる場合があり好ましくない。好ましい溶融温度は融
点より25℃から60℃高い温度、より好ましくは融点
より30℃から40℃高い温度である。オリフィスの形
状は特に限定されないが、中空断面(例えば三角中空、
丸型中空、突起つきの中空等となるよう形状)及び、又
は異形断面(例えば三角形、Y型、星型等の断面二次モ
−メントが高くなる形状)とすることで前記効果以外に
溶融状態の吐出線条が形成する3次元構造が流動緩和し
難くし、逆に接触点での流動時間を長く保持して接着点
を強固にできるので特に好ましい。特開平1−2075
号公報に記載の接着のための加熱をする場合、3次元構
造が緩和し易くなり平面的構造化し、3次元立体構造化
が困難となるので好ましくない。網状体の特性向上効果
としては、見掛けの嵩を高くでき軽量化になり、また抗
圧縮性が向上し、弾発性も改良できへたり難くなる。中
空断面では中空率が80%を越えると断面が潰れ易くな
るので、好ましくは軽量化の効果が発現できる10%以
上70%以下、より好ましくは20%以上60%以下で
ある。オリフィスの孔間ピッチは線状が形成するル−プ
が充分接触できるピッチとする必要がある。緻密な構造
にするには孔間ピッチを短くし、粗密な構造にするには
孔間ピッチを長くする。本発明の孔間ピッチは好ましく
は3mm〜20mm、より好ましくは5mm〜10mmである。
本発明では所望に応じ異密度化や異繊度化もできる。列
間のピッチ又は孔間のピッチも変えた構成、及び列間と
孔間の両方のピッチも変える方法などで異密度層を形成
できる。また、オリフィスの断面積を変えて吐出時の圧
力損失差を付与すると、溶融した熱可塑性弾性樹脂を同
一ノズルから一定の圧力で押し出される吐出量が圧力損
失の大きいオリフィスほど少なくなる原理を使って長手
方向の区間でオリフィスの断面積が異なる列を少なくと
も複数有するノズルを用い異繊度線条からなる網状構造
体を製造することができる。次いで、該ノズルより下方
に向けて吐出させ、ル−プを形成させつつ溶融状態で互
いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、接合
した網状構造体両面を引取りネットで挟み込み、網状体
の表面の溶融状態の曲がりくねった吐出線条を45°以
上折り曲げて変形させて表面をフラット化すると同時に
曲げられていない吐出線条との接触点を接着して構造を
形成後、連続して冷却媒体(通常は室温の水を用いるの
が冷却速度を早くでき、コスト面でも安くなるので好ま
しい)で急冷して本発明の3次元立体網状構造体化した
網状体を得る。ノズル面と引取り点の距離は少なくとも
40cm以下にすることで吐出線条が冷却され接触部が融
着しなくなることを防ぐのが好ましい。吐出線条の吐出
量5g/分孔以上と多い場合は10cm〜40cmが好まし
く、吐出線条の吐出量5g/分孔未満と少ない場合は5
cm〜20cmが好ましい。網状体の厚みは溶融状態の3次
元立体構造体両面を挟み込む引取りネットの開口幅(引
取りネット間の間隔)で決まる。本発明では上述の理由
から引取りネットの開口幅は5mm以上とする。次いで水
切り乾燥するが冷却媒体中に界面活性剤等を添加する
と、水切りや乾燥がしにくくなったり、熱可塑性弾性樹
脂が膨潤することもあり好ましくない。尚、ノズル面と
樹脂を固化させる冷却媒体上に設置した引取りコンベア
との距離、樹脂の溶融粘度、オリフィスの孔径と吐出量
などにより所望のループ径や線径をきめられる。冷却媒
体上に設置した間隔が調整可能な一対の引取りコンベア
で溶融状態の吐出線条を挟み込み停留させることで互い
に接触した部分を融着させつつ連続的に冷却媒体中に引
込み固化させ網状構造体を形成する時、上記コンベアの
間隔を調整することで、融着した網状体が溶融状態でい
る間で厚み調節が可能となり、所望の厚みのものが得ら
れる。コンベア速度も速すぎると、接触点の形成が不充
分になったり、融着点が充分に形成されるまでに冷却さ
れ、接触部の融着が不充分になる場合がある。また、速
度が遅過ぎると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高くなるの
で、所望の見掛け密度に適したコンベア速度を設定する
必要がある。かくして得られた網状体は、次いで、座席
のクッション形態にあわせた形に打ち抜き、所定形状の
切断された網状体を得る。網状体をクッション層に用い
る場合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、
繊度、ル−プ径、嵩密度を選択する必要がある。例え
ば、ソフトなタッチと適度の沈み込みと張りのある膨ら
みを付与するためには、低密度で細い繊度、細かいル−
プ径にするのが好ましく、中層のクッション機能も発現
させるには、共振振動数を低くし、適度の硬さと圧縮時
のヒステリシスを直線的に変化させて体型保持性を良く
し、耐久性を保持させるために、中密度で太い繊度、や
や大きいル−プ径の層と低密度で細い繊度、細かいル−
プ径の層を積層一体化した構造にするのが好ましい。ま
た、樹脂製造過程以外でも性能を低下させない範囲で製
造過程から成形体に加工し、座席化する任意の段階で難
燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油化、着色、芳香等
の機能付与を薬剤添加等の処理加工ができる。他方樹脂
成形体は、一般の公知の射出成形機を用いて熱可塑性弾
性樹脂、又は熱可塑性非弾性樹脂、又はそれらの混合
物、及び必要な改質剤、例えば難燃剤等を、例えば二軸
押出機を用いて溶融混合した溶融樹脂を例えば第3図や
第4図の形状となる金型内へ押し出し、冷却して射出成
形体として得られる。樹脂押し出し時の金型の温度は、
樹脂の融点から樹脂の融点より30℃低い温度として、
金型の壁面に離型剤を付与を少なくして、好ましくは付
与しないで成形したものが、成形時の網状体との接着が
強固となるので望ましい。
【0017】座部及び背部の主着座部とサイド部が分割
された形状で、個々の部分が雌型に所定形状に切断され
たクッション層となる網状体を配し、その上に裏面又は
背面となる芯材と補強材の機能を有する形状に成形され
た樹脂成形体を配し、又は網状体と樹脂成形体間に網状
体の融点より少なくとも10℃以上低い融点を持つ接着
層を配して、雄型で上からクッション層を圧縮すると共
に樹脂成形体を介して凹部内側からも凸部を圧縮し、網
状体の融点より5℃高い温度〜融点より50℃低い温度
の加熱媒体で加熱して熱成形により一体化した後、一旦
冷却するか、又は連続して、網状体のガラス転移温度よ
り10℃高い温度以上、融点より20℃以上低い温度で
アニ−リングして得たクッション成形体に側地を取付け
た各部分を座席フレ−ムに接合して固定することを特徴
とする車両用座席の製法である。
【0018】ついで、本発明の車両用座席は、座部及び
背部の主着座部とサイド部が分割された形状で、個々の
部分が雌型に所定形状に切断されたクッション層となる
網状体を配し、その上に裏面又は背面となる芯材と補強
材の機能を有する形状に成形された樹脂成形体を配し、
又は網状体と樹脂成形体間に網状体の融点より少なくと
も10℃以上低い融点を持つ接着層を配して、雄型で上
からクッション層を圧縮すると共に樹脂成形体を介して
凹部内側からも凸部を圧縮し、網状体の融点より5℃高
い温度〜融点より50℃低い温度の加熱媒体で加熱して
熱成形により一体化した後、一旦冷却するか、又は連続
して、網状体のガラス転移温度より10℃高い温度以
上、融点より20℃以上低い温度でアニ−リングして得
たクッション成形体に側地を取付けた各部分を座席フレ
−ムに接合して固定することで得られる。以下、座部主
着部の成形方法の例を示す。第4図(A)に示すよう
に、通気孔20を有する雌金型18に、所定の形状に切
断したワディング層13、網状体11及び熱接着不織布
19を乗せて、次いで第4図(B)に示す如く、開孔部
12を有する樹脂成形体7をその上から乗せて、次い
で、網状体11を樹脂成形体7の裏側まで巻き込み、樹
脂成形体7の裏側にある網状体11を止めるフック15
に引っ掛けて網状体11、ワディング層13、熱接着不
織布19を共にとめる。次いで、第4図(C)の如く、
通気孔20を有する雄金型21で圧縮する。雄金型20
で上から圧縮することで樹脂成形体7の凸部7’が網状
体11の内側から網状体11’の外側へ圧縮力を伝え、
雌金型18の形状にきれいに添う形状に圧縮される。次
いで、加熱流体を矢印の方向から通じて全体を加熱し、
熱成形する。このときの加熱流体の温度は網状体の一部
が塑性緩和して座席の形状に変形し、樹脂成形体が塑性
変形しない温度で、樹脂成形体と網状体が熱接着できる
温度に加熱する。例えば、(例1)網状体が単一組成の
場合、網状体の融点より5℃高い温度で加熱し、網状体
の線条の表面を溶融させて樹脂成形体と熱接着させる。
網状体の融点より10℃以上高くすると網状体の形状が
崩れてクッション機能が低下するので好ましくない。網
状体がシ−スコア構造の線条からなる場合、例えば、
(例2)シ−ス成分の融点より5℃以上高い温度から網
状体のコア成分の融点より5℃高い温度で熱成形するこ
とで、網状体構造を保持して、所望の座席形状に形成出
来、且つ、樹脂成形体との熱接着が強固にできる好まし
い事例である。コア成分が塑性変形しない温度、例え
ば、融点より60℃以上低い温度では所望の座席形状に
形成出来なくなるので好ましくない。例えば、網状体が
単一組成で、接着剤を用いる場合、(例3)第4図
(B)にセットする前に予め接着剤を樹脂成形体3の表
面に塗布するか、又は(例4)第4図に示すように熱接
着不織布19を積層して熱成形する場合にも、例えば接
着剤の融点が160℃の熱可塑性弾性樹脂からなる樹脂
又はメルトブロー不織布19、網状体11及び11’の
融点が220℃の場合、加熱温度は170℃以上、22
5℃以下が好ましい。(例5)第4図は、本発明の実施
形態の一例のワディング層13にファイバ−フィルを用
いた場合であるが、例えばポリエステル系熱可塑性弾性
樹脂を熱接着成分としたファイバ−フィルウエッブの熱
接着成分の融点が185℃で、ファイバ−フィルウエッ
ブの母材が融点265℃のPETで、接着剤のメルトブ
ロー不織布19が160℃で網状体11の融点が220
℃の場合は、熱接着成分の融点の高いほうの185℃よ
