JP4073246B2 - ポリウレタンアイオノマーおよびその製造方法 - Google Patents

ポリウレタンアイオノマーおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタンアイオノマーおよびその製造方法に関する。特に、ゴルフボール用カバー材、シーリング材および接着材に好適に用いられる、特定のイオン性セグメントを有するポリウレタンアイオノマーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比べ、成型加工性、硬度や弾性の制御、自己補強性等に優れ、また、リサイクルが可能であることから、様々な分野で加硫ゴムの代替材料として注目されている。
【0003】
ウレタン系熱可塑性エラストマーについても例外ではなく、種々検討されており、ウレタン系熱可塑性エラストマーを、さらに高性能化、高機能化したポリウレタンアイオノマーおよびその使用方法等が提案されている。
例えば、ゴルフボールカバーについて特表2000−513595号等、半導電性部材等について特開平10−175264号等、接着剤組成物について特開平09−235532号等、プラスチックリサイクル用改質剤について特開2001−220473号等、硬化化粧シートについて特開平08−048005号等、感熱記録体等について特開平07−068931号、特開平07−089226号、特開平09−226252号等が挙げられる。
【0004】
これらのポリウレタンアイオノマーの製造法としては、溶剤系で行う方法(例えば、特開平10−175264号等)、ウレタンのカルボン酸を金属塩やアミンで処理する方法(例えば、松永勝浩ら、日本化学会誌、1998、849、等)、ウレタンの高分子反応を利用する方法(例えば、Xu,H−S.,Yang,C−Z;J.polym.sci.polym.phys.,33,745(1995)等)等が挙げられる。
【0005】
しかし、溶剤系で行う方法では、溶剤を多量に用いるため、近年社会的に問題となっている環境への影響が懸念され、また、生産性の向上、コスト低減等の要請に反する。
上記したウレタンのカルボン酸を金属塩やアミンで処理する方法、ウレタンの高分子反応を利用する方法も、やはり、溶剤を使用するため環境への悪影響が懸念される。
また、ウレタンの高分子反応を利用する方法では、窒素雰囲気下、触媒を用いるため、操作が煩雑になる。
【0006】
一方、ポリウレタンはゴルフボールカバーの有用な材料として認識されており、ポリウレタンアイオノマーをゴルフボールカバーに用いる技術も提案されている。
例えば、特表2000−513595号公報には、4級アンモニウムウレタンアイオノマーをゴルフボールカバーに用いることにより、ゴルフボールの弾性が改良され、ゴルフクラブのインパクト後の初速が大きくなるゴルフボールが記載されている。
しかし、従来のゴルフボールは、ゴルフクラブのインパクトにより、その表面に傷が付きやすく、耐傷つき性に満足できるものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記ポリウレタンアイオノマーに用いられるスルホン酸に由来するイオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、溶剤を用いなくても、効率良く、確実かつ簡便にポリウレタンアイオノマーを製造する方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記方法により得られる、ヒステリシスロスが小さく、高強度かつ柔軟なポリウレタンアイオノマーを提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、上記方法により得られるポリウレタンアイオノマーの特性を利用したゴルフボール用カバー材、シーリング材および接着材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、イオン性セグメントおよびポリウレタンアイオノマーの製造法等について鋭意検討した結果、5−スルホイソフタル酸金属塩に由来のイオン性セグメントを用いることにより、これを含有するポリウレタンアイオノマーがヒステリシスロスが小さく、高強度かつ柔軟であることを知見した。
また、ポリウレタンの製造方法において、イオン性セグメントを含み末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーを用いる方法により、溶剤を用いなくても、効率良く、確実かつ簡便にポリウレタンアイオノマーを製造できることを知見した。
さらに、特定のイオン性セグメントを有し、上記方法により得られるポリウレタンアイオノマーが、ゴルフボール用カバー材、シーリング材、接着材として好適であり、特に、ゴルフボール用カバー材としたときに耐傷つき性に優れることを知見した。
本発明者らは、上記知見を基に本発明(以下に示す(1)〜(11)の発明)を完成した。
【0009】
すなわち、(1)イオン性(スルホン酸塩基)セグメントを分子内に含む、下記一般式[1]で示される鎖延長剤。
【化1】
Figure 0004073246
(式中、R1 は炭素数2〜6の置換基を有していてもよいアルキレン基、Mは金属原子である。)
該延長剤を用いることにより、ポリウレタンのハードセグメント部位にアイオノマー成分を導入できる。
【0010】
(2)下記一般式[2]で示される5−スルホイソフタル酸、そのジエステル、それらの金属塩と、ジオールとの反応により得られる、(1)に記載の鎖延長剤。
【0011】
【化2】
Figure 0004073246
(式中、R2 は、水素原子または炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、Mは水素原子または金属原子である。)
(3)前記5−スルホイソフタル酸、そのジエステル、それらの金属塩(「金属塩等」とする)に対するジオールのモル比(ジオール/金属塩等)が、2.0以上で製造される(2)に記載の鎖延長剤。
【0012】
(4)無溶媒下で、ポリオールとポリイソシアネートの一部とイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを反応させウレタンプレポリマーとした後、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンアイオノマーを製造することを特徴とするポリウレタンアイオノマーの製造方法。
(5)I)無溶媒下でポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)とを反応させ、
