JP3620548B2 - カラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電子写真プロセスを用いて画像を形成する装置に関しさらに詳しくは静電転写を用いてカラー電子写真プロセスを構成するのに好適な画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー電子写真プロセスを用いた画像形成装置、なかでも転写プロセスに関わるバイアス制御方法および装置は多数提案されている。代表的な画像形成装置として以下の3つがあげられる。
【0003】
▲1▼特開平2−287380号公報等では、非画像領域で定電流制御しその時の電圧をホールドし画像領域で定電圧制御することにより転写部材例えば転写ローラの抵抗変動によらず良好な転写性が確保できるとしていた。
【0004】
▲2▼特開平6−295132号公報では、中間転写体上で色重ねし転写材に一括転写する装置において、感光体から中間転写体にトナーを転移させる1次転写部のバイアス制御方法を定電流制御とすることにより色重ね時の転写不良を防止できるとしていた。
【0005】
▲3▼特公昭63−7386号公報では、誘電ドラムに紙を巻き付けカラートナー像を順次転写するプロセスにおいて、転写電圧を転写順に高くする方法により高品質な転写画像が得られるとされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術においては以下に示す課題があった。
【0007】
まず、▲1▼の技術は、非画像領域(トナーが感光体上に存在しない領域)を定電流制御したときに出力される電圧をもとに画像領域(トナーが感光体上に存在する可能性がある領域)の定電圧値を決定する方法であるため最適電圧に対する誤差が大きく精度が要求されるカラーの画像形成装置では十分でなかった。
【0008】
次に、▲2▼の技術であるが、中間転写体を用いたシステムでは複数の箇所で同時にバイアス印加されるときがある。この時に1次転写部が定電流制御であると中間転写体の電位が1次転写部のインピーダンスに応じて変動する。その結果、中間転写体から転写材にトナーを転移する2次転写における電界強度が不安定になり転写性が損なわれ、最終画像である転写材上の品質が低下するという課題があった。また、2次転写部では、環境により抵抗が数桁は変動するとともに幅方向に様々な大きさを持つ転写材に対して高効率転写が要求されるが2次転写部が固定電圧の定電圧電源、もしくは固定電流の定電流電源では十分な転写性が確保できなかった。
【0009】
また、▲3▼の技術では、各色毎に定電圧値が固定であるためOHPシートや低湿環境下の紙のような高抵抗紙では転写電流が不足し転写不良を起こすことがあった。この問題を回避するため転写部を定電流制御とすることも提案されている。しかし、転写材担持体として高抵抗な誘電体ドラムを用いるため残留電荷を除去するために交流電圧を重畳した除電手段を必要とし、除電と転写が同時におきるタイミングで転写電流が除電電流に干渉されトナーの移動に関与する電流が確保されず良好な画像が得られない場合があった。
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、中間転写体を用いたシステムにおいて、
▲1▼1次転写部で中間転写体の抵抗値やトナー帯電量が環境で変動しても画像の品質を安定化させる、▲2▼2次転写部で中間転写体や転写材の抵抗値等が変動しても画像の品質を安定化させる、▲3▼1次転写、2次転写バイアスが同時に印加されるタイミングで発生する転写不良を解決する、ことである。また、転写材担持体に転写材を担持し色重ねを行うシステムにおいて、▲4▼転写材の抵抗値等が変動しても画像の品質を安定化させる、▲5▼転写、除電バイアスが同時に印加されるタイミングで発生する転写不良を解決する、ことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラー画像形成装置は、感光体上に顕像化されたカラートナー像を順次中間転写体上に転写するための1次転写用電源、中間転写体上に色重ねされたカラートナー像を転写材に一括転写するための2次転写用電源を備えたカラー画像形成装置において、前記1次転写用電源は画像領域の一部で定電流制御してその時の当該1次転写用電源の出力電圧を検知し、他の画像領域では前記検知した1次転写用電源の出力電圧にもとづき定電圧制御することを特徴とする。
【0012】
【作用】
