JP3622251B2 - プロピレン系ランダム共重合体及びその積層フィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プロピレン系ランダム共重合体及びその積層フィルムに関する。詳しくは、耐ブロッキング性と低温ヒートシール性の良好なプロピレン系ランダム共重合体とそれを使用した積層フィルムに関する。更に詳しくは、耐ブロッキング性とコロナ処理による低温ヒートシール性の悪化が極めて少なく、透明性に優れるヒートシーラント用プロピレン系ランダム共重合体とそれを使用した積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンは優れた物理的性質を有しているところから、広汎な用途に供されている。例えば、包装用フィルム分野においても広く使用されているが、この種の用途においては低温度におけるヒートシール性を向上させるため、通常、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンとをランダム共重合させたプロピレン系ランダム共重合体として提供されているのが一般的である。これらのランダム共重合体は主に三塩化チタン系触媒かまたはチタン・マグネシウム複合型触媒を用いて重合されたもので、低結晶性・低融点で透明性とヒートシール性が良好である反面、エチレンおよび/またはα−オレフィン含有量が増加するにともない、食品衛生上好ましくないとされている20℃キシレン可溶部が著しく増加するといった欠点があった。
【0003】
また、包装用フィルムとして用いる場合、表面のヒートシール層に印刷性を向上させるため、コロナ放電処理するのが一般的である。しかし、コロナ放電処理の結果、シール層のプロピレン系ランダム共重合体が分解され、低温ヒートシール性が悪化するといった欠点があった。
【0004】
一方、特開平1−266116号公報には、シクロペンタジエニル環を有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物とアルミノキサンからなる触媒の存在下でプロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンをランダム重合させ、20℃キシレン可溶部の少ないプロピレン系ランダム共重合体を得る方法が開示されている。しかし、この方法で得られるランダム共重合体の融点は低いものの、20℃キシレン可溶部の量がまだ多く、耐ブロッキング性については未だ不十分である。さらに、アルミノキサンの触媒残渣は、脱灰が極めて困難であり、光学的性質に悪影響を与える。
【0005】
また、特開平4−175317号公報には、プロピレン含量0.01〜20重量%のシンジオタクチック構造のプロピレン・ブテン−1ランダム共重合体の記載がある。しかし、この共重合体は、ブテン−1含量が高いため、低温ヒートシール性は優れるが、耐ブロッキング性という点に於いては不十分である。
【0006】
特開平5−245992号公報には、低いヒートシール温度で高いシールシーム強さと、良好な光学的性質を有するエチレン含有量4.6重量%のシンジオタクチック構造のプロピレン・エチレンランダム共重合体の記載がある。しかし、一般的にプロピレン・エチレンランダム共重合体は20℃キシレン可溶部が多く、耐ブロッキング性は悪く、シーラントとしては不適当である。
従って、低温ヒートシール性と耐ブロッキング性という二律相反する特性を共に満足するプロピレン系ランダム共重合体は未だ存在しなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術では達成できていない前記の課題、すなわちポリプロピレンのフィルムが本来有する好ましい特性である低温ヒートシール性を有し、そのシール性が印刷性向上のため行うコロナ処理により悪化することが少なく、かつ非常に優れた耐ブロッキング性といった特性を共に満足し、また透明性にも優れたプロピレン系ランダム共重合体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかるプロピレン系ランダム共重合体の開発について鋭意研究した結果、共重合体組成及び極限粘度([η]ということもある。)が特定の範囲にあり、かつ共重合体の融点(Tmということもある。)と20℃キシレン可溶部(CXSということもある。)との間にある特定の関係が成り立つプロピレン系ランダム共重合体によって、かかる課題が達成できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
プロピレン成分と炭素数4ないし10の範囲にあるα−オレフィン成分とからなるプロピレン系ランダム共重合体であって、
(1)シクロペンタジエニル環を有する周期律表第4族の遷移金属化合物、
(2)遷移金属化合物と反応して安定アニオンとなる化合物、
(3)有機アルミニウム化合物、
を必須触媒成分として含有する触媒系で製造され、
(A)α−オレフィン成分含有量が6〜40重量%の範囲にあり、
(B)テトラリン中、135℃で測定した極限粘度([η])が0.45≦[η]≦5.0dl/gの範囲にあり、かつ、
(C)示差走査熱量計によって測定した融点(Tm)と20℃キシレン可溶部(CXS)とが、Tm≦140−35.693×log10(CXS)の関係を有するプロピレン系ランダム共重合体を結晶性ポリプロピレンからなる基材へ積層してなる積層フィルムである。
【0011】