II)工程I)で得られる反応物と、ポリイソシアネート(C)とイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)とを反応させることを特徴とする、ポリウレタンアイオノマーの製造方法。
【0013】
(6)ポリオール(A)に含有する水酸基に対するポリイソシアネート(B)に含有するイソシアネート基の当量比(NCO(B)/OH(A))が、0.8〜1.3であり、ポリオール(A)に含有する水酸基に対するポリイソシアネート(C)に含有するイソシアネート基の当量比(NCO(C)/OH(A))が1.3〜0.7である、(5)に記載の製造方法。
ここで、NCO(B)/OH(A)は、0.9〜1.3が好ましく、0.95〜1.0がより好ましく、1.0が特に好ましい。
また、NCO(C)/OH(A)は、1.2〜0.7が好ましく、1.05〜1.0がより好ましく、1.0が特に好ましい。
【0014】
(7)前記ポリオール(A)と前記イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)と前記イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)とに含有する水酸基の合計量に対する、前記ポリイソシアネート(B)と前記ポリイソシアネート(C)に含有するイソシアネート基の合計量の当量比[NCO((B)+(C))/OH((A)+(D)+(E))]が、0.6〜1.4である、(5)または(6)に記載の製造方法。
ここで、NCO((B)+(C))/OH((A)+(D)+(E))は、0.8〜1.2が好ましく、0.9〜1.1がより好ましく、1.0が特に好ましい。
なお、本明細書では、イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)の量比を便宜上、水酸基を用いて表している(OH(E))が、後述するように、イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)はポリウレタンの延長剤として一般に用いられるものであれば水酸基に限らず、アミノ基等でもよい。
【0015】
(8)前記イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)に含有する水酸基に対する、前記イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)に含有する水酸基の当量比(OH(E)/OH(D))が、1.0以上である、(5)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
ここで、OH(E)/OH(D)は、1.0〜10が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、2.0〜3.0が特に好ましい。
【0016】
(9)前記イオン性セグメントが、5−スルホイソフタル酸金属塩である、(4)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
上記(4)〜(9)により、溶剤を用いなくても、効率良く、確実かつ簡便にポリウレタンアイオノマーを製造することができる。
【0017】
(10)前記(4)〜(9)のいずれかに記載の方法により得られる、ポリウレタンアイオノマー。
具体的には、前記(4)〜(9)のいずれかに記載の方法により得られる、イオン性セグメントを含有するポリウレタンアイオノマーであり、イオン性セグメントは5−スルホイソフタル酸金属塩であるのが好ましい。
これにより、ヒステリシスロスが小さく、高強度かつ柔軟なポリウレタンアイオノマーが得られる。
【0018】
(11)前記(10)に記載のポリウレタンアイオノマーを含有する、ゴルフボール用カバー材、シーリング材または接着材。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、無溶媒下で、ポリオールとポリイソシアネートの一部とイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを反応させウレタンプレポリマーとした後、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンアイオノマーを製造する方法である。
すなわち、ポリオールとポリイソシアネートとイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを、無溶媒下、ポリイソシアネート不足条件で反応させ、末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次の工程で不足分のポリイソシアネート、必要に応じて鎖延長剤を加えて、ポリウレタンアイオノマーを製造する方法である。
【0020】
本発明の製造方法に用いる原料について、以下述べる。
<ポリオール(A)>
ポリオール(A)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールおよびこれらの混合ポリオール等を使用することができる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種または2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオール、あるいは、開環重合によって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、テトラヒドロフラン(THF)の開環重合によって得られるポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0021】
ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等の開環重合体が挙げられる。
【0022】
その他のポリオールとしては、ポリマーポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールが挙げられる。
【0023】
これらのなかでも、ポリウレタンアイオノマーの物性が特に優れることから、数平均分子量500〜3000、特に500〜2000のポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸とエチレングリコールからなるアジペートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが好ましい。
