JP3621203B2 - トランスファ樹脂封止方法及びそれに用いる樹脂封止 金型装置 - Google Patents

トランスファ樹脂封止方法及びそれに用いる樹脂封止 金型装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発光ダイオード(LED)やトランジスタ等の個別部品あるいは半導体集積回路(IC)装置等の樹脂封止型電子部品のトランスファ樹脂封止方法及びそれに用いる樹脂封止金型装置に関し、殊に、封止時の不要樹脂バリの発生を抑える封止技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のトランスファモールドには例えば図6及び図8に示すモールド金型が従来より用いられている。この金型は図7に示すチップ形LED部品の樹脂封止モールド用のものである。同図のチップ形LED10は特開平6ー5926号公報等で開示されているように、ガラスエポキシ樹脂基板やセラミック等の基板71の上面に一対のリード電極72a及び72bが形成され、その一方のリード電極72aにLED素子73がボンディングされ、そのLED素子73と他方のリード電極72bとの間が金線74等でワイヤボンディングされている。LED素子73や金線74等は透光性合成樹脂等からなる四角錐形のモールド部75で被われている。そして、各リード電極72a、72bはモールド部75から基板71の両端側に延長され端子電極76、77となっている。
【0003】
このチップ形LED70のモールド金型による樹脂封止工程を図6及び図8によって説明する。図8は図6のA−A矢視断面を示す。絶縁性基板23はチップ部品の多数個取りをするための基板材である。この基板には図7に示したリード電極72a、72bの電極パターンが予め形成され、その電極パターン上にLED素子73を複数個、別途ボンディング工程によって搭載している。そして、モールド工程において絶縁性基板23が下金型22上に載置され、その上から上金型31を型締め(クランプ)して、上下金型間に挟持することによって基板23上に列状に搭載された各LED素子を被う細長状キャビティ26を形成している。25は基板23に穿設された、各キャビティ間を分離する長尺状スリットである。また、トランスファ成形を行うために樹脂ペレットは金型のセンタブロック30に設けたカル20に投入され、そこから溶融樹脂はランナ21及び24を通じて各キャビティへ供給される。モールド工程の後、上記キャビティ26に対応した細長状モールド部分を基板とともに各LED素子単位ずつに切断することによって図7に示したようなチップ部品に分割される。なお、この金型はカル20とランナ21を介して連通した合計4つのキャビティエリアとして個別の金型部材を組み込んだ、着脱自在のチェイスブロックによって構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなトランスファモールドでは金型のパーティング面等からの樹脂漏れによって樹脂バリが発生するとその除去作業に非常に手間がかかるという問題があった。そこで一般には上下金型をある程度の圧力でクランプしてパーティング面どうしを密着させ、バリを出さないようにしている。
【0005】
しかし、基板やリードフレームを挟み込んでモールドする場合には、基板ないしフレーム上に薄いバリが残らないように基板ないしフレームに金型のパーティング面を優先的に当ててクランプ調整を行う必要があるため、キャビティ以外のセンターブロック30やランナー21等におけるパーティング面間に若干の隙間が生じやすく、そこから樹脂漏れを起こし樹脂バリを生じていた。特に、基板やフレームの素材に板厚方向の寸法バラツキがあると、複数のキャビティエリアに載置したとき、キャビティエリア間でのパーティング面間の隙間が生じてしまいクランプ圧力を高めても解消できなかった。殊に、上記のチップ形LED部品の樹脂封止モールドには熱硬化性合成樹脂が用いられているが、フィラー混入のない透光性エポキシ樹脂素材を用いるときには基板厚さに0.01m/m程度の寸法バラツキがあっても粘性の低い樹脂素材が隙間をつたって広がり、図6の斜線で示すようにキャビティ終端付近に樹脂バリ28を作るだけでなく、ランナー21の付近に薄い樹脂バリ27及び29を作ってしまい金型のほぼ全面にまで及んでいた。さらに、カル20も摩耗してくるとその近傍にも隙間が生じるため、頻繁に金型部品の交換作業を行う必要があった。
【0006】
従来の樹脂バリ対策としては、特開昭59ー175732号公報や特開昭58ー110048号公報等では合成ゴム材をキャビティ周辺の溝に埋設して金型のクランプによりシールする方法が開示されている。しかしながら、従来はキャビティ周辺からの樹脂漏れを防ぐのみであって、それがパーティング面全面に及ぶのを防ぐのは困難であった。
【0007】