請求項1記載の発明によれば、1次転写で画像領域の一部で定電流制御することによりトナーも含めた負荷抵抗がわかり、その値をもとに最適転写電圧を印加するため中間転写体やトナーの抵抗値等が変動しても安定した品質の画像を得ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、1次転写の定電流制御と定電圧制御の切り換えを非画像領域で行うため制御切り換え時の電気的ノイズが画像に影響を及ぼすことはない。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、1次転写と2次転写が時間軸で重なるタイミングで1次転写用電源を定電圧制御するため中間転写体が一定電位となる。よって2次転写時の電界強度が変動することなく画像の品質が安定化する。
【0015】
請求項4、5記載の発明によれば、1次転写で画像領域の一部で定電流制御する時の1次転写用電源の出力電圧を検知し、その検知された1次転写用電源の出力電圧をもとに2次転写における電圧を決定するため転写材抵抗や転写材幅によらず良好な転写性が確保される。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、1次転写用電源で非画像領域において定電流制御しその時に検知される1次転写用電源の出力電圧にもとづき画像領域の一部を最適な電流値で定電流制御するためさらに精度の高い制御が可能となる。
【0017】
請求項7記載の発明によれば、転写部の画像領域の一部で定電流制御する時の転写用電源の出力電圧を検知し、その検知された転写用電源の出力電圧をもとに定電圧値を決定するため転写材抵抗や転写材幅によらず良好な転写性が確保される。
【0018】
請求項8記載の発明によれば、転写部の定電流制御と定電圧制御の切り換えを非画像領域で行うことにより切り換え時の電気的ノイズが画像に影響を及ぼすことはない。
【0019】
請求項9記載の発明によれば、転写と除電が時間軸で重なるタイミングで転写用電源を定電圧制御するため転写位置の電位が一定電位となる。よって転写部の電界強度が除電電流で変動することなく画像の品質が安定化する。
【0020】
【実施例】
以下、請求項1〜4については(実施例1)で、請求項5は(実施例2)で、請求項6は(実施例3)で、そして請求項7〜9は(実施例4)を用いて説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は本発明のカラー画像形成装置の断面概観図である。
【0022】
まず、装置の動作を説明する。帯電ローラ102は感光体101を均一にある電位(例えば−700V)に帯電する。レーザー走査光学系である露光手段103によって形成された600dpi(dot per inch)の解像度のレーザービームは折り返しミラー104により感光体101上に導かれ静電潜像(例えば−100V)が形成される。次に図中矢印方向に接離可能な一成分接触方式の現像器105の内、イエロー現像器105Yを接触させ他の現像器は離間させるとともに不図示の電源の電界の作用によって負帯電性イエロートナーが反転現像され感光体上101において顕像化される。顕像化されたイエロートナーは、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)にカーボンを分散し適当な抵抗に調整された中間転写体106上に1次転写ローラ107に定電流制御および定電圧制御可能な1次転写用電源108によりトナーと逆極性のバイアスが印加されその電界の作用で転写される。感光体101上の転写残りトナーは、ブレードを接触させてクリーニングする感光体クリーナー109で回収され、続いて感光体電位は除電ランプ110によりリセットされる。同様の動作を中間転写体106の位置と露光手段103の発光タイミングの同期を取りマゼンタ現像器105M、シアン現像器105C、ブラック現像器105Kについても繰り返すことにより、中間転写体106上に各色のトナーが重ねられフルカラー画像が形成される。この間、2次転写ローラ116、および中間転写体クリーナ119は離間状態とする。一方、転写材113は給紙カセット112から給紙手段111によりレジストローラ対114まで搬送されたのち、中間転写体106上のフルカラー画像と同期をとって駆動ローラ115と図中矢印方向に接離可能な2次転写ローラ116にて形成される2次転写部に搬送される。2次転写部では転写材113と同期して2次転写ローラ116が中間転写体106に接触してニップ部を形成するとともに1次転写用電源108から得た電圧を演算する演算手段121にて決定された電圧が2次転写用電源117により定電圧制御されその電界の作用で転写材113上にフルカラートナー像が形成される。また、この時中間転写体クリーナー119は中間転写体106に接触する。その後、転写材113は定着手段120によって定着され装置外へ排出される。2次転写後の転写残りトナーは図中矢印方向に動くテンションローラ118を通過後、中間転写体クリーナー119にて回収される。
【0023】
次に1次転写および2次転写のバイアス制御方法について詳述する。
