JP3622066B2 - γ−リノレン酸含有レーヨン繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、γ−リノレン酸(以下、GLAと略称する。)の安定な乳化液を使用したGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法に関する。
GLAは、血管拡張、降圧作用、血小板凝集抑制作用の他、アレルギー症状、特にアトピー性皮膚炎等の改善の作用を有していると言われている、高度不飽和脂肪酸の一種である。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の化合物を含有させたレーヨン等の再生セルロース繊維が公知であり、例えば無機化合物を含有させたものとして、活性炭(例えば、特開平1−256545号公報、同3−79601号公報、等)、金属類(例えば、特開平2−307906号公報、同2−307952号公報、同3−199407号公報、同4−146207号公報、同5−49682号公報、同5−86501号公報、等)等が、有機化合物を含有させたものとして、キトサン(例えば、特開平1−157046号公報、同4−185757号公報、同4−289211号公報、同5−186945号公報、等)、有機硫黄窒素系化合物(例えば、特開平3−104913号公報、等)、4級アンモニウム塩等の抗菌剤(例えば、特開平3−227403号公報、同4−257309号公報、同5−339811号公報、等)等が報告されている。
しかしながら、これらはいずれも酸・アルカリ、特にアルカリに対して安定な化合物であり、アルカリに対して不安定な高度不飽和脂肪酸を含有させた報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特にアルカリあるいは光に対して変化しやすく、酸化分解をおこしやすい高度不飽和脂肪酸の一種であるGLAの安定な乳化液、及びこれを使用したGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究の結果、乳化液中でのGLAあるいはGLA含有イオルの粒径が乳化液の安定性及びビスコースとの相溶性に重大な影響を及ぼすこと、粒径を選定することにより安定性に優れ水溶液中での分散保持性にも優れた乳化液が得られ、該乳化液を使用すると非常にアルカリ性の強いビスコースであるにもかかわらずGLAを効率よくレーヨン繊維に含有させることができること、更に抗酸化剤を添加することにより製造時あるいは製品中での空気酸化あるいは日光等による酸化分解の防止に有効であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、GLAの安定な乳化液を使用したGLA含有レーヨン繊維の製造方法を提供するものである。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の乳化液は、GLAを乳化剤とともに脱塩水に加え、常法により混合攪拌することにより製造され、乳化液中のGLAあるいはGLA含有オイルの粒径が10〜2000nmのものである。
粒径が2000nmを越えると、乳化液の安定性が劣り、またビスコースと混和紡糸の際、凝集が起こるためと推察しているが、濾過性が劣るため、好ましくない。
本発明で使用されるGLAはいずれのものでも可能であるが、例えばハーブの一種であるボラージ草の種子を搾油法にて抽出したGLA含有オイル(ボラージオイル)を例示することができる。添加量は使用するGLAによっても異なるが、GLA純分として1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%である。
一方、使用できる乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級アルキルポリグリコール誘導体、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸、高級アルコールサルフェート塩、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、ソルビットの高級脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル等を例示することができるが、中でもポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。乳化剤の添加量は、5〜15重量%程度が好ましい。
また、乳化液を製造する際に、GLAの酸化を防止する目的で不活性ガス、例えば窒素ガス等により置換することが好ましい。
【0006】
本発明の乳化液は、乳化液・レーヨン繊維の製造時、あるいは製品中でのGLAの酸化を防止する目的で抗酸化剤を添加することができる。
使用できる抗酸化剤としては、3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと略称する。)の他に、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤等を例示することができ、これらは1種あるいは2種以上を併用することもできる。
酸化防止剤は、レーヨン繊維に対して0.01〜0.5重量%程度の添加で十分である。
また、必要に応じ、乳化安定剤としてグリセリン、ソルビット等を添加することもできる。
【0007】