以下、本発明について詳しく説明する。本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、プロピレン成分とα−オレフィン成分とからなる。かかる共重合体は、プロピレンとα−オレフィンとを共重合することにより得ることができる。本発明にいうα−オレフィンとしては、炭素数4〜10のα−オレフィンが使用できるが、好ましくは炭素数4〜6のα−オレフィンであり、特にブテン−1が好適に使用される。これらのα−オレフィンは単独で、又は二種以上のものを併用して使用できる。プロピレン系ランダム共重合体中のα−オレフィン成分の含有量は6〜40重量%であり、好ましくは7〜35重量%であり、更に好ましくは15〜30重量%である。6重量%未満では融点が高すぎて低温ヒートシール性が不足し、40重量%を越えると20℃キシレン可溶部の量が増加し、耐ブロッキング性が悪化する。
【0012】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、テトラリン中、135℃で測定した極限粘度([η])が0.45≦[η]≦5.0dl/gの範囲であり、好ましくは0.45≦[η]≦3.0dl/gの範囲である。[η]が0.45未満の場合は、フィルム加工時に失透を起こし、透明性が著しく悪化する。また、[η]が5.0より大きい場合、加工性が悪化する。
【0013】
また、本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、示差走査熱量計によって測定した融点(Tm)と20℃キシレン可溶部(CXS)との関係が、Tm≦140−35.693×log10(CXS)、好ましくはTm≦137−35.693×log10(CXS)を満足しなければならない。この関係式を満足しない場合は、低温ヒートシール性と耐ブロッキング性といった二律相反する特性を両方とも満足するプロピレン系ランダム共重合体にはならない。
【0014】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、α−オレフィン成分含有量と極限粘度([η])が共に特定の範囲にあり、かつ共重合体の融点(Tm)と20℃キシレン可溶部(CXS)との間にある特定の関係が成り立つことが必要である。これらのいずれかの項目が本発明の範囲をはずれるものでは本願発明の目的である低温ヒートシール性を保ちつつ、コロナ処理によってそのシール性の悪化が少なく、且つ耐ブロッキング性が良好というそれぞれ相反する特性を共に満足するプロピレン系ランダム共重合体とは成り得ない。
【0015】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で少量のエチレンを共重合させることも可能である。
【0016】
なお、本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、その分子鎖中にメチレン単位−(CH2 )−を2個以上有する構造に由来するシグナルが13C−NMRによって検出されるものである。このことは、該共重合体に於いて、プロピレンとα−オレフィンが共重合する際に、頭−頭結合、尾−尾結合が存在する事を示している。なお、該共重合体の13C−NMRの測定は、10mmφの試料管中で約150mgの共重合体を3mlのオルトジクロロベンゼンに溶解した溶液を、通常、測定温度135℃、測定周波数67. 8MHz、スペクトル幅3000Hz、フィルター幅10000Hz、パルス繰り返し時間10秒、パルス幅45°、積算回数5000〜7000回の条件で測定した。
スペクトルの解析は、Kazuo Soga,Takeshi Shiono,Walter Kaminsky,Makromol. Chem., Rapid Commun.,8,305(1987),Alfonso Grassi, Adolfo Zambelli, Luigi Resconi, Enrico Albizzati, Romano Mazzocchi, Macromolecules, 21, 617(1988)の報告に基づいて行った。
【0017】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体の製造には、例えばJ.C.W.Chien et al.,Applied Organometal.Chem.,7,71(1993) 、J.A. Ewen,“Catalyst Desing for Tailor−made Polyolefins” K.Soga and M.Terano, Eds.;Elsevier,Amsterdam, Oxford, New York, Tokyo, 1994, P.405 らの報告に基づいた触媒成分が使用できる。すなわち、
(1)シクロペンタジエニル環を有する周期律表第4族の遷移金属化合物、(2)遷移金属化合物と反応して安定アニオンとなる化合物、
(3)有機アルミニウム化合物、
よりなる触媒系を用いて製造することができる。
【0018】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体の製造に用いられるシクロペンタジエニル環を有する周期律表第4族の遷移金属化合物(1)は、シクロアルカジエニル基またはその置換体が好適に使用できる。具体的には、インデニル基、置換インデニル基及びその部分水素化物からなる群から選ばれた少なくとも2個の基が低級アルキレン基を介して結合した多座配位化合物を配位子とするジルコニウム及びハフニウム化合物が使用できる。