り10℃高く、網状体の融点より5℃高い温度、即ち、
195℃から225℃で熱成形するのが好ましい。昇温
時間は15分以内にしないと低融点成分の熱分解が促進
され接着機能が低下したり、生産性が低下するので好ま
しくない。好ましくは、10分以内、より好ましくは5
分以内に加熱温度まで昇温し、1分から5分程度加熱温
度を保持し成形して、ついで冷却する。本発明の好まし
い方法としては、連続して、又は一旦冷却後、一体成形
して製品化に至る任意の工程で熱可塑性弾性樹脂のガラ
ス転移点温度より10℃高い温度以上、融点より少なく
とも10℃以下の温度でアニ−リングよる疑似結晶化処
理を行うのがより好ましい製法である。疑似結晶化処理
温度は、少なくとも融点(Tm)より10℃以上低く、
ハ−ドセグメントのガラス転移点温度であるTanδの
α分散立ち上がり温度(Tαcr)以上で行う。この処
理で、融点以下に吸熱ピ−クを持ち、疑似結晶化処理し
ないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)より耐熱耐へた
り性が著しく向上する。本発明の好ましい疑似結晶化処
理温度は(Tαcr+10℃)から(Tm−20℃)で
ある。連続してアニ−リングする場合、例えば、例1で
はガラス転移点温度+10℃以上、融点より20℃以上
低い温度まで冷却して、5分以上その温度を保持後、5
0℃未満まで冷却して金型からクッション体を取り出
す。例1では、網状体の融点が220℃でガラス転移点
温度が50℃とすると、60℃以上、好ましくは100
℃から200℃未満、好ましくは150℃未満で5〜1
0分加熱状態を保持するのが良い。例2では、シース成
分の融点より20℃以上低い温度からコア成分のガラス
転移点温度、例えばシ−ス成分の融点が185℃、コア
成分のガラス転移点温度が50℃の場合は、60℃以
上、好ましくは100℃以上、165℃以下、好ましく
は130℃以下の温度でアニ−ルするのが良い。例3、
例4、例5では、同様に60℃以上、好ましくは100
℃以上、140℃以下、好ましくは130℃以下でアニ
−ルするのが良い。一旦冷却後、非連続してアニ−ルす
ることで同様の効果が発現する。かくして、単なる熱処
理により疑似結晶化させても耐熱耐へたり性がより向上
したクッション体を得る。が更には、別途、10%以上
の圧縮変形を付与してアニ−リングすることで耐熱耐へ
たり性が著しく向上するのでより好ましい。同様にして
各パ−ツ(座部のサイドや背部の主着部、サイド)が成
形できる。かくして得られたクッションパ−ツは、樹脂
成形体の接続部16で接続されクッション体に組立ら
れ、側地14を被せて、好ましくは難燃性の側地、例え
ば東洋紡績(株)製の難燃性ポリエステル繊維ハイムを
用いたポリエステルモケットを被せてクッション体に添
わせてクッション体の裏側で側地を止めると共に、クッ
ション表面に側地14を添わして、クッション体の凹部
より、例えば、実開昭56−101071号公報、実開
昭60−109499号公報等に開示された引込みボタ
ン等で樹脂成形体7の吊り込み孔17を貫通させて側地
を吊り込み、又は、公知の吊り込み方法、例えば予め雌
金型18の凸部に吊り込みジグをセットして熱成形後、
クッション体凹部より樹脂成形体7又は、補強フレ−ム
部分で固定して側地14をクッション体に添わせて固定
する方法も採用できる。次いで座席のセットフレ−ムに
固定して本発明の座席が得られる。
【0019】本発明の座席は、回復性と振動吸収性の良
い熱可塑性弾性樹脂からなる網状体をクッション層に用
い、多孔質の樹脂成形体が従来のクッション体での深絞
り成形部を構成して、通気性を良くし、凸部の芯材効果
も果たし、且つクッション体の形態保持性を向上させて
いるので、自動車や鉄道車両用の座席に最適な、振動遮
断性、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性の優れ
た、蒸れにくく、難燃性を有し、燃焼ガスの毒性指数が
低い、安全性の高い座席である。また、従来公知のファ
イバ−フィルを用いたクッション体では、深絞り成形が
困難で、成形が煩雑になっているが本発明の方法では、
深絞り成形を省略して一段で成形加工ができるため、成
形加工のコストダウンが図れ安価に有用な座席を提供で
きる。車両用以外に船舶用、事務用、家具用等の座席に
も勿論有用である。
【0020】
【実施例】以下に実施例で本発明を詳述する。
【0021】なお、実施例中の評価は以下の方法で行っ
た。 1.融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸
熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。 2.Tαcr ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm
のフイルムを作成して、オリエンテック社製バイブロン
DDVII型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測
定したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分
M’との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域へ
の転移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。 3.見掛け密度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さ
を測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示
す。(n=4の平均値) 4.線条の繊度 試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹
脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を
得る。各部分の断面写真より各部の断面積(Si)を求
める。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル
樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃
にて測定した比重(SGi)を求める。ついで次式より
線状の9000mの重さを求める。(単位cgs) 繊度=〔(1/n)ΣSi×SGi〕×900000 5.融着 試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊
維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないもの
を融着していると判断する。 6.耐熱耐久性(70℃残留歪) 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮し
て70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き
1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)か
ら次式、即ち(a−b)/a×100より算出する。単
位%(n=3の平均値) 7.繰返し圧縮歪 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製
サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%
の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万
回後の試料を1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の
厚み(a)から次式、即ち(a−b)/a×100より
算出する。単位%(n=3の平均値) 8.燃焼ガスの毒性指数 JIS−K−7217の方法で測定した各燃焼ガス量
(mg)を10分間吸入した時の致死量(mg/10リ
ットル)で除した値の積算値で示す。 9.座り心地 30℃RH75%室内で、本発明の方法により作成した
座席、又は比較の方法で作成した座席にパネラ−を座ら
せ以下の評価をおこなった。(n=5) (1) 床つき感:座ったときの「どすん」と床に当たった
感じの程度を感覚的に定性評価した。感じない;◎、殆
ど感じない;○、やや感じる;△、感じる;× (2) 蒸れ感:2時間座っていて、臀部やふと股の内側の
座席と接する部分が蒸れた感じを感覚的に定性評価し
た。殆ど感じない:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや
蒸れを感じる;△、蒸れを著しく感じる;× (3) 8時間以内でどの程度我慢して座席に座っていられ
るか:1時間以内;×、2時間以内;△、4時間以内;
○、4時間以上;◎ (4) 4時間座席に座らせたときの腰の疲れ程度を感覚的
に定性評価した。無し;◎、殆ど疲れない;○、やや疲
れる;△、非常に疲れる;× (5) 総合評価: (1)から(4) までの評価の◎を4点、○
を3点、△を2点、×を1点として12点以上で△を含
まないもの;非常に良い(◎)、12点以上で△を含む
もの;良い(○)、10点以上で×を含まないもの;や
や悪い(△)、×を含むもの;悪い(×)として評価し
た。 10. 耐久性 作成した座席(座部及び背部)の主着部、及びサイドに
直径10cmの平板で60kgの圧縮力で繰り返し圧縮でき
る装置にて、0.5Hzのサイクルで100回繰り返し圧
縮させて、座席のへたり程度を以下の基準で判定した。
◎:へたりなし。○:へたり軽度。△:少しへこみがあ
り、側地のたるみが出てへたりが判る。×:へこみが大
きく目立ちへたりが著しい。(n=3の平均値)
【0022】実施例1 ポリエステル系エラストマ−として、ジメチルテレフタ
レ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DM
N)と1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触
媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメ
チレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつ
つ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エ
ラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤2%を添加混合
練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得
られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方
向の孔間ピッチ10mm、長さ方向の孔間ピッチ5mmの千
鳥配列としたオリフィス形状は外径2mm、内径1.6mm
でトリプルブリッジの中空形成性断面としたノズルに、
得られたA−1及びA−2を、2本の混練り機能をもつ
押出機にて、別々に定量供給しつつ、難燃剤として既存
化学物質番号(3)−3735を燐含有量10000p
pmとなるように添加して溶融混練りし、A−1とA−
2をオリフィス直前でA−1をシ−ス成分に、A−2を
コア成分となるように(シ−ス/コア:50/50重量
比)オリフィス背面に分配し、245℃にて単孔当たり
の吐出量2.0g/分にてノズル下方に吐出させ、ノズ
ル面10cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製
エンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコン
ベアを水面上に一部出るように配して、両面を挟み込み
つつ毎分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化さ
せ、次いで水切り処理した後、所定の大きさに切断して
得られた網状体2の特性を表2に示す。実施例1に用い
る網状体は断面形状がシースコア構造の三角おむすび型
中空断面で中空率が40%、繊度が9000デニ−ル、
燐含有量10000ppm(60A+200=2780
ppm)の線条で形成しており、平均の見掛け密度が
0.045g/cm3 であった。この網状体は柔らかい弾
性樹脂の特性が生かせた網状構造のため耐熱性、常温で
の耐久性に優れたクッション機能を有し、難燃性で燃焼
ガスの毒性指数も低い安全性の高いクッション層であっ
た。
【0025】
【表2】
【0026】ポリエチレンテレフタレ−ト95部とA−
1を5部とを混合乾燥して、押出機に供給し275℃で
溶融混練りし、全面にφ4mmの開孔部を有するようにし
た背部および座部用の主着部、及び各サイドの樹脂成形
体金型に、余熱温度260℃として、混練り溶融した熱
可塑性樹脂を注入して冷却後取り出し得られた樹脂成形
体は、主着部の開孔率が36%、サイドの開孔率が32
%であった。
【0027】相対粘度1.2のPBTと極限粘度0.5
8のPETとを中空C型オリフィス直前に285℃に
て、サイドバイサイドに分配して吐出させ、常法にて未
延伸糸を紡糸し、次いで、延伸した繊維に、機械巻縮を
付与後、乾熱165℃にて立体巻縮を発現させて51mm
に切断し、繊度が13デニ−ル、巻縮度が35%、巻縮
数が23山/インチ、中空率28%の丸断面で立体巻縮
を有するファイバ−フィルウエッブの母材を得た。A−
1をシ−ス成分、A−2をコア成分にして、260℃に
て吐出し、紡糸速度3500m/分にて作成した繊維を
2万デニ−ルに合糸してクリンパ−にて機械巻縮を付与
後51mmに切断して、繊度が5デニ−ル、乾熱160℃
の収縮率が8%、断面形状がシ−ス・コアの中実丸断面
の熱接着繊維を得た。得られた母材60部と熱接着繊維
40部を常法により混繊してカ−ドウエッブを作成し、
積層してニ−ドルパンチして所定の大きさに切断した厚
み10mmのファイバ−フィルウエッブを作成した。
【0028】A−1を240℃にて溶融し、280℃の
加熱空気にて常法により目付け30g/m2 、繊度0.
05デニ−ルの繊維同士が融着したメルトブロ−不織布
12を得た。
【0029】第4図(A)に示すように、雌金型にファ
イバ−フィルウエッブ13と網状体11及び層間にメル
トブロ−不織布19積層した上に、第4図(B)に示す
ように、樹脂成形体7を乗せて押さえ込み、ファイバ−
フィルウエッブ13、網状体11、メルトブロ−不織布
19を樹脂成形体7の裏側まで折り返してフック15に
引っ掛けて止め、次いで、第4図(C)に示すように、
雄金型21で押さえて圧縮し、200℃の加熱空気にて
強制貫通させ、5分間で加熱昇温させ、2分間その温度
を保持後、加熱空気を130℃に下げて冷却アン−リン
グを10分間行い、冷却して熱成形された、座部主着部
のクッション層の平均見掛け密度が0.058g/cm3
のクッションパ−ツを得た。同様にして各パ−ツを成形
した。背部主着部のクッション層の平均見掛け密度は
0.055g/cm3 、サイドのクッション層の平均見掛
け密度は0.060g/cm3 のクッション体を得た。得
られた各パ−ツを各接続部で接合してクッション体を作