本発明では、上記乳化液をビスコースに添加し、混和後紡糸することによるGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法が提供される。
ビスコース、紡糸条件等は通常のセルロース再生繊維の製造条件が適用される。GLAの乳化液は、紡糸直前、好ましくは10分以内に添加することが好ましく、添加方法はいずれの方法でもよいが、インジェクション方式による添加がGLAの分解を防ぐために特に好ましい。
GLAの添加量は特に限定されないが0.3〜5重量%程度が好ましい。5重量%を越えて添加すると、繊維物性が低下する。
【0008】
【実施例】
以下実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
参考例1
攪拌機(ホモジナイザー)付きの密閉ステンレスタンクにボラージ草から抽出されたGLA含有オイル(商品名ボラージオイル、日本合成化学工業(株)製、GLA含有20重量%)20重量部、グリセリン45重量部、ソルビット9重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名、ノニポール120、三洋化成(株)製)9重量部、脱塩水17重量部を添加し、窒素ガスシール下40℃以下で、8000〜10000rpmにて15分間攪拌し粗乳化した。
次いでこれを、超高圧乳化分散機にて超微粒子化を行い、乳化液を得た。
すなわち、T・Kナノマイザー(ナノマイザー(株)製)にて粗乳化液を800〜1100kgf/cm2 の高圧で圧送し、これを2つの高速流に変換して互いに衝突させた。この操作を3回繰り返すことにより、平均粒径150nmのGLA含有オイルの乳化液を得た。
粒径はレーザー光散乱測定装置(大塚電子(株)製、DLS−700)を用いて測定した。
本乳化液は長期間の保存にも極めて安定であった。又、水溶液中での分散保持性にも優れていた。
水溶液中での分散保持性は、以下の評価によった。
参考例1で製造した乳化液を20%水溶液とし、これを25℃にて遠心分離(4900×G)するエマルジョン破壊テストにおいて、15分経過しても破壊は起こらなかった。比較としてアラビアガムを使用した乳化液を用い同様に試験したところ、4分で破壊が発生した。
【0009】
参考例2
参考例1において、GLA含有20重量%のGLA含有オイルにかえて、GLA含有20重量%、BHT含有2重量%のGLA含有オイルを使用した以外は参考例1と同様に実施することにより、平均粒径150nmの抗酸化剤を含有した乳化液を得た。
本乳化液も、長期保存安定性に優れていた。又、参考例1と同様に水溶液中での分散保持性を評価したところ、参考例1で製造した乳化液と同様、優れたものであった。
【0010】
参考例3
参考例1において、GLA含有20重量%のGLA含有オイルにかえて、GLA含有20重量%、BHT含有1重量%、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート含有1重量%のGLA含有オイルを使用した以外は参考例1と同様に実施することにより、抗酸化剤としてBHTとイオウ系抗酸化剤の2種を併用した乳化液を得た。
本乳化液も、長期保存安定性に優れていた。
【0011】
比較参考例1
攪拌機(ホモジナイザー)付きの密閉ステンレスタンクにボラージ草から抽出されたGLAオイル(DHA含有20重量%、BHT含有2重量%)20重量部、脱塩水70重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名、ノニポール、三洋化成(株)製)10重量部を添加し、窒素ガスシール下40℃以下で、8000〜10000rpmにて15分間攪拌し乳化液を得た。
この乳化液中の粒径は2100〜5000nmであった。
【0012】
実施例1
セルロース濃度8.91%、アルカリ濃度5.7%、粘度48秒(落球法)及び熟成度9.2のビスコースに、インジェクションを用い、GLA量がセルロースに対して1重量%となるよう、参考例1で製造したGLA乳化液を注入しつつミキサーにて連続混合し、硫酸112g/L、硫酸ナトリウム330g/L、硫酸亜鉛13.5g/Lからなる温度45℃の第一浴に40m/minで紡糸し、次いで硫酸60g/Lからなる温度90℃の第二浴を、ドラフト率50%で通すことにより、凝固再生したレーヨントウを得た。次いでこれを、レーヨンの一般的な製造法により、カット、捲縮、精錬、乾燥し、ステープルレーヨンを得た。得られた繊維中のGLA含量は7.0mg/gであり、添加したGLAの3分の2以上がレーヨン繊維中に含有されていることが分かる。
得られたレーヨン繊維の、加湿劣化試験(40℃、85%RH)結果を表1に、耐日光テスト(天日干し)結果を表2に記載した。
なお、GLA含量は以下の方法により分析した。
水分既知の試料約1gを精秤し、銅アンモニア溶液100gを加え30分間攪拌した。次いでクロロホルム:メタノール(2:1)混液150mlを加え抽出し、更にクロロホルム100mlで2回抽出した。抽出液を合わせ、内部標準物を加えたのちに濃縮し、濃縮液にクロロホルムを加え5mlとした。
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0013】
実施例2
実施例1において、参考例1で製造したGLA乳化液にかえて参考例2で製造したGLA乳化液を用い、実施例1と同様に実施することにより、GLAを7.0mg/g含有したレーヨン繊維を得た。
