JP3622247B2 - 燃焼器具の安全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、炊飯器やテーブルこんろ等の調理器から、給湯器や湯沸器等までも含めた燃焼器具において、所定の条件でガスの供給を制御する安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来このような安全装置としては、特開平6−26653号公報に開示の如く、炎による加熱で熱起電力を発生する熱電対と、その熱起電力で開弁保持される電磁弁と、温度上昇と共に電気抵抗値が急増する正特性の感温素子とを直列に接続したり、或は前記熱電対と、温度上昇と共に電気抵抗値が低下する負特性の感温素子との並列回路に前記電磁弁を接続したりして構成されたガス制御回路の発明が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記ガス制御回路においては、電磁弁へ供給される熱電対の熱起電力が感温素子の電気抵抗値に直接影響を受けるものとなるから、正特性の感温素子ではその常温抵抗値が30mΩ程度以下でないと、火力の絞り特性に影響を与えたり、燃焼不良が生じたりする。これは負特性の感温素子でも同様で、電気抵抗値が緩やかに変化する特性から燃焼への影響は無視できず、何れにしても現状での燃焼器具への適用には問題を抱えている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、電磁弁を吸着開弁保持させる熱電対等の熱電素子の熱起電力が、採用される感温素子等に影響を受けず、燃焼器具本来の性能を損なうことなく好適な作動が得られる安全装置を提供するもので、その構成は、まず第一発明として、熱電素子と、その熱電素子の熱起電力によって吸着開弁保持される電磁弁とを備えた熱電回路を電界効果トランジスタのドレイン・ソースに接続する一方、前記電界効果トランジスタのゲート・ソースに、乾電池と、設定温度でOFFするバイメタルスイッチとを備えた通電制御回路を接続したことを特徴とするものである。
又第二発明として、前記熱電回路をドレイン・ソースへ接続した電界効果トランジスタのゲートには、乾電池と、温度上昇によって電気抵抗値が緩やかに低下する負特性の感温素子とを備え、前記感温素子の電気抵抗値の変化に応じて上昇する電圧を、感温素子の所定温度までは電界効果トランジスタをONさせ、所定温度到達後はOFFさせるゲート電圧に変換する通電制御回路を接続した燃焼器具の安全装置であって、通電制御回路に、乾電池から得た基準電圧を非反転入力端子へ、前記感温素子から得た比較電圧を反転入力端子へ夫々入力させ、出力端子の電圧を前記電界効果トランジスタのゲートへ印加させるコンパレータを採用し、前記基準電圧と比較電圧の少なくとも一方を、任意に増減して前記コンパレータへ入力可能としたことを特徴とするものである
【0005】
【作用】
第一発明によれば、通常は乾電池によって通電制御回路が通電し、電界効果トランジスタのゲートへ電圧が印加されるから、ドレイン・ソース間の抵抗は少なく、熱電回路での熱電素子は電磁弁へ吸着電流を供給できる。そして温度上昇したバイメタルスイッチが設定温度に達すると、そこでOFF作動して通電制御回路の通電を停止させるから、電界効果トランジスタへゲート電圧はかからなくなり、ドレイン・ソース間の抵抗が上昇して熱電回路での電磁弁への吸着電流が減少し、電磁弁は閉弁する。
又第二発明によれば、感温素子が所定温度に達する前は比較的高い電気抵抗値にあるから、通電制御回路では電界効果トランジスタをONさせる電圧がゲートへ印加され、ドレイン・ソース間の抵抗を小さくして熱電回路で電磁弁の吸着電流を通電させる。そして感温素子が所定温度に達すると、通電制御回路では電界効果トランジスタへのゲート電圧が減少して電界効果トランジスタをOFF、即ちドレイン・ソース間の抵抗を大きくして熱電回路の通電量を減少させ、電磁弁への吸着電流の供給を停止させることになる。
