JP3620866B2 - 吸水性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、吸水性樹脂組成物、さらに詳しくは、単独又は他の汎用樹脂に配合して、フィルム、シート、繊維、シール材等の形態に加工して使用される吸水性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の形態で使用される熱可塑性樹脂は疎水性材料であり、用途によっては、吸水性又は保水性を付与することが必要となる。
【0003】
従来、上記熱可塑性樹脂に吸水性を付与する方法としては、例えば、その表面を化学的に処理する方法、吸水性物質を混合する方法等が知られている。また、上記熱可塑性樹脂に保水性を付与する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂に吸水性樹脂を分散又は溶融、混練させた吸水性樹脂組成物が数多く提案されている。
【0004】
かかる吸水性樹脂組成物の多くは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂に吸水性樹脂を混合し、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等にて溶融混練した後、例えばペレット等に成型し、これを粉砕して得ることができる。
【0005】
しかしながら、上記製法では、熱可塑性樹脂と吸水性樹脂との混練において、成分間の相溶性が低く、均一に分散したものが得られないという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために、ポリオレフィン樹脂と吸水性樹脂との相溶性を高めた均一な吸水性樹脂組成物として、特開平1−163229号公報には、ポリエチレンオキシド変性物系の吸水性樹脂を用い、特定の第3成分樹脂、特に融点200℃未満のポリアミド又はポリオキシメチレンを樹脂組成物に添加したものが提案されている。
【0007】
しかしながら、前記特開平1−163229号公報に記載の方法においても、吸水性樹脂として用いるポリアルキレンオキシド変性物の種類によっては、得られる成型物が外観上ではブツブツの数が減少し、その大きさも小さくなっているものの、電子顕微鏡によって内部断面を詳細に観察すると吸水性樹脂が点在しており、そのため加工性の低下や、引張強度、伸度等の物性値の低下が見られ、また親水性、吸水性等において十分満足すべき性能が発揮されない場合がある。
【0008】
本発明者らは先に特願平5−49179号において、特定の溶融粘度を有する架橋ポリアルキレンオキシドを吸水性樹脂として熱可塑性樹脂に混合してなる吸水性樹脂組成物を提案した。しかし、該組成物においても溶融粘度が40万ポイズ以上の架橋ポリアルキレンオキシドを用いた場合には、熱可塑性樹脂への相溶性の改善は不充分で吸水性樹脂が均一に分散した吸水性樹脂組成物は得難い。
このような現象は、例えば低密度ポリエチレンのように加工温度の低い熱可塑性樹脂を用いた場合に顕著に現れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、吸水性樹脂の分散性を高め、単独で又は他の汎用性樹脂に配合して、フィルム、シート、繊維等に成型する場合、加工性が良く、得られる成型品が引張強度及び伸度等の強度物性に優れ、かつ親水性、吸水性に優れた吸水性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した状況に鑑み、前記問題点を解決すべく鋭意検討した。その結果、吸水性樹脂として特定の溶融粘度を有する架橋ポリアルキレンオキシドを用いるとともに、第3成分としてエチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−メタクリル酸共重合体を添加することにより、熱可塑性樹脂に対する分散性が飛躍的に向上し、これらの成分が均一に分散した吸水性樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は、吸水性樹脂組成物を構成するにあたって、ポリアルキレンオキシドと活性水素含有化合物(ポリエチレンオキシドを除く)とをイソシアネート化合物と反応させて得られる170℃、50kg/cm加重における溶融粘度が5000〜100万ポイズである吸水性樹脂としてのポリアルキレンオキシド変性物100重量部、熱可塑性樹脂10〜5000重量部、及び、エチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−メタクリル酸共重合体1〜100重量部とを用いるところにある。
【0012】
本発明で用いられる吸水性樹脂は、ポリアルキレンオキシドと活性水素含有化合物(ポリエチレンオキシドを除く)をイソシアネート化合物で反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物である。ポリアルキレンオキシドとしては、重量平均分子量が1000〜100万のものが用いられ、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、ポリブチレンオキシド及びこれらの混合物等を挙げることができる。特に、重量平均分子量2000〜10万のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びこれらの混合物又はこれらの共重合体が好ましい。
