JP3621355B2 - 遺伝子治療用組換b型肝炎ウイルスプラスミドベクター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子治療用組換B型肝炎ウイルスベクターに関し、より詳しくは、肝細胞にのみを特異的に標的としin vivo又はex vivo遺伝子治療に用いることができる組換B型肝炎ウイルスベクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
一般に遺伝子治療は、細胞内の遺伝子発現の異状による幾多の疾患を根本的に治すことができるので、次世代治療法として認識されている(Anderson,1992)。遺伝子治療法は未だ商業化されていないが、ゲノムプロジェクトの完成でその重要性がさらに浮き彫りにされ幾多のバイオテク会社と大学病院で関心を持って研究開発が進められている(Mulligan,1993)。現在遺伝子治療は大きくレトロウイルス、又はアデノウイルス等のウイルスを利用したウイルスベクターや、リポソーム又はnaked DNA等を利用した非ウイルス性ベクターに分類することができる(Friedmann,1999)。異種遺伝子を治療用目的に利用する場合に、重要な目標は、目的とする細胞に特異的に標的とすることと治療効果の持続性である。しかし、細胞特異性の欠乏と非効率的な遺伝子伝達は遺伝子治療の主要な改善点として持ち上がってきた。それだけでなく、症状が緩和するか完治するまで治療用の遺伝子産物の効果が持続し得るようにすることも重要な問題であり、大部分のベクターが細胞で消滅及び分解され持続性の不足も問題となり、その効果をさらに低下させる問題点があった(Crystal,1995)。
【0003】
現在、主に用いられている遺伝子伝達システムは遺伝子の効率的な伝達のため、ウイルスから由来したベクター等を主に用いる。特に、レトロウイルス、アデノウイルス、又はアデノ随伴ウイルス(adeno−associated viruses;AAV)等が主に用いられる(Friedmann,1999)。これらは病原性がなく、ウイルス増殖による危険を防ぐため複製能(replication defective)がないように考案されたウイルスベクターである。しかし、これらウイルス由来のベクターは対象細胞に効率的に遺伝子を伝達し発現するには理想的でない欠点がある。先ず、レトロウイルスは対象細胞のゲノムに統合(integration)され持続的に発現する利点があるが、低いタイター(titer)と、ただ分裂する細胞(dividing cells)のゲノムにのみ統合する制限性によりin vivo治療には使用が困難である。その反面、アデノウイルスは非常に高いタイター(titer)と効率的な遺伝子伝達能力、そして、分裂しない細胞(nondividing cells)にも遺伝子を伝達する利点がある。しかし、発現が持続的でなく、宿主に免疫反応を誘発する問題点がある。さらに、治療効果を誘導するために必ず伴う反復的な投与は甚だしい免疫反応を誘発する副作用がある(Yang et al.,1995)。
【0004】
このような問題点のため、レトロウイルスとアデノウイルスベクターは臨床的に用いられるには幾多の改善が必要である。さらに、現在臨床研究で最も多く用いられるレトロウイルスとアデノウイルスベクターは細胞特異性がないので治療対象組織だけでなく、その他の組織にも感染するためin vivoの治療には副作用が伴う問題がある。
【0005】
前記ウイルスベクターには組織特異性、肝細胞特異性等がないため、肝疾患にはin vivoプロトコールは副作用等に制限され主にex vivoプロトコールが用いられる。ex vivoプロトコールによる肝標的治療は外科的な摘出手術が必須なので、組換ウイルスベクターを処理して作った修飾肝細胞(治療能力を有する肝細胞)を患者の肝、脾臓に形質導入することがが不可避になる。しかし、このような摘出された肝細胞を実験室内で培養するには幾多の困難と複雑さ、そして莫大の費用を必要とすることになる。
【0006】
好ましくは、肝標的遺伝子治療ベクターは肝細胞にのみ特異的に伝達されなければならない。HBVのように肝向性(hepatotropic)ウイルスから由来した遺伝子治療ベクターは、血管内注射又は野生型ウイルスが利用する肝細胞の受容体を利用して患者内に注入することができる。HBVから由来した肝標的治療用ベクターの開発にはHBVゲノム複製に必須のシス−エレメントに対する情報が先行しなければならず、シス−エレメントに対する完全な解明がなければベクターへの利用は非常に制限される。
【0007】
HBVはヘパドナウイルス科(hapadnaviridae)に属し、宿主特異性と組織特異性を有する小さいDNAウイルスである(Ganem,D.,1996)。ヘパドナウイルスは人間(HBV)、北米産マーモット(woodchuch;WHV)、北米産斑りす(GSHV)のような哺乳動物と、北京鴨(DHBV)、灰色のサギ(HHBV)のような鳥類からも発見されている(Ganem,1996)。
【0008】
遺伝子治療用組換B型肝炎ウイルスベクターの開発において困難であった問題点は、ウイルスのゲノム複製に必須のシス−エレメントに対する正確な情報を知ることができなかった点である。よって、HBVゲノム全体に亘るシス−エレメントに関する情報が、遺伝子治療用の組換B型肝炎ウイルスベクターの開発において必ず先行しなければならない部分である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の問題点を解決し前記の必要性により考案されたものであり、本発明の目的は遺伝子治療用の組換B型肝炎ウイルスベクターを提供することである。
【0010】
発明の構成
前記の目的を達成するため、本発明はHBVゲノム複製に必須の新しい2種類のシス−エレメントである配列番号1に記載されたアルファ−エレメント(nt.2818−3052)、及び配列番号2に記載されたベータ(β)−エレメント(nt.1607−1804)配列を含むプロトタイプ(prototype)のB型肝炎ウイルスプラスミドベクターを提供する。
【0011】
本発明のベクターは、5’位置から3’位置の方向にサイトメガロウイルスの初期プロモーター(immediate early promoter)、DR1エレメント、エプシロンエレメント(epsilon,nt.1849−1909)、アルファ−エレメント(nt.2818−3052)、DR2エレメント、ベータ−エレメント(nt.1607−1804)、DR1エレメントを含む配列番号3に記載されたプロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクターであるのが好ましい。
【0012】
配列番号3で、サイトメガロウイルスの初期プロモーター(immediate early promoter)は塩基配列7408から7999であり、DR1エレメントは7から17、エプシロンエレメント(epsilon,nt.1849−1909)は30から90、アルファ−エレメント(nt.2818−3052)は998から1233であり、DR2エレメントは2955から2965であり、ベータエレメント(nt.1607−1804)は2970から3167であり、DR1エレメントは3189から3199であり、91から997までと1233から2954までにそれぞれ約0.9kbと約1.7kbの外来遺伝子が挿入され得る部位が存在する。
【0013】
即ち、本発明のB型肝炎ウイルスプラスミドベクターは、前記エプシロン(nt.1849−1909)と前記アルファ−エレメント(nt.2818−3052)の間と、前記アルファ−エレメント(nt.2818−3052)と前記DR2(nt.1592−1602)の間に外来遺伝子の挿入部位が存在する(図8参照)。
【0014】
尚、本発明のB型肝炎ウイルスプラスミドベクターにおいて、前記ベクターはHBV遺伝子中内部ウイルスプロモーターを用い、内部ウイルスプロモーターの中でコアプロモーターとプリS2/Sプロモーターをそれぞれ選択して用いるのが好ましい。
【0015】
さらに、本発明のB型肝炎ウイルスプラスミドベクターは野生型3.2K bp HBVゲノムの大きさを増加させず、エプシロンエレメントとアルファエレメントの間に0.90K bpまでの塩基配列を挿入することができ、アルファエレメントとDR2エレメントの間に1.7K bpまで挿入できるベクターである。
【0016】
さらに、本発明のベクターにおいて、前記ベクターは複製に必須のコアタンパク質、またはポリメラーゼ遺伝子が欠けた複製不能(replication−defective)のベクターである。
【0017】
本発明のベクターは、少なくとも一つの異種遺伝子(heterologous gene)を発現することができる異種塩基配列を含むベクターである。