更に前記通電制御回路にコンパレータを採用しているため、比較電圧が基準電圧を越えない間は、電界効果トランジスタをONさせるゲート電圧が出力され、感温素子の電気抵抗値減少と共に上昇する比較電圧が基準電圧を越えた時点で、電界効果トランジスタをOFFさせるゲート電圧が出力されることになる。更に比較電圧又は基準電圧を任意に増減して入力させれば、電界効果トランジスタがスイッチされる所定温度の変更ができる。
【0006】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
実施例1
図1はガステーブルこんろへ適用した第一発明の安全装置の回路図を示すもので、通電制御回路1は、電源としての乾電池2と、こんろ部の五徳に載せる鍋底に設置され、設定温度でOFF作動するバイメタルスイッチ3と、バーナの点火スイッチと連動するスイッチ4とを、NチャンネルMOS形の電界効果トランジスタ5(以下FET5と略称する)のゲート・ソースGSへ直列に接続したもので、更にゲート・ソースGSには、バイメタルスイッチ3がOFF作動の時、FET5のドレイン・ソースDS間の抵抗が確実に上昇する様にFET5のゲートGをプルダウンする為の抵抗6が並列に接続されている。
一方前記FET5のドレイン・ソースDSには、バーナヘッド近傍へ配置される熱電対8と、ガス供給管に設けられ、開弁によりガス通路を開放するマグネット電磁弁9とが直列に接続されて、熱電回路7を構成している。
【0007】
このように構成された安全装置は、バーナ点火時の点火スイッチのON操作と連動してスイッチ4が閉じられ、通電制御回路1が通電する。するとFET5のゲートGへ印加される電圧によってドレイン・ソースDS間の電流が制御されるFETの特性により、ドレイン・ソースDS間の抵抗が小さくなるから、バーナの炎を感知した熱電対8の熱起電力で熱電回路7が通電し、点火スイッチのONと同時に強制的に開弁されたマグネット電磁弁9が吸着開弁保持され、バーナの燃焼が維持されることになる。
しかし鍋底温度が上昇し、バイメタルスイッチ3が設定温度に達すると、ここでOFF作動して通電制御回路1の通電を停止させるから、FET5のゲートGに電圧がかからなくなり、ドレイン・ソースDS間の抵抗が上昇して、熱電回路7での通電量が減少する。よって吸着電流が得られなくなったマグネット電磁弁9は閉弁し、ガスの供給を遮断する。又バーナの立ち消えの場合は、熱起電力の消滅によって熱電回路7での通電が停止して、マグネット電磁弁9を閉弁させることになる。このように本実施例では、設定温度で確実に作動する安全装置を簡単に低コストで構成することができ、特にマグネット電磁弁9を吸着開弁保持させる熱電回路7と別にしたバイメタルスイッチ3の通電制御回路1を、FET5で関連させた構成であるから、バイメタルスイッチ3の接点抵抗に劣化が生じてもバーナの燃焼には影響を与えない。
【0008】
実施例2
次に負特性の感温素子を用いた第二発明の安全装置の実施例を説明する。
図2での熱電回路7は上記実施例1と同様であるから説明を省略するが、通電制御回路10において、乾電池2の電源電圧は、抵抗11,12により分圧されて基準電圧V としてコンパレータ13の非反転入力端子(+)へ入力され、前記抵抗11,12と並列接続されたNTCサーミスタ14と可変抵抗器15によって同じく分圧される比較電圧V は、コンパレータ13の反転入力端子(−)へ入力されて、電源電圧に抵抗16によってプルアップされたコンパレータ13の出力端子電圧V がFET5のゲートGへ印加される構成となっている。
よってこのように構成された安全装置においては、前記可変抵抗器15の抵抗値を任意の値に固定してスイッチ4がONされると、通電制御回路10においてはNTCサーミスタ14の電気抵抗値が高い値にあるから、コンパレータ13の反転入力端子(−)へ入力される比較電圧V は非反転入力端子(+)への基準電圧V より小さく、コンパレータ13からの出力端子電圧V 、即ちFET5のゲートGへ印加される電圧は図3のようにHiレベルとなる。従ってFET5のドレイン・ソースDS間の抵抗が減少する結果となって熱電回路7に吸着電流が流れ、点火時に開弁されたマグネット電磁弁9はそのまま開弁保持されることとなる。
