JP2001040147A - ポリオレフィン系樹脂組成物からなる延伸物並びに二軸延伸フィルム - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物からなる延伸物並びに二軸延伸フィルム

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JP2001040147A
JP2001040147A JP21822599A JP21822599A JP2001040147A JP 2001040147 A JP2001040147 A JP 2001040147A JP 21822599 A JP21822599 A JP 21822599A JP 21822599 A JP21822599 A JP 21822599A JP 2001040147 A JP2001040147 A JP 2001040147A
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xylene
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JP21822599A
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Yoshihiro Mogi
義博 茂木
Hiroshi Fujiishi
博士 藤石
Chiaki Okumura
千晶 奥村
Tetsuya Satsuba
哲哉 札場
Satoshi Ishigaki
聡 石垣
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Japan Polyolefins Co Ltd
Original Assignee
Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速成形性、延伸加工性、剛性、耐熱性、耐
ブロッキング性、透明性等に優れたポリオレフィン系樹
脂組成物からなる延伸物並びに二軸延伸フィルムを提供
する。 【解決手段】 (a)DSCによる融点(Tm)が14
5℃以上であり、(b)GPC測定による分子量分布
(Mw/Mn)が2.0〜15であり、(c)MFRが
0.2〜10g/10分であり、(d)25℃キシレン
抽出不溶分(XI)が90.0〜98.0重量%であ
り、(e)25℃キシレン抽出可溶分(XS)が2〜1
0重量%であり、かつ(f)25℃キシレン抽出可溶分
(XS)のGPCによる重量平均分子量(Mw)が5×
104 以上であるポリオレフィン系樹脂組成物を用いた
延伸物並びに二軸延伸フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速成形性および
製品特性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物および該
樹脂を用いた延伸物並びに二軸延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン延伸フィルムは、引張強
度、衝撃強さ、剛性、透明性や気体透過性に優れ、耐熱
性も良好であり、また、電気特性や耐油性にも優れるこ
とから、食品包装、医薬品包装、雑貨包装等各種包装用
フィルムのみならず、建材分野では、化粧板、合板、金
属板等のラミネート用や各種化粧板成形時の離型材用と
して、あるいは、ブックカバー、化粧箱、食品ケース等
にも用いられている。また、粘着テープ等の工業用フィ
ルム、コンデンサー等の電気部品など、幅広い分野で使
用されている。
【0003】近年、ポリプロピレン延伸フィルムの剛性
等の物性を改良し、成形をさらに高速化することが望ま
れている。剛性等が改良された二軸延伸フィルムとして
は、高立体規則性触媒による高結晶性ポリプロピレンを
用いた二軸延伸フィルムが挙げられる。高立体規則性の
高結晶性ポリプロピレンを高活性で得る方法は、例え
ば、特開昭61−209207号公報、特開昭62−1
04810号公報、特開昭62−104811号公報、
特開昭62−104812号公報、特開昭62−104
813号公報、特開平2−166104号公報、特開平
1−318011号公報、特開平2−166104号公
報などに開示されている。
【0004】このような高立体規則性の結晶性ポリプロ
ピレンは、剛性が高く、一般に高い融点、高い熱変形温
度を有し、透明性が高いなどの優れた性質を示すため、
フィルムや容器などの用途に好適に用いられている。し
かしながら、高立体規則性ポリプロピレン単独重合体
は、延伸加工性が悪く、延伸時に幕割れ等の問題が発生
しやすいという欠点を持っていた。
【0005】そこで、高立体規則性ポリプロピレンの延
伸加工性を改良する方法が従来から数多く提案されてい
る。例えば、少量のエチレンを共重合させ、延伸加工性
を改良する方法が、特公昭46−11027号公報、特
公昭64−6211号公報、特公平3−4371号公報
に提案されている。しかしながら、これらの方法によっ
て得られたポリプロピレン樹脂は、良好な延伸加工性
と、優れた剛性、透明性およびフィルムの耐ブロッキン
グ性等とを併せ持つ二軸延伸フィルム用ポリプロピレン
としては、未だに不満足なものであった。
【0006】また、特開平7−292032号公報に
は、良好な延伸加工性を持ちながら剛性や透明性をあわ
せもつ二軸延伸用ポリプロピレンを与える高結晶性ポリ
プロピレン用触媒が提案されている。しかしながら、こ
のポリプロピレン樹脂も、良好な延伸加工性と優れた透
明性、剛性および耐ブロッキング性とを併せ持つ二軸延
伸用ポリプロピレンとしては、不満足なものであった。
【0007】このように、従来より用いられてきた延伸
フィルム用のポリプロピレン樹脂では、十分満足できる
良好な高速延伸成形性および優れた種々の製品物性を提
供できなかった。これまで知られているポリプロピレン
樹脂では、立体規則性を高くし、かつ常温キシレン可溶
成分を1重量%以下に抑えると、剛性や耐熱性等の製品
物性は向上するが、延伸性が悪くなるという問題があっ
た。一方、常温キシレン可溶成分を増やすと、延伸性は
改善されるが、延伸フィルムのブロッキング性が低下し
てしまうという問題があった。また、延伸成形加工性を
改善するするために少量のエチレンを共重合する方法の
場合にも、常温キシレン可溶成分が増え、延伸加工性は