【0024】
図2は1次転写部における低温、低湿(以後LL環境と呼ぶ)及び高温、高湿環境(HH環境と呼ぶ)下におけるベタ画像の電圧−電流特性(以後、V−I特性と呼ぶ)を示したもので斜線部内が転写が良好にされる実用範囲(転写効率で80%以上)である。LL環境とHH環境でこのようにV−I特性が大きく異なるのは中間転写体106およびトナーの抵抗値およびトナーの帯電量が環境で変化するためである。図中の○印は1次転写部で放電が開始する直前の点を示し、この点で最大転写効率(転写効率で90〜97%)をとる。したがってこの○印となるように1次転写用電源が制御されれば最高品質画像が得られる。1次転写用電源を定電流制御しその値をi1とすればLL、HH環境で転写電圧は図に示すようにL1、L2..、H1、H2..となり実用範囲内にははいるが最大転写効率を得るという観点からはLL環境の3、4色目で最適電圧(L1max、L2max..、H1max、H2max..)からずれる。具体例としてプロセス速度130mm/s、中間転写体106の表面抵抗がLLで1010Ω、HHで10Ω、トナーの帯電量がLLで20μC/g、HHで12μC/gの時、i1=10.0μAとし定電流時に出力される電圧および最大転写効率を得る最適電圧を調べ表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003620548
【0026】
表1からLL環境の3色目、4色目で最適転写電圧との差が大きいことがわかる。そこで、1色目は定電流制御しその時に出力される電圧値にもとづいて2、3、4色目を定電圧制御した。具体的には演算手段121において、1色目の定電流制御時に出力される電圧をV1、2色目以降の定電圧制御時に出力する電圧をV2、V3、V4とすると、V2=V1+2/9×V1、V3=V2+2/9×V1、V4=V3+2/9×V1とする。この方法にもとづいてバイアス制御を行った結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003620548
【0028】
このように画像領域の一部(本実施例では第1色目)を定電流制御しその時に出力される電圧(V1)をもとに他の画像領域(本実施例では第2、3、4色目)における電圧(V2、V3、V4)を定めることにより最適転写電圧に制御可能となった。
【0029】
図3は2次転写部でLL及びHH環境下で幅が約300mmと約100mmの転写材113を印字したときのV−I特性および図2における1色目のV−I特性を示したもので図2と同様に実用範囲内を斜線部で、最大転写効率をとる点を○印で示す。環境によりV−I特性が大きく異なるのは1次転写部における理由の他に転写材および2次転写ローラ116の抵抗が変化するためである。また、転写材113の幅によりV−I特性が異なるのは2次転写ローラ116と中間転写体106が直接接触する部分が存在するためである。図3から単純な定電流もしくは定電圧制御では実用可能範囲にバイアス制御できず、まして最大転写効率を得るための電圧に制御することは困難であることがわかる。しかし、本発明により先に示した1次転写で定電流制御する時に出力される電圧(V1)にもとずき、2次転写用電源117の定電圧値を制御することにより2次転写における最大転写効率を得る電圧にバイアス制御可能となった。具体例として1次転写バイアス制御時の条件に加え、2次転写ローラ116の体積抵抗率がLLで1010Ωcm、HHで10Ωcm、転写材113として表面抵抗がLLで1010Ω、HHで10Ωの紙を用い、1次転写時で定電流制御するときの電流値i1=10.0μAとし定電流時に出力される電圧および2次転写における最大転写効率を得る最適電圧を調べ表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003620548
【0031】
この結果から1次転写で定電流時の出力をV1(V)、2次転写で最大転写効率をとる電圧をV0(V)とすると、V0=32/9×V1−800なる関係があることがわかる。したがってこの演算を演算手段121で行い、2次転写の定電圧制御をV0で行うことにより良好な画像が得られる。なお、この式ではV0が0以下となるときがあるがその時は0Vを出力する。
【0032】