しかし鍋底温度が上昇すると、温度上昇と共に電気抵抗値が緩やかに下降するNTCサーミスタ14により、コンパレータ13へ入力される比較電圧V が徐々に上昇し、その値が非反転入力端子(+)への基準電圧V を越えた時点(ここが設定温度となる)で、出力端子電圧V が図3のようにLoレベルとなるから、FET5のゲート電圧が減少すると共にドレイン・ソースDS間の抵抗が上昇して熱電回路7での通電量を減少させ、吸着電流が得られなくなったマグネット電磁弁9を閉弁させるのである。
【0009】
このように本実施例においては、NTCサーミスタ14を用いた場合でも、マグネット電磁弁9を閉弁させる設定温度が得られ、燃焼器具の性能に影響を与えないという実施例1での効果も維持できる。特に本実施例では、可変抵抗器15によって、コンパレータ13へ入力される比較電圧V を変更することができるから、FET5をONからOFF作動させるタイミングを任意に変更すること、即ち設定温度の選択が可能となる。よって調理器に採用した場合は、鍋底温度を検知して設定温度で作動する従来の安全機能に加え、設定温度の変更により調理に合わせて作動する構成にもできる。一方給湯器や湯沸器に採用した場合も、例えば任意の設定温度に対して出湯温度が+10℃以上となった場合にガス供給をカットする等の対応ができ、設定温度が単一のバイメタルスイッチやPTCサーミスタ等に比べて幅広い利用形態が可能となる。
【0010】
尚FETをスイッチさせる通電制御回路は上記実施例に限定するものでなく、例えば実施例2における比較電圧の増減を基準電圧側で行う回路構成とする等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
【0011】
【発明の効果】
以上第一、第二発明によれば、信頼性の高い安全装置を低コストで簡単に構成することができ、又電磁弁を吸着開弁保持させる熱電回路を通電制御回路と別にして、電界効果トランジスタを介して制御させる構成としたことで、絞り特性への影響や燃焼不良等がなく、燃焼器具本来の性能を損なわずに好適な安全機能を維持できる。
特に第二発明において通電制御回路にコンパレータを採用し、入力される比較電圧或は基準電圧を任意に増減可能としているので、電界効果トランジスタがスイッチされる設定温度の変更ができて燃焼器具の使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の安全装置の回路図である。
【図2】実施例2の安全装置の回路図である。
【図3】コンパレータで制御される電圧の変化を示す説明図である。
【符号の説明】
1,10・・通電制御回路、2・・乾電池、3・・バイメタルスイッチ、4・・スイッチ、5・・電界効果トランジスタ、6・・抵抗、7・・熱電回路、8・・熱電対、9・・マグネット電磁弁、11,12,16・・抵抗、13・・コンパレータ、14・・NTCサーミスタ、15・・可変抵抗器。

Claims (2)

  1. 熱電素子と、その熱電素子の熱起電力によって吸着開弁保持される電磁弁とを備えた熱電回路を電界効果トランジスタのドレイン・ソースに接続する一方、前記電界効果トランジスタのゲート・ソースに、乾電池と、設定温度でOFFするバイメタルスイッチとを備えた通電制御回路を接続してなる燃焼器具の安全装置。
  2. 熱電素子と、その熱電素子の熱起電力によって吸着開弁保持される電磁弁とを備えた熱電回路を電界効果トランジスタのドレイン・ソースに接続する一方、前記電界効果トランジスタのゲートに、乾電池と、温度上昇によって電気抵抗値が緩やかに低下する負特性の感温素子とを備え、前記感温素子の電気抵抗値の変化に応じて上昇する電圧を、感温素子の所定温度までは電界効果トランジスタをONさせ、所定温度到達後はOFFさせるゲート電圧に変換する通電制御回路を接続してなる燃焼器具の安全装置であって、
    前記通電制御回路が、前記乾電池から得た基準電圧を非反転入力端子へ、前記感温素子から得た比較電圧を反転入力端子へ夫々入力させ、出力端子の電圧が前記電界効果トランジスタのゲートへ印加されるコンパレータを備えたものであり、更に前記基準電圧と比較電圧の少なくとも一方を、任意に増減して前記コンパレータへ入力可能としたことを特徴とする燃焼器具の安全装置
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