得られたレーヨン繊維の、加湿劣化試験(40℃、85%RH)結果を表1に、耐日光テスト(天日干し)結果を表2に記載した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
比較例1
実施例1において、参考例1で製造したGLA乳化液にかえて、比較参考例1で製造したGLA乳化液を用い、実施例1と同様に実施したが、濾過性が悪く、紡糸することは困難であった。
【0017】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によると、長期保存安定性及び水溶液中での分散保持性の優れたGLAの乳化液、及び該乳化液を使用したGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法が提供される。
更に、該乳化液中に抗酸化剤を添加することにより、製造時あるいは製品中でのGLAの空気酸化あるいは日光等による酸化分解を有効に防止することができる。
GLAは、細胞膜を非常にやわらかくする作用があると言われており、例えば肌着、パジャマ、ベビー用品、ソックス、マタニティ用品、タオル、フトン中綿、シーツ、ファンデーション、スポーツ用品等として使用することにより、皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎等に対する効果が期待される。
【産業上の利用分野】
本発明は、γ−リノレン酸(以下、GLAと略称する。)の安定な乳化液を使用したGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法に関する。
GLAは、血管拡張、降圧作用、血小板凝集抑制作用の他、アレルギー症状、特にアトピー性皮膚炎等の改善の作用を有していると言われている、高度不飽和脂肪酸の一種である。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の化合物を含有させたレーヨン等の再生セルロース繊維が公知であり、例えば無機化合物を含有させたものとして、活性炭(例えば、特開平1−256545号公報、同3−79601号公報、等)、金属類(例えば、特開平2−307906号公報、同2−307952号公報、同3−199407号公報、同4−146207号公報、同5−49682号公報、同5−86501号公報、等)等が、有機化合物を含有させたものとして、キトサン(例えば、特開平1−157046号公報、同4−185757号公報、同4−289211号公報、同5−186945号公報、等)、有機硫黄窒素系化合物(例えば、特開平3−104913号公報、等)、4級アンモニウム塩等の抗菌剤(例えば、特開平3−227403号公報、同4−257309号公報、同5−339811号公報、等)等が報告されている。
しかしながら、これらはいずれも酸・アルカリ、特にアルカリに対して安定な化合物であり、アルカリに対して不安定な高度不飽和脂肪酸を含有させた報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特にアルカリあるいは光に対して変化しやすく、酸化分解をおこしやすい高度不飽和脂肪酸の一種であるGLAの安定な乳化液、及びこれを使用したGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究の結果、乳化液中でのGLAあるいはGLA含有イオルの粒径が乳化液の安定性及びビスコースとの相溶性に重大な影響を及ぼすこと、粒径を選定することにより安定性に優れ水溶液中での分散保持性にも優れた乳化液が得られ、該乳化液を使用すると非常にアルカリ性の強いビスコースであるにもかかわらずGLAを効率よくレーヨン繊維に含有させることができること、更に抗酸化剤を添加することにより製造時あるいは製品中での空気酸化あるいは日光等による酸化分解の防止に有効であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、GLAの安定な乳化液を使用したGLA含有レーヨン繊維の製造方法を提供するものである。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の乳化液は、GLAを乳化剤とともに脱塩水に加え、常法により混合攪拌することにより製造され、乳化液中のGLAあるいはGLA含有オイルの粒径が10〜2000nmのものである。
粒径が2000nmを越えると、乳化液の安定性が劣り、またビスコースと混和紡糸の際、凝集が起こるためと推察しているが、濾過性が劣るため、好ましくない。
本発明で使用されるGLAはいずれのものでも可能であるが、例えばハーブの一種であるボラージ草の種子を搾油法にて抽出したGLA含有オイル(ボラージオイル)を例示することができる。添加量は使用するGLAによっても異なるが、GLA純分として1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%である。
一方、使用できる乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級アルキルポリグリコール誘導体、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸、高級アルコールサルフェート塩、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、ソルビットの高級脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル等を例示することができるが、中でもポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。乳化剤の添加量は、5〜15重量%程度が好ましい。