すなわち、遷移金属化合物(1)は、H. H. Brintzinger et al., J. Organometal. Chem., 288 ,63(1985)記載のエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドやJ. Am. Chem. Soc., 109 ,6544(1987) 記載のエチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、H. Yamazaki et al., Chemistry Letters, 1853 (1989)記載のジメチルシリルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、W. Spaleck et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 31, 1347 (1992) 記載のジメチルシリレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム及びハフニウムの立体硬質(stereorigid )キラル(chiral)化合物が挙げられる。
【0019】
具体的に例示すれば、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4, 5, 6, 7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2, 3−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4, 7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(メチルシクロペンタジエニル)(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(メチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(6−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(7−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4, 5, 6, 7−テトラヒドロ−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(2, 3−ジメチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4, 7−ジメチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリル(メチルシクロペンタジエニル)(ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリル(メチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(5−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(6−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(7−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、が挙げられる。
【0020】
遷移金属化合物と反応して安定アニオンとなる化合物(2)としては、トリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートやN, N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミネートのようなテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートやテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミネート含有化合物が好適に使用される。
【0021】
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物(3)は、少なくとも分子内に1個のAl−C結合を有するものである。
かかる有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハライド、ジイソブチルアルミニウムハライド等のジアルキルアルミニウムハライド、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物が例示できる。
【0022】
これらの有機アルミニウム化合物のうち、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物が好ましく、とりわけトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロリドの混合物が好ましい。
有機アルミニウムとしてはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好適に使用される。
【0023】
有機アルミニウム化合物の使用量は、遷移金属化合物(1)中の遷移金属原子1モル当たり1〜1000モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、特に5〜600モルの範囲が好ましい。
【0024】
各触媒成分を重合槽に供給する方法としては、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス中で水分のない状態で、モノマーの存在下に供給する。触媒成分(1)、(2)及び(3)は個別に供給してもよいし、予めその内の二者を接触させて供給してもよい。