これらのポリオールは、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0024】
<ポリイソシアネート(B)>
ポリイソシアネート(B)は、イソシアネート基を2個以上を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4´−MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4´−MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル(NBDI)等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6 XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)等の脂環式ポリイソシアネート;上記各ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、またはこれらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、立体障害の大きなイソシアネート基を少なくとも1個有するイソシアネートを用いることもできる。具体的には、三井サイテック社製のTMI(モノイソシアネート)、TMXDI(ジイソシアネート)、サイセン(トリイソシアネート)等が好ましく挙げられる。
【0025】
これらの中でも、ポリウレタンアイオノマーの物性が特に優れることから、4,4´−MDI、2,4´−MDI、TDI、HDIが好ましい。
これらは、1種単独でも2種以上を併用することもできる。
【0026】
<ポリイソシアネート(C)>
ポリイソシアネート(C)は、上記例示したポリイソシアネート(B)と同様のポリイソシアネートを用いることができ、ポリイソシアネート(C)は1種単独でも2種以上を併用することもできる。
また、ポリイソシアネート(B)とポリイソシアネート(C)は同一でも、異なっていてもよい。
【0027】
<イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)>
本発明で用いるイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)は、イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤、または、これと後述するイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)との混合物である。
イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤は、後述するイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)として用いられるジオール等と、後述する5−スルホイソフタル酸等との反応により得られる。以下、イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)としてジオールを例に説明する。
【0028】
イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤は、 スルホン酸塩基セグメントを分子内に含む、下記一般式[1]で示される鎖延長剤である。
【化3】
Figure 0004073246
(式中、R1 は炭素数2〜6の置換基を有していてもよいアルキレン基、Mは金属原子である。)
【0029】
炭素数2〜6の置換基を有していてもよいアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、および、これらの基の水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等で置換された基が挙げらる。
入手容易性、鎖延長剤の製造容易性と安定性、ポリウレタンアイオノマーの物性等に優れる点で、エチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基が好ましい。
【0030】
金属Mとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カリウム等のアルカリ土類金属、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。
中でも、鎖延長剤の製造容易性と安定性、ポリウレタンアイオノマーの物性等に優れる点で、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カリウム等のアルカリ土類金属が好ましく、特に、ナトリウムが好ましい。
【0031】
イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤は、下記一般式[2]に示すイオン性セグメントである5−スルホイソフタル酸、そのジエステルまたはそれらの金属塩と、ジオールとを反応させることにより得られる。
反応条件は、通常用いられるエステル交換反応の条件を任意に選択することができる。
スルホン酸の金属塩化は、ジオールとの反応の前または反応終了後に、一般的な条件でスルホン酸基を各種塩基(例えば、水酸化ナトリウム等)で中和することにより行うことができる。
【0032】
【化4】
Figure 0004073246
(式中、R2 は、水素原子または炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、Mは水素原子または金属原子である。)
【0033】
本発明では、上記5−スルホイソフタル酸、 そのジエステル、 またはそれらの金属塩に対するジオールのモル比(ジオール/金属塩)が、2.0以上であるのが、確実にエステル交換できるため、好ましい。さらに好ましくは、3. 0以上、特に好ましくは、4. 0以上である。
過剰に用いるジオールは、エステル交換反応終了後、通常の方法(例えば、蒸留等)で除去して、イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤としてもよく、過剰のジオールを除去せずに、イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤とジオール(イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E))との混合物としてもよい。