図4は1次転写用電源108、2次転写用電源117、演算手段121を示したものである。1次転写用電源108は出力切り換え手段401、定電流制御部402、定電圧制御部403からなる。不図示の転写電圧出力要求信号が入ると定電流制御部402は電流i1(例えば10.0μA)の定電流バイアスを出力する。そのときの電圧をホールドし演算手段で扱える適当な電圧に変換し1次転写演算部404および2次転写演算部405におくる。1次転写演算部404では、先に示した演算式にもとづき演算し定電圧制御部403におくる。定電圧制御部403では1次転写演算部404から得た電圧をもとに出力電圧に増幅し出力切り換え手段401を切り換えて1次転写出力をする。2次転写演算部405でも先に示した演算式にもとづき演算し2次転写用電源117の定電圧制御部406におくる。定電圧制御部406では2次転写演算部405から得た電圧をもとに出力電圧に増幅し2次転写出力する。以上の構成の電気回路はアナログ回路で設計できるが演算手段121での演算が複雑もしくはデータをROM化し読み出す構成ではA/D変換器、D/A変換器、マイクロプロセッサ等が必要となる。
【0033】
図5は以上述べてきた1次転写と2次転写のタイミングと出力電圧を示した図で矢印は定電流時に出力される電圧V1をもとに制御されることを示す。図6は実施例1の変形例であって1、3色目に定電流制御しそれらの値をもとに2、4色目および2次転写電圧を制御する。この場合も良好な転写性が環境や転写材サイズによらず確保できた。また、図7に示すように1色印字中に定電流制御から定電圧制御に切り換えることも可能であるが切り換え時にノイズがはいる場合があり図5、6に示すように非画像領域で定電流および定電圧制御の切り換えを行うのが望ましい。なお、図5から図7までは1次転写と2次転写が時間軸で重なる場合を示したので1次転写の最終色は定電圧制御であることが望ましい。1次転写の最終色が定電流制御で2次転写と同時にバイアスされると表面抵抗が、 10〜10Ωといった比較的低抵抗な中間転写体106を用いた場合、2次転写部における中間転写体106の電位が変動し転写ムラとなる場合があり好ましくない。
【0034】
画像領域の一部を定電流制御しその時の電圧にもとづき他の画像領域を定電圧制御する実施例としてはこれら図5〜7に限定されることはない。例えば、1、2色目は予め定められた電圧で定電圧制御、3色目は定電流制御としこの時に検知される電圧をもとに4色目を定電圧制御したり、逆に1色目を定電流制御としこの時に検知される電圧をもとに2色目を定電圧制御し、3、4色目は予め定められた電圧で定電圧制御してもよい。これらの場合も従来の色ごとに定められた電圧値を定電圧制御する方法に比べ良好な転写性が得られた。
【0035】
また、1次転写出力の1色目が定電流制御の時、連続印字時に2次転写出力と2枚目以降の1次転写出力の1色目が時間軸で重なる場合があり、先に述べた理由で転写不良をおこすことがある。そこで、1枚目の印字において本発明の制御(例えば図6に示す)を行い、2枚目以降の1、2色目は1枚目に決定される電圧V1、V2で定電圧制御し3色目は1枚目と同じく定電流制御し、4色目は定電圧制御することにより1次転写と2次転写が時間軸で重なるタイミングで定電圧制御が可能となり転写不良が防止される。この時、2枚目以降の1色目の電圧を前の印字の3色目の定電流制御時に検出される電圧にもとづいて定電圧制御してもよい。また、連続印字の場合に1枚目の印字において本発明の制御(例えば図5に示す)を行い、2枚目以降は1枚目に決定される電圧(V1、V2、V3、V4)で定電圧制御することが可能である。この方法は装置内の温湿度が大きく変化しない場合に有効である。
【0036】
尚、本発明に用いる中間転写体106としては、実施例中に述べたETFE以外にも、ポリフッカビニリデン、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート等の基材にカーボン等の導電材を分散もしくは塗布することにより表面抵抗を中抵抗化(10〜1011Ω)したフィルム材を用いることができる。中間転写体106の周長は、装置が対応する最大転写材長さより長いことは勿論であり、感光体101の周長の整数倍であることが好ましい。
【0037】
(実施例2)
図8は本発明の画像形成装置における他の実施例の断面概観図である。実施例1と異なるのは、1次転写部と2次転写部の距離が最大画像長さより長く1次転写、2次転写が同時にバイアスされることがない点と1次転写用電源108、演算手段121の内部構成が簡略化されている点である。装置の動作および構成の説明は実施例1と同じであるため省略する。
【0038】
図9は1次転写と2次転写のタイミングと出力電圧を示した図で矢印は定電流時に出力される電圧V1をもとに制御されることを示す。1次転写と2次転写のバイアス印加タイミングが重ならない。よって2次転写時に中間転写体106の電位は一定に保たれるため1次転写のバイアス制御は定電流制御であっても画像に影響を及ぼすことはない。
【0039】