成した。
【0030】次いで、ジメチルテレフタル酸と10〔2
・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロ
ピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファ
フェナレンス・10オキシロを燐含有量で5000pp
mとなる量と、グリコ−ル成分にDEGを少量の触媒と
仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重
縮合せしめて得た共重合PETを常法により繊維化した
2デニ−ルのステ−プルを用い、常法により得たポリエ
ステル繊維からなる目付け450g/m2 、通気度90
cc/cm2 ・秒のモケットの側地1でクッション体の表面
を被い、裏側に引っ張って側地を張りながら樹脂成形体
に止めると共に、サイドと中央の間の凹部を返しの付い
た引込みボタンで樹脂成形体の貫通口17を貫通させて
側地を吊り込み、補強フレ−ムを樹脂成形体と固定し
て。裏面又は背面を裏張して、車両に固定するフレ−ム
に固定して第1図に示す様な座席を作成した。表2に示
す如く得られた座席の座り心地は良好で、耐久性も実用
使用に耐えるものであった。座席の端を火炎に曝すと側
地やワディング層と共に網状体も燃え始めるとドリップ
になり火炎の広がりは抑制されすぐに消炎した。難燃性
の良好な素材を用いた場合は、火災時も安全性が確保で
きる例である。
【0031】実施例2 ジメチルイソフタレ−ト(DMI)20モル%とDMT
80モル%及び1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を
少量の触媒と仕込み、実施例1の方法と同様にして得た
ポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の処方を表1に示す。
A−3をオリフィスの孔形状を孔径φ1mmの丸断面とし
たノズルを用いた以外実施例1と同様にして得た網状体
の特性を表2に示す。なお、中実丸断面の繊度が900
0デニ−ル、の線条から形成されており、網状体の平均
の見掛け密度が0.043g/cm 3 であった。次いで、
実施例1と同様にして作成した主着座座部のクッション
層の平均見掛け密度が0.056g/cm3 、主着座背部
のクッション層の平均見掛け密度が0.053g/c
m3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.0
60g/cm3 クッション体を同様にして組み立てて得た
座席の評価結果を表2に併記する。表2で明らかなごと
く、網状体の耐熱性と常温での耐久性は実用上使用可能
で、燃焼ガスの毒性指数も低い安全性の高いクッション
材であり、作成した座席は、座り心地の優れたクッショ
ン機能を有し、耐久性も実用使用が可能なものであるこ
とが判る。
【0032】実施例3 ポリウレタン系エラストマ−として、4・4’ジフェニ
ルメタンジイソシアネ−ト(MDI)とPTMG及び鎖
延長剤として1・*BDを添加して重合し次いで抗酸化
剤2%を添加混合練込み後ペレット化し真空乾燥してポ
リエ−テル系ウレタンポリマ−の処方を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】得られた熱可塑性弾性樹脂B−1を溶融温
度220℃とした以外実施例1と同様にして得た網状体
の特性を表2に示す。実施例3はクッション層の網状体
の線条は断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率
は41%、繊度が9800デニ−ルの線条から形成され
ており、平均の見掛け密度が0.045g/cm3 の耐熱
性、常温での耐久性ともに優れたクッション機能を有
し、燃焼ガスの毒性指数も低い網状体であった。次い
で、流動開始温度が135℃の熱可塑性ポリウレタフイ
ルムを接着剤として用い、ファイバ−フルウエッブを使
用しなかった以外実施例1と同様に積層圧縮し、熱成形
温度を172℃とし、アニーリング温度を80℃とした
以外実施例1と同様にして成形した主着座座部のクッシ
ョン層の平均見掛け密度が0.060g/cm3 、主着座
背部のクッション層の平均見掛け密度が0.056g/
cm3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.0
60g/cm3 のクッション体を組立てて得た実施例3の
座席は、柔らかいウレタンの特性を生かした座り心地が
優れ、耐久性も実用使用に耐える優れた座席であること
が判る。
【0035】比較例1 相対粘度1.20のポリブチレンテレフタレ−ト(PB
T)を溶融温度270℃とした以外、実施例2と同様に
して得た線条の繊度が比較例1は8800デニ−ル、見
掛け密度が0.044g/cm3 の網状体の特性を表2に
示す。次いで、熱成形温度を250℃とし、疑似結晶化
の為のアニ−リングをしなかった以外、実施例2と同様
にして作成した主着座座部のクッション層の平均見掛け
密度が0.055g/cm3 、主着座背部のクッション層