【0034】
イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤の分子量は、用いる金属Mに依存するが、600以下であるのが好ましく、550以下であるのがより好ましい。イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤とイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)との混合物の混合比は、特に限定されず、上記エステル交換反応の効率、イオン性セグメントのポリウレタンアイオノマーへの導入比等に応じて選択できる。
好ましくは、イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤の10〜50%溶液であり、特に好ましくは、15〜30%溶液である。
この範囲であれば、エステル交換反応が速やかに進行し、ポリウレタンアイオノマーへのイオン性セグメントの導入効果が発現し、ヒステリシスロスが小さく、高強度かつ柔軟なポリウレタンアイオノマーが得られる。
イオン性セグメントを分子内に含む鎖延長剤とイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)との混合物は、市販品を用いることもでき、例えば、上記一般式[1](R1 がエチレン基)で示される竹本油脂社製の20%エチレングリコール溶液が挙げられる。
【0035】
<イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)>
イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)は、ポリウレタンの製造に用いられる通常の鎖延長剤である。
このような鎖延長剤は、一般に分子量300未満の分子内に2個以上の活性水素を有する化合物であって、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール等が用いられる。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0036】
ポリアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、メチレン−ビス(クロロアニリン)等が挙げられる。
アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、ε−アミノヘキサノール等が挙げられる。
この他に水,尿素も鎖延長剤として用いることができる。
【0037】
この中でも、ポリウレタンアイオノマーの物性に優れ、経済的に有利であるため、ポリオールが好ましく、特に、エチレングリコール、ブタンジオールが好ましい。
【0038】
本発明の製造方法は、無溶媒下で、ポリオールとポリイソシアネートの一部とイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを反応させウレタンプレポリマーとした後、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンアイオノマーを製造する方法である。
すなわち、ポリオールとポリイソシアネートとイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを、無溶媒下、ポリイソシアネート不足条件で反応させ、末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次の工程で不足分のポリイソシアネート、必要に応じて鎖延長剤を加えて、ポリウレタンアイオノマーを製造する方法である。
本発明の製造方法は、近年社会的に問題となっている環境への影響に配慮し、生産性の向上、コスト低減等の要請を満足するため、無溶剤下における方法である。
【0039】
従来のポリウレタンの製造方法として、ワンショット法(一段法)、プレポリマー法(二段法)等が知られている。
ワンショット法(一段法)は、一般に非常に速く、特殊な反応促進のための触媒の存在下、各成分を加えると同時に強力な攪拌により混合しポリウレタンを製造する方法であり、ポリオール、ポリイソシアネートを複数使用する場合は、ほぼ同一の反応性が要求される。
本発明で用いるポリオール(A)、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)およびイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)は、それらの反応性が異なると考えられ、ワンショット法(一段法)で、効率良く、確実かつ簡便に製造することはできなかった。
【0040】
プレポリマー法(二段法)は、単鎖ポリオールをベースとした末端にイソシアネート基を有するプレポリマー中間体を用いる方法であり、活性水素化合物と容易に反応し、所望のポリウレタン、特殊なポリウレタンの製造に適している。
しかし、該方法で無溶媒下、ポリウレタンアイオノマーを製造しても、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)およびイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)の反応性が異なると考えられるため、未反応のイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)がポリウレタンアイオノマー中に認められ、効率良く、確実かつ簡便に製造することはできなかった。
【0041】
本発明者らは、活性の高いイソシアネート基と、反応性の異なるイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)およびイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)を同時に反応させず、かつ、ウレタンプレポリマーの末端を高反応性のイソシアネート基でなく、水酸基にすれば、ポリウレタンアイオノマーを効率良く、確実かつ簡便に製造できることを知見した。
本発明の製造方法は、無溶媒下で、ポリオールとポリイソシアネートの一部とイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを反応させウレタンプレポリマーとした後、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンアイオノマーを製造する方法である。