図10は実施例2に用いる1次転写用電源108、2次転写用電源117、演算手段121を示したものである。1次転写用電源108は定電流制御部402のみからなる。不図示の転写電圧出力要求信号が入ると定電流制御部402は電流i1(例えば10.0μA)の定電流バイアスを出力する。そのときの電圧をホールドし演算手段で扱える適当な電圧に変換し2次転写演算部405におくる。2次転写演算部405では実施例1に示した演算式にもとづき演算し2次転写用電源117の定電圧制御部406におくる。定電圧制御部406では2次転写演算部405から得た電圧をもとに出力電圧に増幅し2次転写出力する。以上の構成の電気回路はアナログ回路で設計できるが演算手段121での演算が複雑もしくはデータをROM化し読み出す構成ではA/D変換器、D/A変換器、マイクロプロセッサ等が必要となる。1次転写部が定電流制御でも図2に示したように実用可能範囲にあるため画像品質をさほど落とす事なく実施例1の構成に比べ1次転写電源108および演算手段121の低コスト化が可能となった。
【0040】
(実施例3)
装置構成は図1と同一であるため省略する。実施例1と異なる点は非画像領域で定電流制御し、その時の電圧を検知しその値をもとに画像領域を定電流制御する時の電流値を決定する点で1次転写用電源108の内部構成が異なる。
【0041】
図11は図2に加え非画像領域のV−I特性を示した図である。非画像領域にはトナーが存在しないため、画像領域に比べ見かけ上の抵抗は低く図に示すようにLL環境ではその差が大きく、HH環境ではその差が小さい。従来例で述べたように非画像領域で定電流制御し図中のL0、H0をもとに画像領域のバイアスを決定する従来の方法は最適バイアスとの誤差が大きく好ましくない。しかし、非画像領域で検知した電圧からおおよその環境を把握することはできる。そこで、1次転写用電源108は電流i0(例えば10.0μA)で定電流制御し、その時に検知した電圧をもとに画像部における定電流制御時の電流i1を決定する。例えば、検知した電圧が500V以下の時はHH環境と考えられるためi1=12μAとし、800V以上の時はLL環境と考えられるためi1=10μAとする。また、500〜800Vのときは常温常湿環境と考えられるのでi1=11μAとする。この方法で実施例1と同様に画像領域の一部を定電流制御し、他の画像領域をその時に検知した電圧にもとづき定電圧制御した結果を表4に示す。なお、演算手段121における式は実施例1と同じとした。
【0042】
【表4】
Figure 0003620548
【0043】
表2にくらべHH環境における最適電圧との差が減少した。実施例1に比べてより理想的なバイアス制御が可能となった。
【0044】
図12は実施例3における1次転写用電源108、2次転写用電源117、演算手段121を示したものである。1次転写用電源108は出力切り換え手段401、数水準の電流出力可能な定電流制御部407、定電圧制御部403、比較手段408からなる。不図示の転写電圧出力要求信号が入ると非画像領域において定電流制御部407は電流i0(例えば10.0μA)の定電流バイアスを出力する。その時の電圧を予め定めた値(例えば500V)と比較手段408にて比較する。比較手段408ではその結果にもとづいて定電流制御部407で出力すべき電流値の情報を与える(例えば500V以下では12μA)。定電流制御部407ではその情報にもとづき定電流バイアスi1(例えば12μA)を画像部に出力する。そのときの電圧をホールドし演算手段121で扱える適当な電圧に変換し1次転写演算部404および2次転写演算部405におくる。1次転写演算部404では、実施例1で示した演算式にもとづき演算し定電圧制御部403におくる。定電圧制御部403では1次転写演算部404から得た電圧をもとに出力電圧に増幅し出力切り換え手段401を切り換えて1次転写出力をする。2次転写演算部405でも実施例1で示した演算式にもとづき演算し2次転写用電源117の定電圧制御部406におくる。定電圧制御部406では2次転写演算部405から得た電圧をもとに出力電圧に増幅し2次転写出力する。以上の構成の電気回路はアナログ回路で設計できるが演算手段121での演算が複雑もしくはデータをROM化し読み出す構成ではA/D変換器、D/A変換器、マイクロプロセッサ等が必要となる。
【0045】
図13は以上述べてきた1次転写と2次転写のタイミングと出力電圧を示した図でVnは非画像領域を電流i0で定電流制御した時の電圧で、矢印はVnの値により決められた電流i1で画像領域を定電流制御した時に出力される電圧V1をもとに制御されることを示す。
【0046】
(実施例4)
図14は本発明の画像形成装置における他の実施例の断面概観図である。実施例1〜3との違いは転写材113を誘電体ドラム501に巻き付け転写材上で色重ねをする点である。
【0047】