また、乳化液を製造する際に、GLAの酸化を防止する目的で不活性ガス、例えば窒素ガス等により置換することが好ましい。
【0006】
本発明の乳化液は、乳化液・レーヨン繊維の製造時、あるいは製品中でのGLAの酸化を防止する目的で抗酸化剤を添加することができる。
使用できる抗酸化剤としては、3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと略称する。)の他に、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤等を例示することができ、これらは1種あるいは2種以上を併用することもできる。
酸化防止剤は、レーヨン繊維に対して0.01〜0.5重量%程度の添加で十分である。
また、必要に応じ、乳化安定剤としてグリセリン、ソルビット等を添加することもできる。
【0007】
本発明では、上記乳化液をビスコースに添加し、混和後紡糸することによるGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法が提供される。
ビスコース、紡糸条件等は通常のセルロース再生繊維の製造条件が適用される。GLAの乳化液は、紡糸直前、好ましくは10分以内に添加することが好ましく、添加方法はいずれの方法でもよいが、インジェクション方式による添加がGLAの分解を防ぐために特に好ましい。
GLAの添加量は特に限定されないが0.3〜5重量%程度が好ましい。5重量%を越えて添加すると、繊維物性が低下する。
【0008】
【実施例】
以下実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
参考例1
攪拌機(ホモジナイザー)付きの密閉ステンレスタンクにボラージ草から抽出されたGLA含有オイル(商品名ボラージオイル、日本合成化学工業(株)製、GLA含有20重量%)20重量部、グリセリン45重量部、ソルビット9重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名、ノニポール120、三洋化成(株)製)9重量部、脱塩水17重量部を添加し、窒素ガスシール下40℃以下で、8000〜10000rpmにて15分間攪拌し粗乳化した。
次いでこれを、超高圧乳化分散機にて超微粒子化を行い、乳化液を得た。
すなわち、T・Kナノマイザー(ナノマイザー(株)製)にて粗乳化液を800〜1100kgf/cm2 の高圧で圧送し、これを2つの高速流に変換して互いに衝突させた。この操作を3回繰り返すことにより、平均粒径150nmのGLA含有オイルの乳化液を得た。
粒径はレーザー光散乱測定装置(大塚電子(株)製、DLS−700)を用いて測定した。
本乳化液は長期間の保存にも極めて安定であった。又、水溶液中での分散保持性にも優れていた。
水溶液中での分散保持性は、以下の評価によった。
参考例1で製造した乳化液を20%水溶液とし、これを25℃にて遠心分離(4900×G)するエマルジョン破壊テストにおいて、15分経過しても破壊は起こらなかった。比較としてアラビアガムを使用した乳化液を用い同様に試験したところ、4分で破壊が発生した。
【0009】
参考例2
参考例1において、GLA含有20重量%のGLA含有オイルにかえて、GLA含有20重量%、BHT含有2重量%のGLA含有オイルを使用した以外は参考例1と同様に実施することにより、平均粒径150nmの抗酸化剤を含有した乳化液を得た。
本乳化液も、長期保存安定性に優れていた。又、参考例1と同様に水溶液中での分散保持性を評価したところ、参考例1で製造した乳化液と同様、優れたものであった。
【0010】
参考例3
参考例1において、GLA含有20重量%のGLA含有オイルにかえて、GLA含有20重量%、BHT含有1重量%、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート含有1重量%のGLA含有オイルを使用した以外は参考例1と同様に実施することにより、抗酸化剤としてBHTとイオウ系抗酸化剤の2種を併用した乳化液を得た。
本乳化液も、長期保存安定性に優れていた。
【0011】
比較参考例1
攪拌機(ホモジナイザー)付きの密閉ステンレスタンクにボラージ草から抽出されたGLAオイル(DHA含有20重量%、BHT含有2重量%)20重量部、脱塩水70重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名、ノニポール、三洋化成(株)製)10重量部を添加し、窒素ガスシール下40℃以下で、8000〜10000rpmにて15分間攪拌し乳化液を得た。
この乳化液中の粒径は2100〜5000nmであった。
【0012】
実施例1