【0018】
尚、本発明はB型肝炎ウイルスのキャプシド化に必須の“エプシロン”エレメントが欠け複製することができないが、B型肝炎ウイルスのタンパク質を現わして組換HBVベクターにウイルス遺伝子複製に必要なタンパク質(trans−acting factors)を発現するヘルパープラスミド(helper plasmid)を提供する。
【0019】
さらに、本発明は前記の組換HBVベクターと前記のヘルパープラスミドを肝細胞株に共にトランスフェクションし、組換HBV粒子を作ることができる方法を提供する。
【0020】
前記の組換HBVベクターはウイルス遺伝子複製に必須のシス−エレメントを含み、少なくとも一つの遺伝子治療用異種遺伝子を発現することができ、さらに、ウイルス遺伝子複製に必要なウイルス遺伝子中少なくとも一種類を発現することができず、前記のヘルパープラスミド(またはパッケージングプラスミド)は、ウイルス遺伝子複製に必要なタンパク質(trans−acting factors)中少なくとも一種類を発現することのできない組換HBVベクターにこの欠乏したタンパク質を提供し、組換HBVベクターを補って(complementation)感染性のあるウイルスを生産できなければならず、前記肝細胞株は複製に必要なタンパク質(trans−acting factors)が提供されると組換HBVベクターが複製できる肝細胞株である。
【0021】
本発明で肝細胞は人間の肝細胞、鳥類の肝細胞、げっ歯類の肝細胞の集団から選択された肝細胞であるのが好ましい。
【0022】
さらに、本発明は前記の組換HBV粒子を血管内又は肝組織内投与方法で標的細胞に感染させる方法を提供する。
【0023】
標的細胞に感染させる方法において、前述した挿入できる外部遺伝子は多様な遺伝子に対するアンチセンス遺伝子とリボザイムを含み、特にB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスのアンチセンス遺伝子とリボザイムを作る遺伝子を含む。さらに、多様な癌抑制遺伝子、成長因子、ホルモン、サイトカイン、細胞膜受容体、血液凝固因子をコードする異種遺伝子を含む。
【0024】
尚、組換HBV粒子を標的細胞に感染させる方法で次を含む。
HBVに慢性感染した患者の肝組織内に、直接組換HBVベクターDNAの投与方法を含み、前記で言及した挿入できる外部遺伝子は、多様な遺伝子に対するアンチセンス遺伝子とリボザイムを含み、特に、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスのアンチセンス遺伝子及びリボザイムを作る遺伝子を含む。さらに、多様な癌抑制遺伝子、成長因子、ホルモン、サイトカイン、細胞膜受容体、血液凝固因子をコードする異種遺伝子を含む。
【0025】
本発明の理解を助けるため、次の用語を下記のように定義する。
“エレメント”はDNA、またはRNAの塩基配列で特定の機能を有する塩基配列を言う。“シス−エレメント(cis−acting element)”は同一DNA、またはRNA分子内で調節機能を有して作用する塩基配列を言う。“キャプシド化(encapsidation)”は“パッケージング(packaging)”と同じ意味で用いられており、コア粒子内にウイルス遺伝子(DNAまたはRNA)が入る過程を言う。“異種遺伝子(heterologous sequence or gene)”はHBV遺伝子でない遺伝子を言い、“外部遺伝子(foreign gene)”と同じ意味で用いられた。“ベクター”はDNA切片を含んで他の細胞に運搬する機能のある核酸塩基配列を言い、プロトタイプのベクターは異種遺伝子を挿入でき一般に用いることができるベクターを言う。
【0026】
本発明でHBVの塩基配列は2種類に示されている。先ず、明細書の本文では特に指摘しない場合は全てGalibertの方法に従いHBV塩基配列を示した(Galibert et al.,1979)。この場合nt.−−−−で示した。一方、添付の塩基配列表はプリゲノミックRNAの開始部位であるnt.1820を1にし、それぞれプラスミドの塩基配列を示した。
【0027】
【発明の実施態様】
以下、本発明を詳しく説明する。
I.B型肝炎ウイルス(HBV)
B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus,HBV)はヘパドナウイルスに属し、急性肝炎だけでなく慢性肝炎を起す臨床的に非常に重要なウイルスである。マーモット肝炎ウイルス(WHV)、斑りす肝炎ウイルス(GSHV)、北京鴨肝炎ウイルス(DHBV)等がヘパドナウイルス科に属する(Genem,1996)。HBVはDNAウイルスであるがプリゲノミックRNAを鋳型にし、HBV DNA重合酵素が有する逆転写活性(reverse transcriptase activity)を介してDNA遺伝子に複製する非常に特異なゲノム複製を有するウイルスである。HBVは約3.2 k bpのプラス−DNA鎖に間隙が存在する円形のDNA遺伝子を有しており、コア(C)、ポリメラーゼ(P)、表面抗原(S)、そしてXタンパク質の四つのウイルスタンパク質を有する。
【0028】
II.ヘパドナウイルス(hepadnavirus)の感染周期
ヘパドナウイルスの感染周期は図2に示されている(Genem,1996)。ヘパドナウイルスは受容体(receptor−mediated endocytosis)を介して肝細胞に侵入することが知られている。肝細胞に入った後、隙間(gap)が存在するHBVゲノムは、転写の鋳型になる共有結合性閉環状DNA(covalently closed circular DNA:CCC DNA)に切り替えられる。四つのウイルスの転写体が合成されたあと細胞質に移動する。3.5KbpのプリゲノミックRNAはコアとポリメラーゼのmRNAとして作用するだけでなく、ウイルス遺伝子複製の鋳型としても作用する。
【0029】
III.逆転写(reverse transcriptase)過程
HBVはレトロウイルスとは別の逆転写過程を有する(Nassal et al.,1996)。HBVはウイルス複製のため、コアタンパク質とプリゲノミックRNAを認識するポリメラーゼが同時にコア粒子にキャプシド化した後、このコア粒子内でポリメラーゼによる遺伝子複製が発生する。ポリメラーゼタンパク質とプリゲノミックRNAの結合が遺伝子複製に必須のコア粒子形成に重要である。プリゲノミックRNAの5’位置の末端部位に存在する“エプシロン”と言われる約85塩基対の特異な2次構造の塩基配列が、キャプシド化段階でシス−エレメントに作用する(Junker−Niepmann et al.,1990;Hirsch et al.,1991)。このエプシロンはステム−ループ構造(stem−loop structure)を成し、ヘパドナウイルスに属する全てのウイルスに非常に高く保存されている。
【0030】
HBVポリメラーゼの逆転写過程はHBVの独特なゲノム構造ほど非常に複雑である(図3;Nassal et al.,1996)。野生型の完全な二重−鎖DNAゲノムを形成するためには下記のような鋳型スイッチング過程(template switching)が必要である(図3)。第一、コア粒子内にキャプシド化したプリゲノミックRNAを鋳型にし、HBVのDNAポリメラーゼが逆転写過程でマイナス−鎖DNAを合成する。このマイナス−鎖DNA合成のプライマーと、ポリメラーゼに同時にHBVのDNAポリメラーゼが利用される(Wang et al.,1992)。即ち、タンパク質−プライミング(protein−priming)によりマイナス−鎖DNA合成が開始される。
【0031】
このプライミング過程で5’に存在するエプシロン(ε)がHBVマイナス−鎖DNA合成の開始部位に作用する(Wang et al.,1996;Pollack et al.,1994)。次いで、このマイナス−鎖DNAはエプシロンとDR1(direct repeat)の間の4塩基対の相同性を利用して5’から3’DR1に移動する(Nassal et al.,1996)。この過程をマイナス−鎖移動(minus−strand translocation)と言う。マイナス−鎖DNAが合成されると、HBVポリメラーゼが有するRnase H活性によりプリゲノミックRNAは5’−末端側の18ヌクレオチドRNAのみを除いて分解される(Loeb et al.,1991)。
【0032】
次に、5’−末端キャップRNAが3’DR2に伝達された後、RNAプライマーに作用してプラス−鎖DNAを合成する。次いで、DR2部位に鋳型スイッチングを行なってプラス−鎖DNA合成を始め、プラス−鎖DNAはDR2に転位(translocation)される円形化段階を経て円形のゲノムを合成する(Loeb et al.,1997)。このプラス−鎖DNAの合成が完了する前に、HBV DNAはウイルス表面抗原粒子に取り囲まれ細胞の外に出る。結局、HBVは円形の隙間が存在する二重鎖ゲノムを有することになる。