改善されるが、延伸フィルムのブロッキング性は低下す
るという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑み、高速成形性、延伸加工性、剛性、耐熱性、
耐ブロッキング性、透明性等に優れたポリオレフィン系
樹脂組成物を用いた延伸物並びに二軸延伸フィルムを提
供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】優れた延伸加工性を持
ち、剛性、耐熱性、耐ブロッキング性、透明性等の物性
に優れたポリオレフィン系樹脂組成物について種々検討
した結果、常温キシレン可溶成分が増えると、延伸フィ
ルムの耐ブロッキング性が低下してしまうが、この原因
は常温キシレン可溶成分の分子量が小さいことにあるこ
とがわかった。更に詳細に検討した結果、優れた延伸加
工性と優れた製品物性を持つ本発明のポリオレフィン系
樹脂組成物の完成に至った。
【0010】すなわち、本発明の請求項1の延伸物は、
下記(a)〜(f)の要件を満足するポリオレフィン系
樹脂組成物からなることを特徴とする。 (a)示差走査熱量測定法(DSC)による融点(T
m)が145℃以上、(b)ゲルパーミエイションクロ
マトグラフィー(GPC)測定による分子量分布(Mw
/Mn)が2.0〜15、(c)メルトフローレート
(MFR)が0.2〜10g/10分、(d)25℃キ
シレン抽出不溶分(XI)が90.0〜98.0重量
%、(e)25℃キシレン抽出可溶分(XS)が2〜1
0重量%、(f)25℃キシレン抽出可溶分(XS)の
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)に
よる重量平均分子量(Mw)が5×104以上
【0011】また、本発明の請求項2の延伸物は、下記
(A)成分90〜98重量%と下記(B)成分2〜10
重量%を含有し、(d)25℃キシレン抽出不溶分(X
I)が90.0〜98.0重量%であり、(f)25℃
キシレン抽出可溶分(XS)のゲルパーミエイションク
ロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(M
w)が5×104 以上であるポリオレフィン系樹脂組成
物からなることを特徴とする。 [A成分]下記(a1)〜(a3)の要件を満足するポ
リオレフィン (a1)示差走査熱量測定法(DSC)による融点(T
m)が145℃以上、(a2)ゲルパーミエイションク
ロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量
(Mw)が25×104 以上60×104 以下、(a
3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GP
C)測定による分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜1
5 [B成分]下記(b1)〜(b3)の要件を満足するポ
リオレフィン (b1)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
PC)測定による重量平均分子量(Mw)が5×104
以上、(b2)ゲルパーミエイションクロマトグラフィ
ー(GPC)測定による分子量分布(Mw/Mn)が
4.5未満 (b3)示差走査熱量測定法(DSC)による融点(T
m)が45℃以下であり、その融解熱が4J/g以下
【0012】また、本発明の二軸延伸フィルムは、前記
延伸物であって、縦延伸倍率2〜10倍、横延伸倍率2
〜10倍で二軸延伸されてなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の請求項1に係るポリオレフィン系樹脂組成物の
(a)DSCによる融点(Tm)は、145℃以上であ
り、好ましくは155℃以上である。融点(Tm)が1
45℃未満では、耐熱性や剛性が低下する。本発明にお
いて、DSCによる融点(Tm)とは、示差走査熱量計
による融解熱量測定によって得られた融解曲線の吸熱ピ
ークの頂点の温度である。
【0014】本発明の請求項1に係るポリオレフィン系
樹脂組成物の(b)GPC測定による分子量分布(Mw
/Mn)は、2.0〜15の範囲であり、好ましくは
3.5以上10以下である。分子量分布(Mw/Mn)
が2.0未満では、押出し成形時の圧力が高くなって発
熱し、吐出量が下がるなどの点で好ましくない。分子量
分布(Mw/Mn)が15を超えると、延伸安定性、製
品の偏肉および耐衝撃性等の点で好ましくない。本発明
において、GPC測定による分子量分布(Mw/Mn)
とは、GPCによって測定される重量平均分子量Mwと
数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)であり、分子量の
値はポリスチレン基準の換算値である。
【0015】本発明の請求項1に係るポリオレフィン系
樹脂組成物の(c)メルトフローレート(MFR)は、
0.2〜10g/10分であり、好ましくは0.5〜5
g/10分であり、さらに好ましくは0.8〜3g/1
0分である。MFRがこの範囲にあることで、シートの
押出し成形性が良好となる。本発明において、MFR
は、JIS K7210に従い、条件−14の方法で測
定される。
【0016】本発明の請求項1に係るポリオレフィン系
樹脂組成物の(d)25℃キシレン抽出不溶分(XI)
は90.0〜98.0重量%であり、好ましくは94重
量%以上98.0重量%以下である。25℃キシレン抽
出不溶分(XI)が90重量%未満では、剛性、耐熱性
が低下する。25℃キシレン抽出不溶分(XI)が98
重量%を超えると、延伸加工性が悪化する。本発明にお
いて、25℃キシレン抽出不溶分(XI)とは、25℃
のキシレンに不溶なポリマーの重量%であり、より詳し
くは135℃のオルトキシレンに一旦溶解し、25℃で
析出したポリマーの重量%である。
【0017】本発明の請求項1に係るポリオレフィン系
樹脂組成物は、(e)25℃キシレン抽出可溶分(X
S)が2〜10重量%であり、かつ(f)25℃キシレ
ン抽出可溶分(XS)のGPC測定による重量平均分子
量(Mw)が5×104 以上である。25℃キシレン抽
出可溶分(XS)が2重量%未満では、延伸加工性が悪
化する。25℃キシレン抽出可溶分(XS)が10重量