【0013】
上記ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量が1000未満である場合、得られるポリアルキレンオキシド変性物の吸水性が極端に低下したり、溶融粘度が極端に高くなったりして吸水性樹脂組成物を成型する際の加工温度を高くしなければ分散性が悪くなる場合があり好ましくない。一方、上記ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量が100万を超える場合には、得られるポリアルキレンオキシド変性物の架橋密度が低くなり十分な吸水性が得られなかったり、吸水性樹脂組成物を成型物にした場合、吸水時にゲルが表面に溶出して表面状態が悪化するため好ましくない。
【0014】
上記活性水素含有化合物としては、水、ポリオール類、アミン類、カルボン酸類等を挙げることができる。ポリオール類としては、同一分子内に水酸基(−OH)を2個以上有する有機化合物、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリルモノアセテート、グリセリルモノブチレート、1、6−ヘキサンジオール、1、9−ノナンジオール、ビスフェノールA、グリセリン等を挙げることができる。好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等が用いられる。
【0015】
アミン類としては、同一分子内にアミノ基(−NH)を2個以上有する化合物、例えば、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、1,5−ジアミノペンタン、プロピレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン等を挙げることができる。好ましくは、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタンが用いられる。
【0016】
カルボン酸類としては、同一分子内にカルボキシル基(−COOH)を2個以上有する化合物、例えば、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、アゼライン酸等が用いられる。好ましくは、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸等が用いられる。これらの活性水素含有化合物は単独で又は併用して用いられる。
【0017】
上記活性水素含有化合物は、通常ポリアルキレンオキシドとイソシアネート化合物との反応時に添加するが、反応終了時に添加してもよい。上記活性水素含有化合物の添加により、得られるポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度の低下を図ることができ、加工性が向上する。
【0018】
上記ポリアルキレンオキシドと上記活性水素含有化合物を架橋するのに用いるイソシアネート化合物としては、同一分子内にイソシアネート基(−NCO)を1個又は2個以上有する有機化合物、例えば、n−プロピルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジメチルベンゾール−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、TDIの3量体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチロールプロパン等のポリオールにその活性水素の数に対応するモル数のジイソシアネートを反応させて得られるウレタンイソシアネート化合物、ポリイソシアネートアダクト等を挙げることができる。好ましくは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等が用いられる。
【0019】
ポリアルキレンオキシド、活性水素含有化合物及びイソシアネート化合物の使用割合は、ポリアルキレンオキシドの末端水酸基と活性水素含有化合物の有する活性水素の数の和とイソシアネート化合物の有するイソシアネート基の数の比(R値)(−NCO基/H)が0.5〜3.0となる範囲、好ましくは、0.8〜2.5となる範囲がよい。R値が0.5未満の場合は、架橋密度が低くなり充分な吸水性を有する吸水性樹脂が得られない。一方、R値が3.0を超えると、架橋密度が高くなるとともに溶融粘度が高くなり成型の際の加工性が悪くなるため好ましくない。
上記ポリアルキレンオキシドのモル数は、重量を平均分子量で除することにより求めることができる。
【0020】
イソシアネート化合物の使用量は、イソシアネート化合物の種類及び反応等の条件によっても異なるが、一般的にはポリアルキレンオキシド100重量部に対して、0.5〜80重量部、好ましくは、1〜50重量部の範囲である。1重量部より少ない量では、得られるポリアルキレンオキシド変性物の架橋密度が低くなって充分なゲル強度が得られない。一方、80重量部を超える場合には、得られるポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度が高くなりすぎて、上記ポリアルキレンオキシド変性物又はこれを含む組成物をフィルム若しくはシートに成型する際の加工温度が高くなり、成型が困難になるとともに分散性も悪くなるため好ましくない。