すなわち、従来のプレポリマー法は、ポリイソシアネート過剰の条件で末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、次の工程で鎖延長剤を加えてポリウレタンを製造する方法であるが、本発明の製造方法は、ポリオールとポリイソシアネートとイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを、無溶媒下、ポリイソシアネート不足条件で反応させ、末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次の工程で不足分のポリイソシアネート、必要に応じて鎖延長剤を加えて、ポリウレタンアイオノマーを製造する方法である。
【0042】
より具体的には、無溶媒下、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)とを反応させて、末端が水酸基のウレタンプレポリマーを調製する工程I)と、
工程I)の反応物(ウレタンプレポリマー)とポリイソシアネート(C)とイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)とを反応させて、ポリウレタンアイオノマーを製造する工程II)と、を特徴とする製造方法である。
【0043】
工程I)は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)とを反応させる工程である。
本工程I)では、ポリウレタンの製造に必要なポリイソシアネートの一部を用いることに特徴がある。一部のポリイソシアネートを用いることにより、工程I)で得られるプレポリマーの末端が水酸基となり、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)とイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)の反応性が異なっても、ポリウレタンアイオノマーを効率良く、確実かつ簡便に製造することができる。
【0044】
ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、ポリイソシアネート(C)、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)およびイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)の量比は、工程I)で得られるウレタンプレポリマーの末端が水酸基となる量比であれば特に限定されず、ポリオール(A)、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)およびイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)に含有する水酸基の合計量に対する、ポリイソシアネート(B)、ポリイソシアネート(C)に含有するイソシアネート基の合計量の当量比[NCO((B)+(C))/OH((A)+(D)+(E))]が、ポリウレタンの製造に一般的に選択される比であれば良く、具体的には、0.6〜1.4の範囲内であり、0.8〜1.2が好ましく、0.9〜1.1がより好ましく、1.0が特に好ましい。この範囲内で、ポリイソシアネートを適宜分配して工程I)と工程II)に用いる。
上記各成分が以下に説明する範囲であると、作業性が良く、得られるポリウレタンアイオノマーの物性に優れるため好ましい。
なお、本発明の方法において、イオン性セグメントはポリウレタンアイオノマーの主鎖に導入されてもよく、側鎖に導入されてもよい。
【0045】
工程I)において、ポリイソシアネートの一部とあるのは、ポリウレタンの製造に必要な量のポリイソシアネートの一部の量をいい、ポリオール(A)に含有する水酸基に対するポリイソシアネート(B)に含有するイソシアネート基の当量比(NCO(B)/OH(A))が、0.8〜1.3であり、0.9〜1.3が好ましく、0.95〜1.0がより好ましく、1.0が特に好ましい。
この範囲であれば、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)の存在により、工程I)で得られるプレポリマーの末端が水酸基となり、反応性の劣ると考えられるイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)をプレポリマー中に確実に導入できる。
【0046】
また、工程I)は、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)を反応させることを特徴とする。イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)を工程I)で反応させることにより、ウレタンプレポリマーの末端が水酸基となり、 かつ、 確実にウレタンプレポリマー中に効率良く導入でき、確実かつ簡便に製造することができる。
ここで、工程I)において、ポリオール(A)に含有する水酸基とイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)に含有する水酸基との合計量に対する、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基の当量比(NCO(B)/(OH(A)+OH(D)))が1.0未満である。
【0047】
工程II)は、工程I)で得られる反応物とポリイソシアネート(C)とイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)とを反応させることを特徴とする。これにより、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)はすでにプレポリマー中に導入されているため、反応性が異なるイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)とイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)とのイソシアネートに対する競合反応が抑えられ、ポリウレタンアイオノマーを効率良く、確実かつ簡便に製造することができる。
【0048】
ここで、ポリオール(A)に含有する水酸基に対する、ポリイソシアネート(C)に含有するイソシアネート基の当量比(NCO(C)/OH(A))が1.3〜0.7であり、1.2〜0.7が好ましく、1.05〜1.0がより好ましく、1.0が特に好ましい。