まず、装置の動作を説明する。転写材113は、給紙カセット112から給紙手段111によりレジストローラ対114まで搬送されたのち、転写材担持体である誘電体ドラム501に転写材吸着用電源503がコロナ帯電器502に交流電圧を重畳した電圧を出力しその静電力により吸着される。帯電ローラ102は感光体101を均一にある電位(例えば−700V)に帯電する。レーザー走査光学系である露光手段103によって形成された600dpi(dot perinch)の解像度のレーザービームは折り返しミラー104により感光体101上に導かれ静電潜像(例えば−100V)が形成される。次に図中矢印方向に接離可能な一成分接触方式の現像器105の内、イエロー現像器105Yを接触させ他の現像器は離間させるとともに不図示の電源の電界の作用によって負帯電性イエロートナーが反転現像され感光体上101において顕像化される。顕像化されたイエロートナーは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の誘電体ドラム501上に吸着された転写材113上に導電性ブレード504にトナーと逆極性のバイアスが転写用電源505より印加されその電界の作用により転写される。感光体101上の転写残りトナーは、ブレードを接触させてクリーニングする感光体クリーナー109で回収され、続いて感光体電位は除電ランプ110によりリセットされる。同様の動作を誘電体ドラム501の位置と露光手段103の発光タイミングの同期を取りマゼンタ現像器105M、シアン現像器105C、ブラック現像器105Kについても繰り返すことにより、誘電ドラム501に吸着された転写材113上に各色のトナーが重ねられフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写材113は、除電用電源507からコロナ帯電器506に印加される交流重畳した電界の作用により誘電体ドラム501から除電、剥離された後、転写材搬送ベルト508により搬送され定着手段120にて定着後装置外に排出される。
【0048】
次に転写用電源505のバイアス制御方法について詳述する。
【0049】
図15は転写部における低温、低湿(以後LL環境と呼ぶ)及び高温、高湿環境(HH環境と呼ぶ)下におけるベタ画像のV−I特性を示したもので斜線部内が転写が良好にされる実用範囲(転写効率で80%以上)である。LL環境とHH環境でこのようにV−I特性が異なるのは誘電体ドラム501、トナー、転写材113の抵抗値およびトナーの帯電量が環境で変化するためである。図中の○印は転写部で放電が開始する直前の点を示し、この点で最大転写効率(転写効率で90〜97%)をとる。したがってこの○印となるように転写用電源505が制御されれば最高品質画像が得られる。転写用電源505を定電流制御しその値をi1とすればLL、HH環境で転写電圧は図に示すようにL1、L2..、H1、H2..となり実用範囲内にははいるが最大転写効率を得るという観点からはLL環境の3、4色目で最適電圧(L1max、L2max..、H1max、H2max..)からずれる。具体例としてプロセス速度130mm/s、誘電体ドラム501の表面抵抗がLLで1015Ω、HHで1014Ω、転写材113として表面抵抗がLLで1010Ω、HHで10Ωの紙を用い、トナーの帯電量がLLで20μC/g、HHで12μC/gの時、i1=10.0μAとし定電流時に出力される電圧および最大転写効率を得る最適電圧を調べ表5に示す。
【0050】
【表5】
Figure 0003620548
【0051】
表5からLL環境の3色目、4色目で最適転写電圧との差が大きいことがわかる。そこで、1色目は定電流制御しその時に出力される電圧値にもとづいて2、3、4色目を定電圧制御した。具体的には演算手段509において、1色目の定電流制御時に出力される電圧をV1、2色目以降の定電圧制御時に出力する電圧をV2、V3、V4とすると、V2=V1+1/4×V1−300、V3=V2+1/4×V1−300、V4=V3+1/4×V1−300とする。
【0052】
この方法にもとづいてバイアス制御を行った結果を表6に示す。
【0053】
【表6】
Figure 0003620548
【0054】
このように画像領域の一部(本実施例では第1色目)を定電流制御しその時に出力される電圧(V1)をもとに他の画像領域(本実施例では第2、3、4色目)における電圧(V2、V3、V4)を定めることにより最適転写電圧に制御可能となった。
【0055】