【0021】
ポリアルキレンオキシドと活性水素含有化合物をイソシアネート化合物と反応させる方法としては、適当な溶媒を用いた溶液状で反応させる方法が一般的であるが、分散状で反応させる方法、粉末状又は固体状で両者を均一に混合した後、所定温度に加熱して反応させる方法等を用いることもできる。
【0022】
上記反応の反応温度は、通常50〜150℃である。なお、この反応系にトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズアセテート、トリエチレンジアミン等を少量添加することにより、反応を促進させることもできる。
ポリアルキレンオキシドと活性水素含有化合物とをイソシアネート化合物と反応させることにより、温度170℃、50kg/cm加重における溶融粘度が5000〜100万ポイズのポリアルキレンオキシド変性物を得ることができる。
【0023】
溶融粘度は、熱可塑性樹脂に対する相溶性の目安となる。ポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度が5000ポイズ未満では、吸水性樹脂組成物を成型した場合、吸水時にゲルが表面に溶出して表面状態が悪化する。一方、ポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度が100万ポイズを超えると、熱可塑性樹脂に対して相溶性が低下し、均一に分散した吸水性樹脂組成物が得られないため好ましくない。温度170℃、50kg/cm加重における溶融粘度が5000〜100万ポイズのポリアルキレンオキシド変性物を用い、これに第3成分としてエチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体を添加することにより熱可塑性樹脂に対する相溶性が良好で、これらの成分が均一に分散した吸水性樹脂組成物を得ることができる。
【0024】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではなく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の通常の樹脂が用いられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を適宜混合して用いてもよい。
【0025】
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のビニル基含有ホモポリマーの他、アクリロニトリル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルゴム−アクリロニトリル−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレングラフトポリマー、クロルスルホン化ポリエチレン、アクリロニトリル−エチレン−エチレンプロピレンゴムターポリマー等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン等を用いる。
【0026】
上記ポリアミド樹脂としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等が挙げられる。上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、前述のように前記吸水性樹脂と熱可塑性樹脂との相溶性を改善するために、第3成分としてエチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体を添加する。
上記カルボキシル基含有モノマーとは、単にCOOH基を有するモノマーだけでなく、その塩及びエステル体も含むものである。上記のエチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体及びその部分中和物、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0028】
なかでも、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレンと−COOH基含有モノマーとの共重合体が好ましく用いられる。特にCOOH基含有モノマーの含有量が1〜25重量%である上記エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体がより好ましく用いられる。
【0029】
上記のCOOH基を含有するエチレン共重合体を添加することにより優れた効果が得られる理由は詳らかではないが、吸水性樹脂であるポリアルキレンオキシド変性物中の酸素原子が、COOH基を含有するエチレン共重合体中のCOOH基との間で水素結合することにより熱可塑性樹脂との相溶性が改善されると推測される。
【0030】
熱可塑性樹脂、ポリアルキレンオキシド変性物及びエチレン共重合体との混合比は、ポリアルキレンオキシド変性物100重量部に対して、熱可塑性樹脂10〜5000重量部、好ましくは50〜4000重量部、また、エチレン共重合体は1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部である。
【0031】