【0049】
また、ポリオール(A)に含有する水酸基に対する、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)およびイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)に含有する水酸基の合計量の比(OH((D)+(E))/OH(A))が、0.5〜1.5であり、0.8〜1.2が好ましく、0.9〜1.1がより好ましく、1.0が特に好ましい。
さらに、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)に含有する水酸基に対する、前記イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)に含有する水酸基の当量比(OH(E)/OH(D))が、1.0以上であり、1.0〜10が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、2.0〜3.0が特に好ましい。
これらの範囲内で、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)と前記イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)を適宜分配して工程I)と工程II)に用いる。
【0050】
工程I)の条件は、通常のポリウレタンまたはウレタンプレポリマーの製造条件を選択でき、例えば、50〜200℃で加熱撹拌またはオーブンで加熱することにより得られる。必要に応じて、有機スズ化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いてもよい。
工程I)で得られる末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーは、1種単独で、または、2種以上を併用して用いることができる。
工程II)も、同様の条件を選択できる。
【0051】
本発明の製造方法の具体例を挙げる。
ポリオール(A)と、ポリオール(A)の水酸基に対するイソシアネート基が1.0当量となるポリイソシアネート(B)と、ポリオール(A)の水酸基に対する(D)の水酸基が0.33当量となるイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)と、を混合し、攪拌しながら、70〜80℃でイソシアネートが消失するまで反応させる(工程I))。
その後、得られた反応物(ウレタンプレポリマー)に、工程I)のポリオール(A)の水酸基に対するイソシアネート基が1.0当量となるポリイソシアネート(C)と、工程I)のポリオール(A)の水酸基に対する水酸基が0.67当量となるイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)と、を高速で攪拌して充分混合した後、70〜140℃で反応させて(工程II))、所望のポリウレタンアイオノマーを得る。
【0052】
本発明の製造方法によれば、イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)およびイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)の反応性が異なっても、反応性に劣るイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)が確実にポリウレタンアイオノマーに導入でき、ポリウレタンアイオノマーを効率良く、確実かつ簡便に製造することができる。
また、本発明の製造方法は、溶剤を用いないため、近年の環境対策にも充分対応できる。
【0053】
本発明はまた、上記製造方法により得られる、ポリウレタンアイオノマーを提供する。
具体的には、上記製造方法により得られる、イオン性セグメントを含有するポリウレタンアイオノマーであり、イオン性セグメントは5−スルホイソフタル酸金属塩であるのが好ましい。
上記方法で得られるポリウレタンアイオノマー中の、イオン性セグメントの含量は、製造方法の工程I)におけるイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)の使用量、鎖延長剤(D)の濃度等に依存するが、具体的には、ポリウレタンアイオノマーに対して、0.01〜0.2当量であり、好ましくは、0.05〜0.15当量である。
特定のイオン性セグメントを確実に導入したポリウレタンアイオノマーは、ヒステリシスロスが小さく、高強度かつ柔軟である。
そのため、これらの特性を生かし、ゴルフボール用カバー材、シーリング材および接着材等に使用でき、特に、ゴルフボール用カバー材として好適に使用できる。
【0054】
上記ポリウレタンアイオノマーをゴルフボール用カバー材に好適に使用できるゴルフボールとして、固体または液体のコアを、ゴム糸の巻線で巻き付け、次いでアイオノマーやバラタ等によるカバーで被覆した糸巻きゴルフボール、ならびに、一体成形されたゴム製部材からなるコアおよび該コア上に被覆したアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂カバーから構成される、中実のツーピースボール等のソリッドゴルフボール等が挙げらる。
【0055】
上記ゴルフボールに用いられる、コア、ゴム糸等の材質、製法等は特に限定されず、公知の材料を用いて製造することができる。
カバー用の組成物は、上記のポリウレタンアイオノマーを含有するれば、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば、無機充填材、白色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散助剤、安定剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
なお、上記ポリウレタンアイオノマーは、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0056】
上記組成物の調製方法としては、例えば、ポリウレタンアイオノマーと必要に応じて使用される添加剤等とを、2軸混練押出機等で溶融混練する方法が挙げられる。
【0057】
ゴルフボール用カバーは射出成形、圧縮成形またはあらかじめ半球殻状のハーフシェルを成形し、それを2枚用いて、最内層を被覆する中間層を包み加圧成形する等の方法で形成される。
【0058】