【0025】
重合温度は、通常−30〜300℃までにわたって実施することができるが、好ましくは0〜280℃、より好ましくは20〜250℃である。
【0026】
重合圧力は特に制限はないが、工業的かつ経済的であるという点で常圧〜150気圧程度が好ましい。重合時間は一般的に目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが5分から40時間の範囲を取りうる。
重合方法は、連続式でもバッチ式でもいずれも可能である。またプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのような不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合、溶媒重合、無溶媒による液相重合または気相重合もできる。また、本発明の共重合体の分子量を調製するために、水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
本発明の共重合体は、上記重合触媒及び製造方法に何ら限定されるものではない。
【0027】
本発明のランダム共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で常用される酸化防止剤、中和剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤など必要に応じて配合することができる。
【0028】
次に、本発明の積層フィルムについて説明する。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体を積層して積層フィルムにすることにより、ポリプロピレンのフィルムが本来有する好ましい特性である低温ヒートシール性を有し、そのシール性が印刷性向上のため行うコロナ処理により悪化することが少なく、かつ非常に優れた耐ブロッキング性といった特性を両方とも満足し、透明性にも優れた積層フィルムを得ることができる。
【0029】
本発明の積層フィルムは、基材層となるフィルム(或いはシート)の片面、あるいは両面に、上記プロピレン系ランダム共重合体を公知の方法によって積層することにより得ることができる。基材としては、例えば結晶性α−オレフィン重合体が用いられ、特に結晶性ポリプロピレンが好適に使用される。結晶性ポリプロピレンは、一般的には沸騰ヘプタン不溶部分を80%以上含み、極限粘度([η])が1.3〜4.2dl/gを有し、重合体中のプロピレン成分が95%以上のものが好適に使用できる。また結晶性ポリプロピレンは、5%以下のエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1成分等を含む共重合体であってもよい。
【0030】
本発明の積層フィルムは、例えば次の方法により得ることができる。即ち、基材層および上記プロピレン系ランダム共重合体を予め形成したシートを接着剤を用いて加圧ローラー間に一緒に通す方法、上記プロピレン系ランダム共重合体をトルエン等の溶媒の溶液または分散体として基材層上に塗布して積層する方法、上記プロピレン系ランダム共重合体を基材層に溶融押出コーティングして積層する方法、又は上記プロピレン系ランダム共重合体および基材ポリマーを別々の押出機で押出し共通のダイの中または出口で両者がまだ溶融状態のうち接合する方法等によって本発明の積層フィルムが得られる。
【0031】
本発明の積層フィルムは、好ましくは上記プロピレン系ランダム共重合体を積層後、一軸あるいは二軸延伸させる。かかる延伸積層フィルムは次のような公知の方法で製造される。即ち、1.シートを成形する押出用ダイの中、又は出口付近で、まだ溶融状態のうちに両者を複合する所謂共押しで原反積層シートを作製し、その後で、二軸延伸する方法。2.基材のシートに、上記プロピレン系ランダム共重合体を押出ラミネート加工を行ない、その後で二軸延伸する方法。3.基材のシートをあらかじめ金属ロールを含むロール群で加熱状態でMD方向に一軸延伸し、このシート上に、上記プロピレン系ランダム共重合体を押出ラミネート加工を行ない、その後でTD方向へ延伸する方法等が有る。
以上のようにして製造された積層フィルムは、格段に優れた低温ヒートシール性を有するのにもかかわらず、透明性、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性にも優れており、極めて大きな実用的価値を有するものである。
【0032】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが本発明の範囲は実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
なお、発明の詳細な説明および実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)ブテン含有量(単位:重量%)
ブテン−1含有量;13C−核磁気共鳴スペクトル法により決定した。
(2)融点(Tm)(単位:℃)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC)を用いて、あらかじめ試片10mgを窒素雰囲気下で220℃で5分間溶融した後、5℃/分の降温速度で50℃まで降温して結晶化させた。その後、10℃/分で昇温させて、得られた融解吸熱カ−ブの最大ピ−クの温度を融点とした。
(3)ヒートシール温度(単位:℃)