図16は以上述べてきた転写用電源505と除電用電源507の出力タイミングと出力電圧を示した図で矢印は定電流時に出力される電圧V1をもとに制御されることを示す。図17は実施例4の変形例であって1、3色目に定電流制御しそれらの値をもとに2、4色目の転写電圧を制御する。この場合も良好な転写性が環境や転写材サイズによらず確保できた。また、図18に示すように1色印字中に定電流制御から定電圧制御に切り換えることも可能であるが切り換え時にノイズがはいる場合があり図13、14に示すように非画像領域で定電流および定電圧制御の切り換えを行うのが望ましい。なお、図16から図18までは転写用電源505と除電用電源507の出力が時間軸で重なる場合を示したので転写部の最終色は定電圧制御であることが望ましい。転写用電源505の最終色が定電流制御で除電用電源507と同時にバイアスされると誘電体ドラム501の表面抵抗によっては転写部における誘電体ドラム501の電位が変動し転写ムラとなる場合があり好ましくない。
【0056】
以上、4つの実施例を用いて本発明を説明したが発明の主旨は画像領域の一部を定電流制御しその時に出力される電圧にもとづいて他の画像領域に印加する電圧を決定するものであり、実施形態はこれら実施例に限られるものではない。
【0057】
【発明の効果】
以上述べてきた本発明は以下の効果を有する。
【0058】
請求項1記載の発明によれば、1次転写で画像領域の一部で定電流制御することによりトナーも含めた負荷抵抗がわかり、その値をもとに最適転写電圧を印加するため中間転写体やトナーの抵抗値等が変動しても高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【0059】
請求項2記載の発明によれば、1次転写の定電流制御と定電圧制御の切り換えを非画像領域で行うため制御切り換え時の電気的ノイズが画像に影響を及ぼすことがなく高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【0060】
請求項3記載の発明によれば、1次転写と2次転写が時間軸で重なるタイミングで1次転写用電源を定電圧制御するため中間転写体が一定電位となる。よって2次転写時の電界強度が変動することがないため高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【0061】
請求項4、5記載の発明によれば、1次転写で画像領域の一部で定電流制御する時の1次転写用電源の出力電圧を検知し、その検知された1次転写用電源の出力電圧をもとに2次転写における電圧を決定するため転写材抵抗や転写材幅によらず高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【0062】
請求項6記載の発明によれば、1次転写用電源で非画像領域において定電流制御しその時に検知される1次転写用電源の出力電圧にもとづき画像領域の一部を最適な電流値で定電流制御するためさらに精度の高い制御が可能となり高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【0063】
請求項7記載の発明によれば、転写部の画像領域の一部で定電流制御する時の転写用電源の出力電圧を検知し、その検知された転写用電源の出力電圧をもとに定電圧値を決定するため転写材抵抗や転写材幅によらず高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【0064】
請求項8記載の発明によれば、転写部の定電流制御と定電圧制御の切り換えを非画像領域で行うことにより切り換え時の電気的ノイズが画像に影響を及ぼすことはなく高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【0065】
請求項9記載の発明によれば、転写と除電が時間軸で重なるタイミングで転写用電源を定電圧制御するため転写位置の電位が一定電位となる。よって転写部の電界強度が除電電流で変動することなく高品質なカラー画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例におけるカラー画像形成装置の断面概観図。
【図2】第1の実施例における1次転写部の電圧−電流特性を示す図。
【図3】第1の実施例における2次転写部の電圧−電流特性を示す図。
【図4】第1の実施例における1次転写用電源、2次転写用電源、および演算手段の説明をする図。
【図5】第1の実施例における1次転写及び2次転写の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【図6】第1の実施例の変形例における1次転写及び2次転写の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【図7】第1の実施例の変形例における1次転写及び2次転写の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【図8】第2の実施例におけるカラー画像形成装置の断面概観図。