【0033】
IV.HBVゲノム複製に必須のシス−エレメント
前記で記述されているように、HBVは3回の鋳型スイッチングを介して線形のプリゲノミックRNAを円形の二重鎖DNAに複製する。過去20年間、分子生物学的な技法でウイルスDNA複製に重要な役割を果たすエレメントが明らかにされた(Nassal et al.,1996)。文献に報告されたシス−エレメントを並べてみれば、キャプシド化信号に利用される5’位置エプシロンエレメントが知られており(Junker−Niepmann et al.,1990;Hirsch et al.,1991)、ウイルス複製段階中にプライマー移動(translocation)過程で利用されるDR1とDR2(Nassal et al.,1996;Condreay et al.,1992)、円形化(circularization)段階で利用されるr(repeat)が作用する(Loeb et al.,1997)。そして、転写後RNAプロセッシングエレメント(posttranscriptional RNA processing element:PRE)等がある(Huang et al.,1995;Yen et al.,1998)。このようなシス−エレメントは大部分HBVプリゲノムの両側に存在する(図1と図8)。
【0034】
一方、ヘパドナウイルス中のDHBV(Duck hepatitis B virus)の場合、3E、M、5Eと名付けられた三つのエレメントが遺伝子複製に必要であることが報告されており、プラス−鎖DNAの合成時に鋳型スイッチングに必要である(Havert et al.,1997)。DHBVとは別に、HBVは未だ複製に必要なシス−エレメントが解明されていない。このような理由で、HBVゲノムは遺伝子治療用ベクターに利用されていない。遺伝子治療ベクターは、複製に必要なシス−エレメントを必ず含んでいなければならない。本発明ではHBV遺伝子複製に必要なシス−エレメントを解明した後、この情報に基づく組換HBVベクターを設計した。
【0035】
V.プロトタイプのHBVベクターの設計
HBVゲノム複製に必要な全てのシス−エレメントを解明し複製に必須のウイルスタンパク質(trans−acting factors)が提供されれば、複製能(replication competent)の存在する異種遺伝子を有する遺伝子治療用ベクターに開発することができる。簡単に言えば、HBVベクターはウイルスタンパク質を発現しないにも拘らず、ウイルスゲノム複製に必要な全てのシス−エレメントをコードしている。それにも拘らず、ヘルパープラスミドやパッケージング細胞株を介してウイルスタンパク質(例えば、コアタンパク質、ポリメラーゼタンパク質、表面タンパク質)が提供されれば、組換HBVベクターは複製され得る(図4)。異種遺伝子の挿入部位の選定、挿入された異種遺伝子の大きさ、異種遺伝子の発現のために利用されるプロモーター等が遺伝子治療用ベクター開発の成功のポイントになり得る。
【0036】
先ず、本発明では2つのシス−エレメントを解明した。1つはアルファエレメントで、他の1つはベータエレメントである(図8)。本発明の方法を具体化するため、本発明では2つの挿入可能部位を選定した(図8)。一つは5’エプシロンとアルファエレメントの間で、もう一つはアルファエレメントとDR2エレメントの間である。この二つの挿入部位はウイルス複製において欠損可能部位(dispensable region)である。しかし、挿入部位の選定を現在のものに限定はせず、プロトタイプHBVベクターの5’エプシロンとアルファ−エレメントの間に異種遺伝子の挿入も可能である(図8)。挿入できる異種遺伝子の大きさは野生型のゲノム大きさを固定させるようにしたとき、それぞれ0.90K bpと1.7K bpまで可能である(図8)。
【0037】
最近、野生型より約0.2K bp程度大きい大きさのプリゲノミックRNAまで、マイナス−鎖DNA合成が可能であることが報告された(Ho et al.,2000)。従って、本発明では前記の2個所の挿入位置に、それぞれ1.1K bp、1.9K bpまでの大きさの切片を挿入しても複製する可能性はなくならない。幸いに、挿入部位より上側に存在する2つの内在するウイルスプロモーター(即ち、コアプロモーターとプリ−S2/Sプロモーター)を利用して異種遺伝子が転写されるよう設計した。さらに進んで、本発明の組換HBVベクターはバイシストロニック(bicistronic)発現ベクターに考案されているため、2つの挿入部位に挿入された異種遺伝子が同時に発現可能である。
【0038】
ヘパドナウイルスの肝向性(liver tropism)は、肝疾患の遺伝子治療においてHBVを利用しようとする最も重要な特性である。本発明で提供する肝標的HBVベクターは肝炎、肝硬変、肝癌等の肝疾患だけでなく、家族性高コレステロール血症、血液凝固因子VIII、IVが欠けて発生する血友病等の肝細胞に遺伝子発現が欠けて発生する代謝性遺伝病治療にも活用することができる。さらに、肝標的HBVベクターは慢性肝炎患者の治療にも非常に有用である。B型肝炎ウイルスに既に感染した慢性感染者はウイルスの複製に必要なコアタンパク質とポリメラーゼが肝細胞内に常に現われている。従って、本発明で提供するHBVベクターに治療用遺伝子が挿入された組換DNAを、慢性感染者の肝細胞に直接又は血液循環を介して注入すれば、組換ウイルスがHBV慢性感染者の肝細胞では複製が持続的に可能である。これは慢性感染治療に非常に効率的である。
【0039】
本発明では、HBVの複製に必須のB型肝炎ウイルスゲノムのシス−エレメント(α−element、β−element)に対する情報を提供しており、アルファエレメント、ベータエレメントのヌクレオチド配列を提供している。
【0040】
本発明では組換HBVゲノムを利用しているが、本発明がHBVに限定されるのではない。ヘパドナウイルスに属するマーモット肝炎ウイルス(WHV)、斑リス肝炎ウイルス(GSHV)、北京鴨肝炎ウイルス(DHBV)等も互いのゲノムも類似するので、本発明が他のヘパドナウイルスの遺伝子治療用ベクター開発にも利用することができる。
【0041】
本発明を具体化するため、ウイルス遺伝子複製に必須のシス−エレメントを完全に解明した後、これらシス−エレメントを保存したプロトタイプのHBVベクターを設計した。しかし、本発明で提示する2つの新しいシス−エレメント(アルファエレメント、ベータエレメント)の位置を限定する必要はない。最大のパッケージングサイズ(maximal packaging size)以内では、野生型プリゲノミックRNAの大きさである3.5kbより大きいサイズのプリゲノミックRNA挿入も可能であり、新しいシス−エレメントはベクターの機能に影響を及ぼさない範囲内で、ベクター内のシス−エレメントの相対的な位置変更も可能である。
【0042】
本発明で提供する組換HBVゲノムのキャプシド化(encapsidation)のため、次のような過程が先行しなければならない。第一、組換HBVベクターは少なくとも一つ以上の異種遺伝子を発現する。第二、ヘルパープラスミドはウイルスのキャプシド化とゲノム複製に必須のコアタンパク質、ポリメラーゼ、及び表面抗原をトランス(in trans)で提供する。即ち、ヘルパープラスミドと組換HBVベクターは肝細胞内で互いに相互補完現象(complementation)でキャプシド化され、ウイルス粒子を形成することができる。本発明が利用できる肝細胞群株は次のようなHepG2細胞、Huh7細胞、Chang肝細胞等の人間肝細胞株とげっ歯類肝細胞株を含む一連の肝細胞株がある。
【0043】
HBVの遺伝子に異種遺伝子を挿入または置換し、組換HBVの可能性を探索した研究が幾つかの文献に報告されている(Chiang et al.,1992;Chaisomchit et al.,1997;Protzer et al.,1999)。本発明は米国特許第5,981,274号とは幾つかの点で区別される(Tyrrell et al.,US Patent 5,981,274,1999;Chaisomchit et al.,1997)。前記特許は異種遺伝子をHBVポリメラーゼのスペーサ(spacer or tether)ドメインに挿入させた。
【0044】
何よりも、米国特許第5,981,274号で用いた外部遺伝子挿入部位は本発明で解明したアルファ−エレメント部位に該当する。即ち、このアルファ部位はHBV遺伝子複製に必須なので、この部位に外部遺伝子の挿入は複製を阻害する。遺伝子を発現するためには小さなサイズ(270または374bp)の切片を挿入しており、挿入後ベクターの複製が約50倍減少したのでベクターというのは困難である。このような理由で、前記の米国特許第5,981,274号は遺伝子治療用ベクターでに分類され得ない。