上記熱可塑性樹脂が10重量部未満の場合、得られる吸水性重量部組成物を成型し吸水させると、吸水ゲルが熱可塑性樹脂から脱離し、表面に溶出して表面状態が悪化するため好ましくない。一方、上記熱可塑性樹脂が5000重量部を超える場合には、成型品への親水性、帯電防止の付予効果が十分認められなくなるため好ましくない。
【0032】
上記エチレン共重合体が1重量部未満の場合、熱可塑性樹脂とポリアルキレンオキシド変性物との相溶化剤としての効果が少なく、ポリアルキレンオキシド変性物の分散性が悪く、強度物性の低下も大きくなり好ましくない。一方、上記エチレン共重合体が100重量部を超えても、それに見合う効果が得られず得策ではない。
【0033】
熱可塑性樹脂、ポリアルキレンオキシド変性物及びエチレン共重合体を混合して本発明の吸水性樹脂組成物を得るには、通常のニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の溶融混合手段が用いられる。また、本発明の吸水性樹脂組成物には、所望により、可塑剤、安定剤、充填剤、顔料、加硫剤、加硫促進剤等の添加剤を含有させることもできる。
【0034】
また、上記エチレン共重合体の添加方法については、エチレン共重合体、熱可塑性樹脂、ポリアルキレンオキシド変性物の3成分をドライブレンドしてから同時に溶融混合するか、あらかじめエチレン共重合体とポリアルキレンオキシド変性物、又は、エチレン共重合体と熱可塑性樹脂とを溶融混合させた後、残りの成分を添加し、混合させることもできる。
【0035】
本発明の吸水性樹脂組成物は単独で種々の形態を付与して用いることもできるが、コンパウンド(マスターバッチ)とし、他の汎用樹脂に配合させることもできる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0037】
なお実施例で得られたポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度、及び該ポリアルキレンオキシド変性物を含む吸水性組成物の外観、並びに該組成物を成型して得られた成型物の評価は以下の方法に従って行った。
【0038】
ポリアルキレンオキシド変性物の評価
(溶融粘度の測定)
測定試料としてはポリアルキレンオキシド変性物1.5gを用い、フローテスター(CFT−500C、島津製作所社製)にて以下に示す条件で測定した。
加重 50kg/cm
測定温度 170℃
ダイ直径 1mm
ダイ長さ 1mm
(外観の評価)
ポリアルキレンオキシド変性物、熱可塑性樹脂及びエチレン共重合体を混練ロール又は押出機、加圧ニーダーで混練する時の混練物の外観状態(ツブ、着色等)について以下に示す基準により評価した。
○:ツブ無し、着色無し
△:ツブが若干認められる
×:ツブが大きく多い
(成型物評価方法)
吸水性樹脂組成物を添加して得られた成型品又は加工品の評価は、以下の方法に従って行った。
(1)分散性評価
吸水性樹脂組成物を熱プレスにて厚さ約2mmのシートとし、該シートの表面状態を肉眼と電子顕微鏡(100倍)にて観察し、分散性の評価を行った。評価基準は次の通りである。
○:肉眼での観察は良好で、電子顕微鏡観察においても粒子は観察されない。△:肉眼での観察は良好であるが、電子顕微鏡観察においては粒子が観察される。
×:肉眼での観察において粒子のブツブツが観察される。
(2)吸水試験
20×40×0.5mmのシートに成型した後、該シートを純水に24時間浸漬した。その時の吸水量を測定し、下式により吸水率を算出するとともにシートの吸水状態を以下の評価基準に従って目視判定した。
吸水率(%)=(吸水後重量(g)−吸水前重量(g))/(吸水前重量(g))×100
吸水状態
○:表面状態良好、ゲルの脱離なし、ヌメリ感なし。
△:表面状態は良好であるが、ヌメリ感有り。
×:表面へゲルが脱離し、ヌメリ感大。
(3)引張強度、伸度
JIS K7113に準じて測定した。
【0039】
実施例1
冷却器、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに重量平均分子量20000のポリエチレンオキシド100g、トルエン550mlを仕込んだ後、水分除去のため蒸留により200mlのトルエンを留出させた。そこへ、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート3.0gと1,4−ブタンジオール0.54gとトリエチレンジアミン0.023gを添加し、110℃にて3時間反応を行った。その後、ヘキサン175mlを添加し、室温まで冷却して、ポリマーを析出させた。このスラリーを加圧濾過し、減圧乾燥して温度170℃50kg/cm加重における溶融粘度が10万ポイズのポリエチレンオキシド変性物100gを得た。
得られたポリエチレンオキシド変性物100重量部に、低密度ポリエチレン(スミカセンF208−3、MI=1.5、住友化学社製)100重量部、第3成分として、エチレンアクリル酸共重合体(ユカロンA220M、AA=8.5%、MI=7、三菱油化社製)10重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、30m/m押出機(170℃)で混練し、ペレット化後プレスシートを作製し性能評価をした。
また得られたペレットを30m/m押出機(150℃)でインフレィション成型を行ったが、メヤニ(インフレィションダイのまわりに溜まるカス)やブリード現象はなく、表面状態の良好なフィルム(50μm)が得られた。