%を超えると、剛性、耐熱性が低下し、耐ブロッキング
性が悪化する。また、25℃キシレン抽出可溶分(X
S)のGPC測定による重量平均分子量(Mw)が5×
104 未満では、耐ブロッキング性が悪化する。本発明
において、25℃キシレン抽出可溶分(XS)とは、2
5℃キシレンに可溶な成分であり、詳しくは135℃の
オルトキシレンに一旦溶解し、25℃で析出したポリマ
ーをろ過等で取り除いた後、この抽出液から溶媒を蒸発
等により取り除いた時に析出した析出物の重量%であ
る。
【0018】本発明の請求項1に係るポリオレフィン系
樹脂組成物は、上記パラメーターを満足すれば、直接重
合により調製されたもの、ブレンドにより調製されたも
の等、特に限定されない。また、本発明の請求項1に係
るポリオレフィン系樹脂組成物は、上記パラメータを満
足すれば特に限定されず、プロピレンの単独重合体であ
ってもよく、プロピレンあるいはエチレンと他のα−オ
レフィンとの共重合体からなり、複数の(共)重合体を
ブレンドした組成物であってもよい。上記他のα−オレ
フィンは、エチレンあるいは炭素数4〜20のα−オレ
フィンが好ましい。具体的には、エチレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−オクテンなどが挙げられる。プロピレンと
他のα−オレフィンとの共重合体における他のα−オレ
フィンの合計量は、5モル%以下であることが好まし
く、耐熱性の観点から3重量%以下が好ましい。
【0019】このようなポリオレフィン樹脂組成物は、
種々の方法により製造することができる。例えば、国際
特許公開WO95−31490号、特開平7−2920
22号公報、特開平8−73530号公報に記載されて
いるような、固体チタン状触媒成分と有機金属化合物触
媒成分とから形成される触媒(例えば、マグネシウム化
合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合物および電子供
与性化合物を必須成分とする固体触媒を、さらに一般式
TiXa・Yb(式中、XはCl、Br、Iのハロゲン
原子を、Yはフタル酸ジイソブチル等の電子供与性化合
物を、aは3もしくは4の整数、bは3以下の整数をそ
れぞれ表す)で示されるチタン化合物で処理後、ハロゲ
ン化合物で洗浄し、さらに炭化水素で洗浄して得られる
重合触媒)、もしくは、これら両成分および電子供与体
から構成される高活性チタン触媒、またはメタロセン化
合物とアルミノキサンあるいはイオン性化合物などの助
触媒から形成される触媒を用いて製造することができ
る。
【0020】本発明の請求項2に係るポリオレフィン系
樹脂組成物は、(a1)DSCによる融点(Tm)が1
45℃以上であり、(a2)GPC測定による重量平均
分子量(Mw)が25×104 以上60×104 以下で
あり、(a3)GPC測定による分子量分布(Mw/M
n)が2.0〜15であるポリオレフィン((A)成
分)90〜98重量%と、(b1)GPC測定による重
量平均分子量(Mw)が5×104 以上であり、(b
2)GPC測定による分子量分布(Mw/Mn)が4.
5未満であり、(b3)DSCによる融点(Tm)が4
5℃以下であり、その融解熱が4J/g以下でるポリオ
レフィン((B)成分)2〜10重量%を含有し、
(d)25℃キシレン抽出不溶分(XI)が90.0〜
98.0重量%であり、(f)25℃キシレン抽出可溶
分(XS)のGPCによる重量平均分子量(Mw)が5
×104 以上のポリオレフィン系樹脂組成物である。
【0021】(A)成分の(a1)DSCによる融点
(Tm)は、145℃以上であり、好ましくは155℃
以上である。融点(Tm)が145℃未満では、延伸フ
ィルム等の耐熱性や剛性が低下する。
【0022】(A)成分の(a2)GPC測定による重
量平均分子量(Mw)は、25×104 以上60×10
4 以下であり、好ましくは28×104 以上45×10
4 以下である。重量平均分子量(Mw)が25×104
未満では、延伸フィルムの前駆体であるシート成形にお
いて、シートが垂れるなどして、肉厚の均一なシートの
成形が困難となる。また、60×104 を超えると、押
出し圧力が高く、樹脂温度が高くなり、ポリオレフィン
系樹脂組成物が劣化し、着色するなど好ましくない。
【0023】(A)成分の(a3)GPC測定による分
子量分布(Mw/Mn)は2.0から15の範囲であ
る。より好ましくは3.5以上10以下である。2.0
未満では押出し成形時の圧力が高くなり発熱し、吐出量
が下がるなどの点で好ましくない。15を超える場合で
は延伸安定性や製品の偏肉及び耐衝撃性等の点で好まし
くない。
【0024】上記(A)成分は、上記の要件を満たす限
り、プロピレンの単独重合体であっても、プロピレンと
他のα−オレフィンとのランダムあるいはブロック共重
合体であってもよい。また、複数の(共)重合体をブレ
ンドした組成物でもよい。他のα−オレフィンは、エチ
レンあるいは炭素数4〜20のα−オレフィンが好まし
い。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテンなどが挙げられる。プロピレンと他のα−オレフ
ィンとの共重合体における他のα−オレフィンの合計量
は、10モル%以下であることが好ましく、耐熱性の観
点から3重量%以下が好ましい。
【0025】本発明の請求項2に係るポリオレフィン系
樹脂組成物の(B)成分は、(A)成分による延伸フィ
ルムの物性(剛性や耐熱性)を低下させずに、優れた延
伸加工性を延伸フィルムに付与するための成分である。
上記(B)成分の(b1)GPC測定による重量平均分
子量(Mw)は、5×104 以上であり、好ましくは8
×104 以上であり、さらに好ましくは10×104
上である。重量平均分子量(Mw)が5×104 未満で
は、ロール巻き延伸フィルムの互着(ブロッキング)の
虞が生じる。
【0026】(B)成分の(b2)GPC測定による分
子量分布(Mw/Mn)は、ロール巻き延伸フィルムの
互着等に好ましくない低分子量成分を少なくするため
に、4.5未満であり、好ましくは3.5未満である。
【0027】融点を持たない成分は延伸しても結晶化せ
ず少量であれば延伸フィルムの耐熱性を下げることはし
ないが、低融点の成分は延伸時に配向結晶化し、製品の
耐熱性を低下させるので、剛性や耐熱性を低下させない