【0045】
一方、台湾のDr.Changの研究室で約0.7Kbの発光遺伝子(luciferase)をHBV遺伝子の2箇所に置換し、組換HBV粒子を生産することが報告されている(Chiang et al.,1992)。さらに、最近DHBVとHBVを組換ベクターに用いた最初の成功事例が報告された(Protzer et al.,1999)。この報告ではウイルス遺伝子複製に必須のシス−エレメントに対する情報なしに緑色蛍光タンパク質(GFP)またはインターフェロン遺伝子を、HBVまたはDHBV遺伝子の何箇所に挿入した結果、そのうち表面抗原ORF(i.e.,S ORF)に異種遺伝子を置換したときウイルスが生産されることを観察した。
【0046】
本発明で提供するHBVベクターは前記報告と幾つかの面で区別される利点を有する。先ず、本発明はシス−エレメントを完全に解明して設計したプロトタイプのHBVベクターを提供する。即ち、表面抗原ORFを含む2箇所の挿入部位を提供するだけでなく、挿入する遺伝子の最大の大きさの限界をそれぞれ0.79kbまたは1.7kbであることを具体的に提供する。即ち、一般に異種遺伝子を挿入して用いることができる本格的な意味の組換遺伝子ベクターである。
【0047】
本発明で提供するHBVベクターを構築するために用いられたトランスフェクション技術は、文献とこの分野の専門家等が多く用いる実験材料と実験方法を利用した。
【0048】
本発明で提供するHBVベクターを作るために用いる接合(ligation)技術と制限(restriction)技術は、文献(Sambrook et al.,in Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,3rd Ed.,N.Y.2001)に記述されている方法を用いた。
【0049】
本発明では次のような略語を用いた:DR1(direct repeat 1)、DR2(direct repeat 2)、ε(epsilon)、GFP(green flourescence protein)、M(molar)、mM(millomolar)、ml(milliliters)、μg(micrograms)、mg(milligrams)、K bp(kilo base pairs)、PCR(polymerase chain reaction)、PEG(polyethylene glycol)。
【0050】
以下、本発明を実施例によりより詳しく説明する。
但し、次の実施例はただ本発明を例示するためのものだけであり、次の実施例が本発明を限定するものではない。
【0051】
【実施例】
実施例1
野生型HBV発現ベクター(R015;pCMV−HBV/30)の製造
HBV遺伝子治療ベクターを設計するためには、HBVの遺伝子複製に必須の塩基配列部位(シス−エレメント)の完全な解明が先行しなければならない。このような複製に必要な塩基配列部位を解明するため細胞にトランスフェクションしたとき、HBV遺伝子複製能(replication competent)を有するベクターを製造した。即ち、野生型HBVを生成するHBVプリゲノミックRNA発現ベクターを製造した。異種プロモーターによりHBVプリゲノミック(pregenomic)RNAと同じ構造及び塩基配列のmRNAが転写されると、HBVのゲノム複製と同じ過程を介してウイルス粒子を作ることができるということは公知の事実である(Nassal,et al.,1990)。よって、HBVを発現するプラスミドを製造するため優先的に考慮しなければならない事柄は、直ちに転写されるmRNAがHBVプリゲノミックRNAと同じように作ることである。以後、転写されたmRNAから複製に必要なウイルスのタンパク質が作られ、ウイルス遺伝子の複製及びウイルス粒子が生産される。
【0052】
特に、エプシロン(ε)というキャプシド化(encapsidation)信号は、ウイルスの複製の第一段階でキャプシド化に必須の重要な因子である(Junker−Niepmann et al.,1990;Hirsch et al.,1991)。このエプシロン信号はプリゲノミックRNAの5’−末端から約30ヌクレオチド(nucleotide)離れている(Jeong et al.,2000)。
【0053】
本発明で用いた塩基配列番号は、Galibert等(Galibert,et al.,1979)の方法に従いHBV aywサブタイプ(subtype)の塩基配列を、HBV内の制限酵素EcoR I位置を1番にして3182番まで表記したものである。表示された塩基配列番号はHBVのものであり、若し他のものの塩基配列番号を用いるときは別に示しておいた。プリゲノミックRNAの5’位置末端部位は1820配列番号に示しており、転写開始位置を意味する。R015プラスミドの塩基配列は配列番号3に示されている。
【0054】
1−1.R402プラスミド(pCMV−HBV/164)の製造
HBV遺伝子は、HBV ayw subtypeの遺伝子を有するpSV2A−Neo(HBV)2プラスミドを利用した(Shih et al.,1989)。先ず、HBVのプリゲノミックRNAの5’−末端と3’−末端が同じ塩基配列及び構造(terminal redundancy)を有するので、線状(linear)のプラスミド転写でこれを保つためプロモーターの下流(downstream)にゲノム大きさより大きいゲノムを挿入した(Ganem,1996)。よって、CMVプロモーターから宿主細胞のRNAポリメラーゼ(polymerase)IIにより転写が発生するpcDNA1/Amp(Invitrogen,USA)のクローニングサイトにあるEcoR VとXba Iの制限酵素認識部位の間に、HBV全体遺伝子より172ヌクレオチドがさらに重なる長さのHBV aywサブタイプ(subtype)遺伝子(Galibert et al.,1979)をFsp IとXba Iに切断して挿入した(図5a参照)。
【0055】
これにより作られたR402プラスミド(pCMV−HBV/164)は、野生型HBVとは別に5’−末端からエプシロン信号が164ヌクレオチド離れているmRNAに転写される。これは野生型に比べエプシロンの位置が5’−末端から134ヌクレオチドさらに遠く離れているものである(Jeong et al.,2000)。
【0056】
このような結果は、pcDNA1/Ampの転写が始まる地点が挿入部位より上流(upstream)に位置するためである。
【0057】
1−2.野生型HBVプリゲノミックRNAを発現するR015プラスミド(pCMV−HBV/30)製造
野生型HBVプリゲノミックRNAのような塩基配列及び構造を有するmRNAを転写するように作るため、実施例1−1で作ったプラスミドの5’−末端塩基を除去した。図5aでのように、R402プラスミド(pCMV−HBV/164)をSac IとBspE Iに切断し、同じ制限酵素認識部位を両端に保有したHBV遺伝子切片をPCRによって増幅した(Jeong et al.,2000)。このとき、人為的な制限酵素認識部位を挿入し、R402プラスミドの転写開始部位にHBVプリゲノミックRNA開始部位が正しく一致するようプライマー(HBV1820)を製造した。用いたプライマー塩基配列は次の通りである。
【0058】
【0059】
これらプライマーとR402プラスミドを鋳型にして作られたPCR産物を、再びSac I(nt 2894 of pcDNA1/amp)とBspE I(nt.2331)に切断してプラスミドR402に挿入した。
【0060】
1−3.ヘルパープラスミドR063(pCMV−CPS)プラスミドの製造
pcDNA3(Invitrogen,U.S.A)のEcoR I、Xho I認識部位にR015プラスミドを鋳型にして作ったPCR生成物(nt.1903−to−2454)を挿入した。詳しく説明すれば、正方向プライマー(forward primer)の5’位置末端部位にEcoR I認識部位を作り、逆方向プライマー(reverse primer)の5’位置末端部位にXho I認識部位を作ったPCR生成物の0.5K bpのEcoR I、Xho I切片を、pcDNA3プラスミドのEcoR I、Xho I認識部位に挿入してR062プラスミドを作った。その次に、R015プラスミドのBspE I(nt.2331)、Apa Iの間の約2.6K bpの切片をR062プラスミドのBspE I、Apa I切片と置換してR063プラスミドを作った。R063プラスミドはコア、ポリメラーゼ、表面抗原を発現するヘルパープラスミドに用いられた。
【0061】
Forward primer:5’−CATGGAATTCATGGACATCGACCCT−3’
(下線:EcoR I部位)