【図9】第2の実施例における1次転写及び2次転写の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【図10】第2の実施例における1次転写用電源、2次転写用電源、および演算手段の説明をする図。
【図11】第3の実施例における1次転写部の画像部および非画像部における電圧−電流特性を示す図。
【図12】第3の実施例における1次転写用電源、2次転写用電源、および演算手段の説明をする図。
【図13】第3の実施例における1次転写及び2次転写の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【図14】第4の実施例における画像形成装置断面概観図。
【図15】第4の実施例における転写時の電圧−電流特性を示す図。
【図16】第4の実施例における転写部及び除電部の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【図17】第4の実施例の変形例における転写部及び除電部の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【図18】第4の実施例の変形例における転写部及び除電部の出力タイミングおよび電圧を示す図。
【符号の説明】
101 感光体
102 帯電ローラ
103 露光手段
104 折り返しミラー
105Y イエロー現像器
105M マゼンタ現像器
105C シアン現像器
105K ブラック現像器
106 中間転写体
107 1次転写ローラ
108 1次転写用電源
109 感光体クリーナー
110 除電ランプ
111 給紙手段
112 給紙カセット
113 転写材
114 レジストローラ対
115 駆動ローラ
116 2次転写ローラ
117 2次転写用電源
118 テンションローラ
119 中間転写体クリーナー
120 定着手段
121 演算手段
501 誘電体ドラム
502 コロナ帯電器
503 転写材吸着用電源
504 導電性ブレード
505 転写用電源
506 コロナ帯電器
507 除電用電源
508 転写材搬送ベルト
509 演算手段

Claims (9)

  1. 感光体上に顕像化されたカラートナー像を順次中間転写体上に転写するための1次転写用電源、中間転写体上に色重ねされたカラートナー像を転写材に一括転写するための2次転写用電源を備えたカラー画像形成装置において、前記1次転写用電源は画像領域の一部で定電流制御してその時の当該1次転写用電源の出力電圧を検知し、他の画像領域では前記検知した1次転写用電源の出力電圧にもとづき定電圧制御することを特徴とするカラー画像形成装置。
  2. 前記1次転写用電源の定電流制御と定電圧制御の切り換えは非画像領域で行うことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
  3. 1次転写と2次転写が時間軸で重なるタイミングでは、前記1次転写用電源は定電圧制御することを特徴とする請求項1または2記載のカラー画像形成装置。
  4. 前記2次転写用電源は前記1次転写用電源の定電流制御時に検知される1次転写用電源の出力電圧にもとづき定電圧制御することを特徴とする請求項1または2または3記載のカラー画像形成装置。
  5. 感光体上に顕像化されたカラートナー像を順次中間転写体上に転写するための1次転写用電源、中間転写体上に色重ねされたカラートナー像を転写材に一括転写するための2次転写用電源を備えたカラー画像形成装置において、前記1次転写用電源は画像領域の一部で定電流制御してその時の当該1次転写用電源の出力電圧を検知し、前記2次転写用電源は前記検知した1次転写用電源の出力電圧にもとづき定電圧制御することを特徴とするカラー画像形成装置。
  6. 前記1次転写用電源は非画像領域および画像領域の一部で定電流制御してその時に検知される当該1次転写用電源の出力電圧にもとづき他の画像領域を定電圧制御することを特徴とする請求項1または5記載のカラー画像形成装置。
  7. 感光体上に顕像化されたカラートナー像を転写材担持体上に担持された転写材に順次転写するための転写用電源、転写材担持体上の残留電荷を除去するための除電用電源を備えたカラー画像形成装置において、前記転写用電源は、画像領域の一部で定電流制御してその時の当該転写用電源の出力電圧を検知し、他の画像領域では前記検知した転写用電源の出力電圧にもとづき定電圧制御することを特徴とするカラー画像形成装置。
  8. 前記転写用電源の定電流制御と定電圧制御の切り換えは非画像領域で行うことを特徴とする請求項6記載のカラー画像形成装置。
  9. 前記除電用電源の動作と時間軸で重なるタイミングでは、前記転写用電源は定電圧制御することを特徴とする請求項6または7記載のカラー画像形成装置。
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