ためには、(B)成分の(b3)DSCによる融点(T
m)は、45℃以下であり、その融解熱(ΔH)は、4
J/gr以下である必要がある。融点(Tm)が45℃
を超え、その融解熱(ΔH)が4J/grを超えると、
延伸フィルムの剛性や耐熱性が低下する。好ましくは、
融点(Tm)は30℃以下であり、その融解熱(ΔH)
は0J/grである。
【0028】(B)成分は、上記要件を満たす限り、プ
ロピレンの単独重合体であっても、プロピレンと他のα
−オレフィンとのランダムあるいはブロック共重合体で
あってもよい。または、複数の(共)重合体をブレンド
した組成物でもよい。(B)成分がプロピレン単独重合
体の場合には、全く結晶性のない非晶性ポリプロピレン
を得るために、13C−NMRダイアッドで求めた立体規
則性指数[mm],[mr],[rr]のなかで[m
r]の割合が45%以上であることが望ましい。
【0029】上記他のα−オレフィンは、エチレンある
いは炭素数4〜20のα−オレフィンが好ましい。具体
的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなど
が挙げられる。プロピレンと、他のα−オレフィンとの
共重合体における他のα−オレフィンの合計量は10モ
ル%以上、70モル%以下であることが好ましい。
【0030】(B)成分のポリオレフィンは、種々の方
法により製造することができる。例えば、固体チタン状
触媒成分と有機金属化合物触媒成分とから形成される触
媒、もしくはこれら両成分および電子供与体から構成さ
れる高活性チタン触媒、またはメタロセン化合物とアル
ミノキサンあるいはイオン性化合物などの助触媒から形
成される触媒を用いて製造することができる。本発明で
は、(B)成分はメタロセン触媒を用いて製造されたも
のが、延伸フィルムの耐ブロッキング性を低下させる低
分子量成分が少なく、また耐熱性を低下させる低融点成
分を全く生成しない好適な非晶性ポリプロピレン、ポリ
オレフィンを提供する点で好ましく、特に下記のような
メタロセン触媒を用いて製造されたものが好ましい。
【0031】(B)成分を製造する際に好適に用いられ
るメタロセン触媒は、周期律表第4族から選ばれる遷移
金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合
物及び/またはイオン化イオン性化合物とからなる。具
体的には、特開平6−234813号公報に記載のメタ
ロセン触媒を用いた製造方法により得ることができる。
このようして得られるポリオレフィンを一種だけ用いて
も、2種混合して用いてもよい。
【0032】本発明の請求項2に係るポリオレフィン系
樹脂組成物において、(A)成分は90〜98重量%で
あり、(B)成分は2〜10重量%である。好ましくは
(A)成分は93〜97重量%、(B)成分は3〜7重
量%である。(A)成分が98重量%を超えると、高速
での延伸性等の成形性が悪くなる。一方、(A)成分が
90重量%未満では、剛性や耐熱性等の製品特性が悪く
なってしまう。(B)成分が2重量%未満では、高速で
の延伸性等の成形性が悪くなる。一方、(B)成分が1
0重量%を超えると、剛性や耐熱性等の製品特性が悪く
なってしまう。
【0033】本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物
は、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、
耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロ
ッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、核剤、可塑剤、老化
防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機あるいは有機
質の充填剤等の添加剤を必要に応じて配合されていても
よい。
【0034】本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物
は、必要に応じて添加剤を配合し、通常は単軸あるいは
二軸の溶融混練機を用いて200℃〜290℃の範囲の
温度で20〜30秒間程度、加熱溶融して混練した後、
さらに粒状に切断されたペレット状態にして、延伸物や
二軸延伸フィルム成形材料として供される。
【0035】本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物
は、通常以下に述べる既存の方法にて延伸加工されて、
フィルム、テープ、ヤーン等の一軸または二軸に延伸さ
れた延伸物とすることができる。本発明の延伸物とは、
一軸または多軸の延伸物を包含し、このような延伸物と
しては、例えば、フィルム、テープ、繊維、ヤーン、延
伸ブロー容器等が挙げられる。また、本発明における延
伸とは、ロール延伸、テンター延伸、圧延等を包含す
る。
【0036】特に、本発明に係るポリオレフィン系樹脂
組成物は、二軸延伸フィルムとして好適に用いることが
できる。本発明の二軸延伸フィルムは、例えば、以下の
ようにして製造することができる。本発明に係るポリオ
レフィン系樹脂組成物を押出機にて溶融後、Tダイより
押出し、冷却ロールにてシート状に冷却固化する。次い
で、得られたシートを多数の加熱ロールにて縦方向に余
熱、延伸し、続いて余熱部、延伸部および熱処理部から
なる加熱炉にて横方向に延伸し、必要に応じてコロナ処
理を施し、巻き取る。
【0037】二軸延伸フィルム製造時のポリオレフィン
系樹脂組成物の溶融温度は、分子量にも依るが、通常2
00℃〜290℃の範囲で行われる。縦延伸温度は13
0〜150℃、縦延伸倍率は2〜10倍、好ましく3〜
9倍の範囲で行われ、横延伸温度は150〜165℃、
横延伸倍率は2〜10倍、好ましくは4〜9倍の範囲で
行われる。縦延伸倍率が2倍未満、横延伸倍率が2倍未
満では、延伸フィルムの剛性や耐熱性が不足ぎみとな
る。縦方向も横方向も延伸倍率10倍を超えて延伸でき
る設備は無く、実質的に10倍が上限である。
【0038】本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物
による延伸物および二軸延伸フィルムは、単独で一層で
用いてもよく、他樹脂層との複層で用いてもよい。本発