フィルムのシーラント面同士を重ね合わせ加熱されたヒートシーラーで2秒間、2kg/cm2 の荷重をかけ圧着して得た幅25mmのシールされたフィルムを、一夜放置後、23℃で剥離速度200mm/分、剥離角度180°で剥離したときの剥離抵抗力が300g/25mmになるヒートシーラーの温度をヒートシール温度とした。
(4)20℃キシレン可溶部(CXS)(単位:重量%)
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃で乾燥した。その重量を測定して含有%を求めた。
【0034】
(5)ブロッキング (単位:kg/12cm2 )
フィルムを温度60℃、荷重500g/12cm2 下で3時間、フィルムの密着を促進させた後、3cm×10cmにカットした試験片を接着面3cm×4cmとなるよう冶具に固定し、剥離移動荷重速度20g/分で移動させたとき、このフィルムが全部剥離するのに要した荷重で表した。
(6)コロナ処理
コロナ処理は、田辺プラスチック(株)社製のラミネーターと春日電気(株)社製高周波電源を用い、ライン速度30m/分、コロナ放電圧160Vで行った。
(7)透明性(全Haze)(単位:%)
約50mm×50mmの大きさに切断したフィルムをJISK6741によって測定した。
(8)2個以上のメチレン連鎖の存在の有無
日本電子(株)社製EX−270型NMR 装置を用い、前述の明細書記載の方法により測定した。
【0035】
【実施例】
触媒成分(1)のシクロペンタジエニル還を有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物及び触媒成分(2)の遷移金属化合物と反応して安定アニオンとなる化合物としては次のものを使用した。
触媒成分(1)
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドは、Witco(株)製市販品を使用した。また、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリドは日本ファインケミカル(株)製市販品を使用した。
触媒成分(2)
トリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートは、東ソー・アクゾ(株)製市販品を使用した。
【0036】
実施例1
重合
1リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、28gの液化ブテン−1、ついで252gの液化プロピレンを仕込み、オートクレーブの温度を重合温度0℃に冷却し重合の準備をした。
一方、磁気撹拌子を備えた100mlのフラスコを窒素置換し、窒素雰囲気下、活性アルミナ処理することにより精製したトルエン10ml、トリエチルアルミニウム3.5mmol、ついでエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド5. 6μmol加え、室温で5分間撹拌混合した。所定時間撹拌後、準備した前記内容積1リットルのオートクレーブに圧入した。ついで、5mlのトルエンに溶解させたトリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート5. 6μmolを同オートクレーブに圧入し、0℃で0.7時間重合を続けた。所定時間後、イソブチルアルコール10mlを圧入し、さらに30分間撹拌して重合を終了した。重合終了後、未反応モノマーをパージし、オートクレーブ内容物を約2リットルのエタノール中に投入し、析出した重合体を60℃で4時間乾燥し、39gのプロピレン・ブテン−1共重合体を得た。得られた共重合体のブテン−1含量は13C−核磁気共鳴スペクトル法により7.2重量%であり、示差走査熱量計により測定した融点は137℃であった。また、135℃のテトラリン中で測定した極限粘度([η])は0.60dl/gであった。
【0037】
フィルム作製と物性評価
得られた共重合体は、共重合体100重量部に、スミライザーBHTを0.2重量部、イルガノックス1010を0.05重量部、ステアリン酸カルシウムを0.1重量部をそれぞれ添加して小型ロール混練機で10分間混合し、細断してペレットとした。東洋精機製卓上二軸延伸機によりポリプロピレン部(500μ)(住友化学工業(株)製FS2011D:MFR=2.2〜2.8g/10分、密度=0.902g/cm3 、エチレン含量=0.3〜0.5wt%、CXS=3.5wt%、Tm=158℃)と、この共重合体からなるシーラント部(100μ)の二層からなる90mm角の貼り合わせシートを150℃で3分間予熱後、延伸速度 5m/分、倍率(X×Y)5×5倍で延伸加工し、厚さ22μのフィルムを作成した。このフィルムのヒートシール温度は121℃であり、コロナ処理した後のヒートシール温度は121℃であった。ブロッキングは無くその値は、0kg/12cm2 であった。また全Hazeは1.4%であった。評価結果を表1に示した。
【0038】
実施例2
実施例1の重合において、液化ブテン−1を56g、液化プロピレンを224g用い、1.5時間重合を行った以外は実施例1と同様におこない、23gのプロピレン・ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体のブテン−1含量は18.9重量%、融点は119℃、極限粘度([η])は0.57dl/gであった。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は101℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は104℃であった。ブロッキングは、0.27kg/12cm2 であり、また、全Hazeは1.3%であった。評価結果を表1に示した。