本発明にかかる課題は、上記従来の問題点に鑑み、基板やフレーム材を金型で挟み込んでカルからランナーを経て樹脂をキャビティに注入するトランスファモールドにおいてカルやランナー等での発生する樹脂バリのバリ取り処理の手間を省くことのできるトランスファ樹脂封止方法とそれを用いる樹脂封止金型装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明にかかるのトランスファ樹脂封止方法は、 基材を上下金型で挟んだ状態で樹脂の注入されるキャビティを形成し、所定の樹脂注入口から前記キャビティに連通するランナーを通じて封止樹脂を前記キャビティに注入するトランスファ樹脂封止方法において、前記上下金型のいずれか一方のパーティング面で、かつ前記ランナーにそって、また前記キャビティの樹脂注入終端側に弾性材を突出させて埋設し、該弾性体の弾性により前記上下金型間に所定間隔を有するように型締めして前記樹脂注入口から前記ランナーを通じて前記キャビティに溶融樹脂を注入し、ランナー周辺に前記所定間隔に応じた厚さの樹脂バリを形成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明にかかる樹脂封止金型装置は、請求項1のトランスファ樹脂封止方法に用いる金型装置であって、前記上下金型のいずれか一方のパーティング面で、かつ前記ランナーにそって形成した第1の溝と、また前記キャビティの樹脂注入終端側に設けた第2の溝に前記弾性材を突出させて埋設したことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3の発明にかかる樹脂封止金型装置は、前記上下金型のいずれか一方のパーティング面に形成され、かつ前記キャビティの樹脂注入終端側に前記キャビティに連通する凹部を備え、前記凹部の外周近傍に前記第2の溝を形成したことを特徴とする。
本発明における上記基材には、例えば鉄−ニッケルの合金材等からなるリードフレームやガラスエポキシ基板等を用いることが出来る。
【0011】
なお、本発明にかかる樹脂封止方法はLED等の透光性樹脂パッケージだけでなくトランジスタ等の個別部品、あるいはDIP(Dual Inline Package)で代表されるピン挿入タイプの電子部品、さらにIC等で使用されているQFP(Quad Flat Package)等の表面実装タイプのものに適用することができる。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、キャビティの樹脂注入終端だけでなくランナーにそって弾性材によるシール手段を設けており、パーティング面全面に樹脂漏れが生じてもランナーやキャビティ近傍より外に拡散するのを確実に防止でき、手間のかかる樹脂バリ除去作業を行うことなく、トランスファモールド成形工程を簡素化できる
【0013】

【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施した例を図面によって説明する。
図1は本実施例のチップ形LED製造に用いるトランスファ金型を示し、図2は同金型の要部を示し、さらに図3は図2のB−B矢視断面を示す。カル4から4方向に分岐したランナー5と連通する4区画分のキャビティエリア3が下金型1に設けられている。4個のキャビティエリア3はカル4の設けられたセンタブロック10とともに下金型1に着脱自在に取り付けられており、この金型は支柱2にそってスライド可能な下金型1と上金型14とによってチェイスブロックとして構成されている。ランナー5及び6とキャビティ15は上金型14側に形成されている。この例は図7で示したチップ形LEDをトランスファモールドする工程を示す。絶縁性基板7はガラスエポキシ樹脂やセラミック等からなり、予めチップボンディング工程によって複数個のLED素子18が列状に搭載されたものであり、各LED素子列を個別に独立させるべく長尺状スリット17が各列に並設されている。金型全体としては8枚の基板7に対して一つのカル4によってトランスファモールドを行うが、各キャビティエリア3には1本のランナー5から二つに分岐したランナー6に対して2枚の基板7が下金型1上に載置される。
【0014】
そして、図3に示すように、基板7を下金型1上に載置した後、その上から上金型14を型締め(クランプ)して上下金型間に挟持することによって、基板7上に列状に搭載された各LED素子列を被う細長状キャビティ15を形成する。これらのランナー5及び6とキャビティ15は上金型14のパーティング面に凹設されている。また、各キャビティ15の終端には連通路16を介して樹脂溜め部12が上金型14のパーティング面に基板7の全幅に相当する長尺状凹部として設けられている。一対のキャビティ15が一端でランナー6と連通して複数段並設されている。カル4からの溶融樹脂はランナー5及びランナー6を通じて各キャビティ15に注入された後、さらに各キャビティ15の終端に設けた樹脂溜め部12に至る。
【0015】
次に、本実施例にかかる金型の樹脂漏れ防止構造を説明する。