明に係るポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、以上の
ようにして製造された二軸延伸ポリオレフィンフィルム
は、従来の二軸延伸フィルムに比較し、優れた延伸加工
性を有し、合わせて優れた剛性、耐衝撃性等の機械的強
度を持ち、良好な耐熱性、透明性を持ち、さらに優れた
耐ブロッキング性を持ち、ピンホールの少ない蒸着フィ
ルムとなりうるものである。
【0039】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、本発明はその主旨を越えない限り、実施例により
限定されるものではない。実施例および比較例における
各項目の測定、評価は以下の方法で行った。
【0040】(1)融点Tm、融解熱ΔH パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製のDSC7を使
用し、試料を230℃に加熱後、230℃で5分間保持
し、20℃/分の冷却走査で結晶化熱量測定した後、再
び25℃で5分間保持し、20℃/分の加熱走査で融解
熱量測定を行った。融解熱量測定によって得られた融解
曲線の吸熱ピークの頂点の温度を融点Tmとし、融解曲
線の融解熱量より融解熱ΔHを求めた。
【0041】(2)重量平均分子量(Mw)および分子
量分布(Mw/Mn) 重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)
は、ウォターズ社製の150C(カラム:昭和電工社
製、Shodex、GPCAT-806MS)を使用し、1,2,4
−トリクロロベンゼン中、カラム温度135℃、溶媒流
量1ml/分で測定した。分子量の値はポリスチレン基
準の換算値で示した。
【0042】(3)25℃のキシレン抽出不溶分(X
I)および抽出可溶分(XS) ポリオレフィン系樹脂組成物を135℃のオルトキシレ
ンに溶解し、25℃で析出したポリマーをキシレン抽出
不溶分(XI)(重量%)とした。また、ポリオレフィ
ン系樹脂組成物を135℃のオルトキシレンに溶解し、
25℃で析出したポリマーをろ過で取り除いた後の抽出
液から溶媒を蒸発により取り除いたものを25℃キシレ
ン抽出可溶分(XS)(重量%)とした。
【0043】(4)MFR MFRは、JIS K7210に従い、条件―14の方
法で測定した。 (5)13C−NMR ポリオレフィン、ポリプロピレンの立体規則性は、日本
電子社製のFT−NMR GX−270装置を用い、ソ
ルベント(ODCB/C66/HMDS)3mlにポリ
マー300mgを140℃で溶解し、120℃で測定し
た。立体規則性[mm],[mr],[rr]の解析
は、新版 高分子分析ハンドブック(1995年1月
株式会社紀伊国屋書店発行、609頁〜611頁) に記
載されている方法により行った。
【0044】(6)二軸延伸フィルムの作成 (A)成分と(B)成分の混合物に対し、フェノール系
酸化防止剤1000ppm、リン系酸化防止剤1500
ppm、ステアリン酸カルシウム1500ppmを加
え、これを神戸製鋼(株)製の二軸押出機、KTX―3
0連続混練造粒機を用いて、230℃で溶融混合し、ポ
リオレフィン系樹脂組成物を調製した。次に、伸晃機械
製作所製35mmφシート成形機を用い、上記ポリオレ
フィン系樹脂組成物を樹脂温度250℃、チルロール温
度30℃の条件でシート状に成形した。このシートを岩
本製作所製二軸延伸機により、温度145℃〜165℃
の所定の温度で75秒余熱した後、同じ温度で縦横それ
ぞれ延伸倍率6倍に同時延伸し、厚み20μmの二軸延
伸フィルムを作製した。
【0045】(7)延伸加工性の評価 二軸延伸フィルムの延伸加工性の評価は、二軸延伸フィ
ルム作製時に、フィルムの偏肉や破れが無く、均一なフ
ィルムであるか否かにより、下記の基準でで評価した。 〇:偏肉無く均一、△:一部に偏肉がある、×:破れが
生じた
【0046】(8)ブロッキング性の評価 上記方法で得られた二軸延伸フィルムから150mm×
100mmの大きさのフィルムシートを4枚切り出し
た。これらフィルムシートを2枚1組とし、この2枚1
組のフィルムシートで表面の滑らかな100mm×10
0mmサイズの紙の上下を挟んだ。この積層体の上に底
面積100mm×100mmサイズで重さ10kgの重
りを載せ、50℃のオーブン中に入れた。24時間後、
積層体を23℃の恒温室に取り出した。2時間後、引張
試験機でフィルムシートと紙の間の剥離強度を測定し、
ブロッキング度(g/100cm2 )を評価した。
【0047】(9)透明性 二軸延伸フィルムの透明性(ヘイズ:単位%)はAST
M D1003に準拠して測定した。 (10)ヤング率 二軸延伸フィルムのヤング率(単位:kg/cm2
は、以下のようにして求めた。二軸延伸フィルムから幅
20mm、長さ200mmの試験片を縦方向(MD)お
よび横方向(TD)から採取した。これらの試験片につ
いて、引張試験機によりチャック間隔60mm、引張速
度5mm/分の条件下でS−S曲線をとり、これから初
期弾性率を求めた。
【0048】[触媒成分の合成] (1)N,N−ジメチルアニリウム[4−(クロロジメ
チルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ
ル]トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラートの合成 国際公開特許WO9641808号の実施例2に従って
合成した。 (2)ビス[2−メチル−4,5−ベンゾ(η5−1−
インデニル)]ジメチルシランジルコニウムジクロライ
ドの合成 特開平6−184179号公報の実施例Aに従って合成
した。
【0049】(3)ビス[2−メチル−4−(1−ナフ
チル)−(η5−1−インデニル)]ジメチルシランジ
ルコニウムジクロライドの合成 特開平6−100579号公報の実施例Fに従って合成
した。 (4)ジメチルシリレンビスフルオレニルジルコニウム
ジクロライドの合成 特開平6−234813号公報の実施例1の(B)に記
載の方法に従って合成した。
【0050】[(A)成分の製造方法](A)成分のポ
リオレフィン(POA−1〜5)は以下のようにして製
造した。得られたポリオレフィンの物性は表1に示す。
【0051】(POA−1) 「固体Ti触媒成分の調製」無水塩化マグネシウム1.