【0039】
実施例3
実施例1の重合において、液化ブテン−1を84g、液化プロピレンを196g用い、1.5時間重合を行った以外は実施例1と同様におこない、31gのプロピレン・ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体のブテン−1含量は、25.2重量%、融点は108℃、極限粘度([η])は0.55dl/gであった。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は89℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は91℃であった。ブロッキングは、0.50kg/12cm2 であり、また、全Hazeは0.9%であった。評価結果を表1に示した。
【0040】
実施例4
実施例1の重合において、液化ブテン−1を28g、液化プロピレンを252g、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを4. 9μmol、トリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートを4. 9μmol用い、25℃で1.3時間重合を行った以外は実施例1と同様におこない、132gのプロピレン・ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体のブテン−1含量は、7.8重量%、融点は132℃、極限粘度([η])は、0.46dl/gであった。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は120℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は117℃であった。ブロッキングは、0.35kg/12cm2 であり、また、全Hazeは0.9%であった。評価結果を表1に示した。
【0041】
実施例5
重合
3リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、活性アルミナで処理することにより精製したトルエン1.0リットル、52gの液化ブテン−1ついで105gのプロピレンガスを仕込みオートクレーブの温度を50℃に加熱し重合の準備をした。
一方、磁気攪拌子を備えた100mlのフラスコを窒素置換し、窒素雰囲気下、活性アルミナ処理することにより精製したトルエン10ml、トリイソブチルアルミニウム4.3mmol、ついでエチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド8.5μmolを加え、室温で5分間攪拌混合した。所定時間攪拌後、準備した前記内容積3リットルのオートクレーブにプロピレンガスにて圧入した。ついで4mlのトルエンに溶解させたトリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート8.5μmolを同オートクレーブにプロピレンガスにて圧入し、プロピレンガスをフィードしながら重合圧約6.0kg/cm2 、50℃で1.5時間重合を続けた。所定時間後、イソブチルアルコール10mlを圧入し、さらに30分間攪拌して重合を終了した。重合終了後、未反応モノマーをパージし、オートクレーブ内容物を約5リットルのエタノール中に投入し、析出した重合体を60℃で4時間乾燥し、65gのプロピレン・ブテン−1共重合体を得た。得られた共重合体のブテン−1含量は13C−核磁気共鳴スペクトル法により14.1重量%であり、示差走査熱量計により測定した融点は112℃であった。また、135℃のテトラリン中で測定した極限粘度(〔η〕)は2.26dl/gであった。
【0042】
フィルム作製と物性評価
フィルム作製と物性評価は、実施例1と同様に行った。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は95℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は90℃であった。ブロッキングは1.05kg/12cm2 であり、また、全Hazeは1.7%であった。評価結果を表1に示した。
【0043】
比較例1
実施例1の重合において、液化ブテン−1を56g、液化プロピレンを224g、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを4. 9μmol、トリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートを4. 9μmol用い、25℃で1時間重合を行った以外は実施例1と同様におこない、96gのプロピレン・ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体のブテン−1含量は17.7重量%、融点は116℃、極限粘度([η])は0.39dl/gであった。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は105℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は105℃であった。ブロッキングは、フィルム作製時に失透を起こしたため0kg/12cm2 であった。また、全Hazeは9.1%であった。評価結果を表1に示した。
【0044】
比較例2