Reverse primer:5’−CCGCTCGAGCTAACATTGAGATTCCCGAGA−3’
(下線:Xho I部位)
【0062】
実施例2
R015プラスミド(pCMV−HBV/30)で転写されるプリゲノミックRNAの複製能
2−1.肝癌細胞株の細胞増殖とトランスフェクション
肝癌細胞株のHuh7細胞を10%FBS(fetal bovine serum)と、10mg/ml gentamicinを投入したDMEM(Gibco−BRL)培地に3日ごとに分株して細胞を育てた。トランスフェクションする一日前にHuh7細胞を75%で60mmプレートに培養させて細胞を用意する。先ず、燐酸緩衝溶液(phosphate buffered saline)で細胞を2回洗浄し新しい培養液に取り替えた後、前記プラスミド10μgを0.25M CaCl2が含まれた250mlの水に混合してから、同量の2X HEPES緩衝溶液[280mM NaCl、50mM HEPES acid、1.5mM Na2HPO4(pH 7.1)]に揺り動かしながら一滴ずつ滴下して混合物を作る。以後、この混合物を常温で30分間反応させて白色の沈澱物が生じるようにした後、プレートに均等に散布する。トランスフェクション16時間後新しい培養液[DMEM、10% FBS、10mg/ml gentamycin]に取り替え、3日後ウイルスコア粒子を抽出した。
【0063】
2−2.コア粒子からHBV DNA抽出及びサーザンブロットを介したHBVreplication−intermediate DNAの調査
トランスフェクション3日後、PEG沈澱法で細胞内のコア粒子を抽出してHBVのDNAを用意した(Staprans et al.,1991)。詳しく説明すれば、先ず燐酸緩衝溶液(phosphate buffered saline)で細胞を2回洗浄し、細胞溶液緩衝溶液[10mM Tris(pH7.5)、1mM EDTA、50mM NaCl、8% sucrose、0.25% Nonidet P−40]で細胞をプレートから外す。残留するトランスフェクションしたプラスミドを除去するため、6mM MgCl2とDnase I(50μg/ml)処理を37℃ 30分間行なった後、4X PNE[26% PEG、1.4M NaCl、40mMEDTA]でコア粒子を沈澱させ、遠心分離を行なってコア粒子のみ分離した。得られたコア粒子タンパク質を分解するため、プロナーゼ(pronase、Sigma、USA)で37℃で2時間反応させた。以後、フェノールとクロロホルム(1:1)でタンパク質を除去しエタノールでコア粒子を沈澱させた後、TE「10mM Tris(pH 8.0)、1mM EDTA」でDNAを抽出した。
【0064】
抽出したウイルスDNAを1.25%アガロースゲルを介して電気泳動し、文献(Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel,F.et al.,eds.,Wiley and Sons,New York,1995)に記載のサーザンブロット方法で分析した。
【0065】
実施例3
R015プラスミド(pCMV−HBV/30)の欠損変異体の製造
一般的な遺伝子組換技術を利用して次のような欠損変異体を製造した。
3−1.R060(pCMV−ayw Δ1910−1992)プラスミドの製造
HBV遺伝子(Galibert,et al.,1979)のSac I、EcoR Iの間の切片をpBluescript SK(+)プラスミド(Stratagene、USA)のSac I、EcoR Iの位置に移した後、PCRでnt.1910−1992を削除したR059プラスミド(pBS+Δ1910−1992)を製造した。R059プラスミドのSac I、EcoR Iの間の切片をR015プラスミドのSac I、EcoR Iの位置に移してR060プラスミドを製造した。
【0066】
3−2.R048(pCMV−ayw Δ1884−2459)プラスミドの製造
HBV遺伝子(Galibert,et al.,1979)のSac I、EcoR I(nt.3182)の間の切片をpCH110(Pharmacia)のSac I、EcoR Iの位置に移してR046プラスミドを作った後、151bpのXba I切片(1992−2143)を削除したR047プラスミドを製造した。R047プラスミドのSac I、EcoR Iの間の切片をR015プラスミドのSac I、EcoR Iの位置に移してR048プラスミドを製造した。
【0067】
3−3.R056(pCMV−ayw Δ2143−2459)プラスミドの製造
R015プラスミドのSac I、EcoR Iの間の切片をpBluescript II SK(+)(Stratagene、USA)のSac I、EcoR Iの位置に移してR049プラスミドを作った。R049プラスミドのSty I(nt.1884)−Sty I(nt.2459)切片を逆方向プライマー(reverse primer)の5’位置末端部位にSty I認識部位を作ったPCR生成物であるSty I(nt.1884)−Xba I(nt.2143)切片に置換させてR051プラスミドを製造した。R051プラスミドのSac I、EcoR Iの間の切片をR015プラスミドのSac I、EcoR
Iの位置に移してR056プラスミドを製造した。
【0068】
Forward primer:5’−CCCGAGCTCTCTGGCTAACTAACTTTTTCACCTCTGCC−3’
(下線:Sac I部位)
Reverse primer:5’−CCCCCCAAGGCGCTGGATCTTCCAAATT−3’
(下線:Sty I部位)
【0069】
3−4.R021(pCMV−ayw Δ2459−2817)プラスミドの製造
R015プラスミドのSac I、Xho I(nt.129)の間の切片をpBlueBacHis2プラスミド(Invitrogen、USA)のSac I、Xho Iの位置に移してR407プラスミドを製造した。R407プラスミドのSty I(nt.2459)、BstE II(nt.2817)の間を切断してクレノー切片で満たし(filling−in)、ライゲーションしてnt.2459−2817を削除したR018プラスミドを製造した。R018プラスミドからBspE I、EcoR Iの間の切片をR015のBspE I、EcoR Iの位置に移してR021プラスミドを製造した。
【0070】
3−5.R022(pCMV−ayw Δ2662−3182/0)プラスミドの製造
R015プラスミドをBstE II(nt.2662)とEcoR I(nt.3182)に切断してクレノー切片で満たした後、ライゲーションしてnt.2662−3182を削除したR022プラスミドを製造した。
【0071】
3−6.R045(pCMV−ayw Δ2839−3182/0)プラスミドの製造
先ず、R015プラスミドをBstE II(nt.2817)とSph I(nt.1239)に切断した後、pGEM−4Z(Promega、USA)に移してR701プラスミドを製造した。R701プラスミドのBgl II(nt.2839)とEcoR I(nt.3182)切片を削除しクレノー切片で満たした後、ライゲーションしてnt.2839−3182を削除したR043プラスミドを製造してから、R043プラスミドをBstX Iで切断した切片をR015プラスミドのBstX
I(nt.2817−620)の間の切片に置換してR045プラスミドを製造した。
【0072】
3−7.R044(pCMV−ayw Δ3052−3182/0)プラスミドの製造
R701プラスミドのBsu36 I(nt.3052)とEcoR I(nt.3182)の間の切片を消去しクレノー切片で満たした後、ライゲーションしてnt.3052−3182を削除したR042プラスミドを製造してから、R042プラスミドをBstX Iで切断した切片をR015プラスミドのBstX I(nt.2817−620)の間の切片に置換してR044プラスミドを製造した。
【0073】
3−8.R023(pCMV−ayw Δ3182/0−129)プラスミドの製造
R015プラスミドをEcoR I(nt.3182)とXho I(nt.129)に切断しクレノー切片で満たした後、ライゲーションしてnt.3182/0−129を削除したR023プラスミドを製造した。
【0074】
3−9.R040(pCMV−ayw Δ129−490)プラスミドの製造
R018プラスミドのEcoR I(nt.3182)、Sph I(nt.1239)の間の切片をpGEM−4Z(Promega、USA)プラスミドに挿入してR037プラスミドを製造した。R037プラスミドをXho I(nt.129)、BamH I(nt.490)に切断した後クレノー切片で満たし、ライゲーションしてnt.129−490を削除したR038プラスミドを製造した。R038プラスミドのEcoR I、Sph Iの間の877bp大きさの切片を、R015プラスミドのEcoR I、Sph Iの位置に移してR040プラスミドを作った。