の平均見掛け密度が0.052g/cm3 、サイドのクッ
ション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3 のクッ
ション体を用いて得た比較例1の座席は、元々耐熱耐久
性が悪い熱可塑性非弾性ポリエステルからなる網状体を
クッション層に使用しているため、硬くて座り心地が悪
く、耐久性も悪い座席となった例である。
【0036】比較例2 樹脂成形体及びファイバ−フィルウエッブを用いない
で、実施例2で作成した網状体のみを用いて座部のクッ
ション体の平均見掛け密度が0.062g/cm3、背部
のクッション体の平均見掛け密度が0.056g/c
m3 、サイドのクッション層の平均見掛け密度は0.0
60g/cm3 となるように積層圧縮して熱成形し、アニ
−リングしないで急速に冷却し、各パ−ツの接合を接着
剤で接合して組み立てた以外、実施例2と同様にして作
成したクッション体は、樹脂成形体を使用しないためサ
イド部の凸状形状の表面仕上がりが不良となり、クッシ
ョン体の接合強度が弱く、表2に示す得られた座席の特
性も、座り心地は良好だが、耐久性が劣り座席としては
好ましくない例である。
【0037】比較例3 網状体を用いずに、実施例1で作成したファイバ−フィ
ルウエッブのみをクッション層に用いて、クッション層
の平均見掛け密度が0.062g/cm3 、背部のクッシ
ョン体の平均見掛け密度が0.056g/cm3 、サイド
のクッション層の平均見掛け密度は0.060g/cm3
となるように積層圧縮して熱成形し、アニ−リングしな
いで急速に冷却した以外、実施例2と同様にして作成し
たクッション体を用いて作成した、表2に示す座席の特
性は、座り心地は良好だが、耐熱耐久性の優れた熱可塑
性弾性樹脂からなる網状体を使用しないため、耐久性が
劣り座席としては好ましくない例である。
【0038】比較例4 180g/分の吐出量で、ノズル面下5cmに引取りコン
ベアネットを配して引取り速度1.2m/分にて引取っ
た以外、実施例2と同様にして得た繊度が1800デニ
−ル、燐含有量が9000ppm(60A+200=3
320ppm)、平均の見掛け密度が0.006g/cm
3 の網状体を用いて、座部及び背部のクッション層の見
掛け密度が0.009g/cm3 、サイドのクッション層
の平均見掛け密度は0.009g/cm3 となるように積
層圧縮し、疑似結晶化処理をしなかった以外実施例2と
同様にして得たクッション体を用いた座席は、密度が低
すぎて座り心地が著しく劣り、耐久性も劣る座席の例で
ある。
【0039】比較例5 単孔当たりの吐出量3g/分にて吐出させ、引取りコン
ベアネットの速度を0.3m/分とした以外実施例2と
同様して得た線条繊度が13000デニ−ルで、平均見
掛け密度が0.21g/cm3 の網状体を用い、座部及び
背部のクッション層の密度が0.25g/cm3 、サイド
のクッション層の平均見掛け密度は0.210g/cm3
となるように積層圧縮して熱成形し、アニ−リングしな
いで急速に冷却した以外、実施例2と同様にして作成し
たクッション体を用いて得た座席は、クッション層が硬
いため座り心地がやや劣り、耐久性が不充分な例であ
る。
【0040】比較例6 幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッ
チ10mm、長さ方向の孔間ピッチ20mmの千鳥配列とし
たオリフィス径φ2mmとしたノズルを用いて単孔当たり
の吐出量25g/分にて吐出させて、ノズル面30cm下
に引取りコンベアネットを配して1m/分にて引き取っ
た以外、比較例2と同様にして得た線条の繊度は113
000デニ−ルで平均見掛け密度が0.15g/cm3
網状体を用いて、座部及び背部のクッション層の見掛け
密度が0.035g/cm3 、サイドのクッション層の平
均見掛け密度は0.035g/cm3 となるように積層圧
縮し、疑似結晶化処理をしなかった以外実施例2と同様
にして得たクッション体を用いた座席は、網状体の線条
繊度が著しく太く密度斑があるため、耐久性が悪くな
り、座り心地もやや悪くなる座席の例である。
【0041】比較例7 ノズル面60cm下に引取りコンベアネットを配して引き
取ったあと疑似結晶化処理をしなかった以外、実施例2
と同様の方法で得た網状体の特性の一部を表2に示す。
なお、接着状態が不良で形態保持が悪いため、50%圧
縮時反発力、見掛け密度、補強効果、70℃残留歪、繰
返圧縮歪みの評価はしていない。次いで、この線条がば
らばらの網状体を雌金型に詰め込み、クッション層の見
掛け密度が0.055g/cm3 、サイドのクッション層
の平均見掛け密度は0.060g/cm3 となるように積
層圧縮し、疑似結晶化処理をしなかった以外実施例2と
同様にして得たクッション体を用いた座席は、網状体の
線条が融着していないので座り心地が悪く、網状形態が
固定されていないのでクッション材の損傷が大きくなり
耐久性も劣る例である。
【0042】比較例8 実施例2で得た網状体を用い、実施例1で用いた樹脂成
形体の表面にシリコ−ン油膜を塗布し、接着剤を用いな
いでクッション層の見掛け密度が0.055g/cm3