実施例1の重合において、液化ブテン−1を84g、液化プロピレンを196g、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを4. 9μmol、トリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートを4. 9μmol用い、25℃で1.5時間重合を行った以外は実施例1と同様におこない、51gのプロピレン・ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体のブテン−1含量は24.7重量%、融点は104℃、極限粘度([η])は0.42dl/gであった。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は92℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は101℃であった。ブロッキングは、フィルム作製時に失透を起こしたため0kg/12cm2 であった。また、全Hazeは15.7%であった。評価結果を表1に示した。
【0045】
比較例3
実施例1の重合において、液化ブテン−1を140g、液化プロピレンを140g、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを4. 9μmol、トリフェニルカルビニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートを4. 9μmol用い、25℃で1.5時間重合を行った以外は実施例1と同様におこない、25gのプロピレン・ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体のブテン−1含量は43.1重量%、融点は78℃、極限粘度([η])は0.41dl/gであった。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は55℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は55℃であった。ブロッキングは、2kg/12cm2 以上で測定不能であった。また、全Hazeは1.6%であった。評価結果を表1に示した。
【0046】
比較例4
住友ノーブレンBH180G(住友化学工業(株)製、プロピレン・ブテン−1共重合体:ブテン−1含量は22.9重量%、融点は138℃、極限粘度([η])は1.86dl/g)をシーラント部に用いた。実施例1と同様に作製したフィルムのヒートシール温度は90℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は111℃であった。ブロッキングは、2kg/12cm2 以上で測定不能であった。また、Hazeは0.4%であった。評価結果を表1に示した。
【0047】
比較例5
3リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、活性アルミナ処理することにより精製したn−ヘキサン1.0リットル、トリエチルアルミニウム4.4mmol、及びシクロヘキシルエチルジメトキシシラン0.33mmolを仕込み、水素圧 100mmHgを加えた。ついで94gの液化プロピレンと100gの液化ブテンを仕込み、オートクレーブの温度を50℃に昇温した後、特開平1−319508号公報記載(実施例2(A),(B))の方法で調製した固体触媒27mgをヘキサンスラリーにしてプロピレンガスにて圧入し、プロピレンガスをフィードしながら重合圧約4.0kg/cm2 、50℃で2時間重合を続けた。重合終了後未反応モノマーをパージし、プロピレンオキサイト3.0ml添加することにより脱灰した。オートクレーブ内容物は約4倍量のエタノール中に投入し、析出した重合体を60℃で4時間減圧乾燥し、161gのプロピレン・ブテン−1共重合体を得た。この共重合体のブテン−1含量は21.0重量%、融点は131℃、極限粘度([η])は2.03dl/gであった。フィルムのヒートシール温度は105℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は114℃であった。ブロッキングは1.59kg/12cm2 であり、全Hazeは1.3%であった。評価結果を表1に示した。
【0048】
比較例6
重合
1リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、84gの液化ブテン−1、ついで196gの液化プロピレンを仕込み、オートクレーブの温度を重合温度0℃に冷却し重合の準備をした。
一方、磁気撹拌子を備えた100mlのフラスコを窒素置換し、窒素雰囲気下、活性アルミナ処理することにより精製したトルエン10ml、ポリメチルアルモキサン(東ソー・アクゾ(株)製市販品、モディファイドメチルアルモキサン)をアルミニウム原子濃度で1.75mmol、ついでエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド5. 6μmol加え、室温で5分間撹拌混合した。所定時間撹拌後、準備した前記内容積1リットルのオートクレーブに圧入し、0℃で1時間重合を続けた。所定時間後、イソブチルアルコール10mlを圧入し、さらに30分間撹拌して重合を終了した。重合終了後、未反応モノマーをパージし、オートクレーブ内容物を約2リットルのエタノール中に投入し、析出した重合体を60℃で4時間乾燥し、84gのプロピレン・ブテン−1共重合体を得た。この共重合体のブテン−1含量は29.6重量%、融点は97.5℃、極限粘度([η])は0.50dl/gであった。