69g、デカン9mlおよび2−エチルヘキシルアルコ
ール8.4mlを130℃で3時間加熱、反応させ、均
一溶液とした。この溶液中に無水フタル酸0.39gを
添加し、130℃で2時間撹拌混合し、無水フタル酸を
該均一溶液に溶解させた。このようにして得られた均一
溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化
チタン70ml中に1時間にわたって全量滴下、装入し
た。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて11
0℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチル
フタレート0.97gを添加し、温度を110℃に保持
しながら2時間撹拌した。反応終了後、熱時ろ過にて固
体部を採取し、この固体部を70mlのTiCl4 にて
再懸濁させた後、再び110℃で2時間加熱反応させ
た。反応終了後、再び熱時ろ過にて固体部を採取し、洗
浄中に遊離のTiが検出されなくなるまでデカンおよび
ヘキサンにて充分洗浄後、減圧下で乾燥して、固体Ti
触媒成分を得た。
【0052】「プロピレンの重合」1.5リットルのス
テンレス製オートクレーブに、上記の方法で得られた固
体Ti触媒成分4.8mg、テキシルトリメトキシシラ
ン10.6mg(0.1mol/リットルのヘキサン溶
液0.8ml)、トリエチルアルミニウム90mg(1
mol/リットルのヘキサン溶液)を入れ、次いで34
0gのプロピレンおよび0.03gの水素を入れた。オ
ートクレーブを昇温し、内温を80℃に保った。1時間
後、内容ガスを放出して重合を終結させ、160gの粉
末状のポリプロピレン(POA−1)を得た。
【0053】(POA−2)テキシルトリメトキシシラ
ンの代わりにテキシルイソプロポキシジメトキシシラン
を13.3mg加えた以外は、POA−1の製造方法と
同様にして触媒の調製および重合を行い、150gのポ
リプロピレン(POA−2)を得た。
【0054】(POA−3)テキシルトリメトキシシラ
ンの量を16.0mgに変えた以外は、POA−1の製
造方法と同様にして触媒の調製および重合を行い、16
5gのポリプロピレン(POA−3)を得た。
【0055】(POA−4) 「触媒成分の調製」窒素雰囲気下において、乾燥トルエ
ン中の乾燥シリカのスラリーを、トルエンに溶解された
メチルアルモキサン(MAO)で、MAO/シリカの重
量比を0.5に保ちながら処理した。混合物を還流下で
4時間加熱し、液体をデカンテーションした。固体をト
ルエンで数回洗浄し、乾燥して触媒成分を得た。
【0056】「プロピレン重合用触媒の調製」調製した
触媒成分55mgと0.5mol/リットルのトリノル
マルブチルアルミニウムのトルエン溶液1mlとを混合
したスラリーに、0.5mmol/リットルのビス[2
−メチル−4−(1−ナフチル)−(η5−1−インデ
ニル)]ジメチルシランジルコニウムジクロライドのト
ルエン溶液5mlを添加後、5分間撹拌しプロピレン重
合用触媒のスラリーを得た。
【0057】「プロピレンの重合」1.5リットルのオ
ートクレーブに0.1mol/リットルのトリノルマル
ブチルアルミニウムトルエン溶液0.5ml、プロピレ
ン8molを入れ、水素を120mol−ppmとなる
まで導入し、70℃に昇温した。その後、上記プロピレ
ン重合用触媒をオートクレーブ中に圧入して60分間重
合した。260gのポリプロピレン(POA−4)を得
た。
【0058】(POA−5) 「触媒成分の調製」ジクロロメタン30mlにシリカ
(富士デビソン社製952)0.5gを加えたスラリー
に、N,N−ジメチルアニリウム[4−(クロロジメチ
ルシリル)―2,3,5,6−テトラフルオロフェニ
ル]トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート0.3
3gをジクロロメタン6mlに溶解させた溶液を添加し
た。撹拌下で2時間還流させた後、上澄みを除去し、残
部をジクロロメタンで洗浄し、触媒成分を得た。
【0059】「プロピレン重合用触媒の調製」0.55
mmol/lのビス[2−メチル−4,5−ベンゾ(η
5−1−インデニル)]ジメチルシランジルコニウムジ
クロライドのトルエン溶液1.0mlと、0.52mo
l/lのトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液1
mlおよびトルエン3mlを混合した溶液に、上記触媒
成分35mgを添加し、3分間撹拌し、プロピレン重合
用触媒を得た。
【0060】「プロピレンの重合」1.5リットルのオ
ートクレーブに0.1mol/lのn−ブチルリチウム
のヘキサン溶液0.5mlおよびプロピレン8molを
加え、50℃に昇温した。その後、上記プロピレン重合
触媒をオートクレーブ中に圧入し、30分間重合を行
い、300gのポリプロピレン(POA−5)を得た。
【0061】
【表1】
【0062】[(B)成分の製造方法](B)成分のポ
リオレフィン(POB−1〜5)は以下のようにして製
造した。得られたポリオレフィンの物性を表2に示す。
【0063】(POB−1)ジャケット、スクリュー撹
拌器、熱抵抗を備え、温度調節用のサーモスタットに連
絡した1リットルのガラスブウス加圧器内で、トリイソ
ブチルアルミニウムAl(i−Bu)3 のヘキサン溶液
を脱気し、窒素気流中、減圧乾燥し、これに0.4リッ
トルのn−ヘキサンを供給し、50℃にした。触媒液を
次のようにして調製した。ジメチルシリレンビスフルオ
レニルジルコニウムジクロライド15.6mgおよびM
AO 229.6mgを10mlのトルエンに溶解さ
せ、この溶液3.8mgを1.045mgのMAOが含
まれたトルエン20mlに加えた。この液を、プロピレ
ン気流中、上記加圧器に注入した。加圧器をプロピレン
で4−バール−aに加圧し、重合を90分行った。メタ
ノール中で凝結し、乾燥後に固有粘度1.41dl/g
を有する固形で透明なポリプロピレン(POB−1)4
9gを分離した。示差走査熱量測定では溶融エンタルピ