【0075】
3−10.R041(pCMV−ayw Δ490−827)プラスミドの製造
R037プラスミドをBamH I(nt.490)とAcc I(nt.827)に切断した後クレノー切片で満たし、ライゲーションしてnt.490−827を削除したR039プラスミドを製造した。R039プラスミドのEcoR I、Sph Iの間の897bp大きさの切片を、R015プラスミドのEcoR I、Sph Iの位置に移してR041プラスミドを製造した。
【0076】
3−11.R025(pCMV−ayw Δ827−1238)プラスミドの製造
R015プラスミドのEcoR I(nt.3182)とApa Iの間の切片をpBluescript II SK(+)(Stratagene、USA)に移してR050プラスミドを製造した。R050プラスミドのAcc I(nt.827)とSph I(nt.1238)の間の切片を除去してT4 DNAポリメラーゼで満たし、ライゲーションしてnt.827−1238を削除したR008プラスミドを製造した。R008プラスミドのEcoR I、Apa I切片をR015プラスミドのEcoR I、Apa Iの位置に移してR025プラスミドを製造した。
【0077】
3−12.R026(pCMV−ayw Δ1238−1374)プラスミドの製造
R050プラスミドをSph I(nt.1238)、Nco I(nt.1374)に切断した後T4 DNAポリメラーゼで満たし、ライゲーションしてnt.1238−1374を削除したR009プラスミドを製造した。次いで、R009プラスミドのEcoR IとApa Iの間の1866bp大きさの切片をR015プラスミドのEcoR I、Apa Iの位置に置換してR026プラスミドを製造した。
【0078】
3−13.R027(pCMV−ayw Δ1374−1419)プラスミドの製造
R050プラスミドをNco I(nt.1374)、Aat II(nt.1419)に切断した後T4 DNAポリメラーゼで満たし、ライゲーションしてnt.1374−1419を削除したR012プラスミドを製造した。次いで、R012プラスミドのEcoR I(nt.3182)、Apa Iの間の1957bp大きさの切片をR015プラスミドのEcoR I、Apa Iの位置に移してR027プラスミドを製造した。
【0079】
3−14.R028(pCMV−ayw Δ1419−1804)プラスミドの製造
R050プラスミドをAat II(nt.1419)、Fsp I(nt.1804)に切断した後T4 DNAポリメラーゼで満たし、ライゲーションしてnt.1419−1804を削除したR013プラスミドを作った。R013プラスミドのEcoR I(nt.3182)、Apa Iの間の1617bp大きさの切片をR015プラスミドのEcoR I、Apa Iの位置に移してR028プラスミドを製造した。
【0080】
3−15.R053(pCMV−ayw Δ1419−1804)プラスミドの製造
R050プラスミドのAat II(nt.1419)とApa Iの間の切片を、正方向プライマー(forward primer)の5’位置末端部位にAat II認識部位を製造したPCR生成物であるAat II(nt.1592)−Apa I切片に置換してR052プラスミドを製造した。次いで、R052プラスミドのEcoR I、Apa Iの間の切片をR015プラスミドのEcoR I、Apa Iの位置に移してR053プラスミドを製造した。
【0081】
3−16.R035(pCMV−ayw Δ1607−1804)プラスミドの製造
R050プラスミドをEcoR I(nt.3182)−Bsa I(nt.1607)の間のブラント(blunt)切片を製造した後、R015プラスミドをEcoR I(nt.3182)−Fsp I(nt.1804)の間の切片と置換してR035プラスミドを製造した。
【0082】
3−17.R029(pCMV−ayw Δ1804−1884)プラスミドの製造
R050プラスミドのFsp I(nt.1804)−Sty I(nt.1884)の間の切片を消去しクレノー切片で満たした後、ライゲーションしてnt.1804−1884を削除したR010プラスミドを製造した。次いで、R010プラスミドのEcoR I(nt.3182)、Apa Iの間の1922bp大きさの切片をR015プラスミドのEcoR I、Apa Iの位置に移してR029プラスミドを製造した。
【0083】
実施例4
HBVゲノム複製に必須のシス−エレメントの分析
4−1.コア粒子からHBV DNA抽出及びサーザンブロット
トランスフェクション、DNA抽出とサーザンブロットを実施例2−2と同じように行なった。HBV遺伝子複製に必要なウイルスのタンパク質を提供するため、コアタンパク質とポリメラーゼを提供することができるヘルパープラスミド(R063、pCMV−CPS)を同時にトランスフェクションした。図7で17種の欠損変異体等のサーザンブロットの結果を示している。HBV遺伝子ゲノム複製で説明したように、コア粒子に存在するHBV遺伝子複製の中間体はSS(一本鎖DNA)、DL(二本鎖DNA)、RC(relaxed circular DNA、リラックスド環形)の形で存在する。この中でRC(リラックスド環形)形のDNAがウイルス粒子(virion particle)に存在するHBVゲノム複製の最終産物であるため、RC形DNAの存在有無で各欠損変異体に欠けた塩基配列が複製に必要なシス−エレメントであるか否かを判断することができる。
【0084】
4−2.シス−エレメント分析
HBV複製に必要なシス−エレメントを解明するため制限酵素の位置を利用して幾つかの欠損変異体を製造した。これら欠損変異体はそれぞれ約0.1−0.4K bpの切片を欠いており、全部合わせるとHBV全体ゲノムを含む。
【0085】
表1はB形肝炎ウイルスの遺伝子中シス−エレメントを解明するため製作した、欠損変異体の欠損位置に伴う複製可否を要約した表である。
【表1】
【0086】
サーザンブロットの結果を分析してみると、R022プラスミド(pCMV−ayw Δ2662−3182/0)をトランスフェクションした場合、RC DNAは検出されずSS DNAのみ検出された(図7、表1)。この部位をさらに詳しく解明するためR022プラスミドをR045プラスミド(pCMV−ayw Δ2839−3182/0)と、R044プラスミド(pCMV−ayw Δ3052−3182/0)に区分した後サーザンブロットを行なった。その結果、R044プラスミドはSS DNA、DL DNAだけでなくRC DNAが検出されたため、R044の欠損部位は複製に不要であることが分かった(図7、表1)。その反面、R045プラスミドは少量のSS DNAのみ検出されたため、R045プラスミドの欠損部位(nt.2839−3182/0)が複製に必要な部位を含んでいることが分かった(図7、表1)。
【0087】
一方、R021プラスミド(pCMV−ayw Δ2459−2817)はSS DNA、DL DNAだけでなくRC DNAが検出されたため、R021の欠損部位は複製に不要である(図7、表1)。前記四種類の欠損変異体の結果から(nt.2818−3052)が新しいシス−エレメントであることが分かった。本発明でこの部位をアルファ−エレメント(α)と名付けた。
【0088】
R028プラスミド(pCMV−ayw Δ1419−1804)はDR2(nt.1592−1602)が欠けている変異体である。R028プラスミドのサーザンブロットの結果をみれば、RC(relaxed circular)DNAが現われず、一本鎖DNAのみ感知された(図7、表1)。この結果でDHBVでマイナス−鎖DNA合成にDR2が重要な役割を果たすとの報告と一致する(Loeb et al.,1996;Condreay et al.,1992)。これを確認するためDR2部分前までのみ削除したR053プラスミド(pCMV−ayw Δ1419−1592)を製造してサーザンブロットを行なった結果、RC DNAを確認した(図7、表1)。よって、R028プラスミドは新しいシス−エレメントを含むものではなく、DR2エレメント(nt.1592−1602)が欠けているためRC(relaxed circular)DNAが現れないことが分かった。
【0089】
一方、R035プラスミド(pCMV−ayw Δ1607−1804)はDR1とDR2の間が欠けた変異体であり、DNA合成が全く生じなかった(図7、表1)。マイナス−鎖DNA合成の開始部位(initiation位置)であるDR1が存在するが、複製が生じないためDR1とDR2の間の塩基配列は複製に必要であることが分かった。即ち、この部分はマイナス−鎖DNA合成に必要である。この部分は新しいシス−エレメントであるため、ベータ−エレメント(β)と名付けた。