下金型1にはカル4周辺に、またカル4と連通するランナー5及びキャビティ15と連通するランナー6にそって、さらに樹脂溜め部12の外周近傍に、図4に示す断面矩形の溝19が形成されている。そして溝19に弾性材8、9、11、13が若干突出する程度の状態で嵌め込まれ、上下金型の型締めによってほぼ全量が溝内に収容され、カル4、ランナー5と6、及び樹脂溜め部12の各周辺をシールするシール手段となる。即ち、これらのシール手段は、樹脂注入の終端に相当する樹脂溜め部12の外側に嵌着した略コ字状弾性材8と、ランナー5の両側にそって嵌着した弾性材9、11と、ランナー5からT字状に分岐したランナー6の中央部で、かつ両基板7間に設けた弾性材13とからなる。弾性材8は請求項2の発明における第2の溝に対応し、また同項の第1の溝は弾性材9、11に対応する。弾性材13は基板7間のパーティング面に樹脂漏れが広がらないようにランナー6の中央部をシールするためのものである。そして、これらの弾性材には封止樹脂の溶融温度、つまり金型温度より高い硬化温度特性を有する耐熱性素材が好ましく、本実施例で使用のフィラー混入のないLED封止用透明ないし半透明熱硬化性エポキシ樹脂では溶融温度が約150℃程度であるのでシリコーンゴムやウレタン等の合成樹脂を使用すればよい。ICパッケージの封止樹脂のときは180℃〜230℃以上の高温に耐える素材を使用する。例えば、直径4φのシリコーンゴム丸材を溝19に約0.5m/m程度突出させて埋設し、上金型14の押圧によって0.1〜0.2m/m程度のクリアランス(間隙)が出来るように型締めを行うと、ランナー5周辺に流出した樹脂バリはシリコーンゴム丸材によって堰き止められ、また若干流出したバリが離型しやすい厚さになる。該弾性材の形状は丸棒状や角柱状のものでよく、溝19の断面形状も矩形以外の多角形や半球状等であってもよい。溝形成位置はランナー直近よりも小さいバリが残る程度の間隔をあけて設定すると、モールド成形品を離型時に円滑に取り出すことができる。さらに、本実施例ではゴム材を用いて上下金型(1、14)の型締め時に押圧方向と逆方向に付勢するようにしているが、図5に示すように、下金型1に形成した溝53に上下スライド自在な軸部52を持つ金属棒材50を嵌着し、軸部52にバネ材52を取り付けることによって型締め時にバネの復帰力を上金型14に付勢するようにしてもよい。
【0016】
上記の樹脂漏れ防止構造を備えた本実施例の樹脂封止金型装置において、図3のように上下金型(1、14)を型締めした状態で、まず樹脂ペレット(図示せず)をカル20に投入し、そこから溶融樹脂をランナ5及び6を通じて各キャビティ15へ供給し、さらに連通路16を介して樹脂溜め部12まで送り出してトランスファ成形工程を実施する。樹脂注入の後、高温で加温してモールド成形を行い、ついで型開きをし、上金型14からエジェクタピン(図示せず)を突き出すことによってランナー5及び6等の樹脂材部分を突き上げて金型からモールド品を分離して取り出す。各基板7に一体的に成形された長尺状のモールド品から切断工程(図示せず)を経て分割し図7の個別LED部品を得る。
【0017】
この実施例では上記の樹脂注入の際にカル4、ランナ5及び6、樹脂溜め部12の周辺に設けた弾性体8、9、11及び13からなるシール手段によって、型締めの時に金型間にクリアランス(間隙)を生じてもそれによって流出した樹脂漏れの拡散を防ぐことができ、面倒な金型の清掃作業を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例に使用する金型の平面図である。
【図2】図2は図1の金型の要部拡大平面図である。
【図3】図3は図2のB−B矢視断面図である。
【図4】図4は図1の金型に使用する弾性材の取付状態を示す断面図である。
【図5】図5は本発明の他の弾性材例を示す断面図である。
【図6】図6は従来の金型を示す平面図である。
【図7】図7はチップ形LEDを示す外観斜視図である。
【図8】図8は図6のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
1 下金型
3 キャビティエリア
4 カル
5 ランナー
6 ランナー
7 絶縁性基板
8 弾性材
9 弾性材
11 弾性材
12 樹脂溜め部
13 弾性材
14 上金型
15 キャビティ
19 溝

Claims (3)

  1. 基材を上下金型で挟んだ状態で樹脂の注入されるキャビティを形成し、所定の樹脂注入口から前記キャビティに連通するランナーを通じて封止樹脂を前記キャビティに注入するトランスファ樹脂封止方法において、前記上下金型のいずれか一方のパーティング面で、かつ前記ランナーにそって、また前記キャビティの樹脂注入終端側に弾性材を突出させて埋設し、該弾性体の弾性により前記上下金型間に所定間隔を有するように型締めして前記樹脂注入口から前記ランナーを通じて前記キャビティに溶融樹脂を注入し、ランナー周辺に前記所定間隔に応じた厚さの樹脂バリを形成することを特徴とするトランスファ樹脂封止方法。
  2. 請求項1のトランスファ樹脂封止方法に用いる金型装置であって、前記上下金型のいずれか一方のパーティング面で、かつ前記ランナーにそって形成した第1の溝と、また前記キャビティの樹脂注入終端側に設けた第2の溝に前記弾性材を突出させて埋設したことを特徴とする樹脂封止金型装置。
  3. 前記上下金型のいずれか一方のパーティング面に形成され、かつ前記キャビティの樹脂注入終端側に前記キャビティに連通する凹部を備え、前記凹部の外周近傍に前記第2の溝を形成したことを特徴とする請求項2の樹脂封止金型装置。
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