カバー成形時、必要に応じてカバーの外表面に、ボールに適度な回転を与えるとともに、空気抵抗を少なくするための凹部、すなわちディンプルが形成される。ディンプルの幾何学的配列としては、8面体、20面体等のいずれの配列であってもよく、また、ディンプルの模様としては、スクウェアー型、ヘキサゴン型、ペンタゴン型、トライアングル型等のいかなる形態の模様であってもよい。カバー層成形後、バフ研磨、塗装、スタンプ等の各種の処理を施してもよい。
【0059】
シーリング材および接着材等は、上記ポリウレタンアイオノマーを含有するものであれば、他の配合剤等は特に限定されず、本発明の本発明の目的を損わない範囲で、必要に応じて他の添加剤、配合剤、ポリマー等を含有させてもよい。
添加剤、配合剤としては、例えば、補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、チクソトロピー付与剤等が挙げられる。
なお、上記ポリウレタンアイオノマーは、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
また、ポリウレタン系組成物に用いられる、架橋剤、ポリイソシアネート等を配合することもできる。
これらの添加剤、配合剤およびポリマー等は、シーリング剤、接着剤等の組成物に通常用いられるものを、通常の含量で配合することができ、目的、用途、要求される性能等に応じて適宜変更することができる。
【0060】
また、ポリウレタンアイオノマー組成物の耐熱性、耐候性、強度等を向上させるためエポキシ樹脂を配合してもよく、耐水性、耐候性等を向上させるためシリコーン系の樹脂を配合してもよい。
【0061】
このような組成物は、ポリウレタンアイオノマーおよび必要とする成分を減圧下あるいは窒素存在下に、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させることにより製造される。
【0062】
該組成物はシーリング材および接着材等に好適に用いられるが、強度または柔軟性が要求されるシーリング材および接着材等に特に好適に用いられる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<ポリウレタンアイオノマーの製造方法>
(実施例1)
工程I);テトラヒドロフラン(THF)の開環重合によって得られた、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール(ポリオール(A)、BASF社製)324質量部、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4´−MDI、ポリイソシアネート(B)、日本ポリウレタン社製)78.5質量部、および、20%5−スルホイソフタル酸ソーダヒドロキシルエチルエステルのエチレングリコール溶液(イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)、竹本油脂社製)13.1質量部を加えて、70℃で30分反応させた。
工程II);得られたウレタンプレポリマーに、ブタンジオール(イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)、関東化学社製)19.5質量部、および、メタンジイソシアネート(ポリイソシアネート(C))78.5質量部を加えて高速で攪拌し充分に混合した後、バットに流延し、130℃で10時間反応させて、ポリウレタンアイオノマー(I)を得た。
なお、工程II)において、加熱攪拌することにより反応させれば、反応温度を低くできる。
【0065】
(実施例2)
工程I);数平均分子量1,000のアジペートポリオール(ポリオール(A)、クラレ社製)310質量部、4,4´−MDI(ポリイソシアネート(B))75質量部、および、20%5−スルホイソフタル酸ソーダヒドロキシルエチルエステルのエチレングリコール溶液(イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)、竹本油脂社製)12質量部を加えて、70℃で30分反応させた。
工程II);得られたウレタンプレポリマーに、ブタンジオール(イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)、関東化学社製)17.8質量部、および、4,4´−MDI(ポリイソシアネート(C))75質量部を加えて高速で攪拌し充分に混合した後、バットに流延し、130℃で10時間反応させて、ポリウレタンアイオノマー(II)を得た。なお、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)等の混合比は、実施例1と同様である。
【0066】
(比較例1)
テトラヒドロフラン(THF)の開環重合によって得られた、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール(ポリオール(A)、BASF社製)210質量部、4,4´−MDI(ポリイソシアネート(B))、106質量部を加えて、70℃で3時間反応させた。
その後、20%5−スルホイソフタル酸ソーダヒドロキシルエチルエステルのエチレングリコール溶液(イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)、竹本油脂社製)8.5質量部、ブタンジオール(イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E))12.7質量部を加えて高速で攪拌し充分に混合した後、バットに流延し、130℃で10時間反応させて、ポリウレタンアイオノマー(III)を得た。
【0068】
(比較例2)
テトラヒドロフラン(THF)の開環重合によって得られた、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール(ポリオール(A)、BASF社製)210質量部、4,4´−MDI(ポリイソシアネート(B))106質量部を加えて、70℃で3時間反応させた。
その後、得られたウレタンプレポリマーに、ブタンジオール(イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E1))12.7質量部、および、エチレングリコール(イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E2))4.4質量部を加えて高速で攪拌し充分に混合した後、バットに流延し、130℃で10時間反応させて、ポリウレタン(I)を得た。
【0070】