【0090】
R029プラスミド(pCMV−ayw Δ1804−1884)はDR1(nt.1826−1836)が欠けた変異体であり、マイナス−鎖DNA合成が全く感知されなかった(図7、表1)。これは文献の報告と一致した結果を見せている(Condreay et al.,1992)。
【0091】
結論的に、本発明ではHBV遺伝子複製に必要な二つの新しいシス−エレメント等を解明した。このようなサーザンブロットの結果により、HBVゲノム複製で重要なシス−エレメントに対する総合的な理解でプロトタイプのHBVベクターを設計することができた。
【0092】
一方、HBV遺伝子の一部はHBV遺伝子複製に不要な欠損可能部位(despensable region)であることが明らかになった。欠損してもRC(relaxed circular)DNAを形成することができるものに現われた欠損変異体らはR060(pCMV−ayw Δ1910−1992)、R048(pCMV−ayw Δ1992−2143)、R056(pCMV−ayw Δ2143−2459)、R021(pCMV−ayw Δ2459−2817)、R044(pCMV−ayw Δ3052−3182/0)、R023(pCMV−ayw Δ3182/0−129)、R040(pCMV−ayw Δ129−490)、R041(pCMV−ayw Δ490−827)、R025(pCMV−ayw Δ827−1238)、R026(pCMV−ayw Δ1238−1374)、R027(pCMV−ayw Δ1374−1419)、R053(pCMV−ayw Δ1419−1592)を含む。
【0093】
実施例5
プロトタイプHBV遺伝子治療ベクター設計
本発明ではHBV遺伝子複製に必要な新しいシス−エレメント等を全て解明した。文献上ではHBVゲノム複製段階に重要なエレメントが幾種類既に明らかになっている。このエレメント等はキャプシド化の信号に用いられる5’位置のエプシロン(Junker−Niepmann et al.,1990;Hirsch et al.,1991)、DR1とDR2エレメント(Condreay et al.,1992;Seeger et al.,1991;Nassal et al.,1996)、円形化(circularization)に作用するr(repeat)エレメント(Loeb et al.,1997)、post−transcriptional RNA processingに必要なPRE エレメント(Huang et al.,1995;Yen et al.,1998)等がある。この他に、本発明では全体HBVゲノムのマッピング(mapping)を介して二種類の新しいシス−エレメントを解明した。
【0094】
HBV遺伝子複製に必須のシス−エレメント等を解明することにより、プロトタイプのHBV遺伝子治療ベクターを設計することができる礎石を設けた(図8参考)。HBV遺伝子治療ベクター開発において最も考慮すべき点は異種遺伝子の挿入位置と異種遺伝子の大きさである。本発明ではプロトタイプのHBV遺伝子治療ベクターを開発するため、二つの異種遺伝子の挿入可能部位を選定した。先ず、5’位置エプシロン(ε)とアルファ(α)−エレメント(nt.1909−2817)の間にHBV遺伝子を異種遺伝子の置換が可能である。この挿入部位に少なくとも0.9K bp大きさの異種遺伝子DNA切片の挿入が可能である。さらに、この挿入部位の上流(upstream)に位置し、コアプロモーター(core promoter)を挿入された異種遺伝子発現に活用することになる。第二に、アルファ(α)−エレメントとDR2エレメントの間を異種遺伝子に置換することができる。ここでは、1.7K bp大きさのDNA切片を異種遺伝子に置換することができる。最初の挿入部位と類似するよう、第二の挿入部位の上流にプリ(pre)−S2/Sプロモーター(promoter)が位置している。よって、この部位に挿入した異種遺伝子はプリ(pre)−S2/Sプロモーターを利用して発現することができる。
【0095】
実施例6
異種遺伝子が挿入されたHBV vectorの製造
実施例5で設計されたHBVベクターの欠損可能部位に外部遺伝子を挿入してその複製を調査するため、異種遺伝子の緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein:GFP)遺伝子を挿入させたR711プラスミドを(pCMV−HBV/GFP)製造した(図9参考)。
【0096】
6−1.挿入部位とプロモーター
次のような事柄を考慮し挿入部位を決定した。第一、HBVゲノム複製に必須の全てのシス−エレメントは存在しなければならない。第二、最大のパッケージングされ得る大きさ(packaging limit)を超過しない範囲で発現能力を有する内在ウイルスプロモーターが必要である。
【0097】
6−2.緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子のHBVベクターへの挿入
外部遺伝子が挿入された組換HBVベクターを製造するため、約0.7K bpの緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をHBVベクターに挿入した。先に、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をPCR生成物に作った後、このときGFP PCR産物の両端にはプライマーを介して作られた制限酵素認識部位が生成されるように製作した。先ず、R709プラスミド(pCMV−HBV/ΔPS2GFP)は、R015プラスミドのBsu36 I(nt.3052)−EcoR I(nt.3182)の間の切片を、両端にBsu36 I−EcoR I制限酵素認識部位を有する0.7K bp大きさのGFP遺伝子を発現するPCR生成物に置換して作った。具体的に、プライマーGFP BsuF IIの5’末端からクローニングのためのBsu36 Iの制限酵素認識部位を、そして、プライマーGFP EcoR IIの5’末端にEcoR Iの制限酵素認識部位を挿入してPCRに利用した。
【0098】
具体的な塩基配列は次の通りである。
【0099】
一連のクローニング過程の中でプリ(pre)−S2/Sプロモーターの一部が欠ける。欠けたpre−S2/Sプロモーター部位を復旧させるため、Bsu36 I(nt.3052)−Bsu36 I(nt.3166)の間の切片をR709プラスミドに挿入し、R710プラスミド(pCMV−preHBV/GFP)を製造した。ついで、R711プラスミド(pCMV−HBV/GFP)(配列番号4)を製造するため、R710プラスミドのEcoR I(nt.3182)−Sph I(nt.1238)の間の切片を削除した。結局、1.3K bp大きさのHBV遺伝子の一部が0.7K bpのGFP遺伝子に置換される。よって、ベクターは全体ゲノム大きさが1.3K bp程度が削除され、GFP遺伝子の0.7K bpが添加されてHBVゲノム大きさより0.6K bpが小さくなるよう製造した。
【0100】
実施例7
組換HBV遺伝子ベクターの複製確認
組換HBVベクターの複製能力を確認することにより、遺伝子治療ベクターとしての有用性を確認した。R711プラスミドとpCMV−CPS(ヘルパー)をHuh7細胞にトランスフェクションした。実施例2−2のようにコアDNAを抽出し、HBVプローブ(probe)を利用したサーザンブロットを行なった(図11a)。対照群でHBVを生産する肝癌細胞株のHepG2.2.15細胞へのコア粒子から抽出したDNAを比較分析した(Sells et al.,1988)。図11aに示されるように、陽性対照群のHepG2.2.15細胞とR015プラスミドがトランスフェクションされた細胞でRC(relaxed circular)DNA、DL(double−stranded linear)DNA、SS(single−stranded)DNA等が検出された。その上に、R711プラスミドをトランスフェクションさせたときの場合にも、RC DNAが検出されることを確認することができた。さらに、RC DNAの量が野生型HBVクローンのR015プラスミドをトランスフェクションした場合と類似するとのことも確認することができた。
【0101】
さらに、図11bでGFPプローブを利用したサーザンブロットの結果からR711プラスミドベクターの複製能力を再確認することができた。結論的に、本発明が提供するプロトタイプのHBVベクターは異種遺伝子を挿入しても複製能(replication competent)に損傷がないため、有用な遺伝子治療ベクターとしての可能性が立証された。
【0102】