イドのクッション層の平均見掛け密度は0.060g/
cm3 となるように積層圧縮し、疑似結晶化処理をしなか
った以外実施例2と同様にして得た樹脂成形体と網状体
が接合一体化されていないクッション体を用いて作成し
た座席は、座り心地は悪くないが、耐久性が劣る座席で
あった。
【0043】
【発明の効果】本発明の車両用座席は、座部および背部
の主着部とサイドが分割されて、回復性と振動吸収性の
良い熱可塑性弾性樹脂からなる線条が融着一体化した網
状体をクッション層に用い、多孔質の芯材と補強材、お
よび接合部材の機能を兼備した樹脂成形体が従来のクッ
ション体での深絞り成形部を構成してクッション層と接
合一体化しているため、通気性を良くし、凸部の耐久性
とクッション体の形態保持性を向上させ、自動車や鉄道
車両用の座席に最適な、振動遮断性、耐熱耐久性、形態
保持性、クッション性の優れた、蒸れにくく、分別せず
にリサイクルが可能な座席である。また、従来公知のフ
ァイバ−フィルを用いたクッション体では、深絞り成形
が困難で、成形が煩雑になっているが本発明の方法で
は、深絞り成形を省略して一段で単純な形態の各パ−ツ
に成形加工ができるため、成形加工のコストダウンが図
れ安価に有用な座席を提供できる。更には、各パ−ツが
単純な形態のため、組立前の輸送量が増やせ、また、パ
−ツを必要に応じ交換できるので使用者の経費節減がで
きる。車両用以外に船舶用、事務用、家具用等の座席に
も勿論有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明座席の組立時および分割時の概略を示す
図である。
【図2】本発明座席の座部のサイドと主着座部横断面の
概略を示す図である。
【図3】本発明座席の座部に用いる樹脂成形体の斜視図
である。
【図4】本発明座席の成形加工工程例の概念を示す図で
あり、(A)→(B)→(C)の順に工程は進行する。
【符号の説明】 1:座部主着座 2,3:座部サイド 4:背部主着座 5,6:背部サイド 7,9:主着座部樹脂成形体 8,10:サイド
樹脂成形体 11:網状クッション層 12:樹脂成形
体の開口部 13:ファイバ−フィル層 14:側地 15:樹脂成形体のフック部 16:樹脂成形
体の接合部 17:樹脂成形体の側地引き込み穴 18:雌金型 19:接着剤層 20:金型の通
気穴 21:雄金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/12 8413−4F B68G 7/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 座部及び背部の主着座部とサイド部が分
    割形成され、座席フレ−ムに接合装着された座席であ
    り、座席部分の裏面が開孔率10%以上の射出成形され
    た樹脂成形体からなり、クッション層が繊度が1000
    00デニ−ル以下の連続した線条を曲がりくねらせ互い
    に接触させて該接触部の大部分が融着した3次元立体構
    造体を形成した熱可塑性弾性樹脂からなる見掛け密度が
    0.01〜0.2g/cm3 の網状体で構成され、前記樹
    脂成形体と網状体が接着剤または自己接着により一体接
    合され、表層に側地を配したことを特徴とする車両用座
    席。
  2. 【請求項2】 網状体と側地の間にファイバ−フィルか
    らなるワディング層を配してなる請求項1記載の車両用
    座席。
  3. 【請求項3】 連続した線条の断面形状が中空断面又は
    及び異形断面である請求項1記載の車両用座席。
  4. 【請求項4】 連続した線条の熱可塑性弾性樹脂成分を
    示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以
    下の温度に吸熱ピークを持つ請求項1記載の車両用座
    席。
  5. 【請求項5】 座部及び背部の主着座部とサイド部が分
    割された形状で、個々の部分が雌型に所定形状に切断さ
    れたクッション層となる網状体を配し、その上に裏面又
    は背面となる芯材と補強材の機能を有する形状に成形さ
    れた樹脂成形体を配し、又は網状体と樹脂成形体間に網
    状体の融点より少なくとも10℃以上低い融点を持つ接
    着層を配して、雄型で上からクッション層を圧縮すると
    共に樹脂成形体を介して凹部内側からも凸部を圧縮し、
    網状体の融点より5℃高い温度〜融点より50℃低い温
    度の加熱媒体で加熱して熱成形により一体化した後、一
    旦冷却するか、又は連続して、網状体のガラス転移温度
    より10℃高い温度以上、融点より20℃以上低い温度
    でアニ−リングして得たクッション成形体に側地を取付
    けた各部分を座席フレ−ムに接合して固定することを特
    徴とする車両用座席の製法。
  6. 【請求項6】 クッション成形体と側地間にワディング
    層を配する請求項5に記載の車両用座席の製法。
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