比較例1では、製造したポリウレタンアイオノマー中に未反応の5−スルホイソフタル酸ソーダヒドロキシルエチルエステルの粒が確認でき、無溶剤下の反応において従来のプレポリマー法で製造すると、5−スルホイソフタル酸ソーダのイオン性セグメントをポリウレタン中に効率良く導入できなかった。
対して、実施例1および2の本発明の製造方法では、製造したポリウレタンアイオノマー中に未反応の5−スルホイソフタル酸ソーダヒドロキシルエチルエステルの粒は確認できず、効率良くポリウレタン中に導入でき、無溶剤下でも確実かつ簡便に所望のポリウレタンアイオノマーを製造できた。
【0071】
<ポリウレタンアイオノマーの物性>
(比較例3)
アジペート系ポリオール、メタンジイソシアネートおよびブタンジオールから得られるポリウレタン(II)(市販品、ミラクトンE190)を用いた。
(歪み−応力曲線)
実施例1、2および比較例1で得られたポリウレタンアイオノマー(I)〜(III)、比較例2および3で得られたポリウレタン(I)、(II)の物性(引張強さ(TB)および破断時伸び(EB))を、JIS K6252−1993に準拠して測定し、その歪み−応力曲線を図1に示した。
【0072】
図1から分かるように、比較例1のポリウレタンアイオノマー(III)は破断時のEBは大きいがTBが小さく低強度であり、比較例2のポリウレタン(I)は破断時のEBが小さく、比較例3のポリウレタン(II)は破断時のTB、EBは共に大きいが、TBが全体的に大きく柔軟性に欠ける。
対して、実施例1および2のポリウレタンアイオノマー(I)、(II)は、破断時のTB、EB共に大きく、かつ、TBが全体的に小さいため、柔軟でかつ高強度である。
【0073】
<ヒステリシスロスの測定>
実施例2で得られたポリウレタンアイオノマー(II)、比較例3で得たポリウレタン(II)のヒステリシスロスを、JIS K6252−1993に準拠して測定した。その結果を図2に示した。
【0074】
その結果、図2に示したように、実施例2のポリウレタンアイオノマー(II)は、比較例3のポリウレタン(II)に対して、ヒステリシスロスが小さく、高強度かつ柔軟であるため、ゴルフボール用カバー材等として好適に用いられる。
【0075】
<ゴルフボールの耐傷付き性>
(ゴルフボールの製造、実施例3および比較例4、5)
第1表に示す配合(質量部)で、2軸押出し機を用いて、180℃で溶融混練した。得られた組成物を、直径38.3mm、2.54mm変形時のコンプレッション値40kgfのソリッドコアに、2.2mmの厚さに射出成形により被覆し、ゴルフボールを得た。
なお、「ハイラミン1605」は、三井ジュポン・ポリケミカル社製のナトリウムイオン性エチレン−メタクリル酸共重合体である。
【0076】
(耐傷付き性試験)
得られた各ゴルフボールの耐傷付き性を評価するために、ショートアイアン(#9アイアン)、ドライバーを用いて打撃後のゴルフボール表面のカバー材の傷の有無を調べた。結果を第1表に示す。
評価は、ゴルフボールの表面に傷がほとんど付いていない場合を「良好」、少し傷が付いてる場合を「良」、傷が付いてる場合を「不良」とした。
【0077】
【表1】
Figure 0004073246
【0078】
その結果、本発明のポリウレタンアイオノマーをカバー材に用いたゴルフボール(実施例3)は、従来品に対して、傷が付きにくく、耐傷付き性が改良された。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、ポリウレタンアイオノマーに用いられるスルホン酸に由来するイオン性セグメントを有する鎖延長剤を提供することができる。
また、本発明により、溶剤を用いなくても、効率良く、確実かつ簡便にポリウレタンアイオノマーを製造する方法を提供できる。
さらに、本発明により、上記方法により得られる、ヒステリシスロスが小さく、高強度かつ柔軟なポリウレタンアイオノマーを提供できる。
さらにまた、本発明により、上記方法により得られるポリウレタンアイオノマーの特性を利用したゴルフボール用カバー材、シーリング材および接着材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、歪み−応力曲線を示すグラフである。
【図2】 図2は、ヒステリシス曲線を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 無溶媒下で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオールとポリイソシアネートの一部とイオン性セグメントを有する鎖延長剤とを反応させウレタンプレポリマーとした後、ポリイソシアネートと反応させて得られるポリウレタンアイオノマーを含有する、ゴルフボール用カバー材。
  2. I)無溶媒下で、数平均分子量500〜3000のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくとも 1 種のポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とイオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)とを反応させ、
    II)工程I)で得られる反応物と、ポリイソシアネート(C)と分子量300未満のイオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)とを反応させて得られる、ポリウレタンアイオノマーを含有する、ゴルフボール用カバー材。
  3. 前記ポリオール(A)に含有する水酸基に対する前記ポリイソシアネート(B)に含有するイソシアネート基の当量比(NCO(B)/OH(A))が、0.8〜1.3であり、前記ポリオール(A)に含有する水酸基に対する前記ポリイソシアネート(C)に含有するイソシアネート基の当量比(NCO(C)/OH(A))が1.3〜0.7である、請求項2に記載のゴルフボール用カバー材。
  4. 前記イオン性セグメントを有する鎖延長剤(D)に含有する水酸基に対する、前記イオン性セグメントを有しない鎖延長剤(E)に含有する水酸基の当量比(OH(E)/OH(D))が、1.0以上である、請求項2または3に記載のゴルフボール用カバー材。
  5. 前記イオン性セグメントが、5−スルホイソフタル酸金属塩である、請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフボール用カバー材。
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