【0040】
実施例2
重量平均分子量20000のポリエチレンオキシド100g、架橋剤として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート2.49gを用い、ジオールとして1,6−ヘキサンジオール0.65gを用い、トリエチレンジアミン0.023gを添加した以外は実施例1と同様にして、温度170℃、50kg/cm加重における溶融粘度5万ポイズのポリエチレンオキシド変性物100gを得た。得られたポリエチレンオキシド変性物100重量部に高密度ポリエチレン(J110K、MI=19、出光石油化学社製)1000重量部と第3成分としてエチレンアクリル酸共重合体(プリマコール5980、AA=20%、MI=300、ダウケミカル社製)20重量部を混合機でブレンドした後、4インチロール(170℃×15分間)で混練後、プレスシートを作製し、性能評価した。
【0041】
実施例3
ポリアルキレンオキシドとして、重量平均分子量8500のポリエチレンオキシドを用い、架橋剤として2,4−トリレンジイソシアネート9.2gを用い、ジオールとして1,9−ノナンジオール2.82gを用い、トリエチルアミン0.31gを添加した以外は実施例1と同様にして、温度170℃、50kg/cm加重における溶融粘度20万ポイズのポリエチレンオキシド変性物100gを得た。
得られたポリエチレンオキシド変性物100重量部とエチレンメタクリル酸共重合体(ニュクレルN2060、MA=20%、MI=60、三井デュポンポリケミカル社製)5重量部を加圧ニーダーで混練(150℃×15分)後、ポリプロピレン(ノーブレンY101、MI=12、住友化学社製)500重量部添加し、200℃で15分間混練後、プレスシートを作製し、性能評価した。
【0043】
実施例
ポリアルキレンオキシドとして、重量平均分子量10万のポリエチレンオキシド100gを用い、架橋剤として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート1.56gを用い、活性水素含有化合物として1,9−ノナンジオール0.24gを用い、スタナスオクトエート0.1gを添加した以外は実施例1と同様にして、溶融粘度85万ポイズのポリエチレンオキシド変性物100gを得た。得られたポリエチレンオキシド変性物100重量部と安定剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー社製)2重量部とポリエチレンテレフタレート(C1−TOBR、ユニチカ社製)3000重量部、第3成分としてエチレンアクリル酸共重合体(プリマコール1320、AA=6.5%、MI=2.5、ダウケミカル社製)50重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、30m/m押出機(240℃)で混練し、ペレット化後プレスシートを作製し、性能評価した。
【0044】
比較例1
実施例1において、ポリエチレンオキシド変性物と低密度ポリエチレンとの混練に際し、エチレンアクリル酸共重合体を添加しない以外は実施例1と同様にしてプレスシートを作製し、性能評価した。一方実施例1と同様にしてインフレィションフィルムを作製した。インフレィションダイにメヤニは認められなかったが、フィルム表面にブリード物が若干認められた。
【0045】
比較例2
実施例1においてポリエチレンオキシド変性物と低密度ポリエチレンとの混練に際し、エチレンアクリル酸共重合体に代えて、ナイロン12(ダイアミド ナイロン12、ダイセル社製)10重量部を添加した以外は同様にしてプレスシートを作製し、性能評価した。一方実施例1と同様にしてインフレィションフィルムを作製した。インフレィションダイにメヤニが発生し、フィルムの表面にブリード物が認められた。
実施例1〜、比較例1〜2での加工性評価、加工品における組成物の分散性及び吸水状態等の評価結果は表1に示した。
【0046】
【表1】
Figure 0003620866
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂と吸水性樹脂が均一分散された吸水性樹脂組成物が得られる。該吸水性樹脂組成物を単独又は配合成分として成型して得られるフィルム、シート等の成型品は引張強度、伸度等の強度特性に優れ、親水性、吸水性、帯電防止作用を有するとともに吸水後の表面状態の優れたものとなる。

Claims (2)

  1. ポリアルキレンオキシドと活性水素含有化合物(ポリエチレンオキシドを除く)とをイソシアネート化合物と反応させて得られる170℃、50kg/cm2 加重における溶融粘度が5000〜100万ポイズである吸水性樹脂としてのポリアルキレンオキシド変性物100重量部、熱可塑性樹脂10〜5000重量部、及び、エチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−メタクリル酸共重合体1〜100重量部とからなることを特徴とする吸水性樹脂組成物。
  2. エチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−メタクリル酸共重合体においてアクリル酸又はメタクリル酸の含有量が1〜25重量%である請求項記載の吸水性樹脂組成物。
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