ー(ΔHf)によるピークは検出されなかった。その他
の物性は表2に示す。
【0064】(POB−2)加圧器の温度を60℃にし
た以外はPOB−1と同じ方法でプロピレンの重合を行
った。53gの非晶質のポリプロピレン(POB−2)
を得た。
【0065】(POB−3)機械撹拌器、35mlのス
テンレスバイアル、熱抵抗を備え、温度調節用サーモス
タットに結合した、1.4リットルのジャケットステン
レス加圧釜を前もってプロピレン気流中70℃で乾燥
し、これに480gのプロピレンを充填した。加圧釜を
40℃に温度調節した。ジメチルシリレンビスフルオレ
ニルジルコニウムジクロライド1.6mgを含有するト
ルエン溶液11.5mlと326mgのMAOを室温で
5分間撹拌した。これをステンレスバイアルを経て、プ
ロピレン圧により、加圧釜に注入し、温度を急速に50
℃に上げ、重合をこの温度で1時間行った。固形で、透
明な非晶質ポリプロピレン(POB−3)を21g得
た。示差走査熱量測定では溶融エンタルピー(ΔHf)
によるピークは検出しなかった。
【0066】(POB−4)加圧器の温度を70℃にし
た以外はPOB−1と同じ方法でプロピレンの重合を行
った。60gの非晶質のポリプロピレン(POB−4)
を得た。
【0067】(POB−5)加圧釜の温度を30℃にし
た以外はPOB−3と同じ方法でプロピレンの重合を行
った。23gの非晶質のポリプロピレン(POB−5)
を得た。
【0068】
【表2】
【0069】[実施例1]POA−1とPOB−1(重
量比95:5)の混合物に、フェノール系酸化防止剤1
000ppm、リン系酸化防止剤1500ppm、ステ
アリン酸カルシウム1500ppmを加え、これを神戸
製鋼(株)製の二軸押出機、KTX−30連続混練造粒
機を用いて、230℃で、溶融混合し、ポリオレフィン
系樹脂組成物のペレットを調製した。得られたポリオレ
フィン系樹脂組成物の物性を表3に示す。得られたペレ
ットを上記の二軸延伸成形法により成形し、延伸加工性
と延伸フィルムの特性を評価した。結果を表4に示す。
【0070】[実施例2]POA−2とPOB−2(重
量比95:5)の混合物を用いた以外は、実施例1と同
様にして評価を行った。結果を表3および表4に示す。
【0071】[実施例3]POA−1とPOB−3(重
量比97:3)の混合物を用いた以外は、実施例1と同
様にして評価を行った。結果を表3および表4に示す。
【0072】[実施例4]POA−1とPOB−3(重
量比93:7)の混合物を用いた以外は、実施例1と同
様にして評価を行った。結果を表3および表4に示す。
【0073】[実施例5]POA−3とPOB−5(重
量比90:10)の混合物を用いた以外は、実施例1と
同様にして評価を行った。結果を表3および表4に示
す。
【0074】[実施例6]POA−2とPOB−4(重
量比98:2)の混合物を用いた以外は、実施例1と同
様にして評価を行った。結果を表3および表4に示す。
【0075】[実施例7]POA−4とPOB−1(重
量比95:5)の混合物を用いた以外は、実施例1と同
様にして評価を行った。結果を表3および表4に示す。
【0076】[実施例8]POA−5とPOB−5(重
量比96:4)の混合物を用いた以外は、実施例1と同
様にして評価を行った。結果を表3および表4に示す。
【0077】[実施例9]POA−2とPOB−3(重
量比97:3)の混合物を用いた以外は、実施例1と同
様にして評価を行った。結果を表3および表4に示す。
【0078】[比較例1] 「触媒成分の調製」無水塩化マグネシウム(市販の無水
塩化マグネシウムを乾燥した窒素気流中で約500℃に
おいて15時間加熱乾燥することによって得られたも
の)20g(0.21モル)と塩化ベンゾイルとを振動
ボールミル用の容器(ステンレス製の円筒型、内容積1
リットル、直径が10mmの磁製ボールを見かけ容積で
約50%充填)に入れた。これを振幅が6mm、振動数
が30Hzの振動ボールミルに取り付け、8時間共粉砕
を行った。得られた均一状の共粉砕物の内、15gを5
00mlのフラスコに入れ、さらに、予め125mlの
トルエン中で四塩化チタン0.43モル(81.3g)
および亜りん酸トリフェニル0.23モル(68.26
g)を70℃で混合、反応させることによって得られた
溶液を加え、70℃で2時間混合した。得られた固体成
分をろ別した後、トルエンを用い、ろ液中に四塩化チタ
ンが検出されなくなるまで洗浄した。洗浄後、減圧下、
40℃で乾燥することにより、触媒成分を得た。
【0079】「プロピレンの重合」3.0リットルのス
テンレス製のオートクレーブに以上の方法で調製された
触媒成分、トリエチルアルミニウム4.8ミリモル(5
13mg)を事前に接触させた溶液(溶媒はトルエン、
濃度はアルミニウム原子で1モル/リットル)および安
息香酸エチル1.46ミリモル(219mg)を入れ
た。ついで、直ちに760gのプロピレンおよび0.0
7gの水素を加えた。オートクレーブを昇温し、重合系
を70℃に保った。60分間重合を行った後、内容ガス
を放出して重合を終結させ、331gのポリプロピレン
を得た。このポリプロピレンについて、実施例1のポリ
オレフィン系樹脂組成物と同様にして評価を行った。物
性を表3および成形評価結果を表4に示す。
【0080】[比較例2]プロピレン重合の重合時間を
120分にした以外は、POB−1の製造方法と同様に
してポリプロピレンの製造を行った。このポリプロピレ
ンについて、実施例1のポリオレフィン系樹脂組成物と
同様の評価を行った。物性を表3および成形評価結果を
表4に示す。
【0081】[比較例3]POA−1のみを用い、実施
例1のポリオレフィン系樹脂組成物と同様の評価を行っ
た。物性を表3および成形評価結果を表4に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
の延伸物は、(a)DSCによる融点(Tm)が145
℃以上であり、(b)GPC測定による分子量分布(M
w/Mn)が2.0〜15であり、(c)MFRが0.