プラスミドR711(pCMV−HBV/GFP)は、HBVゲノムの大きさが野生型に比べ0.6K bp小さい。HBVゲノムの大きさがマイナス−鎖の移動(translocation)に影響を及ぼす可能性があるため(HO et al.,2000)、これを補うため野生型のゲノム大きさと同じR712(pCMV−HBV/GFP3.2)プラスミド(配列番号5)を製造した。R712プラスミドはR710プラスミドのEcoR I(nt.3182)−Apa I切片を削除し、PCRを利用して正方向プライマー(forward primer)の5’位置末端部位にEcoR I認識部位を作ったPCR生成物のEcoR I(nt.732)−Apa I切片に置換してR712プラスミドを製造した。プライマーの具体的な塩基配列は次の通りである。
【0103】
【0104】
R712プラスミドは、削除されたHBVサイズ程度の異種遺伝子が入っているため全体のサイズが野生型と同じである。R712プラスミドをトランスフェクションさせたときの場合、R711と同様にサーザンブロットの結果からRC DNAを確認することができた。
【0105】
【発明の効果】
前記の構成の本発明によれば、本発明で提供する組換ウイルスは肝細胞にのみ選択的に感染し、治療用遺伝子を伝達する特性があるためin vivo治療とex vivo治療が可能な利点があり、このような新しい遺伝子治療用組換B型肝炎ウイルスベクターは肝組織にDNAを直接挿入、循環等の方法で注入(administration)させると、肝に異種遺伝子を伝達して発現させるのに直接利用が可能である。
【0106】
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【0107】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1:B型肝炎ウイルスのプリゲノミックRNAを図式化した図であり、次のcis−elementが示されている:DR1(direct repeat 1)、DR2(direct repeat 2)、epsilon(encapsidation signal)、r(repeat)element、PRE(posttranscriptional RNA processing element)。さらに、四つのORFを矢印状ボックス図で示している:C(core)ORF、P(polymerase)ORF、S(surface antigen)、and X ORF。
【図2】図2:B型肝炎ウイルスの肝炎周期を示す。
【図3】図3:ウイルスのポリメラーゼがプリゲノミックRNAを鋳型にし、逆転写過程を介してB型肝炎ウイルスの遺伝子複製過程が図式化されている。
【図4】図4:異種遺伝子(GFP)が挿入されたHBV組換ベクターの細胞内での作用を要約した図で、HBV組換ウイルスの複製に必要なウイルスタンパク質が提供されるpackaging cell lineにトランスフェクションさせ、細胞内核でCCC(covalently closed circular)形態のDNAに復旧され、野生形と同じく異種遺伝子を有するHBV組換ベクターでの異種遺伝子発現過程を図式化した図である。packaging cell lineはヘルパープラスミドに代置することができる。
【図5】図5a:R015プラスミド(B型肝炎ウイルスのプリゲノミックRNAを発現するプラスミド)を製造するための図式である。
【図6】図5b:R015プラスミド(B型肝炎ウイルスのプリゲノミックRNAを発現するプラスミド)を表す。
【図7】図6:B型肝炎ウイルスの遺伝子中シス−エレメントを解明するため製作した欠損変異体の欠損位置を要約した図であり、欠損部位を太い線で表示。左下の挿入された図はDR2、DR1部位の拡大図である。
【図8】図7:B型肝炎ウイルス欠損変異体の複製の可否をHBVプローブ(probe)にサーザンブロットした結果であり、ここでRC(relaxed circular DNA)、DL(double−stranded linear DNA)、SS(single−stranded DNA)は、それぞれHBV遺伝子複製の中間体。
【図9】図8:プロトタイプのHBV組換ベクターの地図で、B型肝炎ウイルスの複製に必要な新しいシス−エレメント(アルファとベータ)と、異種遺伝子の挿入可能部位と挿入可能遺伝子の大きさを図式化したものである。
【図10】図9:異種遺伝子(GFP;green flourescence protein)が挿入されたHBV組換ベクター(R711プラスミド)を製造するための過程を示す図式図である。
【図11】図10:シス−エレメントを含む異種遺伝子で緑色蛍光タンパク質(GFP;green flourescence protein)が挿入されたHBV組換ベクター(R711プラスミドとR712プラスミド)の図式図。R711プラスミドは、野生型より約0.6K bp小さい遺伝子を有する組換HBVを生産することになり、R712プラスミドは、野生型と同じ大きさの遺伝子を有する組換HBVを生産することになる。
【図12】図11a:異種遺伝子に緑色蛍光タンパク質(GFP)が挿入されたHBV組換ベクターR711(pCMV−HBV/GFP)の複製の可否をHBVプローブで確認したサーザンブロットの結果であり、ここでRC(relaxed circular DNA)、DL(double−stranded linear DNA)、SS(single−stranded
DNA)は、それぞれHBV遺伝子複製の中間体である。
【図13】図11b:緑色蛍光タンパク質(GFP)が挿入されたHBV組換ベクターR711(pCMV−HBV/GFP)の複製の可否をGFPプローブで確認したサーザンブロットの結果であり、ここでRC(relaxed circular DNA)、DL(double−stranded linear DNA)、SS(single−stranded DNA)は、それぞれHBV遺伝子複製の中間体である。
Claims (7)
- 5'位置から3'位置方向に、サイトメガロウイルスの初期プロモーター(immediate early promoter)、DR1エレメント、エプシロンエレメント(epsilon,nt.1849-1909)、配列番号1のアルファ−エレメント(nt.2818-3052)、DR2エレメント、(nt.1592-1602)、配列番号2のベータ−エレメント(nt.1607-1804)、DR1エレメントを含み、前記エプシロンエレメントの末端位置と前記アルファ−エレメントの開始位置の間、および前記アルファ−エレメントの末端位置と前記DR2エレメントの間に外来遺伝子の挿入部位を有する、プロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクター。
- 前記ベクターが、さらにHBV遺伝子中内在性ウイルスプロモーターを用いる、請求項1記載のプロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクター。
- 前記ベクターが、HBV遺伝子中内在性ウイルスプロモーターの中のコアプロモーターとプリS2/Sプロモーターをそれぞれ選択して用いる、請求項1記載のプロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクター。
- 前記ベクターが、野生型3.2K bp HBVゲノムの大きさを超えることなく、エプシロンエレメントとアルファエレメントの間に0.90K bpまでの異種遺伝子の塩基配列の挿入部位を有する、請求項1記載のプロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクター。
- 前記ベクターが、野生型3.2K bp HBVゲノムの大きさを超えることなく、アルファエレメントとDR2エレメントの間に1.7K bpまでの異種遺伝子の塩基配列の挿入部位を有する、請求項1記載のプロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクター。
- 前記ベクターが、複製に必須のコアタンパク質、またはポリメラーゼ遺伝子が欠け複製不能(replication-defective)である、請求項1記載のプロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクター。
- 前記ベクターが、少なくとも一つの異種遺伝子(heterologous gene)を発現することができる異種塩基配列を含む、請求項1記載のプロトタイプのB型肝炎ウイルスプラスミドベクター。
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2001
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