【0049】
フィルム作製と物性評価
実施例1と同様な方法で作製したフィルムのヒートシール温度は75℃、コロナ処理後のヒートシール温度は77℃であった。ブロッキングは1.13kg/12cm2 であった。全Hazeは3.1%と不良であった。評価結果を表1に示した。
【0050】
比較例7
比較例6の重合において、液化ブテン−1を56g、液化プロピレンを224g用い、25℃で重合を行った以外は比較例6と同様に行ない、193gのプロピレン・ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体のブテン−1含量は、22.6重量%、融点は110℃、極限粘度([η])は0.41dl/gであった。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は99℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は104℃であった。ブロッキングは、フィルム作製時に失透を起こしたため0kg/12cm2 であり、全Hazeは10.6%であった。評価結果を表1に示した。
【0051】
比較例8
重合
3リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、活性アルミナで処理することにより精製したトルエン1.0リットル、27gの液化ブテン−1ついで108gのプロピレンガスを仕込みオートクレーブの温度を50℃に加熱し重合の準備をした。
一方、磁気攪拌子を備えた100mlのフラスコを窒素置換し、窒素雰囲気下、活性アルミナ処理することにより精製したトルエン10ml、ポリメチルアルモキサン(東ソー・アクゾ(株)製 市販品、モディファイドメチルアルモキサン)をアルミニウム原子濃度で10.9mmol、ついでエチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド4.4μmolを加え、室温で5分間攪拌混合した。所定時間攪拌後、準備した前記内容積3リットルのオートクレーブにプロピレンガスにて圧入し、プロピレンガスをフィードしながら重合圧約6.0kg/cm2 、50℃で1時間重合を続けた。所定時間後、イソブチルアルコール10mlを圧入し、さらに30分間攪拌して重合を終了した。重合終了後、未反応モノマーをパージし、オートクレーブ内容物を約5リットルのエタノール中に投入し、析出した重合体を60℃で4時間乾燥し、41gのプロピレン・ブテン−1共重合体を得た。得られた共重合体のブテン−1含量は13C−核磁気共鳴スペクトル法により13.3重量%であり、示差走査熱量計により測定した融点は109℃であった。また、135℃のテトラリン中で測定した極限粘度(〔η〕)は2.35dl/gであった。
【0052】
フィルム作製と物性評価
フィルム作製と物性評価は、実施例1と同様に行った。この共重合体をシーラント部に用いたフィルムのヒートシール温度は93℃、コロナ処理した後のヒートシール温度は91℃であった。ブロッキングは0.65kg/12cm2 であり、また、全Hazeは4.9%と不良であった。評価結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明により、優れた耐ブロッキング性とコロナ処理による低温ヒートシール性の悪化が極めて少なく、透明性にも優れたプロピレン系ランダム共重合体及びその積層フィルムを得ることができる。このプロピレン系ランダム共重合体はヒートシーラントに好適に使用でき、積層フィルムは包装用フィルムとして使用できる。また、本発明により得られた積層フィルムはCXSが少なく、食品用包装フィルムとしても好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の理解を助けるためのフローチャート図である。本フローチャート図は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明は何らこれに限定されるものではない。
Claims (3)
- プロピレン成分と炭素数4ないし10の範囲にあるα−オレフィン成分とからなるプロピレン系ランダム共重合体であって、
(1)シクロペンタジエニル環を有する周期律表第4族の遷移金属化合物、
(2)遷移金属化合物と反応して安定アニオンとなる化合物、
(3)有機アルミニウム化合物、
を必須触媒成分として含有する触媒系で製造され、
(A)α−オレフィン成分含有量が6〜40重量%の範囲にあり、
(B)テトラリン中、135℃で測定した極限粘度([η])が0.45≦[η]≦5.0dl/gの範囲にあり、かつ、
(C)示差走査熱量計によって測定した融点(Tm)と20℃キシレン可溶部(CXS)とが、Tm≦140−35.693×log10(CXS)の関係を有するプロピレン系ランダム共重合体を結晶性ポリプロピレンからなる基材層へ積層してなることを特徴とする積層フィルム。 - プロピレン系ランダム共重合体が、分子鎖中にメチレン単位−(CH2 )−を2個以上有する構造に由来するシグナルを13C−NMRにより検出するプロピレン系ランダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
- α−オレフィン成分含有量が、7〜35重量%の範囲にあるプロピレン系ランダム共重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層フィルム。
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