セルロース濃度8.91%、アルカリ濃度5.7%、粘度48秒(落球法)及び熟成度9.2のビスコースに、インジェクションを用い、GLA量がセルロースに対して1重量%となるよう、参考例1で製造したGLA乳化液を注入しつつミキサーにて連続混合し、硫酸112g/L、硫酸ナトリウム330g/L、硫酸亜鉛13.5g/Lからなる温度45℃の第一浴に40m/minで紡糸し、次いで硫酸60g/Lからなる温度90℃の第二浴を、ドラフト率50%で通すことにより、凝固再生したレーヨントウを得た。次いでこれを、レーヨンの一般的な製造法により、カット、捲縮、精錬、乾燥し、ステープルレーヨンを得た。得られた繊維中のGLA含量は7.0mg/gであり、添加したGLAの3分の2以上がレーヨン繊維中に含有されていることが分かる。
得られたレーヨン繊維の、加湿劣化試験(40℃、85%RH)結果を表1に、耐日光テスト(天日干し)結果を表2に記載した。
なお、GLA含量は以下の方法により分析した。
水分既知の試料約1gを精秤し、銅アンモニア溶液100gを加え30分間攪拌した。次いでクロロホルム:メタノール(2:1)混液150mlを加え抽出し、更にクロロホルム100mlで2回抽出した。抽出液を合わせ、内部標準物を加えたのちに濃縮し、濃縮液にクロロホルムを加え5mlとした。
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0013】
実施例2
実施例1において、参考例1で製造したGLA乳化液にかえて参考例2で製造したGLA乳化液を用い、実施例1と同様に実施することにより、GLAを7.0mg/g含有したレーヨン繊維を得た。
得られたレーヨン繊維の、加湿劣化試験(40℃、85%RH)結果を表1に、耐日光テスト(天日干し)結果を表2に記載した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
比較例1
実施例1において、参考例1で製造したGLA乳化液にかえて、比較参考例1で製造したGLA乳化液を用い、実施例1と同様に実施したが、濾過性が悪く、紡糸することは困難であった。
【0017】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によると、長期保存安定性及び水溶液中での分散保持性の優れたGLAの乳化液、及び該乳化液を使用したGLAを含有したレーヨン繊維の製造方法が提供される。
更に、該乳化液中に抗酸化剤を添加することにより、製造時あるいは製品中でのGLAの空気酸化あるいは日光等による酸化分解を有効に防止することができる。
GLAは、細胞膜を非常にやわらかくする作用があると言われており、例えば肌着、パジャマ、ベビー用品、ソックス、マタニティ用品、タオル、フトン中綿、シーツ、ファンデーション、スポーツ用品等として使用することにより、皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎等に対する効果が期待される。
Claims (6)
- γ−リノレン酸又はγ−リノレン酸含有オイルの粒径が10〜2000nmであるγ−リノレン酸の乳化液をビスコースに添加し、混和後紡糸浴で凝固再生することを特徴とする、γ−リノレン酸を含有したレーヨン繊維の製造方法。
- γ−リノレン酸の乳化液の乳化剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1記載のγ−リノレン酸を含有したレーヨン繊維の製造方法。
- γ−リノレン酸の乳化液が、抗酸化剤が添加されたものである請求項1及び2記載のγ−リノレン酸を含有したレーヨン繊維の製造方法。
- 抗酸化剤の添加量が、レーヨン繊維に対して0.01〜0.5重量%である請求項1〜3記載のγ−リノレン酸を含有したレーヨン繊維の製造方法。
- 抗酸化剤が3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエンである請求項1〜4記載のγ−リノレン酸を含有したレーヨン繊維の製造方法。
- 抗酸化剤として、更にイオウ系酸化剤及び/又はリン系抗酸化剤がレーヨン繊維に対して0.01〜0.5重量%添加された、請求項1〜5記載のγ−リノレン酸を含有したレーヨン繊維の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13568496A JP3622066B2 (ja) | 1996-05-07 | 1996-05-07 | γ−リノレン酸含有レーヨン繊維の製造方法 |
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JP13568496A JP3622066B2 (ja) | 1996-05-07 | 1996-05-07 | γ−リノレン酸含有レーヨン繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09296322A JPH09296322A (ja) | 1997-11-18 |
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JP5913996B2 (ja) * | 2012-01-13 | 2016-05-11 | ダイワボウホールディングス株式会社 | 油脂含有レーヨン繊維、その製造方法、及び繊維構造物 |
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1996
- 1996-05-07 JP JP13568496A patent/JP3622066B2/ja not_active Expired - Fee Related
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