2〜10g/10分であり、(d)25℃キシレン抽出
不溶分(XI)が90.0〜98.0重量%であり、
(e)25℃キシレン抽出可溶分(XS)が2〜10重
量%であり、かつ(f)25℃キシレン抽出可溶分(X
S)のGPCによる重量平均分子量(Mw)が5×10
4 以上であるポリオレフィン系樹脂組成物からなるの
で、高速成形性、延伸加工性、剛性、耐熱性、耐ブロッ
キング性、透明性等に優れたものとなる。
【0085】また、本発明の請求項2の延伸物は、(a
1)DSCによる融点(Tm)が145℃以上であり、
(a2)GPC測定による重量平均分子量(Mw)が2
5×104 以上60×104 以下であり、(a3)GP
C測定による分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜15
であるプロピレン単独重合体あるいはプロピレンと他の
α−オレフィンとの共重合体((A)成分)90〜98
重量%と、(b1)GPC測定による重量平均分子量
(Mw)が5×104 以上であり、(b2)GPC測定
による分子量分布(Mw/Mn)が4.5未満であり、
(b3)DSCによる融点(Tm)が45℃以下であ
り、その融解熱が4J/g以下であるポリプロピレン
((B)成分)2〜10重量%とを含有し、(d)25
℃キシレン抽出不溶分(XI)が90.0〜98.0重
量%であり、(f)25℃キシレン抽出可溶分(XS)
のGPCによる重量平均分子量(Mw)が5×104
上であるポリオレフィン系樹脂組成物からなるので、高
速成形性、延伸加工性、剛性、耐熱性、耐ブロッキング
性、透明性等に優れたものとなる。
【0086】また、本発明の二軸延伸フィルムは、前記
ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、縦延伸倍率が3
〜10倍であり、横延伸倍率が6〜10倍であるので、
延伸加工性、剛性、耐熱性、耐ブロッキング性、透明性
等に優れたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 千晶 大分県大分市大字中ノ洲2番地 日本ポリ オレフィン株式会社大分研究所内 (72)発明者 札場 哲哉 大分県大分市大字中ノ洲2番地 日本ポリ オレフィン株式会社大分研究所内 (72)発明者 石垣 聡 大分県大分市大字中ノ洲2番地 日本ポリ オレフィン株式会社大分研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA81 AA84 AA88 AA89 AF14 AF23 AF30 AF45 AF58 AH05 AH19 BB08 BC01 4F210 AA03 AB06 AB19 AE01 AG01 QC05 QC07 QG01 QG18 4J002 BB051 BB121 BB141 BB151 GG00 GG01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)〜(f)の要件を満足するポ
    リオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする延
    伸物。 (a)示差走査熱量測定法(DSC)による融点(T
    m)が145℃以上、 (b)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GP
    C)測定による分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜1
    5、 (c)メルトフローレート(MFR)が0.2〜10g
    /10分、 (d)25℃キシレン抽出不溶分(XI)が90.0〜
    98.0重量%、 (e)25℃キシレン抽出可溶分(XS)が2〜10重
    量%、 (f)25℃キシレン抽出可溶分(XS)のゲルパーミ
    エイションクロマトグラフィー(GPC)による重量平
    均分子量(Mw)が5×104以上
  2. 【請求項2】 下記(A)成分90〜98重量%と下記
    (B)成分2〜10重量%を含有し、(d)25℃キシ
    レン抽出不溶分(XI)が90.0〜98.0重量%で
    あり、(f)25℃キシレン抽出可溶分(XS)のゲル
    パーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による
    重量平均分子量(Mw)が5×104以上であるポリオ
    レフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする延伸
    物。 [A成分]下記(a1)〜(a3)の要件を満足するポ
    リオレフィン (a1)示差走査熱量測定法(DSC)による融点(T
    m)が145℃以上、 (a2)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
    PC)測定による重量平均分子量(Mw)が25×10
    4 以上60×104 以下、 (a3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
    PC)測定による分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜
    15 [B成分]下記(b1)〜(b3)の要件を満足するポ
    リオレフィン (b1)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
    PC)測定による重量平均分子量(Mw)が5×104
    以上、 (b2)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
    PC)測定による分子量分布(Mw/Mn)が4.5未
    満 (b3)示差走査熱量測定法(DSC)による融点(T
    m)が45℃以下であり、その融解熱が4J/g以下
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の延伸物で
    あって、縦延伸倍率2〜10倍、横延伸倍率2〜10倍
    で二軸延伸されてなることを特徴とする二軸延伸フィル
    ム。
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